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JP2010100048A - レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、その製造方法、それにより得られ得るレリーフ印刷版、及び、レリーフ印刷版の製造方法 - Google Patents

レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、その製造方法、それにより得られ得るレリーフ印刷版、及び、レリーフ印刷版の製造方法 Download PDF

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JP2010100048A JP2009219337A JP2009219337A JP2010100048A JP 2010100048 A JP2010100048 A JP 2010100048A JP 2009219337 A JP2009219337 A JP 2009219337A JP 2009219337 A JP2009219337 A JP 2009219337A JP 2010100048 A JP2010100048 A JP 2010100048A
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Abstract

【課題】レリーフ形成層として十分な機械的強度を維持しつつ、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及びその簡易な製造方法、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版により得られた、機械的強度に優れたレリーフ層を有するレリーフ印刷版及びその製造方法を提供する。
【解決手段】過酸化物及びバインダーポリマーを含有し、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版である。過酸化物の含有量は、レリーフ形成層の全質量に対して0.01〜20質量%であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明はレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、該レリーフ印刷版原版の製造方法、レリーフ印刷版原版をレーザー彫刻してなるレリーフ印刷版およびレリーフ印刷版の製造方法に関する。
支持体表面積に積層された感光性樹脂層に凹凸を形成して印刷版を形成する方法としては、感光性組成物を用いて形成したレリーフ形成層に、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、いわゆる「アナログ製版」がよく知られている。
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、或いは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有するレリーフ形成層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ版と称することがある。
合成ゴムのようなエラストマー性ポリマーや軟質な熱可塑性樹脂などからなる所謂フレキソ版に適用されるレリーフ形成層は、ゴムを侵食しないインキビヒクルを用いた水性インキ、アルコールインキ、エステルインキや無溶媒のUVインキ等に適性を有する。このような材料からなる柔軟なレリーフ形成層は、その柔軟性により、表面凹凸の大きい被印刷体や強度の弱い包装材料に印刷するのに適しているものの、形成されたレリーフ層自体が応力により変形しやすいため、印圧は弱くする必要がある。
これに対して、一般的な可塑性樹脂(プラスチック)を用いて得られるレリーフ形成層は通常は硬質であり、これを用いて作製されたレリーフ層を有する印刷版は、樹脂凸版(レタープレス)と称され、柔軟なレリーフ層を有するフレキソ版とは区別されている。樹脂凸版はレリーフ層が硬質であるため、強い印圧をかけることが可能であり、インキを厚盛りすることにより明瞭でシャープな印刷ができる。
このような硬質のレリーフ形成層を得るために用いられる樹脂組成物のうち商業的に入手可能なものは、画像様に露光した後、現像により製版されるものであり、水現像型あるいはアルコール現像に対応するために水溶性樹脂あるいはアルコール可溶性樹脂を含有している。従って、このような版を用いて印刷する際に使用されるインキは、これらの樹脂を侵食しないインキビヒクルを用いた油性インキあるいは無溶媒のUVインキである。
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間及びコストを要する。更に、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、かつ現像廃液の処理をも必要とすることから、更に簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
近年は、原画フィルムを必要とせず、走査露光によりレリーフ形成層の製版を行う方法が検討されている。
原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
現像工程を必要としない製版方法として、レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。直彫りCTP方式は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、或いは、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。
しかしながら、所定の厚みを有するレリーフ形成層に印圧に耐える凹凸を有するレリーフを形成するには高エネルギーを要し、レーザー彫刻の速度が遅いため、マスクを介して画像形成するタイプに比較し、生産性が低いという問題がある。
このため、レリーフ原版の感度を向上させることが試みられており、例えば、エラストマー発泡体を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この技術では、レリーフ形成層に密度の低い発泡体を用いることで、彫刻感度の向上を図っているが、低密度の材料であるため印刷版としての強度が不足し、耐刷性が著しく損なわれるという問題がある。
また、例えば、特許文献4〜6には、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、或いはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が開示されている。これら文献では、バインダーとしてエラストマー性のゴムにモノマーを混合し、熱重合機構或いは光重合機構によりこれら混合物を硬化させた後、レーザー彫刻を行い、フレキソ版を得ている。
また、直彫りCTP方式が有する課題として、レーザー彫刻の速度が遅いことが挙げられる。これはマスクCTP方式では、アブレーションすべき対象のマスク層要素の厚さが1〜10μm程度であるのに対し、直彫りCTP方式では直接レリーフを形成する機能上、少なくとも100μmは彫刻する必要があるためである。
そのため、レーザー彫刻感度の向上を図った提案が、下記のように、いくつかなされている。
例えば、エラストマー発泡体を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この技術では、密度の低い発泡体を用いることで、彫刻感度の向上を図っているが、低密度の材料であるため印刷版としての強度が不足し、耐刷性が著しく損なわれるという問題がある。
例えば、炭化水素系の気体を封入したマイクロスフィアを含有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。この技術では、レーザーで発生する熱によりマイクロスフィア内の気体が膨張して、被彫刻材料を崩壊させるシステムにより、彫刻感度の向上を図っているが、気泡を含む材料系なので、印刷版としての強度は不足しやすいという問題がある。また、気体は固体に比べて熱で膨張しやすい性質があり、熱変形開始温度の高いマイクロスフィアを選択しても、外温の変化による体積変化はさけられないことから、厚み精度の安定性が要求される印刷版に、気泡を含む材料を用いることは適していない。
例えば、天井温度が600度K未満の高分子充填剤を含有するレーザー彫刻用樹脂凸版印刷版が提案されている(例えば、特許文献9参照。)。この技術では、解重合温度の低い高分子充填剤を添加することで彫刻感度の向上を図っているが、このような高分子充填剤を用いると、印刷版原版の表面に凹凸がついてしまい、印刷品質に重大な影響を与えるといった問題を有する。
以上のように、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に好適に用いうる樹脂組成物に関しては、種々の技術が提案されているが、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いものは、未だ提供されていないのが現状である。
特許第2773847号公報 特開平9−171247号公報 特開2002−357907号公報 特許第2846954号公報 特開平11−338139号公報 特開平11−170718号公報 特開2000−318330号公報 米国特許出願公開2003/180636号明細書 特開2000−168253号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、レリーフ形成層として十分な機械的強度を維持しつつ、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及びその簡易な製造方法を提供することにある。
また、本発明のさらなる他の目的は、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版により得られた、機械的強度に優れたレリーフ層を有するレリーフ印刷版及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、架橋構造を有し、且つ、過酸化物を含むレリーフ形成層を設けることで前記課題を解決するしうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、バインダーポリマー及び過酸化物を含有し、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えることを特徴とする。
ここで、前記過酸化物の含有量は、前記架橋構造を有するレリーフ形成層の全質量に対して0.01〜20質量%であることが好ましい。
また、レリーフ形成層に含まれる過酸化物として、少なくとも1つの有機過酸化物を含むことが好ましく、好適な過酸化物としては、ケトンペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及び、ペルオキシジカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記過酸化物の物性に着目すれば、この過酸化物は、10時間半減期温度が100℃以上である酸化物であることが好ましい。
このような架橋構造を有するレリーフ形成層における架橋構造は、レリーフ形成層用の塗膜にたいして露光及び加熱の少なくとも一方を施して形成されたものであることが好ましく、加熱により形成されたものがより好ましい。
この架橋構造形成のための加熱温度は、レリーフ形成層に含まれる過酸化物の10時間半減期温度よりも5℃以上低い温度で行われることが好ましい。
前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版における架橋構造を有するレリーフ形成層としては、その厚みが0.05mm〜10mmの範囲にあること、ショアA硬度が50〜90°であることが好ましい態様である。
また、本発明の請求項11に記載のレリーフ印刷版原版の製造方法は、前記本発明のレリーフ印刷版原版を製造する方法であって、(1)過酸化物、バインダーポリマー、及び、架橋剤を含有する樹脂組成物を塗布して膜を形成する工程と、(2)樹脂組成物からなる膜を乾燥する工程と、(3)乾燥した樹脂組成物からなる膜に、露光及び加熱の少なくとも一方により架橋構造を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
この製造方法により、過酸化物を含み、架橋構造を有するレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を得ることができる。
また、このようなレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を、レーザー彫刻することで画像様の凹凸を有するレリーフ層を有するレリーフ印刷版を製造することができる。
本発明の請求項14記載のレリーフ印刷版は、前記本発明のレリーフ印刷版の製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明のレリーフ印刷版原版は、レリーフ形成層が架橋構造を有するためにレリーフ形成層の機械的強度に優れると共に、層内に過酸化物を含有することで、レーザーに対する彫刻感度が向上し、レリーフ層の形成にかかる時間を短縮することができる。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層はレーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いことから、高速でレーザー彫刻を行うことができるので、彫刻時間についても短縮することができる。このような特徴を有する本発明のレリーフ印刷版原版は、レーザー彫刻が施されるレリーフ印刷版原版用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、以下に詳述する凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層のみならず、凹版、孔版、スタンプ、等、レーザー彫刻により画像形成される各種印刷版に適用することができる。
本発明によれば、レリーフ形成層として十分な機械的強度を維持しつつ、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及びその簡易な製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版により得られた、機械的強度に優れたレリーフ層を有するレリーフ印刷版及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、バインダーポリマー及び過酸化物を含有し、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えることを特徴とする。このようなレリーフ形成層は、適切な支持体上に設けてもよく、印刷装置の部最表面に直接設けてもよいが、取り扱いの簡易性からは、支持体上に設けることが好ましい。
以下、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の構成要素について説明する。なお、以下、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を本発明の印刷版原版と称することがある。
<(A)過酸化物>
本発明に係るレリーフ形成層は、層内に架橋構造を有し、且つ、過酸化物を含むことで、彫刻感度を大幅に向上させてものである。
レリーフ形成層中に(A)過酸化物を用いることで彫刻感度が向上する作用機構は定かではないが以下のように推定される。
本発明の印刷版原版を画像形成する際に実施するレーザー彫刻、特に近赤外レーザーによる彫刻の場合は、以下の(i)〜(v)の過程により行われると考えられる。
(i)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物またはカーボンブラックによる光吸収
(ii)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物またはカーボンブラックによる光熱変換
(iii)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物またはカーボンブラックから近傍に存在するバインダーやモノマー重合物などの膜形成成分及びそこに含まれる(A)過酸化物への熱伝達
(iv)バインダーやモノマー重合物などの膜形成成分及び(A)過酸化物の熱分解
(v)分解したバインダーやモノマー重合物などの膜形成成分の消散や飛散。
レリーフ形成層に含まれる(A)過酸化物は、該化合物自体が熱により分解する際に大きな分解熱を生じる。このような特徴を持つ(A)過酸化物が膜中に存在することで、上記(iv)の過程においてレーザーの光熱変換で発生した熱に加えて過酸化物の分解熱が加わることになり、(iv)の過程における熱分解が促進されレーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
ここで用いられる(A)過酸化物としては、有機溶媒に対して分散性が良好な有機過酸化物を用いた場合、分解促進能を有する(A)過酸化物がレリーフ形成層中に均一に分散されて存在することになり、その効果は大きくなるため好ましい。そのような効果を奏する有機過酸化物としては、例えば、ケトンペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及び、ペルオキシジカーボネート等が挙げられ、このような有機過酸化物を用いた場合にこの効果は特に顕著であるといえる。
以下に本発明に用いうる(A)過酸化物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
無機過酸化物としては,過酸化リチウム,過酸化カリウム,過酸化ナトリウム,過酸化マグネシウム,過酸化カルシウム,過酸化バリウム,などが挙げられる。
有機過酸化物としては,分子内に酸素−酸素結合を1個以上有する有機過酸化物のほとんど全てを本発明に用いることができるが、その例としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、アセトンペルオキシド、1,1−ジ(tert−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ジ[4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロへキシル]プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジ−tert−ヘキシルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,ジイソブチリルペルオキシド、ジ(3,3,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、
ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロへキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシラウレート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシ−3−メチルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
過酸化物(A)としては、膜中における分散性の観点から有機過酸化物が好ましく、上記化合物のなでも、ケトンペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及び、ペルオキシジカーボネートがより好ましい。
本発明のレリーフ形成層は、架橋構造を有することを特徴とするが、このような架橋構造をレリーフ形成層中に形成するに際して好ましい(A)過酸化物について述べる。レリーフ形成層に架橋構造を形成する際には、過酸化物やバインダーポリマーに加え、重合性化合物及び重合開始剤を含有するレリーフ形成層用の樹脂組成物からなる塗膜を露光或いは加熱して架橋構造を形成するが、形成効率からは熱により架橋されることが好ましい。このとき、熱架橋後のレリーフ形成層に有効量の(A)過酸化物を分解することなく残存する必要があり、そのような観点からは、(A)過酸化物の10時間半減期温度が、熱架橋時の加熱温度よりも5℃以上高いものを用いることが好ましく、10℃以上高いものがより好ましく、20℃以上高いものがさらに好ましい。
また、光および/または熱などの架橋構造の形成方式に関わらず、用いられる過酸化物(A)の10時間半減期温度は100℃以上のものが好ましい。これは、過酸化物の10時間半減期温度が極端に低い場合、室温で印刷版原版を長時間放置した際に、徐々に過酸化物が分解することにより、印刷版原版の製造直後と比較して、経時的に過酸化物の添加による感度向上効果が低下するためである。
なお、本発明においては、(A)過酸化物の10時間半減期温度は以下に記載の測定方法により測定した値を用いている。
ラジカルに対して不活性な溶媒(本発明においては、ベンゼンを使用)を使用して、0.1mol/L濃度の過酸化物溶液を調製し,窒素置換をおこなったガラス管中に密封する。これを所定温度にセットした恒温槽に浸し熱分解させる。なお、汎用の方法においては、この濃度を0.5mol/Lに調整して測定する方法もある。
一般的に希薄溶液中の過酸化物の分解は近似的に一次反応として取り扱うことができるので,分解過酸化物量x,分解速度定数k,時間t,過酸化物初期濃度aとすると、下記式の関係が成り立つ。
式(1) dx/dt=k(a−x)
式(2) ln{a/(a−x)}=kx
半減期は,分解により過酸化物濃度が初期の半分に減ずるまでの時間なので,半減期をt1/2で示し(2)式における「x」に「a/2」を代入すると下記式(3)が導き出される。
式(3) kt1/2=ln2
従って、ある一定温度で熱分解させ,時間tとln{a/(a−c)}の関係をプロットし、プロットにより得られた直線の傾きからkを求め,(3)式からその温度における半減期(t1/2)を求めることができる.
一方,分解速度定数kは、下記式で示される。
式(4) k=Aexp(−ΔE/RT)
式(5) lnk=lnA−ΔE/RT
ここで、A:頻度因子(1/h)、ΔE:活性化エネルギー(J/mol)、R:気体定数(8.314J/mol・K)、T:絶対温度(K)で表されるので、数点の温度についてkを測定し、lnkと1/Tの関係をプロットして、プロットにより得られた直線の傾きから,活性化エネルギーを求めることができる.
また、lnkの代わりに,lnt1/2と1/Tの関係をプロットして得られた直線から、任意の温度における過酸化物の半減期、あるいは任意の半減期を得る分解温度が得られる。
なお、過酸化物の10時間半減期温度の数値としては、文献により得ることも可能であり、過酸化物の製造メーカーのカタログ等を参照することができる。具体的には、例えば、日油株式会社のカタログ値(http://www.nof.co.jp/upload_public/sogo/B0100.pdf)などを参照することも可能である。
架橋構造を有するレリーフ形成層における(A)過酸化物の含有量(存在量)としては、彫刻感度と皮膜性の両立の観点から架橋された画像形成層の全質量に対して0.1〜20質量%部が好ましく、0.1〜10質量%部がより好ましく、1〜10質量%部が最も好ましい。
架橋構造を有するレリーフ形成層中における過酸化物の存在量の定量は、以下の方法で行うことができる。
架橋された画像形成層における過酸化物(A)の定量方法について記す。
ガラス瓶に架橋された架橋構造を有するレリーフ形成層を0.5g、および、標準物質としてナフタレンを0.03g量り取り、N−メチル−2−ピロリドンに浸漬させる。室温で12時間浸漬させた後、超音波洗浄器に5分間入れる。
12時間浸漬及び5分間の両音波洗浄器による処理のサイクルを3回繰り返す。得られた溶液を0.01μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、HPLC(検出器RI)により標準物質であるナフタレンとの量を比較することで(A)過酸化物の定量をおこなう。
次に、(A)過酸化物以外のレリーフ形成層の各構成成分についてのべる。
本発明におけるレリーフ形成層は、(B)バインダーポリマーに加え、好ましくは、(C)架橋構造を形成しうる化合物(以下、架橋剤と称する)、(D)光熱変換剤、(E)重合開始剤、可塑剤等を含むレリーフ形成層用の樹脂組成物からなる膜を形成して架橋前のレリーフ形成層(レリーフ形成層の前駆体層)を形成し、これに光または熱により架橋構造を形成して得ることが好ましい。
この架橋構造の形成は、該前駆体層中に含まれる(C)架橋剤の反応、即ち、(C)架橋剤が有するエチレン性不飽和結合などの重合性基や架橋性基が、(B)バインダーポリマーと反応したり、(C)架橋剤同士が反応したりすること、によりなされるため、架橋構造を有するレリーフ形成層には、架橋剤は殆ど残存しない。該前駆体層中に(E)重合開始剤が含まれる場合には、この反応に重合開始剤が関与するため、重合開始剤も架橋構造を有するレリーフ形成層には殆ど残存しない。
<(B)バインダーポリマー>
本発明におけるレリーフ形成層には(B)バインダーポリマーを含有する。
(B)バインダーポリマーは、レーザー彫刻用のレリーフ形成層に含有される主成分であり、通常は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを、目的に応じて用いる。
本発明における(B)バインダーポリマーは、レリーフ形成層が有する架橋構造に組み込まれていてもよいし、組み込まれていなくてもよい。すなわち、(C)架橋剤と(B)バインダーポリマーとが反応して、これらの化合物がレリーフ形成層における架橋構造と一体をなしている場合も、本発明に包含される。
例えば、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
また、例えば、柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
更に、レリーフ形成層用の樹脂組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性又は親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、本発明においては、加熱や露光によりレリーフ形成層内に架橋構造を形成することを要するため、バインダーポリマーとして、以下に詳述する分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーを使用することができる。
このように、レーザー彫刻用樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明においてバインダーポリマーとして用いうる各種ポリマーについて説明する。
(分解性を有するポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
分解性を有するポリマーとしては、分子鎖中に、分解、切断され易い部分構造を有するモノマー単位として、スチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、上記以外のエステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等を含むポリマーが挙げられる。
これらの中でも、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、或いは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーが、分解性の観点から好ましく挙げられる。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
また、分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸などのヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステルを用いることができる。このようなポリエステルとしては、具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、乳酸系ポリマー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンコハク酸)、これらの誘導体又は混合物から成る群から選択されるものが好ましい。
(熱可塑性ポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーの1つとして、熱可塑性ポリマーが挙げられる。
熱可塑性ポリマーとしては、エラストマーであっても非エラストマーの樹脂であってもよく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の目的に応じて選択すればよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテル或いはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、例えば、フレキソ版などの可撓性を必要とするレリーフ印刷版の製造に適用する場合に好適である。
熱可塑性エラストマーの種類は、目的に応じて選択され、例えば、耐溶剤性が要求される場合、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される場合、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類を選択することにより、樹脂組成物により形成される膜の硬度を大きく変えることができる。
非エラストマー性の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコール誘導体)を挙げることができる。
(親水性又は親アルコール性ポリマー)
本発明で用いるバインダーポリマーとしては、親水性又は親アルコール性のものが彫刻後のカスの除去性の観点で好ましい。親水性ポリマーとして詳細には、後述するもの挙げられるが、中でも、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマーが好ましい。また、親水性又は親アルコール性バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリマーも好適に用いることができる。
バインダーポリマーの好適な態様の1つである親水性ポリマーについて詳述する。
親水性ポリマーとは、水溶解性又は水膨潤性のポリマーを指す。ここで、本発明において、「水溶解性」とは、25℃の水に5質量%以上溶解することを指し、また、「水膨潤性」とは、25℃の水に5質量%になるように加えた際に、吸水して膨張し、目視で見たときに溶解はしていないが、明らかな固体状(粉末状)の沈殿物は無い状態であることを指す。
親水性ポリマーとしては、単独のポリマーを用いてもよいし、複数種のポリマーを用いてもよい。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、セルロースをはじめとする親水性官能基を有する多糖類、ポリアクリル酸ナトリウムのような酸性官能基が中和された塩構造やアミノ基が中和された塩構造やオニウム構造を含むアクリル樹脂、ポリエチレンオキサイドの如き親水性基を導入したポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。
親水性ポリマーとしては、良好な親水性を示す点で、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有セルロース、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。より好ましくは、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、更に好ましくはポリビニルアルコール類、ポリアミド樹脂である。
親水性ポリマーとして特に好ましくは、皮膜性とUVインキに対する耐性があるという観点から、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体から選択されるポリマーである。
このPVA及びPVA誘導体については、後述するビニル系ポリマーの好ましい例として具体的に説明する。
なお、本発明においてPVA及びその誘導体とは、ヒドロキシエチレン単位を0.1モル%以上100モル%以下、好ましくは1モル%以上98モル%以下、更に好ましくは5モル%以上95モル%以下含有する共重合体或いは重合体並びにそれらの変性体を包含する。
親水性ポリマーとしては、特に、PVA及びその誘導体から選択される1種以上と、ヒドロキシエチレン単位を含まない親水性ポリマー(以下、適宜「非PVA誘導体」とも称する。)と、を併用してもよい。
親水性ポリアミドの合成法としては、以下に示すものが挙げられる。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位を有するポリアミドが得られ、ピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有する親水性ポリアミドが得られる。また、親水性ポリアミドのアミド基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させることで、架橋性の官能基がポリマー中に導入された親水性ポリアミドが得られる。これら非PVA誘導体は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
また、非PVA誘導体とは、PVA及びその誘導体と相溶性を示す程度に極性が近いものを意味する。
非PVA誘導体として具体的には、例えば、アジピン酸や1,6−ヘキサンジアミン、ε−カプロラクタムのみの重合によって得られる非水溶性ポリアミドに、ポリエチレングリコールやピペラジンのような親水性基を導入した親水性ポリアミドが挙げられる。親水性ポリアミドは、その親水性基の働きでPVA誘導体との相溶性が発現するため、非PVA誘導体として用いるのに好適である。つまり、このような親水性ポリアミドは、PVA及びその誘導体との相溶性が良好であり、PVA及びその誘導体の分子間に容易に入り込むために、2種のポリマーの分子間力が低下し、ポリマーが柔軟化される。
(疎水性ポリマー)
本発明におけるバインダーポリマーとしては、比較的疎水性のバインダーポリマーを用いてもよい。
比較的疎水性のバインダーポリマーとしては、製膜時の膜硬度や柔軟性、共存する重合性化合物や開始剤のような他の成分との相溶性等の性質を調整するために、以下に示すようなモノマーを重合又は共重合成分として含むポリマーを使用することもできる。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。本発明においては、これらを単独で、若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記重合成分のモノマーとしては、皮膜性の観点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。この中で、アクリレート類が、得られるポリマーの柔軟性確保の点で特に好ましい。
その他、バインダーポリマーとしては、以下のポリマーを用いることもできる。
即ち、主鎖にオレフィン及び炭素−炭素三重結合の少なくともいずれかを含むポリマーが挙げられ、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
(炭素−炭素不飽和結合を有するポリマー)
本発明においては、レリーフ形成層中に架橋構造を有することを必要とするため、架橋構造形成効率向上の観点から、バインダーポリマーとしては、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーを使用することができる。
該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
側鎖に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーとして、メタクリロイル基のような反応性の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い被膜を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。
バインダーポリマー中に不飽和結合或いは重合性基を導入する際には、重合性基に保護基を結合させてなる重合性基前駆体を有する構造単位をポリマーに共重合させ、保護基を脱離させて重合性基とする方法、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する高分子化合物を作製し、その後、上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて、高分子反応により、重合性基を導入する方法など、公知のいずれの方法をとることができる。これらの方法によれば、高分子化合物中への不飽和結合、重合性基の導入量を制御することができる。
このような不飽和結合を有するポリマーは、不飽和結合を有さないポリマーと併用することも好ましい。即ち、上記炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーのオレフィン部分に水素を付加させて得られるポリマーや、オレフィン部分に水素添加したモノマー、例えば、ブタジエンやイソプレン等に水素添加したモノマーを原料としてポリマーを形成して得られるポリマーなどは、相溶性に優れることから併用し、バインダーポリマーが有する不飽和結合の量を調整することもできる。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1質量部〜90質量部、好ましくは5質量部〜80質量部の割合で用いることができる。
なお、後述するように、他の重合性化合物を併用する場合など、バンダーポリマーに硬化性を必要としない態様では、バインダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
本発明に用いうる不飽和結合を有する、或いは、有しないバインダーポリマーの数平均分子量は、0.1万から100万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
本発明におけるバインダーポリマーとしては、前述のような各種のバインダーポリマーの中でも、ビニル系ポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、及びポリウレアからなる群より選択されるポリマーを用いることが、彫刻感度を向上させる観点から好ましい。
以下、これら好ましいバインダーポリマーについて説明する。
(ビニル系ポリマー)
本発明に係るビニル系ポリマーは、以下に示すような、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類等のビニル系モノマーから得られた重合体又は共重合体であることが好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アクリル酸エステル類:例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−iso−プロポキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(付加モル数n=9)、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート
メタクリル酸エステル類:例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数n=6)
ビニルエステル類:例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル
アクリルアミド類:例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド
メタクリルアミド類:例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド
オレフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン
スチレン類:例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル
クロトン酸エステル類:例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル
イタコン酸ジエステル類:例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル
マレイン酸ジエステル類:例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル
フマル酸ジエステル類:例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル
などが挙げられる。
また、ビニル系ポリマーを得る際に用いられるその他のモノマーの例としては、次のものが挙げられる。
アリル化合物:例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリル;
ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル;
ビニルケトン類:例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン;
ビニル異節環化合物:例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドン;
グリシジルエステル類:例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;
不飽和ニトリル類:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;などを挙げることができる。
本発明に用いられるビニル系ポリマーは、上記モノマーのホモポリマーでもよく、また必要に応じて、二種以上のモノマーから得られる共重合体でもよい。
本発明におけるバインダーポリマーとしては、ビニル系ポリマーの中でも、水及び/又はエタノール可溶なビニル系ポリマーが好ましい。
ここで、本発明において、「水及び/又はエタノールに可溶なポリマー」とは、以下のようにして溶解性を観察した際に、ポリマーの沈殿物がなく、かつ、溶液(分散液)が透明で均一である状態となるものを意味する。
即ち、粉体又はペレット状のバインダーポリマー0.1gと、水2mL又はエタノール2mLと、を混合し、蓋をして室温で24時間静置した後、溶解性について、目視により観察する。
水及び/又はエタノール可溶なビニル系ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)誘導体が好ましい。ここで、本発明におけるPVA誘導体とは、ヒドロキシエチレン単位を0.1モル%以上100モル%以下、好ましくは1モル%以上98モル%以下、更に好ましくは5モル%以上95モル%以下含有する共重合体或いは重合体、並びにそれらの変性体を意味する。従って、ポリビニルアルコール自体も包含する。該共重合体を形成するためのモノマーとしては、公知の共重合可能なモノマーから適宜選定することができる。該変性体としては、後述のものが例示される。
PVA誘導体の変性体の例として、ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマー、当該水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーなどが挙げられる。
ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えば、コハク酸、マレイン酸やアジピン酸のような多官能カルボン酸と、でエステル化することによって得ることができる。
カルボキシル基の導入量は、水酸基1モルに対して0.01モル〜l.00モルが好ましく、0.05モル〜0.80モルが更に好ましい。
ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクリロイル基に変性したポリマーは、上記カルボキシル基変性ポリマーに、グリシジル(メタ)アクリレートを付加することによって、又は、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸とでエステル化することによって得ることができる。
(メタ)アクリロイル基の導入量は、当該水酸基1モルに対して0.01モル〜1.00モルが好ましく、0.03モル〜0.50モルが更に好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基との表記は、アクリロイル基及び/又はメタクロイル基を総称するものである。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを総称するものである.また、(メタ)アクリル酸等もこれと同様である。
ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えば、カルバミン酸のようなアミノ基を含有するカルボン酸と、でエステル化することによって得ることができる。
アミノ基の導入量は、当該水酸基1モルに対して0.01モル〜1.00モルが好ましく、0.05モル〜0.70モルが更に好ましい。
ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーは、ポリビニルアルコール或いは部分鹸化ポリビニルアルコールとグリゴール類を硫酸触媒のもと加熱し、副生成物である水を反応系外に取り除くことによって得ることができる。
エチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体の総導入量は、当該水酸基1モルに対して0.01モル〜0.90モルが好ましく、0.03モル〜0.50モルが更に好ましい。
これらの変性体の中でも、ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクリロイル基に変性したポリマーが好ましく用いられる。すなわち、このような親水性ポリマーに未反応の架橋性官能基を直接導入することで、例えば、後述するようなエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を多量に用いることなく、硬化膜の強度を高めることができ、硬化膜の柔軟性と強度とを両立することができるからである。
また、本発明のビニル系ポリマーとしてはポリビニルアセタールも有効に用いることができる。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒド類で処理することによって得られるものを用いることができる。アセタール処理に用いるアルデヒド類について以下に具体的に記すが限定されるわけではない。
アセタール処理に用いるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、t−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド類、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などが挙げられる。これらの中でも、アセトアルデヒド 、ブチルアルデヒドは、取り扱いが容易であるため好ましく用いられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上のものを併用してもよい。
(ポリアミド)
ポリアミドは、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合、アミノカルボン酸化合物の重縮合、ラクタム類の開環重合、等によって得ることができる。
以下、本発明におけるポリアミドを合成する際に用いられるジアミン化合物、ジカルボン酸化合物、アミノカルボン酸化合物、及びラクタム類の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジアミン化合物の例としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミンなどが挙げられる。
ジカルボン酸化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α−ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシ)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸、などが挙げられる。
これらのジカルボン酸化合物は、カルボン酸のアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)やジカルボン酸の酸塩化物の形で用いてもよいし、無水マレイン酸や無水コハク酸、無水フタル酸のように酸無水物の形で用いてもよい。
アミノカルボン酸の例としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ω−アミノヘキサン酸、ω−アミノデカン酸、ω−アミノウンデカン酸、アントラニル酸等が挙げられる。
また、開環重合に用いられる単量体(ラクタム類)としては、ω−カプロラクタム、アゼチジノン、ピロリドンなどが挙げられる。
(ポリウレタン)
ポリウレタンは、基本的には、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを原料に重付加反応により合成される。
以下、本発明におけるポリウレタンを合成する際に用いられるジオール化合物及びジイソシアネート化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200、300、400、600、1000、1500、4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200、400、1000)、ポリエステルポリオール、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,5,6−トリメトキシ−3,4−ジヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシ−4,5−ジメトキシペンタン酸、2,4−ジ(2−ヒドロキシ)エチルオキシカルボニルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩などが挙げられる。
ジイソシアネート化合物の好ましい具体例としては、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)などが挙げられる。
(ポリウレア)
ポリウレアは、基本的には、ジアミン化合物とジイソシアネート化合物との重付加、又は、ジアミン化合物と尿素との脱アンモニア反応によって得ることができる。
以下、本発明におけるポリウレアを合成する際に用いられるジアミン化合物、ジイソシアネート化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジアミン化合物としては、前記ポリアミドにおいて説明したジアミン類と同じ群から選ばれる化合物を挙げることができる。
また、ジイソシアネート化合物としては、前記ポリウレタンにおいて説明したジイソシアネート類と同じ群から選ばれる化合物を挙げることができる。
本発明において、バインダーポリマーとしては、彫刻感度の観点から、ビニル系ポリマーが特に好ましく、水及び/またはエタノール可溶なビニル系ポリマーが更に好ましい。
本発明においては、前記(A)過酸化物と(B)バインダーポリマーとを併用することで、レーザー露光による熱のみならず、(A)過酸化物の分解時の発熱が、その近傍に存在する(A)バインダーポリマーに作用することによって、上記(iv)の過程における分解、除去が促進され、レーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
本発明におけるバインダーポリマーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、0.5万〜50万が好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であれば、単体樹脂としての形態保持性に優れ、50万以下であれば、水など溶媒に溶解しやすくレーザー彫刻用のレリーフ形成層を調製するのに好適である。バインダーポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは1万〜40万、特に好ましくは1.5万〜30万である。
バインダーポリマーの総含有量は、レリーフ形成層の固形分全質量に対し、15質量%〜75質量%が好ましく、20質量%〜65質量%がより好ましい。
即ち、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層は、バインダーポリマーの含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、75質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
<(C)架橋剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、レリーフ形成層中に架橋構造を形成するという観点から、架橋構造の形成効率向上のために、架橋剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる架橋剤は、光や熱に起因した化学反応(ラジカル重合反応や酸・塩基を開始種とした架橋反応など)により高分子化してレリーフ形成層を硬化可能であるものであれば特に限定されず用いることができる。
特に、(C−1)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、(C−2)−SiR(R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R〜Rのうち少なくとも1つは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。)を有する架橋剤、(C−3)酸無水物残基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、ブロックイソシアネート基、カルボキシル基、及び、エポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基を複数有する化合物、が好ましく用いられる。
これらの化合物は、前記バインダーと反応することによりレリーフ形成層中に架橋構造を形成してもよく、又は、これらの化合物同士で反応することにより架橋構造を形成してもよく、これら両方の反応により架橋構造を形成してもよい。
これら架橋剤の分子量は、特に限定されないが、50〜3,000であることが好ましく、70〜2,500であることがより好ましく、100〜2,000であることが更に好ましい。
以下、本発明に用いうる好ましい架橋剤について詳述する。
(C−1)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物
本発明においては、レリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、これを形成するための樹脂組成物に、架橋剤としてエチレン性不飽和結合をする重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」と称する場合がある。)を含有することが好ましい。
ここで用いうる重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。
以下、重合性化合物として用いられる、エチレン性不飽和二重結合を分子内に1つ有する単官能モノマー、及び、同結合を分子内に2個以上有する多官能モノマーについて説明する。
本発明に係るレリーフ形成層は、膜中に架橋構造を有することが必要であることから、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量は、200〜2,000であることが好ましい。
単官能モノマー及び多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
更に、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることができる。
また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも、使用することができる。
具体的には、NKオリゴ U−4HA、U−4H、U−6HA、U−6ELH、U−108A、U−1084A、U−200AX、U−122A、U−340A、U−324A、UA−100(以上、新中村化学工業製)、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(以上、共栄社油脂製)、アートレジン UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、SH−380G、SH−500、SH−9832(以上、根上工業製)、PLEX6661−O(独・Degussa社製)等を挙げることができる。
本発明においては、重合性化合物として、彫刻感度向上の観点から、分子内に硫黄原子を有する化合物を用いることが好ましい。
このように分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有する重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
本発明における含硫黄多官能モノマー中の炭素−硫黄結合を含んだ官能基としては、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、スルファミン酸、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、又はチオ尿素を含む官能基が挙げられる。
また、含硫黄多官能モノマーにおける2つのエチレン性不飽和結合間を連結する炭素−硫黄結合を含有する連結基としては、−C−S−、−C−SS−、−NH(C=S)O−、−NH(C=O)S−、−NH(C=S)S−、及び−C−SO−から選択される少なくとも1つのユニットであることが好ましい。
また、含硫黄多官能モノマーの分子内に含まれる硫黄原子の数は1つ以上であれば特に制限は無く、目的に応じて、適宜選択することができるが、彫刻感度と塗布溶剤に対する溶解性のバランスの観点から、1個〜10個が好ましく、1個〜5個がより好ましく、1個〜2個が更に好ましい。
一方、分子内に含まれるエチレン性不飽和部位の数は2つ以上であれば特に制限は無く、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜4個が更に好ましい。
含硫黄多官能モノマーに含まれるエチレン性不飽和部位としては、例えば、下記一般式(1)〜一般式(5)のいずれかで表される部分構造が好適であるが、重合物の分解性の観点から、好ましくは一般式(1)〜一般式(3)のいずれかで表される部分構造であり、より好ましくは、一般式(1)で表される部分構造である。
なお、本発明における含硫黄多官能モノマーにおいて、下記一般式(1)〜一般式(5)のいずれかの部分構造は、1分子中に同種のものが2つ以上存在していてもよいし、異種のものが2つ以上存在していてもよい。
Figure 2010100048
まず、一般式(1)〜一般式(3)について説明する。
一般式(1)〜一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−N−R−、スルホニル基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R−、スルホニル基、又はフェニレン基を表す。ここで、Rは、水素原子、又は1価の有機基をあらわす。
前記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。
としては、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基など有機基が挙げられ、中でも、具体的には、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。
また、R及びRとしては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
Xとしては、酸素原子、硫黄原子、又は、−N−R−が好ましく、Rとしては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。
〜Rとしては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(1)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Yとしては、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R−が好ましく、Rとしては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(3)において、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。
〜R11としては、具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(1)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Zとしては、酸素原子、硫黄原子、−N−R−、又はフェニレン基が好ましく、Rとしては、一般式(1)におけるものと同様のものが挙げられる。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーには、前記一般式(1)〜一般式(3)のいずれかで表される部分構造の他に、エチレン性不飽和部位間を結ぶ連結基Lを含む。ここで、Lは炭素−硫黄結合を含む2価以上の連結基を表す。熱分解性の観点から、連結基Lは、炭素−硫黄結合以外に、エステル結合を有していることが好ましく、より好ましくは、エステル結合と水酸基とを同時に有する態様である。
連結基Lに含まれる炭素−硫黄結合を有する官能基としては、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、スルファミン酸、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、又はチオ尿素を含む官能基が挙げられる。彫刻感度の観点から、好ましくは、ジスルフィド、チオカルバメート、又はジチオカルバメートを含む官能基であり、より好ましくはジスルフィドを含む官能基である。
また、連結基Lは、炭素−硫黄結合を有する官能基の他に炭化水素基を含むことが好ましく、特に、合計の炭素数が1〜10となることがより好ましい。中でも、連結基Lは、複数の炭素数1〜6の炭化水素基が、エステル等の炭化水素基以外の構造を介して連結されたものを含むことが好ましい。炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基等が好ましい。また、連結基Lを構成する炭化水素基以外の構造としては、エステル結合の他、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、エーテル結合、カルボニル基等が好ましいものとして挙げられるが、エステルが最も好ましい。また、この炭化水素基は、1価の置換基によって適宜置換されていてもよく、置換基としては、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基などが好ましく用いられる。特に、連結基Lを構成する炭化水素基としては、水酸基で置換されている炭化水素基が好ましい。また、連結基Lは、一つのエチレン性不飽和結合当たり1つ〜5つの炭化水素基を含む構造であることが好ましい。
前記一般式(1)〜一般式(3)のいずれかで表される部分構造を有する含硫黄多官能モノマーとして好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、下記具体例中のRは水素原子又はメチル基を示しており、これらは同じでも異なっていてもよい。
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
次に、下記一般式(4)、一般式(5)で表される部分構造について説明する。
Figure 2010100048
上記一般式(4)中、R12は、水素原子、又はメチル基を表す。
13は置換可能な任意の原子又は原子団を表す。
kは0〜4の整数を表す。
一般式(5)中、R14は、水素原子、又はメチル基を表す。
15は置換可能な任意の原子又は原子団を表す。
mは0〜4の整数を表す。
は対アニオンを表す。
また、このようなピリジニウム環は、2つのR15が結合してベンゼン環を形成することで、ベンゼン環縮合したベンゾピリジニウムの形をとってもよい、この場合においては、キノリウム基及びイソキノリウム基を含む。
13及びR15で表される原子又は原子団としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
また、Aで表される対アニオンとしては、F、Cl、Br、I、BF 、PF 、AsF 、SbF 、BAr (Arは、任意の数のフッ素原子又はCFに置換されていてもよいアリール基を表し、4つのArはそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。)、CFSO 、p−CHSO 、CHSO 、CFCOOが挙げられる。
ここで、本発明における含硫黄多官能モノマーには、前記一般式(4)又は一般式(5)で表される部分構造の他に、エチレン性不飽和部位間を結ぶ連結基Lを含む。この連結基Lは、前述の連結基Lと同義であり、好ましい例も同様である。
以下に、一般式(4)、又は一般式(5)で表される部分構造を有する含硫黄多官能モノマーとして好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、具体例中のRは、水素原子又はメチル基を示しており、これらは同じでも異なっていてもよい。
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
本発明における含硫黄多官能モノマーは、硫黄原子含有ジカルボン酸とエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応、硫黄原子含有ジオールとイソシアネート含有(メタ)アクリレートとの反応、ジチオールとイソシアネート含有(メタ)アクリレートとの反応、ジイソチオシアネートとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応、公知のエステル化反応などを用いて合成することができる。また、市販品を用いてもよい。
本発明における含硫黄多官能モノマーの分子量としては、形成される膜の柔軟性の観点から、好ましくは120〜3000であり、より好ましくは120〜1500である。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
彫刻感度の観点からは、含硫黄多官能モノマー単独で用いる、若しくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様が好ましく、より好ましくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様である。
なお、架橋剤として、含硫黄多官能モノマーと、他の重合性化合物をはじめとする他の架橋剤とを併用する場合、全架橋剤中の含硫黄多官能モノマーの量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
(C−2)−SiRを有する架橋剤
本発明に用いることができる架橋剤としては、架橋性基として−SiRを少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、−SiRを分子内に2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R〜Rのうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。
〜Rのうちの少なくとも2つがアルコキシ基又はハロゲン原子であることが好ましく、R〜Rはそれぞれ独立に、アルコキシ基又はハロゲン原子であることが特に好ましい。また、R〜Rのうちの少なくとも2つが、化合物の取り扱いやすさの観点からは、アルコキシ基であることが好ましい。
前記R〜Rにおけるアルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが更に好ましい。
また、前記R〜Rにおけるハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、Cl原子及びBr原子が好ましく挙げられ、Cl原子がより好ましく挙げられる。
これらの中でも、R〜Rの全てがメトキシ基又はエトキシ基であることが好ましい。
−SiRで示される架橋性基を分子内に2以上有する架橋剤も好ましく用いられる。なかでも、−SiRを2個〜6個有する架橋剤が好ましく用いられる。−SiRを2つ以上有する架橋剤における、2つ以上の−SiRを連結する基としては、二価以上の有機基が挙げられ、彫刻感度が高い観点から、ヘテロ原子(N、S、O)を含む二価以上の有機基であることが好ましく、S原子を含む二価以上の有機基であることがより好ましい。
−SiRを少なくとも有する架橋剤としては、メトキシ基又はエトキシ基がSi原子に結合した基を分子内に2個有し、かつ、これらのSi原子が、ヘテロ原子、特に好ましくはS原子を含む、アルキレン基を介して結合している化合物が好適である。
−SiRを有する架橋剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
本発明に用いることができる−SiRを有する架橋剤の具体例としては、下記式で示す化合物が好ましいものとして挙げられるが、本発明はこれらの化合物に制限されるものではない。なお、下記式中、Etはエチル基を表し、Meはメチル基を表す。また、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。また、−Si(Rで示される基において、3つ存在するRのうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
前記各式中、Rは以下の構造から選択される部分構造を表す。分子内に複数のR及びRが存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、合成適性上は、同一であることが好ましい。
Figure 2010100048
また、このような架橋剤の別の例として、以下に示す化合物も好ましく挙げられる。以下に示す化合物におけるRは下記部分構造を表す。
Figure 2010100048

前記架橋剤の別の例として挙げた一連の化合物例を表す各式中、Rは以下に示す部分構造を表し、また、Rは前記したのと同義である。分子内に複数のR及びRが存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、合成適性上は、同一であることが好ましい。
Figure 2010100048
(C−2)−SiRを有する架橋剤としては、適宜合成した化合物を用いても構わないが、市販されているものを用いることがコストの面から好ましい。これらの化合物は、シラン化合物やシランカップリング剤として信越化学工業(株)や東レ・ダウコーニング(株)などから購入可能である。
−SiRを有する化合物を架橋剤として用いる場合、これと反応可能な官能基(例えば、ヒドロキシ基など)を有するバインダーポリマーを用いることが好ましいが、他のバインダーポリマーを用いても構わない。
(C−3)酸無水物残基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、カルボキシル基、及び、エポキシ基よりなる群から選ばれた官能基を複数有する架橋剤
本発明においては、酸無水物残基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、カルボキシル基、及び、エポキシ基よりなる群から選ばれた官能基を複数有する架橋剤を用いることも好ましい。特に、官能基として、酸無水物残基、イソシアネート基を有する架橋剤が好ましい。
本発明に用いられる酸無水物残基を2以上有する架橋剤としては、四塩基酸二無水物が好ましく挙げられる。四塩基酸二無水物の具体例としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四カルボン酸二無水物等が挙げられる。また、カルボン酸無水物構造を3つ有する化合物としては、メリット酸三無水物等が挙げられる。
本発明に用いられるイソシアネート基を2以上有する架橋剤としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
前記(C−3)酸無水物残基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、カルボキシル基、及び、エポキシ基よりなる群から選ばれた官能基を複数有する架橋剤を用いる場合、これらと反応可能な官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基など)を有するバインダーポリマーを用いることが好ましいが、他のバインダーポリマーを用いても構わない。
本発明に係るレリーフ形成層においては、(C)架橋剤を用いることにより、膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
なお、本発明に係るレリーフ形成層中における、(C)架橋剤の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、不揮発性成分に対して、10質量%〜60質量%が好ましく、15質量%〜45質量%の範囲がより好ましい。
<架橋促進剤>
樹脂組成物に架橋剤として前記の「−SiRを有する化合物」などを使用する場合、架橋剤とバインダーポリマーとの反応を促進するため、架橋促進剤(以下、「触媒」ともいう。)を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる架橋促進剤は、架橋剤と特定ポリマーとの反応、及び/又は、特定親水性化合物と特定ポリマーとの反応を促進することが可能な化合物であれば、特に制限はないが、(1)酸性触媒又は塩基性触媒、(2)金属錯体触媒等が好適に用いられる。
なかでも、架橋促進剤としては、(1)酸性触媒又は塩基性触媒が好ましい。また、ヒドロキシ基が反応に関与する場合は、ヒドロキシ基の架橋速度の観点から、塩基性触媒が特に好ましい。
(1)酸性触媒又は塩基性触媒
触媒としては、酸性化合物若しくは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、水若しくは有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒ともいう。)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸性化合物又は塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒又は塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸、ヘテロポリ酸、無機固体酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類酸化物、第四級アンモニウム塩化合物、第四級ホスホニウム塩化合物などが挙げられる。これらの中でも、アミン類が好ましく用いられる。
膜中でのアルコール交換反応を速やかに進行させる観点で、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウム p−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、酢酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンが好ましく、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンが特に好ましい。
(2)金属錯体触媒
本発明で用いることができる金属錯体触媒は、周期律表の2、4、5、13族よりなる群から選ばれた金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、アミノアルコール、並びに、エノール性活性水素化合物よりなる群から選ばれたオキソ又はヒドロキシ酸素化合物とから構成される金属錯体触媒であることが好ましい。
更に、構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2族元素、Ti,Zrなどの4族元素、V,Nb,Taなどの5族元素、及び、Al,Gaなどの13族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr,Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい(オルトチタン酸エチルなど)。
レリーフ形成層の作製に用いる組成物が、架橋剤とともに架橋促進剤を含有する場合、架橋促進剤は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
レリーフ形成層の作製に用いる組成物における架橋促進剤の含有量は、(C)架橋剤100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.05〜10重量部であることがより好ましい。
<(D)光熱変換剤>
本発明にかかるレリーフ形成層は、(D)光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、架橋構造を有するレリーフ形成層に含まれる各成分の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
波長700nm〜1300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合には、本発明におけるレリーフ形成層は、700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる染料としては、特開2008−63554号公報の段落〔0124〕〜〔0137〕に記載の染料を挙げることができる。
本発明における光熱変換剤として好適なものの1つは、彫刻感度が高い点から、シアニン系化合物及びフタロシアニン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物である。更に、これらの光熱変換剤の熱分解温度が、バインダーポリマーとして好適な親水性ポリマーの熱分解温度同等以上という組み合わせ(条件)で使用する場合に更に彫刻感度が高くなる傾向であり好ましい。
また、本発明において用いられる光熱変換剤のうち、染料としては、波長700nm〜1300nmに吸収極大を有する染料が好ましい。
本発明で好ましく用いうる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等のうち、700nm〜1300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられる。置換基の種類及び分子内での位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境などにより、光吸収特性が極めて大きく変化する。
また、一般に市販されているレーザー色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。例えば、レーザー色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)の商標「ADS740PP」、「ADS745HT」、「ADS760MP」、「ADS740WS」、「ADS765WS」、「ADS745HO」、「ADS790NH」、「ADS800NH」、株式会社林原生物化学研究所社製の商標「NK−3555」、「NK−3509」、「NK−3519」を挙げることができる。また、近赤外線吸収色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)商標「ADS775MI」、「ADS775MP」、「ADS775HI」、「ADS775PI」、「ADS775PP」、「ADS780MT」、「ADS780BP」、「ADS793EI」、「ADS798MI」、「ADS798MP」、「ADS800AT」、「ADS805PI」、「ADS805PP」、「ADS805PA」、「ADS805PF」、「ADS812MI」、「ADS815EI」、「ADS818HI」、「ADS818HT」、「ADS822MT」、「ADS830AT」、「ADS838MT」、「ADS840MT」、「ADS845BI」、「ADS905AM」、「ADS956BI」、「ADS1040T」、「ADS1040P」、「ADS1045P」、「ADS1050P」、「ADS1060A」、「ADS1065A」、「ADS1065P」、「ADS1100T」、「ADS1120F」、「ADS1120P」、「ADS780WS」、「ADS785WS」、「ADS790WS」、「ADS805WS」、「ADS820WS」、「ADS830WS」、「ADS850WS」、「ADS780HO」、「ADS810CO」、「ADS820HO」、「ADS821NH」、「ADS840NH」、「ADS880MC」、「ADS890MC」、「ADS920MC」、山本化成株式会社製、商標「YKR−2200」、「YKR−2081」、「YKR−2900」、「YKR−2100」、「YKR−3071」、有本化学工業株式会社製、商標「SDO−1000B」、株式会社林原生物化学研究所社製、商標「NK−3508」、「NKX−114」を挙げることができる。ただし、これらのみに限定されるものではない。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
本発明においては、比較的低い比表面積及び比較的低いDBP吸収を有するカーボンブラックや比表面積の大きい微細化されたカーボンブラックまでを使用することも可能である。好適なカーボンブラックの例は、Printex(登録商標)U、Printex(登録商標)A、又はSpezialschwarz(登録商標)4(Degussaより)を含む。
本発明に適用しうるカーボンブラックとしては、光熱変換により発生した熱を周囲のポリマー等に効率よく伝えることで彫刻感度が向上するという観点で、比表面積が少なくとも150m/g及びDBP数が少なくとも150ml/100gである、伝導性カーボンブラックが好ましい。
この比表面積は好ましくは、少なくとも250、特に好ましくは少なくとも500m/gである。DBP数は好ましくは少なくとも200、特に好ましくは少なくとも250ml/100gである。上述したカーボンブラックは酸性の又は塩基性のカーボンブラックであってよい。カーボンブラックは、好ましくは塩基性のカーボンブラックである。異なるバインダーの混合物も当然に、使用され得る。
約1500m/gにまで及ぶ比表面積及び約550ml/100gにまで及ぶDBP数を有する適当な伝導性カーボンブラックが、例えば、Ketjennlack(登録商標)EC300J、Ketjennlack(登録商標)EC600J(Akzoより)、Prinrex(登録商標)XE(Degussaより)又はBlack Pearls(登録商標)2000(Cabotより)、ケッチェンブラック(ライオン(株)製)の名称で、商業的に入手可能である。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層中の光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、レリーフ形成層の固形分全質量の0.01質量%〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲である。
<(E)重合開始剤>
本発明に係るレリーフ形成層は、(E)重合開始剤を含有することが好ましい。
特に、(C)架橋剤として(C−1)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が用いられる場合に好ましく利用される。
重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, “Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications”:Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に多く記載されている。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的若しくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
以下、光及び/又は熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物と重合反応を開始、促進させる化合物であるラジカル重合開始剤であって、好ましい重合開始剤の具体例について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において用いうる好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。
以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。なお、ここで重合開始剤として用いられる(c)有機過酸化物は、前述の(A)過酸化物に包含される化合物であってもよいが、架橋構造形成効率の観点からは、分解温度のより低い化合物を選択して用いることが好ましく、この点については、以下に詳述する。
通常、レリーフのエッジ形状を良化させるべく硬度を上げると彫刻感度が下がるが、前述した、重合性化合物の好ましい態様として挙げられた含硫黄多官能モノマーと上記のような好ましい重合開始剤とを用いることで、彫刻感度を下げることなくエッジ形状を良化させることができる。これはおそらく、重合開始剤中の酸素原子や窒素原子が含硫黄多官能モノマーの硫黄原子との相互作用を形成し、両成分が近接して存在することで重合度が上がり硬度が上がるため、エッジ形状が良化すると共に、また、含硫黄多官能モノマーの低温熱分解特性により、重合度が上がることによる感度の低下を抑制しているものと予想される。
前記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落〔0074〕〜〔0118〕に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては先に挙げた有機過酸化物が挙げられる。
本発明に係るレリーフ形成層は、層中に架橋構造を有することを必要とするために、レリーフ形成層用の樹脂組成物を塗布、乾燥後に形成された膜を光または熱により架橋させる工程を経て形成される。このため、この露光或いは加熱により効率よく架橋構造を形成しうるといった観点からは、10時間半減期温度が比較的低い化合物、より具体的には、熱により架橋構造を形成する場合、10時間半減期温度が加熱温度以下であり、10時間半減期温度が、熱架橋温度+5℃未満である化合物を選択することが好ましい。
そのような観点からは、開始剤として用いられる有機過酸化物としては、3,3’4,4’−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(tert−オクチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
ここで、架橋構造を有するレリーフ形成層中に含有される過酸化物と重合開始剤として用いられる有機過酸化物との関連について述べれば、重合開始剤として用いられる有機過酸化物は、架橋構造の形成時において当該化合物が殆ど消尽されるために、重合開始剤として10時間半減期温度が比較的低い有機過酸化物を用い、架橋構造を有する層内に残存させる(A)過酸化物として10時間半減期温度が100℃以上であるような、比較的高いものを選択して組み合わせる態様をとればよい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明における重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
重合開始剤は、レリーフ形成層用の樹脂組成物の全固形分に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
<その他添加剤>
本発明に係るレリーフ形成層用の樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、該樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)好ましく用いられる。
本発明に用いられるレリーフ形成層用の樹脂組成物は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質、を加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
<金属化合物>
本発明に係るレリーフ形成層用の樹脂組成物は、彫刻感度向上のための添加剤として周期表第1族〜第15族からなる群より選択される金属を含む金属化合物を含有していてもよい。
ここで、本発明における「金属」とは、元素周期律表において金属に分類されるものを指す。具体的には、D.F.Shriver,P.W.Atkins,Inorganic Chemistry 3rd Ed.,OXFORD University Press,1999,P.283-に記載の周期律表において金属に分類されているも
のであり、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、バナジウム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属、およびアルミニウム、ガリウム、スズ、鉛、ビスマスなどの典型金属などが挙げられる。
本発明における金属化合物は、周期表第1族〜第15族からなる群より選択される金属を含む化合物であれば、如何なるものをも用いることができるが、金属の単体や合金などは含まれない。金属化合物としては、具体的には、金属塩、金属錯体が好ましく用いられる。
以下、本発明に好適に用いられる金属化合物について、具体的に説明する。
本発明における金属化合物は、彫刻感度の観点から、周期表第1族、第2族、第4族、第12族、第13族、第14族、及び第15族からなる群より選択される少なくとも1つの金属を含むことが好ましい。
特に、彫刻感度と彫刻カスのリンス性の観点から、Na、K、Ca、Mg、Ti、Zr、Al、Zn、Sn、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む金属化合物であることが好ましい。
また、本発明における金属化合物のアニオン部には特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、熱安定性の観点から、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、炭酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシド、水酸化物、及び置換基を有していて良いアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
特に、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、及び置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種である金属化合物が好ましい。
より具体的には、本発明における金属化合物は、周期表第1族、第2族、第4族、第12族、第13族、第14族、及び第15族からなる群より選択される少なくとも1つの金属原子を含み、該金属の、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、炭酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩,アルコキシド、水酸化物、又は置換基を有していて良いアセチルアセトナート錯体であることが好ましい。
特に、Na、K、Ca、Mg、Ti、Zr、Al、Zn、Sn、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属の、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、炭酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシド、水酸化物、又は置換基を有していて良いアセチルアセトナート錯体である金属化合物が好ましい。
一方、周期表第1族、第2族、第4族、第12族、第13族、第14族、及び第15族からなる群より選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属の、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体である金属化合物も好ましい。
これらの中でも、Na、K、Ca、Mg、Ti、Zr、Al、Zn、Sn、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属の、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体である金属化合物が特に好ましい。
次に、本発明における金属化合物について、金属とアニオン部との好ましい組み合わせの例を以下に示す。
Na:アルコキシド、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート基
K:アルコキシド、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート基
Ca:酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Mg:酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Ti:アルコキシド、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Zr:アルコキシド、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Al:塩化物、アルコキシド、水酸化物、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Zn:酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Sn:ハロゲン化物、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
Bi:ハロゲン化物、カルボン酸塩、又は置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体
本発明における金属化合物としてより具体的には、例えば、ナトリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、(2,4−ペンタンジオナト)ナトリウム、カリウムブトキシド、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、(2,4−ペンタンジオナト)カリウム、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、酸化カルシウム、硫化カルシウム、酢酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルシウムエトキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)カルシウム,フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫化マグネシウム、酢酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、マグネシウムエトキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)マグネシウム,チタンエトキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)チタンオキシド,ジルコニウムエトキシド、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム,塩化バナジウム、酸化マンガン、ビス(2,4−ペンタンジオナト)マンガン,塩化鉄、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄,臭化鉄、塩化ルテニウム、塩化コバルト、塩化ロジウム、塩化イリジウム、塩化ニッケル、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル,塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウム,塩化白金、塩化銅、酸化銅、硫酸銅、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅,塩化銀、アルミニウムイソプロポキシド、ビス(酢酸)ヒドロキシアルミニウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ステアリン酸ジヒドロキシアルミニウム、ビスステアリン酸ヒドロキシアルミニウム、トリスステアリン酸アルミニウムトリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛、2−エチルへキサン酸亜鉛、塩化スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、ビス(2,4−ペンタンジオナト)スズジクロリド,塩化鉛、2−エチルヘキサン酸ビスマス、硝酸ビスマスなどが挙げられる。
本発明に係るレリーフ形成層用の樹脂組成物における金属化合物の含有量は、彫刻感度と皮膜製の両立の観点から、好ましくは(B)バインダーポリマーに対して0.01質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜40質量%であり、特に好ましくは0.1質量%〜20質量%である。
また、共増感剤を用いることで、該樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。
更に、組成物の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。
レリーフ形成層の着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
更に、形成される架橋構造を有するレリーフ形成層の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
[レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、上記レリーフ形成層用の樹脂組成物をからなる層に露光または加熱により架橋構造が形成されてなるレリーフ形成層を有する。レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、光又は熱により形成された架橋構造を有するレリーフ形成層を、好ましくは、支持体上に設けられたものをいう。該印刷版原版をレーザー彫刻することにより「レリーフ印刷版」が作製される。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、必要により更に、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版が備えるレリーフ形成層は、重合性化合物や重合開始剤などの硬化性成分を含むレリーフ形成層用の樹脂組成物からなる層を光及び熱の少なくとも一方により硬化させ、架橋構造を有する層であって、(A)過酸化物を含有する層である。
本発明のレリーフ印刷版原版によるレリーフ印刷版の作製態様としては、架橋構造を有するレリーフ形成層をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成することでレリーフ印刷版を作製する態様であることが好ましい。
本発明におけるレリーフ形成層は架橋構造を有するため、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
なお、レリーフ形成層中に架橋構造が形成されていることは、塗布溶媒に不溶となることにより確認することができる。
なお、レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の樹脂組成物を用い、これをシート状或いはスリーブ状に成形し、その後、光または熱により架橋構造を形成することで得ることができる。
レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接、形成したり、そこに配置して固定化したりすることもできる。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に所望により用いられる支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。スリーブ状とした場合の好ましい支持体については以下に詳述する。
<接着層>
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、レリーフ形成層が架橋された後において接着力を強固にするものであればよく、レリーフ形成層が架橋される前も接着力が強固であることが好ましい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
支持体/接着層間の接着力は、支持体/接着層/レリーフ形成層からなる積層体から接着層及びレリーフ形成層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。これらは、膜の乾燥工程の後に設けられる。
保護フィルムは、薄すぎると傷・凹み防止の効果が得られず、厚すぎると取り扱いが不便になり、コスト高にもなる。よって、保護フィルムの厚さは25μm〜500μmが好ましく、50μm〜200μmがより好ましい。
保護フィルムは、印刷版の保護フィルムとして公知の材質、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はプレーンでもよいし、マット化されていてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60モル%〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
レリーフ形成層(及びスリップコート層)/保護フィルムから保護フィルムを200mm/分の速度で剥離する時、1cm当たりの剥離力が5〜200mN/cmであることが好ましく、10〜150mN/cmが更に好ましい。5mN/cm以上であれば、作業中に保護フィルムが剥離することなく作業でき、200mN/cm以下であれば無理なく保護フィルムを剥離することができる。
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法−
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、(1)過酸化物、バインダーポリマー、及び、架橋剤を含有する樹脂組成物からなる膜を形成する工程と、(2)樹脂組成物からなる膜を加熱して乾燥する工程と、(3)乾燥した樹脂組成物からなる膜に、露光及び加熱の少なくとも一方により架橋構造を形成する工程と、を含む製造方法により形成されることが好ましい。
<(1)過酸化物、バインダーポリマー、及び、架橋剤を含有する樹脂組成物からなる膜を形成する工程:工程(1)>
この工程(1)としては、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レリーフ形成層用の樹脂組成物)を調製し、この樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しして製膜する方法が挙げられる。或いはレリーフ形成層用の樹脂組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層用の樹脂組成物は、過酸化物、バインダーポリマー、及び、任意成分として、光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解・分散させ、次いで、架橋剤を溶解させることによって調製できる。
<(2)樹脂組成物からなる膜を乾燥する工程:工程(2)>
その後、樹脂組成物からなる膜を乾燥する。溶媒成分のほとんどは、レリーフ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等を用い、かつ溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。乾燥工程では、乾燥を促進するため、加熱を行うことができる。系を高温にすることで、溶媒の添加量を抑制することができるが、温度が高すぎると重合性化合物が重合反応し易くなるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤の添加後の樹脂組成物の調製温度は30℃〜80℃が好ましい。
<(3)乾燥した樹脂組成物からなる膜に、露光及び加熱の少なくとも一方により架橋構造を形成する工程:工程(3)>
本発明において、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版といった場合、前述のように、レリーフ形成層が架橋された状態までを指す。レリーフ形成層用の樹脂組成物からなる膜を架橋させて、レリーフ形成層とする場合には、乾燥した樹脂組成物からなる膜を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程を行うことが好ましい。
本発明における「架橋構造」の形成とは、バインダーポリマー同士を連結する架橋反応を含む概念であり、また、架橋剤同士の反応やバインダーポリマーと架橋剤との反応によるレリーフ形成層用の樹脂組成物中の各成分の硬化反応をも含む概念である。
上記のように、工程(3)では、未架橋の樹脂組成物からなる膜(レリーフ形成層前駆体層)の架橋は、活性光線の照射、及び/又は、熱により行われる。
工程(3)において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
工程(3)は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、光及び熱の少なくとも一方により架橋する工程である。
レリーフ形成層は、過酸化物、バインダーポリマーに加えて、架橋剤を含有し、さらに任意成分として光熱変換剤、重合開始剤などを含むものであり、工程(3)は架橋剤によって架橋構造が形成される工程である。
重合開始剤は、架橋剤としてエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が用いられる場合に好ましく用いられる。重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
レリーフ形成層用の樹脂組成物が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる活性光線をレリーフ形成層に照射することで、レリーフ形成層を架橋することができる(光により架橋する工程)。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光或いは電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムならば、更に裏面からも活性光線を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
レリーフ形成層用の樹脂組成物が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなりうる)、レリーフ形成層前駆体層を有する印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
工程(3)が、光により架橋する工程である場合は、活性光線を照射する装置が比較的高価であるものの、印刷版原版が高温になることがないので、印刷版原版の原材料の制約がほとんどない。
工程(3)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある、樹脂組成物中に含まれる過酸化物が熱により分解して、感度向上効果が低下する可能性がある等の問題が生じる懸念があり、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、分解温度の比較的低い過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
工程(3)におけるレリーフ形成層内の架橋構造形成方法としは、レリーフ形成層用の樹脂組成物からなる膜を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層が架橋構造を有することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。このように架橋構造を有するレリーフ形成層を採用することで、架橋構造を有しないレリーフ形成層において懸念される、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない、或いは、低分子量成分が液状となり、粘着性が強くなることで、彫刻する際に発生する彫刻カスの粘着性が強くなる、といった好ましくない現象の発生を抑制することができる。
次に、レリーフ形成層をスリーブ状に形成する場合について説明する。スリーブ状に成形する場合においても、公知の樹脂組成物の成形方法を適用することができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機などの機械で樹脂をノゾルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法などを例示できる。その際、レリーフ形成層を構成する樹脂組成物の特性を損なわない程度の温度で加熱しながら、成形してもよい。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施すこともできる。レリーフ形成層をスリーブ状に形成する場合も、樹脂組成物からなる膜を形成後、前記工程(3)を行って架橋構造を形成することは、シート状のレリーフ形成層を形成する場合と同様である。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合、当初からレリーフ形成層自体を円筒状に成形してもよく、また、まずシート状に成型したのち、円筒状支持体や版胴上に固定することで円筒状とすることもできる。円筒状支持体への固定方法には特に制限はなく、例えば、両面に接着層、粘着層などが形成された粘着テープによる固定、或いは、接着剤層を介する固定などを行うことができる。
粘着テープとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムなどのフィルム基材の両面に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーなどからなる接着剤層、粘着剤層を形成したテープ、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂の発泡体を基材とし、その両面に前記と同様の接着剤層、粘着剤層を形成したクッション性を有する粘着テープが挙げられ、市販の両面テープや両面粘着剤層を有するクッションテープなども適宜使用することができる。
また、支持体とレリーフ形成層とを接着剤層を介して固定化する場合の接着剤層は、公知の接着剤を用いて形成することができる。レリーフ形成層を円筒形支持体等に固定化する際に使用しうる接着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、二トリルゴムなどのゴム系接着剤、シリル基を含有するポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの空気中の湿気による硬化する接着剤等を挙げることができる。
レリーフ形成層を円筒状に成型する場合、公知の方法にて、円筒状に成形し、これを円筒形支持体やシリンダー状の版胴上に固定化してもよく、円筒状支持体等の表面に直接レリーフ形成層を押し出し成形などで、成型し、スリーブ状としてもよい。生産性の観点からは、前者の方法をとることが好ましい。レリーフ形成層をスリーブ状とする場合でも、円筒状支持体等に固定化した後、必要に応じて架橋、硬化させることができ、さらに、所望により圧延処理、研削処理などを施すこともできる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合に用いる円筒状支持体としては、ニッケル、ステンレス、鉄、アルミなどの金属からなる金属スリーブ、樹脂で成形されたプラスチックスリーブ、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを強化繊維とする繊維強化プラスチックからなるFRPスリーブ、高分子フィルムにより成形され、圧縮空気により形状が維持されるスリーブなどを用いることができる。
円筒状支持体の厚みは目的に応じて任意に選択されるが、一般的には、印刷時の圧力で破損しない強度であれば、厚み0.1mm以上であればよく、金属スリーブや硬質のプラスチックスリーブなどでは、5mm以上のものも使用でき、回転軸に固定化された中空ではない円筒形支持体も用いることができる。
伸縮性を有するレリーフ形成層を効果的に固定化するという観点からは、6バール程度の圧縮空気圧で円筒状支持体の内径が膨張でき、当該圧縮空気圧が開放された後に元の内径に戻るような特性を有する支持体が好ましい。このように圧縮空気などによりその径を容易に調整しうる構造を有する支持体を用いることで、スリーブ状のレリーフ形成層に内部から応力を与えることができ、レリーフ形成層の巻き締まり特性が機能し、印刷時の応力に対しても、レリーフ層を安定に円筒形支持体や版胴上に固定することができるため、好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
また、レリーフ印刷版が有するレリーフ形成層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。
レリーフ形成層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
なお、形成されたレリーフ形成層中に架橋構造を有することは前述した方法により確認することができる。また、架橋構造を有するレリーフ形成層中に含まれる(A)過酸化物の量は、後述する実施例に記載の方法で確認することができる。
[レリーフ印刷版及びその製造]
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、前記工程(1)から工程(3)を経て製造された本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版における(4)架橋構造を有するレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程を含むことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、好ましくは支持体上に、レリーフ層を備えてなる本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
<工程(4)>
本発明のレリーフ印刷版の製造方法において、前記した工程(3)の後、得られた本発明のレリーフ印刷版原版における(4)架橋構造を有するレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程を行うことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、レリーフ層を備えた本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法では、工程(4)に次いで、更に、必要に応じて下記工程(5)〜工程(7)を含んでもよい。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(6): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(7): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程(後架橋工程)。
工程(3)は、前記工程(1)から工程(3)を経て得られた架橋構造を有し、過酸化物を含むレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。
具体的には、架橋構造を有するレリーフ形成層に対して、形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。
この工程(4)には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断或いはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く或いはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
なかでも、レリーフ形成層が含む光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度でレリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。このような工程(4)に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザーが好ましく用いられる。
彫刻表面に彫刻カスが付着している場合は、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流す工程(5)を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式或いは搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスする工程(5)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(6)を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる工程(7)を追加してもよい。追加の架橋工程(7)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、支持体上にレリーフ層を有する、本発明のレリーフ印刷版が得られる。
追加の架橋工程(7)を実施した後のレリーフ層のショアA硬度もまた、50°以上90°以下であることが好ましい。
本発明の方法で製造されたレリーフ印刷版は、凸版用印刷機による油性インキやUVインキでの印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(レリーフ形成層用の樹脂組成物の調製)
撹拌羽および冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)バインダーポリマーとしてデンカブチラール#3000−2(ポリビニルブチラール、電気化学工業製)40g、(D)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)を0.75g、可塑剤としてジエチレングリコール20g、溶媒としてエタノール47gを入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱しポリマーを溶解させた。さらに(C)エチレン性不飽和化合物としてブレンマーPDE−200(日油(株)製)、ブレンマーPME−200(日油(株)製)、メタクリル酸(和光純薬製)をそれぞれ15g、13g、5g、(E)重合開始剤としてパーブチルZ(日油(株)製)を1.6g、(A)過酸化物としてパーヘキシン25B(日油(株)製)を5.0g、及び、金属化合物として塩化亜鉛を5.0g添加して30分間撹拌し、流動性のあるレリーフ形成層用のレーザー彫刻用樹脂組成物の溶液を得た。
(架橋構造を有するレリーフ形成層の形成)
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、前記のようにして得られた樹脂組成物の溶液をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、およそ厚さ1mmのレリーフ形成層前駆体層を設けた。
次いで、レリーフ形成層前駆体層が形成された支持体を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、架橋構造を形成し、実施例1のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を得た。
レリーフ印刷版原版が有するレリーフ形成層の厚さ及びショアA硬度を測定した。その結果を表1に示す。なお、レリーフ形成層のショア硬度Aは、前述の測定方法により測定した。また、後述する各実施例及び比較例においても同様に、ショア硬度Aの測定を行った。
(レリーフ印刷版の作製)
画像形成には、最大出力16Wの半導体レーザー(レーザー発振波長840nm)を装備した“FD−100”((株)東成エレクトロビーム製)を近赤外レーザー彫刻機として用いた。彫刻条件は、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻しレリーフ印刷版を作製した。
彫刻するレリーフ印刷版原版としては、同様に作製した印刷版原版同で、レリーフ形成層における熱架橋後の経過時間が室温で一日未満のもの(下記表中に、「一日」と表記)と、室温で六ヶ月経過させたもの(下記表中に「六月」と表記)を用いた。
(レリーフ印刷版原版の評価)
1.彫刻深さ
上記のようにレーザー彫刻して形成されたレリーフ層の彫刻深さを、ベタ彫刻部分の断面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察し、画像形成層表面と彫刻された部分の高さの差を読みとることで測定した。結果を下記表に示す。
2.(A)過酸化物の定量
得られたレリーフ印刷版原版における架橋構造を有するレリーフ形成層を0.5g量り取り、ガラス瓶に入れて、N−メチル−2−ピロリドンに浸漬させた。また、標準物質としてナフタレンを0.03g量り取り、ガラス瓶に入れて、N−メチル−2−ピロリドンに浸漬させた。これらを室温で1時間浸漬させた後、超音波洗浄器に2分間入れるサイクルを3回繰り返した。得られた溶液を0.01μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、HPLC(検出器RI)により標準物質であるナフタレンとの量を比較することでレリーフ形成層に含まれる(A)過酸化物を定量した。結果を下記表に示す。
<実施例2〜7>
上記実施例1において、(B)バインダーポリマーであるデンカブチラール#3000−2を、実施例2:ゴーセナールT−215(日本合成化学工業(株)製、PVA誘導体)、実施例3:ポリ酢酸ビニル(Alfa Aesar製)、実施例4:アミランCM4000(ポリアミド、東レ製)、実施例5:レザミンME8105LP(ポリウレタン、大日精化製)、実施例6:TR2000(スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー、JSR製)、実施例7:ポリ(メタクリル酸メチル)(メタクリル酸メチルのフリーラジカル重合により合成)に変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<比較例1〜7>
上記実施例1〜7において、それぞれパーヘキシン25Bを添加せずにレーザー彫刻用樹脂組成物を調整した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例8>
上記実施例1において、分解性の良好なポリ乳酸であるランディーPL−2000(ミヨシ油脂(株)製)を10g添加した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例9〜13>
上記実施例1において、パーヘキシン25Bを、実施例9:パーヘキシルD(日油(株)製)、実施例10:パーヘキサ25B(日油(株)製)、実施例11:パークミルD(日油(株)製)、実施例12:パークミルH(日油(株)製)、実施例13:パーブチルH−69(日油(株)製)にそれぞれ変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
Figure 2010100048
表1より明らかなように、本発明の印刷版原版は、用いるバインダーポリマーや過酸化物の種類、或いは、添加剤(ポリ乳酸)の有無にも拘わらず、過酸化剤を含有しない比較例に比べて、優れた彫刻感度を示し、経時後の感度低下も抑制されることがわかる。
<実施例14〜16>
上記実施例1において(A)過酸化物であるパーヘキシン25Bの量を、実施例14:1.0g、実施例15:3.0g、実施例16:10gにそれぞれ変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例17〜18>
上記実施例1において、塩化亜鉛を、実施例17:硝酸亜鉛六水和物(関東化学製)、実施例18:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(東京化成工業製)にそれぞれ変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<比較例8、9>
上記実施例17、18において、それぞれパーヘキシン25Bを添加せずにレーザー彫刻用樹脂組成物を調整した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例19〜20>
上記実施例11において、塩化亜鉛を、実施例19:硝酸亜鉛六水和物(関東化学製)、実施例20:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(東京化成工業製)にそれぞれ変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例21>
上記実施例1において用いた(C)重合性化合物であるブレンマーPDE200を、下記構造を示す含硫黄多官能重合性化合物であるモノマーM−1に変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
Figure 2010100048
<実施例22>
上記実施例11において用いた(C)重合性化合物であるブレンマーPDE200を上記モノマーM−1に変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例23>
上記実施例1において、(D)光熱変換剤であるカーボンブラックをADS820HO(シアニン化合物、アメリカン・ダイ・ソース社製)に変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例24>
上記実施例1において、(D)光熱変換剤であるカーボンブラックをD99−009(フタロシアニン系化合物、山本化成製)に変更した以外は全て同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
<実施例25>
上記実施例1において、(E)重合開始剤であるパーブチルZをV−30(アゾ系開始剤、和光純薬製)に変更した以外は全てに同様に実施してレリーフ印刷版原版を得て、同様の評価を行った。
Figure 2010100048
表2より、本発明の印刷版原版は、用いる重合性化合物、光熱変換剤、過酸化物の種類、量、或いは、添加剤の種類にも拘わらず、過酸化剤を含有しない比較例に比べて、優れた彫刻感度を示し、経時後の感度低下も抑制されることがわかる。なお、実施例1及び実施例11と、実施例21及び実施例22との対比により、重合性化合物として、含硫黄多官能重合性化合物を用いた場合、さらなる感度向上が見られることが確認された。
<実施例26>
(レリーフ形成層用の樹脂組成物の調製)
撹拌羽および冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)バインダーポリマーとしてデンカブチラール#3000−2(ポリビニルブチラール、電気化学工業製)40g、(D)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)を0.75g、可塑剤としてジエチレングリコール20g、溶媒としてエタノール47gを入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱しポリマーを溶解させた。さらに(C)エチレン性不飽和化合物としてブレンマーPDE−200(日油(株)製)、ブレンマーPME−200(日油(株)製)、メタクリル酸(和光純薬製)をそれぞれ15g、13g、5g、(E)重合開始剤としてIRGACURE184(チバスペシャルティケミカルズ製)を1.6g、(A)過酸化物としてパーヘキシン25B(日油(株)製)を5.0g添加して30分間撹拌し、流動性のあるレリーフ形成層用のレーザー彫刻用樹脂組成物の溶液を得た。
(レリーフ形成層の作製)
支持体であるPET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、レーザー彫刻用樹脂組成物の溶液をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、およそ厚さ1mmのレリーフ形成層前駆体層を設けた。
次いで、得られたレリーフ形成層前駆体層を有する支持体において、レリーフ形成層前駆体層に対して、UVA光を15分間全面照射し、光架橋により、レリーフ形成層中に架橋構造を形成して、実施例26のレリーフ印刷版原版を得た。
(レリーフ層の形成)
該レリーフ印刷版原版の画像形成には、最大出力16Wの半導体レーザー(レーザー発振波長840nm)を装備した“FD−100”((株)東成エレクトロビーム製)を近赤外レーザー彫刻機として用いた。彫刻条件は、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻しレリーフ印刷版を作製した。
彫刻深さの測定、及び、過酸化物の定量を実施例1におけるのと同様にして実施した。結果を下記表3に示す。
<実施例27〜32>
上記実施例26において、(B)バインダーポリマーをデンカブチラール#3000−2を、実施例27:ゴーセナールT−215(日本合成化学工業(株)製、PVA誘導体)、実施例28:ポリ酢酸ビニル(Alfa Aesar製)、実施例29:アミランCM4000(ポリアミド、東レ製)、実施例30:レザミンME8105LP(ポリウレタン、大日精化製)、実施例31:TR2000(スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー、JSR製)、実施例32:ポリ(メタクリル酸メチル)(メタクリル酸メチルのフリーラジカル重合により合成)に変更した以外は全て同様にして、レリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。
<比較例10〜16>
上記実施例26〜32において、それぞれ(A)過酸化物であるパーヘキシン25Bを添加せずにレーザー彫刻用樹脂組成物を調整した以外は全て同様にして、レリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。
<実施例33>
上記実施例27において、ポリ乳酸:ランディーPL−2000(ミヨシ油脂(株)製)を10g添加した以外は全て同様にして、レリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。
<実施例34〜42>
上記実施例26において、(A)過酸化物であるパーヘキシン25Bを、実施例34:パーヘキシルD(日油(株)製)、実施例35:パーヘキサ25B(日油(株)製)、実施例36:パークミルD(日油(株)製)、実施例37:パークミルH(日油(株)製)、実施例38:パーブチルH−69(日油(株)製)、実施例39:パーブチルL(日油(株)製)、実施例40:パーヘキシルI(日油(株)製)、実施例41:パーヘキサHC(日油(株)製)、実施例42:ナイパーBW(日油(株)製)にそれぞれ変更した以外は全て同様にして、レリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。
Figure 2010100048
表3に明らかなように、本発明のレリーフ印刷版原版は、レリーフ形成層中に架橋構造を形成するに際して、露光を用いた場合も、加熱により架橋構造を形成した場合と同様に、優れた彫刻感度を示し、経時後の感度低下も抑制されることがわかる。
<実施例43〜84、比較例17〜32>
前記実施例1〜42および比較例1〜16において、彫刻用のレーザーを半導体レーザーから炭酸ガスレーザーに変更し、実施例43〜84および比較例17〜32とした。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、最大出力30Wの炭酸ガスレーザーを装備した“CO2レーザーマーカーML−Z9500”((株)キーエンス製)を用いた。彫刻条件は、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻しレリーフ印刷版を作製した。評価結果を表4〜表6に示す。
Figure 2010100048
Figure 2010100048
Figure 2010100048
前記表4〜表6より、本発明の印刷版原版は、炭酸ガスレーザにより画像形成を行った場合も、半導体レーザーにより画像形成した場合と同様に、優れた彫刻感度を示し、経時後の感度低下も抑制されることがわかる。また、用いる過酸化物の量、重合性化合物の種類、架橋構造の形成方法による感度変化の傾向も、半導体レーザにおけるのと同様であった。
<実施例85〜91>
1.レリーフ形成層用の樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)バインダーポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業製、ポリビニルブチラール Mw=9万)50g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47gを入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。
その後、溶液を40℃にし、(D)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1g添加して30分間撹拌した。その後、さらに下記構造の(C)架橋剤(下記表7に記載の化合物)33g、および架橋促進剤(触媒)として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン0.8g、(A)過酸化物としてパーヘキシン25B(日油(株)製)を5.0g、金属化合物として2−エチルヘキサン酸亜鉛を5.0g添加し、40℃で10分間攪拌した。この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液(レリーフ形成層用の樹脂組成物)を得た。
得られた各レリーフ形成層用の樹脂組成物を用いて、支持体であるPET基板上実施例1と同様にしてレリーフ形成層前駆体層を設け、次いで、レリーフ形成層前駆体層が形成された支持体を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、架橋構造を形成して、実施例85〜91のレリーフ印刷版原版を得た。
該レリーフ印刷版原版を、実施例1と同様にして近赤外レーザー彫刻機を用いて彫刻し、レリーフ印刷版を作製した。
彫刻深さの測定、及び、過酸化物の定量を実施例1におけるのと同様にして実施した。結果を下記表7に示す。
<実施例92〜98>
前記実施例85〜91で用いたレリーフ形成層用の樹脂組成物において(A)過酸化物であるパーヘキシン25Bに代えて、パークミルDを等量用いた他は同様にして実施例92〜98のレリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。結果を下記表7に示す。
<比較例33〜39>
前記実施例85〜91で用いたレリーフ形成層用の樹脂組成物において(A)過酸化物であるパーヘキシン25Bを加えなかった他は、同様にして比較例33〜39のレリーフ印刷版原版を得て、同様に評価した。結果を下記表7に示す。
Figure 2010100048
なお、実施例85〜98及び比較例33〜39で用いた(C)架橋剤(S−1)〜(S−7)の構造は以下に示すとおりである。
Figure 2010100048
Figure 2010100048
<実施例99〜112、比較例40〜46>
前記実施例85〜98および比較例33〜39において、彫刻用のレーザーを半導体レーザーから炭酸ガスレーザーに変更し、実施例99〜112および比較例40〜46とした。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、最大出力30Wの炭酸ガスレーザーを装備した“CO2レーザーマーカーML−Z9500”((株)キーエンス製)を用いた。彫刻条件は、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻しレリーフ印刷版を作製した。評価結果を表8に示す。
Figure 2010100048
表7〜表8の結果より、本発明のレリーフ印刷版原版は、架橋剤の種類を変え、さらに、金属化合物を併用した場合であっても、炭酸ガスレーザーにより画像形成を行った場合も、半導体レーザーにより画像形成した場合も同様に、レリーフ形成層用の樹脂組成物に(A)過酸化物を含有しない比較例に対し、優れた彫刻感度を示し、経時後の感度低下も抑制されることがわかる。

Claims (14)

  1. 過酸化物及びバインダーポリマーを含有し、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  2. 前記過酸化物の含有量が前記架橋構造を有するレリーフ形成層の全質量に対して0.01〜20質量%である請求項1に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  3. 前記過酸化物が、少なくとも1つの有機過酸化物を含む請求項1または請求項2に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  4. 前記過酸化物が、ケトンペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及び、ペルオキシジカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  5. 前記過酸化物の10時間半減期温度が100℃以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  6. 前記レリーフ形成層が有する架橋構造が、露光及び加熱の少なくとも一方により形成されたものである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  7. 前記レリーフ形成層が有する架橋構造が、加熱により形成されたものである請求項6に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  8. 前記過酸化物の10時間半減期温度が、前記レリーフ形成層が有する架橋構造を形成するための加熱温度に対して5℃以上高い温度である請求項7に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  9. 前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚みが0.05mm〜10mmの範囲にある請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版原版。
  10. 前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層のショアA硬度が50〜90°である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版原版。
  11. (1)過酸化物、バインダーポリマー、及び、架橋剤を含有する樹脂組成物からなる膜を形成する工程と、
    (2)樹脂組成物からなる膜を乾燥する工程と、
    (3)乾燥した樹脂組成物からなる膜に、露光及び加熱の少なくとも一方により架橋構造を形成する工程と、
    を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版原版の製造方法。
  12. 請求項11に記載のレリーフ印刷版原版の製造方法により製造されたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  13. 請求項12に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を、レーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程を含むレリーフ印刷版の製造方法。
  14. 請求項13に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造されたレリーフ印刷版。
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