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JP2010198921A - 透明導電膜積層体を用いた有機el素子、並びに、これらの製造方法 - Google Patents

透明導電膜積層体を用いた有機el素子、並びに、これらの製造方法 Download PDF

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JP2010198921A JP2009042638A JP2009042638A JP2010198921A JP 2010198921 A JP2010198921 A JP 2010198921A JP 2009042638 A JP2009042638 A JP 2009042638A JP 2009042638 A JP2009042638 A JP 2009042638A JP 2010198921 A JP2010198921 A JP 2010198921A
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豊 寺尾
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Abstract

【課題】光透過特性を改善させた電極を有する有機EL素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の有機EL素子は、基板、該基板上に設けられた銀以外の金属からなる下地層と、該下地層上に設けられた銀または銀合金からなる銀薄膜層を含み、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄い透明導電膜積層体を有することを特徴とする。さらに本発明は、これらの有機EL素子の製造方法を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、透明導電膜積層体を用いた有機EL素子、並びに、これらの製造方法に関する。特に、本発明は、有機EL素子の透明導電膜として利用可能な銀薄膜を含む透明導電膜積層体を用いた有機EL素子、並びにこれらの製造方法に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELとも称する)素子は実用化に向けての研究が活発に行われている。有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるために高い発光輝度および発光効率を実現することが期待されている。この有機EL素子には、有機EL層を挟持する第1電極および第2電極が設けられており、光を取り出す側の電極、例えば、トップエミッション方式の有機EL素子の上部電極は、高透過率且つ低抵抗であることが求められている。また、光を取り出す側の透明電極として、例えば酸化物透明電極を用いることが提案されており、この材料には酸化物透明導電膜(TCO)材料(インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)が用いられている。この透明導電膜の抵抗を下げることは素子の低電力化の観点からも望ましい。
上記の課題を解決するために、ITO、IZOなどの酸化物透明導電膜のみで電極を形成する場合、光学特性、電気特性等を向上させるには、これらの成膜時に、雰囲気に酸素を導入する必要がある。トップエミッション方式の有機EL素子では、酸化物透明導電膜を形成する前に、有機EL層を形成しておく必要があり、この有機EL層が酸素によって侵されることがある。
この欠点を防止するために、透明なバッファ層を設けることが提案されているが、透明導電膜単体では、比抵抗が金属膜と比較して2桁程度高いため、膜厚を厚くする必要があり、生産性が問題になる。さらに、ITO、IZOなどの透明導電膜は波長500nm未満の領域で少なからず吸収を持っているため、厚膜化すると透過率が下がるという問題がある。したがって、透明導電膜では、低抵抗化と高透過率化を両立することが難しい。
スパッタ法やイオンプレーティング法等による酸化物透明導電膜成膜時の有機EL層へのダメージ緩和という観点から、金属薄膜をバッファ層に用いることが提案されている(特許文献1、非特許文献1等)。バッファ層の例としてはMgAg薄膜等が開示されている。金属バッファ層を用いる場合、金属バッファ層に低抵抗化の効果を持たせることが可能である。しかし、この方法においても、金属バッファ層の低抵抗化と有機EL層の低ダメージ化を図るために金属薄膜を厚く形成すると透過率が悪くなるという、トレードオフが存在する。
そこで、電気伝導率、可視光透過率が高い金属、すなわち前記トレードオフの少ない金属として、金、銀、銅などが考えられ、これらの金属と酸化物透明導電膜を組み合わせた透明電極が提案されている(特許文献2〜4)。例えば、特許文献2には、TCO/保護層(Au、Ni、Al)、特許文献3には、TCO/AuX(XはMg等)、特許文献4には、TCO/Ag/電子注入層の構造が開示されている。
また、酸化物透明導電膜成膜時のダメージがないものとして、可視光透過率の高い金属のみを用いた透明電極も提案されている(特許文献5および6、非特許文献2)。この他、特許文献7には発光層上に半反射電極と導電性半反射層を形成した発光装置が開示されている。
特開平8−185984号公報 特開2003−77651号公報 特開2005−276739号公報 特開2005−32563号公報 特開2004−200141号公報 特開2003−045673号公報 特開2007−335347号公報
Nature vol. 380, 1996年3月7日, pp. 29 Journal Display Technology Vol. 1 No.1,(2005年9月)、105頁
電気伝導率、可視光透過率が高い金属の中でも、銀は可視光領域において複素屈折率から予想される透過率が比較的平坦で、比抵抗も低く、透明電極材料としての期待が高い。しかし、銀薄膜は、複素屈折率から予想される透過率よりも実際の透過率が悪くなるという問題がある。この理由として、酸化銀の形成が考えられる。すなわち、銀は酸素と反応しやすく、表面に酸化銀を形成しやすいが、この酸化銀は高屈折率で500nm以下の波長域で比較的高い吸収を持つため、透過率が低下するものと考えられる。また、一般に10nm以下の銀薄膜は、連続で均一な膜ではなく、不連続な島状膜となっており、抵抗が高いだけでなく、可視光領域に局所表面プラズモン共鳴により吸収を生じ、透過特性を悪化させる。
したがって、これまでに提案されている銀薄膜を用いた透明電極の光透過特性は、実用上十分ではなかった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、銀薄膜を用いた透明電極において、光透過特性を改善させた電極として利用可能な構造体を電極として用いる有機EL素子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、銀薄膜を形成するに際し、その下部に銀とは異なる金属からなる薄膜を形成し、銀薄膜を含む積層構造とすると、同一の膜厚を有する銀単体の薄膜よりも銀積層体の方が透過特性および平坦性に優れることを見出したことに基づく。
本発明の有機EL素子はこの銀積層体を含む電極を用いる点に特徴を有する。そこで、銀積層体について説明する。この積層体は、基板、該基板上に設けられた銀以外の金属からなる下地層、および、該下地層上に設けられた銀または銀合金からなる銀薄膜層を含み、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄いことを特徴とする透明導電膜積層体である。本発明では、上記基板は、支持基板と、該支持基板上に設けられた誘電体または半導体薄膜を含み、前記下地層が、誘電体または半導体薄膜上に設けられていてもよい。下地層の厚さは、0.1nm乃至4nmであることが好ましく、銀薄膜層の厚さは、5nm乃至30nmであることが好ましい。
本発明では、下地層の銀以外の金属は、金、アルミニウム、銅、インジウム、スズおよび亜鉛よりなる群から選択されることが好ましい。
本発明の第1の態様は、前記銀積層膜を電極膜積層体として用いた有機EL素子である。この有機EL素子は、基板と、該基板上に設けられた第1電極と、該第1電極上に設けられた有機EL層と、該有機EL層上に設けられた第2電極とを少なくとも含む有機EL素子であって、前記第1電極若しくは第2電極、またはこれらの双方が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に設けられ、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄いことを特徴とする。ここで前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離は、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離である。本発明の有機EL素子は、銀薄膜層上に、酸化物透明導電膜をさらに設けることができる。
本発明の第2の態様は、上記の有機EL素子の製造方法である。この製造方法の第1の実施形態はボトムエミッション型の有機EL素子の製造方法に関する。この方法は、(a)透明な基板上に透明な第1電極を形成する工程と、(b)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、(c)有機EL層上に第2電極を形成する工程を少なくとも含み、前記第1電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第1電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜されることを特徴とする。ここで有機EL素子は、前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離となるよう製造される。
本発明では、第2電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であってもよく、この場合、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第2電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜される。
本発明の製造方法の第2の実施形態はトップエミッション型の有機EL素子の製造方法に関する。この方法は、(i)基板上に第1電極を形成する工程と、(ii)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、(iii)有機EL層上に透明な第2電極を形成する工程を少なくとも含み、前記第2電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第2電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜されることを特徴とする。ここで有機EL素子は、前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離となるよう製造される。
本発明では、第1電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第1電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜される。第2の実施形態では、(iv)銀薄膜層上に酸化物透明導電膜をさらに形成する工程を含むことができる。
本発明によれば、銀薄膜を含む透明導電膜積層体により、光透過特性を改善させた有機EL素子を提供できる。
(a)〜(d)は、本発明の透明導電膜積層体を示す概略図である。 (a)〜(c)は、本発明の透明導電膜積層体の製造工程を示す概略図である。 (a)〜(d)は、本発明の有機EL素子を示す概略図である(図中、白抜き矢印は光の放射方向を示す。)。 (a)〜(d)は、本発明の有機EL素子の製造工程を示す概略図である。 (a)〜(d)は、本発明の有機EL素子の製造工程を示す概略図である。 本発明の透明導電膜積層体の透過率を従来のものと比較したグラフである。 本発明の透明導電膜積層体の透過率を従来のものと比較したグラフである。 本発明の透明導電膜積層体の透過率を従来のものと比較したグラフである。 実験例4(試料1および試料2)および比較実験例4(試料3)の、電流密度10mA/cmにおける発光スペクトルを示す図である。 実施例1および比較例1の、電流密度10mA/cmにおける発光スペクトルを示す図である。
以下に図面を参照しながら本発明を説明する。
図1は本発明に係る銀積層体を表す概略図である。この積層体の第1の実施形態は、基板、該基板上に設けられた銀以外の金属からなる下地層と、該下地層上に設けられた銀または銀合金からなる銀薄膜層を含む。図1(a)は、この積層体を表す概略図である。
図1(a)に示されるように、透明導電膜積層体100は、基板102と、該基板上の下地層104と、該下地層上の銀薄膜層106からなる。また、第2の実施形態として、図1(b)に示されるように、基板102は、該支持基板110とその上に設けられた誘電体または半導体薄膜112を含んでいてもよい。誘電体を支持基板上に設ける場合、支持基板は導体であってもよい。また、半導体薄膜は例えばTFT、MIMなどのスイッチング素子とすることができる。さらに、第3の実施形態として、図1(c)および図1(d)に示すように、銀薄膜層106上には、酸化物透明導電膜108(例えば、ITO、IZOなど)をさらに設けてもよい。
本明細書において、銀薄膜層とは、銀または銀合金からなる薄膜層を意味する。銀合金としては、例えば、銀にPd、Cuが微量添加(数at%)された合金(商品名:APC、フルヤ金属製)を挙げることができる。
本発明では、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄いことが好ましい。また、下地層は島状であってもよい。なお、銀薄膜層は、島状ではなく連続した一様な膜を形成していることが好ましい。本発明では、下地層の厚さは、0.1nm乃至4nmであることが好ましく、銀薄膜層の厚さは、5nm乃至30nmであることが好ましい。下地層の厚さを4nm以下とすることにより下地層は島状に形成され、続いて形成される銀薄膜層は、その厚さが10nm程度であっても、連続した一様な平坦膜として形成される。加えて、下地層の厚さを4nm以下とすることにより、比較的高い吸収を有する材料で下地層を形成しても透過率に与える影響を小さくできる。
下地層は銀以外の金属を用いることができるが、好ましくは、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)または亜鉛(Zn)から選択されることが好ましい。特には金、アルミニウムが好ましい。これらの金属は、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属等に比べ扱いやすく、また、銀と同様に蒸着法で形成できることから有機EL層に与えるダメージが小さいという利点を有する。
基板は、ガラスまたはプラスチックのような誘電体を用いることができる。また、金属基板のような導体を支持基板として用いる場合には、誘電体を支持基板と電極の間に設ける。また、基板は、支持基板とその上に設けられたスイッチング素子(例えばTFT、MIMなど)からなるものであってもよい。
本発明の銀薄膜を用いた透明電極は、可視光透過特性を改善させることができる。この機構は明かではないが、銀薄膜の下に銀と異なる金属、特には金、アルミニウム等を含む下地層を設けることによって、銀の成膜初期に形成されうる酸化銀の形成が抑えられているものと考えられる。また、かかる下地層により銀薄膜が一様に形成され、銀薄膜のアイランド形成による局所表面プラズモン形成が抑えられているものと考えられる。
次に、図2を参照して、銀積層体の製造方法を説明する。
この製造方法は、(1)基板上に銀以外の金属からなる下地層と、該下地層上に銀または銀合金からなる銀薄膜層を成膜する工程を含む。
この成膜工程は、まず、基板102上に下地層104を形成する(図2(a))。下地層104は、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーディング法など従来の方法を用いることができる。本発明では、高エネルギー粒子に弱い材料上に透明導電膜を形成することを考慮して、成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度以下の低エネルギーの成膜方法を用いることが好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いることが好ましい。次に、銀薄膜層106を形成する(図2(b))。銀薄膜層は、下地層と同様、種々の方法により成膜できるが、例えば成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度以下の低エネルギーの成膜方法を用いることが好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いることができる。抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いて下地層を形成する場合、銀薄膜層は、真空状態を維持したまま連続して成膜されることが好ましい。
下地層および銀薄膜層にパターンニングが必要な場合には、例えば、所望のパターンを形成できるマスクを介して上記蒸着法を適用すればよい。
任意選択的であるが、銀薄膜層上には、IZO、ITO等の酸化物透明導電膜を形成することができる。酸化物透明導電膜の形成は、例えばスパッタ法のような従来の方法により行うことができる。
酸化物透明導電膜にパターンニングが必要な場合には、例えば、所望のパターンを形成できるマスクを介して成膜を行えばよい。
本発明の透明導電膜積層体の製造方法において透明導電膜積層体の下地層は前記基板に近い側に形成される。すなわち、銀薄膜層に先立って下地層を形成する必要がある。このようにすることで、銀薄膜層が均一に形成され、電極の透過率を改善することができる。また、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用して積層透明導電膜を形成する条件は、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成される限り特に限定されない。例えば、抵抗加熱蒸着では、目標膜厚に応じて加熱電力を調節し、坩堝温度を成膜する金属材料の融点以上に加熱して蒸着レートを制御し、目標膜厚の金属膜を成膜する。電子ビーム蒸着の場合は、電子銃の電流値を調整して蒸着レートを制御することになる。目標膜厚0.1nm〜4nmに対し、膜厚制御性と生産性のバランスから、蒸着レートは例えば0.05〜1Å/sであることが望ましい。蒸着前の蒸着チャンバー内真空度は、2×10−5Pa以下まで真空引きし、蒸着中の真空度は10−5Pa台であることが望ましい。
(第1の態様)
次に、本発明の第1の態様について図3を参照して説明する。
本発明の第1の態様は、上記の銀積層体を第1電極および/または第2電極に適用した有機EL素子である。この有機EL素子は、基板と、該基板上に設けられた第1電極と、該第1電極上に設けられた有機EL層と、該有機EL層上に設けられた第2電極とを少なくとも含む有機EL素子であって、前記第1電極若しくは第2電極、またはこれらの双方が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に設けられ、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄いことを特徴とする。ここで前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離は、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離である。
本発明の有機EL素子は、トップエミッション方式であってもよいし、ボトムエミッション方式であってもよい。
トップエミッション方式の有機EL素子(第1の実施形態)では、図3(a)に示したように、基板302と、この基板上に設けられた第1電極308と、第1電極上に設けられた有機EL層310と、有機EL層310上の下地層304と、該下地層上の銀薄膜層306からなる。有機EL素子の第2電極312は、下地層と銀薄膜層からなる積層透明導電膜である。第2電極を構成する下地層304と銀薄膜層306は、基板に近い側に下地層を設け、有機EL層側に銀薄膜層を設ける。
図3(a)は、複数の第1電極とこの第1電極と直交する方向に設けられた複数の第2電極を含むパッシブマトリックス型の有機EL素子の例であるが、アクティブマトリックス型の有機EL素子とすることもできる。例えば、基板302として支持基板とその上に設けられたスイッチング素子からなるものを用いればよい。スイッチング素子は、例えばTFT、MIM等のような当該技術において知られている任意の構造であればよい。
トップエミッション方式である場合、第1電極は、必ずしも本発明の下地層と銀薄膜層からなる積層透明導電膜である必要はないが、図3(b)に示すように、第2電極312と共に第1電極308を積層透明導電膜とすることができる。この場合、第1電極の積層透明導電膜と第2電極の積層透明導電膜は、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
本発明では、トップエミッション方式で第2電極の積層透明導電膜上には、IZO、ITO等の酸化物透明導電膜を形成することができる。すなわち、任意選択的で、第2電極である積層透明導電膜の銀薄膜層上には、IZO、ITO等の酸化物透明導電膜を形成することができる。酸化物透明導電膜の形成は、例えばスパッタ法のような従来の方法により行うことができる。
ボトムエミッション方式の有機EL素子(第2の実施形態)では、図3(c)に示したように、透明な基板314と、この基板上に設けられた、下地層304と銀薄膜層306からなる積層透明導電膜である第1電極308と、第1電極上に設けられた有機EL層310と、有機EL層310上の第2電極312からなる。第1電極を構成する下地層304と銀薄膜層306は、基板側に下地層を設け、有機EL層側に銀薄膜層を設ける。
ボトムエミッション方式である場合、第2電極は、必ずしも本発明の下地層と銀薄膜層からなる積層透明導電膜である必要はないが、図3(d)に示すように、第1電極308と共に第2電極312を積層透明導電膜とすることができる。この場合、第1電極の積層透明導電膜と第2電極の積層透明導電膜は、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
本発明の有機EL素子で使用する下地層および銀薄膜層の材料および膜厚等の諸条件は、上記第1の態様で説明した通りである。
トップエミッション方式において、第1電極が本発明に係る銀積層膜ではなく、通常の電極である場合、または、ボトムエミッション方式において、第2電極が本発明に係る銀積層膜ではなく、通常の電極である場合、それぞれの電極の材料は、例えば以下のものを用いることができる。
有機EL層310からの発光を第2電極312側から取り出すトップエミッション方式を採用する場合には、第1電極308は、反射性を有することが好ましい。反射性を有する第1電極308は、高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金からなる金属膜、およびその金属膜上に導電性金属酸化物を積層することによって形成することができる。導電性金属酸化物は、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどを含み、正孔注入効率を向上させるために設けることが望ましい層である。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金は、蒸着、スパッタなどの当該技術において知られている任意の方法で形成することができる。トップエミッション方式を採用する場合にも、第1電極308を陰極として用いることが可能である。この場合にも第1電極308は、前述の高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金からなる金属膜、または、その金属膜上に導電性金属酸化物を積層することによって形成することができる。あるいはまた、高反射率の金属と仕事関数の小さい金属との合金(たとえばMg/Ag合金など)を用いて第1電極308を形成してもよい。
ボトムエミッション方式を採用する場合、第2電極308は反射性電極とすることが好ましい。この場合、第2電極312は、前述の高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金から形成される。あるいはまた、第2電極312が陰極である場合、高反射率の金属と仕事関数の小さい金属との合金(たとえばMg/Ag合金など)を用いて第2電極312を形成してもよい。また、ボトムエミッション方式を採用する場合に、第2電極312を陽極として用いることもできる。この場合には、前述の導電性金属酸化物と、反射性金属等との積層構造とすることが望ましい。導電性金属酸化物は、有機EL層側に配置されて正孔注入効率を向上させるために用いられる。
有機EL層310は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、有機EL素子基板は陰極および陽極を含めて下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の層構成において、陽極および陰極は、第1電極308または第2電極312のいずれかである。
有機発光層の材料は、所望する色調に応じて選択することが可能であり、例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリデイン系化合物などを使用することが可能である。あるいはまた、前述の材料をホスト材料として用い、これにドーパントを添加することによって有機発光層を形成してもよい。ドーパントとして用いることができる材料としては、たとえばレーザ色素としての使用が知られているペリレン(青色)などを用いることができる。
電子輸送層の材料としては、PBD、TPOBのようなオキサジアゾール誘導体;TAZのようなトリアゾール誘導体;トリアジン誘導体;フェニルキノキサリン類;BMB−2T、BMB−3Tのようなチオフェン誘導体;アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq)のようなアルミニウム錯体などを用いることができる。
電子注入層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属を添加したバソフェナントロリンなどを用いることができる。本発明においては、有機EL層に電子注入層を設けることが好ましい。
正孔注入層の材料としては、フタロシアニン(Pc)類(銅フタロシアニン(CuPc)などを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。
正孔輸送層の材料としては、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料(たとえばTPD、α−NPD、PBD、m−MTDATAなど)を用いることができる。
前述の有機EL層310を構成する各層は、抵抗加熱蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。このように形成された有機EL層は、その発光スペクトルにある幅もった光を放射し、青色発光であれば、例えば波長450nm〜480nmに発光ピークをもつ。
上記のようにして形成された、第1電極、有機EL層および第2電極は、平坦化層および/またはパッシベーション層(図示せず)によって保護されてもよい。平坦化層およびパッシベーション層の材料には、公知のものが使用される。例えば、平坦化層としては、ポリマー材料を用いる場合には、イミド変性シリコーン樹脂、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂、フッ素系樹脂、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。また、パッシベーション層は、例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。パッシベーション層として、上記平坦化層で述べた種々のポリマー材料を用いることもできる。平坦化層およびパッシベーション層の形成方法は特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法、ゾル−ゲル法等の慣用の手法により形成できる。平坦化層およびパッシベーション層の膜厚等の条件は従来の通りである。
さらに、本発明の有機EL素子は、第1電極、第2電極がそれぞれ形成する反射面が、微小共振器構造を形成し、その共振器長は、有機EL層から放出される光のうちの特定波長(青色であれば例えば450nm〜480nm)を増強するような条件となっていることを特徴としている。
有機EL層から放出される光の波長λELが増強される条件とは、波長λELの光が素子面に対して垂直に出てくる時に増強される条件であり、有機EL層を構成する、電子注入層、電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層、の各膜厚をd、各屈折率をnとし、第1電極、第2電極における光の反射に際する位相変化をδ、δとした時、近似的に式(1)で表される。
Figure 2010198921
Σnは反射面間に配置されている各層の光学距離の和である。この式は、有機層である電子注入輸送層、発光層、正孔注入輸送層のそれぞれの屈折率は、一般にほぼ同等であるため、これらの層の屈折率差によって生じる各層界面における反射を無視し、光の反射が純粋に反射性電極あるいは半透過反射性電極である、第1電極または第2電極でのみ生じるという仮定のもとでの近似式である。
なお、第1電極と第2電極が形成する反射面は、それぞれの電極を構成する金属膜とその金属膜間に配置され、且つ金属膜と接している有機層または酸化物透明導電との界面であると近似できる。したがって、ここでは第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離はΣdとなる。
理論的な計算によって、λELに対する共振条件を求めるのであれば、厳密に、有機EL層から放射される光が、各層の界面で多重反射することを考慮し、各層の複素屈折率を用いて積層膜の反射率を順次計算して求めることは可能であるので、そのようにして電子注入輸送層、発光層、正孔注入輸送層の膜厚を決めても良い。
また、式(1)を用いて、各層の膜厚dを決め、その際の総膜厚(Σd)の付近で、例えば10nmずつ膜厚を変更した素子を作製してみて、波長λELが増強される膜厚条件を見出してもよい。
本発明の有機EL素子は、このように、第1電極若しくは第2電極、またはこれらの双方に、下地層と銀薄膜層からなる積層透明導電膜を用いて微小共振器を構成することにより、光強度を増強された特定波長の光を高効率に外部へ取り出すことができる。
(第2の態様)
次に、本発明の第2の態様である、有機EL素子の製造方法を説明する。第1の実施形態の製造方法は、ボトムエミッション方式の有機EL素子の製造方法である(図4参照)。この製造方法は、(a)透明な基板上に透明な第1電極を形成する工程と、(b)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、(c)有機EL層上に第2電極を形成する工程を少なくとも含み、前記第1電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第1電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜される方法である。ここで有機EL素子は、前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離となるよう製造される。
図4を参照して第1の実施形態の製造方法を説明する。図4は、ボトムエミッション方式のパッシブ型有機EL素子の製造例である。
工程(a)は、図4(a)に示したように、透明な基板314に下地層304を形成する。本発明では、下地層304は、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーディング法など従来の方法を用いることができる。次に、銀薄膜層306を形成する(図4(b))。銀薄膜層は、下地層と同様、種々の方法により成膜できる。本発明では、下地層および銀薄膜層は、例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法などの蒸着法や、DCマグネトロンスパッタ法などのスパッタ法を用いて形成することができる。抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いて下地層を形成する場合、銀薄膜層は、真空状態を維持したまま連続して成膜されることが好ましい。
下地層および銀薄膜層は、必要に応じてストライプ状にパターンニングする。このパターンニングには、例えば、所望のパターンを形成できるマスクを介して上記蒸着法を適用すればよい。
本発明の有機EL素子の積層透明導電膜の下地層は前記基板に近い側に形成される。すなわち、銀薄膜層に先立って下地層を形成する必要がある。このようにすることで、銀薄膜層が均一に形成され、電極の透過率を改善することができる。また、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用して積層透明導電膜を形成する条件は、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成される限り特に限定されない。例えば、抵抗加熱熱蒸着では、目標膜厚に応じて加熱電力を調節し、坩堝温度を成膜する金属材料の融点以上に加熱して蒸着レートを制御し、目標膜厚の金属膜を成膜する。電子ビーム蒸着の場合は、電子銃の電流値を調整して蒸着レートを制御することになる。目標膜厚0.1nm〜4nmに対し、膜厚制御性と生産性のバランスから、蒸着レートは例えば0.05〜1Å/sであることが望ましい。蒸着前の蒸着チャンバー内真空度は、2×10−5Pa以下まで真空引きし、蒸着中の真空度は10−5Pa台であることが望ましい。また、スパッタ法の場合は、例えばインライン型DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、下地層金属ターゲットと、放電ガスにArを用いて、放電圧力、放電電力、基板搬送速度を調整することによって、目標の膜厚の下地層を成膜することができる。
次に、図4(c)に示す工程(b)の有機EL層310の形成、および図4(d)に示す工程(c)の第2電極312の形成を行う。
工程(b)は、第1電極上に有機EL層310を形成する工程である。有機EL層310は、上述した構成を有するが、このような構成する各層は、抵抗加熱蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
工程(c)は、有機EL層310上に第2電極312を形成する工程である。第2電極は、上述の材料を用いて、蒸着法、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法で形成することができるが、有機EL層へのダメージを緩和するために、成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度以下の低エネルギーの成膜方法を用いることが好ましい。第2電極が、複数のストライプ状のパターンとして形成される場合、第2電極は、第1電極と直交する方向にマスクなどを介して上記方法により形成することができる。
なお、第2電極として、本発明の積層透明導電膜を用いる場合には、上述の第1電極の形成方法と同様にして第2電極を形成すればよい(図4(e))が、既に形成されている有機EL層へのダメージを緩和するために、成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度の以下の低いエネルギーの成膜方法が好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用することが好ましい。複数の第2電極を形成する場合には、マスクを介して抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用し、第1電極と直交する方向にパターン形成をすればよい。
第1の実施形態で、有機EL層、第2電極(銀薄膜層以外のもので形成される場合)を形成する条件は、従来の条件をそのまま使用することができる。
次に、第2の実施形態であるトップエミッション方式の有機EL素子の製造方法について説明する。この製造方法は、(i)基板上に第1電極を形成する工程と、(ii)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、(iii)有機EL層上に透明な第2電極を形成する工程を少なくとも含み、前記第2電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第2電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜されることを特徴とする方法である。ここで有機EL素子は、前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離となるよう製造される。
図5を参照して第2の実施形態の製造方法を説明する。図5は、トップエミッション方式のパッシブ型有機EL素子の製造例である。
まず、図5(a)に示したように、工程(i)での基板302上への第1電極308の形成と、工程(ii)での有機EL層310の形成を行う。
工程(i)では、基板302に第1電極308を形成する。第1電極は、上述の材料を用いて、蒸着法、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法で形成することができる。第1電極が、複数のストライプ状のパターンとして形成される場合、第1電極は、マスクなどを介して上記方法により形成してもよく、あるいは、基板全面に電極材料を成膜し、フォトリソグラフィ法により所望のパターンを形成してもよい。
次に、工程(ii)で有機EL層310の形成を行う。この工程では、第1電極308上に有機EL層310を形成する。有機EL層310は、上述した構成を有するが、このような構成する各層は、抵抗加熱蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
次に、図5(b)および(c)に示すように、工程(iii)で、有機EL層310上に第2電極312を形成する。第2電極は、下地層304および銀薄膜層306からなる。まず、下地層304を形成する(図5(b))。下地層304は、蒸着法、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法で形成することができるが、既に形成されている有機EL層へのダメージを緩和するために、例えば成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度以下の低エネルギーの成膜方法を用いることが好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いることができる。次に、銀薄膜層306を形成する(図5(c))。成膜法としては、下地層と同様、種々の方法により成膜できるが、既に形成されている有機EL層へのダメージを緩和するために、例えば成膜粒子の持つエネルギーが1eV程度以下の低エネルギーの成膜方法を用いることが好ましい。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いることができる。抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を用いる場合、銀薄膜層は、下地層を形成する際の真空状態を維持したまま連続して成膜されることが好ましい。
下地層および銀薄膜層は、必要に応じてストライプ状にパターンニングする。このパターンニングには、例えば、所望のパターン(例えば、複数のストライプ状のパターンとして形成される場合、第2電極は、第1電極と直交する方向へパターンニングされる)を形成できるマスクを介して上記蒸着法を適用すればよい。
なお、第1電極308として、本発明の積層透明導電膜を用いる場合には、上述の第1の実施形態の有機EL素子の形成方法と同様にして第1電極を形成すればよい(図5(d))。複数の第1電極を形成する場合には、マスクを介して抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用し、第2電極と直交する方向にパターン形成をすればよい。
本発明の有機EL素子の積層透明導電膜の下地層は前記基板に近い側に形成される。すなわち、銀薄膜層に先立って下地層を形成する必要がある。このようにすることで、銀薄膜層が均一に形成され、電極の透過率を改善することができる。また、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着法を適用して積層透明導電膜を形成する条件は、下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成される限り特に限定されない。例えば、抵抗加熱熱蒸着では、目標膜厚に応じて加熱電力を調節し、坩堝温度を成膜する金属材料の融点以上に加熱して蒸着レートを制御し、目標膜厚の金属膜を成膜する。電子ビーム蒸着の場合は、電子銃の電流値を調整して蒸着レートを制御することになる。目標膜厚0.1nm〜4nmに対し、膜厚制御性と生産性のバランスから、蒸着レートは例えば0.05〜1Å/sであることが望ましい。蒸着前の蒸着チャンバー内真空度は、2×10−5Pa以下まで真空引きし、蒸着中の真空度は10−5Pa台であることが望ましい。
図5では、パッシブ型有機EL素子の製造例を示したが、本発明は、アクティブ型の有機EL素子も包含する。この場合、工程(i)の基板302として、支持基板とスイッチング素子を少なくとも含むものを形成すればよい。スイッチング素子は、TFT、MIMのような当該技術において知られている任意の構造であってもよい。スイッチング素子は任意の既知の方法で形成することができる。任意選択的であるが、スイッチング素子と第1電極とを接続する端子部分を除いて、スイッチング素子を覆ってその上面を平坦化する平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜は、当該技術において知られている任意の材料および方法を用いて形成することができる。
第2の実施形態で、有機EL層、第1電極(銀薄膜層以外のもので形成される場合)を形成する条件は、従来の条件をそのまま使用することができる。
第1の実施形態、第2の実施形態ともに、微小共振器構造の共振器長は第1の態様で説明した方法と同様に決定できる。
以下に、実験例及び実施例により本発明を詳細に説明する。
(実験例1)
本実験例は、ガラス基板上に下地層としてアルミニウム(Al)層を形成し、この下地層上に銀薄膜層として銀(Ag)を形成した透明導電膜積層体の例である。
ガラス基板(縦50mm×横50mm×厚さ0.7mm;コーニング社製1737ガラス)を用い、抵抗加熱蒸着装置にて下地層(Al)を成膜レート0.5Å/sで1nm形成し、続いてAgを成膜レート1Å/sで10nm形成した。この時の蒸着チャンバー内の真空度は、3×10−5Pa〜8×10−5Paであった。
(比較実験例1)
ガラス基板上に下地層を設けなかった以外、実験例1と同様にして銀薄膜層からなる電極を作製した。
(評価方法)
得られた透明導電膜積層体の透過率を以下の手順で測定した。
<透過率の測定>
透過率の測定は、UV−2100PC(島津製作所製)を用い、実施例および比較例で用いたガラス基板と同じロットのガラス基板のみをリファレンスとして用いて行った。
測定結果を図6に示した。図6に示されるように、本発明の電極積層体では、可視光領域全体にわたって、透過率が上昇した。
(実験例2)
本実験例は、ガラス基板上にα−NPDを形成し、α−NPD上に、下地層としてのAl層と、銀薄膜層としてのAg層を形成した透明導電膜積層体の例である。
ガラス基板(縦50mm×横50mm×厚さ0.7mm;コーニング社製1737ガラス製)を用い、抵抗加熱蒸着装置にて、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる層を、成膜レート3Å/sで200nm形成した。このときの蒸着チャンバ内の真空度は10−5Pa台であった。次いで、真空を破らずに下地層(Al)を抵抗加熱蒸着装置にて成膜レート0.5Å/sで1nm形成し、続いてAgを成膜レート1Å/sで10nm形成した。この時の蒸着チャンバー内の真空度は、3×10−5Pa〜8×10−5Paであった。
(比較実験例2)
下地層を設けなかった以外、実験例2と同様にしてα−NPD層および銀薄膜層からなる電極を作製した。
作成した試料を、実験例1で説明した評価方法に従い、透過率を測定した。測定結果を図7に示した。図7に示されるように、本発明の電極積層体では、可視光領域全体にわたって、透過率が上昇した。
(実験例3)
本実験例は、ガラス基板上にα−NPDを形成し、α−NPD上に、下地層としてのAl層と、銀薄膜層としてのAg層を形成し、さらに銀薄膜層上に酸化物透明導電膜(IZO)を形成した透明導電膜積層体の例である。
ガラス基板(縦50mm×横50mm×厚さ0.7mm;コーニング社製1737ガラス製)を用い、抵抗加熱蒸着装置にて、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる層を、成膜レート3Å/sで200nm形成した。このときの蒸着チャンバ内の真空度は10−5Pa台であった。次いで、真空を破らずに、抵抗加熱蒸着装置にて下地層(Al)を成膜レート0.5Å/sで1nm形成し、続いてAgを成膜レート1Å/sで10nm形成した。この時の蒸着チャンバー内の真空度は、3×10−5Pa〜8×10−5Paであった。次に、DCマグネトロンスパッタ法(放電ガス:Ar+0.5%O、放電圧力:0.3Pa、放電電力:1.45W/cm、基板搬送速度81mm/min)により、IZOを成膜した。
(比較実験例3)
下地層を設けなかった以外、実験例3と同様にしてα−NPD層、銀薄膜層およびIZO層からなる電極を作製した。
作成した試料を、実験例1で説明した評価方法に従い、透過率を測定した。測定結果を図8に示した。図8に示されるように、本発明の電極積層体では、可視光領域全体にわたって、透過率が上昇した。
(実験例4)
本実験例は、ガラス基板上に下記2種類の層構造を有するトップエミッション方式の有機EL素子の例である。
(試料1)
Ag/Au/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子移動層/電子注入層/下部電極(陰極)/ガラス基板
(試料2)
IZO/Ag/Au/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子移動層/電子注入層/下部電極(陰極)/ガラス基板
(試料1の調製)
ガラス基板(50mm×50mm×厚さ0.7mm;コーニング社製1737ガラス)を用い、DCマグネトロンスパッタ法(成膜条件:ターゲット CrB;放電ガス Ar;放電圧力 0.3Pa;放電電力 0.68W/cm)を用いて、第1電極である下部電極材料(CrB)を100nm形成した。
次いで、フォトレジスト(製品名:TFR−1150、東京応化工業製)をCrB膜上にスピンコートし、80℃に保持したクリーンオーブン中で30分間プリベークした後、幅2mmの電極パターン形状のフォトマスクを用いて高圧水銀ランプによる露光、現像液(NMD−3、東京応化工業製)による現像を行った。この後、90℃に保持したクリーンオーブン中で30分間ポストベークし、電極パターン形状をもったフォトレジストパターンを形成した。そのサンプルを室温のCr用エッチング液(製品名:HY液、和光純薬株式会社製)中で5分間揺動し、不要なCrB膜をエッチングし、剥離液(製品名:104、東京応化工業製)にてレジストを剥離、純水リンス、リンサードライヤーによる乾燥を経て、幅2mmのCrB下部電極を形成した。
次いで、以下のようにして有機EL層を形成した。なお、有機EL層の成膜は、メタルシャドウマスクを介して行い、ガラス基板中央部の24mm×24mmの領域に成膜した。
まず、抵抗加熱蒸着用真空チャンバー内に、アルミキノリノール錯体(Alq)の入った蒸着用坩堝とLiアルカリディスペンサー(サエスゲッターズ製)を配置、同時に加熱し、Alq:Li=1:1のモル比を持つAlq:Li共蒸着膜による電子注入層を10nm成膜した。引き続き、電子輸送層としてAlqのみを10nm成膜した。電子輸送層上に4,4’−ビス(2、2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)からなる発光層を30nm成膜した。この発光層上に4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層を20nm、正孔輸送層上に4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)−トリフェニルアミン(m−MTDATA)からなる正孔注入層を70nm、順次、Alqと同様に真空蒸着によって成膜した。電子注入層から正孔注入層までの有機層成膜の蒸着レートは、全て1Å/sで行い、この時の蒸着チャンバー中の真空度は、10−5Pa台であった。
次いで、第1電極(下部電極)と直交するような幅2mmの電極パターン形状の開口を持った第2電極用メタルシャドウマスクを用いて、正孔注入層上に抵抗加熱蒸着にて(蒸着時真空度5×10−5〜7×10−5Pa、蒸着レート0.1Å/s)、下地層(Au)を0.5nm形成し、続いて下地層上に銀(Ag)を20nm抵抗加熱蒸着(蒸着時真空度5×10−5〜6×10−5Pa、蒸着レート1.0Å/s)にて成膜し、第2電極(上部電極)を形成した。
続いて、試料を窒素置換ドライボックスに移し、その中で、封止用ガラス板(縦41mm×横41mm×厚さ1.1mm、日本電気硝子製OA−10)を用いて封止した。封止は、封止用ガラス板の4辺付近にエポキシ系接着剤を塗布し、有機EL層を覆うように試料に貼り付けることにより行い、試料1を得た。有機EL層以降の成膜工程の間、および第2電極形成後のドライボックスへ搬送時、試料は大気に触れることのないようにして各工程を行った。
(試料2の調製)
試料1を得た手順と同様にして銀薄膜層までを成膜し、その上に、第2電極用メタルシャドウマスクを介して、DCマグネトロンスパッタ法(放電ガス:Ar+0.5%O、放電圧力:0.3Pa、放電電力:1.45W/cm、基板搬送速度81mm/min)により、IZOを成膜した。得られた試料を、上記試料1の調製で説明した手順と同様にして、有機EL層を覆うように封止を行い、試料2を得た。
(比較実験例4)
正孔注入層までの各層を、試料1を得た手順と同様にして形成した。次に、正孔注入層上に第2電極用メタルシャドウマスクを用いて、下地層を設けずに銀(Ag)を20nm抵抗加熱蒸着にて成膜し、第2電極(上部電極)を形成した。この後、試料1と同様に有機EL層を覆うように封止を行い、試料3を得た。
(評価)
上記実験例4および比較実験例4で調製した試料1〜3の有機EL素子は、不透明な金属第1電極(100nmのCrB)をもっているため、透過率の比較をすることができない。従って、これらの試料について、電流効率値と発光スペクトルを測定し、評価結果とした。
電流密度10mA/cmの時の、試料1、試料2および試料3の発光スペクトルを図9に示した。透明度の高い第2電極を持つ試料1および試料2は、青緑色の発光が得られたが、試料3は第2電極の透明度が低いために、多重干渉の効果が強く、全く異なるスペクトルが得られている。
この時の電流効率は、試料1、試料2および試料3でそれぞれ、6.8cd/A、7.4cd/A、5.4cd/Aとなっており、本発明による有機EL素子(試料1および試料2)で高い発光効率が得られた。
(実施例1)
本実施例は、第1および第2電極によって微小共振器構造を形成するトップエミッション方式の有機EL素子の例である。
試料の層構成は、
Ag/Al/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/第1電極(陰極)/ガラス基板
である。
(試料の調整)
ガラス基板(50mm×50mm×厚さ0.7mm;コーニング社製1737ガラス)を用い、DCマグネトロンスパッタ法(成膜条件:ターゲット商品名APC−TR、(株)フルヤ金属製Ag合金;放電ガス Ar;放電圧力 0.5Pa;放電電力 0.58W/cm)を用いて、第1電極である下部電極材料(Ag合金)を100nm形成した。
次いで、フォトレジスト(製品名:TFR−1150、東京応化工業製)を銀合金膜上にスピンコートし、80℃に保持したクリーンオーブン中で30分間プリベークした後、幅2mmの電極パターン形状のフォトマスクを用いて高圧水銀ランプによる露光、現像液(NMD−3、東京応化工業製)による現像を行った。この後、90℃に保持したクリーンオーブン中で30分間ポストベークし、電極パターン形状をもったフォトレジストパターンを形成した。そのサンプルを22℃に保ったエッチング液(製品名:SEA2、関東化学株式会社製)中で20秒間揺動し、不要な銀合金膜をエッチングし、剥離液(製品名:剥離液104、東京応化工業製)にてレジストを剥離、純水リンス、リンサードライヤーによる乾燥を経て、幅2mmの銀合金第1電極(下部電極)を形成した。
次いで、以下のようにして有機EL層を形成した。なお、有機EL層の成膜は、メタルシャドウマスクを介して行い、ガラス基板中央部の24mm×24mmの領域に成膜した。
まず、抵抗加熱蒸着用真空チャンバー内に、アルミキノリノール錯体(Alq)の入った蒸着用坩堝とLiアルカリディスペンサー(サエスゲッターズ製)を配置、同時に加熱し、Alq:Li=1:1のモル比を持つAlq:Li共蒸着膜による電子注入層を10nm成膜した。引き続き、電子輸送層としてAlqのみを10nm成膜した。電子輸送層上に、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)からなる発光層ホストに、4,4’−ビス(2、2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を発光ドーパントとして3vol%加えた発光層を30nm、この発光層上に4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層を20nm、正孔輸送層上に4,4’,4”−トリス{2−ナフチル(フェニル)アミノ}トリフェニルアミン(2−TNATA)と2,3,5,6−テトラフロロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)の共蒸着膜を、膜厚比が2−TNATA:F−TCNQ=100:2となるように120nm、順次、Alqと同様に真空蒸着によって成膜した。電子注入層から正孔注入層までのドーパント以外の有機層成膜の蒸着レートは、全て1Å/sで行い、この時の蒸着チャンバー中の真空度は、10−5Pa台であった。
次いで、第1電極(下部電極)と直交するような幅2mmの電極パターン形状の開口を持った第2電極用メタルシャドウマスクを用いて、正孔注入層上に抵抗加熱蒸着にて(蒸着時真空度5×10−5〜7×10−5Pa、蒸着レート0.1Å/s)、下地層(Al)を0.5nm形成し、続いて下地層上に銀(Ag)を15nm抵抗加熱蒸着(蒸着時真空度5×10−5〜6×10−5Pa、蒸着レート1.0Å/s)にて成膜し、第2電極(上部電極)を形成した。
続いて、試料を窒素置換ドライボックスに移し、その中で、封止用ガラス板(縦41mm×横41mm×厚さ1.1mm、日本電気硝子製OA−10)を用いて封止した。封止は、封止用ガラス板の4辺付近に、10μm径のスペーサビーズを分散したエポキシ系接着剤を塗布し、有機EL層を覆うように試料に貼り付けることにより行い、有機EL素子を得た。有機EL層以降の成膜工程の間、および第2電極形成後のドライボックスへ搬送時、試料は大気に触れることのないようにして各工程を行った。
(比較例1)
正孔注入層までの各層を、実施例1を得た手順と同様にして形成した。次に、正孔注入層上に第2電極用メタルシャドウマスクを用いて、下地層を設けずに銀(Ag)を15nm抵抗加熱蒸着にて成膜し、第2電極(上部電極)を形成した。この後、実施例1と同様に有機EL層を覆うように封止を行い、有機EL素子を得た。
(評価)
上記実施例1および比較例1で作製した有機EL素子は、不透明な金属第1電極(100nmの銀合金)をもっているため、透過率の比較をすることができない。従って、これらの試料について、電流効率値と発光スペクトルを測定し、評価結果とした。
電流密度10mA/cmの時の、実施例1、および比較例1の発光スペクトルを図10に示した。実施例1、比較例1ともに微小共振器効果により発光スペクトルの半値幅が狭くなっているが、透明度の高い第2電極を持つ実施例1は、比較例1に比べ、ピーク強度が高くなっている。これは、比較例1の第2電極が実施例1の第2電極よりも可視光吸収が大きいためである。
この時の電流効率は、実施例1および比較例1でそれぞれ、4.9cd/A、3.9cd/Aとなっており、本発明による有機EL素子(実施例1)で高い発光効率が得られた。
これにより、銀薄膜からなる電極を半透過反射電極として用いた微小共振器構造を有する有機EL素子の場合にも、本発明による積層銀薄膜による電極を用いることによる効果が示された。
100 透明導電膜積層体
102、302 基板
104、304 下地層
106、306 銀薄膜層
108 酸化物透明導電膜
110 支持基板
112 半導体薄膜
300 有機EL素子
308 第1電極
310 有機EL層
312 第2電極
314 透明な基板

Claims (10)

  1. 基板と、該基板上に設けられた第1電極と、該第1電極上に設けられた有機EL層と、該有機EL層上に設けられた第2電極とを少なくとも含む有機EL素子であって、前記第1電極若しくは第2電極、またはこれらの双方が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に設けられ、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く、さらに前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 銀薄膜層上に、酸化物透明導電膜をさらに設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記下地層の厚さが、0.1nm乃至4nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記銀薄膜層の厚さが、5nm乃至30nmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  5. 前記下地層の銀以外の金属が、金、アルミニウム、銅、インジウム、スズおよび亜鉛よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  6. (a)透明な基板上に透明な第1電極を形成する工程と、
    (b)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、
    (c)有機EL層上に第2電極を形成する工程を少なくとも含み、
    前記第1電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第1電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜され、さらに前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記第2電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第2電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜されることを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. (i)基板上に第1電極を形成する工程と、
    (ii)第1電極上に有機EL層を形成する工程と、
    (iii)有機EL層上に透明な第2電極を形成する工程を少なくとも含み、
    前記第2電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第2電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜され、さらに前記第1電極が形成する反射面と第2電極が形成する反射面との間の距離が、前記有機EL層から放射された光のうち特定波長の光強度を増強する微小共振器を構成するような光学距離であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  9. 前記第1電極が、銀以外の金属からなる下地層と銀または銀合金からなる銀薄膜層からなる積層透明導電膜であり、該積層透明導電膜の下地層が前記基板に近い側に形成され、且つ下地層の膜厚が銀薄膜層の膜厚よりも薄く形成され、前記第1電極を形成する工程が、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着により、真空状態を維持したまま連続して成膜されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. (iv)銀薄膜層上に酸化物透明導電膜をさらに形成する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
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