JP2010190390A - 転がり摺動部材及び転がり軸受並びに転がり摺動部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転がり摺動部材としての外輪1、内輪2及び転動体3を備える転がり軸受において、それぞれの転がり接触面である、外側軌道面11、内側軌道面21及び転走面31のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部5を形成し、前記凹部5の内面に撥油剤6を付着させた。
【選択図】図1
Description
次に、前記中間素材Bに熱処理を施して、当該中間素材Bの表面の硬さが、例えばHRC60から64の範囲になるように硬化させる〔図3(c)参照〕。
さらに、前記熱処理にて硬化された中間素材Bの軌道部分、端面及び内周面に研磨加工を施して、所定寸法に形成するとともに、前記軌道部分に超仕上げ加工を施し、内側軌道面21を所定の表面粗さに仕上げる〔図3(d)参照〕。
図4は、ころ軸受の一実施形態を示す断面図である。このころ軸受は、円すいころ軸受であり、内周にテーパ状の外側軌道面11を有する外輪1と、この外輪1と同軸に配置され、前記外側軌道面11に対向する外周に、テーパ状の内側軌道面21を有する内輪2と、前記外側軌道面11と内側軌道面21との間に介在した円すいころからなる複数の転動体3と、各転動体3を周方向に沿って所定間隔毎に保持する保持器4とを備えている。前記転動体3の外周面は、前記外側軌道面11及び内側軌道面21を転走する転走面31として構成されている。
また、前記保持器4は、金属製の筒体に、転動体3を収容するポケット部41を周方向に沿って所定間隔毎に複数個形成したものである。この保持器4のポケット部41は、転動体3に対するすべり接触面として構成されている。前記内輪2の鍔面25が転動体3の端面32に対するすべり接触面であり、前記保持器4のポケット部41が転動体3の転走面31に対するすべり接触面である。
前記内輪2及び外輪の少なくとも一方には、前記転動体3の端面32と摺接して当該転動体3の転走を案内する鍔面25が形成されている。図の場合、前記鍔面25は、前記内輪2の両端部及び外輪1の一方の端部に形成されている。前記各鍔面25が転動体3の端面32に対するすべり接触面である。また、前記保持器4のポケット部41は、転動体3に対するすべり接触面として構成されている。
なお、前記ころ軸受において、保持器4が軌道輪、例えば内輪2の鍔面25の外周面に接触してその回転が案内される場合には、保持器4のガイド面又は前記鍔面25の外周面に、多数の微細な凹部5を形成して、この凹部5の内面に撥油剤6を付着させてもよい。
なお、前記スラストころ軸受としては、転動体3として玉を用い、外側軌道面11及び内側軌道面21を、前記玉が転走可能な断面円弧状としたスラスト玉軸受であってもよい。この場合、前記玉からなる転動体3の外周面が、転走面として構成され、その外側軌道面、内側軌道面、転走面及び保持器のポケット部のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部5が形成され、前記凹部5の内面に撥油剤が付着される。
また、保持器4が軌道輪、外側軌道面11又は内側軌道面21に接触してその回転がガイドされる場合には、保持器4がガイド面、外側軌道面11及び内側軌道面21のうちの何れかに、多数の微細な凹部5を形成し、この凹部5の内面に撥油剤6を付着させてもよい。
ショットピーニングに使用する投射粒子として、鉄系アトマイズ球状粒子(炭素、ケイ素及びマンガン含有炭素鋼、平均硬さ:860Hv、粒子径: 約40μm)を用いた。この投射粒子に粒径が約10μmのフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を、当該球状粒子と当該フッ素樹脂製粒子との質量比が7:1となるように混合した。得られた混合粒子を光学顕微鏡で観察したところ、粒子同士が凝集していたが、フッ素樹脂粒子は、投射粒子と混ざることにより、投射粒子を覆うように凝集していることが確認された。
実施例1において、フッ素樹脂粒子を使用しなかったことを除き、実施例1と同様にして、投射粒子のみをピーニング装置で試験片に投射することにより、ショットピーニングを行なった。
実施例1で用いたのと同じ種類の試験片を用い、その試験片にショットピーニングを行なわなかった試験片をそのまま用いた。
実施例1、比較例1及び比較例2の各試験片にスピンドル油を滴下し、なじみ試験(摩擦速度0.6m/s、荷重49N、600秒)を行なった後、スピンドル油を新たなものと交換した。
実験例1において、一定荷重のもとで摩擦速度を段階的に変化させたこと以外は、実験例1と同様にして試験を行ない、摩擦速度/荷重の値(以下、V/P値という)と摩擦係数との関係を調べた。その結果を図8に示す。図8において、黒塗り矩形は実施例1の試験片を用いたときの結果、黒塗り四角形は比較例1の試験片を用いたときの結果、黒塗り円形は比較例2の試験片を用いたときの結果を示す。
ショットピーニングに使用する投射粒子として、ガラスビーズ(粒子径:約55μm)を用いた。このガラスビーズと粒径が10μm以下のフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)粒子とを、当該ガラスビーズと当該フッ素樹脂粒子との質量比が7:1となるように混合した。得られた混合粒子を光学顕微鏡で観察したところ、フッ素樹脂粒子は、ガラスビーズと混ざることにより、ガラスビーズを覆うように付着していることが確認された。
実施例2において、フッ素樹脂粒子を使用しなかったことを除き、実施例2と同様にしてショットピーニングを行なった後、ディスク試験片の摩擦試験を行ない、摩擦距離と摩擦係数との関係を調べた。その結果を図9のBに示す。
実施例2で用いたものと同じ種類のディスク試験片を用い、この試験片にショットピーニングを行なわなかったことを除き、実施例2と同様にしてディスク試験片の摩擦試験を行ない、摩擦距離と摩擦係数との関係を調べた。その結果を図9のCに示す。
11 外側軌道面(転がり接触面)
2 内輪(転がり摺動部材)
21 内側軌道面(転がり接触面)
25 鍔面
3 転動体(転がり接触面)
4 保持器
41 ポケット部
42 ガイド面
5 凹部
6 撥油剤
7 投射粒子
B 中間素材
Claims (11)
- 相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる接触面を有する金属製の転がり摺動部材であって、
前記接触面に多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とする転がり摺動部材。 - 前記凹部がショットピーニングによって形成され、前記撥油剤がショットピーニング用の投射粒子とともに投射されて前記凹部に付着されている請求項1に記載の転がり摺動部材。
- 前記撥油剤がフッ素樹脂である請求項1又は2に記載の転がり摺動部材。
- 所定形状に形成された金属製の中間素材を研磨して、相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる接触面を形成する工程と、
前記接触面にショットピーニングによって投射粒子とともに撥油剤を投射して、前記接触面に多数の微細な凹部を形成すると同時に、凹部の内面に前記撥油剤を付着させる工程と、
を含むことを特徴とする転がり摺動部材の製造方法。 - 前記撥油剤を付着させた投射粒子を接触面に投射する請求項4に記載の転がり摺動部材の製造方法。
- 前記撥油剤としてフッ素樹脂を用いる請求項4又は5に記載の転がり摺動部材の製造方法。
- 内周に転がり接触面としての外側軌道面を有する外輪と、
前記外輪と同軸に配置され、外周に転がり接触面としての内側軌道面を有する内輪と、
前記外側軌道面と内側軌道面との間に介在し、外周に前記外側軌道面及び内側軌道面に対する転がり接触面である転走面を有する複数の転動体とを備え、
前記外側軌道面、内側軌道面及び転走面のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とする転がり軸受。 - 内周に転がり接触面としての外側軌道面を有する外輪と、
前記外輪と同軸に配置され、外周に転がり接触面としての内側軌道面を有する内輪と、
前記外側軌道面と内側軌道面との間に介在し、外周が前記外側軌道面及び内側軌道面に対する転がり接触面である転走面を構成している複数の玉からなる転動体と、
前記転動体をポケット部に収容し、周面に内輪の外周面又は外輪の内周面に対するすべり接触面であるガイド面を有する保持器とを備えるラジアル玉軸受であって、
前記外側軌道面、内側軌道面、転走面、保持器のポケット部及び保持器のガイド面のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とするラジアル玉軸受。 - 内周に転がり接触面としての外側軌道面を有する外輪と、
前記外輪と同軸に配置され、外周に転がり接触面としての内側軌道面を有する内輪と、
前記外側軌道面と内側軌道面との間に介在し、外周に前記外側軌道面及び内側軌道面に対する転がり接触面である転走面を有する複数のころからなる転動体と、
前記転動体をポケット部に収納する保持器とを備え、
前記内輪又は外輪の少なくとも一方に、前記転動体の端面に対するすべり接触面である鍔面を形成しているころ軸受であって、
前記外側軌道面、内側軌道面、転走面、転動体の端面、鍔面及び保持器のポケット部のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とするころ軸受。 - 一側面に転がり接触面としての外側軌道面を有する外輪と、
一側面に転がり接触面としての内側軌道面を有し、この内側軌道面を前記外輪の外側軌道面に対して軸方向に隙間を設けた状態で対向配置させた内輪と、
前記外側軌道面と内側軌道面との間に介在し、外周に前記外側軌道面及び内側軌道面に対する転がり接触面である転走面を有する複数のころからなる転動体と、
前記転動体をポケット部に収容する保持器とを備えるスラストころ軸受であって、
前記外側軌道面、内側軌道面、転走面、転動体の端面及び保持器のポケット部のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とするスラストころ軸受。 - 一側面に転がり接触面としての外側軌道面を有する外輪と、
一側面に転がり接触面としての内側軌道面を有し、この内側軌道面を前記外輪の外側軌道面に対して軸方向に隙間を設けた状態で対向配置された内輪と、
前記外側軌道面と内側軌道面との間に介在し、外周が前記外側軌道面及び内側軌道面に対する転がり接触面である転走面を構成する複数の玉からなる転動体と、
前記転動体をポケット部に収容する保持器とを備えるスラスト玉軸受であって、
前記外側軌道面、内側軌道面、転走面及び保持器のポケット部のうちの少なくとも1つに、多数の微細な凹部が形成され、前記凹部の内面に撥油剤が付着していることを特徴とするスラスト玉軸受。
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