JP2010181970A - 生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】生体認証の精度を向上させること。
【解決手段】
複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定し、複数次元の相関データを各分布の第1主成分軸に射影させて各分布に関する1次元データを生成し、各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出し、複数の生体サンプルに関して算出された各分布のマハラノビス距離に基づき、同一の生体サンプルと異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する、生体認証用装置が提供される。
【選択図】図3
【解決手段】
複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定し、複数次元の相関データを各分布の第1主成分軸に射影させて各分布に関する1次元データを生成し、各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出し、複数の生体サンプルに関して算出された各分布のマハラノビス距離に基づき、同一の生体サンプルと異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する、生体認証用装置が提供される。
【選択図】図3
Description
本発明は、生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラムに関する。
近年、情報化社会の進展に伴い、個人が保持する情報の価値や重要性が急速に高まっている。こうした状況の中で、堅牢な情報管理を実現する手法として生体認証技術(バイオマトリックス技術)に大きな注目が集まっている。生体認証とは、人間の体(生体)の特徴的な部分(以下、生体部位)を利用して本人又は他人を特定することである。例えば、異なる生体間では指紋が互いに異なるため、指紋を生体認証に用いることができる。指紋と同様に、人間の声紋、顔の形状、手の形状、虹彩パターン、静脈パターン等も異なる生体間で互いに異なる特徴を有する。そのため、これらの特徴量を生体認証に利用して個人を特定したり、認証処理や探索処理等を行ったりすることができる。
このように、生体認証を利用して個人を特定したり、認証処理や探索処理等を行ったりするには、生体部位から取得された特徴量の比較処理を行う必要がある。そのため、生体部位の特徴量(例えば、指紋、声紋、静脈パターン等)が比較可能なデータ(例えば、画像データ、音声データ、3次元座標データ、アイリスコード等)の形式で取得される。次いで、このような形式で本人が予め登録しておいた「参照データ」と、認証操作の際に入力された「入力データ」とが何らかの方式で比較され、類似性が測定される。そして、比較の結果得られた類似性に基づいて個人の特定や認証処理等が行われる。
生体認証に関し、下記の特許文献1には、生体パターンによる本人認証を行う前に、生体認証センサで検出された生体パターンが生体のものであるか、或いは、非生体のものであるかを判別する技術が開示されている。特に、同文献には、生体パターンに見られる固有の統計的な傾向を捉えて生体と非生体とを判別する技術が開示されている。例えば、生体の血管パターンは一定の方向に揃う傾向がある。この傾向に関し、同文献では、血管パターンを形成する各線分の角度分布や分布強度等に基づいて生体パターンと非生体パターンとを判別し、その判別結果に応じて疑似血管パターン等を排除する方法が提案されている。このような方法を用いることで、より高精度に生体認証を行うことが可能になる。
上記文献に記載の技術は、生体パターンの形状値に関する2以上の指標値を参照し、2以上の指標値で表現される形状値の分布から生体パターンと非生体パターンとを判別するための境界値を決定する技術に関する。また、同技術は、当該境界値を用いて生体と非生体とを判別する技術に関する。特に、同技術では、分布の広がりが考慮されており、分布中心からのマハラノビス距離により境界値が表現されている。しかし、同技術では、分布の広がりが持つ方向性については考慮されていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、分布の広がりが持つ方向性を考慮して本人判定に用いる基準値を決定することにより、本人認証の精度をさらに高めることが可能な、新規かつ改良された生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析部と、前記複数次元の相関データを前記主成分分析部で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成部と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出部と、前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出部で算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定部と、を備える、生体認証用装置が提供される。
また、上記の生体認証用装置は、前記複数の生体サンプルから取得された生体パターンについて当該各生体パターンの特徴点配置に関する第1相関値と、当該各生体パターンの特徴点を結ぶ線分の傾きに関する第2相関値とが記録されたサンプルデータ記憶部をさらに備えていてもよい。この場合、前記主成分分析部は、前記サンプルデータ記憶部に記録された第1相関値及び第2相関値の組を前記複数次元の相関データとして主成分分析する。
また、前記1次元データ生成部は、前記複数次元の相関データに対し、前記第1主成分軸を1つの座標軸とする座標系に座標変換を施す座標変換部と、前記座標変換部により座標変換が施された前記複数次元の相関データから、前記第1主成分軸の成分を抽出して1次元データを生成する第1主成分抽出部と、を含むように構成されていてもよい。
また、前記生体パターンは、静脈パターン、指紋パターン、虹彩パターンのいずれか又は複数の組み合わせであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定の生体部位から生体パターンを取得する生体認証センサと、登録済みの生体パターンが記録された登録パターン記憶部と、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成部と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成部で生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出部と、前記マハラノビス距離算出部で算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定部と、を備える、生体認証装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析部と、前記複数次元の第1相関データを前記主成分分析部で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する第1の1次元データを生成する第1の1次元データ生成部と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記第1の1次元データの各点までの第1のマハラノビス距離を算出する第1のマハラノビス距離算出部と、前記複数の生体サンプルに関して前記第1のマハラノビス距離算出部で算出された前記各分布の第1のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定部と、を有する、生体認証用装置と;所定の生体部位から生体パターンを取得する生体認証センサと、登録済みの生体パターンが記録された登録パターン記憶部と、前記同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び前記異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する第2の1次元データを生成する第2の1次元データ生成部と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記第2の1次元データまでの第2のマハラノビス距離を算出する第2のマハラノビス距離算出部と、前記第2のマハラノビス距離算出部で算出された第2のマハラノビス距離及び前記判別基準値決定部で決定された判別基準値に基づいて前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定部と、を有する、生体認証装置と;を含む、生体認証システムが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析ステップと、前記複数次元の相関データを前記主成分分析ステップで決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成ステップと、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出ステップと、前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出ステップで算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定ステップと、を含む、判別基準決定方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成ステップと、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成ステップで生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出ステップと、前記マハラノビス距離算出ステップで算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定ステップと、を含む、生体認証方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析ステップと、前記複数次元の第1相関データを前記主成分分析ステップで決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する第1の1次元データを生成する第1の1次元データ生成ステップと、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記第1の1次元データの各点までの第1のマハラノビス距離を算出する第1のマハラノビス距離算出ステップと、前記複数の生体サンプルに関して前記第1のマハラノビス距離算出ステップで算出された前記各分布の第1のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定ステップと、前記同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び前記異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する第2の1次元データを生成する第2の1次元データ生成ステップと、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記第2の1次元データまでの第2のマハラノビス距離を算出する第2のマハラノビス距離算出ステップと、前記第2のマハラノビス距離算出ステップで算出された第2のマハラノビス距離及び前記判別基準値決定ステップで決定された判別基準値に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定ステップと、を含む、生体認証方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析機能と、前記複数次元の相関データを前記主成分分析機能で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成機能と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出機能と、前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出機能で算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成機能と、前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成機能で生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出機能と、前記マハラノビス距離算出機能で算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体が提供されうる。
以上説明したように本発明によれば、分布の広がりが持つ方向性を考慮して本人判定に用いる基準値を決定することにより、本人認証の精度をさらに高めることが可能になる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、同実施形態に係る生体認証システム10の構成について説明する。次いで、図2を参照しながら、同実施形態に係る生体認証センサ100の一例である静脈認証センサの構成について説明する。次いで、図3を参照しながら、同実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成について説明する。
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、同実施形態に係る生体認証システム10の構成について説明する。次いで、図2を参照しながら、同実施形態に係る生体認証センサ100の一例である静脈認証センサの構成について説明する。次いで、図3を参照しながら、同実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成について説明する。
次いで、図4〜図10を参照しながら、同実施形態に係る本人認証に用いる判別基準値の決定方法について説明する。まず、図4を参照しながら、同方法に関する全体的な処理の流れについて説明する。次いで、図5、図6を参照しながら、相関値の計算方法について説明する。次いで、図7、図8を参照しながら、主成分軸の計算方法について説明する。次いで、図9、図10を参照しながら、マハラノビス距離の計算方法について説明する。この説明の中で、図10を参照しながら、判別基準値の決定方法について説明する。
次いで、図11を参照しながら、同実施形態に係る生体認証装置130の機能構成について説明する。次いで、図12を参照しながら、同実施形態に係る生体認証処理の流れについて説明する。次いで、図13、図14を参照しながら、同実施形態に係る判別基準値の決定処理及び認証処理を含む全体的な処理の流れについて説明する。次いで、図15〜図18を参照しながら、同実施形態に係る技術を適用することにより得られる効果について説明する。次いで、同実施形態に係る判別基準決定装置110、及び生体認証装置130のハードウェア構成例について説明する。
(説明項目)
1:生体認証システム10の構成
1−1:生体認証センサ100の構成
1−2:判別基準決定装置110の機能構成
1−3:生体認証装置130の機能構成
1−4:生体認証システム10による全体的な処理の流れ
2:生体認証システム10を適用することで得られる効果
3:判別基準決定装置110、生体認証装置130のハードウェア構成
1:生体認証システム10の構成
1−1:生体認証センサ100の構成
1−2:判別基準決定装置110の機能構成
1−3:生体認証装置130の機能構成
1−4:生体認証システム10による全体的な処理の流れ
2:生体認証システム10を適用することで得られる効果
3:判別基準決定装置110、生体認証装置130のハードウェア構成
<実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、より高精度な生体認証を実現するために、より精度良く本人と他人とを判別することが可能な基準値の決定方法が提案される。また、同方法で決定された判別基準値を用いて生体認証を行う方法についても提案される。これらの方法を適用することで精度良く生体認証を行うことができる。
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、より高精度な生体認証を実現するために、より精度良く本人と他人とを判別することが可能な基準値の決定方法が提案される。また、同方法で決定された判別基準値を用いて生体認証を行う方法についても提案される。これらの方法を適用することで精度良く生体認証を行うことができる。
[1:生体認証システム10の構成]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る生体認証システム10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る生体認証システム10の構成例を示す説明図である。
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る生体認証システム10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る生体認証システム10の構成例を示す説明図である。
図1に示すように、生体認証システム10は、主に、生体認証センサ100と、判別基準決定装置110と、生体認証装置130とを含む。生体認証センサ100は、生体部位から生体情報を取得する手段である。また、判別基準決定装置110は、2つの生体情報が同一生体のものであるか否かを判別するための判別基準値を決定する手段である。そして、生体認証装置130は、判別基準値に基づき、ユーザ毎に予め登録された生体情報(参照データ)と生体認証を行う際に入力された生体情報(入力データ)とを照合し、入力データに対応するユーザを特定する手段である。なお、判別基準決定装置110は、生体認証用装置の一例である。
生体認証システム10においては、まず、生体認証センサ100を用いて多数の生体サンプルから生体情報が取得される。以下の説明においては、この段階で生体サンプルから取得される生体情報のことをサンプルデータと呼ぶことにする。これらのサンプルデータは、判別基準決定装置110に入力される。但し、各サンプルデータに対応する生体サンプル(入力ユーザ)は既知であり、判別基準決定装置110には、各サンプルデータと各生体サンプルの情報とが対応付けて記録されているものとする。これら多数のサンプルデータに基づき、判別基準決定装置110は、判別基準値を決定する。
判別基準決定装置110で決定された判別基準値を含む情報(以下、本人判定用パラメータ)は、生体認証装置130に入力される。また、生体認証装置130には、生体認証センサ100を用いて予め参照データが入力されている。生体認証センサ100から生体認証装置130に入力データが入力されると、生体認証装置130は、入力された本人判定用パラメータを用いて各参照データと入力データとを照合する。この照合処理の結果、判別基準値を上回る類似度を持つ参照データが検出された場合、生体認証装置130は、その参照データに対応するユーザが入力データに対応するユーザであると判定する。
このように、生体認証においては、入力データと参照データとの照合精度が生体認証の精度を左右する。そのため、認証精度を高めるためには、同じユーザの生体情報をより正確に同じと判別し、異なるユーザの生体情報をより正確に違うと判別する工夫が必要である。通常、生体認証においては、生体情報として指紋画像や静脈パターン画像等が入力され、こうした画像データの類似度合いを定量化して閾値判定が行われる。
そして、この閾値判定の結果に応じて比較対象である2つの画像データの同一性が判別される。このとき、同じユーザの生体パターンを比較した結果と、異なるユーザの生体パターンを比較した結果とで定量化した値の分布が明確に区別できない状態であると、閾値判定により誤った判定結果が得られる確率が高まる。その結果、認証精度が低下してしまう。そこで、本実施形態においては、両分布が明確に区別されるように生体情報を定量化する手法が提案される。この定量化手法は、後述する判別基準決定装置110、及び生体認証装置130により実現される。
以下、生体認証システム10に含まれる生体認証センサ100、判別基準決定装置110、及び生体認証装置130について、より詳細に説明する。
(1−1:生体認証センサ100の構成)
まず、生体認証センサ100について説明する。生体認証システム10において、ユーザは、生体認証センサ100を用いて所定の生体部位から取得される生体情報を入力し、生体認証を行う。生体情報としては、例えば、静脈、指紋、虹彩、顔、声紋等に現れる生体パターンが用いられる。本実施形態では、個々のユーザに固有の特徴的な形状値を含む任意の生体パターンを用いることができる。
まず、生体認証センサ100について説明する。生体認証システム10において、ユーザは、生体認証センサ100を用いて所定の生体部位から取得される生体情報を入力し、生体認証を行う。生体情報としては、例えば、静脈、指紋、虹彩、顔、声紋等に現れる生体パターンが用いられる。本実施形態では、個々のユーザに固有の特徴的な形状値を含む任意の生体パターンを用いることができる。
生体認証センサ100は、ユーザが所定の生体部位をセンシングエリアに近接又は載置させた場合に当該生体部位から生体パターンを取得する手段である。ここで言うセンシングエリアとは、載置された生体部位から生体パターンを取得するのに好適な領域のことである。例えば、光照射手段と撮像手段との間にセンシングエリアが設けられる。この場合、センシングエリアに載置された生体部位に向けて効率的に光が照射され、生体部位を透過又は生体部位の内部で散乱した光が撮像手段に効率的に入射されるように、センシングエリアの位置が設定される。
(静脈認証センサについて)
ここで、図2を参照しながら、生体認証センサ100の一例として静脈認証センサを取り上げ、具体的に静脈認証センサの構成及び動作について説明する。図2は、静脈認証センサの主要な構成及び動作を示す説明図である。なお、図2には、静脈認証センサで取得された生体部位(指FG)の撮影画像(A)、及び当該撮影画像(A)に画像処理を施すことで得られる静脈画像(B)が併せて掲載されている。
ここで、図2を参照しながら、生体認証センサ100の一例として静脈認証センサを取り上げ、具体的に静脈認証センサの構成及び動作について説明する。図2は、静脈認証センサの主要な構成及び動作を示す説明図である。なお、図2には、静脈認証センサで取得された生体部位(指FG)の撮影画像(A)、及び当該撮影画像(A)に画像処理を施すことで得られる静脈画像(B)が併せて掲載されている。
図2に示すように、静脈認証センサは、主に、近赤外光照射光源(LED102)、及び撮像素子104を有する。静脈認証センサは、センシングエリア(架台等)に載置された生体部位(例えば、指FG)を撮像し、生体部位の内部に存在する静脈の撮像画像(静脈画像(B))を生成する。但し、上記のLEDは、Light Emitting Diodeの略である。なお、図2の例では、近赤外光照射光源としてLEDを用いているが、本実施形態の適用範囲はこれに限定されず、LED以外の光源を用いてもよい。
LED102は、センシングエリアに載置された生体部位に所定の波長帯域の近赤外光を照射する手段である。近赤外光は、身体組織に対して透過性が高い一方で、血液中のヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に吸収され易いという特徴を有する。そのため、近赤外光を生体部位(例えば、指、手のひら、手の甲等)に照射すると、生体部位の内部に分布する静脈が影として観測される。このようにして観測される静脈の影を静脈パターンという。なお、静脈パターンは、上記の生体パターンの一例である。このような静脈パターンを良好に撮像するためには、所定の波長帯域が約600nm〜1300nm程度(好ましくは、700nm〜900nm程度)の近赤外光を用いることが好ましい。
例えば、LED102により照射される近赤外光の波長が600nm未満又は1300nm超過である場合、近赤外光が血液中のヘモグロビンに吸収される割合が小さくなり、良好な静脈パターンが得られない。逆に、LED102により照射される近赤外光の波長が700nm〜900nm程度である場合、近赤外光が脱酸素化ヘモグロビン及び酸素化ヘモグロビンの双方に対して特異的に吸収されることにより、良好な静脈パターンが得られる。なお、上記波長帯域を含む光を発光可能なLED102と上記波長帯域を通過させる帯域通過フィルタ(非図示)とを組み合わせることで、このような波長帯域の近赤外光を照射可能な近赤外光源を容易に実現することができる。
上記のようにしてLED102から照射された近赤外光(照射光L11)は、指FGの内部で静脈に散乱され、散乱光L13として撮像素子104に入射する。そして、撮像素子104は、入射した散乱光L13により撮像画像(A)を生成する。撮像素子104としては、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。撮像素子104から出力された撮影画像(A)には、図示しない画像処理部で所定の画像処理が施され、静脈画像(B)が生成される。ここで施される所定の画像処理は、例えば、エッジ検出処理、平滑化処理、2値化処理、細線化処理等である。
以上説明したように、静脈認証センサは、LED102により照射光L11を指FGに照射し、指FGの内部を通過した散乱光L13を撮像素子104で撮影し、その撮影画像(A)に所定の画像処理を施すことで静脈画像(B)を生成する(S10)。このようにして生成された静脈画像(B)は、生体情報として判別基準決定装置110、又は生体認証装置130に入力される(図1を参照)。但し、判別基準決定装置110には生体サンプルから取得された生体情報(サンプルデータ)が入力され、生体認証装置130には認証対象となる生体情報(認証用データ;参照データ、入力データ)が入力される。
(1−2:判別基準決定装置110の機能構成)
次に、判別基準決定装置110について説明する。まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成例を示す説明図である。
次に、判別基準決定装置110について説明する。まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成例を示す説明図である。
図3に示すように、判別基準決定装置110は、主に、記憶部112と、相関計算部114と、主成分分析部116と、マハラノビス距離計算部118と、閾値直線決定部120とを有する。上記の通り、判別基準決定装置110には、生体認証センサ100から多数のサンプルデータが入力される。これらの入力されたサンプルデータは、記憶部112に記録され、判別基準値の決定に用いられる。
なお、記憶部112は、サンプルデータ記憶部の一例である。また、主成分分析部116は、1次元データ生成部、座標変換部、第1主成分抽出部の一例である。マハラノビス距離計算部118は、マハラノビス距離算出部の一例である。そして、閾値直線決定部120は、判別基準値決定部の一例である。
(相関計算部114)
まず、相関計算部114について説明する。相関計算部114は、記憶部112に記録された多数のサンプルデータを読み出す。記憶部112に記録されるサンプルデータは、例えば、静脈パターン等の生体パターンを撮影し、画像処理S10を施して得られた画像データである。この画像データは、上記の画像処理S10において生体パターンに含まれる特徴点の座標情報、及び特徴点間を結ぶ線分の情報(以下、線分情報)に変換されている。つまり、記憶部112には、各サンプルデータを形成する特徴点の座標情報及び線分情報が記録されている。そこで、相関計算部114は、各サンプルデータの座標情報及び線分情報を用いて後述する画素相関値及びハフ相関値を算出する。
まず、相関計算部114について説明する。相関計算部114は、記憶部112に記録された多数のサンプルデータを読み出す。記憶部112に記録されるサンプルデータは、例えば、静脈パターン等の生体パターンを撮影し、画像処理S10を施して得られた画像データである。この画像データは、上記の画像処理S10において生体パターンに含まれる特徴点の座標情報、及び特徴点間を結ぶ線分の情報(以下、線分情報)に変換されている。つまり、記憶部112には、各サンプルデータを形成する特徴点の座標情報及び線分情報が記録されている。そこで、相関計算部114は、各サンプルデータの座標情報及び線分情報を用いて後述する画素相関値及びハフ相関値を算出する。
(画素相関値について)
ここで言う画素相関値とは、2つの生体パターンに対応するサンプルデータの座標情報を用いて算出される相関係数のことを意味する。例えば、相関係数は、下記の式(1)で定義される。但し、各画素の座標を(m,n)と表現し、比較対象となる2つの生体サンプルの画素情報をf1、f2と表現している。例えば、座標(10,15)に画素情報f1に対応するサンプルデータの特徴点が存在する場合、f1(10,15)=1と表現される。一方、座標(100,2)に画素情報f1に対応するサンプルデータの特徴点が存在しない場合、f1(100,2)=0と表現される。
ここで言う画素相関値とは、2つの生体パターンに対応するサンプルデータの座標情報を用いて算出される相関係数のことを意味する。例えば、相関係数は、下記の式(1)で定義される。但し、各画素の座標を(m,n)と表現し、比較対象となる2つの生体サンプルの画素情報をf1、f2と表現している。例えば、座標(10,15)に画素情報f1に対応するサンプルデータの特徴点が存在する場合、f1(10,15)=1と表現される。一方、座標(100,2)に画素情報f1に対応するサンプルデータの特徴点が存在しない場合、f1(100,2)=0と表現される。
下記の式(1)に示す相関係数S1(f1,f2)は、2つのサンプルデータf1、f2間の類似度を示す統計学指標である。相関係数S1が1に近い程、2つのサンプルデータが類似している。逆に、相関係数S1が0に近い程、2つのサンプルデータが相違している。従って、2つのサンプルデータf1、f2が完全に一致していれば、上記の相関係数S1の値は1となる。つまり、同一の生体サンプルから取得されたサンプルデータの相関係数S1は1に近い値になる。もちろん、同一のサンプルデータを用いて算出される相関係数S1は1になる。一方、異なる生体サンプルから取得されたサンプルデータの相関係数S1は1よりも十分に小さい値になることが期待される。
(ハフ相関値について)
一方、上記のハフ相関値とは、生体パターンの各線分(直線)をハフ(Hough)変換して得られるハフ空間上の各特徴点について、下記の式(2)を用いて算出される相関係数S2のことを意味する。ハフ変換とは、例えば、x−y空間で定義される直線Lを2つのパラメータr、θで表現し、直線Lをr−θ空間の1点に変換する方法である。例えば、変換式をr=x・cosθ+y・sinθと表現すると、直線L上の座標点(x0,y0)は、r−θ空間上の曲線r=x0・cosθ+y0・sinθに変換される。同様に、k=1,…,N−1について、直線L上の座標点(xk,yk)は、r−θ空間上の曲線r=xk・cosθ+yk・sinθに変換される。
一方、上記のハフ相関値とは、生体パターンの各線分(直線)をハフ(Hough)変換して得られるハフ空間上の各特徴点について、下記の式(2)を用いて算出される相関係数S2のことを意味する。ハフ変換とは、例えば、x−y空間で定義される直線Lを2つのパラメータr、θで表現し、直線Lをr−θ空間の1点に変換する方法である。例えば、変換式をr=x・cosθ+y・sinθと表現すると、直線L上の座標点(x0,y0)は、r−θ空間上の曲線r=x0・cosθ+y0・sinθに変換される。同様に、k=1,…,N−1について、直線L上の座標点(xk,yk)は、r−θ空間上の曲線r=xk・cosθ+yk・sinθに変換される。
このとき、(xk,yk)が直線L上にあるため、r−θ空間上に描かれるN本の曲線r=xk’・cosθ+yk’・sinθ(k’=0,…,N−1)は1点で交わる。この点が直線Lを特徴付けるハフ空間(r−θ空間)上の特徴点である。例えば、生体パターンの特徴点(xk,yk)(k=1,2)を結ぶ線分L12は、ハフ空間上におけるr=xk・cosθ+yk・sinθ(k=1,2)の交点(r12,θ12)で特徴付けられる。このように、ハフ変換を用いることで、生体パターンの特徴点を結ぶ各線分がハフ空間における特徴点の分布として得られる。
例えば、ハフ空間上の座標を(m’,n’)と表現し、比較対象となる2つのサンプルデータについて各線分を特徴付けるハフ変換値をhf1、hf2と表現する。但し、ハフ変換値hf1(m’,n’)は、サンプルデータの線分に対応するハフ変換値が座標(m’,n’)に存在する場合にhf1(m’,n’)=1をとり、存在しない場合にhf1(m’,n’)=0をとるものとする。同様に、ハフ変換値hf2(m’,n’)は、サンプルデータの線分に対応するハフ変換値が座標(m’,n’)に存在する場合にhf2(m’,n’)=1をとり、存在しない場合にhf2(m’,n’)=0をとるものとする。このような表現を用いると、ハフ相関値S2は、下記の式(2)のように表現される。
以上説明したように、相関計算部114は、記憶部112に記録された全てのサンプルデータについて画素相関値、及びハフ相関値を計算する。相関計算部114で算出された(画素相関値,ハフ相関値)の分布を2次元プロットすると、図6に例示するような分布図が得られる。なお、相関計算部114は、同一の生体サンプルについて算出した画素相関値及びハフ相関値と、相異なる生体サンプルについて算出した画素相関値及びハフ相関値とを区別するための識別情報を保持している。そのため、図6に例示した分布図の中で、同一の生体サンプルに関する分布(以下、本人分布)と、相異なる生体サンプルに関する分布(以下、他人分布)とを区別することができる。
その結果、図6の分布図から本人分布と他人分布とを分ける境界線(本人判定用閾値)を決定することが可能になる。しかしながら、図6に例示した分布図から明らかなように、本人分布と他人分布とが境界線付近で少しだけ重なっており、本人判定用閾値を用いて生体サンプルの同一性を判別した場合、判別結果に誤りを含む可能性が大きい。
そこで、本実施形態においては、画素相関値−ハフ相関値の分布から判別基準値を決定せず、さらに本人分布と他人分布とが明確に区別可能な分布形態に変換してから判別基準値の決定を行う。そのため、相関計算部114で算出された画素相関値、及びハフ相関値は主成分分析部116に入力される(図3を参照)。さらに、本人分布と他人分布とを区別するための識別情報が相関計算部114から主成分分析部116に入力される。
(主成分分析部116)
次に、主成分分析部116について説明する。図6に例示した分布図を参照すると、本人分布の広がりと他人分布の広がりとは異なる方向性を有していることが分かる。そこで、本実施形態においては、両分布が持つ方向性の違いを考慮して本人分布と他人分布とをより明確に区別できるように分布形態を変換する手法が提案される。特に、本実施形態では、主成分分析を用いて画素相関値−ハフ相関値の分布(以下、PH分布)を主成分方向に回転した上で第1主成分軸にサンプルデータのPH分布を射影して1次元分布に変換する手法が提案される。以下、この手法について詳細に説明する。
次に、主成分分析部116について説明する。図6に例示した分布図を参照すると、本人分布の広がりと他人分布の広がりとは異なる方向性を有していることが分かる。そこで、本実施形態においては、両分布が持つ方向性の違いを考慮して本人分布と他人分布とをより明確に区別できるように分布形態を変換する手法が提案される。特に、本実施形態では、主成分分析を用いて画素相関値−ハフ相関値の分布(以下、PH分布)を主成分方向に回転した上で第1主成分軸にサンプルデータのPH分布を射影して1次元分布に変換する手法が提案される。以下、この手法について詳細に説明する。
(主成分分析について)
まず、主成分分析について簡単に説明する。主成分分析とは、図8に示すように、多数の点で形成される点群の広がりが最も大きい方向を第1主成分軸として、また、第1主成分軸に直交し、かつ、点群の広がりが次に大きい方向を第2主成分軸として抽出する分析手法である。この分析手法は、多次元分布に対しても同様に用いることができる。N次元空間に広がりを持つ点群の場合、主成分分析によりN本の主成分軸を抽出することができる。つまり、主成分分析により主成分軸で定義される新たな座標系が形成される。
まず、主成分分析について簡単に説明する。主成分分析とは、図8に示すように、多数の点で形成される点群の広がりが最も大きい方向を第1主成分軸として、また、第1主成分軸に直交し、かつ、点群の広がりが次に大きい方向を第2主成分軸として抽出する分析手法である。この分析手法は、多次元分布に対しても同様に用いることができる。N次元空間に広がりを持つ点群の場合、主成分分析によりN本の主成分軸を抽出することができる。つまり、主成分分析により主成分軸で定義される新たな座標系が形成される。
ここで、主成分軸の具体的な算出方法について簡単に説明する。なお、簡単のため、図8に示すような2次元空間(x−y空間)上に分布する点群Qを考える。主成分軸を求めるには、点群Qに関する分散共分散行列Cの固有値λ1、λ2、及び固有ベクトルE1、E2を求めればよい。但し、固有値λ1、λ2はスカラー量であり、固有ベクトルE1、E2は2次元のベクトル量である。点群Qを構成する座標点(xk,yk)(k=0,…,N−1)の期待値を(μx,μy)(但し、μx=Σxk/N、μy=Σyk/N、Σ:k=0〜N−1に関する和)と表現すると、分散共分散行列Cは下記の式(3)及び式(4)で表現される。
そのため、固有値λ1、λ2は、下記の式(5)で表現される固有方程式を解くことにより得られる。但し、Iは2行2列の単位行列を表す。また、det(…)は行列式を表す。さらに、下記の式(6)及び式(7)の関係式、及び条件式|E1|=|E2|=1から固有ベクトルE1、E2が得られる。各主成分軸は点群Qの重心P0を通ることから、固有ベクトルE1、E2をE1=(e11,e12)、E2=(e21,e22)と表現すると、λ1>λ2の場合、第1主成分軸は下記の式(8)で表現され、第2主成分軸は下記の式(9)で表現される。
以上説明したように、上記の式(3)〜式(9)に関する演算を行うことで点群Qの主成分軸を算出することができる。本実施形態の場合、点群QとしてPH分布(本人分布、他人分布)が与えられる。また、上記の計算方法を用いて本人分布、及び他人分布の各々に対して主成分軸が算出される。
(本実施形態への適用)
まず、主成分分析部116は、相関計算部114から入力された本人分布Q1の期待値(μ1x,μ1y)を計算する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(3)及び式(4)に基づいて本人分布Q1の分散共分散行列C1を算出する。次いで、主成分分析部116は、分散共分散行列C1について上記の式(5)に相当する固有方程式を解き、固有値λ11、λ12を算出する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(6)及び式(7)に基づいて固有値λ11、λ12に各々対応する固有ベクトルE11、E12を算出する。その結果、上記の式(8)及び式(9)に基づいて主成分軸が決定される。
まず、主成分分析部116は、相関計算部114から入力された本人分布Q1の期待値(μ1x,μ1y)を計算する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(3)及び式(4)に基づいて本人分布Q1の分散共分散行列C1を算出する。次いで、主成分分析部116は、分散共分散行列C1について上記の式(5)に相当する固有方程式を解き、固有値λ11、λ12を算出する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(6)及び式(7)に基づいて固有値λ11、λ12に各々対応する固有ベクトルE11、E12を算出する。その結果、上記の式(8)及び式(9)に基づいて主成分軸が決定される。
同様に、主成分分析部116は、相関計算部114から入力された他人分布Q2の期待値(μ2x,μ2y)を計算する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(3)及び式(4)に基づいて本人分布Q2の分散共分散行列C2を算出する。次いで、主成分分析部116は、分散共分散行列C2について上記の式(5)の固有方程式を解き、固有値λ21、λ22を算出する。次いで、主成分分析部116は、上記の式(6)及び式(7)に基づいて固有値λ21、λ22に各々対応する固有ベクトルE21、E22を算出する。その結果、上記の式(8)及び式(9)に基づいて主成分軸が決定される。
このようにして本人分布及び他人分布の各々について主成分軸が算出される。各分布の主成分軸が算出されると、主成分分析部116は、点群Q1、Q2の各点を各分布の第1主成分軸に射影させ、点群Q1、Q2の次元を1次元に低減させる。具体的には、点群Q1、Q2の座標が各分布の主成分方向に変換され、第1主成分に対応する座標値のみが抽出される。
例えば、本人分布Q1について算出された第1主成分軸の傾きがθ1であると仮定する。この場合、本人分布Q1及び他人分布Q2に含まれる座標点(xk,yk)(k=0,…,N−1)は、第1主成分軸をp1x軸、第2主成分軸をp1y軸とする新たな座標系の座標点(p1xk,p1yk)に変換される。この座標変換の変換式は、下記の式(10)で表現される。この座標変換の後、主成分分析部116は、変換後の座標点p1xkを本人分布Q1に関する1次元データDQ1として抽出する。
同様に、他人分布Q2について算出された第1主成分軸の傾きがθ2であると仮定する。この場合、本人分布Q1及び他人分布Q2に含まれる座標点(xk,yk)(k=0,…,N−1)は、第1主成分軸をp2x軸、第2主成分軸をp2y軸とする新たな座標系の座標点(p2xk,p2yk)に変換される。この座標変換の変換式は、下記の式(11)で表現される。この座標変換の後、主成分分析部116は、変換後の座標点p2xkを他人分布Q2に関する1次元データDQ2として抽出する。
上記のように、PH分布に含まれる各点は、主成分分析部116により、本人分布Q1に対する1次元データDQ1、及び他人分布Q2に対する1次元データDQ2に変換される。そして、主成分分析部116により変換された1次元データDQ1、DQ2は、マハラノビス距離計算部118に入力される。
(マハラノビス距離計算部118)
上記の通り、マハラノビス距離計算部118には、主成分分析部116により本人分布Q1の第1主成分軸、及び他人分布Q2の第1主成分軸の各々に射影されたPH分布の各点に対応する1次元データDQ1、DQ2が入力される。そこで、マハラノビス距離計算部118は、これら1次元データDQ1、DQ2の各々について、各点と分布中心との間のマハラノビス距離を算出する。ここで、マハラノビス距離について簡単に説明する。
上記の通り、マハラノビス距離計算部118には、主成分分析部116により本人分布Q1の第1主成分軸、及び他人分布Q2の第1主成分軸の各々に射影されたPH分布の各点に対応する1次元データDQ1、DQ2が入力される。そこで、マハラノビス距離計算部118は、これら1次元データDQ1、DQ2の各々について、各点と分布中心との間のマハラノビス距離を算出する。ここで、マハラノビス距離について簡単に説明する。
例えば、ある集合に属すると期待される多数の標本点が存在する場合、ある標本点がその集合に属する可能性は、その標本点が全標本点の重心に近いほど高いと考えられる。この考えから、重心から標本点までのユークリッド距離に基づいて各標本点が集合へ帰属する可能性を判断できるのではないかと考えられる。しかしながら、ある標本点が集合に帰属すると判断すべき最大のユークリッド距離を決定することは非常に難しい。そのため、各標本点について集合への帰属可能性を考える場合には、標本点の密度や広がり具合等の統計量を考慮した一種の距離であるマハラノビス距離が用いられる。例えば、マハラノビス距離は、データのクラスタリングなどを行う際によく用いられる。
例えば、観測点をx=(x1,…,xp)T、p次元空間上にある点群Qの中心をμ=(μ1,…,μp)T、点群Qの分散共分散行列をCと表現すると、観測点xに関するp次元のマハラノビス距離Dm(x)は、下記の式(12)で定義される。また、次元数p=1の場合、分散共分散行列Cが分散σ2になるため、1次元のマハラノビス距離Dm(x)は、下記の式(13)のように表現される。但し、σは点群Qの標準偏差を表す。
さて、本実施形態においては、主成分分析部116から入力された本人分布Q1及び他人分布Q2に関する1次元データDQ1、DQ2についてマハラノビス距離が算出される。このように、マハラノビス距離の算出対象が1次元である場合、上記の式(13)が用いられる。まず、マハラノビス距離計算部118は、1次元データDQ1、DQ2の各々に関して標準偏差σ1、σ2を算出する。次いで、マハラノビス距離計算部118は、上記の式(13)に基づいて1次元データDQ1、DQ2の各々に対応するマハラノビス距離Dm1、Dm2を算出する。そして、マハラノビス距離計算部118で算出された本人分布Q1及び他人分布Q2に各々対応するマハラノビス距離Dm1、Dm2は、閾値直線決定部120に入力される。
(閾値直線決定部120)
さて、上記のマハラノビス距離Dm1、Dm2を2次元データとしてプロットすると、図10に例示するような分布図が得られる。図10の分布図から明らかなように、本人分布Q1に対応するマハラノビス距離の分布QM1と、他人分布Q2に対応するマハラノビス距離の分布QM2とは、大きく離れている。図6に示したPH分布に比べると、図10における分布QM1、QM2の分離度合いは非常に大きい。このような分離度合いを示す理由は、主成分分析部116で各分布の第1主成分軸に座標点を射影したこと、及びマハラノビス距離を用いてデータ間の相関を考慮したことにある。
さて、上記のマハラノビス距離Dm1、Dm2を2次元データとしてプロットすると、図10に例示するような分布図が得られる。図10の分布図から明らかなように、本人分布Q1に対応するマハラノビス距離の分布QM1と、他人分布Q2に対応するマハラノビス距離の分布QM2とは、大きく離れている。図6に示したPH分布に比べると、図10における分布QM1、QM2の分離度合いは非常に大きい。このような分離度合いを示す理由は、主成分分析部116で各分布の第1主成分軸に座標点を射影したこと、及びマハラノビス距離を用いてデータ間の相関を考慮したことにある。
マハラノビス距離は、データの分布が重心を基準に対称であることを前提とするものである。そのため、マハラノビス距離をPH分布の各点に適用して分布QM1、QM2を算出しても、図10に示すような分布QM1、QM2の分離度合いは得られない。しかし、本実施形態においては、主成分分析部116により、本人分布Q1と他人分布Q2との間に存在する方向性の違いが考慮されている。そのため、マハラノビス距離に関する分布QM1、QM2にも方向性の違いを考慮したことによる効果が現れ、本人分布Q1と他人分布Q2とを明確に分けることに成功しているのである。
そこで、閾値直線決定部120は、マハラノビス距離に関する分布図の中で本人分布QM1と他人分布QM2とを明確に分けることが可能な位置に閾値直線(y=m*x)を決定する。なお、この閾値直線が判別基準値になる。また、判別基準値としては、例えば、閾値直線の傾きmを決定すればよい。図10に示すように、本実施形態の手法を用いると、本人分布QM1と他人分布QM2とが明確に分離されるため、閾値直線の傾きには、ある程度の幅が許される。そのため、閾値直線の決定方法は、本人分布QM1と他人分布QM2とが十分に区別できるような方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
例えば、本人分布QM1の中心点と他人分布QM2の中心点とを結ぶ線分の中点を通る直線として閾値直線の傾きを決定することができる。また、本人分布QM1に含まれる点の中でマハラノビス距離Dm2に対応する軸(y軸)に最も近い点と、他人分布QM2に含まれる点の中でマハラノビス距離Dm1に対応する軸(x軸)に最も近い点とを結ぶ線分の中点を通る直線として閾値直線を決定できる。なお、本実施形態においては、これらの例示した方法以外にも、本人分布QM1と他人分布QM2とが十分に区別できるような方法であれば任意の方法を閾値直線の決定方法として採用することができる。
以上説明したように、相関計算部114、主成分分析部116、マハラノビス距離計算部118、及び閾値直線決定部120により本人分布Q1(QM1)と他人分布Q2(QM2)とを明確に判別することが可能な判別基準値が決定される。閾値直線決定部120により決定された判別基準値(例えば、閾値直線の傾きm)は、生体認証装置130に入力される。また、生体認証装置130には、主成分分析部116から、本人分布Q1及び他人分布Q2の第1主成分軸の傾きθ1、θ2を示す情報も入力される。
以上、本実施形態に係る判別基準決定装置110の機能構成について、個々の構成要素毎に詳細に説明した。そこで、以下では、判別基準決定装置110による全体的な処理の流れについて説明する。また、この説明の中で、個々の処理ステップにおける細かな処理の流れについても簡単に説明する。
(判別基準決定装置110による処理の流れについて)
まず、図4、図5、図7、図9を参照しながら、判別基準決定装置110による処理の流れについて簡単に説明する。図4は、判別基準決定装置110による全体的な処理の流れを示す説明図である。図5は、画素相関値及びハフ相関値の算出処理の流れを示す説明図である。図7は、主成分分析を用いた1次元データの生成処理の流れを示す説明図である。図9は、マハラノビス距離の計算処理の流れを示す説明図である。
まず、図4、図5、図7、図9を参照しながら、判別基準決定装置110による処理の流れについて簡単に説明する。図4は、判別基準決定装置110による全体的な処理の流れを示す説明図である。図5は、画素相関値及びハフ相関値の算出処理の流れを示す説明図である。図7は、主成分分析を用いた1次元データの生成処理の流れを示す説明図である。図9は、マハラノビス距離の計算処理の流れを示す説明図である。
(全体的な流れ)
まず、図4を参照する。図4に示すように、まず、生体認証センサ100からサンプルデータが入力され、記憶部112に記録される(S102)。次いで、相関計算部114により画素相関値及びハフ相関値(PH分布)が算出される(S104)。次いで、主成分分析部116により主成分分析が行われ、本人分布Q1及び他人分布Q2の各々についてPH分布の各点が第1主成分軸上の1次元データに射影される(S106)。次いで、マハラノビス距離計算部118により、主成分分析部116で変換された1次元データに基づいてマハラノビス距離が算出される(S108)。次いで、閾値直線決定部120により、マハラノビス距離に基づいて閾値直線(判別基準値)が決定される(S110)。
まず、図4を参照する。図4に示すように、まず、生体認証センサ100からサンプルデータが入力され、記憶部112に記録される(S102)。次いで、相関計算部114により画素相関値及びハフ相関値(PH分布)が算出される(S104)。次いで、主成分分析部116により主成分分析が行われ、本人分布Q1及び他人分布Q2の各々についてPH分布の各点が第1主成分軸上の1次元データに射影される(S106)。次いで、マハラノビス距離計算部118により、主成分分析部116で変換された1次元データに基づいてマハラノビス距離が算出される(S108)。次いで、閾値直線決定部120により、マハラノビス距離に基づいて閾値直線(判別基準値)が決定される(S110)。
以下、ステップS104、S106、S108の処理について、より詳細に説明する。
(PH分布算出処理の流れ)
次に、図5を参照する。図5は、図4におけるステップS104の詳細な処理の流れを示すものである。図5に示すように、まず、サンプルデータの静脈パターン画像間で特徴点の画素値を用いて画素相関値が算出される(S122)。次いで、サンプルデータの静脈パターンに含まれる特徴点を結ぶ各線分がハフ変換される(S124)。次いで、ハフ変換値の相関係数がハフ相関値として算出される(S126)。次いで、各サンプルデータに関する画素相関値及びハフ相関値の組が出力される(S128)。
次に、図5を参照する。図5は、図4におけるステップS104の詳細な処理の流れを示すものである。図5に示すように、まず、サンプルデータの静脈パターン画像間で特徴点の画素値を用いて画素相関値が算出される(S122)。次いで、サンプルデータの静脈パターンに含まれる特徴点を結ぶ各線分がハフ変換される(S124)。次いで、ハフ変換値の相関係数がハフ相関値として算出される(S126)。次いで、各サンプルデータに関する画素相関値及びハフ相関値の組が出力される(S128)。
(主成分分析及び1次元化処理の流れ)
次に、図7を参照する。図7は、図4におけるステップS106の詳細な処理の流れを示すものである。図7に示すように、まず、画素相関値とハフ相関値とを軸とする空間(PH空間)における本人分布及び他人分布の分布中心の座標値が算出される(S130)。次いで、各分布の共分散行列が算出される(S132)。次いで、各分布に対応する共分散行列の固有値及び固有ベクトルが算出される(S134)。次いで、分布毎に算出された固有値及び固有ベクトルに基づいて各分布の第1主成分軸が算出される(S136)。次いで、各分布が第1主成分軸を横軸とする座標系へ変換される(S138)。次いで、座標変換後の各横軸にサンプルデータが射影され、各分布に対する1次元データが生成される(S140)。
次に、図7を参照する。図7は、図4におけるステップS106の詳細な処理の流れを示すものである。図7に示すように、まず、画素相関値とハフ相関値とを軸とする空間(PH空間)における本人分布及び他人分布の分布中心の座標値が算出される(S130)。次いで、各分布の共分散行列が算出される(S132)。次いで、各分布に対応する共分散行列の固有値及び固有ベクトルが算出される(S134)。次いで、分布毎に算出された固有値及び固有ベクトルに基づいて各分布の第1主成分軸が算出される(S136)。次いで、各分布が第1主成分軸を横軸とする座標系へ変換される(S138)。次いで、座標変換後の各横軸にサンプルデータが射影され、各分布に対する1次元データが生成される(S140)。
(マハラノビス距離算出処理の流れ)
次に、図9を参照する。図9は、図4におけるステップS108の詳細な処理の流れを示すものである。図9に示すように、まず、各分布の1次元データに関する標準偏差が算出される(S142)。次いで、各分布の1次元データに関する期待値及び標準偏差を用いてマハラノビス距離が算出される(S144)。但し、各分布の1次元データに関する期待値は、各分布の分布中心として既に算出されている。つまり、上記の主成分軸は分布中心を通るものであり、座標変換により変更されないため、各分布中心の座標値を各1次元データの期待値として利用することができるのである。
次に、図9を参照する。図9は、図4におけるステップS108の詳細な処理の流れを示すものである。図9に示すように、まず、各分布の1次元データに関する標準偏差が算出される(S142)。次いで、各分布の1次元データに関する期待値及び標準偏差を用いてマハラノビス距離が算出される(S144)。但し、各分布の1次元データに関する期待値は、各分布の分布中心として既に算出されている。つまり、上記の主成分軸は分布中心を通るものであり、座標変換により変更されないため、各分布中心の座標値を各1次元データの期待値として利用することができるのである。
以上、判別基準決定装置110による処理の流れについて説明した。判別基準決定装置110による処理の内容は機能構成と共に詳細に説明した。また、各構成要素による処理の流れは上記の通りである。このように、本実施形態では、主成分分析により分布の方向性を考慮した上でマハラノビス距離に基づいて本人分布と他人分布とを判別する判別基準値が決定される。以下、この判別基準値を用いて生体認証を行う方法について説明する。
(1−3:生体認証装置130の機能構成)
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る生体認証装置130の機能構成について説明する。図11は、本実施形態に係る生体認証装置130の機能構成例を示す説明図である。なお、生体認証装置130には、「参照データ」として登録ユーザの生体情報(以下、登録データ)が入力されているものとする。また、判別基準決定装置110から判別基準値等が入力されている。
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る生体認証装置130の機能構成について説明する。図11は、本実施形態に係る生体認証装置130の機能構成例を示す説明図である。なお、生体認証装置130には、「参照データ」として登録ユーザの生体情報(以下、登録データ)が入力されているものとする。また、判別基準決定装置110から判別基準値等が入力されている。
生体認証装置130は、生体認証センサ100を用いて入力された生体情報(入力データ)と登録データとを照合し、入力データに対応する登録ユーザを特定する手段である。特に、生体認証装置130は、入力データと登録データとを照合して本人認証を行う際、判別基準決定装置110で決定された判別基準値を用いて判別処理を行う。つまり、生体認証装置130においては、入力データと登録データとの間の画素相関値及びハフ相関値を判別基準決定装置110で算出された本人分布及び他人分布の第1主成分軸に射影して得られる1次元データのマハラノビス距離を用いて当該データ間の同一性が判別される。以下、生体認証装置130の各機能構成について説明する。
図11に示すように、生体認証装置130は、主に、相関計算部132と、マハラノビス距離計算部134と、本人判定部136と、記憶部138とを有する。記憶部138には、生体認証センサ100を用いて入力された登録データが格納されている。また、記憶部138には、判別基準決定装置110から入力された判別基準値、及び、本人分布/他人分布の第1主成分軸を特定するための傾き、各分布の分布中心、各分布の1次元データに関する標準偏差等を含む情報(以下、座標変換用パラメータ)が格納されている。
なお、記憶部138は、登録パターン記憶部の一例である。また、マハラノビス距離計算部134は、1次元データ生成部、マハラノビス距離算出部の一例である。そして、本人判定部136は、類似性判定部の一例である。
(相関計算部132)
まず、相関計算部132について説明する。上記の通り、相関計算部132には、生体認証センサ100を用いて認証対象となる入力データが入力される。入力データが入力されると、相関計算部132は、記憶部138に記録された登録データを読み出す。そして、相関計算部132は、入力データ及び登録データの座標情報及び線分情報を用いて画素相関値及びハフ相関値を算出する。なお、画素相関値は、上記の式(1)に基づいて算出される。また、ハフ相関値は、上記の式(2)に基づいて算出される。相関計算部132は、記憶部138に格納された一部又は全部の登録データについて、入力データと登録データとの間の画素相関値及びハフ相関値を算出する。相関計算部132により算出された画素相関値及びハフ相関値は、マハラノビス距離計算部134に入力される。
まず、相関計算部132について説明する。上記の通り、相関計算部132には、生体認証センサ100を用いて認証対象となる入力データが入力される。入力データが入力されると、相関計算部132は、記憶部138に記録された登録データを読み出す。そして、相関計算部132は、入力データ及び登録データの座標情報及び線分情報を用いて画素相関値及びハフ相関値を算出する。なお、画素相関値は、上記の式(1)に基づいて算出される。また、ハフ相関値は、上記の式(2)に基づいて算出される。相関計算部132は、記憶部138に格納された一部又は全部の登録データについて、入力データと登録データとの間の画素相関値及びハフ相関値を算出する。相関計算部132により算出された画素相関値及びハフ相関値は、マハラノビス距離計算部134に入力される。
(マハラノビス距離計算部134)
次に、マハラノビス距離計算部134について説明する。上記の通り、マハラノビス距離計算部134には、相関計算部132から入力データと登録データとの間の画素相関及びハフ相関を示す相関値が入力される。これらの相関値が入力されると、マハラノビス距離計算部134は、入力された相関値を判別基準値の算出時に用いた本人分布及び他人分布の第1主成分軸に射影させ、1次元データに変換する。
次に、マハラノビス距離計算部134について説明する。上記の通り、マハラノビス距離計算部134には、相関計算部132から入力データと登録データとの間の画素相関及びハフ相関を示す相関値が入力される。これらの相関値が入力されると、マハラノビス距離計算部134は、入力された相関値を判別基準値の算出時に用いた本人分布及び他人分布の第1主成分軸に射影させ、1次元データに変換する。
この変換処理を行うために、まず、マハラノビス距離計算部134は、記憶部138に記録されている第1主成分軸の傾きに関する情報を読み出し、本人分布及び他人分布の第1主成分軸を横軸とする座標系に相関値の座標系を変換する。次いで、マハラノビス距離計算部134は、座標変換後の相関値から第1主成分軸成分を抽出して1次元データとする。このようにして1次元データを算出すると、マハラノビス距離計算部134は、記憶部138に記録された本人分布及び他人分布の分布中心及び各分布の標準偏差を示す情報に基づいて分布中心から1次元データまでのマハラノビス距離を算出する。マハラノビス距離計算部134で算出されたマハラノビス距離は、本人判定部136に入力される。
(本人判定部136)
次に、本人判定部136について説明する。上記の通り、本人判定部136には、マハラノビス距離計算部134から入力データと登録データとの間の相関に関し、本人分布及び他人分布の各分布中心から各第1主成分軸上で算出されたマハラノビス距離が入力される。マハラノビス距離が入力されると、本人判定部136は、記憶部138に記録された判別基準値及び入力されたマハラノビス距離に基づいて入力データと登録データとの相関に関する計算結果が本人分布に属するか、他人分布に属するかを判定する。
次に、本人判定部136について説明する。上記の通り、本人判定部136には、マハラノビス距離計算部134から入力データと登録データとの間の相関に関し、本人分布及び他人分布の各分布中心から各第1主成分軸上で算出されたマハラノビス距離が入力される。マハラノビス距離が入力されると、本人判定部136は、記憶部138に記録された判別基準値及び入力されたマハラノビス距離に基づいて入力データと登録データとの相関に関する計算結果が本人分布に属するか、他人分布に属するかを判定する。
図10の例示した判別基準値m(閾値直線y=m*x)が与えられている場合、入力データと登録データとの間の相関値に基づいて算出されたマハラノビス距離(x0,y0)がy0<m*x0の場合、本人判定部136は、他人分布に属すると判定する。逆に、入力データと登録データとの間の相関値に基づいて算出されたマハラノビス距離(x0,y0)がy0>m*x0の場合、本人判定部136は、本人分布に属すると判定する。本人分布に属すると判定した場合、本人判定部136は、入力データと登録データとが同一であると判定する。一方、他人分布に属すると判定した場合、本人判定部136は、入力データと登録データとが非同一であると判定する。
以上、本実施形態に係る生体認証装置130の機能構成について説明した。上記の通り、生体認証装置130は、画素相関値−ハフ相関値空間上で入力データと登録データとの同一性を判別するのではなく、本人分布及び他人分布の第1主成分軸に射影された相関値に基づいて同一性の判別を行う。特に、本人分布及び他人分布の第1主成分軸に射影された相関値と各分布の分布中心との間のマハラノビス距離に基づいて比較対象とされる両データ間の同一性が判定される。その結果、判定精度を向上させることができる。
(生体認証装置130による処理の流れについて)
ここで、図12を参照しながら、生体認証装置130による処理の流れについて簡単に説明する。図12は、生体認証装置130による処理の流れを示す説明図である。
ここで、図12を参照しながら、生体認証装置130による処理の流れについて簡単に説明する。図12は、生体認証装置130による処理の流れを示す説明図である。
図12に示すように、生体認証装置130は、まず、生体認証センサ100から入力された認証用データ(入力データ)と登録データとの間の画素相関値及びハフ相関値を算出する(S150)。次いで、生体認証装置130は、本人分布及び他人分布の各主成分方向に両相関値を座標変換し、各第1主成分軸の成分を抽出することで1次元データを算出する(S152)。次いで、生体認証装置130は、算出した1次元データと本人分布及び他人分布の各分布中心との間のマハラノビス距離を算出する(S154)。次いで、生体認証装置130は、算出したマハラノビス距離を用いて判別基準値に基づく閾値判定を実行し、入力データと登録データとの同一性を判定する(S156)。そして、生体認証装置130は、判定結果を生体認証の結果として出力する(S158)。
以上説明した流れに沿って、生体認証装置130は認証処理を実行する。
(1−4:生体認証システム10による全体的な処理の流れ)
次に、図13、図14を参照しながら、生体認証システム10による全体的な処理の流れについて説明し、本実施形態に係る生体認証処理の全体的な構成について纏める。図13は、生体認証システム10による全体的な処理の流れを説明するための説明図である。また、図14は、生体認証システム10において実行される各処理の内容を概念的に示した説明図である。
次に、図13、図14を参照しながら、生体認証システム10による全体的な処理の流れについて説明し、本実施形態に係る生体認証処理の全体的な構成について纏める。図13は、生体認証システム10による全体的な処理の流れを説明するための説明図である。また、図14は、生体認証システム10において実行される各処理の内容を概念的に示した説明図である。
図13に示すように、まず、大量のサンプルデータを用いて2次元の相関データで構成される本人分布及び他人分布が取得される(S162)。次いで、本人分布及び他人分布の各々について第1主成分軸が決定される(図14のCS1)。さらに、各相関データを主成分方向に座標変換し(図14のCS2)、各第1主成分軸に射影することで(図14のCS3)各分布に対応する1次元データが生成される(S164)。次いで、各第1主成分軸上で生成した1次元データと各分布中心との間のマハラノビス距離が算出され(図14のCS4)、各分布のマハラノビス距離を直交軸とする座標空間内で各分布を区別するための閾値直線が決定される(S166)。
次いで、認証用データと登録データとの間の相関を示す2次元の相関データが取得される(S168)。次いで、2次元の相関データを上記の本人分布及び他人分布の各主成分方向に座標変換した上で各第1主成分を抽出することにより1次元データが生成される(S170)。次いで、各分布の分布中心と1次元データとの間のマハラノビス距離が算出される(S172;図14のCS5)。次いで、各分布に関するマハラノビス距離及び閾値直線に基づいて本人判定が行われる(S174)。上記のようにして判別基準値が算出され、算出された判別基準値を用いて本人判定が行われる。
[2:生体認証システム10を適用することで得られる効果]
次に、図6、図15〜図18を参照しながら、本実施形態に係る生体認証システム10を適用することで得られる効果について説明する。ここで示す実験データは、100本の指を生体サンプルとして利用し、各指を複数回ずつ撮影して得られたサンプルデータである。従って、実験データには、同一生体の相関を示す本人分布の2次元相関データが100個、異なる生体の相関を示す他人分布の2次元相関データが18800個含まれる。
次に、図6、図15〜図18を参照しながら、本実施形態に係る生体認証システム10を適用することで得られる効果について説明する。ここで示す実験データは、100本の指を生体サンプルとして利用し、各指を複数回ずつ撮影して得られたサンプルデータである。従って、実験データには、同一生体の相関を示す本人分布の2次元相関データが100個、異なる生体の相関を示す他人分布の2次元相関データが18800個含まれる。
(原データの分布特性)
まず、図6を参照する。既に述べた通り、サンプルデータ間の相関を特徴付けるために、例えば、画素相関値及びハフ相関値が用いられる。そして、画素相関値及びハフ相関値を各々座標軸とする空間に本人分布及び他人分布がプロットされ、各分布の特性に基づいて本人又は他人の判別基準が決定される。図6のように、画素相関値−ハフ相関値の分布(PH分布)においては、本人分布の分布中心と他人分布の分布中心とが離れており、おおよそ本人と他人とを見分ける基準に用いることができる。
まず、図6を参照する。既に述べた通り、サンプルデータ間の相関を特徴付けるために、例えば、画素相関値及びハフ相関値が用いられる。そして、画素相関値及びハフ相関値を各々座標軸とする空間に本人分布及び他人分布がプロットされ、各分布の特性に基づいて本人又は他人の判別基準が決定される。図6のように、画素相関値−ハフ相関値の分布(PH分布)においては、本人分布の分布中心と他人分布の分布中心とが離れており、おおよそ本人と他人とを見分ける基準に用いることができる。
しかしながら、本人分布も他人分布も大きく広がりを持っており、本人分布と他人分布との間の境界部分が明確であるとは言えない。図6には仮に決定した本人判定用閾値が描画されているが、他人分布の領域に本人分布に属するデータが含まれてしまっている。つまり、このデータの分だけ判定誤りが発生してしまうことになる。このように、分布中心が離れていても、分布中心からの広がりがある場合に、分布中心からどの程度の距離までがその分布中心に対応する集合の範囲と言えるのかがはっきりとしない。そのため、各分布中心からのユークリッド距離に基づいてPH分布内で閾値直線を決定すると、上記のような判定誤りが発生してしまう。
このように、PH分布を直接用いて閾値判定の基準を設けると、あまり高い判定精度が期待できない。そこで、第1に考えられる対策としては、各分布の広がりを考慮したマハラノビス距離を用いることである。
(原データに対するマハラノビス距離の本人・他人比較)
そこで、図15を参照し、PH分布から直接マハラノビス距離を算出した場合に得られる分布について考察する。図15の(A)は、他人分布の分布中心からPH分布に含まれる全てのデータ点までのマハラノビス距離をプロットしたものである。同様に、図15の(B)は、本人分布の分布中心からPH分布に含まれる全てのデータ点までのマハラノビス距離をプロットしたものである。横軸は何番目のデータ点であるかを示すインデックスであり、縦軸はマハラノビス距離を示す。
そこで、図15を参照し、PH分布から直接マハラノビス距離を算出した場合に得られる分布について考察する。図15の(A)は、他人分布の分布中心からPH分布に含まれる全てのデータ点までのマハラノビス距離をプロットしたものである。同様に、図15の(B)は、本人分布の分布中心からPH分布に含まれる全てのデータ点までのマハラノビス距離をプロットしたものである。横軸は何番目のデータ点であるかを示すインデックスであり、縦軸はマハラノビス距離を示す。
仮に、マハラノビス距離により本人分布と他人分布とが明確に区別できるとすれば、本人分布のデータ点と他人分布のデータ点とが、あるマハラノビス距離を境界とする2つの領域に明確に区分されるはずである。つまり、マハラノビス距離により本人分布と他人分布とが明確に区別できるとすれば、本人分布のデータ点が含まれる領域と、他人分布のデータ点が含まれる領域とが、図15の分布図内である高さに位置する横線で明確に区切られることになる。
上記の考察を念頭に置いて図15の分布図を参照する。図15の(A)においては、本人分布のデータ点を含む領域A1と、他人分布のデータ点を含む領域A2とをある高さの横線で明確に区切ることはできない。また、図15の(B)においても、本人分布のデータ点と、他人分布のデータ点とが同じマハラノビス距離に対応する領域B1に含まれてしまっている。これらの結果から、PH分布に対して単純にマハラノビス距離を適用しても、本人分布と他人分布とを明確に区別することができないことが分かる。
このような結果が得られた背景には、マハラノビス距離の特性が関係していると考えられる。既に述べた通り、マハラノビス距離は、分布の広がりを考慮した距離である。しかし、マハラノビス距離で考慮される分布の広がりは、対称分布を想定したものである。そのため、分布の形状が十分に非対称な場合、マハラノビス距離を基準に分布の属性を判定しようとすると、判定誤りが発生してしまうのである。また、図6に示したように、生体認証で用いられる生体情報のPH分布には、本人分布及び他人分布の各々で方向性が観測される。そのため、PH分布に対して単純にマハラノビス距離を適用しただけでは、認証に用いる閾値を精度良く決定することができない。
(主成分分析による座標変換後のデータプロット)
そこで、本人分布及び他人分布の方向性を考慮するために主成分分析を用いる方法が考案される。図16には、他人分布の主成分方向に座標変換したPH分布(A)と、他人分布の主成分方向に座標変換したPH分布(B)とが示されている。図16に示すように、主成分分析により座標変換を施すと、本人分布のデータ点と他人分布のデータ点とが第1主成分軸に沿って明確に区別できるようになる。
そこで、本人分布及び他人分布の方向性を考慮するために主成分分析を用いる方法が考案される。図16には、他人分布の主成分方向に座標変換したPH分布(A)と、他人分布の主成分方向に座標変換したPH分布(B)とが示されている。図16に示すように、主成分分析により座標変換を施すと、本人分布のデータ点と他人分布のデータ点とが第1主成分軸に沿って明確に区別できるようになる。
例えば、図16の(A)を参照すると、他人分布は、第1主成分方向に明確に区別された領域A1、A2のうち、領域A1に全て含まれている。同様に、本人分布は、第1主成分方向に明確に区別された領域A1、A2のうち、領域A2に全て含まれている。また、図16の(B)を参照すると、他人分布は、第1主成分方向に明確に区別された領域B1、B2のうち、領域B1に全て含まれている。同様に、本人分布は、第1主成分方向に明確に区別された領域B1、B2のうち、領域B2に全て含まれている。
図16の結果から理解されるように、本人分布及び他人分布の方向性を考慮することで、両分布を第1主成分方向に明確に区別することができる。しかし、主成分分析だけを用いる場合、分布の広がりが考慮されないことになる。そこで、分布の広がりを考慮するためにマハラノビス距離を適用する方法が考えられる。但し、マハラノビス距離を適用するには、分布の形状を対称にする必要がある。
そこで、本実施形態においては、上記の通り、第1主成分軸にPH分布のデータ点を射影して1次元データを生成し、1次元データに対してマハラノビス距離を適用する方法が提案された。1次元データを用いれば空間的な非対称性(第1主成分軸方向の広がりと第2主成分軸方向の広がりの違い)が無くなるため、マハラノビス距離を正しく適用することができるようになる。
(1次元データに対するマハラノビス距離の本人・他人比較)
上記のように、PH分布の各データ点を1次元データに変換後、その1次元データに対して分布中心から各データ点までのマハラノビス距離を算出した結果が図17である。
上記のように、PH分布の各データ点を1次元データに変換後、その1次元データに対して分布中心から各データ点までのマハラノビス距離を算出した結果が図17である。
図17の(A)は、他人分布中心からPH分布の各データ点に対応する1次元データまでのマハラノビス距離をプロットしたものである。同様に、図17の(B)は、本人分布中心からPH分布の各データ点に対応する1次元データまでのマハラノビス距離をプロットしたものである。図17の(A)を参照すると、本人分布と他人分布とが、あるマハラノビス距離で区分された領域A1、A2に明確に区別されていることが分かる。同様に、図17の(B)を参照すると、本人分布と他人分布とが、あるマハラノビス距離で区分された領域B1、B2に明確に区別されていることが分かる。
そこで、他人分布の分布中心から測定したマハラノビス距離を縦軸にし、本人分布の分布中心から測定したマハラノビス距離を横軸にして2次元プロットすると、図18のような分布図が得られる。図18に示すように、各分布の第1主成分軸方向にデータ点を射影してから算出されたマハラノビス距離の分布は、本人分布と他人分布とを明確に区別できるものとなる。図6に示したPH分布と比較すると、図18の分布図における本人分布と他人分布との距離が非常に大きいことが理解される。この距離の大きさこそが、生体認証における認証精度の高さを示すものとなる。
このように、本人分布と他人分布との間の統計的な性質を際立たせ、本人と他人との差異をはっきりさせることで、生体認証における認証精度を大きく向上させることができるのである。本実施形態においては、本人分布と他人分布とに現れる方向性の違い、及び各分布の広がりを考慮して統計的な性質を際立たせ、上記のように各分布を明確に区別できるようにする方法が提案された。この方法を用いることにより、生体認証における本人認証精度を格段に向上させる効果が得られる。
[3:判別基準決定装置110、生体認証装置130のハードウェア構成]
上記の判別基準決定装置110、生体認証装置130が有する各構成要素の機能は、例えば、図19に示す情報処理装置のハードウェア構成を用いて実現することが可能である。例えば、各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図19に示す情報処理装置を制御することにより実現される。なお、ここで示す情報処理装置の形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
上記の判別基準決定装置110、生体認証装置130が有する各構成要素の機能は、例えば、図19に示す情報処理装置のハードウェア構成を用いて実現することが可能である。例えば、各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図19に示す情報処理装置を制御することにより実現される。なお、ここで示す情報処理装置の形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
図19に示すように、この情報処理装置は、主に、CPU902と、ROM904と、RAM906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926とにより構成される。但し、上記のCPUは、Central Processing Unitの略である。また、上記のROMは、Read Only Memoryの略である。そして、上記のRAMは、Random Access Memoryの略である。
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM906には、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908を介して相互に接続される。一方、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続される。また、入力部916としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力部916としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。
出力部918としては、例えば、CRT、LCD、PDP、又はELD等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。但し、上記のCRTは、Cathode Ray Tubeの略である。また、上記のLCDは、Liquid Crystal Displayの略である。そして、上記のPDPは、Plasma DisplayPanelの略である。さらに、上記のELDは、Electro−Luminescence Displayの略である。
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置である。記憶部920としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。但し、上記のHDDは、Hard Disk Driveの略である。
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)、メモリースティック、又はSDメモリカード等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。但し、上記のCFは、CompactFlashの略である。また、上記のSDは、Secure Digital memory cardの略である。そして、上記のICは、Integrated Circuitの略である。
接続ポート924は、例えば、USBポート、IEEE1394ポート、SCSI、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。但し、上記のUSBは、Universal Serial Busの略である。また、上記のSCSIは、Small Computer System Interfaceの略である。
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。但し、上記のLANは、Local Area Networkの略である。また、上記のWUSBは、Wireless USBの略である。そして、上記のADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態の説明においては、生体情報を画素相関値及びハフ相関値に変換し、この2次元相関データの分布を用いて本人認証を精度良く行う方法が提案された。しかし、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されない。例えば、生体情報をN次元(N≧3)の特徴量データの分布に変換し、その分布に対して本実施形態の技術を適用することもできる。この場合、N次元の特徴量データは、第1主成分軸上に射影されて1次元データに変換される。そして、1次元データに対してマハラノビス距離が算出され、算出されたマハラノビス距離の分布に基づいて判別基準値が算出される。さらに、入力データ、登録データに対しても第1主成分軸への射影、マハラノビス距離の算出が行われ、判別基準値に基づいて本人認証が行われる。このように、本実施形態の技術は、3次元以上のデータ分布に対しても同様に適用可能である。
10 生体認証システム
100 生体認証センサ
102 LED
104 撮像素子
110 判別基準決定装置
112 記憶部
114 相関計算部
116 主成分分析部
118 マハラノビス距離計算部
120 閾値直線決定部
130 生体認証装置
132 相関計算部
134 マハラノビス距離計算部
136 本人判定部
138 記憶部
FG 指
L11 照射光
L13 散乱光
V 静脈
100 生体認証センサ
102 LED
104 撮像素子
110 判別基準決定装置
112 記憶部
114 相関計算部
116 主成分分析部
118 マハラノビス距離計算部
120 閾値直線決定部
130 生体認証装置
132 相関計算部
134 マハラノビス距離計算部
136 本人判定部
138 記憶部
FG 指
L11 照射光
L13 散乱光
V 静脈
Claims (11)
- 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析部と、
前記複数次元の相関データを前記主成分分析部で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成部と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出部と、
前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出部で算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定部と、
を備える、生体認証用装置。 - 前記複数の生体サンプルから取得された生体パターンについて当該各生体パターンの特徴点配置に関する第1相関値と、当該各生体パターンの特徴点を結ぶ線分の傾きに関する第2相関値とが記録されたサンプルデータ記憶部をさらに備え、
前記主成分分析部は、前記サンプルデータ記憶部に記録された第1相関値及び第2相関値の組を前記複数次元の相関データとして主成分分析する、請求項1に記載の生体認証用装置。 - 前記1次元データ生成部は、
前記複数次元の相関データに対し、前記第1主成分軸を1つの座標軸とする座標系に座標変換を施す座標変換部と、
前記座標変換部により座標変換が施された前記複数次元の相関データから、前記第1主成分軸の成分を抽出して1次元データを生成する第1主成分抽出部と、
を含む、請求項2に記載の生体認証用装置。 - 前記生体パターンは、静脈パターン、指紋パターン、虹彩パターンのいずれか又は複数の組み合わせである、請求項1に記載の生体認証用装置。
- 所定の生体部位から生体パターンを取得する生体認証センサと、
登録済みの生体パターンが記録された登録パターン記憶部と、
複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、
前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成部と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成部で生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出部と、
前記マハラノビス距離算出部で算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定部と、
を備える、生体認証装置。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析部と、
前記複数次元の第1相関データを前記主成分分析部で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する第1の1次元データを生成する第1の1次元データ生成部と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記第1の1次元データの各点までの第1のマハラノビス距離を算出する第1のマハラノビス距離算出部と、
前記複数の生体サンプルに関して前記第1のマハラノビス距離算出部で算出された前記各分布の第1のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定部と、
を有する、生体認証用装置と;
所定の生体部位から生体パターンを取得する生体認証センサと、
登録済みの生体パターンが記録された登録パターン記憶部と、
前記同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び前記異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、
前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する第2の1次元データを生成する第2の1次元データ生成部と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記第2の1次元データまでの第2のマハラノビス距離を算出する第2のマハラノビス距離算出部と、
前記第2のマハラノビス距離算出部で算出された第2のマハラノビス距離及び前記判別基準値決定部で決定された判別基準値に基づいて前記生体認証センサで取得された生体パターンと前記登録パターン記憶部に記録された生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定部と、
を有する、生体認証装置と;
を含む、生体認証システム。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析ステップと、
前記複数次元の相関データを前記主成分分析ステップで決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成ステップと、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出ステップと、
前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出ステップで算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定ステップと、
を含む、判別基準決定方法。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、
所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成ステップと、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成ステップで生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出ステップと、
前記マハラノビス距離算出ステップで算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定ステップと、
を含む、生体認証方法。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析ステップと、
前記複数次元の第1相関データを前記主成分分析ステップで決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する第1の1次元データを生成する第1の1次元データ生成ステップと、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記第1の1次元データの各点までの第1のマハラノビス距離を算出する第1のマハラノビス距離算出ステップと、
前記複数の生体サンプルに関して前記第1のマハラノビス距離算出ステップで算出された前記各分布の第1のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定ステップと、
前記同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び前記異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、
所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する第2の1次元データを生成する第2の1次元データ生成ステップと、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記第2の1次元データまでの第2のマハラノビス距離を算出する第2のマハラノビス距離算出ステップと、
前記第2のマハラノビス距離算出ステップで算出された第2のマハラノビス距離及び前記判別基準値決定ステップで決定された判別基準値に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定ステップと、
を含む、生体認証方法。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の相関データを主成分分析し、同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸、及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸を決定する主成分分析機能と、
前記複数次元の相関データを前記主成分分析機能で決定された各分布の第1主成分軸に射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成機能と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から前記1次元データの各点までのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出機能と、
前記複数の生体サンプルに関して前記マハラノビス距離算出機能で算出された前記各分布のマハラノビス距離に基づき、前記同一の生体サンプルと前記異なる生体サンプルとを判別するためのマハラノビス距離に関する判別基準値を決定する判別基準値決定機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。 - 複数の生体サンプルから取得された生体パターンの相関に関する複数次元の第1相関データを主成分分析して決定される同一の生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸及び異なる生体サンプルに関する相関データ分布の第1主成分軸に対し、
所定の生体部位から生体パターンを取得するための生体認証センサを用いて取得された生体パターンと登録済みの生体パターンとの相関に関する複数次元の第2相関データを射影させて前記各分布に関する1次元データを生成する1次元データ生成機能と、
前記各分布の第1主成分軸上で当該各分布の分布中心から、前記1次元データ生成機能で生成された1次元データまでのマハラノビス距離を算出するマハラノビス距離算出機能と、
前記マハラノビス距離算出機能で算出されたマハラノビス距離に基づいて前記生体認証センサを用いて取得された生体パターンと前記登録済みの生体パターンとの間の類似性を判定する類似性判定機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009022935A JP2010181970A (ja) | 2009-02-03 | 2009-02-03 | 生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009022935A JP2010181970A (ja) | 2009-02-03 | 2009-02-03 | 生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラム |
Publications (1)
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JP2010181970A true JP2010181970A (ja) | 2010-08-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009022935A Withdrawn JP2010181970A (ja) | 2009-02-03 | 2009-02-03 | 生体認証用装置、生体認証装置、生体認証システム、判別基準決定方法、生体認証方法、及びプログラム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012138004A1 (ko) * | 2011-04-06 | 2012-10-11 | 조선대학교산학협력단 | 피씨에이를 이용한 지문인증 장치 및 그 방법 |
WO2012137483A1 (ja) * | 2011-04-05 | 2012-10-11 | ビーエルデーオリエンタル株式会社 | 業務支援装置及び、業務支援システムおよびそれらを用いた各種の装置 |
JP2015178981A (ja) * | 2014-03-19 | 2015-10-08 | アイシン精機株式会社 | 距離測定装置及び距離測定方法 |
-
2009
- 2009-02-03 JP JP2009022935A patent/JP2010181970A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012137483A1 (ja) * | 2011-04-05 | 2012-10-11 | ビーエルデーオリエンタル株式会社 | 業務支援装置及び、業務支援システムおよびそれらを用いた各種の装置 |
JPWO2012137483A1 (ja) * | 2011-04-05 | 2014-07-28 | ビーエルデーオリエンタル株式会社 | 業務支援装置及び、業務支援システムおよびそれらを用いた各種の装置 |
WO2012138004A1 (ko) * | 2011-04-06 | 2012-10-11 | 조선대학교산학협력단 | 피씨에이를 이용한 지문인증 장치 및 그 방법 |
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