JP2010171358A - リアクトル集合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リアクトル集合体1Aは、並列された一対のコイル巻回部を有する環状のコア10と、内側コイル11a,11bを有する内側コイル部11と、外側コイル12a,12bを有する外側コイル部12とを具える。コイル11a,12aは、一方のコイル巻回部に同心状に配置され、コイル11b,12bは、他方のコイル巻回部に同心状に配置される。内側コイル部11の巻線11wの一端部と外側コイル部12の巻線12wの一端部とが接合されている。内側コイル11aの軸方向の中心位置と外側コイル12aの軸方向の中心位置とがコイル11a(12a)の軸方向にずれていることで、所定の漏れインダクタンスを得ることができる。
【選択図】図1
Description
(実施形態1:内側コイル部-被覆平角線、外側コイル部-被覆電線)
主として図1,2を参照して、実施形態1のリアクトル集合体1Aを説明する。以下、図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、図1及び後述する図5では、分かり易いように内側コイルの外周面と外側コイルの内周面との間に隙間を設けて示すが、実際には、この隙間がないように配置される。また、図2では、巻線の端部や巻返し部、巻線の端部の接続箇所を省略している。
コア10は、図2及び後述する図6を適宜参照して説明する。コア10は、各コイル対((内側コイル11a,外側コイル12a)、(内側コイル11b,外側コイル12b))がそれぞれ配置される一対の直方体状のコイル巻回部10ca,10cbと、コイル11a,11b,12a,12bが実質的に配置されない一対の端部コア10eとを有する。このコア10は、離間して並列されるコイル巻回部10ca,10cbを挟むように端部コア10eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コア10は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなる磁性体部10mとアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材(図示せず)とからなる。コイル巻回部10cは、磁性体部10mからなるコア片とギャップ材とを交互に積層して構成される。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材は、インダクタンスの調整のためにコア片間に設けられる隙間に配置される部材である(エアギャップの場合もある)。これらコア片及びギャップ材は、例えば、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップ材の個数は、内側コイル部11及び外側コイル部12がそれぞれ所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。
内側コイル部11は、一本の連続する巻線11w(図1)を巻回してなり、一対の内側コイル11a,11bを具える。内側コイル11a,11bは、各コイルの軸方向が平行するように並列されている。巻線11wは、図3(A)に示すように銅製の平角線からなる導体11cの表面に、ポリアミドイミドからなるエナメル被覆(絶縁被覆層)11iを具える被覆平角線である。両コイル11a,11bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたエッジワイズコイルであり、図1,図4(A)に示すように巻線11wの一部を折り返してなる巻返し部11rを介して連結されている。各コイル11a,11bは、ターン数が等しく、軸方向の長さが等しく、端面がほぼ面一となるように並列されている。
外側コイル部12は、内側コイル部11と同様に一本の連続する巻線12wを巻回してなり、一対の外側コイル12a,12bを具える。外側コイル12a,12bも、各コイルの軸方向が平行するように並列され、両外側コイル12a,12b間を繋ぐ渡り部(図示せず)を介して接続されている。この巻線12wは、図3(B)に示すように複数の銅製の素線12sを撚り合わせた撚り線導体12cの外周にFEP樹脂からなる絶縁被覆層12iを具える被覆電線である。各コイル12a,12bは、ターン数が等しく、軸方向の長さが等しく、端面がほぼ面一となるように並列されている。図1に示す例では、外側コイル12a(12b)のターン数が内側コイル11a(11b)のターン数よりも少なく、外側コイル12a(12b)の軸方向の長さが内側コイル11a(11b)の軸方向の長さよりも短い。
内側コイル部11の一方の内側コイル11aと、外側コイル部12の一方の外側コイル12aとがコア10の一方のコイル巻回部10caに配置され、内側コイル部11の他方の内側コイル11bと、外側コイル部12の他方の外側コイル12bとがコア10の他方のコイル巻回部10cbに配置されている。特に、内側コイル11a(11b)の外周に、外側コイル12a(12b)が同軸に配置されている。即ち、内側コイル11a(11b)と外側コイル12a(12b)とが同心状に積層されて並べられている。
コア10と内側コイル部11との間にインシュレータ14(図1)を設けると、コア10と内側コイル11a,11bとの間の絶縁性を高められる。インシュレータ14は、例えば、各コイル巻回部10ca,10cbの外周を覆う筒状部14b(後述する図6)と、コイル11a,11b,12a,12bの各端面にそれぞれ当接される一対の枠状部14fとを具える構成が挙げられる。筒状部14bは、図6に示すように半割れの筒片同士を係合する構成とすると、コイル巻回部10cの外周を容易に覆うことができる。各枠状部14fは、筒状部14bの一端部に配置される矩形枠であり、一方の枠状部14fとして図1,5,6に示すように巻返し部11rが載置される台部を具えた構成とすると、絶縁性を高められる。インシュレータ14や後述する筒状のボビン14C(後述する図6)(絶縁部材)には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁材料が利用できる。
コア10と内側コイル部11及び外側コイル部12との組合体は、例えば、アルミニウム製のケース(図示せず)に収納し、更にケース内に絶縁性のポッティング樹脂(図示せず)を充填した構成とすることができる。帯状のステー(図示せず)などを用いて、端部コアをケースに固定したり、端部コアにボルト孔を設けて、このボルト孔にボルトをねじ込むことにより組合体をケースに固定してもよい。
上記構成を具えるリアクトル集合体1Aは、以下のようにして形成することができる。以下、図6を適宜参照する。
外側コイルと内側コイルとにおいて、軸方向の中心位置のずれ量lを変化させたときの漏れインダクタンスをシミュレーションにより求めた。
リアクトル集合体1Aは、双方向DC-DCコンバータの構成部品として組み付けられた場合、内側コイル部11を具えることで、昇圧動作や降圧動作を行え、かつ外側コイル部12を具えることで、上記昇降圧動作にあたり、ソフトスイッチングを行えるため、スイッチング動作に伴う損失を低減することができる。その上、リアクトル集合体1Aは、内側コイル部11の各内側コイル11a,11bと、外側コイル部12の各外側コイル12a,12bとが、環状のコア10のコイル巻回部10ca,10cbに同心状に配置されていることから、共振用のコイルが端部コア10eに配置された場合や、共振用リアクトルと平滑用リアクトルとが別部材である場合、図7に示す縦並び構造のリアクトル集合体と比較して、小型である。
実施形態1のリアクトル集合体1Aでは、内側コイル部11の巻線11wを被覆平角線とし、外側コイル部12の巻線12wを被覆電線とする構成を説明した。両コイル部の巻線を被覆電線としてもよい。この場合、被覆電線の絶縁被覆層により、同心状に配置された内側コイルと外側コイルとの間を十分に絶縁できるため、別途、絶縁材を介在させなくてもよい。また、被覆電線を利用することで、上述のように手による巻回で同心状に配置されたコイルを簡単に形成できる。
或いは、両コイル部の巻線を被覆平角線としてもよい。この場合、保形性が高いコイルが得られることから、内側コイルと外側コイルとにおいて軸方向の中心位置をずらすために、一方のコイルを移動させる際、移動させ易い。また、エッジワイズコイルとする場合、占積率の高いコイルとし易い。更に、両コイル部の巻線の一端部同士を溶接などにて直接接続する場合に、接触面積(代表的には、溶接面積)を十分に確保できる上に、この接続した一端部に対して一つの端子部材を共通に取り付けられるため、端子部材の数や取り付け工程を削減することができる。また、一方のコイル部(例えば、外側コイル部)に流す電流量が比較的小さい場合、このコイル部をつくる巻線の導体(ここでは平角線)の断面積は小さくてよい。従って、外側コイル部を構成する被覆平角線の幅と内側コイル部を構成する被覆平角線の幅とを等しくする場合、外側コイル部を構成する被覆平角線は、厚さが薄いものが利用できる。各コイル部を構成する被覆平角線が同幅であることで、接触面積を十分に確保することができる。
或いは、巻線13wとして、図3(C)に示すような銅製の丸線からなる導体13cの外周にエナメル被覆(絶縁被覆層)13iを具える被覆丸線を利用してもよい。被覆丸線は、被覆電線よりも占積率が高いコイルが得られる上に、被覆電線よりも柔らかいため、手による巻回が行い易い。
或いは、巻線として、銅箔の導体(0.1mm×1.0mm)の表面に絶縁被覆層(厚さ0.2mm、ポリイミド)を具えるシート状線材を利用してもよい。シート状線材は、上述した被覆平角線などと比較して導体断面積が小さく、その厚さが薄い。従って、シート状線材を利用することで、リアクトル集合体の高さ(コイルの軸方向に直交する方向の大きさ)を小さくすることができ、リアクトル集合体の小型化に寄与することができる。特に、共振用リアクトルに利用される場合などで使用時に外側コイル部に流される電流量が少ない場合、外側コイル部を形成する巻線として、このシート状線材を利用することができる。
上述の実施形態では、巻線11w,12w,13wの導体11c,12c,13cやシート状線材の導体が銅からなるものを説明した。共振用リアクトルに利用される場合などで使用時に外側コイル部に流される電流量が少ない場合、外側コイル部を構成する巻線の導体として、銅よりも導電率が小さいアルミニウムやアルミニウム合金からなるものを利用してもよい。導体がアルミニウムやその合金からなる巻線を利用することで、リアクトル集合体の軽量化に寄与することができる。
実施形態1のリアクトル集合体1Aでは、内側コイル部11の巻線11wの両端部11e及び外側コイル部12の巻線12wの両端部12eのそれぞれに端子部材を取り付ける構成、即ち、合計4個の端子部材を具える構成を説明した。内側コイル部11の巻線11wの一端部11eと外側コイル部12の巻線12wの一端部12eとを直接接合した構成としてもよい。接合には、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接の他、圧着、冷間圧接、振動溶着などを利用することができる。特に、内側コイル部を形成する巻線及び外側コイル部を形成する巻線の少なくとも一方は、被覆平角線であると、接合の際、接触面積を十分に確保することができる。両コイル部の巻線の一端部同士を直接接合することで、一つの端子部材を共通に利用することができ、端子部材の数及び取り付け工程を低減して、作業性を向上することができる。この場合、合計3個の端子部材を具える構成となる。
上述した各実施形態のリアクトル集合体において、内側コイルをつくるターンのうち、隣り合うターン間の間隔よりも、外側コイルをつくるターンのうち、隣り合うターン間の間隔を広くすることで、漏れインダクタンスを小さくすることができる。従って、軸方向のずれ量lと、ターン間の間隔とを組み合わせて調整することで、種々の大きさの漏れインダクタンスを得ることができる。
10e 端部コア 10m 磁性体部 11 内側コイル部 11w,12w,13w 巻線
11a,11b 内側コイル 11c,13c 導体 11e,11ea,11eb,12e 巻線の端部
11r 巻返し部 11i,12i,13i 絶縁被覆層 12,12C 外側コイル部
12a,12b,13a,13b 外側コイル 12s 素線 12c 撚り線導体 14 インシュレータ
14b 筒状部 14f 枠状部 14B 絶縁紙 14C ボビン
L リアクトル 100 コア 100ca,100cb コイル巻回部 100e 端部コア
110,120 コイル部 110a,110b,120a,120b コイル 111 巻線
Claims (14)
- 並列された一対のコイル巻回部と、両コイル巻回部を挟むように配置される一対の端部コアとを有する環状のコアと、
巻線を螺旋状に巻回してなり、各コイル巻回部の外周にそれぞれ配置される一対の内側コイルを有する内側コイル部と、
巻線を螺旋状に巻回してなり、前記各内側コイルの外周にそれぞれ同軸に配置される一対の外側コイルを有する外側コイル部とを具え、
前記一方の内側コイルを構成する巻線の一端部と、前記一方の外側コイルを構成する巻線の一端部とが接合されており、
前記外側コイルの軸方向の中心位置と前記内側コイルの軸方向の中心位置とが軸方向にずれていることを特徴とするリアクトル集合体。 - 前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線の少なくとも一方は、複数の素線を撚り合わせた撚り線導体と、この撚り線導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆電線であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル集合体。
- 前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線の一方は、前記被覆電線であり、他方は、平角線又は丸線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線又は被覆丸線であることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル集合体。
- 前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線は、平角線又は丸線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線又は被覆丸線であり、
前記内側コイルとその外周に配置される前記外側コイルとの間には、絶縁材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル集合体。 - 前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルであり、
当該コイル部は、各コイルを構成するそれぞれの被覆平角線の一端部同士を溶接して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。 - 前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルであり、
当該コイル部は、連続する一本の被覆平角線から構成されており、当該コイル部を構成する両コイル同士が前記被覆平角線の一部を折り返してなる巻返し部を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。 - 前記内側コイル及び前記外側コイルのうち、一方のコイルの軸方向の長さが他方のコイルの軸方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 前記コアと、前記内側コイル部及び前記外側コイル部との組合体の外周を覆う樹脂被覆部を具えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 前記外側コイル部を構成する巻線の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 前記各外側コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をフラットワイズ巻きしたフラットワイズコイルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線を巻回してなり、
前記内側コイルの一端部と、前記外側コイルの一端部とは、溶接により接合されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。 - 前記外側コイル部を構成する巻線は、箔状の導体の表面に絶縁材がラミネートされたシート状線材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 前記リアクトル集合体は、双方向のソフトスイッチングコンバータの構成部品に用いられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
- 巻線を螺旋状に巻回してなる内側コイルを環状のコアの外周に配置し、この内側コイルの外周に巻線を螺旋状に巻回してなる外側コイルを前記内側コイルと同軸に配置し、
所定の漏れインダクタンスが得られるように、前記外側コイルの軸方向の中心位置と前記内側コイルの軸方向の中心位置とを相対的にずらすことを特徴とするリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法。
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