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JP2010167991A - 電子制御ユニット、励磁電流制御方法 - Google Patents

電子制御ユニット、励磁電流制御方法 Download PDF

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JP2010167991A JP2009014264A JP2009014264A JP2010167991A JP 2010167991 A JP2010167991 A JP 2010167991A JP 2009014264 A JP2009014264 A JP 2009014264A JP 2009014264 A JP2009014264 A JP 2009014264A JP 2010167991 A JP2010167991 A JP 2010167991A
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秀彦 松井
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Abstract

【課題】温度上昇を抑制しながら適切な発電量を確保する電子制御ユニット及び励磁電流制御方法を提供すること。
【解決手段】スイッチング素子25をPWM信号でオン又はオフして供給される励磁電流により発電量を制御するオルタネータ11と、通信線15で接続された電子制御ユニット100において、オルタネータ11が所定値以上の高温である場合、励磁電流の電流値を含む電流値情報と、PWM信号のデューティー比を含むデューティー比情報を受信する受信手段14と、デューティー比よりも小さい、能力設定値に対するデューティー比の比率を、電流値に掛けて、励磁電流の制限用電流値を算出する算出手段42と、制限用電流値を含む制限用電流値情報と、励磁電流を制限用電流値以下に制限するよう要求する要求情報とを、オルタネータに送信する送信手段14、42と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はオルタネータと接続された電子制御ユニット等に関し、特に、オルタネータが高温時に発電量を制限する電子制御ユニット及び励磁電流制御方法に関する。
車載された種々の車両電気負荷に電力を供給し、また、バッテリを充電するため車両にはオルタネータが搭載されている。オルタネータは、ロータコイルに励磁電流を供給して磁界を発生させ、エンジンの回転に伴い磁界がステータコイル内で回転することでステータコイルから電流を取り出して発電している。
ところで、オルタネータは高温になると回路等の保護のため自動的に停止する、すなわち発電を禁止する保護機能を有している。このため、オルタネータはサーミスタなどで温度を検出している。しかしながら、高温になったために発電をすぐに中止すると、車両の車両電気負荷が電力を使用するためバッテリ残量が低下してしまうという不都合がある。このような不都合について、サーミスタの温度上昇を抑制しながら発電を継続する技術が考えられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1には、オルタネータの温度が所定値以上になると励磁電流を低下させる制御を実行するオルタネータが開示されている。オルタネータの発電量は磁界の大きさに応じて変わり、発熱量は発電量に応じて変わるので、励磁電流を低下させると発電量を低下させることができると共に温度上昇を抑制できる。ここで、励磁電流を低下させる制御として、ロータコイルに直列に接続されたスイッチング素子をオン/オフするPWM信号のフィールドデューティー比を低下させる技術が記載されている。
また、特許文献2にも同様に、周囲温度が所定値以上になると励磁電流を減少させるオルタネータが開示されているが、特許文献2には、励磁電流を減少させる具体的な構成については記載されていない。
特開2006−149131号公報 特表平3−502873号公報
しかしながら、特許文献1又は2のように励磁電流を低下させるだけでは、発電量を適切に制御することは困難であるという問題がある。例えば、フィールドデューティー比を決定する上で冷却を優先すれば発電量が不足し、発電量を優先すれば温度上昇の抑制が困難になる。すなわち、オルタネータが高温になった際は、温度上昇を抑制しながら適切な発電量を確保する制御が要請される。
また、励磁電流は発電量と1対1に対応するものではないので(例えば、励磁電流が一定でも発電量が一定とは限らない)、特許文献2のように励磁電流を制御しても発電量を適切に制御することはできない。
本発明は、上記課題に鑑み、温度上昇を抑制しながら適切な発電量を確保する電子制御ユニット及び励磁電流制御方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、スイッチング素子をPWM信号でオン又はオフして供給される励磁電流により発電量を制御するオルタネータと、通信線で接続された電子制御ユニットにおいて、オルタネータが所定値以上の高温である場合、励磁電流の電流値を含む電流値情報と、PWM信号のデューティー比を含むデューティー比情報を受信する受信手段と、デューティー比よりも小さい、能力設定値に対するデューティー比の比率を、電流値に掛けて、励磁電流の制限用電流値を算出する算出手段と、制限用電流値を含む制限用電流値情報と、励磁電流を制限用電流値以下に制限するよう要求する要求情報とを、オルタネータに送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
温度上昇を抑制しながら適切な発電量を確保する電子制御ユニット及び励磁電流制御方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
〔発電制御システム100の概略〕
図1は、発電制御システム100の概略構成図の一例を示す。発電制御システム100は、オルタネータ11と、制御用ECU(Electronic Control Unit)12と、通信線15と、を有する。また、オルタネータ11はICレギュレータ13を有し、ICレギュレータ13が制御用ECU12と通信線15を介して接続されている。
ICレギュレータ13は、バッテリ28の電圧又はSOC(State of charge)(以下、単にSOCという)を監視し、バッテリ28のSOCに応じてエンジン又はモータの駆動力により発電した電力を調圧して、バッテリ28へ供給する。また、ICレギュレータ13は、発電中か否か等についてチャージランプ17を点灯したり、発電率をメータパネルに表示することができる。なお、ICレギュレータ13は、制御用ECU12と通信するための通信ユニット32を有する。
通信ユニット32は、例えば、LIN(Local Interconnect Network)等のプロトコルに従い制御用ECU12の通信ユニット14と双方向に通信する。本実施形態では通信するデータ量が多くないので比較的低速なLINでよいが、LINの他CAN(Controller Area Network)やFlexRayを採用してもよい。
制御用ECU12は後述する最大励磁電流を算出する。制御用ECU12は、CPU、RAM、EEPROM、不揮発メモリ、通信ユニット14、入出力インターフェイスが内部バスで接続されたコンピュータを実体とする。制御用ECU12は、例えば、電源制御ECUやエンジンECU等が兼用できるが、通信ユニット14を有しICレギュレータ13と通信可能であればどのECUでもよく、オルタネータ11の制御用に専用に車載されたECUでもよい。
本実施形態の発電制御の概略を説明する。
(1)ICレギュレータ13はサーミスタ22によりオルタネータ11の温度を監視しており、温度が閾値T1以上になると、高温異常信号を制御用ECU12に送信する。
(2)また、制御用ECU12は、実測値である実測励磁電流Imと実測値である実測フィールドデューティー比(以下、単に実測FDmという)をICレギュレータ13から受信する。
(3)制御用ECU12は、実測励磁電流Imと実測FDm、及び、設定能力値FDgから最大励磁電流Imaxを算出する。設定能力値FDgは、オルタネータ11の最大発電能力に対する任意の能力値である。例えば、最大発電能力に対し半分の能力で発電するよう、制御用ECU12がオルタネータ11に要求する場合、設定能力値FDgは50%となる(フィールドデューティー比は0〜100%の間の値を取る)。具体的には、制御用ECU12は次式により最大励磁電流Imaxを算出する。
max=Im×FDg/FDm …(A)
(4)制御用ECU12は、計算された最大励磁電流ImaxをICレギュレータ13に送信する。送信の際、制御用ECU12はLIN通信のデータIDに最大励磁電流Imaxを含むことを示す番号を設定する。
(5)最大励磁電流Imaxを受信したICレギュレータ13は、励磁電流が最大励磁電流Imax以下となるように励磁電流を制御する。
式(A)によれば、設定能力値FDgと実測FDmの比(高温異常が検出された場合は1未満となる)により、実測励磁電流Imを低減した値を最大励磁電流Imaxとして算出することができる。このように最大励磁電流Imaxを算出しても、ICレギュレータ13は従来通りバッテリ28のSOCに応じて算出したフィールドデューティー値でスイッチング素子25をオン/オフできる。このため、ICレギュレータ13が指示する発電量は、バッテリ28のSOC等から決定される車両電気負荷に必要な発電量に対応したものとなる。
しかし、ICレギュレータ13は、励磁電流が最大励磁電流Imaxを超えないように励磁電流を制御するので、励磁電流は、高温異常が検出される前の実測励磁電流Imよりも小さくなる。したがって、オルタネータ11の温度上昇を抑制可能な範囲で、最大限の発電量を確保できることになる。すなわち、オルタネータ11は、高温異常時に、発電を中止することなく最適な発電量で発電することができる。
なお、本実施形態において、「温度上昇の抑制」には、温度を低下させることを含む。励磁電流を最大励磁電流Imax以下とした場合に温度上昇が継続したままなのか、温度が低下に転じるかは、外気温やエンジン水温等により変わりうるものである。
〔ICレギュレータ13〕
図2は、ICレギュレータ13の構成の一例を模式的に示す図の一例である。オルタネータ11は、スイッチング素子25と、抵抗24と、ロータコイル30と、ロータコイル30と並列接続されたダイオード29と、三相交流電圧を発生するステータコイル33と、三相交流電圧により流れる電流を整流して直流電流を出力する整流回路34と、上記のICレギュレータ13を有する。整流回路34の出力端子Bはバッテリ28に接続されている。バッテリ28の他、車両電気負荷、例えばエアコンなどにも接続されている。したがって、この出力端子Bからバッテリ28と車両電気負荷に充電電力が供給される。
また、ICレギュレータ13は、バッテリ28と接続された電圧調整部27、抵抗24に流れる電流を検出する電流検出部21、温度を検出するサーミスタ22、サーミスタ22に接続された過熱防止部23、過熱防止部23の出力と電圧調整部27の出力が接続されたAND回路26、ロータコイル30と直列に接続された可変電流リミッタ31を有する。
高温異常が検出されない状態において、電圧調整部27はオルタネータ11の充電電力の電圧を調圧する。電圧調整部27はバッテリ28のSOCを検出し、バッテリ28のSOCが低下するとPWM信号のフィールドデューティー比を大きくし、バッテリ28のSOCが大きくなるとフィールドデューティー比を低く調節する。バッテリ28のSOCとフィールドデューティー比の関係は、例えばマップに定められている。電圧調整部27は、このフィールドデューティー比をFDmとして通信ユニット32に送出する。
ここで、AND回路26は、サーミスタ22の温度が閾値T2を超えるまでは常時Hiになっているので、常態としてAND回路26はPWM信号を透過させる。したがって、電圧調整部27が出力するPWM信号がHiの時にスイッチング素子25はオンに、Lowの時にオフになるので、ロータコイル30にはフィールドデューティー比に応じた励磁電流が流れる。
ロータコイル30に励磁電流が流れた状態でステータコイル33内でロータコイル30が回転すると、ステータコイル33のU相、V相、W相に3相交流電流が発生する。整流回路34は、3相交流電流を全波整流して、バッテリ28に供給する。
抵抗24はトランジスタのエミッタとグランドとの間に直列に接続されており、このため抵抗24には、トランジスタのエミッタとドレインの間を流れる電流、すなわちロータコイル30に流れる励磁電流と同程度の電流が流れる。電流検出部21は、この抵抗24に流れる電流を実測励磁電流Imとして検出し通信ユニット32に送出する。なお、抵抗24にはPWM信号と同程度の矩形型の電流が流れるので、電流検出部21がフィールドデューティー比を測定し、測定されたフィールドデューティー比をFDmとして検出してもよい。
過熱防止部23は、サーミスタ22により検出されたオルタネータ11の温度に応じて2つの動作をする。1つめは、温度が閾値T1以上になった場合、高温異常信号を通信ユニット32に出力する動作である。閾値T1は、例えば仕様上限温度よりも10〜20%程度低い温度であり、そのままオルタネータ11の温度上昇が継続すると、仕様上限温度を超過するおそれがあるような温度である。したがって、過熱防止部23が高温異常信号を出力した時点では、オルタネータ11が発電することは可能である。なお、過熱防止部23は、サーミスタ22により検出された温度が、閾値T1を超えている間、継続的に高温異常信号を通信ユニット32に送出する。通信ユニット32は高温異常信号を継続的に制御用ECU12に送信する。
また、2つめは、温度が閾値T2(>T1)以上になった場合、Low信号をAND回路26に出力する動作である。閾値T2は、例えば仕様上限温度より若干低い温度、すなわち仕様上限温度を超過する直前の温度である。過熱防止部23からAND回路26に入力される信号がLowになると、AND回路26は電圧調整部27から入力されたPWM信号を出力しないので、ロータコイル30に流れる励磁電流を遮断できる。
可変電流リミッタ31は、設定された上限の電流値(最大励磁電流Imax)とロータコイル30に流れる電流を比較して次のように動作する。
・励磁電流≦最大励磁電流Imax:励磁電流の大きさを制限しない
・励磁電流>最大励磁電流Imax:励磁電流の大きさを最大励磁電流Imax以下に制限する
このように、可変電流リミッタ31は励磁電流を最大励磁電流Imax以下に制限することができる。制御用ECU12から最大励磁電流Imaxを受信した通信ユニット32は、最大励磁電流Imaxを可変電流リミッタ31に設定するので、可変電流リミッタ31はロータコイル30に流れる励磁電流の上限を可変にすることができる。
このように、可変電流リミッタ31を利用するのでなく、最大励磁電流Imaxとなるフィールドデューティー比を電圧調整部27が算出してもよい。
なお、可変電流リミッタ31は、例えば、予め定められた時間が経過すると、制御用ECU12から受信した最大励磁電流Imaxを破棄して、励磁電流の制限を終了する。後述するように、制御用ECU12は、高温異常信号を受信している間、継続して最大励磁電流Imaxを送信するので、高温異常が検出されている間は、可変電流リミッタ31は励磁電流を最大励磁電流Imax以下に制限できる。一方、高温異常が検出されなくなれば、可変電流リミッタ31は励磁電流を最大励磁電流Imax以下に制限することを終了できる。
〔制御用ECU12〕
図3は、制御用ECU12の機能ブロック図の一例を示す。制御用ECU12は、上記の通信ユニット14、FDm・Im要求部41、最大励磁電流算出部42、及び、FDg決定部43、を有する。これら各機能は、制御用ECU12のCPUがEEPROMに記憶されたプログラムを実行するか又はASIC等のハードウェアとしての回路により実現される。
通信ユニット14が、ICレギュレータ13から高温異常信号を受信すると、制御用ECU12に例えば通信割り込みが発生し、CPUによりEEPROMに記憶されたプログラムが実行される。
まず、FDm・Im要求部41は、通信ユニット14が高温異常信号を受信すると、実測FDmと実測励磁電流Imを送信するようICレギュレータ13に要求する。ICレギュレータ13は通信ユニット32を介して、実測FDmと実測励磁電流Imを送信するので、制御用ECU12の通信ユニット14がこれらを受信する。通信ユニット14は、実測FDmと実測励磁電流Imとを最大励磁電流算出部42に送出する。なお、FDm・Im要求部41は、所定時間の間(例えば5秒くらい)、ICレギュレータ13に実測FDmと実測励磁電流Imとを送信するよう継続して要求する。これは、実測FDmと実測励磁電流Imが時間に対し変動している場合があるためである。最大励磁電流算出部42はこの所定時間の間の実測FDmと実測励磁電流Imの例えば平均を算出することで、両者の変動が最大励磁電流Imaxに与える影響を低減する。
また、FDg決定部43は好ましい発電量を推定するための要因に基づき設定能力値FDgを決定する。式(A)によれば、設定能力値FDgにより、実測励磁電流Imが低減されることになるので、エンジン回転数などのその他の条件が一定なら、設定能力値FDgが高い方が発電量が高くなる。まず、バッテリ28のSOCがある程度高ければ設定能力値FDgは小さくてよい。逆に、バッテリ28のSOCが低めの場合、設定能力値FDgは大きい方が好ましくなる。また、バッテリ28のSOCが高くても車両電気負荷の消費電力が大きい場合、設定能力値FDgは大きい方が好ましくなる。また、バッテリ28のSOCが低くても車両電気負荷の消費電力が小さい場合、設定能力値FDgは小さくてもよいことになる。また、エンジン回転数が低い場合には発電効率が低下するので、設定能力値FDgは大きい方が好ましく、エンジン回転数が高い場合には設定能力値FDgが小さくてもよいことになる。また、バッテリ28の温度が低い場合、充電電力の受け入れ性が低下するので設定能力値FDgは大きい方が好ましく、バッテリ28の温度が高い場合、充電電力の受け入れ性が向上するので設定能力値FDgは小さくてもよいことになる。FDg決定部43はこのような種々の要因を検出し、設定能力値FDgを決定する。
具体的には、設定能力値FDgは、例えば、バッテリ28のSOC、車両電気負荷の電力使用量、エンジン回転数及びバッテリ28の温度を、マップなどを利用して0〜100%の数値A〜Eにそれぞれ置き換える。そして、それぞれに規格化した重み付けをして加算することで設定能力値FDgを算出する。なお、α+β+γ+σ=1である。
設定能力値FDg= α・A+β・B+γ・C+σ・D
また、オルタネータ11の温度上昇を抑制するには、設定能力値FDgは高温異常が検出されるまでのフィールドデューティー比よりも小さい値である必要がある。このため、算出された設定能力値FDgは、最大でも100以下である。また、設定能力値FDgがこのような高い値となると、温度上昇の抑制を図れないので、FDg決定部43は、予め定めた上限以下になるように、設定能力値FDgを決定してもよい。この場合、数値A〜Eを例えば0〜70%のように、置き換える数値の最大値を低めに設定することで、設定能力値FDgの上限値を抑制できる。
そして、最大励磁電流算出部42は、式(A)から最大励磁電流Imaxを算出する。なお、上記のように、最大励磁電流算出部42は、所定時間に受信した複数の実測FDmと実測励磁電流Imのそれぞれ平均を算出する。設定能力値FDg<実測FDm としたので、実測励磁電流Imより小さい最大励磁電流Imaxを算出することができる。例えば、実測励磁電流Im=3.5A、実測FDm=89%、設定能力値FDg=50%とした場合、最大励磁電流Imaxは次のようになる。
最大励磁電流Imax= 3.5A×50%/89% = 1.97A
最大励磁電流算出部42は、通信ユニット14を介して最大励磁電流ImaxをICレギュレータ13に送信する。最大励磁電流算出部42は、LIN通信のデータIDに最大励磁電流Imaxを含むことを示す番号を設定する。こうすることで、ICレギュレータ13は励磁電流の最大値を抑制でき、オルタネータ11の温度上昇を抑制することができる。
〔動作手順〕
図4は、制御用ECU12が高温異常信号を受信した際の手順を示すフローチャート図の一例を示す。図4のフローチャート図は、例えばイグニッションがオンになるとスタートする。
制御用ECU12は高温異常信号を受信したか否かを判定する(S10)。高温異常信号を受信しない場合(S10のNo)、オルタネータ11に高温異常が生じていないことになるので、制御用ECU12は受信するまで待機する。
高温異常信号を受信した場合(S10のYes)、制御用ECU12に割り込みが発生し、まず、制御用ECU12はオルタネータ11の高温異常を記録するためダイアグコードをEEPROMに記憶する(S20)。ダイアグコードは、例えばアルファベットと数値を組み合わせた記号列であり、サービスマン等がダイアグコードを見るとどのような異常が生じたのかを解析することが可能となる。
高温異常信号を受信すると、FDm・Im要求部41がICレギュレータ13に実測励磁電流Imと実測FDmを要求する(S30)。これにより、制御用ECU12は所定時間の間に複数個の実測励磁電流Imと実測FDmを受信できる。例えば、LINの通信速度では5秒間に100程度の実測励磁電流Imと実測FDmを、制御用ECU12が受信できる。なお、FDm・Im要求部41がICレギュレータ13に実測励磁電流Imと実測FDmを要求するのでなく、ICレギュレータ13が高温異常信号と共に、実測励磁電流Imと実測FDmを制御用ECU12に送信してもよい。
また、FDg決定部43は、例えば実測励磁電流Imと実測FDmを受信している間に、設定能力値FDgを決定する(S40)。発電量を決定する要因は所定時間内に大きく変動しないので、FDg決定部43は設定能力値FDgを1つ決定すればよい。
そして、最大励磁電流算出部42は、最大励磁電流Imaxを算出する(S50)。そして、最大励磁電流算出部42は最大励磁電流ImaxをICレギュレータ13に送信する(S60)。ICレギュレータ13は、データIDから最大励磁電流Imaxを受信したことを検出して、最大励磁電流Imaxを可変電流リミッタ31に設定するので、可変電流リミッタ31は受信した最大励磁電流Imaxを超えないように励磁電流を抑制する。したがって、オルタネータ11の温度上昇を抑制できる。
なお、ICレギュレータ13が高温異常信号を制御用ECU12に送信し始めてから、制御用ECU12がICレギュレータ13に最大励磁電流Imaxを送信するまで、所定時間(例えば5秒)+αである。この間、ICレギュレータ13は継続的に高温異常信号を制御用ECU12に送信し続けている。
最大励磁電流ImaxをICレギュレータ13に送信した後、制御用ECU12は高温異常信号を受信しているか否かを判定する(S70)。高温異常信号を受信している場合(S70のYes)、オルタネータ11の温度が閾値T1異常のままであることになるので、ステップS60に戻り最大励磁電流Imaxの送信を繰り返す。なお、ステップS70の判定は、オルタネータ11の温度の低下が見込める、数十秒後(例えば20秒後)に行ってもよい。こうすることで、ICレギュレータ13と制御用ECU12の通信負荷を低減できる。
高温異常信号を受信しなくなった場合(S70のNo)、オルタネータ11の温度が閾値T1未満に下がったことになるので、図4の処理は終了する。
図5は、オルタネータ11で高温異常検出された際の、タイムチャート図の一例を示す。図5には、比較のため従来の高温異常検出についても付記した。従来は、オルタネータ11の温度が上昇して、時刻t3に閾値T2以上になるまで温度上昇を抑制する制御はなされていない。オルタネータ11の温度が閾値T2以上になると、図2の過熱防止部23がAND回路26にLow信号を出力することで、オルタネータ11は発電を停止する。これにより、オルタネータの温度が低下し始める。
これに対し、本実施形態の制御用ECU12は、オルタネータ11の温度が上昇して、時刻t1に閾値T1以上になると最大励磁電流ImaxをICレギュレータ13に指示する。これによりオルタネータは発電量の制限を開始する。発電量を制限しても発電量はゼロにならない。発電量を制限することで、時刻t1から徐々にオルタネータ11の温度が低下するか温度上昇が抑制される。そして、時刻t2に、オルタネータ11の温度が閾値T1未満となると、オルタネータ11は発電量を元に戻す。
このように、オルタネータ11の高温異常が検出されても、発電停止することがないので最低でも最大励磁電流Imaxにより定まる発電量を確保することができる。したがって、発電量不足によるバッテリ上がりや車両電気負荷の動作不良を防止しながら、オルタネータ11の温度上昇を抑制することができる。また、励磁電流を最大励磁電流Imax以下に制限する処理はICレギュレータ13が実行し、制御用ECU12は最大励磁電流Imaxを算出するだけでよいので、制御用ECU12の処理負荷の増大も最小限に抑制できる。
また、本実施例では、内燃機関(エンジン)の回転によりオルタネータが回転して発電したが、電気自動車にはオルタネータは搭載されず、ハイブリッド車の場合もオルタネータが搭載されないことも多い。電気自動車やハイブリッド車の場合、モータジェネレータにより発電するが、モータジェネレータも発電量が大きいと高温になる傾向がある。本実施形態の発電量の制限はモータジェネレータにも適用でき、この場合、モータジェネレータに供給される電流を最大励磁電流Imaxに対応する電流以下に制限すればよい。
〔変形例〕
図6は、発電制御システム100の概略構成図の変形例を示す。従来から、ICレギュレータ13にはチャージランプ17が接続されており、ICレギュレータ13はバッテリ28への発電中にチャージランプ17を消灯し、エンジンが停止して発電していない間はチャージランプ17を点灯していた。したがって、チャージランプ17を点灯又は消灯することで、充電の有無を運転者に通知する。また、ICレギュレータ13は発電率情報を外部のECUに提供することができる。発電率情報には、フィールドデューティー比が用いられることが多い。
本実施形態では、これらオルタネータ11の発電に関する情報に加え、ICレギュレータ13が発電量を制限していることを示す発電量制限情報を外部のECUに提供することで、発電量が制限されていることを運転者等に通知することができる。ICレギュレータ13は、最大励磁電流Imaxを受信して可変電流リミッタ31に設定すると、発電量制限情報を制御用ECU12に送信する。制御用ECU12は例えばメータECU16とCAN等により接続されているので、制御用ECU12は発電量制限情報をメータECU16に送信することができる。また、制御用ECU12は発電率情報を発電量制限情報と共に受信することができるので、メータECU16は発電量を制限中の発電率を運転者に通知することができる。
メータECU16は、発電量制限情報を受信すると、例えば「現在、発電量を制限しています」「発電量を制限していますので、使用電力の低減にご協力下さい」「オルタネータが高温のため、現在、発電量を制限しています」等のメッセージをメータパネルの液晶表示部に表示する。
メータECU16は、このメッセージを、チャージランプ17を点灯した状態で表示してもよく、チャージランプ17を点灯していなくても表示してもよい。例えば、運転者に、発電しているが発電量が制限されていることを通知したければ、メータECU16はチャージランプ17を点灯した状態でメッセージを表示する。これにより、運転者は、チャージランプ17が点灯していても、発電量が制限されていることを把握でき、急なバッテリ上がりや車両電気負荷の電力不足を防止しやすくできる。
また、例えば、発電量が制限されているため発電していることも運転者に通知したくなければ、メータECU16はチャージランプ17を点灯していない状態でメッセージを表示する。これにより、運転者は、発電量が制限されていることを把握でき、急なバッテリ上がりや車両電気負荷の電力不足をさらに防止しやすくできる。
発電制御システムの概略構成図の一例である。 ICレギュレータの構成の一例を模式的に示す図の一例である。 制御用ECUの機能ブロック図の一例である。 制御用ECUが高温異常信号を受信した際の手順を示すフローチャート図の一例である。 オルタネータで高温異常検出された際の、タイムチャート図の一例である。 発電制御システムの概略構成図の変形例である。
11 オルタネータ
12 制御用ECU
13 ICレギュレータ
14、32 通信ユニット
15 通信線
16 メータECU
25 スイッチング素子
28 バッテリ
30 ロータコイル
100 発電制御システム

Claims (7)

  1. スイッチング素子をPWM信号でオン又はオフして供給される励磁電流により発電量を制御するオルタネータと、通信線で接続された電子制御ユニットにおいて、
    前記オルタネータが所定値以上の高温である場合、励磁電流の電流値を含む電流値情報と、前記PWM信号のデューティー比を含むデューティー比情報を受信する受信手段と、
    前記デューティー比よりも小さい、能力設定値に対する前記デューティー比の比率を求め、該比率を前記電流値に掛けて励磁電流の制限用電流値を算出する算出手段と、
    前記制限用電流値を含む制限用電流値情報と、励磁電流を前記制限用電流値以下に制限するよう要求する要求情報とを、前記オルタネータに送信する送信手段と、
    を有することを特徴とする電子制御ユニット。
  2. 前記能力設定値を車両状況から算出する能力設定値決定手段、
    を有することを特徴とする請求項1記載の電子制御ユニット。
  3. 前記能力設定値決定手段は、
    バッテリの電圧、車両電気負荷の電力使用量、エンジン回転数又はバッテリの温度の一以上に、それぞれ重み付けをして前記設定能力値を算出する
    ことを特徴とする請求項2記載の電子制御ユニット。
  4. 前記能力設定値決定手段は、
    前記デューティー比情報未満になるように前記能力設定値を算出する、
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の電子制御ユニット。
  5. 前記電流値をIm、前記デューティー比をFDm、前記能力設定値をFDg、前記制限用電流値をImaxとした場合、
    前記算出手段は、
    max=Im×FDg/FDm
    から前記制限用電流値を算出する、
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の電子制御ユニット。
  6. 前記オルタネータが、前記制限用電流値以下に励磁電流を制限したことを、車両の乗員に通知する通知手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の電子制御ユニット。
  7. スイッチング素子をPWM信号でオン又はオフして供給される励磁電流により発電量を制御するオルタネータの、励磁電流制御方法において、
    受信手段が、前記オルタネータが所定値以上の高温である場合、励磁電流の電流値を含む電流値情報と、前記PWM信号のデューティー比を含むデューティー比情報を受信するステップと、
    算出手段が、前記デューティー比よりも小さい、能力設定値に対する前記デューティー比の比率を、前記電流値に掛けて、励磁電流の制限用電流値を算出するステップと、
    送信手段が、前記制限用電流値を含む制限用電流値情報と、励磁電流を前記制限用電流値以下に制限するよう要求する要求情報とを、前記オルタネータに送信するステップと、
    を有することを特徴とする励磁電流制御方法。
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