JP2010155923A - 保護用粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際には粘着フィルム由来の汚染物質が発生しない保護用粘着フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の保護用粘着フィルムは、粘着剤層におけるメタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなるM−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体とを含むブロック共重合体混合物と、フタル酸エステル系可塑剤と、の配合比を調整することで形成することができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の保護用粘着フィルムは、粘着剤層におけるメタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなるM−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体とを含むブロック共重合体混合物と、フタル酸エステル系可塑剤と、の配合比を調整することで形成することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、保護用粘着フィルムに関する。詳細には、被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際に粘着フィルム由来の糊カス等の汚染物質が発生しない保護用粘着フィルムに関する。
様々な物品を汚れや傷等から保護するために、再剥離性の保護用粘着フィルムが使用されている。かかる保護用粘着フィルムに求められる特性としては、被貼付体に対する適度な接着性、剥離除去時の易剥離性、低汚染性等が挙げられる。近年、加工の際に発生する粘着フィルム由来の切断くずによる汚染が作業性や生産性の低下を招き、大きな問題となっている。そのため、加工により発生し得る粘着フィルム由来の汚染を防止する試みが、種々、なされている。
例えば、特許文献1には、基材の片面に、ある特定の初期弾性率、損失正接、ゲル分を有する中間層と、分子内に炭素−炭素に二重結合を有する放射線硬化型のアクリル系ポリマーを用いてなる粘着剤層と、をこの順で設けることで、切断くずの発生を防止した粘着シートが開示されている。
しかしながら、上記粘着シートによれば、切断クズの数は減少するものの、その発生を完全に防止するまでには至っていない。そのため、カッティング等の加工を行っても粘着フィルム由来の汚染物質が発生しない保護用粘着フィルムの開発が所望されていた。
特開2007−45965号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際に粘着フィルム由来の糊カス等の汚染物質が発生しない保護用粘着フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、粘着剤層の主剤として、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなるM−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体を含むブロック共重合体混合物を用い、これにフタル酸エステル系可塑剤を配合することで、貼付期間中の適度な接着性と加工の際の非汚染性とを有する粘着フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
(1)基材上に、粘着剤層と、剥離層とが順次形成された粘着フィルムにおいて、該粘着剤層が、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなる質量平均分子量10,000〜100,000のM−A型ジブロック共重合体及び質量平均分子量10,000〜100,000のM−A−M型トリブロック共重合体を含むブロック共重合体混合物と、質量平均分子量300〜1000のフタル酸エステル系可塑剤と、を含有し、該ブロック共重合体混合物は、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%であるジブロック共重合体と、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%であるトリブロック共重合体と、を含み、該ブロック共重合体混合物における該トリブロック共重合体の占める割合が30〜90質量%であり、該フタル酸エステル系可塑剤が、該ブロック共重合体混合物100質量部に対して0〜60質量部配合されていることを特徴とする保護用粘着フィルム。
(2)前記フタル酸エステル系可塑剤が、該ブロック共重合体混合物100質量部に対して15〜60質量部更に配合されていることを特徴とする(1)に記載の保護用粘着フィルム。
(3)剥離速度300mm/min、剥離距離150mm、試験体幅20mmの180°剥離試験(JIS Z0237準拠)にて測定した、被貼付体に貼付して0.5時間経過後の剥離強度が0.01〜1.00N/20mmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の保護用粘着フィルム。
(4)シリコン酸化膜面保護用であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の保護用粘着フィルム。
本発明によれば、被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際に粘着フィルム由来の糊カス等汚染物質が発生せず、製品や装置の汚染を引き起こすことがないので、作業性や生産性の向上を図ることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。
本発明の保護用粘着フィルム(以下、粘着フィルムとする。)は、基材上に、粘着剤層と、剥離層とを順次形成された粘着フィルムにおいて、該粘着剤層が、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなる質量平均分子量10,000〜100,000のM−A型ジブロック共重合体及び質量平均分子量10,000〜100,000のM−A−M型トリブロック共重合体を含むブロック共重合体混合物と、質量平均分子量300〜1000のフタル酸エステル系可塑剤と、を含有し、該ブロック共重合体混合物は、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%であるジブロック共重合体と、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%であるトリブロック共重合体と、を含み、該ブロック共重合体混合物における該トリブロック共重合体の占める割合が30〜90質量%であり、該フタル酸エステル系可塑剤が、該ブロック共重合体混合物100質量部に対して0〜60質量部配合されている。
粘着フィルムを構成する粘着剤層としては、アクリル酸アルキルエステル単量体とエポキシ基や水酸基等の官能基を有する単量体との共重合体を、イソシアネート系架橋剤や金属キレート剤等により架橋させたものが一般的に使用されている。これに対し、本発明では、M−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体を含むブロック共重合体混合物と、フタル酸エステル系可塑剤と、を粘着剤層に使用し、粘着フィルムの物性を調整した点に特徴がある。M−A型ジブロック共重合体やM−A−M型トリブロック共重合体におけるアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合、ブロック共重合体混合物におけるM−A−M型トリブロック共重合体の占める割合、及びフタル酸エステル系可塑剤の配合量を調整することで、被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際に糊カス等の汚染物質が発生しない粘着フィルムを形成することができる。以下、本発明の粘着フィルムについて、基材、粘着剤層、剥離層の順で説明する。
[基材]
基材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的には合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、パラ系アラミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。なお、本発明では、この中でも、剛性、伸長性、寸法安定性、柔軟性、積層適性等、耐薬品性の観点から、特に、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
基材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的には合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、パラ系アラミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。なお、本発明では、この中でも、剛性、伸長性、寸法安定性、柔軟性、積層適性等、耐薬品性の観点から、特に、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは12〜188μm、より好ましくは25〜100μmである。上記範囲であれば、粘着フィルムの形態を維持することができるので、粘着フィルムの貼付や剥離等の作業性が良好となる。
[粘着剤層]
本発明の粘着フィルムを形成する粘着剤層には、ブロック共重合体混合物と、フタル酸エステル系可塑剤と、が含まれる。そして、ブロック共重合体混合物は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなるM−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体を含む。該ブロック共重合体混合物は、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%、好ましくは90〜94質量%であるM−A型ジブロック共重合体と、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%、好ましくは75〜80質量%であるM−A−M型トリブロック共重合体と、を含有し、該ブロック共重合体混合物における該トリブロック共重合体の占める割合が30〜90質量%、好ましくは50〜90質量%である。アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が上記範囲のM−A型ジブロック共重合体とM−A−M型トリブロック共重合体とを含み、且つ、ブロック共重合体混合物におけるトリブロック共重合体の占める割合が上記範囲であれば、後述するフタル酸エステル系可塑剤との配合比を調整することで、被貼付体に対して適度な接着性を示し、また、カッティング等の加工の際には粘着フィルム由来の糊カス等の汚染物質が発生しない粘着フィルムを形成することができる。かかる粘着フィルムの使用は、製品や装置の汚染を引き起こすことがないので、作業性や生産性の向上につながる。
本発明の粘着フィルムを形成する粘着剤層には、ブロック共重合体混合物と、フタル酸エステル系可塑剤と、が含まれる。そして、ブロック共重合体混合物は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなるM−A型ジブロック共重合体及びM−A−M型トリブロック共重合体を含む。該ブロック共重合体混合物は、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%、好ましくは90〜94質量%であるM−A型ジブロック共重合体と、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%、好ましくは75〜80質量%であるM−A−M型トリブロック共重合体と、を含有し、該ブロック共重合体混合物における該トリブロック共重合体の占める割合が30〜90質量%、好ましくは50〜90質量%である。アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が上記範囲のM−A型ジブロック共重合体とM−A−M型トリブロック共重合体とを含み、且つ、ブロック共重合体混合物におけるトリブロック共重合体の占める割合が上記範囲であれば、後述するフタル酸エステル系可塑剤との配合比を調整することで、被貼付体に対して適度な接着性を示し、また、カッティング等の加工の際には粘着フィルム由来の糊カス等の汚染物質が発生しない粘着フィルムを形成することができる。かかる粘着フィルムの使用は、製品や装置の汚染を引き起こすことがないので、作業性や生産性の向上につながる。
M−A型ジブロック共重合体の質量平均分子量(GPCによる測定)は、10,000〜100,000であり、好ましくは80,000〜100,000である。上記範囲であれば、粘着剤層として十分な凝集力を示す。上記質量平均分子量と、上記アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合と、を満たすジブロック共重合体としては、特に限定されないが、具体的には、例えばLA1114(クラレ社製)の商品名で市販されているものを好適に使用することができる。
また、M−A−M型トリブロック共重合体の質量平均分子量(GPCによる測定)は、10,000〜100,000であり、好ましくは45,000〜100,000である。上記範囲であれば、粘着剤層として十分な凝集力を示す。上記質量平均分子量と、上記アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合と、を満たすトリブロック共重合体についても、特に限定されるものではなく、具体的には、例えばLA2140e(クラレ社製)の商品名で市販されているものを好適に使用することができる。
粘着剤層に含まれるフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ヘプチルノニル(HNP)、フタル酸ジ−n−オクチル(DNOP)、フタル酸ジ−i−オクチル(DCapP)、フタル酸ジ−i−デシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、フタル酸ブチルベンジル(BDP)、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、ブチルフタリルブチルグリコレート(BPBG)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。なお、本発明では、この中でも、汎用性の観点から、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)を用いることが好ましい。
フタル酸エステル系可塑剤の配合量は、ブロック共重合体混合物100質量部に対して0〜60質量部であり、15〜60質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。なお、2種以上を併用する場合には、全体としての配合量を意味する。上記範囲であれば、被貼付体に対して適度な接着性を示し、且つ、カッティング等の加工の際には粘着フィルム由来の糊カス等の汚染物質が発生しない粘着フィルムを形成することができる。また、フタル酸エステル系可塑剤の配合量が、ブロック共重合体混合物100質量部に対して15〜60質量部の範囲であれば、剥離性が良好な粘着フィルムを形成することができる。なお、フタル酸エステル系可塑剤の質量平均分子量(GPCによる測定)は、300〜1000であり、300〜700であることが好ましい。上記範囲であれば、粘着剤溶液への溶解性が良好である。
その他、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の各種添加剤を配合することができる。
粘着剤層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、印刷、コーティング等による方法が挙げられる。また、粘着剤層の厚みは、被貼付体の貼付面の状態、形状等を勘案し、被貼付体の貼付面に対する粘着性を損なわない範囲で適宜選択することができ、通常、10〜60μm、好ましくは20〜50μmである。上記範囲であれば、被貼付体に対して適度な接着性を示す粘着フィルムを形成することができる。
[剥離層]
剥離層は、粘着剤層の上に積層された剥離性を有する剥離部材からなり、粘着剤層の表面を保護する機能を有する。剥離部材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的にはシリコーン離型処理した合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、剥離層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは25〜125μmである。
剥離層は、粘着剤層の上に積層された剥離性を有する剥離部材からなり、粘着剤層の表面を保護する機能を有する。剥離部材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的にはシリコーン離型処理した合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、剥離層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは25〜125μmである。
本発明の粘着フィルムは、有機溶剤に溶解させた粘着剤(以下、粘着剤溶液とする。)を基材に塗布し、これを乾燥して、所望の厚さの粘着剤層を形成することにより製造できる。有機溶剤としては、特に限定されず、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル、アセトン、これらの混合溶液等が挙げられる。基材に粘着剤溶液を塗布する方法としては、従来公知の方法、例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、コンマコート法等が挙げられる。塗布された粘着剤の乾燥条件は、特に限定されないが、通常、40〜120℃の温度範囲において30秒〜3分間乾燥する。本発明の粘着フィルムの厚みは、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、47〜373μmである。
本発明の粘着フィルムは、剥離速度300mm/min、剥離距離150mm、試験体幅20mmの180°剥離試験条件(「JIS Z0237」に準拠)で測定した、被貼付体に貼付して0.5時間経過後の剥離強度が0.01〜1.00N/20mmであることが好ましく、0.10〜1.00N/20mmであることがより好ましい。上記範囲であれば、被貼付体に対して良好に接着し、剥離除去の際には被貼付体を破損させることなく容易に剥離することができる。
本発明の粘着フィルムの貼付対象としては、特に限定されるものではないが、例えば、反射防止フィルム、防眩フィルム、偏光板、電磁波シールド等の光学用フィルム、銅、鉄等の金属製板や金属製フィルム、金属酸化物が表面や内部に形成されたフィルム、ガラス、珪素酸化物が表面や内部に形成されたフィルム、半導体ウエハ等が挙げられる。本発明の粘着フィルムは、カッティング等の加工を行っても糊カス等の汚染物質が発生しないので、わずかな汚染物質が、装置の汚染、如いては製品の汚染を引き起こし、作業性や生産性の著しい低下を招き得る半導体ウエハの生産ラインでの使用において、特に、効果を発揮する。
なお、本発明の粘着フィルムは、シリコン酸化膜面の保護用に用いてもよい。シリコン酸化膜とは、シリコンウエハの表面に二酸化ケイ素膜を形成させたものをいい、通常のウエハに比して粘着フィルムの接着性や密着性が劣る貼付対象である。シリコンウエハは、非常に薄いため、接着性が高いと粘着フィルムを剥離する際に破損してしまう。そのため、シリコン酸化膜面の保護に用いる場合には、剥離速度300mm/min、剥離距離150mm、試験体幅20mmの180°剥離試験条件(「JIS Z0237」に準拠)で測定した、貼付して0.5時間経過後の剥離強度が0.10〜1.00N/20mmであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.75N/20mmであり、更により好ましくは0.20〜0.75N/20mmである。上記範囲であれば、粘着フィルムは、シリコン酸化膜面に対して良好な接着性と密着性とを示し、また、ウエハを破損することなく剥離することができる。
本発明の粘着フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、印刷層等の他の層を積層されていてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[材料]
<ジブロック重合体>
LA1114(クラレ社製):アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合90〜95質量%、固形分100%、分子量約85,000
<トリブロック重合体>
LA2140e(クラレ社製):アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合72〜80質量%、固形分100%、分子量約80,000
<フタル酸エステル系可塑剤>
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)(ジェイプラス社製):分子量390.6
<ブチルアクリレート(BA)−アクリルニトリル(AN)共重合体のアクリル系粘着剤>
SKダインAG790(綜研化学社製):固形分23%
<ブチルアクリレート(BA)−2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)共重合体のアクリル系粘着剤>
ATR340(サイデン化学社製):固形分42%
<イソシアネート系架橋剤>
L−45(綜研化学社製):固形分45%
K200(サイデン化学社製):固形分100%
<アルミニウム金属キレート剤>
M2(サイデン化学社製):固形分5%
<ジブロック重合体>
LA1114(クラレ社製):アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合90〜95質量%、固形分100%、分子量約85,000
<トリブロック重合体>
LA2140e(クラレ社製):アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合72〜80質量%、固形分100%、分子量約80,000
<フタル酸エステル系可塑剤>
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)(ジェイプラス社製):分子量390.6
<ブチルアクリレート(BA)−アクリルニトリル(AN)共重合体のアクリル系粘着剤>
SKダインAG790(綜研化学社製):固形分23%
<ブチルアクリレート(BA)−2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)共重合体のアクリル系粘着剤>
ATR340(サイデン化学社製):固形分42%
<イソシアネート系架橋剤>
L−45(綜研化学社製):固形分45%
K200(サイデン化学社製):固形分100%
<アルミニウム金属キレート剤>
M2(サイデン化学社製):固形分5%
[粘着フィルムの形成方法]
<製造例1>比較例1〜22,実施例1〜56
アプリケータを用いて、基材(PETフィルム,商品名「S105」,膜厚50μm,東レ社製)のコロナ処理面に乾燥後の膜厚が40μmとなるように、表1〜3に示す組成の粘着剤溶液を塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層中の希釈溶剤をオーブンにより揮発させ(90℃,1分間)、乾燥後の粘着剤層の塗工面に剥離層(PETセパレーターフィルム,商品名「0010BD」,膜厚50μm,藤森工業社製)の剥離処理面をラミネートし、粘着フィルムを形成した。
<製造例1>比較例1〜22,実施例1〜56
アプリケータを用いて、基材(PETフィルム,商品名「S105」,膜厚50μm,東レ社製)のコロナ処理面に乾燥後の膜厚が40μmとなるように、表1〜3に示す組成の粘着剤溶液を塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層中の希釈溶剤をオーブンにより揮発させ(90℃,1分間)、乾燥後の粘着剤層の塗工面に剥離層(PETセパレーターフィルム,商品名「0010BD」,膜厚50μm,藤森工業社製)の剥離処理面をラミネートし、粘着フィルムを形成した。
<製造例2>比較例23〜32
アプリケータを用いて、基材(PETフィルム,商品名「S105」,膜厚50μm,東レ社製)のコロナ処理面に乾燥後の膜厚が40μmとなるように、表4及び5に示す組成の粘着剤溶液を塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層中の希釈溶剤をオーブンにより揮発させ(90℃,1分間)、乾燥後の粘着剤層の塗工面に剥離層(PETセパレーターフィルム,商品名「0010BD」,膜厚50μm,藤森工業社製)の剥離処理面をラミネートし、40℃で3日間のエージング処理を行い、粘着フィルムを形成した。
アプリケータを用いて、基材(PETフィルム,商品名「S105」,膜厚50μm,東レ社製)のコロナ処理面に乾燥後の膜厚が40μmとなるように、表4及び5に示す組成の粘着剤溶液を塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層中の希釈溶剤をオーブンにより揮発させ(90℃,1分間)、乾燥後の粘着剤層の塗工面に剥離層(PETセパレーターフィルム,商品名「0010BD」,膜厚50μm,藤森工業社製)の剥離処理面をラミネートし、40℃で3日間のエージング処理を行い、粘着フィルムを形成した。
上記方法により形成した各粘着フィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表1(比較例1〜6)、表2(実施例1〜32)、表3(実施例33〜56、比較例7〜22)、表4(比較例23〜28)、及び表5(比較例29〜32)に示す。
[剥離強度]
粘着フィルムを20mm幅に切断し、試験片を作製した。この試験片を、CVD炉にて、ターゲット:20Å、雰囲気:ヘリウムガスベース,モノシラン,酸素ガス、温度:400℃、保持時間:15秒の条件でCZ法により単結晶シリコンウエハ面にCVD酸化膜を形成した酸化膜面に2kgローラーを用いてラミネートし、常湿常温下にて0.5時間放置した。そして、引張り試験機(RTF−1150−H)を用いて、常湿常温下での剥離強度を測定(速度:300mm/min,剥離距離:150mm,剥離角:180°)した(JIS Z0237に準拠)。
粘着フィルムを20mm幅に切断し、試験片を作製した。この試験片を、CVD炉にて、ターゲット:20Å、雰囲気:ヘリウムガスベース,モノシラン,酸素ガス、温度:400℃、保持時間:15秒の条件でCZ法により単結晶シリコンウエハ面にCVD酸化膜を形成した酸化膜面に2kgローラーを用いてラミネートし、常湿常温下にて0.5時間放置した。そして、引張り試験機(RTF−1150−H)を用いて、常湿常温下での剥離強度を測定(速度:300mm/min,剥離距離:150mm,剥離角:180°)した(JIS Z0237に準拠)。
[学振摩擦試験後における糊カスの発生の確認]
学振摩擦試験(JIS L0849準拠)後における粘着剤由来の糊カス(幅1mm以上)発生の有無を確認した。試験装置にJIS L0849準拠のAB−301学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業製)を用い、粘着フィルムの試験片の大きさは、3cm×22cmとした。摩擦子の先端にJIS L0803準拠のJIS染色堅牢度試験用綿(財団法人 日本規格協会製)をかぶせ、200gの荷重にて、試験台(表面半径:200mm,形状:かまぼこ板型)上に固定した試験片22cmの間を毎分30回の往復速度で20回往復摩擦した後、試験片上の糊カスの発生の有無を確認した。確認は目視及び光学顕微鏡(VHX−600、キーエンス社製、倍率100)にて行った。
学振摩擦試験(JIS L0849準拠)後における粘着剤由来の糊カス(幅1mm以上)発生の有無を確認した。試験装置にJIS L0849準拠のAB−301学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業製)を用い、粘着フィルムの試験片の大きさは、3cm×22cmとした。摩擦子の先端にJIS L0803準拠のJIS染色堅牢度試験用綿(財団法人 日本規格協会製)をかぶせ、200gの荷重にて、試験台(表面半径:200mm,形状:かまぼこ板型)上に固定した試験片22cmの間を毎分30回の往復速度で20回往復摩擦した後、試験片上の糊カスの発生の有無を確認した。確認は目視及び光学顕微鏡(VHX−600、キーエンス社製、倍率100)にて行った。
表1〜5に示す対ウエハ剥離強度及び糊カスの発生の測定結果より、保護用粘着フィルムの粘着剤として一般的に多用されているアクリル系粘着剤では、糊カスが多く発生する粘着フィルムが形成されることが確認された(比較例23〜32)。粘着剤として、ジブロック共重合体LA1114を使用した粘着フィルムは、剥離層を剥離した際に粘着剤層の凝集破壊が生じた(比較例1〜6)。これに対し、アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%であるジブロック共重合体LA1114と、アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%であるトリブロック共重合体LA2140eと、フタル酸エステル系可塑剤であるDOPと、の配合比を調整することで、被貼付体に対して良好な接着性を示すとともに、過酷な摩擦を行ったとしても粘着フィルム由来の糊カスが発生しない保護用粘着フィルムを形成できることが確認された(実施例1〜56、比較例7〜22)。
Claims (4)
- 基材上に、粘着剤層と、剥離層とが順次形成された粘着フィルムにおいて、
該粘着剤層が、メタクリル酸メチル重合体ブロック(M)とアクリル酸ブチル重合体ブロック(A)とからなる質量平均分子量10,000〜100,000のM−A型ジブロック共重合体及び質量平均分子量10,000〜100,000のM−A−M型トリブロック共重合体を含むブロック共重合体混合物と、質量平均分子量300〜1000のフタル酸エステル系可塑剤と、を含有し、
該ブロック共重合体混合物は、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が90〜95質量%であるジブロック共重合体と、該アクリル酸ブチル重合体ブロック(A)の占める割合が72〜80質量%であるトリブロック共重合体と、を含み、
該ブロック共重合体混合物における該トリブロック共重合体の占める割合が30〜90質量%であり、
該フタル酸エステル系可塑剤が、該ブロック共重合体混合物100質量部に対して0〜60質量部配合されていることを特徴とする保護用粘着フィルム。 - 前記フタル酸エステル系可塑剤が、前記ブロック共重合体混合物100質量部に対して15〜60質量部配合されていることを特徴とする請求項1に記載の保護用粘着フィルム。
- 剥離速度300mm/min、剥離距離150mm、試験体幅20mmの180°剥離試験(JIS Z0237準拠)にて測定した、被貼付体に貼付して0.5時間経過後の剥離強度が0.01〜1.00N/20mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護用粘着フィルム。
- シリコン酸化膜面保護用であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の保護用粘着フィルム。
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- 2008-12-26 JP JP2008334821A patent/JP2010155923A/ja active Pending
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