JP2010038660A - 時計用文字板、時計用文字板の製造方法および時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供すること、前記時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観に優れた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられた被膜3とを備えている。被膜3は、基板2に対向する第1の面31の明るさが、第1の面31とは反対側の第2の面32の明るさよりも明るいものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられた被膜3とを備えている。被膜3は、基板2に対向する第1の面31の明るさが、第1の面31とは反対側の第2の面32の明るさよりも明るいものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、時計用文字板、時計用文字板の製造方法および時計に関する。
ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)用の文字板には、太陽電池が十分な起電力を発生するのに十分な光量の光を透過させる機能(光透過性)が求められる。このため、従来から、ソーラー時計用文字板としては、透明性の高いプラスチック性の部材が用いられてきた。ところが、プラスチックは、一般に、Au、Ag等の金属材料等に比べて、高級感に欠け、美的外観に劣っている。このため、プラスチック製の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような文字板では、優れた光透過性と、美的外観とを両立することが困難であった。すなわち、光の透過性を確保するために、金属膜の開口率(金属膜を平面視したときにおける、金属膜全体に対して開口部の占める面積の割合)を比較的高くすると、開口部の存在が目立ってしまい、金属材料(金属膜)を用いているにもかかわらず、十分に優れた美的外観が得られない。ソーラー時計においては、一般に、太陽電池として黒色や暗紫色等の暗色を呈するものが用いられているが、ソーラー時計がこのような太陽電池を備えたものである場合、金属膜の開口部と開口部以外の部位(金属膜で被覆されている部位)との色調、明るさの違いが顕著となり、その結果、開口部の存在が非常に目立ち易くなり、時計に適用した場合における時計用文字板の美的外観は特に劣ったものとなる。一方、美的外観を向上させる目的で、金属膜の開口率を低くすると、光の透過率が低下し、太陽電池の発電効率が著しく低下する。
また、特に、上記のような方法では、金属膜を基体上に貼着する際に、金属膜にしわが生じ易く、このようなしわの発生を防止するために、慎重に貼着作業を行う必要があり、文字板の生産性は極端に低いものとなる。また、十分慎重に貼着作業を行った場合でも、比較的小さなしわ等は、その発生を十分に防止するのが困難であり、金属膜の開口率が低い場合であっても、得られる文字板の美的外観を十分に優れたものとするのが極めて困難であった。また、上記のような方法では、比較的高い割合で不良品が発生してしまうため、生産の歩留り、省資源の観点からも好ましくない。上記のような問題は、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合に、特に顕著になる。また、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合、貼着作業を行う際に、金属膜が破れ易く、文字板の生産性、生産コスト、省資源の観点から不利であるとともに、破れた金属膜の一部が微粒子として雰囲気中に飛散することがあり、人体の健康に対する懸念もある。
本発明の目的は、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供すること、前記時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観に優れた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、光透過性を有する材料で構成された基板と、前記基板を平面視した際に前記基板を部分的に被覆するようにして設けられた被膜とを備え、
前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする。
これにより、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板は、光透過性を有する材料で構成された基板と、前記基板を平面視した際に前記基板を部分的に被覆するようにして設けられた被膜とを備え、
前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする。
これにより、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板は、前記被膜が設けられた面とは反対側の面に、前記被膜が設けられた面側から入射した光を反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10〜28μmであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸の高低差は、4〜25μmであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸の高低差は、4〜25μmであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板を平面視した際の前記被膜で被覆されている面積の割合は、30〜70%であることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記被膜は、多数個の島状に設けられたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、上述するような製造方法により、容易かつ確実に被膜を形成することができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記被膜は、多数個の島状に設けられたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、上述するような製造方法により、容易かつ確実に被膜を形成することができる。
本発明の時計用文字板では、前記被膜は、多数個の開口部を有するものとして設けられたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記被膜は、異なる材料で構成された複数の層の積層体であり、
前記被膜の第1の面を構成する層が、Ag、Al、Au、RhおよびCuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであり、
前記被膜の第2の面を構成する層が、Fe、W、Ni、Cr、Ti、PdおよびPtよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記被膜は、異なる材料で構成された複数の層の積層体であり、
前記被膜の第1の面を構成する層が、Ag、Al、Au、RhおよびCuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであり、
前記被膜の第2の面を構成する層が、Fe、W、Ni、Cr、Ti、PdおよびPtよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板と前記被膜との間に、SiO2またはITOで構成された平均厚さが20〜200nmの中間層を備えていることが好ましい。
これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板と前記被膜との間に、TiO2で構成された平均厚さが10〜100nmの中間層を備えていることが好ましい。
これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板と前記被膜との間に、TiO2で構成された平均厚さが10〜100nmの中間層を備えていることが好ましい。
これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法は、光透過性を有する材料で構成された基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、被膜を形成する被膜形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程とを有し、
前記被膜形成工程で形成する前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供することができる。
前記基板上に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、被膜を形成する被膜形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程とを有し、
前記被膜形成工程で形成する前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記被膜形成工程では、その工程中において成膜材料を変更することにより、前記被膜を、異なる材料で構成された複数の層の積層体として形成することが好ましい。
これにより、被膜を構成する複数の層の間での位置ずれを確実に防止することができ、時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
これにより、被膜を構成する複数の層の間での位置ずれを確実に防止することができ、時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記被膜形成工程は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、前記被膜が形成されるべきワークとを密着させた状態で行うものであることが好ましい。
これにより、基板上の、目的以外の部位に成膜されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板の美的外観および光透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
これにより、基板上の、目的以外の部位に成膜されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板の美的外観および光透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明によれば、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供すること、前記時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観に優れた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2〜図7は、基板上に設けられた被膜の配置パターンの例を説明するための模式的な平面図、図8〜図12は、基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2〜図7は、基板上に設けられた被膜の配置パターンの例を説明するための模式的な平面図、図8〜図12は、基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、被膜3と、基板2と被膜3との間に設けられた酸化物膜4とを有している。すなわち、本実施形態の時計用文字板1は、基板2と、酸化物膜4と、被膜3とが、この順に積層された構成を有している。そして、被膜3は、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものである。
時計用文字板1は、時計に組み込まれた状態において、図1中の上側、すなわち、基板2の被膜3、酸化物膜4で被覆された面側が観察者側(外表面側)を向き、図1中の下側が内面側を向くようにして用いられるものである。
時計用文字板1は、時計に組み込まれた状態において、図1中の上側、すなわち、基板2の被膜3、酸化物膜4で被覆された面側が観察者側(外表面側)を向き、図1中の下側が内面側を向くようにして用いられるものである。
[基板]
基板2は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このように、基板2の光透過性が十分に高いものであることにより、時計用文字板1全体としての光透過性、すなわち、時計用文字板1に照射された光のうち、基板2の被膜3、酸化物膜4で被覆された面(第2の面22)とは反対側の第1の面21(図1中下側の面)から出射される割合を十分に高いものとすることができるとともに、後に詳述するような被膜3の第1の面31の機能をより効果的に発揮させることができ、結果として、時計用文字板1の光透過性および美的外観をより高いレベルで両立することができる。上記のような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の基板と同一形状のソーラーセル(太陽電池)で発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である基板を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。また、後述する時計用文字板についての光の透過率についても、上記と同様にして求めることができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
基板2は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このように、基板2の光透過性が十分に高いものであることにより、時計用文字板1全体としての光透過性、すなわち、時計用文字板1に照射された光のうち、基板2の被膜3、酸化物膜4で被覆された面(第2の面22)とは反対側の第1の面21(図1中下側の面)から出射される割合を十分に高いものとすることができるとともに、後に詳述するような被膜3の第1の面31の機能をより効果的に発揮させることができ、結果として、時計用文字板1の光透過性および美的外観をより高いレベルで両立することができる。上記のような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の基板と同一形状のソーラーセル(太陽電池)で発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である基板を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。また、後述する時計用文字板についての光の透過率についても、上記と同様にして求めることができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
基板2を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、基板2は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、基板2が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
基板2を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、基板2は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、基板2の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、基板2がポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板2と被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
なお、基板2は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、基板2が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
基板2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
基板2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
本実施形態において、基板2は、被膜3が設けられた第2の面22とは反対側の主面である第1の面21に、第2の面22側から入射した光を反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸211を有するものである。
ところで、後に詳述するように、被膜3は、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものであるため、時計用文字板1の外部からの光(図1中上側からの光)の一部は、被膜3で被覆されていない領域、すなわち、光透過部として機能する領域から基板2の内部に進入することとなる。光透過部から基板2に進入した光は、第2の面22側から第1の面21側に向かって進行し、その一部は、第1の面21側から出射する(すなわち、基板2を透過する)ことになるが、他の一部は、第1の面21に設けられた凹凸211により、反射・散乱する。これにより、一旦、第2の面22側から基板2内部に進入した光を、再び、第2の面22側から出射させることができる。これにより、時計用文字板1の背面側(図1中、時計用文字板1よりも下側)の様子を、観察者に視認させにくくすることができる。また、それとともに、光透過部(時計用文字板1を平面視した際の被膜3が設けられていない領域)の存在を目立ちにくくさせることができる。その結果、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。特に、後述する被膜3の第1の面31の機能と相乗的に作用することにより、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
ところで、後に詳述するように、被膜3は、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものであるため、時計用文字板1の外部からの光(図1中上側からの光)の一部は、被膜3で被覆されていない領域、すなわち、光透過部として機能する領域から基板2の内部に進入することとなる。光透過部から基板2に進入した光は、第2の面22側から第1の面21側に向かって進行し、その一部は、第1の面21側から出射する(すなわち、基板2を透過する)ことになるが、他の一部は、第1の面21に設けられた凹凸211により、反射・散乱する。これにより、一旦、第2の面22側から基板2内部に進入した光を、再び、第2の面22側から出射させることができる。これにより、時計用文字板1の背面側(図1中、時計用文字板1よりも下側)の様子を、観察者に視認させにくくすることができる。また、それとともに、光透過部(時計用文字板1を平面視した際の被膜3が設けられていない領域)の存在を目立ちにくくさせることができる。その結果、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。特に、後述する被膜3の第1の面31の機能と相乗的に作用することにより、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
凹凸211は、いかなる配置のものであってもよいが、基板2を平面視した際に、規則的に配置されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の各部位(平面視した際の各部位)における、不本意な色むら等が発生するのを効果的に防止することができる。凹凸211の配置パターン(平面視多彩の配置パターン)としては、例えば、多数の凸条、溝が渦巻状に配置されたパターン(図8参照)、凸条、溝が同心円状に配置されたパターン(図9参照)、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図10参照)、二次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図11、図12参照)等が挙げられる。
凹凸211のピッチ(特に、第1の面21上において、凸条、溝の長手方向に垂直な方向についてのピッチ)P1は、特に限定されないが、10〜28μmであるのが好ましく、20〜26μmであるのがより好ましい。凹凸211のピッチP1が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凹凸211の高低差(凸部(凸条)の頂部と凹部(溝)の底部との高低差)Hは、特に限定されないが、4〜25μmであるのが好ましく、8〜13.5μmであるのがより好ましい。凹凸211の高低差Hが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凹凸211の高低差(凸部(凸条)の頂部と凹部(溝)の底部との高低差)Hは、特に限定されないが、4〜25μmであるのが好ましく、8〜13.5μmであるのがより好ましい。凹凸211の高低差Hが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、凹凸211の断面形状(凸条、溝の長手方向に対して垂直な断面での形状)は、二等辺三角形状をなすものである。凹凸211の断面形状がこのようなものであると、第2の面22側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、特に高いレベルで両立することができる。
凹凸211の頂点の角度(図中のθ)は、特に限定されないが、70〜100°であるのが好ましい。これにより、第2の面22側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
凹凸211の頂点の角度(図中のθ)は、特に限定されないが、70〜100°であるのが好ましい。これにより、第2の面22側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、基板2の被膜3、酸化物膜4で被覆された側の面、すなわち、第2の面22は、比較的平坦(平滑)なものであるのが好ましい。これにより、後に詳述するような被膜3の第1の面31の機能を十分に発揮させることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。第2の面22の表面粗さRaは、0.001〜5.0μmであるのが好ましく、0.001〜2.5μmであるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。なお、基板2の第2の面22には、放射状や渦目等の文様が設けられていてもよい。これにより、時計用文字板1のデザインのバリエーションを広げることができる。
また、基板2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板(基材)2は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。基板2の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、基板2の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、基板2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。基板2の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、基板2の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、基板2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
[被膜]
基板2の第2の面22側には、被膜3が設けられている。これにより、時計用文字板1は、その外観に、被膜3が有する色調、質感等が反映されたものとなる。
被膜3は、いかなる色調を有するものであってもよいが、通常、所定の波長の光(可視光)を反射する機能を有するものであり、好ましくは金属材料のように光沢感を有する材料で構成されたものである。以下の説明では、被膜3が光(可視光)を反射する機能を有する反射膜である場合について代表的に説明する。
基板2の第2の面22側には、被膜3が設けられている。これにより、時計用文字板1は、その外観に、被膜3が有する色調、質感等が反映されたものとなる。
被膜3は、いかなる色調を有するものであってもよいが、通常、所定の波長の光(可視光)を反射する機能を有するものであり、好ましくは金属材料のように光沢感を有する材料で構成されたものである。以下の説明では、被膜3が光(可視光)を反射する機能を有する反射膜である場合について代表的に説明する。
被膜(反射膜)3は、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものである。
被膜3は、図2〜図4に示すように、多数個の島状に設けられたものであってもよい。これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、後述するような製造方法により、容易かつ確実に被膜を形成することができる。なお、このような構成の場合、島部としての被膜3に対しての海部に相当する部分が光透過部として機能する。
被膜3は、図2〜図4に示すように、多数個の島状に設けられたものであってもよい。これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、後述するような製造方法により、容易かつ確実に被膜を形成することができる。なお、このような構成の場合、島部としての被膜3に対しての海部に相当する部分が光透過部として機能する。
また、被膜3は、図5〜図7に示すように、多数個の開口部35(光透過部として機能する開口部35)を有するものとして設けられたものであってもよい。これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、エッチング等の比較的簡易な方法により開口部35を形成することができる。
また、被膜3は、観察者側の面(第2の面32)と基板2に対向する面(第1の面31)とで、明るさが異なるものである。すなわち、被膜3は、基板2に対向する第1の面31の明るさが、その反対側の第2の面32の明るさよりも明るいものである。
このように、被膜3が、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものであり、かつ、第1の面31の明るさが第2の面32の明るさよりも明るいものであることにより、以下のような効果が得られる。
このように、被膜3が、基板2を平面視した際に基板2を部分的に被覆するようにして設けられたものであり、かつ、第1の面31の明るさが第2の面32の明るさよりも明るいものであることにより、以下のような効果が得られる。
すなわち、時計用文字板1の外部からの光(図1中上側からの光)の一部を、基板2上の被膜3で被覆されていない部位(光透過部)から基板2の内部に進入させることができ、基板2に進入した光は、第2の面22側から第1の面21側に向かって進行し、その一部が、第1の面21側から出射する(基板2を透過する)ことになる。また、第2の面22側から基板2の内部に入射した光のうちの一部は、第1の面21や時計用文字板1の背面に配置された部材の表面等で反射する。このようにして反射した光の一部は、基板2の第2の面22側に向かって進行し、被膜3の第1の面31に照射されることとなる。上述したように第1の面31は、第2の面32に比べて明るいものである。このため、第1の面31では、高い反射率で光が反射されることとなり、第1の面31で反射される光は明るいものとなる。このようにして被膜3の第1の面31で反射された光は、再び、基板2の第1の面21側に進行し、その一部が、さらに、基板2の第2の面22側に反射・散乱し、基板2上の被膜3が設けられていない領域(光透過部)から、時計用文字板1の外部に出射する。このようにして光透過部から出射する光は、前述したように、第1の面31で反射したものであり、十分に明るい光である。
ところで、一般に、光路長が長くなることにより光は減衰し、暗いものとなる。また、時計用文字板が時計に適用される場合においては、ケース等の部材により遮光されているため、時計用文字板の背面側の空間は暗くなっている。また、ソーラー時計において用いられる太陽電池は、一般に、黒色、暗紫色等の暗色を呈するものである。これらは、基板上に被膜(特に、金属材料等の光反射性の材料で構成された被膜)が部分的に設けられた時計用文字板において、光透過部(基板上の被膜で被覆されていない領域)を暗いものと観察者に認識させる要因となる。したがって、単に、基板上に、被膜を部分的に設けた時計用文字板においては、被膜の構成材料として高級感のある金属材料等を用いた場合であっても、光透過部の存在が目立ってしまい、時計用文字板全体、時計用文字板を備えた時計全体としての美的外観を十分に優れたものとすることができない。
これに対し、本発明の時計用文字板1においては、第1の面31において反射される光が十分に明るいものであるため、上記のような光透過部が暗く認識されてしまうような要因の影響を効果的に打ち消すことができる。また、本発明の時計用文字板1において、被膜3の第2の面32は第1の面31に比べて暗いものである。したがって、被膜3の第2の面32の明るさと、光透過部の明るさとの差は小さいものとなり、結果として、光透過部の存在は目立ちにくいものとなり、時計用文字板1の美的外観は優れたものとなる。これに対し、単に、基板上に、部分的に被膜(特に、金属材料等で構成された反射率の高い被膜)を設けただけでは、上記のような効果は得られないため、当該被膜で被覆されていない光透過部の存在が目立ってしまい、美的外観は劣ったものとなる。
また、本発明の時計用文字板1においては、第1の面31が明るいものであることにより、当該面での光の吸収が抑えられるため、時計用文字板1全体としての光透過性を向上にも寄与することができる。
特に、上述したような条件を満足する第1の面31および第2の面32を備えた被膜3を有することによる効果は、基板2が上述したような凹凸211を有するものである場合に、この凹凸211を有することによる効果と相乗的に作用し合い、その結果、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
特に、上述したような条件を満足する第1の面31および第2の面32を備えた被膜3を有することによる効果は、基板2が上述したような凹凸211を有するものである場合に、この凹凸211を有することによる効果と相乗的に作用し合い、その結果、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
上述したように、第1の面31は、第2の面32よりも明るいものである。本発明においては、被膜についての第1の面の明るさ、第2の面の明るさとは、同一条件での明るさのことを指す。第1の面31についての明るさは、例えば、基板2、酸化物膜4等で被覆されていない膜の表面についての明るさ(反射率)により評価することができる。また、第1の面の明るさと第2の面の明るさとの比較は、例えば、第1の面を構成する材料についての反射率と、第2の面を構成する材料についての反射率との比較により行うことができる。
本実施形態では、被膜3は、第1の面31を構成する第1の層33と、第2の面32を構成する第2の層34とを有する積層体である。
第1の層33は、Ag、Al、Au、RhおよびCuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
第1の層33は、Ag、Al、Au、RhおよびCuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、第2の層34は、Fe、W、Ni、Cr、Ti、PdおよびPtよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、第1の層33(第1の面31を構成する部位)と、第2の層34(第2の面32を構成する部位)とは、同色系の色調を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。例えば、第1の層33(第1の面31を構成する部位)がAg、Al、Rhを含む材料で構成されたものである場合、第2の層34(第2の面32を構成する部位)はNi、Cr、Pd、Ti、Ptを含む材料で構成されたものであるのが好ましい。また、第1の層33(第1の面31を構成する部位)がAuを含む材料やCuを含む材料(特に、実質的な単体としてのAuまたはCu)で構成されたものである場合、第2の層34(第2の面32を構成する部位)はAu−Fe−Cu合金で構成されたものであるのが好ましい。これにより、光透過部の存在をより目立ちにくいものとし、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
また、第1の層33(第1の面31を構成する部位)と、第2の層34(第2の面32を構成する部位)とは、同色系の色調を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。例えば、第1の層33(第1の面31を構成する部位)がAg、Al、Rhを含む材料で構成されたものである場合、第2の層34(第2の面32を構成する部位)はNi、Cr、Pd、Ti、Ptを含む材料で構成されたものであるのが好ましい。また、第1の層33(第1の面31を構成する部位)がAuを含む材料やCuを含む材料(特に、実質的な単体としてのAuまたはCu)で構成されたものである場合、第2の層34(第2の面32を構成する部位)はAu−Fe−Cu合金で構成されたものであるのが好ましい。これにより、光透過部の存在をより目立ちにくいものとし、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
第1の層33の平均厚さは、50〜950nmであるのが好ましく、100〜600nmであるのがより好ましい。
第2の層34の平均厚さは、50〜950nmであるのが好ましく、100〜600nmであるのがより好ましい。
被膜3の平均厚さは、200〜1500nmであるのが好ましく、250〜800nmであるのがより好ましい。
第2の層34の平均厚さは、50〜950nmであるのが好ましく、100〜600nmであるのがより好ましい。
被膜3の平均厚さは、200〜1500nmであるのが好ましく、250〜800nmであるのがより好ましい。
基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、被膜3で被覆されている面積の割合(被覆率)は、30〜70%であるのが好ましく、33〜55%であるのがより好ましく、35〜50%であるのがさらに好ましい。被覆率が前記範囲内の値であると、光(外光)の透過性を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、被覆率が前記下限値未満であると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとすることが困難になる場合がある。一方、被覆率が前記上限値を超えると、時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に優れたものとすることが困難になる場合がある。
また、第2の面32には、艶消し加工等の表面処理が施されたものであってもよい。これにより、確実に光透過部の存在をより目立ちにくいものとすることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
上述したように、被膜3は、いかなる形状、配置パターンで設けられたものであってもよく、例えば、図2〜図4、図5〜図7に示すような形状、配置パターンのものであってもよい。図2に示す構成では、被膜3の形状が、略円形状である。被膜3がこのような形状を有するものであると、後述するような方法により、多数個の島状の被膜3を、容易かつ確実に形成することができる。また、被膜3がこのような形状を有するものであると、時計用文字板1の外観において、光透過部(時計用文字板1を平面視した際の被膜3が設けられていない領域)の存在をより目立ち難いものとすることができるとともに、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
上述したように、被膜3は、いかなる形状、配置パターンで設けられたものであってもよく、例えば、図2〜図4、図5〜図7に示すような形状、配置パターンのものであってもよい。図2に示す構成では、被膜3の形状が、略円形状である。被膜3がこのような形状を有するものであると、後述するような方法により、多数個の島状の被膜3を、容易かつ確実に形成することができる。また、被膜3がこのような形状を有するものであると、時計用文字板1の外観において、光透過部(時計用文字板1を平面視した際の被膜3が設けられていない領域)の存在をより目立ち難いものとすることができるとともに、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
被膜3が、図2〜図4に示すように、多数個の島状に設けられたものである場合、以下のような条件を満足するのが好ましい。
すなわち、被膜3の幅(被膜3が略円形である場合には、その直径)W2は、70〜600μmであるのが好ましく、90〜500μmであるのがより好ましく、100〜300μmであるのがさらに好ましい。被膜3の幅W2が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、被膜3の幅W2が前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、被膜3を精度よく形成するのが困難になるとともに、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、被膜3の幅W2が前記上限値を超えると、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
すなわち、被膜3の幅(被膜3が略円形である場合には、その直径)W2は、70〜600μmであるのが好ましく、90〜500μmであるのがより好ましく、100〜300μmであるのがさらに好ましい。被膜3の幅W2が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、被膜3の幅W2が前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、被膜3を精度よく形成するのが困難になるとともに、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、被膜3の幅W2が前記上限値を超えると、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
また、被膜3のピッチP2は、100〜750μmであるのが好ましく、130〜600μmであるのがより好ましく、160〜450μmであるのがさらに好ましい。被膜3のピッチP2が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、被膜3のピッチP2が前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、被膜3を精度よく形成するのが困難になるとともに、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、被膜3のピッチP2が前記上限値を超えると、被膜3の被覆率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。なお、被膜3のピッチとは、隣接する被膜3−被膜3間の中心間距離のことを指し、隣接する被膜3が複数個ある場合には、最も近接した被膜3との中心間距離のことを指す。
[酸化物膜]
基板2の第2の面22上には、主として金属酸化物で構成された酸化物膜(中間層)4が設けられている。そして、酸化物膜4は、その一方の主面が基板2(第2の面22)と接触し、他方の主面が被膜3(第1の面31)と接触している。
このように、本実施形態では、主としてプラスチック材料で構成された基板2の表面に、被膜3が直接設けられずに、基板2と被膜3との間に酸化物膜(中間層)4が介在している。これにより、基板2と被膜3との密着性(酸化物膜4を介しての密着性)、特に、後述するような気相成膜により形成される被膜3(特に、少なくとも第1の層33が金属材料で構成された被膜3)の密着性を向上させることができ、被膜3の浮きや剥がれ(剥離)等を効果的に防止することができる。その結果、時計用文字板1は耐久性に優れたものとなる。また、時計用文字板1は、上述したような被膜3を有しているため、美的外観にも優れている。
基板2の第2の面22上には、主として金属酸化物で構成された酸化物膜(中間層)4が設けられている。そして、酸化物膜4は、その一方の主面が基板2(第2の面22)と接触し、他方の主面が被膜3(第1の面31)と接触している。
このように、本実施形態では、主としてプラスチック材料で構成された基板2の表面に、被膜3が直接設けられずに、基板2と被膜3との間に酸化物膜(中間層)4が介在している。これにより、基板2と被膜3との密着性(酸化物膜4を介しての密着性)、特に、後述するような気相成膜により形成される被膜3(特に、少なくとも第1の層33が金属材料で構成された被膜3)の密着性を向上させることができ、被膜3の浮きや剥がれ(剥離)等を効果的に防止することができる。その結果、時計用文字板1は耐久性に優れたものとなる。また、時計用文字板1は、上述したような被膜3を有しているため、美的外観にも優れている。
酸化物膜4は、主として金属酸化物で構成されたものである。
酸化物膜4を構成する金属酸化物としては、各種金属の酸化物を用いることができ、好ましくは、Sn、In、Ti、Siの酸化物(複合酸化物を含む)が挙げられる。これらの材料は、十分に高い透明性(特に、後述するような厚さでの透明性)を有しているため、酸化物膜4がこのような材料で構成されたものであると、被膜3の第1の面31の明るさが低下してしまうことが十分に防止されつつ、上記のような酸化物膜4を有することによる効果が十分に発揮される。
酸化物膜4を構成する金属酸化物としては、各種金属の酸化物を用いることができ、好ましくは、Sn、In、Ti、Siの酸化物(複合酸化物を含む)が挙げられる。これらの材料は、十分に高い透明性(特に、後述するような厚さでの透明性)を有しているため、酸化物膜4がこのような材料で構成されたものであると、被膜3の第1の面31の明るさが低下してしまうことが十分に防止されつつ、上記のような酸化物膜4を有することによる効果が十分に発揮される。
中でも、SiO2、ITOは、非常に透明性が高く、酸化物膜4の厚さが比較的大きい場合であっても、被膜3の第1の面31の明るさが低下してしまうことが確実に防止される。また、酸化物膜4の膜厚を比較的大きいものとすることができるため、酸化物膜4の成膜条件を微妙な設定を簡略化しても、形成される酸化物膜4の膜厚のバラツキを十分に小さいものとすることができる。したがって、時計用文字板1の歩留まりを向上させ、生産性を特に優れたものとすることができる。酸化物膜4がSiO2またはITOで構成されたものである場合、当該酸化物膜の平均厚さは、20〜200nmであるのが好ましく、25〜150nmであるのがより好ましく、30〜100nmであるのがさらに好ましい。これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、酸化物膜4がTiO2で構成されたものとであると、基板2と被膜3との密着性を特に高いものとすることができる。その結果、時計用文字板1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。酸化物膜4がTiO2で構成されたものである場合、当該酸化物膜の平均厚さは、10〜100nmであるのが好ましく、15〜80nmであるのがより好ましく、20〜60nmであるのがさらに好ましい。これにより、光の透過性、美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
なお、酸化物膜4は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、酸化物膜4は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、酸化物膜4は、複数の層を有する積層体であってもよい。
酸化物膜4は、基板2の被膜3が設けられた面側全面に設けられたものであってもよいが、図示の構成では、被膜3に対応する形状、大きさ、配置パターンで設けられている。このような構成であると、時計用文字板1全体としての光透過性、美的外観を、非常に高いものとすることができる。また、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。なお、後述するような方法を用いて時計用文字板1を製造することにより、酸化物膜4を、被膜3に対応する部位に、被膜3に対応する形状、配置パターンで(被膜3と同一の形状、大きさ、配置パターンで)、容易かつ確実に形成することができる。
酸化物膜4は、基板2の被膜3が設けられた面側全面に設けられたものであってもよいが、図示の構成では、被膜3に対応する形状、大きさ、配置パターンで設けられている。このような構成であると、時計用文字板1全体としての光透過性、美的外観を、非常に高いものとすることができる。また、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。なお、後述するような方法を用いて時計用文字板1を製造することにより、酸化物膜4を、被膜3に対応する部位に、被膜3に対応する形状、配置パターンで(被膜3と同一の形状、大きさ、配置パターンで)、容易かつ確実に形成することができる。
時計用文字板1の厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。時計用文字板1の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
<時計用文字板の製造方法>
次に、上述した時計用文字板1の製造方法、特に、多数個の島状に設けられた被膜を有する時計用文字板1の製造方法について説明する。
図13は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図13に示すように、本実施形態の製造方法は、基板2を準備する基板準備工程(1a)と、基板2の第2の面22に所定のパターンで多数個の開口部61が設けられたマスク6を配した状態で成膜を行うことにより、基板2の第2の面22に、多数個の酸化物膜4を形成する酸化物膜形成工程(1b、1c)と、基板2の第2の面22に所定のパターンで開口部61が設けられたマスク6を配した状態で成膜を行うことにより、酸化物膜4の表面に被膜3を形成する被膜形成工程(1d、1e)と、基板2上からマスク6を除去するマスク除去工程(1f)とを有している。
次に、上述した時計用文字板1の製造方法、特に、多数個の島状に設けられた被膜を有する時計用文字板1の製造方法について説明する。
図13は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図13に示すように、本実施形態の製造方法は、基板2を準備する基板準備工程(1a)と、基板2の第2の面22に所定のパターンで多数個の開口部61が設けられたマスク6を配した状態で成膜を行うことにより、基板2の第2の面22に、多数個の酸化物膜4を形成する酸化物膜形成工程(1b、1c)と、基板2の第2の面22に所定のパターンで開口部61が設けられたマスク6を配した状態で成膜を行うことにより、酸化物膜4の表面に被膜3を形成する被膜形成工程(1d、1e)と、基板2上からマスク6を除去するマスク除去工程(1f)とを有している。
[基板準備工程]
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
基板2としては、予め、第1の面21に凹凸211が設けられたものを用意してもよいし、表面形状が平坦な基板に対して、所定の処理を施すことにより、上記のような凹凸211を有する基板2としてもよい。例えば、第1の面21に対応する面に、凹凸211に対応する形状の凹凸を有する成形型を用いて、製造された基板2を用いてもよいし、切削バイトを用いた切削加工等により、凹凸211を形成した基板2を用いてもよい。
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
基板2としては、予め、第1の面21に凹凸211が設けられたものを用意してもよいし、表面形状が平坦な基板に対して、所定の処理を施すことにより、上記のような凹凸211を有する基板2としてもよい。例えば、第1の面21に対応する面に、凹凸211に対応する形状の凹凸を有する成形型を用いて、製造された基板2を用いてもよいし、切削バイトを用いた切削加工等により、凹凸211を形成した基板2を用いてもよい。
[酸化物膜形成工程]
基板2の第2の面22に、所定のパターンで開口部61が設けられたマスク6を配した状態で、成膜を行うことにより、主として金属酸化物で構成された酸化物膜4を形成する(1b、1c)。
上述したように、酸化物膜4は、基板2および被膜3との密着性に優れるものである。このような酸化物膜4を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
基板2の第2の面22に、所定のパターンで開口部61が設けられたマスク6を配した状態で、成膜を行うことにより、主として金属酸化物で構成された酸化物膜4を形成する(1b、1c)。
上述したように、酸化物膜4は、基板2および被膜3との密着性に優れるものである。このような酸化物膜4を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
そして、本実施形態では、マスク6を配した状態で成膜を行うことにより、酸化物膜4を形成する。これにより、マスク6の開口部61に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状の酸化物膜4を、容易かつ確実に形成することができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク6を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべき酸化物膜4に対応するパターンの開口部61を有するマスク6を複数種用意することにより、酸化物膜4の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンの酸化物膜4を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
また、マスク6を用いた成膜で酸化物膜4を形成することにより、被膜3と同一の形状、大きさ、パターンの酸化物膜4を容易かつ確実に形成することができる。その結果、容易かつ確実に、時計用文字板1の光透過性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、マスク6を用いた成膜で酸化物膜4を形成することにより、被膜3と同一の形状、大きさ、パターンの酸化物膜4を容易かつ確実に形成することができる。その結果、容易かつ確実に、時計用文字板1の光透過性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
酸化物膜4の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。酸化物膜4の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき酸化物膜4が上述したように十分に薄いものであっても、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板2との密着性が特に優れたものとして、確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。酸化物膜4の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような気相成膜法を適用する場合、例えば、酸化物膜4を構成する金属酸化物に対応する金属をターゲットとして用い、酸素ガスを含む雰囲気中で処理を行うことにより、酸化物膜4を容易かつ確実に形成することができる。
また、酸化物膜4の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された酸化物膜4を好適に形成することができる。
また、酸化物膜4の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された酸化物膜4を好適に形成することができる。
本工程で用いるマスク6は、形成すべき多数個の酸化物膜4に対応するパターンで配された開口部61を有している。すなわち、マスク6は、形成すべき多数個の酸化物膜4に対応する部位に開口部61を有するものである。
このようなマスク6は、例えば、板状の部材を用意し、これに、エッチング等の化学的処理を施したり、レーザー光等のエネルギー線の照射、旋盤処理等の機械的処理(物理的処理)を施したりする等して、開口部61を形成することにより得ることができる。
このようなマスク6は、例えば、板状の部材を用意し、これに、エッチング等の化学的処理を施したり、レーザー光等のエネルギー線の照射、旋盤処理等の機械的処理(物理的処理)を施したりする等して、開口部61を形成することにより得ることができる。
マスク6の厚さは、形成すべき酸化物膜4、被膜3の厚さ等にもよるが、30〜200μmであるのが好ましく、40〜120μmであるのがより好ましい。
マスク6はいかなる材料で構成されたものであってもよく、マスク6の構成材料としては、各種金属材料、各種セラミックス材料、各種プラスチック材料等が挙げられる。中でも、マスク6の構成材料としては、金属材料が好ましい。マスク6が金属材料で構成されたものであると、マスク6の耐久性を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、多数個の時計用文字板1において品質のばらつきを抑制することができ、時計用文字板1の信頼性が向上する。また、金属材料は、一般に、適度な弾性を有しており、形状の追従性が高いものが多く、基板2(製造すべき時計用文字板1)が平板状のものに限らず、湾曲板状等のものであっても、好適に適用することができる。また、1種類のマスク6を異なる形状の基板2(例えば、平板状の基板2、湾曲板状の基板2)に対しても、共通して利用することができる。
マスク6はいかなる材料で構成されたものであってもよく、マスク6の構成材料としては、各種金属材料、各種セラミックス材料、各種プラスチック材料等が挙げられる。中でも、マスク6の構成材料としては、金属材料が好ましい。マスク6が金属材料で構成されたものであると、マスク6の耐久性を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、多数個の時計用文字板1において品質のばらつきを抑制することができ、時計用文字板1の信頼性が向上する。また、金属材料は、一般に、適度な弾性を有しており、形状の追従性が高いものが多く、基板2(製造すべき時計用文字板1)が平板状のものに限らず、湾曲板状等のものであっても、好適に適用することができる。また、1種類のマスク6を異なる形状の基板2(例えば、平板状の基板2、湾曲板状の基板2)に対しても、共通して利用することができる。
特に、本実施形態では、マスク6として、磁性材料(強磁性を有する材料)を含む材料で構成されたものを用いている。そして、基板2のマスク6に対向する面(第2の面22)とは反対の面(第1の面21)側には図示しない磁石が配されており、これにより、マスク6と、酸化物膜4(さらには、被膜3)が形成されるべきワークとしての基板2とを、確実に密着させることができる。その結果、基板2上において、目的以外の部位に酸化物膜4(さらに、後述する工程においては、被膜3)が形成されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観および光の透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
磁石は、例えば、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
上記のように、本実施形態において、マスク6は、磁性材料を含む材料で構成されたものであるが、マスク6は、例えば、実質的に磁性材料のみで構成されるものであってもよいし、他の成分を含むものであってもよい。
また、マスク6は、図示しない表面層を有するものであってもよい。これにより、例えば、マスク6の耐久性を特に優れたものとすることができたり、気相成膜時に、マスク6上に酸化物膜4の構成材料(さらには、被膜3の構成材料)が強固に付着するのを効果的に防止することができる。このような表面層を構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられる。
上記のように、本実施形態において、マスク6は、磁性材料を含む材料で構成されたものであるが、マスク6は、例えば、実質的に磁性材料のみで構成されるものであってもよいし、他の成分を含むものであってもよい。
また、マスク6は、図示しない表面層を有するものであってもよい。これにより、例えば、マスク6の耐久性を特に優れたものとすることができたり、気相成膜時に、マスク6上に酸化物膜4の構成材料(さらには、被膜3の構成材料)が強固に付着するのを効果的に防止することができる。このような表面層を構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられる。
[被膜形成工程(金属被膜形成工程)]
次に、上記のようにして形成された酸化物膜4上に、引き続き、マスク6を配した状態で、成膜を行うことにより、被膜3を形成する(1d、1e)。
このように、マスク6を配した状態で成膜を行うことにより、マスク6の開口部61に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状の被膜3を、容易かつ確実に形成することができる。また、成膜後の後処理を必要とすることなく、光透過部として機能する領域が形成されるため、不本意な凹凸等が発生してしまうのを確実に防止することができ、所望の形状の被膜3を形成することができるとともに、時計用文字板1の生産性を向上させることができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク6を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべき被膜3に対応するパターンの開口部61を有するマスク6を複数種用意することにより、被膜3の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンの被膜3を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
次に、上記のようにして形成された酸化物膜4上に、引き続き、マスク6を配した状態で、成膜を行うことにより、被膜3を形成する(1d、1e)。
このように、マスク6を配した状態で成膜を行うことにより、マスク6の開口部61に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状の被膜3を、容易かつ確実に形成することができる。また、成膜後の後処理を必要とすることなく、光透過部として機能する領域が形成されるため、不本意な凹凸等が発生してしまうのを確実に防止することができ、所望の形状の被膜3を形成することができるとともに、時計用文字板1の生産性を向上させることができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク6を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべき被膜3に対応するパターンの開口部61を有するマスク6を複数種用意することにより、被膜3の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンの被膜3を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
マスク6としては、前述した酸化物膜形成工程で用いたのとは異なるもの(例えば、酸化物膜形成工程で用いたマスクよりも開口部の大きさが大きいもの等)を用いてもよいし、酸化物膜形成工程で用いたのと同一のものを用いてもよい。本工程において、マスク6として、酸化物膜形成工程で用いたのと同一のものを用いることにより、時計用文字板1の製造コストを抑制することができる。また、本工程において、酸化物膜形成工程で用いたのと同一のマスク6を用いる場合、前述した酸化物膜形成工程の後、基板2上から、マスク6を取り外すことなく、引き続けて本工程を行うのが好ましい。これにより、酸化物膜4と被膜3との間で、不本意な位置ずれが生じてしまうのを確実に防止することができるとともに、時計用文字板1の生産性が向上する。
また、本実施形態では、被膜3を、第1の層33と第2の層34とを有する積層体として形成する。このように積層体としての被膜3を形成する場合、基板2上から、マスク6を取り外すことなく、第1の層33の形成と第2の層34の形成とを引き続けて行うことにより、第1の層33と第2の層34との間で、不本意な位置ずれが生じてしまうのを確実に防止することができるとともに、時計用文字板1の生産性が向上する。
被膜3の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。被膜3の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき被膜3(第1の層33および第2の層34)が上述したように比較的薄いものであっても、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板2との密着性(酸化物膜4を介しての密着性)が特に優れたものとして、確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。被膜3の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、被膜3(第1の層33および/または第2の層34)が金属材料で構成されたもの(金属膜)である場合、上記のような気相成膜では、例えば、被膜3(第1の層33および/または第2の層34)を構成する金属をターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、被膜3(第1の層33および/または第2の層34)を容易かつ確実に形成することができる。また、上述した酸化物膜形成工程を気相成膜法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を、酸素ガスを含むものから、不活性ガスに置換し、必要に応じて、ターゲットを変更することにより、同一装置内で、酸化物膜形成工程と被膜形成工程(金属被膜形成工程)とを、(基板2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基板2、酸化物膜4、被膜3の密着性が特に優れたものとなるとともに、時計用文字板1の生産性、信頼性も向上する。
そして、本実施形態においては、本工程も、前述した酸化物膜形成工程と同様に、基板2のマスク6に対向する面(第2の面22)とは反対の面(第1の面21)側に図示しない磁石を配し、これにより、マスク6と、被膜3が形成されるべきワークとしての基板2(酸化物膜4が設けられた基板2)とを、確実に密着させた状態で行う。その結果、基板2上において、目的以外の部位に被膜3が形成されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観および光の透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程においては、第1の層33の形成と第2の層34の形成とで、異なる方法、条件を組み合わせて用いてもよい。
また、本工程においては、第1の層33の形成と第2の層34の形成とで、異なる方法、条件を組み合わせて用いてもよい。
[マスク除去工程]
次に、基板2上から、マスク6を除去する(1f)。これにより、基板2の第2の面22において、マスク6の開口部61に対応する部位は、基板2の表面が露出した状態となり、それ以外の部位は酸化物膜4と被膜3(第1の層33および第2の層34)とで被覆された状態となる。
マスク6の除去は、酸化物膜4、被膜3が設けられた基板2上から、マスク6を剥離することにより行うことができる。
次に、基板2上から、マスク6を除去する(1f)。これにより、基板2の第2の面22において、マスク6の開口部61に対応する部位は、基板2の表面が露出した状態となり、それ以外の部位は酸化物膜4と被膜3(第1の層33および第2の層34)とで被覆された状態となる。
マスク6の除去は、酸化物膜4、被膜3が設けられた基板2上から、マスク6を剥離することにより行うことができる。
以上のようにして、時計用文字板1を得ることができる。
なお、上記のような酸化物膜形成工程、被膜形成工程(金属被膜形成工程)は、製造すべき時計用文字板1に対応する大きさ、形状の基板2に対して施すものであってもよいが、例えば、シート状の基板2に対して施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
なお、上記のような酸化物膜形成工程、被膜形成工程(金属被膜形成工程)は、製造すべき時計用文字板1に対応する大きさ、形状の基板2に対して施すものであってもよいが、例えば、シート状の基板2に対して施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図14は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図14に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、第2の面22が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。すなわち、被膜3は、基板2とガラス板(カバーガラス)85との間に配されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
図14に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、第2の面22が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。すなわち、被膜3は、基板2とガラス板(カバーガラス)85との間に配されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図14中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
図14中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82には巻真パイプ86が嵌入・固定され、この巻真パイプ86内にはりゅうず87の軸部871が回転可能に挿入されている。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず87の軸部871の途中の外周には溝872が形成され、この溝872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)91が嵌合されている。ゴムパッキン91は巻真パイプ86の内周面に密着し、該内周面と溝872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず87と巻真パイプ86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず87を回転操作したとき、ゴムパッキン91は軸部871と共に回転し、巻真パイプ86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものである。このため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる時計用文字板1を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。
また、例えば、基板の第1の面(被膜で被覆される面とは反対側の面)側には、少なくとも1層のコート層が設けられていてもよい。
また、前述した実施形態では、被膜3は、第1の層33と第2の層34との2層からなる積層体であるものとして説明したが、第1の層33と第2の層34との間に少なくとも1層の中間層(第3の層)を有するものであってもよい。また、被膜3は、例えば、上述したような積層体でなくてもよい。例えば、被膜3は、その厚さ方向において、組成が連続的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、被膜3は、第1の層33と第2の層34との2層からなる積層体であるものとして説明したが、第1の層33と第2の層34との間に少なくとも1層の中間層(第3の層)を有するものであってもよい。また、被膜3は、例えば、上述したような積層体でなくてもよい。例えば、被膜3は、その厚さ方向において、組成が連続的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、酸化物膜4が、被膜3に対応する部位に、対応する形状、パターンで設けられるものとして説明したが、酸化物膜4は、例えば、基板2の第2の面22の全面に設けられたものであってもよい。このような場合、例えば、前述したような製造方法の酸化物膜形成工程において、マスクを用いることなく、成膜を行うことにより、好適に、酸化物膜を形成することができる。また、本発明の時計用文字板は、酸化物膜を備えていないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基板が、被膜に対向する面とは反対側の主面である第1の面に微小な凹凸を有するものとして説明したが、基板は、上記のような微小な凹凸を有していないものであってもよい。また、上記のような凹凸は、基板の第1の面の一部にのみ選択的に設けられたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、被膜として、金属材料で構成された反射膜を備えるものとして説明したが、本発明において、被膜は金属材料以外の材料で構成されたものであってもよい。特に、被膜の第2の面を含む領域は、例えば、各種顔料や各種染料等を含む材料で構成されたものであってもよい。これにより、第2の面の明るさを、容易かつ確実に、第1の面に比べて暗いものとすることができる。また、被膜(特に、第2の面を構成する領域)は、金属材料以外の無機化合物(例えば、炭化物、窒化物、酸化物、硫化物、ホウ化物等)で構成されたものであってもよい。これにより、第2の面の明るさを、容易かつ確実に、第1の面に比べて暗いものとすることができるとともに、時計用文字板の外観の安定性(色調の安定性)を特に優れたものとすることができる。
また、前述した実施形態では、被膜として、金属材料で構成された反射膜を備えるものとして説明したが、本発明において、被膜は金属材料以外の材料で構成されたものであってもよい。特に、被膜の第2の面を含む領域は、例えば、各種顔料や各種染料等を含む材料で構成されたものであってもよい。これにより、第2の面の明るさを、容易かつ確実に、第1の面に比べて暗いものとすることができる。また、被膜(特に、第2の面を構成する領域)は、金属材料以外の無機化合物(例えば、炭化物、窒化物、酸化物、硫化物、ホウ化物等)で構成されたものであってもよい。これにより、第2の面の明るさを、容易かつ確実に、第1の面に比べて暗いものとすることができるとともに、時計用文字板の外観の安定性(色調の安定性)を特に優れたものとすることができる。
また、本発明の時計用文字板の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、マスクと、ワークとしての基板とを密着させた状態で行うものとして説明したが、磁石を用いなくてもよい。
また、前述した実施形態では、マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、マスクと、ワークとしての基板とを密着させた状態で行うものとして説明したが、磁石を用いなくてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより基板を得た。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。また、得られた基板は、第1の面の全体にわたって、規則的に、渦巻状に設けられた凸条および溝からなる凹凸のパターンを有するものであった(図8参照)。凹凸のピッチは25μmであった。また、凹凸の高低差(凸条の頂部と溝の底部との高低差)は12.5μmであった。凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度(図1中のθ)は、90°であった。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより基板を得た。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。また、得られた基板は、第1の面の全体にわたって、規則的に、渦巻状に設けられた凸条および溝からなる凹凸のパターンを有するものであった(図8参照)。凹凸のピッチは25μmであった。また、凹凸の高低差(凸条の頂部と溝の底部との高低差)は12.5μmであった。凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度(図1中のθ)は、90°であった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、プラスチック用中性洗剤で30秒間洗浄を行い、その後、中和を10秒間、水洗を30秒間、純水洗浄を60秒間行った。その後、オーブン(80℃)で20分間乾燥した。
このようにして洗浄を行った基板の表面に、TiO2(チタン酸化物)で構成される酸化物膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(酸化物膜形成工程)。
このようにして洗浄を行った基板の表面に、TiO2(チタン酸化物)で構成される酸化物膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(酸化物膜形成工程)。
酸化物膜は、基板の表面(第2の面)に、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)マスク(図2参照)を配した状態で、スパッタリングを行うことにより形成した。
マスクは、ステンレス鋼(SUS430)で構成されたものであり、その厚さは50μmであった。また、開口部の直径は160μmであった。また、マスクを平面視した際に開口部が占める面積率で表されるマスクの開口率は40%であった。
また、本工程は、基板のマスクに対向する面(第2の面)とは反対の面(第1の面)側に磁石(ネオジウム磁石)を配し、この磁石により、基板と、マスクとを密着させた状態で行った。
マスクは、ステンレス鋼(SUS430)で構成されたものであり、その厚さは50μmであった。また、開口部の直径は160μmであった。また、マスクを平面視した際に開口部が占める面積率で表されるマスクの開口率は40%であった。
また、本工程は、基板のマスクに対向する面(第2の面)とは反対の面(第1の面)側に磁石(ネオジウム磁石)を配し、この磁石により、基板と、マスクとを密着させた状態で行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を1.0×10−4Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:20ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:9.0分間という条件で放電を行うことにより、TiO2で構成される酸化物膜を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された酸化物膜の平均厚さは、20nmであった。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を1.0×10−4Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:20ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:9.0分間という条件で放電を行うことにより、TiO2で構成される酸化物膜を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された酸化物膜の平均厚さは、20nmであった。
引き続き、上記のようにして形成された酸化物膜の表面に、Agで構成された第1の層とPdで構成された第2の層とからなる積層体としての被膜(反射膜、金属被膜)をスパッタリングにより形成した(被膜形成工程)。
被膜(反射膜)の形成は、酸化物膜で被覆された基板をスパッタリング装置内から取り出すことなく、また、基板とマスクとを相対的に移動させることなく、前記工程に引き続いて行った。
被膜(反射膜)の形成は、酸化物膜で被覆された基板をスパッタリング装置内から取り出すことなく、また、基板とマスクとを相対的に移動させることなく、前記工程に引き続いて行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:25ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1000W、処理時間:5.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される第1の層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された第1の層の平均厚さは、200nmであった。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:25ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1000W、処理時間:5.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される第1の層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された第1の層の平均厚さは、200nmであった。
次に、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:25ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてPdを用い、投入電力:1000W、処理時間:9.0分間という条件で放電を行うことにより、Pdで構成される第2の層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された第2の層の平均厚さは、120nmであった。
以上のようにして、第1の層(Ag層)と第2の層(Pd層)とからなる被膜(反射膜)が形成された。
以上のようにして、第1の層(Ag層)と第2の層(Pd層)とからなる被膜(反射膜)が形成された。
次に、多数個の島状の酸化物膜と、多数個の島状の金属被膜とが設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出し、マスクを除去した(マスク除去工程)。これにより、図1、図2、図8に示すような腕時計用文字板を得た。
なお、酸化物膜、金属被膜(第1の層、第2の層)およびマスクの厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
なお、酸化物膜、金属被膜(第1の層、第2の層)およびマスクの厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜9)
基板の条件を表1に示すようにするとともに、酸化物膜形成工程および被膜形成工程で用いるマスクの条件、酸化物膜形成工程および被膜形成工程の処理条件を調整(ターゲットの変更も含む)することにより、酸化物膜、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
基板の条件を表1に示すようにするとともに、酸化物膜形成工程および被膜形成工程で用いるマスクの条件、酸化物膜形成工程および被膜形成工程の処理条件を調整(ターゲットの変更も含む)することにより、酸化物膜、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(実施例10)
本実施例では、以下に述べるように、被膜を多数の開口部を有する膜状のものとして形成し、腕時計用文字板を得た。
まず、前記実施例1と同様にして洗浄した基板を用意した。
次に、洗浄を行った基板の表面(第2の面)の全体に、酸化物膜および金属被膜(Agで構成された第1の層とPdで構成された第2の層との積層体)をスパッタリングにより形成した。
本実施例では、以下に述べるように、被膜を多数の開口部を有する膜状のものとして形成し、腕時計用文字板を得た。
まず、前記実施例1と同様にして洗浄した基板を用意した。
次に、洗浄を行った基板の表面(第2の面)の全体に、酸化物膜および金属被膜(Agで構成された第1の層とPdで構成された第2の層との積層体)をスパッタリングにより形成した。
その後、酸化物膜および金属被膜が設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出した。
次に、金属被膜の表面に、レジスト材料を塗布し、さらに、露光、現像処理を行うことにより、略円形の開口部が設けられたマスク(レジストマスク)を得た。
次に、硝酸および塩酸をベースとしたエッチャント(Pd用)、および硝酸をベースとしたエッチャント(Ag用)をエッチング液として用いたエッチングを順番に行うことにより、金属被膜を構成する第2の層、第1の層のうち、マスクの開口部に対応する部位に開口部を形成した。エッチングは、浸漬方式により行った。これにより、金属被膜(第1の層および第2の層)を貫通(連通)する開口部が設けられた。
次に、金属被膜の表面に、レジスト材料を塗布し、さらに、露光、現像処理を行うことにより、略円形の開口部が設けられたマスク(レジストマスク)を得た。
次に、硝酸および塩酸をベースとしたエッチャント(Pd用)、および硝酸をベースとしたエッチャント(Ag用)をエッチング液として用いたエッチングを順番に行うことにより、金属被膜を構成する第2の層、第1の層のうち、マスクの開口部に対応する部位に開口部を形成した。エッチングは、浸漬方式により行った。これにより、金属被膜(第1の層および第2の層)を貫通(連通)する開口部が設けられた。
次に、水酸化ナトリウム溶液で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより、マスクを除去し、腕時計用文字板を得た。本工程におけるマスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ35℃、8分間であった。
本実施例の時計用文字板において、金属被膜(第1の層および第2の層)は、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)ものであった(図5参照)。また、金属被膜の開口率(時計用文字板を平面視したときに開口部の占める面積率)は60%であった。すなわち、金属被膜の被覆率は40%であった。
本実施例の時計用文字板において、金属被膜(第1の層および第2の層)は、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)ものであった(図5参照)。また、金属被膜の開口率(時計用文字板を平面視したときに開口部の占める面積率)は60%であった。すなわち、金属被膜の被覆率は40%であった。
(実施例11、12)
基板の条件を表1に示すようにするとともに、酸化物膜形成工程および被膜形成工程の処理条件(ターゲットの変更も含む)、エッチングの条件(レジストマスクの条件も含む)を調整することにより、酸化物膜、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例10と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
基板の条件を表1に示すようにするとともに、酸化物膜形成工程および被膜形成工程の処理条件(ターゲットの変更も含む)、エッチングの条件(レジストマスクの条件も含む)を調整することにより、酸化物膜、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例10と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例1〜6)
被膜形成工程の処理条件を調整(ターゲットの変更も含む)することにより、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例7)
基板として第1の面に規則的な凹凸を有さない平板状のもの(基板の第1の面の表面粗さRaが0.10μm)を用い、洗浄を行った基板の表面に、酸化物膜を形成することなく、直接、金属被膜を形成した以外は、前記比較例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。
被膜形成工程の処理条件を調整(ターゲットの変更も含む)することにより、金属被膜の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例7)
基板として第1の面に規則的な凹凸を有さない平板状のもの(基板の第1の面の表面粗さRaが0.10μm)を用い、洗浄を行った基板の表面に、酸化物膜を形成することなく、直接、金属被膜を形成した以外は、前記比較例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。
なお、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板の製造に用いた基板は、いずれも、第2の面の表面粗さRaが、0.07〜0.15μmの範囲内の値であった。また、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板では、金属被膜の第2の面の表面粗さRa(基板と対向する面とは反対側の面の表面粗さRa)は、いずれも、0.07〜0.10μmの範囲内の値であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた基板は、光源として白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた際の、可視光の透過率が、いずれも、60%以上であった。
各実施例および各比較例の時計用文字板の製造に用いたマスクおよび時計用文字板の構成を表1にまとめて示す。なお、表中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、アクリル系樹脂をAc、Au−Fe−Cu合金(金色)をAu−Fe−Cuで示した。なお、表1中、被膜(金属被膜)についての「形状、配置パターン」の欄には、図2に示すような形状、配置パターンを「A」で示し、図3に示すような形状、配置パターンを「B」で示し、図4に示すような形状、配置パターンを「C」で示し、図5に示すような形状、配置パターンを「D」で示し、図6に示すような形状、配置パターンを「E」で示し、図7に示すような形状、配置パターンを「F」で示した。また、表1中、被覆率の欄には、時計用文字板(基板)を平面視した際に被膜(金属被膜)で被覆されている面積の割合(被膜の占有率)を示した。また、表1中、「凹凸の配置パターン」の欄には、図8に示すように、多数の凸条、溝が渦巻状に配置されたパターンを「a」で示し、図9に示すように、凸条、溝が同心円状に配置されたパターンを「b」で示し、図10に示すように、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターンを「c」で示した。被膜(金属被膜)が積層体で構成されたものについては、また、被膜(金属被膜)の構成材料、平均厚さを示す欄において、左側に第1の層の条件を、右側に第2の層の条件を示した。また、「第1の面の明るさと第2の面の明るさとの関係」の欄には、金属被膜(被膜)について、第1の面の明るさが第2の面の明るさよりも明るいものとを「B1>B2」で示し、第1の面の明るさが第2の面の明るさよりも暗いものとを「B1<B2」で示し、第1の面の明るさが第2の面の明るさと等しいものとを「B1=B2」で示した。また、時計用文字板の各部位は、いずれも、表1に示す成分を主成分として構成されたものであり、それ以外の成分の含有率が1wt%未満であった。
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、黒色の太陽電池上に基板の第1の面(金属被膜が設けられた面とは反対の面)が対向するように配置し、このような状態で、基板の第2の面側(金属被膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の7段階の基準に従い、評価した。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、黒色の太陽電池上に基板の第1の面(金属被膜が設けられた面とは反対の面)が対向するように配置し、このような状態で、基板の第2の面側(金属被膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:極めて優れた外観を有している。
B:非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
G:外観が極めて不良。
B:非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
G:外観が極めて不良。
3.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第2の面(金属被膜が設けられた側の面)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第2の面(金属被膜が設けられた側の面)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
A:37%以上。
B:31%以上37%未満。
C:25%以上31%未満。
D:16%以上25%未満。
E:16%未満。
B:31%以上37%未満。
C:25%以上31%未満。
D:16%以上25%未満。
E:16%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した時計用文字板を用いて、図14に示すような腕時計を製造した。このとき、時計用文字板は、基板の第2の面(金属被膜が設けられた側の面)がガラス板側を向くようにした。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の時計用文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例1の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、時計用文字板は、基板の第2の面(金属被膜が設けられた側の面)が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
5.耐久性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような熱サイクル試験を行い、耐久性を評価した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1.5時間、次いで、65℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1.5時間、次いで、−25℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような熱サイクル試験を行い、耐久性を評価した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1.5時間、次いで、65℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1.5時間、次いで、−25℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
本発明の時計用文字板は、いずれも、光透過部の存在が目立たず優れた美的外観を有するとともに、光の透過性に優れていた。また、酸化物膜を有する時計用文字板(実施例1〜12)は、特に優れた耐久性を有していた。また、本発明の時計用文字板は、電波の透過性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、被膜の第1の面および第2の面が同じ明るさの時計用文字板(比較例1、2、3、4、7)や、被膜の第2の面の方が第1の面よりも明るい時計用文字板(比較例5、6)では、光透過部の存在が目立ってしまい、美的外観に優れたものとすることができなかった。また、光透過部の存在を目立ちにくいもののとするために、被膜の被覆率を高くした時計用文字板(比較例2、4、6)では、十分な光透過性を確保することができなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図14に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、被膜の第1の面および第2の面が同じ明るさの時計用文字板(比較例1、2、3、4、7)や、被膜の第2の面の方が第1の面よりも明るい時計用文字板(比較例5、6)では、光透過部の存在が目立ってしまい、美的外観に優れたものとすることができなかった。また、光透過部の存在を目立ちにくいもののとするために、被膜の被覆率を高くした時計用文字板(比較例2、4、6)では、十分な光透過性を確保することができなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図14に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
1…時計用文字板 2…基板(基材) 21…第1の面 211…凹凸 22…第2の面 3…被膜(反射膜) 31…第1の面 32…第2の面 33…第1の層(内層) 34…第2の層(外層) 35…開口部 4…酸化物膜(中間層) 6…マスク 61…開口部 94…太陽電池 81…ムーブメント 82…胴(ケース) 83…裏蓋 84…ベゼル(縁) 85…ガラス板(カバーガラス) 86…巻真パイプ 87…りゅうず 871…軸部 872…溝 88…プラスチックパッキン 89…プラスチックパッキン 91…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 92…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 93…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)
Claims (14)
- 光透過性を有する材料で構成された基板と、前記基板を平面視した際に前記基板を部分的に被覆するようにして設けられた被膜とを備え、
前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする時計用文字板。 - 前記基板は、前記被膜が設けられた面とは反対側の面に、前記被膜が設けられた面側から入射した光を反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものである請求項1に記載の時計用文字板。
- 前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10〜28μmである請求項2に記載の時計用文字板。
- 前記凹凸の高低差は、4〜25μmである請求項2または3に記載の時計用文字板。
- 前記基板を平面視した際の前記被膜で被覆されている面積の割合は、30〜70%である請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記被膜は、多数個の島状に設けられたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記被膜は、多数個の開口部を有するものとして設けられたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記被膜は、異なる材料で構成された複数の層の積層体であり、
前記被膜の第1の面を構成する層が、Ag、Al、Au、RhおよびCuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであり、
前記被膜の第2の面を構成する層が、Fe、W、Ni、Cr、Ti、PdおよびPtよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板。 - 前記基板と前記被膜との間に、SiO2またはITOで構成された平均厚さが20〜200nmの中間層を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の時計用文字板。
- 前記基板と前記被膜との間に、TiO2で構成された平均厚さが10〜100nmの中間層を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の時計用文字板。
- 光透過性を有する材料で構成された基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、被膜を形成する被膜形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程とを有し、
前記被膜形成工程で形成する前記被膜は、前記基板に対向する第1の面の明るさが、前記第1の面とは反対側の第2の面の明るさよりも明るいものであることを特徴とする時計用文字板の製造方法。 - 前記被膜形成工程では、その工程中において成膜材料を変更することにより、前記被膜を、異なる材料で構成された複数の層の積層体として形成する請求項11に記載の時計用文字板の製造方法。
- 前記被膜形成工程は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、前記被膜が形成されるべきワークとを密着させた状態で行うものである請求項11または12に記載の時計用文字板の製造方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
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