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JP2010037386A - 耐衝撃性メタクリル系樹脂キャスト板及びその製造方法 - Google Patents

耐衝撃性メタクリル系樹脂キャスト板及びその製造方法 Download PDF

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JP2010037386A
JP2010037386A JP2008199599A JP2008199599A JP2010037386A JP 2010037386 A JP2010037386 A JP 2010037386A JP 2008199599 A JP2008199599 A JP 2008199599A JP 2008199599 A JP2008199599 A JP 2008199599A JP 2010037386 A JP2010037386 A JP 2010037386A
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cast plate
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Hiroshi Kuriaki
廣 栗秋
Hiroyuki Hirano
弘幸 平野
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Asahi Kasei Chemicals Corp
Asahi Techno Corp
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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Abstract

【課題】優れた耐衝撃性を有すると共に、加熱加工性が改良され、且つ、十分な実用耐熱性を有するメタクリル系樹脂キャスト板、及びその合理的な製造方法を提供すること。
【解決手段】
メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物の重合体であって、重量平均分子量が10〜50万であるメタクリル系重合体(A)と、
架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体であって、前記メタクリル系重合体(A)中に分散された多層構造重合体(B)と、
を含むメタクリル系樹脂キャスト板。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性と加熱加工性に優れたメタクリル系樹脂キャスト板、及びその製造方法に関する。
メタクリル系樹脂キャスト板は、優れた透明性、良好な耐候性、機械的性質を有しているため、照明器具、看板、建材、及びゲーム機カバー等の用途に広く使用されている。しかしながら、耐衝撃強度については必ずしも十分満足できるものではなく、その向上が強く求められてきた。
メタクリル系樹脂キャスト板の耐衝撃性を改良する方法として、特許文献1には、メチルメタクリレート系樹脂中に、架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた重合体を分散させたキャスト板が開示されている。
また、特許文献2には、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に、平均分子量が1万〜30万のメチルメタクリレート系重合体を溶存させ、更に多層構造弾性体を分散させたシロップをセルに注入して重合させる、メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法が開示されている。
特開平01−252653号公報 特開平08−151498号公報
しかしながら、上述の方法によって得られるメタクリル系樹脂キャスト板は、メチルメタクリレート系樹脂単体からなるものと比べて耐衝撃性に優れてはいるが、加熱して成形加工する場合に軟化する温度が比較的高く、流動性も十分でないことから加工性に問題がある。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた耐衝撃性を有すると共に、加熱加工性が改良され、且つ、十分な実用耐熱性を有するメタクリル系樹脂キャスト板、及びその合理的な製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下記の構成を有するメタクリル系樹脂キャスト板、及びメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法が上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物の重合体であって、重量平均分子量が10〜50万であるメタクリル系重合体(A)と、
架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体であって、前記メタクリル系重合体(A)中に分散された多層構造重合体(B)と、
を含むメタクリル系樹脂キャスト板。
[2]
前記メタクリル系重合体(A)100質量部に対して、前記多層構造重合体(B)5〜30質量部を含む、上記[1]記載のメタクリル系樹脂キャスト板。
[3]
メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物100質量部に、
架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体(B)5〜30質量部を分散させてキャスト重合する工程を含む、メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。
本発明によれば、耐衝撃性と加熱加工性が改良され、且つ、良好な実用耐熱性を有するメタクリル系樹脂キャスト板、及びその合理的な製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のメタクリル系樹脂キャスト板は、
メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物の重合体であって、重量平均分子量が10〜50万であるメタクリル系重合体(A)と、架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体であって、前記メタクリル系重合体(A)中に分散された多層構造重合体(B)と、を含むメタクリル系樹脂キャスト板である。
[メタクリル系重合体(A)]
本実施の形態におけるメタクリル系重合体(A)は、メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物の重合体であって、その重量平均分子量が10〜50万の範囲に調整されたものである。
単量体混合物中に85〜97質量%の含有量で含まれるメチルメタクリレートは、メタクリル系樹脂キャスト板が本来有している、良好な耐候性、及び機械的性質等の特性を保持するために重要である。
メチルメタクリレートの含有量が85質量%未満であると、耐候性、機械的性質が低下し、97質量%を超えると、得られるキャスト板の耐衝撃性が低くなり、且つ、得られる重合体の軟化温度が高く、流動性が不十分となる。
単量体混合物中に3〜15質量%の含有量で含まれるメチルアクリレートは、得られるキャスト板の耐衝撃性を向上させ、且つ、得られる重合体の軟化温度を適度に下げて流動性を向上させるために重要である。
メチルアクリレートの含有量が3質量%未満であると、上述した効果が得られ難くなり、15質量%を超えると、軟化温度が低くなり過ぎて、結果的にメタクリル系樹脂キャスト板が、実用的に十分な耐熱温度を保持できなくなる。
単量体混合物は、必要に応じて、メチルメタクリレート及びメチルアクリレート以外に、これらと共重合可能な他の単量体を含んでもよい。そのような他の単量体としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のメチルアクリレート以外の他のアクリレート類、スチレン等の単官能単量体、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能単量体等が挙げられる。
上述した他の単量体の含有量は、得られるメタクリル系樹脂キャスト板の耐候性、機械的性質、熱性形成、耐熱性等の物性バランスを維持するために適宜決められるが、単量体混合物全体に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
また、単量体混合物には必要に応じて、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、光拡散剤、着色剤等の公知の添加剤を添加することも出来る。
本実施の形態においては、メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15重%と、含む単量体混合物の重合体であるメタクリル系重合体(A)の重量平均分子量を10〜50万とすることが重要である。メタクリル系重合体(A)の重量平均分子量を10〜50万に調整することで、得られるメタクリル系樹脂キャスト板の耐衝撃性能が向上し、且つ、キャスト板の流動性の向上により加熱加工性を大幅に改良することが出来る。重量平均分子量が10万未満であると、機械的強度、耐溶剤性等が低下して実用上問題となり、50万を超えると、キャスト板の耐衝撃性能が低下すると共に、流動性の向上が実質的に得られなくなる。
ここで、メタクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値を言う。
[多層構造重合体(B)]
本実施の形態における多層構造重合体(B)は、架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされたものである。そのような多層構造重合体としては、例えば、特公昭60−17406号公報に開示されているような、
1層目として、メチルメタクリレート単独、又はメチルメタクリレートとこれと共重合可能な単量体との混合物を重合させた、25℃以上のガラス転移温度を有する共重合体と、
2層目として、単独で重合させたときに25℃以下のガラス転移温度を有する重合体を形成するアルキルアクリレートを主体とし、これと共重合可能な単量体及び多官能性単量体の少なくとも一方と、多官能グラフト剤とを重合させたゴム状重合体と、
3層目として、単独で重合させたときに25℃以上のガラス転移温度を有する硬質樹脂成分を形成するメチルメタクリレートを主体とし、これと共重合可能な単量体の混合物を重合させた重合体と、
の3層から構成される多層構造グラフト共重合体が挙げられる。
多層構造重合体(B)の層の数は、多ければ多いほど、その弾性が好適な範囲にコントロールされたゴム状重合体を得ることが可能であるが、製造コストの観点からは、上述した3層から構成されているものが好ましい。
3層から構成される多層構造グラフト共重合体において、メチルメタクリレートと共重合可能な単量体としては、公知の(メタ)アクリル酸、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート類、スチレン、α−メチルスチレン等の単官能単量体や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン等の多官能性単量体が挙げられる。上記単量体は、必要に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
3層から構成される多層構造グラフト共重合体の2層目は、ゴム弾性を示すゴム状共重合体であり、キャスト板に優れた衝撃強度を付与するために重要である。
2層目を形成するアルキルアクリレートとしては、特に限定されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から1種又は2種以上を併用して用いることができ、中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
また、これらのアルキルアクリレートと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、一般的な単量体を用いることができるが、2層目の屈折率を調整してメタクリル系重合体(A)に合わせることにより透明性を良好にする観点からは、スチレン又はその誘導体が好ましく用いられる。
本実施の形態における多層構造重合体(B)が3層から構成される場合、多層構造重合体に含まれる架橋構造を有するゴム状重合体とは、この2層目を指し、多官能性単量体を共重合することにより架橋構造を形成させたゴム状重合体を意味する。
ゴム状重合体中の架橋構造は、適度なゴム弾性を与え、且つ、後述するキャスト重合工程において、単量体混合物に溶解することなく、分散状態でその形態を保持するために必要である。
架橋構造を形成するための多官能性単量体としては、メチルメタクリレート及びメチルアクリレートと共重合可能なものとして例示した化合物を用いることができ、その使用量は、2層目全体に対して0.1〜5質量%である。多官能性単量体の使用量が0.1質量%未満であると十分な架橋効果が得られず、5質量%を超えると架橋が強すぎて、いずれもゴム弾性効果が小さくなるため好ましくない。さらに、使用量が0.1質量%未満であると、後述するキャスト重合工程においてゴム状重合体が溶解、又は大きく膨潤し、ゴム弾性体の形態を保持し得なくなるため好ましくない。
更に、2層目には、3層目の重合体との親和性を緊密にするグラフト結合を形成するための多官能グラフト剤を使用する。
多官能グラフト剤とは、異なる官能基を有する多官能単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のアリルエステル等が挙げられ、中でも、アリルアクリレート、アリルメタクリレートが好ましい。多官能グラフト剤の使用量は、2層目全体に対して0.1〜3質量%の範囲である。多官能グラフト剤の使用量が0.1質量%未満であると、十分なグラフト効果が得られず、3質量%を超えるとゴム弾性が低下するため好ましくない。
3層目の重合に際しては、メタクリル系重合体(A)との親和性を良好とするために、連鎖移動剤を用いて分子量を調整することもできる。
また、メタクリル系樹脂キャスト板の透明性を良好にするためには、キャスト板中に分散された多層構造重合体(B)とメタクリル系樹脂(A)との屈折率を合致させる必要があるが、アルキルアクリレートを主成分とする共重合体である2層目の屈折率を、メタクリル系樹脂(A)と完全に一致させることは極めて困難である。屈折率を合わせるために、例えば、2層目において、アルキルアクリレートとスチレン、あるいはその誘導体を共重合した場合、ある温度領域では屈折率が略等しくなり透明性は向上するものの、温度を変化させると屈折率のズレが生じ透明性は悪化する。
これを回避する手段として、メタクリル系樹脂とほぼ屈折率が一致している1層目を設けることが挙げられ、1層目が存在しない場合には透明性が顕著に低下する傾向にある。また、2層目の厚みを小さくすることも、透明性の悪化を阻止する上で有効である。
本実施の形態における多層構造重合体(B)は、乳化重合により得ることが好ましい。具体的には、多層構造重合体(B)が3層から構成される場合、乳化剤及び開始剤の存在下、初めに1層目の単量体混合物を添加して重合を完結させ、次に2層目の単量体混合物を添加して重合を完結させ、次いで3層目の単量体混合物を添加して重合を完結させることにより、容易に多層構造重合体(粒子)をラテックスとして得ることができる。
この多層構造重合体(粒子)はラテックスから塩析、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の方法によって粉体として回収することができる。
多層構造重合体が、3層から構成される重合体である場合、3層目に硬質樹脂成分を設けることで、この粉体同士の凝集を回避することができる。
また、多層構造重合体(B)の平均粒径は、好ましくは0.1〜1μmである。多層構造重合体の平均粒径が0.1μm未満であると、十分な衝撃強度が得られ難くなる傾向にあり、1μmを超えると、最終的に得られるメタクリル系キャスト板の表面に細かなさざ波状の欠陥が現れることにより鏡面性を阻害し、更に、加熱して成形した場合に、延伸された部分では表面光沢の低下が激しく透明性を損なう等の不具合が生じるおそれがある。十分な衝撃強度と良好な表面光沢を得るためには、多層構造重合体の平均粒径は、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
本実施の形態のメタクリル系樹脂キャスト板における多層構造重合体(B)の配合量は、メタクリル系重合体(A)100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは7〜25質量部であり、多層構造重合体の配合量により耐衝撃性が変化する。多層構造重合体の配合量が5質量部未満であると、得られるメタクリル系樹脂キャスト板の耐衝撃性が低下する傾向にあり、30質量部を超えると、後述するキャスト重合において、単量体混合物中に多層構造重合体が分散された混合液の粘度が大きくなり過ぎて重合を行うことが困難となる傾向にある。
[メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法]
本実施の形態のメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法は、メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物100質量部に、架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体(B)5〜30質量部を分散させてキャスト重合する工程を含む。
メタクリル系樹脂キャスト板を得るためのキャスト重合は、例えば、2枚の平行に相対したガラス板、あるいは金属板の周辺に軟質塩化ビニルのような液漏れを防ぐシール材とこれを押さえるクランプ等によって間隙が構成されたいわゆるセルに、上述したメチルメタクリレートとメチルアクリレートとを含む単量体混合物に、上述した多層構造重合体(B)を分散した混合溶液を封入した状態で重合することにより実施することができる。
キャスト重合に用いられる開始剤としては、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキサイド系のラジカル開始剤や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ系のラジカル開始剤を用いることができ、これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
また、上記ラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として使用してもよい。
これらの開始剤は、単量体混合物に対して、通常、0.01〜1質量%の範囲で用いる。
更に、メタクリル系樹脂(A)の分子量を調整するために、公知の連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等のメルカプタン類が好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
連鎖移動剤は、単量体混合物に対して、通常、0.01〜0.5質量%の範囲で用いる。
セルの間隙は、所望のキャスト板の厚みにより決められるが、一般的には1〜20mmの範囲に設定される。
重合はセルを加熱することによって開始されるが、メチルメタクリレートは発熱重合反応であるため、反応熱の除去が不十分であったり、不均一な熱の蓄積があった場合には、キャスト板表面に欠陥を生じたり、内部発泡による不具合を生じることがある。これらの不具合を避けるために、一般的には、温度の調節が容易で、重合反応時の除熱をスムースに行い得る循環温水、又は十分な風速を持つ循環温風が熱媒体として適用される。
重合を完結するための熱処理段階においては、比較的高温域の温度コントロールが容易なボイラー蒸気、電熱等により加熱された温風を適用するのが好ましい。
重合の条件は、使用する開始剤、連鎖移動剤の種類や量、単量体混合物の組成、所望のキャスト板厚みによって適宜決定することができるが、通常、その温度範囲は30〜80℃であり、重合時間は1〜数10時間である。
熱処理段階においては、通常、その温度範囲は110〜140℃であり、処理時間は1〜5時間である。
重合、及び熱処理が終了した後、セルを構成したガラス板、あるいは金属板を外して、メタクリル系樹脂キャスト板を得ることができる。
以下に実施例を示して、本実施の形態をより詳細に説明するが、本実施の形態は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
得られたキャスト板の評価は、以下の方法により実施した。
(1)シャルピー衝撃強度:ISO179/1fU
(2)ビカット軟化温度:ISO306B50
(3)ロックウェル硬さ:ISO2039−2(Mスケール表面硬度)
(4)全光線透過率、ヘーズ:JIS K 7105
(5)透明性:
目視判定により、曇りが少なく透明感の高い場合を◎、極く僅かに曇りはあるが透明用途向けに実用上問題なく供せるものを○、曇りがあり透明用途に供するのが困難なものを×とした。
(6)加熱成形性:
表面温度170℃に加熱したキャスト板を、直径100mm、深さ50mmの底部に真空穴を設けた円筒形状の凹型を用いて真空成形し、底部コーナー部の型再現性を相対評価した。
参考例を1として、これよりも成形性が良く、コーナーRが小さくなった場合はその程度により2〜4の評価を与えた。参考例のRは30mmで、4の評価の場合にはコーナーRは5mm以下とした。
(7)重量平均分子量:
日本分析工業株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーLC−908を使用し、0.45gの検体を15mLのクロロホルムに溶解し、展開溶媒として同じくクロロホルムを使用して重量平均分子量を測定した。このときゴム成分である多層構造重合体は予めフィルターで除去した。
[多層構造重合体の製造]
第一層単量体成分をメチルメタクリレート33.51(質量%を示す。以下同じ。)、n−ブチルアクリレート2.14、アリルメタクリレート0.04、第二層単量体成分をn−ブチルアクリレート32.54、スチレン7.03、ジエチレングリコールジアクリレート0.08、アリルメタクリレート0.84、第三層単量体成分をメチルメタクリレート22.36、n−ブチルアクリレート1.46の割合にしたこと以外は、特公昭60−17406の実施例1に記載された方法と同様の方法により、3層構造からなる多層構造重合体を得た。
[メタクリル系樹脂キャスト板の製造]
[実施例1]
メチルメタクリレート89.8質量%、メチルアクリレート10質量%、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)0.1質量%、n−オクチルメルカプタン0.1質量%を含む単量体混合物100質量部に、上記多層構造重合体15質量部を、室温にてスクリュウ形攪拌翼で攪拌下に少量づつ加え均一な分散液とした。
2枚の強化ガラス板の周囲に軟質塩化ビニルチューブをセットし、クランプで押えた間隔5mmのセルに、減圧にして溶存空気を除去した前記分散液を注入した。
該セルを40℃に温調された循環温水中に10時間置き、その後70℃の温水中に2時間置いた。更に120℃の循環温風中に2時間置いた後、室温まで冷却してメタクリル系樹脂キャスト板を得た。
得られたキャスト板の全光線透過率は92%、ヘーズ0.9%で良好な透明性を有していた。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量は26万であった。
[実施例2及び3]
メチルアクリレートの使用量を5質量%(実施例2)、及び7質量%(実施例3)とし、メチルメタクリレートの量を単量体混合物全体で100質量%となるように調整したこと以外は実施例1と同様の方法により、メタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量は、それぞれ27万(実施例2)、26万(実施例3)であった。
[実施例4]
n−オクチルメルカプタンの使用量を0.06質量%にしたこと以外は、実施例1と同様の方法によりメタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量は40万であった。
[実施例5及び6]
ゴム状重合体の配合量を、それぞれ10質量部(実施例5)、20質量部(実施例6)としたこと以外は実施例1と同様の方法により、メタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量は、それぞれ27万(実施例5)、28万(実施例6)であった。
[比較例1]
多層構造重合体(ゴム状重合粉体)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、メタクリル系樹脂キャスト板を得た。
重合体の重量平均分子量は27万であった。
[比較例2]
単量体としてメチルメタクリレート99.8質量%を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、メタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量は26万であった。
[比較例3及び4]
n−オクチルメルカプタンを添加しなかったこと(比較例3)、n−オクチルメルカプタンを0.02質量%としたこと(比較例4)以外は、実施例1と同様の方法によりメタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量がそれぞれ、370万(比較例3)及び65万(比較例4)であった。
[比較例5及び6]
メチルアクリレートの代わりにエチルアクリレート10質量%(比較例5)、ブチルアクリレート10質量%(比較例6)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、メタクリル系樹脂キャスト板を得た。
多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量はそれぞれ、28万(比較例5)及び30万(比較例6)であった。
[参考例1]
ゴム成分を含まない汎用のアクリルキャスト板(旭化成ケミカルズ株式会社製:商品名デラグラスK 厚み5mm)を用いた。
評価の結果をまとめて表1に示した。
表1で、ゴム(部)は単量体混合物100質量部に対する多層構造重合体の添加質量部を示し、コモノマー(%)は単量体混合物中のメチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、又はブチルアクリレート(BA)の質量割合を示し、n−OMはn−オクチルメルカプタンの単量体混合物に添加した質量割合を示している。
Figure 2010037386
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6で得られたメタクリル系樹脂キャスト板は、いずれも衝撃強度、耐熱性、表面硬度、透明性が良好で性能バランスが優れており、加熱成形性も良好であった。
これに対して比較例1のキャスト板は、多層構造重合体を含有していないため、衝撃強度(耐衝撃性)が劣っていた。
比較例2のキャスト板は、全光線透過率は91%、ヘーズ5.1%で白濁しており透明性に問題があった。また、衝撃強度も実施例のキャスト板と比較して劣っていた。
比較例3及び4のキャスト板は、多層構造重合体を除いた重合体の重量平均分子量がそれぞれ、370万(比較例3)及び65万(比較例4)であり、いずれのキャスト板も、衝撃強度が実施例のキャスト板と比較して劣っていた。
比較例5及び6のキャスト板は、いずれもビカット軟化温度、及びロックウェル硬度が実施例に比べて低く、性能バランスに問題があった。
本発明のメタクリル系樹脂キャスト板は、透明性、衝撃強度、耐熱性、表面硬度が良好で、照明器具、看板、建材等の分野における産業上利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物の重合体であって、重量平均分子量が10〜50万であるメタクリル系重合体(A)と、
    架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体であって、前記メタクリル系重合体(A)中に分散された多層構造重合体(B)と、
    を含むメタクリル系樹脂キャスト板。
  2. 前記メタクリル系重合体(A)100質量部に対して、前記多層構造重合体(B)5〜30質量部を含む、請求項1記載のメタクリル系樹脂キャスト板。
  3. メチルメタクリレート85〜97質量%と、メチルアクリレート3〜15質量%と、を含む単量体混合物100質量部に、
    架橋構造を有するゴム状重合体に硬質樹脂成分がグラフトされた多層構造重合体(B)5〜30質量部を分散させてキャスト重合する工程を含む、メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。
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