JP2010036208A - 金属板の熱間プレス成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パンチ1およびダイス2を用いて加熱された金属板4をプレス成形する。パンチ1またはダイス2のいずれか一方に冷媒導入孔6を設けておき、パンチ1およびダイス2の間の所定のクリアランスにて中間材4にプレス成形する第1の工程と、このクリアランスを所定のクリアランスよりも大きくして、冷媒導入孔6から中間材4の表面に冷媒を供給して中間材4を冷却する第2の工程と、クリアランスを第2の工程におけるクリアランスよりも小さくして、冷却された中間材4をパンチ1およびダイス2にて押圧する第3の工程を有する。
【選択図】図3
Description
本発明の目的は、高強度と良好な寸法精度を両立したプレス成形品を製造することができる金属板の熱間プレス成形方法を提供することである。
これらの本発明では、第1の工程において、所定のクリアランスにて中間材は加圧保持され、冷媒導入孔から加圧保持された中間材の表面に冷媒を供給してこの中間材を冷却することが望ましい。
これらの本発明では、パンチまたはダイスのいずれか一方に、冷媒導入孔に接続した複数の溝を備え、冷媒導入孔および溝から中間材の表面に冷媒を供給することが望ましい。この溝の深さは、金属板の厚さの0.5倍以上4倍以下であることが望ましい。
はじめに、本発明の原理を簡単に説明する。
全面金属接触による冷却を行う場合に比較して、並設された複数の溝にそれぞれ導水して金属板を水冷することによって大幅に冷却速度が向上するものの、溝と溝との間で接触冷却される部分については冷却が遅れ、特に板厚が大きい場合などには焼入れ不良が起きる傾向がある。一方、金型にクリアランスを設けて複数の溝それぞれから成形品の全面に導水すれば、均一な冷却速度と所望の焼入れ硬度とを得ることができるが、金型のクリアランスによっては成形品の精度不良が生じる。
図1(a)は本実施の形態における金型0の成形前の状態を示す説明図であり、図1(b)はこの金型0の成形下死点でのクリアランスを示す説明図である。図1に示す例は、ハット成形の場合を示す。また、図2(a)および図2(b)は、それぞれ成形品の形状の模式図である。
図示例は、単動プレス機によるクッション絞り成形を行う場合を示すが、本発明は単動プレスに制限されるものではなく、複動プレスであってもよい。また、必ずしも絞り成形である必要はなく、曲げ成形であってもよい。さらに、図1(a)および図1(b)に示す場合とは異なり、ダイス2の一部を分割することにより成形開始時に被加工材4の一部を拘束するパッド構造としてもよい。
本実施の形態による成形品は、図2(b)に示すハット絞り成形のような開口した型(開口型)の製品7bでもよいし、あるいは図2(a)に示す角筒絞りのような閉じた形状の型(閉口型)の製品7aであってもよい。
その後、図3(b)に示すように、成形下死点までプレス成形を行い、成形下死点にて金型形状が転写されるまで加圧保持するとともに、溝部5に導水を開始する。このとき、加圧保持する前あるいは成形下死点手前で保持して導水を行うと、精度不良が生じやすい。また、成形下死点での加圧保持時間を長く取りすぎると、次工程の離型保持段階で焼入れが完了してしまい精度不良が発生する。したがって、成形下死点での加圧保持時間は3秒間以下とするのが望ましい。なお、溝部5への導水は必ずしも加圧保持工程から開始する必要はなく、次工程以降に開始してもよい。
なお、本実施の形態では、第1の工程のプレス成形を成形下死点まで行う例で示したが、本発明の作用効果が確保される範囲で成形下死点の近傍(例えば、成形下死点から2mm以下の範囲)までとすることができる。成形下死点を大きく外れると、第3の工程において、加工歪みが大きくなり、その結果、残留歪みが大きくなり形状不良が発生しやすい。
次に、図3(c)に示すように、プレス機のメインスライドを少し持ち上げ、離型保持を行うとともに溝部5への冷媒の供給、すなわち導水を開始する。このとき、第1の工程で既に導水を開始した場合には導水は継続して行う。
第2の工程における離型保持の回数は1回または複数回とするが、1回であることが望ましい。複数回行うモーションが可能なプレス機種は限られる上、被加工材4の温度が下がった条件で離型保持を行うと、寸法精度の不良を招く可能性があるからである。
最後に、図3(d)に示すように、プレスのメインスライドを押し下げ、成形下死点において再度加圧保持を行う。このとき、導水は継続しておくことが望ましい。再度の加圧保持を、被加工材4の各所の温度がMf点以下まで実施することによって、焼き入れ完了までの時間を短縮できるとともにプレス成形品の寸法精度を高めることができる。
このようにして、第3の工程において、クリアランスを第2の工程におけるクリアランスよりも小さくして、冷却された被加工材4をパンチ1およびダイス2により押圧する。このようにして、金属板を所望の形状に熱間プレス成形する。
従来例は、溝部に導水しながら保持を継続する条件とし、本発明例は保持開始後、それぞれ1回の離型保持ならびに再加圧保持を実施する条件とした。
本実施例では、図5に示す固定ダイ7および可動ダイ8を有するプレス成形装置を使って、本発明の効果を検証した。
また、所定硬度を得るために必要な保持時間を生産性として、全成形時間が3秒間未満の場合を評価点3とし、3秒間以上4秒間未満の場合を評価点2とし、4秒間以上を評価点1として、評価した。
さらに、寸法精度に関しては、図6に示す方法により幅方向、奥行き方向の2方向について反り高さHdを測定し、いずれか大きい値により評価した。このとき、Hdが0.5mm未満を評価点3とし、Hdが0.5mm以上1mm未満を評価点2とし、Hdが1mm以上を評価点1として、評価した。
次に、離型量の影響を見てみると、離型量が0.5mmよりも小さい場合には、硬度不良となっている。これは、離型量が少ないと成形品全面への冷媒の回り込みが十分に確保できないためと考えられる。一方で、離型量が5mmよりも大きい場合には、寸法精度不良が生じている。これは、金型による拘束が緩和されることに加えて、導水孔から供給される冷媒が不均一に成形品に掛かりやすくなるためと考えられる。
2 ダイ
3 板押さえ
4 被加工材
5 冷却用溝
6 冷媒導入孔
7 固定ダイ
8 可動ダイ
Claims (8)
- パンチおよびダイスを用いて、所定の温度に加熱された金属板をプレス成形する方法であって、少なくとも前記パンチまたは前記ダイスのいずれか一方に冷媒導入孔を設けておき、前記パンチおよび前記ダイスの間の所定のクリアランスにて前記金属板を中間材にプレス成形する第1の工程と、前記パンチおよび前記ダイスの間のクリアランスを前記所定のクリアランスよりも大きくして、前記冷媒導入孔から前記中間材の表面に冷媒を供給して該中間材を冷却する第2の工程と、前記パンチおよび前記ダイスの間のクリアランスを前記第2の工程におけるクリアランスよりも小さくして、冷却された前記中間材を前記パンチおよび前記ダイスにて押圧する第3の工程とを有することを特徴とする金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第1の工程の所定のクリアランスは、前記パンチおよびダイスの成形下死点におけるクリアランスである請求項1に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第1の工程において、前記所定のクリアランスにて前記中間材は加圧保持され、前記冷媒導入孔から加圧保持された前記中間材の表面に冷媒を供給して該中間材を冷却する請求項1または請求項2に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第3の工程において、前記冷媒導入孔から前記中間材の表面に冷媒を供給して該中間材を冷却する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の金属板の熱間プレス方法。
- 前記パンチまたは前記ダイスのいずれか一方に、前記冷媒導入孔に接続した複数の溝を備え、前記冷媒導入孔および前記溝から前記中間材の表面に冷媒を供給する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第2の工程における前記中間材の冷却開始温度はMs点以上であり、前記第2の工程における前記中間材の冷却終了温度は(Mf点+50℃)超である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第3の工程における前記中間材の押圧開始温度は、前記第2の工程の終了温度未満(Mf点+50℃)以上であり、前記第3の工程における前記中間材の押圧完了温度はMf点以下である請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
- 前記第2の工程において、前記パンチと前記ダイスとのクリアランスは、前記金属板の板厚をtとすると、(t+0.5)mm以上(t+15)mm以下である請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の金属板の熱間プレス成形方法。
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