JP2010030002A - 遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤、スラリー及び切断加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊離砥粒ワイヤソーを用いて、インゴットからウエーハを切り出す際に、ウエーハの一部がスライス台より落下する「割れ」の問題がなく、優れた切断精度が得られ、切断後の洗浄工程で汚れが落ち易い遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤、該油剤と遊離砥粒を含むスラリー、該スラリーを用いた脆性材料の切断加工方法を提供する。
【解決手段】(A)プロピレングリコール、(B)ジエチレングリコール、(C)ジカルボン酸塩、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び(E)水を含み、(A)に対する(B)の配合比が1.50〜1.80であり、(C)ジカルボン酸塩が、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩又はカリウム塩である遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤;該油剤及び砥粒を含む切断加工用スラリー;該スラリーを用いて脆性材料を切断する脆性材料の加工方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)プロピレングリコール、(B)ジエチレングリコール、(C)ジカルボン酸塩、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び(E)水を含み、(A)に対する(B)の配合比が1.50〜1.80であり、(C)ジカルボン酸塩が、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩又はカリウム塩である遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤;該油剤及び砥粒を含む切断加工用スラリー;該スラリーを用いて脆性材料を切断する脆性材料の加工方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤、スラリー、これを用いた切断方法に関する。さらに詳細には、脆性材料をワイヤソーで切断加工する際に、被切断材料に供給される油剤と遊離砥粒を含有するスラリーの調製に使用する水溶性加工油剤、該油剤と遊離砥粒を含有するスラリー、これを用いた脆性材料の切断方法に関する。
硬度の高い脆性材料の切断加工には、遊離砥粒を用いてのワイヤソー、ブレードソー(バンドソー)が、加工能率、加工精度の観点から近年広く使用されている。その際、砥粒と油剤を混合し、調整した液(スラリー)が一般的に使用されている。
例えば、(A)多価アルコール、多価アルコール縮合物、及び多価アルコール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(B)芳香族多価カルボン酸塩、(C)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び水を含有する水溶性切断加工用油剤が提案されている(特許文献1)。
遊離砥粒ワイヤソーを用いてシリコン等の脆性材料の切断加工を行う際に、インゴットからシリコンウエーハを切り出す際に、切みぞ損失(Kerf loss)を低減する目的で最近では砥剤の粒度が#1000から#1500、#2500へとより細かくなりつつある。その場合、切断中又は切断後、ウエーハの一部がスライス台より落下する「割れ」の現象が起き易い。又切断中はインゴットの温度が上昇し易く、油剤が加工熱により変質して後工程で洗浄出来ず、洗浄不足になり易い。
例えば、(A)多価アルコール、多価アルコール縮合物、及び多価アルコール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(B)芳香族多価カルボン酸塩、(C)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び水を含有する水溶性切断加工用油剤が提案されている(特許文献1)。
遊離砥粒ワイヤソーを用いてシリコン等の脆性材料の切断加工を行う際に、インゴットからシリコンウエーハを切り出す際に、切みぞ損失(Kerf loss)を低減する目的で最近では砥剤の粒度が#1000から#1500、#2500へとより細かくなりつつある。その場合、切断中又は切断後、ウエーハの一部がスライス台より落下する「割れ」の現象が起き易い。又切断中はインゴットの温度が上昇し易く、油剤が加工熱により変質して後工程で洗浄出来ず、洗浄不足になり易い。
本発明の目的は、上記「割れ」の問題がなく、しかも優れた切断精度が得られ、又後工程である洗浄工程で汚れが落ち易い遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤を提供することである。
本発明の他の目的は、上記油剤と遊離砥粒を含むスラリーを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記油剤、スラリーを用いた脆性材料の切断加工方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記油剤と遊離砥粒を含むスラリーを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記油剤、スラリーを用いた脆性材料の切断加工方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジカルボン酸塩、アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物及び水を含む油剤において、ジエチレングリコールの比率が多くなると、剥離試験の剥離荷重が下がり、「割れ」発生の恐れが少なくなり、逆にプロピレングリコールの比率が多くなると、切断性が向上すること、アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の添加量を調整することにより、「割れ」の発生を著しく低減できること、特定のジカルボン酸塩を使用することにより後工程である洗浄工程で汚れが落ち易いこと、を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に示す遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤、スラリー、これを用いた切断方法を提供するものである。
1.(A)プロピレングリコール、(B)ジエチレングリコール、(C)ジカルボン酸塩、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び(E)水を含む遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤において、
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50〜1.80倍であること、(C)ジカルボン酸塩が、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
2.(A)プロピレングリコール30〜33質量%、(B)ジエチレングリコール45〜59質量%、(C)ジカルボン酸塩0.5〜10質量%、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物2〜10質量%、(E)水5〜22.5質量%を含む上記1記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
3.炭素数3〜5のジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1又は2記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
4.(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の分子量が、500〜5000である上記1〜3のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
5.上記1〜4のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤及び砥粒を含む切断加工用スラリー。
6.上記5記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
7.脆性材料がシリコン系脆性材料である上記6記載の方法。
8.上記6又は7記載の脆性材料の加工方法により加工されたシリコン系脆性材料。
1.(A)プロピレングリコール、(B)ジエチレングリコール、(C)ジカルボン酸塩、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び(E)水を含む遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤において、
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50〜1.80倍であること、(C)ジカルボン酸塩が、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
2.(A)プロピレングリコール30〜33質量%、(B)ジエチレングリコール45〜59質量%、(C)ジカルボン酸塩0.5〜10質量%、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物2〜10質量%、(E)水5〜22.5質量%を含む上記1記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
3.炭素数3〜5のジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1又は2記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
4.(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の分子量が、500〜5000である上記1〜3のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
5.上記1〜4のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤及び砥粒を含む切断加工用スラリー。
6.上記5記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
7.脆性材料がシリコン系脆性材料である上記6記載の方法。
8.上記6又は7記載の脆性材料の加工方法により加工されたシリコン系脆性材料。
本発明の(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が特定の割合であり、特定のジカルボン酸塩を含む水溶性加工油剤は、前記特定の条件を満たさない油剤を使用した場合と比較して、スラリー中の砥粒の分散安定性、切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)、剥離性、切断性に優れ、その結果、切断能率が高く、切断加工面の精度が優れている。また、切断加工後のスラリー除去の洗浄工程においても溶剤等を使用せず容易に水で洗浄でき、引火性の心配もなく、切断加工機の表面や床等にスラリーが飛散、付着堆積しても簡単に清掃ができ、作業環境を悪化させることがなく、生産性の向上に寄与する。
本発明の油剤中、(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量は1.50〜1.80倍である。この範囲外では、ウエーハの一部がスライス台より落下する「割れ」の現象が起こり易くなったり、切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)が劣ってくる傾向がある。
本発明の油剤中、成分(A)のプロピレングリコールの含有量は好ましくは30〜33質量%である。30質量%未満では切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)が劣ってくる傾向があり、33質量%を超えると「割れ」が発生し易くなる傾向がある。
本発明の油剤中、成分(B)のジエチレングリコールの含有量は好ましくは45〜59質量%である。45質量%未満では「割れ」が発生し易くなる傾向があり、59質量%を超えると切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)が劣ってくる傾向がある。
本発明の油剤中、成分(A)のプロピレングリコールの含有量は好ましくは30〜33質量%である。30質量%未満では切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)が劣ってくる傾向があり、33質量%を超えると「割れ」が発生し易くなる傾向がある。
本発明の油剤中、成分(B)のジエチレングリコールの含有量は好ましくは45〜59質量%である。45質量%未満では「割れ」が発生し易くなる傾向があり、59質量%を超えると切断用ワイヤーへの砥粒付着性(乗り)が劣ってくる傾向がある。
本発明に使用する成分(C)のジカルボン酸塩は、スラリーにした場合の、砥粒の分散性、再分散性、ワイヤーへの砥粒の付着性等に寄与している。本発明に使用されるジカルボン酸塩は、炭素原子数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。炭素原子数3〜5のジカルボン酸は好ましくは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸である。
本発明に使用するジカルボン酸塩の水に対する溶解度は20℃において5g/100g水以上であることが望ましい。5g/100g水未満では、ジカルボン酸塩が折出しやすく、好ましくない。
本発明の油剤中、ジカルボン酸塩の含有量は好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは0.5〜2質量%である。0.5質量%未満では、スラリー中の砥粒の分散性向上効果が充分でなく、又10質量%を超えても、分散性向上効果が飽和し、経済的に不利である。
本発明に使用するジカルボン酸塩の水に対する溶解度は20℃において5g/100g水以上であることが望ましい。5g/100g水未満では、ジカルボン酸塩が折出しやすく、好ましくない。
本発明の油剤中、ジカルボン酸塩の含有量は好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは0.5〜2質量%である。0.5質量%未満では、スラリー中の砥粒の分散性向上効果が充分でなく、又10質量%を超えても、分散性向上効果が飽和し、経済的に不利である。
本発明に使用される、成分(D)のアルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物としては、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールの、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。付加モル数は好ましくは5〜100、さらに好ましくは10〜80であり、分子量は好ましくは500〜5000、さらに好ましくは1000〜2000である。
上記アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の水に対する溶解度は5g/100g水以上であることが望ましい。
本発明の油剤中、成分(D)のアルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。含有量が2質量%未満では、砥粒のワイヤーに対する付着性向上効果が低く、10質量%を超えても効果が飽和し、不経済である。
上記アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の水に対する溶解度は5g/100g水以上であることが望ましい。
本発明の油剤中、成分(D)のアルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。含有量が2質量%未満では、砥粒のワイヤーに対する付着性向上効果が低く、10質量%を超えても効果が飽和し、不経済である。
本発明の油剤を使用して切断加工するのに適した被加工材料の例としては、電子産業分野で広く使用されている脆性材料が挙げられ、具体例としては、シリコン(単結晶、多結晶)、ガリウム砒素等の半導体、アルミナ、酸化ジルコニウム等のセラミックス、石英ガラス、ケイ酸ガラス等のガラスが挙げられる。脆性材料が、シリコン系である場合は、油剤のpHは5〜9とすることが望ましい。この場合、塩基性物質としては、無機塩基性物質より有機塩基性物質を使用することが望ましい。特に、塩基性のマイルドなトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第3級アルカノールアミンが望ましい。
本発明の油剤に使用する水としては、超純水、蒸留水、イオン交換水、水道水、市水、工業用水等のいずれを用いても良く、水の含有量は好ましくは5〜22.5質量%である。水の含有量が22.5質量%を超えると、スラリーの粘度が低くなり過ぎて、切断加工性能が低下することがある。又、5質量%未満では、切断加工時の熱の発生によりスラリー中の水分(油剤中の水分)が蒸発し、油剤自身に引火性を生じ水溶性油剤としての特性が失なわれるおそれがある。
本発明の油剤は、成分(A)〜(E)を、適当な温度条件下、例えば、40〜70℃程度で混合溶解させることにより容易に製造できる。その際、必要に応じて、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系)、水溶性増粘剤、防腐剤、防カビ剤、非鉄金属防食剤、pH緩衝剤等を適宜添加含有させても良い。
本発明の油剤は、通常は油剤と砥粒(例えばGC 緑色炭化珪素砥粒)を質量比で油剤:砥粒=1.0:0.8〜1.0:1.5(例えば、1.0:0.9)で混合して脆性材料の切断加工用スラリーとして使用される。
本発明の油剤は、通常は油剤と砥粒(例えばGC 緑色炭化珪素砥粒)を質量比で油剤:砥粒=1.0:0.8〜1.0:1.5(例えば、1.0:0.9)で混合して脆性材料の切断加工用スラリーとして使用される。
以下、実施例および比較例により、本発明の水溶性油剤を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.油剤の性状測定方法
(a) pH測定
各油剤をイオン交換水にて2倍に希釈して、JIS-Z-8802ガラス電極法により測定した。
2.スラリーの性状測定試験法
各油剤のスラリー(質量比で油剤:GC#1500砥粒=1.0:0.9)を下記の試験条件・試験方法により測定した。
(a) 砥粒分散安定性試験
各油剤のスラリーを100mlのメスシリンダーに移し、室温で12時間放置し、砥粒分散安定性を肉眼で観察した。
評価は以下の基準に従った。
○:分離油分量 10ml未満
×:分離油分量 10ml超
(b) ワイヤへの砥粒付着性試験
容器に入れたスラリーにワイヤを5秒間浸漬した後、引き上げて10秒間垂直にした状態で放置した後、顕微鏡で観察して評価する。
評価は以下の基準に従った。
○:ワイヤ上に砥粒が良く付着している
×:ワイヤ上に砥粒が少し付着している−殆ど付着していない
1.油剤の性状測定方法
(a) pH測定
各油剤をイオン交換水にて2倍に希釈して、JIS-Z-8802ガラス電極法により測定した。
2.スラリーの性状測定試験法
各油剤のスラリー(質量比で油剤:GC#1500砥粒=1.0:0.9)を下記の試験条件・試験方法により測定した。
(a) 砥粒分散安定性試験
各油剤のスラリーを100mlのメスシリンダーに移し、室温で12時間放置し、砥粒分散安定性を肉眼で観察した。
評価は以下の基準に従った。
○:分離油分量 10ml未満
×:分離油分量 10ml超
(b) ワイヤへの砥粒付着性試験
容器に入れたスラリーにワイヤを5秒間浸漬した後、引き上げて10秒間垂直にした状態で放置した後、顕微鏡で観察して評価する。
評価は以下の基準に従った。
○:ワイヤ上に砥粒が良く付着している
×:ワイヤ上に砥粒が少し付着している−殆ど付着していない
(c) 剥離性試験
シリコンウエーハ(Silicon Wafer 直径:3インチ、厚さ:0.8mm)を各油剤のスラリーに浸漬し、15分間垂直に放置する。次いで、これら2枚のウエーハの重ね位置を少しずらし、水平にして重りをのせ、16時間重ね合わせる。16時間後、重ね合わせた2枚のウエーハを垂直にダブルクリップにてつるし、1枚のウエーハに10gずつ段階的に重りをのせてゆき、重なったウエーハが剥離した時の荷重を記録する。
評価は以下の基準に従った。
○:剥離荷重10g以下(割れ難い)
×:剥離荷重20g以上(割れ易い)
シリコンウエーハ(Silicon Wafer 直径:3インチ、厚さ:0.8mm)を各油剤のスラリーに浸漬し、15分間垂直に放置する。次いで、これら2枚のウエーハの重ね位置を少しずらし、水平にして重りをのせ、16時間重ね合わせる。16時間後、重ね合わせた2枚のウエーハを垂直にダブルクリップにてつるし、1枚のウエーハに10gずつ段階的に重りをのせてゆき、重なったウエーハが剥離した時の荷重を記録する。
評価は以下の基準に従った。
○:剥離荷重10g以下(割れ難い)
×:剥離荷重20g以上(割れ易い)
(d) 切断性試験
3インチインゴット切断用ワイヤソーで切断を行った。
切断装置 :マルチワイヤソー MS-34(タカトリ製)
切断材料 :単結晶シリコンインゴット
材料寸法 :Φ3インチ×60mmL
ワイヤ径 :0.14mm
ワイヤ線速度 :200mm/min
新線供給量 :8m/min
評価は、加工面のWarp(うねり)を測定した。Warpは、小さい値の方が加工精度は良好であることを示している。
評価
7μm以下:合格(○)
7μm超:不合格(×)
3インチインゴット切断用ワイヤソーで切断を行った。
切断装置 :マルチワイヤソー MS-34(タカトリ製)
切断材料 :単結晶シリコンインゴット
材料寸法 :Φ3インチ×60mmL
ワイヤ径 :0.14mm
ワイヤ線速度 :200mm/min
新線供給量 :8m/min
評価は、加工面のWarp(うねり)を測定した。Warpは、小さい値の方が加工精度は良好であることを示している。
評価
7μm以下:合格(○)
7μm超:不合格(×)
(e) ウエーハ清浄度試験
シリコンウエーハ(Silicon Wafer 直径:3インチ、厚さ:0.8mm)に各油剤を0.5ml滴下し、液を拡げて150℃の恒温槽に2時間放置する。次いで、これのウエーハを40℃の蒸留水に30秒浸漬して取り出し、垂直に室内乾燥させてシリコンウエーハの清浄度を評価する。評価は以下の基準に従った。
○:シリコンウエーハの清浄度が優れる
×:シリコンウエーハの清浄度が劣る
シリコンウエーハ(Silicon Wafer 直径:3インチ、厚さ:0.8mm)に各油剤を0.5ml滴下し、液を拡げて150℃の恒温槽に2時間放置する。次いで、これのウエーハを40℃の蒸留水に30秒浸漬して取り出し、垂直に室内乾燥させてシリコンウエーハの清浄度を評価する。評価は以下の基準に従った。
○:シリコンウエーハの清浄度が優れる
×:シリコンウエーハの清浄度が劣る
総合評価
合格 (○):全て○の場合
不合格(×):×がある場合
結果を表1及び2に示す。
合格 (○):全て○の場合
不合格(×):×がある場合
結果を表1及び2に示す。
※1:アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物A:
エチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(分子量1000)
※2:アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物B:
プロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物(分子量2000)
※3:アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物C:
エチレングリコールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物
(分子量2000)
マロン酸カリウム塩はマロン酸とカリウムの1:2モル比の塩
コハク酸ナトリウム塩はコハク酸とナトリウムの1:2モル比の塩
グルタル酸カリウム塩はグルタル酸とカリウムの1:2モル比の塩
エチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(分子量1000)
※2:アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物B:
プロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物(分子量2000)
※3:アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物C:
エチレングリコールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物
(分子量2000)
マロン酸カリウム塩はマロン酸とカリウムの1:2モル比の塩
コハク酸ナトリウム塩はコハク酸とナトリウムの1:2モル比の塩
グルタル酸カリウム塩はグルタル酸とカリウムの1:2モル比の塩
比較例6及び7は市販水溶性切断加工油剤である。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50〜1.80倍の範囲内にあり、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩又はカリウム塩を使用した本発明の実施例1〜6のスラリーは、分散安定性、砥粒付着性、剥離性、切断性及びウエーハ清浄度に優れている。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50倍未満である比較例1及び2のスラリーは分散安定性、砥粒付着性、及び切断性は優れているが、剥離性が劣っている。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.80倍を超える比較例3及び4のスラリーは、剥離性は優れているが、分散安定性、砥粒付着性、及び切断性が劣っている。
(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を含まない比較例5のスラリーは剥離性は優れているが、分散安定性、砥粒付着性、及び切断性が劣っている。
市販油剤を使用したスラリーは、分散安定性、砥粒付着性、剥離性及び切断性が劣っている。
またジカルボン酸塩としてイソフタル酸トリエタノールアミン塩(イソフタル酸とトリエタノールアミンの1:2モル比の塩)を使用した比較例1〜5及び市販油剤を使用した比較例6及び7のスラリーは、いずれもウエーハ清浄度が劣っている。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50〜1.80倍の範囲内にあり、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩又はカリウム塩を使用した本発明の実施例1〜6のスラリーは、分散安定性、砥粒付着性、剥離性、切断性及びウエーハ清浄度に優れている。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50倍未満である比較例1及び2のスラリーは分散安定性、砥粒付着性、及び切断性は優れているが、剥離性が劣っている。
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.80倍を超える比較例3及び4のスラリーは、剥離性は優れているが、分散安定性、砥粒付着性、及び切断性が劣っている。
(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を含まない比較例5のスラリーは剥離性は優れているが、分散安定性、砥粒付着性、及び切断性が劣っている。
市販油剤を使用したスラリーは、分散安定性、砥粒付着性、剥離性及び切断性が劣っている。
またジカルボン酸塩としてイソフタル酸トリエタノールアミン塩(イソフタル酸とトリエタノールアミンの1:2モル比の塩)を使用した比較例1〜5及び市販油剤を使用した比較例6及び7のスラリーは、いずれもウエーハ清浄度が劣っている。
Claims (8)
- (A)プロピレングリコール、(B)ジエチレングリコール、(C)ジカルボン酸塩、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物、及び(E)水を含む遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤において、
(A)プロピレングリコールの配合量に対する(B)ジエチレングリコールの配合量が1.50〜1.80倍であること、(C)ジカルボン酸塩が、炭素数3〜5のジカルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。 - (A)プロピレングリコール30〜33質量%、(B)ジエチレングリコール45〜59質量%、(C)ジカルボン酸塩0.5〜10質量%、(D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物2〜10質量%、(E)水5〜22.5質量%を含む請求項1記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
- 炭素数3〜5のジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
- (D)アルキレングリコールのアルキレンオキサイド付加物の分子量が、500〜5000である請求項1〜3のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の遊離砥粒ワイヤソー用水溶性加工油剤及び砥粒を含む切断加工用スラリー。
- 請求項5記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
- 脆性材料がシリコン系脆性材料である請求項6記載の方法。
- 請求項6又は7記載の脆性材料の加工方法により加工されたシリコン系脆性材料。
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