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JP2010010966A - 無線通信装置、及びmimo無線通信における信号送信方法 - Google Patents

無線通信装置、及びmimo無線通信における信号送信方法 Download PDF

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JP2010010966A JP2008166521A JP2008166521A JP2010010966A JP 2010010966 A JP2010010966 A JP 2010010966A JP 2008166521 A JP2008166521 A JP 2008166521A JP 2008166521 A JP2008166521 A JP 2008166521A JP 2010010966 A JP2010010966 A JP 2010010966A
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Abstract

【課題】MIMOチャネルにおけるチャネル特性を平均化する。
【解決手段】複数の周波数を用いて通信を行う無線通信装置2であって、複数のアンテナ素子2a,2bと、送信ビーム行列Uを用いて、送信信号に対する送信ビームフォーミング処理を行う送信ビーム形成部23と、を備えている。前記送信ビーム行列は、周波数ωの関数行列U(jω)として構成されており、受信側からみた空間チャネル特性が周波数によって異なるものとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信装置、MIMO無線通信における信号送信方法に関するものである。
近年、無線通信システムにおける伝送レート向上技術として、送信側の無線通信装置に複数の送信アンテナを配置し、同一周波数でも異なる信号を送信できるMIMO(Multiple Input Multiple Output;多入力・多出力)通信が検討されている(非特許文献1参照)。
服部武、藤岡雅宣編著、改訂版ワイヤレス・ブロードバンド教科書高速IPワイヤレス編、株式会社インプレスR&D、2006年6月21日、p193
MIMO通信においては、複数のアンテナ素子から送信される複数の信号に対応する伝送路特性(空間チャネル特性)に差がある場合、特性が劣悪な伝送路を通過する信号の復調誤りによって、全体の復調特性が悪化する問題がある。
ここで、図12に示すように、空間多重度Lの送信信号における送信サブストリームをそれぞれs1〜sLとし、送信アンテナ素子数をMとし、M個の送信アンテナ素子から送信される信号(サブストリーム)をそれぞれx1〜xMとし、送信ビームを形成する送信ビーム行列をU(M×Lの行列)とし、受信アンテナ素子数をNとし、N個の受信アンテナ素子で受信した信号をそれぞれy1〜yNとし、伝送路特性をH(N×Mの行列)とし、受信ビームを形成する受信ウェイト行列をV(L×Nの行列)とすると、
Figure 2010010966
である。
ただし、S=[s1・・・sL]、X=[x1・・・xM]である。
また、
Figure 2010010966
である。
したがって、
Figure 2010010966
である。
このとき、受信ウェイトとして、ZFウェイトを採用すると、受信ウェイト行列Vは、受信側からみたチャネル特性(HU)の逆行列となる。すなわち、
Figure 2010010966
となる。
ここで、送信信号の多重度L=2、送信アンテナ素子数をM=2、受信アンテナ素子数N=2とし、
Figure 2010010966
とすると、
Figure 2010010966
となる。
ここで、
Figure 2010010966
とすると、
Figure 2010010966
となる。つまり、この例では、送信サブストリームs2のSN比は、送信サブストリームs1のSN比の1/4倍となる。
上記の例から明らかなように、送信サブストリームs1と送信サブストリームs2には、伝送路から平等にノイズが影響するわけではなく、送信サブストリームs1よりも送信サブストリームs2の方が大きなパワーのノイズが影響する。つまり、送信サブストリームs2の推定誤差は、送信サブストリームs1の推定誤差よりも大きくなり、空間チャネル間に特性差が生じている。
一般に、送信データの符号化や多値化(デジタル変調)は、受信側で確実に復調可能なデータレートによって行われる。
したがって、MIMOチャネルにおいても、ノイズが大きければ比較的低いデータレートとなるように符号化や多値化を行い、ノイズが小さければ比較的高いデータレートとなるように符号化や多値化を行うことができる。
ところが、上記のように、MIMOチャネルでは、送信サブストリームs1〜sLに対応する空間チャネル間で特性差が生じる。
このように、チャネル間で特性差があっても、送信側で各チャネルの特性を正確に把握できれば、各チャネルの特性に応じて、それぞれのチャネルにデータレートを設定することが可能である。
しかし、送信側及び受信側が共に静止しているような特別な場合を除き、送信側でチャネル特性を正確に把握するのは、通常、困難である。
送信側で各チャネルの特性を取得できない場合、最悪のチャネル特性のもとであっても、受信側が受信信号を確実に復調・復号できるように、各チャネルについて低いデータレートで送信することが必要となる。
つまり、上記例のように、送信サブストリームs1に対応する空間チャネル特性が良好であっても、送信サブストリームs2に対応する空間チャネル特性が悪いため、この悪い空間チャネル特性に引きずられて、送信サブストリームs1についてもデータレートを低くするする必要があった。
そこで、本発明は、送信ビームの特性を周波数に応じて異ならせることで、上記問題を解決することを目的とする。
本発明は、複数の周波数を用いて通信を行う無線通信装置であって、複数のアンテナ素子と、送信ビーム行列を用いて、送信信号に対する送信ビームフォーミング処理を行う処理部と、を備え、前記送信ビーム行列は、周波数の関数行列として構成されていることを特徴とする無線通信装置である。
上記本発明によれば、送信ビーム行列が周波数の関数であるため、送信ビームが、信号の周波数ごとに異なる特性を持つことになる。したがって、受信側からみた空間チャネル特性が周波数ごとに異なるものとなり、特定のチャネルの特性が劣悪になることを抑えることができる。
前記処理部は、時間領域における送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行うのが好ましい。
また、前記処理部は、周波数領域における送信信号を時間領域の送信信号に変換し、時間領域に変換された送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行うのが好ましい。
前記処理部は、時間領域における遅延処理、並びに時間領域における加算処理によって、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行うのが好ましい。この場合、送信ビームフォーミングを容易に行える。
前記送信ビーム行列は、各アンテナ素子における各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されているのが好ましい。
また、前記処理部は、伝送路特性の推定値の信頼性が低いと判定されたときに、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行うのが好ましい。
また、送信ビームフォーミング処理される前における送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
Figure 2010010966
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
多重度Lの送信信号の各送信サブストリームs1(jω)〜SL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω)〜uL(jω)を用いて、
Figure 2010010966
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
Figure 2010010966
となるように前記送信ビーム行列が構成されているのが好ましい。この場合、送信信号に対する送信電力を等分することができる。
送信ビームフォーミング処理される前における送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
Figure 2010010966
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
多重度Lの送信信号の各送信サブストリームs1(jω)〜SL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω)〜uL(jω)を用いて、
Figure 2010010966
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
Figure 2010010966
となるように前記送信ビーム行列が構成されているのが好ましい。この場合、各送信信号間の干渉を防止できる。
送信ビームフォーミング処理される前における送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
Figure 2010010966
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
M個のアンテナ素子における各送信サブストリームのウェイトベクトルu’1(jω)〜u’M(jω)を用いて、
Figure 2010010966
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
Figure 2010010966
となるように前記送信ビーム行列が構成されているのが好ましい。この場合、各アンテナ素子から送信される信号の電力を一定にすることができる。
他の観点からみた本発明は、複数の周波数を用いたMIMO無線通信における信号送信方法であって、送信ビームを周波数に応じて異ならせて、信号の受信側からみた空間チャネル特性が周波数に応じて異なるように送信ビームフォーミングを行うことを特徴とするMIMO無線通信における信号送信方法である。
本発明によれば、受信側からみた空間チャネル特性が周波数ごとに異なるものとなり、特定のチャネルの特性が劣悪になることを抑えることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、MIMO無線通信システム1を示している。このMIMO無線通信システム1は、複数のアンテナ素子(送信アンテナ素子)を有する送信側の無線通信装置2と、複数のアンテナ素子(受信アンテナ素子)を有する受信側の無線通信装置3とを有している。
このMIMO無線通信システム1は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)によって通信を行うよう構成されている(OFDM−MIMO無線通信システム)。
OFDMは、複数の搬送波(サブキャリア)を周波数軸上に多数配置するとともに、複数の搬送波を一部重ならせて周波数利用効率を上げたものである。つまり、本システム1では、複数の周波数によって通信が行われる。
図2は、本システム1が適用され得る無線通信規格であるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access,IEEE802.16)におけるOFDMのサブキャリア配置を示している。OFDMは、周波数多重方式の一種であり、周波数軸上で直交するように多数配置された搬送波(サブキャリア)にQAM変調などのデジタル変調をかけ、デジタル情報の伝送を行う通信方式である。
OFDMのサブキャリアには、データサブキャリア(Data Sub−Carrier)、パイロットサブキャリア(Pilot Sub−Carrier)、ヌルサブキャリア(Null Sub−Carrier)の3種類がある。
データサブキャリアは、データや制御用メッセージを送信するためのサブキャリアであある。パイロットサブキャリアは、受信側及び送信側で既知の信号(パイロット信号)であり、受信側において伝送路特性の推定等に用いられる。
ヌルサブキャリアは、実際には何も送信されないサブキャリアであり、低周波数域側のガードサブバンド(ガードサブキャリア)、高周波数域側のガードサブバンド(ガードサブキャリア)、及びDCサブキャリア(中心周波数サブキャリア)によって構成されている。
図3は、前記無線通信装置2において送信のための処理を行う処理部20を示している。この処理部20は、マップ処理部21、IFFT部22a,22b、送信ビーム形成部23、CP部24a,24b、及びD/A変換部25a,25bを備えている。
前記マップ処理部21は、送信シンボルに対してマップ処理を行うものである。ここで、図3における送信シンボルは、インタリーブ、符号化、多値変調などの信号処理が行われた後の信号をいうものとする。
前記マップ処理部21は、送信シンボルをOFDMにおける周波数軸上の各サブキャリア(データサブキャリア)に割り当てる処理を行う。また、前記マップ処理部21では、空間割り当ても行われ、送信シンボル(送信信号)が多重化(空間多重化度:L)される。 なお、マップ処理部21における処理は、周波数領域で行われる。
多重化された送信シンボルは、それぞれ、IFFT部22a,22bによって逆離散フーリエ変換され、周波数領域の信号から時間領域の信号(サブストリーム)s1,・・・,sLに変換される。
時間領域の信号となった空間多重化送信信号は、送信ビーム形成部23によって送信ビームフォーミング処理がなされ、送信アンテナ素子2a,2bの数Mに応じた数の送信信号(送信ビーム)x1,・・・,xMが生成される。なお、送信ビームフォーミング処理の詳細は、後述する。
各送信信号x1,・・・,xMには、それぞれ、CP部24a,24bによってCP(Cyclic Prefix)が付加される。CPは、送信信号の先頭に付加される。
そして、各送信信号x1,・・・,xMは、D/A変換部25a,25bによってアナログ信号に変換された上で、M個のアンテナ素子2a,2bから送信される。
図1に示すように、M個のアンテナ素子2a,2bから送信された信号x1,・・・,xMは、伝送路(伝送路特性H)を通って、受信側の無線通信装置3のN個のアンテナ素子3a,3bによって受信される。N個のアンテナ素子3a,3bによって受信された信号y1,・・・,yNには、ウェイト処理部32によって受信ウェイトVを乗算する処理が施される。さらに、ウェイト処理部32は、ウェイトを乗じた受信信号を合成し、合成後信号(送信信号の推定信号)を得る。
さて、前記送信ビーム形成部23は、多重度Lの送信信号s1,・・・,sLに、行列サイズM×Lの送信ビーム行列(送信ビームフォーミング行列)Uを掛けることで、アンテナ素子数Mに応じた数の送信信号(送信ビーム)x1,・・・,xMを得る。
本実施形態において、前記送信ビーム行列Uは、周波数の関数行列U(jω)として構成されている。なお、ωは角周波数であり、ω=2πf(fは周波数)であるが、以下では、ωを単に「周波数」という。
OFDM方式においては、複数の周波数のサブキャリアが用いられるため、多重度Lの送信信号Sも、周波数ωの関数S(jω)として表すことができる。つまり、S(jω)=(s1(jω)・・・sL(jω))Tである。
ここでは、同様に、伝送路特性H及び受信ウェイトUも、それぞれ、周波数ωの関数行列H(jω)、V(jω)として表すものとする。
すると、受信側の無線通信装置3における合成後信号(送信信号Sの推定信号)は、次のように表される。
Figure 2010010966
ここで、M個のアンテナ素子2a,2bから送信される送信ビーム(送信信号)は、(U(jω)S(jω))である。U(jω)が周波数の関数であるため、送信ビームは、周波数(サブキャリア)によって異なるものとなり、周波数特性を持つことになる。
また、受信側3からみた仮想的なチャネル特性は、(H(jω)U(jω))である。U(jω)が周波数の関数であるため、(H(jω)U(jω))も同様に周波数特性を有する。この結果、実際のチャネル特性H(jω)が空間チャネルによって特性差があるものであっても、受信側3から観察されるチャネル特性(H(jω)U(jω))は、周波数(サブキャリア)によって異なるものとなり、周波数軸上で仮想的にランダム化される。
つまり、空間チャネル間で特性が平均化され、ある送信サブストリームs1に対応する空間チャネルの特性が良く、他の送信サブストリームs2に対応する空間チャネルの特性が劣悪であるといった空間チャネル間の特性差が抑えられる。
そして、受信ウェイトV(jω)が(H(jω)U(jω))-1となるZFウェイトである場合、合成後信号(送信信号Sの推定信号)は、次のように表される。
Figure 2010010966
上記のように、受信側3から観察されるチャネル特性(H(jω)U(jω))が、周波数軸上で仮想的にランダム化されるため、(H(jω)U(jω))-1N(jω)で示される送信信号の推定誤差も、各空間チャネルにおいて平均化される。この結果、特性が劣悪な空間チャネルについても特性が改善され、良好な復調特性を得ることができる。
ここで、例えば、伝送路の特性H(jω)及び送信ビーム行列U(jω)が、下記のとおりであったとする。ただし、多重度L=送信アンテナ素子数M=受信アンテナ素子数N=2とする。
Figure 2010010966
この場合、(H(jω)U(jω))-1は、次の通りとなる。
Figure 2010010966
ここで、上記e-jωは、下記のように、遅延時間=1の遅延素子に対応する。
Figure 2010010966
さて、伝送路におけるノイズn1(jω),n2(jω)は互いに無相関であり、ノイズn1(jω),n2(jω)の平均電力をPnとすると、上記例において、送信サブストリームs1(jω)と送信サブストリームs2(jω)の推定誤差は、それぞれ次のようになる。
Figure 2010010966
送信サブストリームs1(jω)と送信サブストリームs2(jω)とは十分に広帯域(1024本のサブキャリアに相当)の信号であるから、空間チャネル間の特性差は、周波数軸上で拡散される。
これにより、MIMOチャネルのランダム化が達成され、ある空間チャネルの特性が良くて、他の空間チャネルの特性が劣悪であるという状態を少なくすることができる。
[送信ビーム形成部の構成例(第1例)]
図4は、送信ビーム形成部23の具体例を示している。ここでは、送信ビーム行列U(jω)は、上記例と同様に、
Figure 2010010966
であるものとする。なお、L=M=N=2である。この送信ビーム行列は、各アンテナ素子2a,2bにおける各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されている。
本実施形態において、送信ビーム形成部23は、IFFT後に処理を行うものであるため、時間領域で送信サブストリームs1(jω),s2(jω)に対する送信ビームフォーミング処理が行われる。
送信ビームフォーミング処理は、周波数領域で考えた場合、X(jω)=U(jω)S(jω)であり、送信信号S(jω)に対し、周波数の関数行列である送信ビーム行列U(jω)を掛ける演算となり、複雑な演算となる。
一方、本実施形態では、時間領域で送信ビームフォーミング処理を行うため、送信ビーム行列Uが周波数の関数行列であっても、送信ビーム形成部23は、遅延処理部41と加算部42とによって簡易に構成することができる(図4参照)。
なお、図4において、Z-1は、e-jωであり、遅延時間=1の遅延処理を行う。また、前記加算部42は、減算を行うものを含むものとする。減算は負の値を加算するものだからである。
[送信ビーム行列U(jω)の好ましい条件]
送信ビーム行列U(jω)は、MIMOチャネルのランダム化を達成するだけであれば、周波数の関数でさえあれば足りる。ただし、下記条件1〜3のいずれか一つ又は複数、好ましくは全てを満たすのが良い。
(条件1)
条件1は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U(jω)を、下記のように、送信サブストリームs1(jω),・・・,sL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω),・・・uL(jω)で表したときに、
Figure 2010010966
下記式が成り立つことである。
Figure 2010010966
上記条件1は、各送信サブストリームs1(jω),・・・,sL(jω)に対する送信電力を等分するための条件である。この条件を満たすことで、各送信サブストリームs1(jω),・・・,sL(jω)の空間チャネル特性に偏りが発生するのを防止できる。
(条件2)
条件2は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U(jω)を、上記のように、送信サブストリームs1(jω),・・・,sL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω),・・・uL(jω)で表したときに、下記式が成り立つことである。
Figure 2010010966
上記条件2は、直交条件であり、この条件を満たすことで、各送信サブストリームs1(jω),・・・,sL(jω)間で干渉が発生するのを防止できる。
(条件3)
条件3は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U(jω)を、下記のように、M個の送信アンテナ素子における送信サブストリームx1(jω),・・・,sM(jω)のウェイトベクトルu’1(jω),・・・u’M(jω)で表したときに、
Figure 2010010966
下記式が成り立つことである。
Figure 2010010966
なお、送信ビーム行列U(jω)が正方行列(M=L)である場合、送信ビーム行列U(jω)はユニタリ行列であるのが好ましい。
ここで、図4に示す送信ビーム形成部23に対応する前記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ=2×2)の場合、下記に示すように、上記条件1〜3は、満たされている。
Figure 2010010966
[送信ビーム形成部の構成例(第2例)]
図5は、送信ビーム形成部23の他の具体例を示している。ここでは、送信ビーム行列U(jω)は行列サイズ=3×2である。つまり、送信信号の多重化度L=2であり、送信アンテナ素子数M=3である。
ここでの送信ビーム行列U(jω)は、下記の通りである。この送信ビーム行列も、各アンテナ素子2a,2b,2cにおける各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されている。
Figure 2010010966
図5に示す送信ビーム形成部23も、遅延処理部41と加算部42とによって簡易に構成することができる。
上記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ=3×2)の場合、下記に示すように、上記条件1〜3は、満たされている。
Figure 2010010966
[送信ビーム形成部の構成例(第3例)]
図6は、送信ビーム形成部23の他の具体例を示している。ここでは、送信ビーム行列U(jω)は行列サイズ=4×2である。つまり、送信信号の多重化度L=2であり、送信アンテナ素子数M=4である。
ここでの送信ビーム行列U(jω)は、下記の通りである。この送信ビーム行列も、各アンテナ素子2a,2b,2c,2dにおける各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されている。
Figure 2010010966
図6に示す送信ビーム形成部23も、遅延処理部41と加算部42とによって簡易に構成することができる。
上記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ=4×2)の場合、下記に示すように、上記条件1〜3は、満たされている。
Figure 2010010966
[遅延処理部について]
前記遅延処理部41による遅延処理は、信号を遅延量Tに応じて時間的に遅らせばよいため、遅延処理部41は、遅延量Tほど信号の出力を遅らせるバッファによって構成できる。
ここで、図7(a)に示すように、遅延量=0である時間領域のデータシンボルをs(t)とすると、遅延量Tであるデータシンボルs(t−T)=s(t)×e-jωTは、図7(b)に示すようになる。このように遅延量Tほど遅らせる単純な遅延の場合、遅延処理部41として遅延量T分の容量のバッファがあれば良いため、バッファサイズとしては比較的小さいもので足りる。
ただし、図7(b)のような遅延の場合、データシンボルの送信開始タイミングが、t1からTほど遅れてしまい、データシンボルの送信終了タイミングも、t2からTほど遅れてしまう。受信側でデータシンボルs(t)の復調に使えるのはt1〜t2の波形だけであるから、t2よりも後の波形は復調に用いることができない。また、t2よりも後の波形は、次のデータシンボルと干渉するおそれがある。
そこで、単純な遅延ではなく、図7(c)に示すように循環遅延を行うことで、データシンボルの送信開始タイミングは図7(a)と同様にして遅延をなくし、各サブキャリアについては図7(b)と同様に位相回転をさせることができる。
循環遅延は、図7(b)に示すように遅延させたデータシンボルのうち終わりのT[s]の範囲を、データシンボルの先頭に付加することで行われる。これにより、循環遅延したデータシンボル全体を復調に用いることができるとともに、次のデータシンボルとの干渉を防止できる。
なお、循環遅延を行う場合、図7(b)の遅延に比べて、バッファサイズを大きくする必要がある。
[送信ビームの時間方向へのランダム化について]
図8は、送信ビーム形成部23の他の例を示している。この送信ビーム形成部23は、送信ビーム行列U(jω)を変更する手段を備えている。つまり、送信ビーム行列U(jω)の構成を、例えば時間に従って変化させることで、ランダム化の効果を高めることができる。図8では、送信ビーム行列U(jω)を変更する手段として、遅延処理部41における遅延量を変更するための遅延制御部43を示した。なお、送信ビーム行列U(jω)を変更する手段としては、互いに異なる複数の送信ビーム行列U(jω)に対応した複数の送信ビーム形成部23を用意しておき、いずれかの送信ビーム形成部23を選択して送信に用いることで実現してもよい。
また、送信ビーム行列U(jω)の構成を変化させるのは、時間に従うことに限られない。例えば、データシンボルの再送時には、最初の送信とは送信ビーム行列U(jω)が異なるようにすることで、ダイーバシティを得ることができる。
[送信ビーム行列(送信ビームパターン)の受信側への通知について]
受信側3においては、送信ビームパターンU(jω)は既知でなくとも、(H(jω)U(jω))さえわかればよいため、送信信号を推定することはできる。
例えば、送信アンテナが2本、送信サブストリームが2つ(s1,s2)の場合、異なる送信タイミングにおいて、送信/受信の双方で既知であるパイロット信号(s1,s2)=(1,0)と(s1,s2)=(0,1)とを送れば、送信ビームU(jω)と伝送路特性H(jω)による変化であるH(jω)U(jω)を、受信側で知ることができる。
受信側では、このようにして知ったH(jω)U(jω)を、受信したデータ信号に適用して送信信号を推定することができる。
ただし、送信側2が、受信側3へ送信ビームパターンU(jω)を通知することもできる。この場合、受信側3では、送信元の各アンテナ素子2a,2bから受信側3の各アンテナ素子3a,3bまでの伝送路特性H(=HU×U-1)を求めることができる。求めた伝送路特性Hは、伝送路環境の遅延プロファイルやアンテナの角度広がりを計算するのに用いることができる。
[第2実施形態]
図9〜図11は、本発明の第2実施形態を示している。第2実施形態では、送信側の無線通信装置2が、送信アンテナ2a,2bから受信アンテナまでの3a,3bまでの伝送路特性Hを推定した場合に、その推定値の信頼性が低い場合に、周波数の関数である送信ビーム行列によって送信ビームフォーミングを行い、その推定値の信頼性が高い場合には、伝送路特性の推定値に応じて最適な送信ビームフォーミングを行うように構成されている。なお、第2実施形態において、特に説明しない点については、図1〜図8のものと同様である。
図9に示すように、送信側の無線通信装置(例えば、移動端末にとの間で通信を行う基地局装置)2は、受信信号(受信したパイロット信号)に基づいて、伝送特性を推定する伝送路特性推定部27を備えている。
また、無線通信装置2は、前記推定部27によって推定した伝送路特性の情報が信頼できるものであるか(正確であるか)、それとも信頼できないものであるか(不正確であるか)を判定する信頼性判定部28を備えている。
前記送信ビーム形成部23は、推定した伝送路特性が信頼できるものである場合には、その伝送路特性に応じた送信ビーム行列(周波数の関数ではない)を生成する。この場合、信頼でき正確な伝送路特性に基づいて送信ビーム行列が生成されるため、最適なビームフォーミングを行うことができる。
一方、送信ビーム形成部23は、推定した伝送路特性が信頼できないものである場合には、周波数の関数である前述の送信ビーム行列を用いてビームフォーミングを行う。
本第2実施形態によれば、信頼できる伝送路特性の推定値が得られる場合には、最適なビームフォーミングを行いつつも、伝送路特性が信頼できない場合には、伝送路特性を必要としない「周波数の関数である送信ビーム行列」を用いることで、通信効率を落とさずに通信を行うことができる。
図10は、信頼性判定部28による伝送路特性推定値の信頼性判定処理を示している。この信頼性判定処理では、まず、伝送路特性の推定値を取得してから、信号の送信のタイミングまでの経過時間で、信頼性(正確か否か)を判定する(ステップS1)。
図11に示すように、基地局装置2から端末装置3への送信を行うダウンリンク(DL)と、端末装置3から基地局装置2への送信を行うアップリンク(UL)とが、時間的に交互に行われるTDD(時分割複信)では、基地局装置2が、伝送路特性を推定できるのは、端末装置3からパイロット信号を受信できるアップリンク(UL)の期間である。
一方、基地局装置2が、信号を送信するのは、ダウンリンク(DL)であるから、伝送路特性の推定値を取得してから、信号の送信のタイミングまでに、ある程度の時間が経過する。
したがって、移動端末が高速移動する場合、信号の送信のタイミングでは、推定した伝送路特性が、実際には大きく変化している可能性がある。図11に示すように、ダウンリンクサブフレームの前半部分であれば、伝送路特性推定から送信タイミングまでの経過時間はT1であって、比較的小さいが、ダウンリンクの後半部分では、伝送路特性推定から送信タイミングまでの経過時間はT2となって、比較的大きくなる。
また、次のアップリンク(UL)で、伝送路特性推定値を取得できなかった場合には、さらにその次のダウンリンク(DL)では、伝送路特性推定から送信タイミングまでの経過時間はT3となって更に大きくなる。
そこで、ステップ1の判定では、伝送路特性の推定値を取得してからの経過時間が、閾値であるT秒以下であるか否かを判定する。この閾値Tは、前のアップリンクサブフレームでの伝送路特性推定タイミングを起点として、次のダウンリンクサブフレームの途中の時間となるように設定されるのが好ましい。つまり、図11においてT1とT2の間の時間に設定されるのが好ましい。
ステップS1において、経過時間がT秒を超えている場合、伝送路特性の推定値が不正確(低信頼性)であると判定する(ステップS3)。送信ビーム形成部23は、伝送路特性の推定値が不正確であるという判定結果を受けて、周波数の関数である送信ビーム行列によってビームフォーミング処理を行う。
ステップS1において、経過時間がT秒以下である場合、さらに、伝送路特性の相関値が、閾値X以上であるか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2の判定は、時間あたりの伝送路特性の変化量を判定するものであり、当該変化量が大きければ、伝送路特性の推定値が不正確(低信頼性)であると判定するためのものである。つまり、伝送路の推定タイミング(アップリンクサブフレーム中のタイミング)と、送信タイミング(ダウンリンクサブフレーム中のタイミング)とが一致しない以上、時間によって伝送路特性が大きく変化するような環境の場合、伝送路特性の推定値は送信タイミングの時点では不正確であって信頼できないと判定することができる。
例えば、図11に示すように、異なる時間tn,tn+1,tn+2において、それぞれ伝送路特性の推定値h(tn),h(tn+1),h(tn+2)を取得したとする。ステップS2では、これらの推定値h(tn),h(tn+1),h(tn+2)の相関を取り、相関値が低ければ、伝送路変化が大きいと判定できる。
なお、一定回数(N回)取得した伝送路特性間の相関は、下記のようにして求めることができる。
Figure 2010010966
また、相関値には重みα(0<α<1)を掛けて、下記のようにして求めても良い。重みαは、新しい伝送路特性ほど大きくなるようにするのが好ましい。
Figure 2010010966
ステップS2において、伝送路特性の推定値の相関がXよりも小さければ、伝送路特性の推定値が不正確(低信頼性)であると判定する(ステップS3)。この場合も、送信ビーム形成部23は、伝送路特性の推定値が不正確であるという判定結果を受けて、周波数の関数である送信ビーム行列によってビームフォーミング処理を行う。
ステップS2において、伝送路特性の推定値の相関がX以上であれば、伝送路特性の推定値が正確(高信頼性)であると判定する(ステップS4)。この場合、送信ビーム形成部23は、周波数の関数である送信ビーム行列ではなく、伝送路特性に応じた最適な送信ビーム行列を当該伝送路特性に応じて生成し、当該送信ビーム行列によってビームフォーミング処理を行う。
なお、上記ステップS1及びステップS2の判定は、両方行う必要はなく、いずれか一方だけであってもよい。また、ステップS2のように、時間あたりの伝送路特性の変化量が大きい環境であるか否かを判定する処理は、上記のものに限られない。例えば、移動端末3の移動速度、マルチパス、送受信アンテナ間の特性差、アンテナ特性の時間変化などを測定する手段を設け、その測定結果によって判定を行っても良い。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
MIMO無線通信システムの全体図である。 OFDMにおけるサブキャリア配置を示す図である。 無線通信装置の送信機能を示すブロック図である。 送信ビーム形成部のブロック図である。 送信ビーム形成部のブロック図である。 送信ビーム形成部のブロック図である。 データシンボルの遅延方法を示す図であり、(a)は遅延0のデータシンボル、(b)は遅延Tのデータシンボル、(c)は循環遅延Tのデータシンボルである。 遅延量を制御可能な送信ビーム形成部のブロック図である。 第2実施形態に係る無線通信装置を示すブロック図である。 信頼性判定処理のフローチャートである。 伝送路特性の推定タイミングを示す図である。 一般的なMIMO通信システムを示す図である。
符号の説明
1:MIMO無線通信システム
2:無線通信装置(送信側)
2a,2b:送信アンテナ素子
3:無線通信装置(受信側)
3a,3b:受信アンテナ素子
4:伝送路
20:処理部
21:マップ処理部
22a,22b:IFFT部
23:送信ビーム形成部
24a,24b:CP部
25a,25b:D/A変換部
27 伝送路特性素底部
28 信頼性判定部
32:ウェイト処理部

Claims (12)

  1. 複数の周波数を用いて通信を行う無線通信装置であって、
    複数のアンテナ素子と、
    送信ビーム行列を用いて、送信信号に対する送信ビームフォーミング処理を行う処理部と、を備え、
    前記送信ビーム行列は、周波数の関数行列として構成されていることを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記処理部は、時間領域における送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記処理部は、周波数領域における送信信号を時間領域の送信信号に変換し、時間領域に変換された送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1又は2記載の無線通信装置。
  4. 前記処理部は、時間領域における遅延処理、並びに時間領域における加算処理によって、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項2又は3記載の無線通信装置。
  5. 前記送信ビーム行列は、各アンテナ素子における各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  6. 前記処理部は、伝送路特性の推定値の信頼性が低いと判定されたときに、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  7. 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
    Figure 2010010966
    と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
    多重度Lの送信信号における各送信サブストリームs1(jω)〜SL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω)〜uL(jω)を用いて、
    Figure 2010010966
    と表した場合において、
    任意の周波数ωについて
    Figure 2010010966
    となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  8. 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
    Figure 2010010966
    と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
    多重度Lの送信信号における各送信サブストリームs1(jω)〜SL(jω)に対応する送信ビームベクトルu1(jω)〜uL(jω)を用いて、
    Figure 2010010966
    と表した場合において、
    任意の周波数ωについて
    Figure 2010010966
    となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  9. 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
    Figure 2010010966
    と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
    M個のアンテナ素子における各送信サブストリームのウェイトベクトルu’1(jω)〜u’M(jω)を用いて、
    Figure 2010010966
    と表した場合において、
    任意の周波数ωについて
    Figure 2010010966
    となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  10. 前記送信ビーム行列は、時間に応じて変更可能である請求項1〜8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  11. 前記送信ビーム行列を用いてパイロット信号を送信する請求項1〜9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  12. 複数の周波数を用いたMIMO無線通信における信号送信方法であって、
    送信ビームを周波数に応じて異ならせて、信号の受信側からみた空間チャネル特性が周波数に応じて異なるように送信ビームフォーミングを行う
    ことを特徴とするMIMO無線通信における信号送信方法。
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