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JP2010089143A - 脆性材料基板の割断方法及び割断装置 - Google Patents

脆性材料基板の割断方法及び割断装置 Download PDF

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政直 村上
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政二 清水
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Abstract

【課題】レーザビームの波長を変えることなくスクライブラインの深さを調整できるようにする
【解決手段】脆性材料基板50の表面と直交する垂線Lに対してレーザビームLBの相対移動方向にレーザビームLBの光軸を傾けて、レーザビームLBを脆性材料基板50に照射する。ここで、脆性材料基板50に垂直クラックを迅速且つ確実に形成する観点からは、レーザビームLBによる加熱後、冷却ノズル37から冷却水を噴霧して脆性材料基板50を冷却するのが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、脆性材料基板の割断方法及び割断装置に関し、より詳細には、レーザビームの照射加熱によって、基板表面に対して略垂直方向のクラックを形成し脆性材料基板を割断する方法および装置に関するものである。
従来、脆性材料基板の割断方法としては、脆性材料基板の表面にカッターホイール等を圧接させながら転動させて、脆性材料基板の表面に対して略垂直方向のクラック(以下、「スクライブライン」という)を形成し、形成されたスクライブラインに沿って垂直方向に機械的な押圧力を加えて割断する方法(以下、「ブレイク」という)が広く行われていた。
しかし、通常、カッターホイールを用いて脆性材料基板のスクライブを行った場合、カレットと呼ばれる小破片が発生し、このカレットによって脆性材料基板の表面にキズがつくことがあった。また、割断後の脆性材料基板の端部にはマイクロクラックが生じやすく、このマイクロクラックを起因として脆性材料基板の割れが発生することがあった。このため、通常は割断後に、脆性材料基板の表面及び端部を洗浄及び研磨して、カレットやマイクロクラック等を除去していた。
近年、COレーザビームを用いて溶融温度未満で脆性材料基板を加熱して、脆性材料基板にスクライブラインを形成した後、ブレイクを行って基板を割断する方法が実用化されつつある。具体的には、割断予定ライン上に楕円状のレーザビームを照射して脆性材料基板を部分的に加熱して熱膨張させて圧縮応力を発生させ、次いで冷却媒体等による冷却によって脆性材料基板を収縮させて引張応力を生じさせ脆性材料基板に垂直クラックを形成させる。そして、レーザビームを脆性材料基板に対して相対移動させることによって、垂直クラックを連続的に伸展させてスクライブラインを形成させる。このようにレーザビームを用いて脆性材料基板のスクライブを行う場合には熱応力を利用するため、工具を直接、基板に接触させることがなく、割断面はマイクロクラック等の少ない平滑な面となり、基板の強度が維持される。すなわち、レーザビームを用いた脆性材料基板のスクライブでは、非接触加工であるため、上記した潜在的欠陥の発生が抑えられ、ブレイクを行った際に脆性材料基板に発生する割れ等の損傷が抑えられる。
特開2006-256944
しかしながら、レーザビームを用いて脆性材料基板にスクライブラインを形成する場合、スクライブラインの深さを調整することは難しかった。また、レーザビームの単位時間当たりの照射量は、脆性材料基板が溶融しないように上限が定められるため、レーザビームの出力を大きくして相対移動速度を速くするということはできなかった。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザビームの波長を変えることなくスクライブラインの深さを調整できるようにすることにある。
また本発明の目的は、レーザビームの相対移動速度を速くして、脆性材料基板の割断処理効率を向上させることにある。
前記目的を達成する本発明に係る脆性材料基板の割断方法は、脆性材料基板に対してレーザビームを相対移動させながら照射して、前記基板を溶融温度未満で加熱し、前記基板に生じた熱応力によって前記基板の表面から略垂直方向にクラックを形成させて前記基板を割断する方法であって、前記基板の表面と直交する垂線に対してレーザビームの相対移動方向にレーザビームの光軸を傾けて、レーザビームを前記基板に照射することを特徴とするものである。
ここで、脆性材料基板に垂直クラックを迅速且つ確実に形成する観点からは、レーザビームによる加熱後、冷却媒体によって前記基板を冷却するのが好ましい。
また、本発明によれば、レーザビームを出射するレーザ出力手段と、脆性材料基板に対して前記レーザビームを相対的に移動させる移動手段と、前記基板の表面と直交する垂線に対して前記レーザビームの相対移動方向に前記レーザビームの光軸を傾ける傾斜手段とを備えることを特徴とする脆性材料基板の割断装置が提供される。
ここで、脆性材料基板に垂直クラックを迅速且つ確実に形成する観点からは、前記レーザビームの照射領域後側を冷却する冷却手段をさらに設けるのが好ましい。
本発明の脆性材料基板の割断方法及び割断装置では、脆性材料基板の表面と直交する垂線に対してレーザビームの相対移動方向に前記レーザビームの光軸を傾けて、レーザビームを前記基板に照射するので、レーザビームの光軸の傾きによって前記基板に形成される垂直クラックの深さを調整できるようになる。また、レーザビームの光軸の傾きを大きくするほど、相対移動速度を速くすることもできるようになる。
また、レーザビームによる加熱後、冷却媒体によって前記基板を冷却するようにすると、脆性材料基板に垂直クラックが迅速且つ確実に形成できるようになる。
以下、本発明に係る脆性材料基板の割断方法及び割断装置についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
図1に、本発明に係る脆性材料基板の割断装置の一実施形態を示す概説図を示す。この図の割断装置は、架台11上に紙面に対して垂直方向(Y方向)に移動自在のスライドテーブル12と、スライドテーブル上に図の左右方向(X方向)に移動自在の台座19と、台座19上に設けられた回転機構25とを備え、この回転機構25上に設けられた回転テーブル26に載置・固定された脆性材料基板50はこれらの移動手段によって水平面内を自在に移動される。
スライドテーブル12は、架台11の上面に所定距離隔てて平行に配置された一対のガイドレール14,15上に移動自在に取り付けられている。そして、一対のガイドレール14,15の間には、ガイドレール14,15と平行にボールネジ13が、不図示のモータによって正・逆回転自在に設けられている。また、スライドテーブル12の底面にはボールナット16が設けられている。このボールナット16はボールネジ13に螺合している。ボールネジ13が正転又は逆転することによって、ボールナット16はY方向に移動し、これによってボールナット16が取り付けられたスライドテーブル12が、ガイドレール14,15上をY方向に移動する。
また台座19は、スライドテーブル12上に所定距離隔てて平行に配置された一対のガイド部材21に移動可能に支持されている。そして、一対のガイド部材21間には、ガイド部材21と平行にボールネジ22が、モータ23によって正逆回転自在に設けられている。また、台座19の底面にはボールナット24が設けられ、ボールネジ22に螺合している。ボールネジ22が正転又は逆転することによって、ボールナット24はX方向に移動し、これによって、ボールナット24と共に台座19が、一対のガイド部材21に沿ってX方向に移動する。
台座19上には回転機構25が設けられている。そして、この回転機構25上に回転テーブル26が設けられている。割断対象である脆性材料基板50は、回転テーブル26上に真空吸着によって固定される。回転機構25は、回転テーブル26を垂直方向の中心軸の周りに回転させる。
回転テーブル26の上方には、回転テーブル26と離隔対向するように、支持台31が、取付台32から垂下する保持部材33によって支持されている。支持台31には、脆性材料基板50の表面にトリガークラックを形成するためのカッタホイール35と、脆性材料基板50にレーザビームを照射するための開口(不図示)と、脆性材料基板50の表面を冷却するための冷却ノズル37とが設けられている。
カッタホイール35は、チップホルダー36によって、脆性材料基板50に圧接する位置と非接触な位置とに昇降可能に保持されており、スクライブラインの開始起点となるトリガークラックを形成するときのみ、脆性材料基板50に圧接する位置に下降する。トリガークラックは、レーザービームの移動予定ラインの方向に形成された切り目と、この切り目に垂直なもう一つの切り目とがそれぞれの中点で交差した十字形状とするのが好ましい。もちろん、トリガークラックは、1本の切り目のみからなるものであってもよいが、トリガークラックから予測不能な方向にクラックが生じる先走り現象を抑制するためには、十字形状のものが望ましい。また、トリガークラックの形成位置は、脆性材料基板50の表面側端よりも内側に形成するのが、前述の先走り現象の抑制の点で好ましい。
取付台32上にはレーザ出力装置(レーザ出力手段)34が設けられている。レーザ出力装置34から出射されたレーザビームLBは、反射ミラー(傾斜手段)44で下方に反射され、保持部材33内に保持された光学系を介して支持台31に形成された開口から、回転テーブル26上に固定された脆性材料基板50に照射される。反射ミラー44は、駆動部(傾斜手段)43によって紙面垂直方向の軸を中心として回動自在に設けられている。レーザビームLBの光軸の傾きは、駆動部43を駆動させて反射ミラー44の傾斜角度を変更することによって自在に変えられる。
また、支持台31の、レーザビームLBが出射する開口近傍に設けられた冷却ノズル37からは、冷却水、Heガス、Nガス、COガス等の冷却媒体が脆性材料基板50に向かって噴射される。冷却媒体が噴射される脆性材料基板50上の位置は、割断予定ライン51上で且つレーザビームLBの照射領域の後側である(図2を参照)。
取付台32には、脆性材料基板50に予め刻印されたアライメントマークを認識する一対のCCDカメラ38,39が設けられている。これらのCCDカメラ38,39により、脆性材料基板50のセット時の位置ずれが検出され、例え脆性材料基板50が角度θずれていた場合は回転テーブル26が−θだけ回転され、脆性材料基板50がYずれていたときはスライドテーブル12が−Yだけ移動される。
このような構成の割断装置において脆性材料基板50を割断する場合には、まず、脆性材料基板50を回転テーブル26上に載置し吸引手段により固定する。そして、CCDカメラ38および39によって、脆性材料基板50に設けられたアライメントマークを撮像し、前述のように、撮像データに基づいて脆性材料基板50を所定の位置に位置決めする。
次いで、前述のように、ホイールカッタ35によって脆性材料基板50にトリガークラックを形成する。そして、レーザ出力装置34からレーザビームLBを出射する。レーザビームLBは反射ミラー44よって、図2に示すように、脆性材料基板50表面に直交する垂線Lに対して照射角θで脆性材料基板50に照射する。また同時に、レーザビーム照射領域の後端近傍に冷却媒体としての水をノズル37から噴霧する。脆性材料基板50にレーザビームLBを照射することによって、脆性材料基板50は厚み方向に溶融温度未満で加熱され、脆性材料基板50は熱膨張しようとするが、局所加熱のため膨張できず照射点を中心に圧縮応力が発生する。そして加熱直後に、脆性材料基板50の表面が冷却媒体により冷却されることによって、脆性材料基板50が今度は収縮して引張応力が発生する。この引張応力の作用によって、トリガークラックを開始点として、脆性材料基板50にスクライブライン52が形成される。
そしてレーザビームLB及び冷却ノズル37を割断予定ライン51に従って相対的に移動させることによって、スクライブライン52はレーザビームLBの相対移動に追従して進行する。この実施形態の場合には、レーザビームLBと冷却ノズル37とは所定位置に固定された状態で、スライドテーブル12と台座19、回転テーブル26の回転機構25とによって脆性材料基板50が移動される。もちろん、脆性材料基板50を固定した状態で、レーザビームLB1と冷却ノズル37とを移動させても構わない。あるいは脆性材料基板50及びレーザビームLB・冷却ノズル37の双方を移動させても構わない。
図3に示すように、レーザビームLBの光軸は、脆性材料基板50の表面と直交する垂線Lに対してレーザビームLBの相対移動方向に所定角度θ傾いていればよい。換言すると、レーザビームの相対移動方向をx座標軸とし、垂線Lをy座標軸としたx−y直交座標において、レーザビームLBの光軸が右上がりの傾きを有していればよく、y座標軸とx座標軸に垂直なz座標軸方向に傾きを有していても構わない。なお、レーザビームLBの光軸がz座標軸方向に傾きを有している場合、脆性材料基板50に形成されるクラックは、y−z直交座標においてy座標軸に対して傾きを有するものとなる。
垂線Lに対するレーザビームLB光軸の傾斜角度θに特に限定はなく、形成しようとするスクライブライン52の深さやレーザビームLBの相対移動速度に応じて適宜決定すればよい。例えば、図4(a)に示すように、レーザビームLB光軸の、垂線Lからの傾斜角度θが小さいと、レーザビームLBの脆性材料基板50内への進入が深くなり、形成されるスクライブライン52は深さdは深くなる。反対に、同図(b)に示すように、レーザビームLB光軸の傾斜角度θが大きいと、レーザビームLBの脆性材料基板50内への進入が浅くなり、形成されるスクライブライン52の深さdは浅くなると共に、レーザビームLBの傾斜角度θが小さい場合に比べて、レーザビームLBの相対移動速度を速めることができる。
レーザビームLBの脆性材料基板50に対する相対移動速度は、脆性材料基板50の材質や厚さ、レーザビームLBの出力、そしてスクライブライン52の深さ、すなわちレーザビームLB光軸の傾斜角度などから適宜決定される。レーザビームLBの種類によっては1000mm/s以上と、従来の相対移動速度1〜数百mm/sに比べて格段の高速化も可能となる。
ここで使用するレーザビームLBは、脆性材料基板50の材質とスクライブライン52の深さ等から適宜決定すればよい。例えば、脆性材料基板がガラス基板の場合、波長10.6μmのCOレーザを用いると、ガラス基板表面から深さ3.7μmという表層だけでそのエネルギーの99%が吸収される。つまり、レーザビームの照射によってガラス基板の表層のみ加熱され、ガラス基板の厚み方向の直接加熱は少ない。他方、波長2.94μmのEr−YAGレーザを用いると、ガラス基板による吸収が少なくガラス基板の深くまでレーザビームが進入する。
物体に真空中の波長λ、強度Iのレーザビームを照射したとき、深さzの場所でのレーザビームの強度Iは、次のように表される。
I=I・exp(−α・z) ・・・・・・(1)
ここで、αは吸収能と呼ばれる物理量で、
α=(4π/λ)k=(4π/λ)nκ ・・・(2)
(式中、nはその物体の屈折率、k,κは減衰係数)
で表される。
上記式から理解されるように、レーザビームの波長が短いと、基板の深くまでレーザビームが進入する。すなわち、波長の短いレーザビームを用いると深いスクライブラインを形成できる。したがって、レーザビームによって形成されるスクライブラインの深さを、脆性材料基板の厚み方向全部とし、ブレーク工程を経ることなく脆性材料基板を割断する所謂フルカットを行う場合には、脆性材料基板の厚みに合わせて上記式から算出される波長のレーザビームを用いる。例えば、波長2.9μmのレーザビームを用いれば、少なくとも厚さ2.9mmのソーダガラス基板をフルカットできることになる。ただし、今のところ、波長を連続的に変化できるレーザ出力装置は現存せず、固有の波長を有するそれぞれのレーザ出力装置から、所望の波長に近い波長のレーザビームを出力するものを選択し使用する。代表的なレーザ出力装置とレーザビーム波長を表1に示す。
前記実施形態では、レーザビーム照射領域の後端近傍に冷却媒体を噴霧して、脆性材料基板50を冷却していたが、冷却手段を用いることなく自然放冷によって冷却しても構わない。ただし、脆性材料基板50にクラックを迅速且つ確実に形成する観点からは、冷却手段によって脆性材料基板50の加熱された部分を冷却するのが望ましい。また、脆性材料基板50のフルカットを行う場合などには、クラックの形成を迅速に行うために、脆性材料基板50の裏面を表面と共に冷却してもよい。
本発明によれば、レーザビームの波長を変えることなくスクライブラインの深さを調整でき、またレーザビームの相対移動速度を速くして、脆性材料基板の割断処理効率を向上させることもできるようになり、液晶ディスプレイ等のパネル製造工程などで好適に使用される。
本発明に係る脆性材料基板の割断装置の一例を示す概説図である。 脆性材料基板へのレーザビームの照射及び冷却手段による冷却を説明するための斜視図である。 レーザビームの光軸の垂線に対する傾きを説明する図である。 垂線に対するレーザビームの光軸の傾きによって、スクライブラインの深さを調整する説明図である。
符号の説明
12 スライドテーブル(移動手段)
19 台座(移動手段)
25 回転機構(移動手段)
26 回転テーブル
34 レーザ出力装置(レーザ出力手段)
37 冷却ノズル(冷却手段)
50 脆性材料基板
51 割断予定ライン
L 垂線
LB レーザビーム

Claims (4)

  1. 脆性材料基板に対してレーザビームを相対移動させながら照射して、前記基板を溶融温度未満で加熱し、前記基板に生じた熱応力によって前記基板の表面から略垂直方向にクラックを形成させて前記基板を割断する脆性材料基板の割断方法であって、
    前記基板の表面と直交する垂線に対してレーザビームの相対移動方向にレーザビームの光軸を傾けて、レーザビームを前記基板に照射することを特徴とする脆性材料基板の割断方法。
  2. 前記レーザビームによる加熱後、冷却媒体によって前記基板を冷却する請求項1記載の脆性材料基板の割断方法。
  3. レーザビームを出射するレーザ出力手段と、脆性材料基板に対して前記レーザビームを相対的に移動させる移動手段と、前記基板の表面と直交する垂線から前記レーザビームの相対移動方向に前記レーザビームの光軸を傾ける傾斜手段とを備えることを特徴とする脆性材料基板の割断装置。
  4. 前記レーザビームの照射領域後側を冷却する冷却手段をさらに有する請求項3記載の脆性材料基板の割断装置。
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