JP2010085376A - 走査型電子顕微鏡を用いたパターン計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】SEMによって得られたパターン画像のボケを除去し、AFMなどの他の計測機で得られたパターンの高さ方向の情報と合わせ、試料表面のパターンの3次元形状を簡便にかつ精度良く計測する方法を提供する。
【解決手段】試料表面のパターンに収束させた電子ビームを照射して走査し、SEM画像を取得し、前記SEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、1次電子ビームの強度分布とから、デコンボリューション操作により前記パターンの2次電子の発生効率を算出し、予め走査型プローブ顕微鏡で前記パターンの形状を計測して得た深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率とを用い、前記各々の2次電子の発生効率を比較照合し、前記パターンの三次元形状を求めることを特徴とする。
【選択図】 図13
【解決手段】試料表面のパターンに収束させた電子ビームを照射して走査し、SEM画像を取得し、前記SEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、1次電子ビームの強度分布とから、デコンボリューション操作により前記パターンの2次電子の発生効率を算出し、予め走査型プローブ顕微鏡で前記パターンの形状を計測して得た深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率とを用い、前記各々の2次電子の発生効率を比較照合し、前記パターンの三次元形状を求めることを特徴とする。
【選択図】 図13
Description
本発明は、走査型電子顕微鏡を用いたパターン計測方法に関し、特に走査型電子顕微鏡を用いてパターンの高精度な画像を取得し、該画像の三次元形状を計測するパターン計測方法に関する。
半導体や半導体用フォトマスク、ナノインプリント用テンプレート、MEMS、光学関連素子などのパターンの微細化、高精度化の進展に伴い、それらの基板上に形成されるパターンの深さ、あるいは高さ、ライン幅、側壁の傾斜角、コーナーの丸みなどのパターン形状の微細な変化も製品の特性に大きな影響を与える。そのため、これらのパターン寸法および形状を高精度に計測する技術が求められている。さらに、パターンサイズが100nmオーダ以下になってくると、パターンの平面形状(真上から見た形状)だけではなく、断面形状などの立体的な三次元形状も含めて計測して、高精度にパターン製造プロセスを制御し、製品の品質を管理する必要性が高くなっている。
パターンの微細化が進んだ今日では、微小パターンの寸法測定には走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)が一般的に用いられ、測長用の走査型電子顕微鏡はCD−SEMとも呼ばれている(以後、本発明では単にSEMと記す)。SEM画像からのエッジ検出手法は、測長再現性を高めることを求めてSEMの機種ごとに様々であり、SEM画像の寸法のキャリブレーションはピッチが保証されたサンプルで行われている。
SEMにおいて試料から発生する2次電子の発生効率は、材質、1次電子の照射面への入射角、エッジ効果、シャドウイングなどの組み合わせによって決まる。1次電子のビームの広がりが2次電子の発生効率変化に比べて十分小さい場合は、上記発生効率に応じたコントラスト画像が得られる。
しかし、SEMを用いたパターンの測長においては、SEMの1次電子ビームに広がりがあることや、照射点近傍の表面から出る電子の散乱により2次電子が放出される領域に広がりがあること、ビーム走査信号がばらつくことなどの様々な原因によって、2次電子信号は電気的・数値的に変調を受ける(非特許文献1参照)。このため、現実にSEMによるパターンのエッジ部分の信号は、左右のパターンエッジに相当する信号量の大きい部分(ホワイトバンドと称される)に広がりが生じてしまう。その結果、従来のSEMによる計測では、例えば、開口部パターンを微分プロファイルで見た場合、開口部パターン形状を示す輝線の内側をエッジとして検出してしまい、実際のパターンエッジよりも数nm〜数10nmだけ内側にある箇所をエッジと定義してしまうことも生じている。また、これらの現象はパターンの高さや幅、その断面形状、1次電子ビームの照射条件、パターンの材質などによっても変動する。特に、微細化が進む半導体やフォトマスクなどのパターンの計測では、パターンの断面形状における寸法計測位置が重要になっている。
しかし、SEMを用いたパターンの測長においては、SEMの1次電子ビームに広がりがあることや、照射点近傍の表面から出る電子の散乱により2次電子が放出される領域に広がりがあること、ビーム走査信号がばらつくことなどの様々な原因によって、2次電子信号は電気的・数値的に変調を受ける(非特許文献1参照)。このため、現実にSEMによるパターンのエッジ部分の信号は、左右のパターンエッジに相当する信号量の大きい部分(ホワイトバンドと称される)に広がりが生じてしまう。その結果、従来のSEMによる計測では、例えば、開口部パターンを微分プロファイルで見た場合、開口部パターン形状を示す輝線の内側をエッジとして検出してしまい、実際のパターンエッジよりも数nm〜数10nmだけ内側にある箇所をエッジと定義してしまうことも生じている。また、これらの現象はパターンの高さや幅、その断面形状、1次電子ビームの照射条件、パターンの材質などによっても変動する。特に、微細化が進む半導体やフォトマスクなどのパターンの計測では、パターンの断面形状における寸法計測位置が重要になっている。
そのため、高解像、高精度のSEM画像を得るために、例えば、SEM画像からデコンボリューションにより、1次電子ビームの大きさや画像信号の発生領域の大きさに由来するボケを取り除き、高解像度の像を表示する画像処理方法が開示されている(特許文献1参照)。また、予めSEMの電子線シミュレーション波形をライブラリとして記憶し,実際のSEM画像と最も一致度の高い波形を選択し、パターン形状を推定するパターン計測方法が提案されている(特許文献2参照)。
C.G.Frace,E.Buhr,K.Dirshert,PTB Meas.Sci.Technol.,vol.18,pp510−519(2007) 特開平4−341741号公報
特開2007−218711号公報
C.G.Frace,E.Buhr,K.Dirshert,PTB Meas.Sci.Technol.,vol.18,pp510−519(2007)
しかしながら、特許文献1にはデコンボリューションによりボケの取り除かれた高解像の画像の記載があるのみであり、画像の立体的な三次元形状については何も示されていない。また、特許文献2のパターン計測方法は、ライブラリの作成に相当な時間を必要とし、多種類の試料やパターンを測定するには多くの時間を要して不適であり、使用する試料やパターンが限定されてしまうという問題があった。上記のように、走査型電子顕微鏡を用いた従来のパターン計測方法においては、パターンの微細化の進展に伴い必要性がますます高まってきたパターンの三次元形状を簡便で高精度に計測する方法がないという問題があった。
一方、試料表面の微細なパターン寸法や形状を計測する方法として、片持ち梁の一端に探針を設けたカンチレバーと称するプローブで試料表面を走査する原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;以後、AFMと記す)などを用いる方法が知られている。しかし、AFMによる形状測定方法では、探針最先端部が一定の大きさを有しているために、測定に用いる探針最先端部の形状、特に曲率半径などに測定値が依存してしまい、微細パターンや急峻な段差構造では、パターンの正確な寸法や形状を表すことができないという問題があった。また、パターン寸法形状測定において、SEMによる測定値とAFMによる測定値が異なってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、SEMによって得られたパターン画像のボケを除去し、AFMなどの他の計測機で得られたパターンの高さ方向の情報と合わせ、試料表面のパターンの三次元形状を簡便にかつ精度良く計測する方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係るパターン計測方法は、走査型電子顕微鏡を用いて試料表面のパターンの形状を計測するパターン計測方法であって、試料表面のパターンに収束させた電子ビームを照射して走査し、前記パターンから発生する2次電子を検出してSEM画像を取得し、該SEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、前記電子ビームの1次電子強度分布とから、デコンボリューション操作により前記パターンの2次電子の発生効率を算出し、予め走査型プローブ顕微鏡で前記パターンを計測して得た深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率を用い、 前記デコンボリューション操作により算出した前記パターンの2次電子の発生効率と、前記深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率とを比較し照合することにより、前記パターンの三次元形状を求めることを特徴とするものである。
請求項2の発明に係るパターン計測方法は、請求項1に記載のパターン計測方法において、前記走査型プローブ顕微鏡が、原子間力顕微鏡であることを特徴とするものである。
請求項3の発明に係るパターン計測方法は、請求項1または請求項2に記載のパターン計測方法において、前記走査型電子顕微鏡によって得られたパターン画像が、電子ビームもしくは試料を傾斜させ、電子ビームの試料への入射角度が2種以上の異なる角度で得られた複数のパターン画像であることを特徴とするものである。
請求項4の発明に係るパターン計測方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパターン計測方法において、前記デコンボリューション操作において、計測データを補間するために、フーリエ変換を高速フーリエ変換とし、データのサンプリング周期を細かくしたことを特徴とするものである。
本発明のパターン計測方法によれば、試料表面の微細パターンの三次元形状を簡便にかつ精度良く測定することができ、微細パターンを有する半導体や半導体用フォトマスク、ナノインプリント用テンプレート、MEMS、光学関連素子などの製品の高品質化に寄与する効果を奏する。
以下、図面に基づいて、本発明の最良の実施形態に係るパターン計測方法について詳細に説明する。
走査型電子顕微鏡を用いて、試料表面のパターンの線幅、断面形状を測定する本発明のパターン計測方法について、試料として、光学研磨した平坦な石英ガラス基板上に急峻な溝を設けたトレンチ構造のラインパターンを形成した場合を例にして説明する。
先ず、走査型電子顕微鏡を用いて通常の操作方法により、計測すべき試料表面のパターンに、収束させた電子ビーム(1次電子)を照射して走査し、パターンから発生する2次電子を検出し、検出した電子量を輝度信号に変換してパターンのSEM画像を取得する。図1は、トレンチ構造のパターンの平面SEM画像であり、画面中央縦方向の黒色部がパターンの溝である。溝に直行する横方向(x方向)の白線部が、本発明のパターン計測方法を適用するパターンの断面形状計測部分を示す。
ここで、上記の取得するSEM画像についてさらに詳しく説明する。パターンの断面に対応するSEM画像のコントラスト形状(SEM画像の2次電子の断面強度分布)は、シミュレーション計算により求められる。位置tにおけるSEM画像のコントラスト形状(h(t)で示す)は、下記の数式(1)に示すように、2次電子の発生効率f(x)と1次電子ビームの強度分布g(t-x)との畳み込み積分によるコンボリューションから求めることができる。ここで、1次電子ビームはガウシアン分布であると仮定している。図3はコンボリューションを説明する図であり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した強度を示す。また、パターンの想定した断面形状を図中に記載してある。
次に、本発明における2次電子の発生効率についてさらに詳しく説明する。試料表面から放出される2次電子の発生効率は、測定試料の材質や形状に依存する。形状については、図4にパターン断面形状と2次電子の発生効率の模式図を示す通り、1次電子の入射角度(図4(a))、2次電子の放出角度分布およびシャドウイング(図4(b))、エッジ効果(図4)c))に依存する。
図4(a)に示す1次電子の入射角度については、2次電子として表面から脱出できる電子が生成される物質内での深さは、10nm程度であり、その範囲にどれだけ1次電子が滞在できるかで、2次電子の発生効率が決まる。これより、2次電子の発生効率は、面の法線に対する1次電子(e)の入射角度をθとして1/cosθに比例することが知られている。
図4(b)に示す2次電子の放出角度分布およびシャドウイングについては、試料に入射した電子がその入射方向の記憶をなくすほど多くの散乱を受けた後では、電子は試料内でランダムな角度分布を持つ。この場合、2次電子の表面からの放出角度分布は、コサイン分布であり、面に対する法線を0度の角度(θ)としてcosθに比例することが知られている。また、シャドウイングにより、凹パターンの底部から放出される2次電子のうち、開口に向かうものだけが外に出られるものと考えると、1次電子入射点と開口を結ぶ3角形の範囲で放出角度分布を積分することにより、各々の位置での2次電子の発生効率を求めることができる。
図4(c)に示すエッジ効果については、エッジ効果は、入射1次電子(e)によって作られた2次電子がエッジに近いと、試料外に放出されやすいため起こる。この効果は、エッジからの距離(x)に対して、指数関数的に決まるものと考えられる。したがって、e-x/aに比例する(aは2次電子の広がりに関する定数)ものとして、発生効率に加えることができる。
上記の図4(a)〜(c)に示すように、これらの組み合わせにより、パターン形状に対応する2次電子の発生効率を求めることができる。
上記の図4(a)〜(c)に示すように、これらの組み合わせにより、パターン形状に対応する2次電子の発生効率を求めることができる。
また、1次電子ビームの強度分布g(t-x)は、下記の数式(2)より求められる。ここで、a0はガウス分布にある1次電子の分散を示す値で、通常、約7nm程度であり、1次電子のピーク強度の半分の値をとる箇所の幅を示す半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)はおよそ12nmである。
コンボリューションにより求めた位置xにおけるSEM画像のコントラスト形状h(x)を図5に示す。図5では、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示し、SEM画像のコントラスト形状としてシミュレーションによる計算値(実線)と実測値(点線)の両方の値を示す。また、パターンの想定した断面形状を記載してある。図5において、SEM画像のコントラスト形状を示す計算値と実測値の両方の曲線はほぼ重なっており、計算値の信頼性が高いことが示されている。図5には、想定した断面形状と、2次電子の発生効率f(x)も記載してある。
(デコンボリューション)
次に、上記の取得したSEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、1次電子ビームの強度分布とから、デコンボリューション操作によりパターンの形状に起因する2次電子の発生効率を算出する。
ここで、2次電子の発生効率の算出に用いるフーリエ変換の定義である数式(3)
に対して、記号Fを用いて以下の数式(4)のように表す。
次に、上記の取得したSEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、1次電子ビームの強度分布とから、デコンボリューション操作によりパターンの形状に起因する2次電子の発生効率を算出する。
ここで、2次電子の発生効率の算出に用いるフーリエ変換の定義である数式(3)
デコンボリューションは、装置関数によるスペクトルなどのボケを取り除く手法であり、観測されたスペクトルが真のスペクトルと装置関数のコンボリューションで与えられているとき、観測されたスペクトルのフーリエ変換を行うと真のスペクトルのフーリエ変換と装置関数のフーリエ変換の積になる。したがって、標準的なデコンボリューションは、「測定データのフーリエ変換」を「装置関数のフーリエ変換」で割って,さらに逆フーリエ変換する手順で計算できる。本発明においては、パターンのコントラスト形状を示す2次電子の発生効率 f(x)は、測定データh(x)、装置関数(ここではビーム形状)g(x)を用いて以下の数式(5)を用いて計算できる。ここで、F-1は逆フーリエ変換を表す。
図6は、デコンボリューションに用いるSEM画像のコントラスト形状h(x)の測定データであり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。図7は、デコンボリューションに用いる装置関数g(x)で、本発明では1次電子ビームのビーム形状(強度分布)を示すものであり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。
本発明においては、2次電子の発生効率が急激に変化するような場合には、急激に変化する位置を正確に求めるために、ラインプロファイルを微分して微分プロファイルを算出し、微分信号量の最大ピークと最小ピークを求め、ラインパターンの幅は、この最大ピークの位置と最小ピークの位置との間の距離として求めることも可能である。
(計測データの補間)
本発明において、上記のデコンボリューション操作においてパターンの2次電子の発生効率f(x)の精度を上げるために、計測データを補間するのも好ましい方法である。そのために、フーリエ変換を高速フーリエ変換とし、例えば、高速フーリエ変換のアルゴリズムの場合、2のN乗として、N=1024あるいは2048を用いることができる。また、連続した信号を一定の周期間隔で数値化するサンプリング周期として、データのサンプリング周期(ピクセル間隔)を通常用いられる周期よりも細かくした方法を用いることができる。高速フーリエ変換とサンプリング周期の微細化はいずれか単独でも効果があるが、双方を共に行うことにより時間が短縮されて精度の高いパターンの2次電子の発生効率f(x)を得ることができる。
本発明において、上記のデコンボリューション操作においてパターンの2次電子の発生効率f(x)の精度を上げるために、計測データを補間するのも好ましい方法である。そのために、フーリエ変換を高速フーリエ変換とし、例えば、高速フーリエ変換のアルゴリズムの場合、2のN乗として、N=1024あるいは2048を用いることができる。また、連続した信号を一定の周期間隔で数値化するサンプリング周期として、データのサンプリング周期(ピクセル間隔)を通常用いられる周期よりも細かくした方法を用いることができる。高速フーリエ変換とサンプリング周期の微細化はいずれか単独でも効果があるが、双方を共に行うことにより時間が短縮されて精度の高いパターンの2次電子の発生効率f(x)を得ることができる。
図8(a)は、一例として、計測するパターンの平面SEM画像であり、SEM画面下の両矢印の範囲の画像領域を256ピクセルでサンプリングした場合のパターンのコントラスト形状を図8(b)に示す。図9は、同じ画像領域をサンプリング周期を1/4とし、1024ピクセルで計測した場合のパターンのコントラスト形状であり、図9に示すパターンのコントラスト形状は図8(b)よりも精度が向上しているのが読み取れる。サンプリング周期の微細化はデータ取得時間と相反するので、通常用いられる周期(例えば、256ピクセル)の1/2〜1/4程度の範囲で細かくするのが好ましい。
(デコンボリューションの結果)
デコンボリューションの結果を図10に示す。図10は、デコンボリューション操作により算出したパターンの断面強度分布を太い実線で示し、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。図10においては、参考のために、デコンボリューションに用いたSEM断面強度分布(SEM画像のコントラスト形状)と装置関数(ビーム形状)を細い実線で記載してある。
デコンボリューションの結果を図10に示す。図10は、デコンボリューション操作により算出したパターンの断面強度分布を太い実線で示し、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。図10においては、参考のために、デコンボリューションに用いたSEM断面強度分布(SEM画像のコントラスト形状)と装置関数(ビーム形状)を細い実線で記載してある。
(走査型プローブ顕微鏡によるパターン形状)
一方、予め走査型プローブ顕微鏡で上記試料のパターンの深さを計測する。図2は、図1に示すトレンチ構造のパターンをAFMで計測した断面形状図であり、深さ100nmの溝(トレンチ)が形成されていることを示す。 図11は、本発明のパターン計測方法におけるパターン断面の模式図であり、パターン形状から2次電子の発生効率を算出する際に使用するパラメータは、トレンチパターン最上部のトレンチ幅(Top width)、トレンチ深さ(Depth)、側壁角度(Side Wall Angle:θ)である。
一方、予め走査型プローブ顕微鏡で上記試料のパターンの深さを計測する。図2は、図1に示すトレンチ構造のパターンをAFMで計測した断面形状図であり、深さ100nmの溝(トレンチ)が形成されていることを示す。 図11は、本発明のパターン計測方法におけるパターン断面の模式図であり、パターン形状から2次電子の発生効率を算出する際に使用するパラメータは、トレンチパターン最上部のトレンチ幅(Top width)、トレンチ深さ(Depth)、側壁角度(Side Wall Angle:θ)である。
本発明において、パターンの深さ方向(高さ方向)の情報を得る走査型プローブ顕微鏡としては、片持ち梁の一端に探針を設けたカンチレバーと称するプローブで試料表面を走査し、試料表面のパターンの寸法や形状を計測する顕微鏡が用いられ、一般的に広く用いられているAFMが最も好ましいが、走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)などのカンチレバータイプの走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)と総称されている他の顕微鏡でも用いることが可能である。以下の説明では、パターンの深さ方向の情報を得るのにAFMに用いた場合を例に述べる。
(形状の比較照合)
次に、AFMで計測して得られた深さ方向の情報を基にして予測した上記パターンの2次電子の発生効率を求め、デコンボリューション操作により算出したSEMによるパターンのコントラスト形状と上記のAFMの情報を基にして予測したパターンのコントラスト形状とを比較して照合することによりパターンの三次元形状を求める。
図12は、想定した断面形状に基づく計算により得られたパターンの2次電子の発生効率であり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。
次に、AFMで計測して得られた深さ方向の情報を基にして予測した上記パターンの2次電子の発生効率を求め、デコンボリューション操作により算出したSEMによるパターンのコントラスト形状と上記のAFMの情報を基にして予測したパターンのコントラスト形状とを比較して照合することによりパターンの三次元形状を求める。
図12は、想定した断面形状に基づく計算により得られたパターンの2次電子の発生効率であり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した電子の強度を示す。
図13は、トレンチ構造パターンの想定した断面形状を基に計算により求めた2次電子の発生効率(細い3本の実線)と、実験を基にしてデコンボリューションにより求めた2次電子の発生効率(太い1本の実線)とを比較照合する図であり、いずれもトレンチ構造パターンの左側の側壁部分を示し、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した強度を表す。2次電子の発生効率は、側壁角度を84°、85°、86°の3種の角度の場合を設定して示してあるが、デコンボリューションによる2次電子の発生効率と比較照合すると、側壁角度は85°が最も近い。したがって、上記のパターンの側壁角度は85°と求められる。
次に、トレンチ幅(Top Width)を求める。図14および図15は、想定した断面形状を基に計算により求めた2次電子の発生効率(細い5本の実線)と、実験を基にしてデコンボリューションにより求めた2次電子の発生効率(太い1本の実線)とを示す図であり、図14(a)は図1に示すトレンチ構造パターンの左側の側壁部分の2次電子の発生効率およびデコンボリューションにより求めた2次電子の発生効率、図15(a)は図1に示すトレンチ構造パターンの右側の側壁部分の2次電子の発生効率およびデコンボリューションにより求めた2次電子の発生効率を示す。図14(a)、図15(a)の横軸にパターンの位置座標(nm)、縦軸に規格化した強度(nm)を表し、それぞれ5箇所の電子の強度のピーク位置を設定している。
図14(b)、図15(b)は、各々図14(a)、図15(a)の2次電子の発生効率のピ−ク位置を縦軸にとり、トレンチ幅(Top width)(nm)を横軸にとった図であり、斜め直線は2次電子の発生効率のピーク位置におけるトレンチ幅を示す。また、図14(b)、図15(b)の図中の横直線(実験値)は、実験を基にしてデコンボリューションにより求めたパターンのピーク位置におけるトレンチ幅の値を示し、上記の2次電子の発生効率のピーク位置におけるトレンチ幅を示す斜め直線との交点は、いずれも62nmである。したがって、上記のパターンのトレンチ幅(Top width)は62nmと求められる。
上記の結果から、本発明のパターン計測方法によれば、試料上のトレンチ構造を有する微細パターンの形状は、トレンチ幅(Top width)62nm、トレンチ深さ(Depth)100nm、側壁角度(Side Wall Angle)85°とする三次元形状のパターンであることが求められた。
なお、上記の例はパターンとしてシングルパターンについて説明したが、本発明のパターン計測方法は、パターンが所定のピッチを有するライン/スペースパターン、ホールパターンなどであっても適用できるものである。また、上記の例はトレンチ構造の深さ方向のパターンについて説明したが、高さ方向のパターンであっても適用できるものであり、本発明の深さ方向の情報は高さ方向の情報も含むものである。
(本発明の他の実施形態)
本発明のパターン計測方法において、パターンの側壁観察や三次元プロファイルの推定においては、試料を斜め方向から観察したSEM画像の情報を利用することが有効である。
本発明のパターン計測方法において、パターンの側壁観察や三次元プロファイルの推定においては、試料を斜め方向から観察したSEM画像の情報を利用することが有効である。
本実施形態においては、SEM計測においてビームの入射角度が2種以上の異なる角度で得られた2枚以上のパターン画像と、1次電子ビームの強度分布形状から、デコンボリューション操作により算出した試料形状に起因する2次電子の発生効率と、予め計測しておいた深さの情報を基に予測した2次電子の発生効率を用い、これらを比較し照合することにより断面形状をより高精度に計測することができる。
斜め方向から観察したSEM画像を取得する方法としては、例えば、電子光学系より照射する電子線を偏向し、電子線を試料に照射する方向を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式、SEMにより試料の任意の場所を観察できるように試料を載せるステージ自体を傾斜させて撮像する方式、SEMの電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式などが適用される。
図16(a)は、図16(b)に示すように、電子ビーム162に対する試料161のチルト角(傾斜角度)0°の場合のSEM画像のコントラスト形状と、2次電子の発生効率と、想定したパターン断面形状を示す図であり、横軸にパターン画像のx方向断面の位置(nm)、縦軸に規格化した強度を示す。図17(a)は、図17(b)に示すように、電子ビーム172に対する試料171のチルト角(傾斜角度)3°の場合のSEM画像断のコントラスト形状と、2次電子の発生効率と、想定したパターン断面形状を示す図である。2次電子の発生効率は電子ビームの入射角度(傾斜角度)に敏感であるため、本実施形態の方法を用いることにより、測定精度がより向上する。
上記のように、本発明のパターン計測方法は、半導体、半導体用フォトマスク、ナノインプリント用テンプレート、MEMS、光学関連素子などの微細パターンの深さ、あるいは高さ、パターン幅、側壁の傾斜角、コーナーの丸みなどのパターン形状を三次元で簡便にかつ精度良く測定できるものである。
161,171 試料
162,172 電子ビーム
162,172 電子ビーム
Claims (4)
- 走査型電子顕微鏡を用いて試料表面のパターンの形状を計測するパターン計測方法であって、
試料表面のパターンに収束させた電子ビームを照射して走査し、前記パターンから発生する2次電子を検出してSEM画像を取得し、
該SEM画像から作成したSEM画像のコントラスト形状と、前記電子ビームの1次電子強度分布とから、デコンボリューション操作により前記パターンの2次電子の発生効率を算出し、
予め走査型プローブ顕微鏡で前記パターンを計測して得た深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率を用い、
前記デコンボリューション操作により算出した前記パターンの2次電子の発生効率と、前記深さ方向の情報を基に予測した前記パターンの2次電子の発生効率とを比較し照合することにより、前記パターンの三次元形状を求めることを特徴とするパターン計測方法。 - 前記走査型プローブ顕微鏡が、原子間力顕微鏡であることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
- 前記走査型電子顕微鏡によって得られたSEM画像が、電子ビームもしくは試料を傾斜させ、電子ビームの試料への入射角度が2種以上の異なる角度で得られた複数のSEM画像であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン計測方法。
- 前記デコンボリューション操作において、計測データを補間するために、フーリエ変換を高速フーリエ変換とし、データのサンプリング周期を細かくしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパターン計測方法。
Priority Applications (1)
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