JP2010084111A - 長繊維強化ポリアミド組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含み、引き抜き成形法により得られるかまたは繊維状強化材(III)が互いに略平行に配列している長繊維強化ポリアミド組成物、およびそれからなるペレット。
【選択図】なし
Description
このような要求に対し、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジアミンを主成分とする半芳香族ポリアミド(6T系ポリアミド)が種々提案され一部は実用化されている(特許文献1〜3などを参照)。また、耐熱性、低吸水性および耐薬品性においてさらに優れた性能を有するポリアミドとして、テレフタル酸をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンをジアミン単位とする半芳香族ポリアミドが知られている(特許文献4および5などを参照)。
また半芳香族ポリアミドが十分な機械的特性を発現するためには、脂肪族ポリアミドと比較して溶融粘度が高くなるような範囲に分子量を設定することが好ましいが、溶融粘度を高くすると、引き抜き成形法により長繊維強化ポリアミド組成物を製造する際の繊維状強化材に樹脂を含浸させる工程において樹脂が十分に繊維状強化材間に含浸しにくくなる傾向がある。そのため長繊維強化ポリアミド組成物自体の生産性が低下したり、樹脂の繊維状強化材への含浸性を向上させるための特殊な装置が必要となったりすることがあった。
[1] テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含む、引き抜き成形法により得られる長繊維強化ポリアミド組成物、
[2] テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含み、繊維状強化材(III)が互いに略平行に配列している長繊維強化ポリアミド組成物、
[3] 前記ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定された極限粘度が1.0〜1.6dl/gである上記[1]または[2]の長繊維強化ポリアミド組成物、
[4] 前記炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位である上記[1]〜[3]のいずれかの長繊維強化ポリアミド組成物、
[5] 前記繊維状強化材(III)がガラス繊維、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[4]のいずれかの長繊維強化ポリアミド組成物、
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの長繊維強化ポリアミド組成物からなるペレットであって、該ペレットの長さが3〜30mmであり、繊維状強化材(III)の繊維長がペレットの長さと実質的に同一であるペレット、
[7] 繊維状強化材(III)がペレットの長さ方向に対して略平行に配列している上記[6]のペレット、
[8] 上記[1]〜[5]のいずれかの長繊維強化ポリアミド組成物を成形することにより得られる成形品、
[9] 上記[6]または[7]のペレットを成形することにより得られる成形品、
[10] 繊維状強化材が0.5〜10mmの重量平均繊維長で分散している上記[8]または[9]の成形品、
[11] 引き抜き成形法により製造する、テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含む長繊維強化ポリアミド組成物の製造方法、
に関する。
本発明の長繊維強化ポリアミド組成物は、テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含む。
そして本発明は引き抜き成形法により得られる上記長繊維強化ポリアミド組成物を包含する。また本発明は上記繊維状強化材(III)が互いに略平行に配列している上記長繊維強化ポリアミド組成物を包含する。引き抜き成形法により長繊維強化ポリアミド組成物を製造することにより、繊維状強化材(III)が互いに略平行に配列したものとなる。
ポリアミド(I)は、さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸から誘導される構造単位を溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
末端封止率(%)=[(A−B)/A]×100 (1)
[式中、Aはポリアミド(I)の分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bは封止されずに残ったカルボキシル基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。]
市販されているニグロシンの例としては、オリヱント化学工業株式会社製のNUBIAN(登録商標) BLACK PA−2800、NUBIAN(登録商標) BLACK PA−9801や、中央合成化学株式会社製の「オイルブラックS」等が挙げられる。
なお、上記の繊維長は、本発明の長繊維強化ポリアミド組成物における配合後の繊維状強化材(III)に対して規定された値である。すなわち、配合する前の繊維状強化材の繊維長は特に限定されない。
なお、本発明の長繊維強化ポリアミド組成物は繊維状強化材(III)における繊維長の規定を満たさない繊維状強化材を含んでいてもよいが、本明細書における上記繊維状強化材(III)の含有割合は、そのような繊維長の規定を満たさない繊維状強化材の含有割合を包含しない。
[A]ポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに必要に応じて配合される他の成分を溶融混練してクロスヘッドダイに供給し、同時に当該クロスヘッドダイに繊維状強化材を供給し、当該繊維状強化材にポリアミド(I)等の成分を含浸させながらこれを引き抜く方法、
[B]ポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに必要に応じて配合される他の成分を含むエマルジョン、サスペンジョン、溶液または溶融物を入れた含浸浴の中に繊維状強化材を通し、当該繊維状強化材にポリアミド(I)等の成分を含浸させながらこれを引き抜く方法、
[C]ポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに必要に応じて配合される他の成分を含む粉末を繊維状強化材に吹きつけるか該粉末を入れた槽の中に繊維状強化材を通すかしながらこれを引き抜くことによって、繊維状強化材に該粉末を付着させたのちに、該粉末を溶融する方法、
などを例示することができるが、操作が簡便であり、また確実に本発明の長繊維強化ポリアミド組成物を製造することができることから、上記[A]の方法を好ましく採用することができる。上記[A]の方法において、溶融混練に使用される装置の種類や、溶融混練条件等は特に限定されないが、装置としては単軸押出機、2軸押出機等を例示することができ、溶融混練条件としては、シリンダー温度300〜350℃、混練時間1〜30分等の条件を採用することができる。
引き抜き成形法において使用される上記繊維状強化材としては、ロービング状のものを使用することが好ましい。
また、上記のような手法を採用することによって繊維状強化材(III)がペレットの長さ方向に略平行に配列したペレットを得ることができる。
(i)成形品から、幅5mm、厚さ4mm、長さ15mmの試験片を切り出す。
(ii)試験片を溶剤(例:ヘキサフルオロイソプロパノール等)に浸漬し、繊維状強化材以外の成分(ポリアミド(I)等)を溶解し、試験片から繊維状強化材のみを取り出す。
(iii)取り出した繊維状強化材を、必要に応じて水等に分散させ、光学顕微鏡(倍率50倍程度)等で観察して、視野内の繊維状強化材500本の繊維長を測定する。
(iv)各繊維の繊維長をLiとし、繊維長がLiである繊維の本数をqiとし、次式(2)に基づいて重量平均繊維長Lwを求める。
Lw=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li) (2)
なお、以下の実施例および比較例において採用された、ポリアミドの極限粘度[η]の測定方法;ペレットの生産性の評価方法;樹脂の含浸性の評価方法;成形品(試験片)の作製方法;成形品の引張り強さ、耐衝撃性(ノッチ付きシャルピー衝撃値)および疲労特性の各評価方法;成形品に含まれる繊維状強化材の重量平均繊維長の測定方法;成形品の外観の評価方法を以下に示す。
濃度が0.05g/dl、0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.4g/dlであるポリアミドの濃硫酸溶液を調製し、それぞれの濃硫酸溶液について、ウベローデ粘度計を使用して30℃における溶液粘度を測定した。得られた濃度と溶液粘度の関係から濃度0g/dlに外挿した際の溶液粘度を求めて、これを極限粘度[η]とした。
引き抜き成形法により長繊維強化ポリアミド組成物を製造してペレット化する際におけるストランド切れの発生の度合いを評価した。ストランド切れが無いものを「○」、ストランド切れが軽微であるものを「△」、ストランド切れが頻繁であるものを「×」と評価した。
以下の実施例および比較例で得られた長繊維強化ポリアミド組成物または繊維強化ポリアミド組成物のペレットを使用して、次の(i)から(iv)の方法に従い樹脂の含浸性を評価した。
(i)ペレット約5gの質量を精秤する。
(ii)(i)のペレットを水に浸漬させた状態で23℃の真空乾燥機に入れ、3分間真空状態(約10kPa)を保ち、ペレットの空隙部分に水を浸透させる。
(iii)(ii)のペレットを水から取り出し、その質量を精秤する。
(iv)(i)で精秤した水に浸漬前のペレットの質量をWa(g)、(iii)で精秤した水に浸漬後のペレットの質量をWb(g)、ペレットの密度をρa(g/cm3)、水の密度をρb(g/cm3)として、Va=Wa/ρa、Vb=(Wb−Wa)/ρbとしたしたときに、含浸性V(%)を、次式(3)に基づいて算出する。
V(%)=100×Va/(Va+Vb) (3)
住友重機械工業株式会社製の射出成形機(型締力:100トン、スクリュー径:φ32mm)を使用して、実施例1および比較例1〜3についてはシリンダー温度320℃および金型温度150℃の条件下で、比較例4についてはシリンダー温度300℃および金型温度80℃の条件下で、Tランナー金型を用いて、以下の実施例および比較例で得られた長繊維強化ポリアミド組成物または繊維強化ポリアミド組成物のペレットからISO多目的試験片A型ダンベルを作製して、引張り強さ評価用試験片とした。また上記ISO多目的試験片A型ダンベルから直方体試験片(寸法:長さ×幅×厚さ=80mm×10mm×4mm)を切り出して、耐衝撃性評価用試験片とした。またJIS K7119−1972に記載されたI号形試験片(寸法:長さ×幅(b)×厚さ=80mm×20mm×3mm、R=40mm)を作製し、疲労特性評価用試験片とした。また、平板(寸法:長さ×幅×厚さ=80mm×80mm×3mm)を作製し、外観評価用試験片とした。なお、使用した射出成形機は、それに用いられている混練スクリューに設けられたフライトのピッチおよびフライト溝が従来のものに比べて大きく設定され、また混練スクリューの圧縮比が従来のものに比べて小さく設定されていて、フライト部での繊維状強化材にかかるせん断力が低減されるようになっている。また、逆流防止弁における樹脂材料の流路とノズル径が従来のものに比べて大きく設定されていて、ヘッド部での繊維状強化材にかかるせん断力が低減されるようになっている。さらに、金型のスプルー径とランナー径が従来のものに比べて大きく設定されていて、金型内での繊維状強化材にかかるせん断力が低減されるようになっている。これらによって、成形時における繊維状強化材の折損抑制が図られている。
上記の方法で作製した引張り強さ評価用試験片を用いて、ISO527−1に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して、23℃と100℃における引張り強さ(引張降伏強度)を測定した。
上記の方法で作製した耐衝撃性評価用試験片を用いて、ISO179/1eAに準じて、シャルピー衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、23℃におけるノッチ付シャルピー衝撃値を測定して耐衝撃性の指標とした。
上記の方法で作製した疲労特性評価用試験片を用いて、JIS K7119−1972に準じて、繰り返し振動疲労試験機(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、100℃、曲げ応力80MPaにおける破断時の回数を測定して疲労特性の指標とした。
成形品(ISO多目的試験片A型ダンベル)から、幅5mm、厚さ4mm、長さ15mmの試験片を切り出し、ヘキサフルオロイソプロパノールに浸漬して、繊維状強化材以外の部分を溶解し、試験片から繊維状強化材のみを取り出した。得られた繊維状強化材を光学顕微鏡(倍率:50倍)で観察して、視野内の任意の繊維状強化材500本を選び、その繊維長を測定して、上記式(2)に基づいて重量平均繊維長を測定した。
上記の方法で作製した外観評価用試験片を用いて、デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製:UGV−4D)を使用して、JIS Z8741に準じて60度鏡面光沢を測定して外観の指標とした。
テレフタル酸4601.0g(27.7モル)、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物[前者/後者=80/20(モル比)]4432.1g(28.0モル)、安息香酸116.0g(0.95モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.12g(原料の総質量に対して0.1質量%)および蒸留水2.5リットルを内容積20リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃に昇温した。この時、オートクレーブ内部の圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま2時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、さらに1時間反応させて、極限粘度[η]が0.17dl/gのプレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の粒径まで粉砕した。これを230℃、13Pa(0.1mmHg)にて10時間固相重合し、融点が300℃、極限粘度[η]が1.22dl/g、末端封止率が85%である白色のポリアミドを得た。このポリアミドを「PA9T−1」と略称する。
テレフタル酸4601.0g(27.7モル)、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物[前者/後者=80/20(モル比)]4527.1g(28.6モル)、安息香酸208.8g(1.71モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.12g(原料の総質量に対して0.1質量%)および蒸留水2.5リットルを内容積20リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃に昇温した。この時、オートクレーブ内部の圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま2時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1MPaまで下げ、さらに1時間反応させて、極限粘度[η]が0.17dl/gのプレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の粒径まで粉砕した。これを230℃、13Pa(0.1mmHg)にて10時間固相重合し、融点が300℃、極限粘度[η]が0.91dl/g、末端封止率が85%である白色のポリアミドを得た。このポリアミドを「PA9T−2」と略称する。
上記参考例1および2で製造したPA9T−1および2はそのまま使用した。またPA66としては以下のものを使用した。
PA66:旭化成ケミカルズ株式会社製、レオナ(登録商標) 1300S
ニグロシン−1:中央合成化学株式会社製「オイルブラックS」
GF−1:ガラス繊維(日東紡社製「RS240QR482」、形状;ロービング状)
GF−2:ガラス繊維(オーウェンスコーニングジャパン株式会社製「03JAFT−2A」、繊維長3mm)
クロスヘッドダイを装着した2軸押出機に、下記の表1に記載した種類と量のポリアミドおよびニグロシンを供給して、320℃で溶融混練した。同時にクロスヘッドダイにGF−1を供給して、引き抜き成形法により長繊維強化ポリアミド組成物を製造した。この際、長繊維強化ポリアミド組成物中の繊維状強化材の含有量がポリアミド100質量部に対して100質量部となるようにポリアミドおよびニグロシンの供給量を調節した。得られたストランド状の長繊維強化ポリアミド組成物を水冷によって冷却後、12mmごとに切断して長さ12mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットを半円柱状になるようにロースピードソーで切断して切断面をルーペで観察することにより、当該ペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを確認した。また上記ペレットからヘキサフルオロイソプロパノールにより樹脂を除去した後ルーペで確認することにより、当該ペレット中において、使用した繊維状強化材のほぼ全てがペレットの長さと実質的に同じ長さを有していることを確認した。得られたペレットを用いて、各種物性評価を行った。結果を以下の表1に示した。
2軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製「BTN−32」)を用いて、PA9T−1をホッパーより供給し、またGF−2をサイドフィーダーより供給して、320℃で溶融混練した(滞留時間3分)。この際、繊維強化ポリアミド組成物中の繊維状強化材の含有量がポリアミド(PA−1)100質量部に対して100質量部となるようにGF−2の供給量を調節した。得られた繊維強化ポリアミド組成物をストランド状に押出し、水冷によって冷却後、2mmごとに切断して、長さ2mm、直径1.5mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットを半円柱状になるようにロースピードソーで切断して切断面を光学顕微鏡により観察したが、繊維状強化材のペレット中での配列方向は統一されておらず、ペレットの長さ方向に略平行に配列していなかった。また、上記ペレットからヘキサフルオロイソプロパノールにより樹脂を除去した後光学顕微鏡で観察したところ、繊維状強化材の大部分はその繊維長が1.0mm以下であった。得られたペレットを用いて、各種物性評価を行なった。結果を以下の表1に示した。
クロスヘッドダイを装着した2軸押出機に、下記の表1に記載した種類のポリアミドを供給して、300℃で溶融混練した。同時にクロスヘッドダイにGF−1を供給して、引き抜き成形法により長繊維強化ポリアミド組成物を製造した。この際、長繊維強化ポリアミド組成物中の繊維状強化材の含有量がポリアミド100質量部に対して100質量部となるようにポリアミドの供給量を調節した。得られたストランド状の長繊維強化ポリアミド組成物を水冷によって冷却後、12mmごとに切断して長さ12mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットを半円柱状になるようにロースピードソーで切断して切断面をルーペで観察することにより、当該ペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを確認した。また上記ペレットからヘキサフルオロイソプロパノールにより樹脂を除去した後ルーペで確認することにより、当該ペレット中において、使用した繊維状強化材のほぼ全てがペレットの長さと実質的に同じ長さを有していることを確認した。得られたペレットを用いて、各種物性評価を行った。結果を以下の表1に示した。
また、本発明の製造方法によれば、特殊な装置を使用しなくても樹脂の繊維状強化材への含浸性が改善されるため、長繊維強化ポリアミド組成物を生産性よく製造することができる。
Claims (11)
- テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含む、引き抜き成形法により得られる長繊維強化ポリアミド組成物。
- テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含み、繊維状強化材(III)が互いに略平行に配列している長繊維強化ポリアミド組成物。
- 前記ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定された極限粘度が1.0〜1.6dl/gである請求項1または2に記載の長繊維強化ポリアミド組成物。
- 前記炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位である請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド組成物。
- 前記繊維状強化材(III)がガラス繊維、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド組成物からなるペレットであって、該ペレットの長さが3〜30mmであり、繊維状強化材(III)の繊維長がペレットの長さと実質的に同一であるペレット。
- 繊維状強化材(III)がペレットの長さ方向に対して略平行に配列している請求項6に記載のペレット。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド組成物を成形することにより得られる成形品。
- 請求項6または7に記載のペレットを成形することにより得られる成形品。
- 繊維状強化材が0.5〜10mmの重量平均繊維長で分散している請求項8または9に記載の成形品。
- 引き抜き成形法により製造する、テレフタル酸単位を40〜100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位を有するポリアミド(I)、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)ならびに繊維長が3mm以上である繊維状強化材(III)を、ポリアミド(I)100質量部に対して、ニグロシンおよび/またはその誘導体(II)が0.01〜10質量部および繊維状強化材(III)が5〜300質量部となる割合で含む長繊維強化ポリアミド組成物の製造方法。
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