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JP2010072439A - 液晶層用光硬化型接着剤組成物および液晶フィルム - Google Patents

液晶層用光硬化型接着剤組成物および液晶フィルム Download PDF

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JP2010072439A
JP2010072439A JP2008240932A JP2008240932A JP2010072439A JP 2010072439 A JP2010072439 A JP 2010072439A JP 2008240932 A JP2008240932 A JP 2008240932A JP 2008240932 A JP2008240932 A JP 2008240932A JP 2010072439 A JP2010072439 A JP 2010072439A
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Takafumi Aizono
啓文 相園
Teruaki Yamanashi
輝昭 山梨
Tsutomu Takashima
務 高嶋
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Abstract

【課題】相互に密着力が向上した液晶層用光硬化型接着剤と液晶フィルムを提供する。
【解決手段】カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物を含有することを特徴とする液晶層用光硬化型接着剤組成物とそれを用いて得られる接着剤と液晶層を含めたフィルム層間の密着強度に優れた液晶フィルム、およびその液晶フィルムを用いた光学素子フィルムを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶層用光硬化型接着剤組成物に関する。また本発明は、液晶材料を配向後に重合せしめた膜と他のフィルム等を該接着剤組成物を用いて密着力を向上させた液晶フィルムに関する。
液晶高分子を配向してフィルム化した配向フィルムは、液晶表示装置用の色補償板や視野角改良板として画期的な性能を示し、液晶表示装置の高性能化、軽量化及び薄型化に寄与している。配向フィルムは、膜厚が薄いことからそれ自体の機械的強度が十分ではなく、通常粘着剤又は接着剤により透光性の透明基板を貼り付けて使用される。また、配向フィルムは、そのままでは表面硬さに劣ることが多く、製造時や光学素子としての組み込み時に傷がつきやすく作業性や歩留まりが低下することが多い。これを防止する目的で、その表面に保護層の形成が行われている(特許文献1、2)。配向フィルムの製造における、液晶高分子と透明基板との接着又は液晶高分子表面の保護に用いる組成物としては、光学的等方性を有する紫外線又は電子線硬化型のアクリレートからなる組成物が知られている。
液晶高分子をフィルム化する方法としては種々の方法が知られている。例えば、配向能を有する基板上に液晶材料の薄膜を形成せしめ、ガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、急冷することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作製する方法(特許文献3)、液晶組成物中に架橋しうる基を導入し、配向能を有する基板上に液晶組成物の薄膜を形成し、Tg以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、光照射などの手段で架橋することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作製する方法(特許文献4〜6)などが知られている。
このようにして液晶配向状態を維持した配向フィルムが製造できるが、この配向フィルムは、基板上に形成されたままの形態(基板/(配向膜)/配向フィルム)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に粘着剤または接着剤を介して配向フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/粘着剤または接着剤/配向フィルム)などがある(特許文献7、8)。これらの配向フィルムは、他の位相差フィルムや偏光板などに粘着剤または接着剤を介して複合化した形態にすることで液晶表示装置などに用いられる。液晶表示装置の普及に伴い、これら複合されたフィルムに対して、より厳しい使用環境、具体的には、高温下での耐熱能、高湿下での耐湿能などが求められている。そのため、配向フィルムと粘・接着剤との密着力が高いことが強く求められており、各種の改良が検討されている(特許文献9、10)。
液晶高分子フィルムの製造における、液晶高分子と透明基板との接着又は液晶高分子表面の保護に用いる組成物としては、前述のように光学的等方性を有する紫外線又は電子線硬化型組成物が知られている。
しかしながら、これまでの接着剤では液晶物質層と接着剤層の間で密着力が必ずしも十分とはいえず、他の位相差フィルムや偏光板などと複合化した光学素子等の製造過程で剥がれが発生し、製造トラブルにつながることがあった。
特開平6−242434号公報 特開平7−120747号公報 特開平3−9326号公報 特開平9−73081号公報 特開2002−146353号公報 特開2002−308832号公報 特開2003−139953号公報 特開平4−57017号公報 特開平8−278491号公報 特開2000−321426号公報
本発明は、上記課題を解決し、液晶材料層を含む各層相互の密着力が優れた液晶層用光硬化型接着剤組成物を提供するものであり、またそれを用いて得られる液晶フィルムならびに光学素子フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕オキセタニル基を有する液晶性化合物を含む液晶材料からなる固体状の液晶層の接着に使用される液晶層用光硬化型接着剤組成物であって、カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物が接着剤組成物中に1〜50重量%含有されていることを特徴とする液晶層用光硬化型接着剤組成物。
〔2〕前記カチオン重合性基が環状エーテル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であり、前記ラジカル重合性基が(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶層用光硬化型接着剤組成物。
〔3〕前記カチオン重合性基がオキセタニル基、ジオキソラニル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする上記〔2〕に記載の液晶層用光硬化型接着剤組成物。
〔4〕オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜とカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物を接着剤組成物中に1〜50重量%含有する液晶層用光硬化型接着剤組成物からなる層から少なくともなることを特徴とする液晶フィルム。
〔5〕前記液晶性化合物が液晶材料中に10重量%以上含有することを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔6〕前記液晶性化合物が液晶性高分子であることを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔7〕前記液晶性化合物が式(1)で表されるユニットを含むことを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
Figure 2010072439
(式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
Figure 2010072439
Figure 2010072439
〔8〕前記液晶性化合物が前記式(1)で表されるユニットを5〜100モル%含むことを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔9〕前記液晶性高分子の重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする上記〔6〕に記載の液晶フィルム。
〔10〕前記液晶材料中に光カチオン開始剤および/または熱カチオン開始剤を含むことを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔11〕前記の液晶層用光硬化型接着剤組成物のカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物のカチオン重合性基が環状エーテル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であり、ラジカル重合性基が(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする上記〔4〕に記載の液晶フィルム。
〔12〕前記のカチオン重合性基がオキセタニル基、ジオキソラニル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする上記〔11〕に記載の液晶フィルム。
〔13〕上記〔4〕〜〔12〕のいずれかに記載の液晶フィルムを用いて得られる光学素子フィルム。
カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物を含有する液晶層用光硬化型接着剤組成物、およびオキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜と前記液晶層用光硬化型接着剤組成物からなる層から少なくともなる液晶フィルムは、接着剤と液晶材料層を含むフィルム層間の密着強度に優れ、各種の光学素子フィルムとして有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物は、カチオン重合性基およびラジカル重合性基を分子内に有する化合物を1〜50重量%含有する接着剤組成物である。
前記のカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物としては、具体的には、カチオン重合反応が可能な環状エーテル基およびビニルオキシ基から選ばれるカチオン重合性基と、ラジカル重合またはアニオン重合反応が可能な(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
環状エーテル基としては、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフルフリル基、ジオキソラニル基などが例示できるが、オキセタニル基およびジオキソラニル基が特に好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味し、本発明においては当該基を有する化合物を(メタ)アクリレート等と標記することがある。
これらのカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物としては、例えば、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(3-メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソランなどが挙げられる。これらは混合物であってもよい。これらのなかで、ラジカル重合性基としては、メタクリレートよりもアクリレートの方が反応性の面から好ましい。
液晶層用光硬化型接着剤組成物中のカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物の含有量は、本発明の効果をよりよく発揮させるために1〜50重量%含有させることが必要であり、好ましくは5〜40重量%である。含有量が1重量%より少ないと密着性が不足し好ましくない。また、50重量%より多いとカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物が残存し、耐光性が低下するため好ましくない。カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物の配合時期は、液晶材料層上に接着剤組成物層を形成する前ならばどの段階でもよいが、予め接着剤組成物とした形態での使用が好ましい。
本発明の光硬化型接着剤組成物を構成する前記のカチオン重合性基およびラジカル重合性基を分子内に有する化合物以外の成分としては特に制限されるものではなく、公知のラジカル重合系やカチオン重合系の光硬化型接着剤を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。これらは紫外線や電子線等のエネルギー線反応型がより好ましく、特に、(メタ)アクリロイル基を主体とするアクリル系接着剤の如く、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いられる。
本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物には必要に応じてその他の成分を配合することができる。例えば、公知の各種(メタ)アクリル系の単官能モノマーや多官能モノマー、(メタ)アクリル系オリゴマー、あるいはまた、光重合開始剤、カチオン重合開始剤、表面改質剤、粘度調整剤、粘着性付与剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などの各種添加剤を挙げることができる。
前記の(メタ)アクリル系の単官能モノマーや多官能モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリス[(2-アクリロイロキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができ、(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは混合物であってもよい。また、(メタ)アクリロイル基と共重合可能なモノマー、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、スチレン等を併用してもよい。また、(メタ)アクリル系モノマーは、接着剤の親水性・親油性バランスをとる目的で、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシドで変性させたものを用いることもできる。
前記の光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、チオキサントン類、ヘキサアリールビイミダゾール類、アシルフォスフィンオキシド類、トリハロメチル基を有する化合物あるいはアミンを併用したベンゾフェノン類などが例示される。これらは混合物として使用してもよく、また必要によっては増感剤を併用しても良い。光重合開始剤の使用量は接着剤組成物の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%の範囲が好ましい。この範囲外では、重合が進行しがたい、解裂した開始剤残片による耐光性が悪化する、などして好ましくない。
前記のカチオン重合開始剤とは、光カチオン重合開始剤または熱カチオン重合開始剤のことであり、熱カチオン重合開始剤よりも光カチオン重合開始剤を用いるのが好ましい。
光カチオン重合開始剤とは、適当な波長の光を照射することによりカチオンを発生できる化合物を意味し、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
光カチオン重合開始剤の添加量は、液晶層用光硬化型接着剤組成物に含有するカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物の量や、オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜において、液晶性高分子化合物を構成するメソゲン部分やスペーサー部分の構造や、オキセタン基当量、液晶性組成物の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物に対して、0.1重量部〜20重量%が好ましい。ただし、光カチオン重合開始剤が存在しなくても、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射でカチオン重合が可能な場合には、光カチオン重合開始剤を添加しなくても良い。
表面改質剤としては、接着剤との相溶性がよく接着剤の硬化性や硬化後の光学性能に影響を及ぼさない限り特に限定されず、イオン性または非イオン性の水溶性界面活性剤、油溶性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、有機金属系界面活性剤、反応性界面活性剤等が使用できる。中でも、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤は、剥離力低減効果が大きく好ましい。
接着剤層の厚みは、前述のように接着剤を構成する成分、接着剤の強度や使用温度などにより異なるが、通常1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。この範囲外では接着強度が不足したり、端部よりの滲み出しなどがあったりして好ましくない。
接着剤層は適宜な方法、例えば、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、バーコート方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式などで溶液または溶融状態で塗布することができる。
また、接着剤組成物にはその特性を損なわない範囲で、光学特性の制御を目的とする各種微粒子等を添加することもできる。前記微粒子としては、接着剤を構成する化合物とは屈折率の異なる微粒子、透明性を損なわず帯電防止性能向上のための導電性微粒子、耐摩耗性向上のための微粒子等が例示でき、より具体的には、微細シリカ、微細アルミナ、ITO(IndiumTinOxide)微粒子、銀微粒子、各種合成樹脂微粒子などが挙げられる。さらに本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合しても良い。
本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物の反応(硬化)条件は、該接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射し、反応を行わせればよい。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光重合開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは接着剤を構成する成分に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光重合開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。
なお、硬化処理は加熱して行ってもよく、例えば60〜150℃、好ましくは80〜140℃で、30秒〜60分程度行うことができる。
本発明におけるオキセタニル基を有する液晶性化合物としては、含有するオキセタニル基が1個以上、通常1〜6個、好ましくは1〜2個含むものであり、低分子化合物でも高分子化合物でも液晶性を示せば特に制限は無いが、好ましくは液晶性高分子化合物である。オキセタニル基は液晶性高分子の分子構造において内部でも末端でもいかなる部位に配置されても良い。
特に好ましいオキセタニル基を有する液晶性化合物としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基の単独重合もしくは、他の(メタ)アクリロイル化合物と共重合することによって得られる、下記式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子が例示できる。
Figure 2010072439
式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2010072439
Figure 2010072439
上記式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子は、芳香族エステルなどからなるメソゲン部分とそれに結合した炭化水素鎖からなるスペーサー部分と、片末端の反応性のオキセタニル基、他方の片末端を(メタ)アクリロイル基を構成単位として含み、この化合物の(メタ)アクリロイル基を単独もしくは他の(メタ)アクリルロイ化合物と共重合して得られる高分子が液晶性を示すことを特徴とする。
次に、各構成単位について説明する。
本発明におけるオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子のメソゲン部分は、式(1)における「−L−M−L−」で表され、さらにMは、「−P−L−P−L−P−」、「−P−L−P−」または「−P−」で表される。当該メソゲン部分は、1個ないし3個の芳香環またはシクロヘキサン環が、直接結合(単結合)、エーテル結合(−O−)あるいはエステル結合(−CO−O−)を介して、スペーサー部分、オキセタニル基あるいは(メタ)アクリロイル基と結合した構造を有している。式(1)において、L、L、LおよびLは、それぞれ独立に、単結合(ここでは、Lで表される基を介さずに直接両側の基が結合する場合を意味する。)、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−のいずれかを表し、PおよびPは、それぞれ独立に前記した式(5)から選ばれるいずれかの基を表し、またPは前記した式(6)から選ばれるいずれかの基を表す。
本発明のオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子のメソゲン部分としては、前記した各種の組み合わせから任意に選択することができるが、下記式で表される構造の基が特に好ましい例として挙げることができる。
Figure 2010072439
式(1)中の「−(CH−」および「−(CH−」で表されるスペーサー部分は、単結合(ここでは、nまたはmが0の場合を意味する。)または炭素数が1〜10(すなわち、nまたはmが1〜10)の2価の直鎖状炭化水素基である。目的とする化合物が液晶性を示す場合、メソゲン部分とオキセタニル基部分および(メタ)アクリロイル基部分がスペーサー部分を介さず直接結合(単結合)していてもよく、エーテル結合(−O−)あるいはエステル結合(−CO−O−)を介して結合していてもよい。一般に、メソゲン部分と(メタ)アクリロイル基部分の間のスペーサー部分が短すぎると液晶性を発現する温度領域が狭くなることがある。またスペーサー部分が長い場合には、液晶フィルムとした場合の耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。これらのことからメソゲン部分と(メタ)アクリロイル基部分の間のスペーサー部分の炭素数は通常1〜8、好ましくは2〜6であることが望ましい。また、メソゲン部分とオキセタニル基部分の間のスペーサー部分は、長すぎると液晶フィルムとした場合の耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。そこでメソゲン部分とオキセタニル基部分の間のスペーサー部分の炭素数は通常0〜6、好ましくは0〜4であることが望ましい。ここで炭素数0とは、メソゲン部分とオキセタニル基部分が直接単結合でつながっている場合を指す。
本発明において用いられるオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子は、カチオン重合性基であるオキセタニル基と、ラジカル重合性またはアニオン重合性の(メタ)アクロイリル基の両方を有する2官能性の化合物(モノマー)を用い、ラジカル重合またはアニオン重合で(メタ)アクリロイル基のみを(共)重合させることにより、カチオン重合性基であるオキセタニル基を持つ側鎖型液晶性高分子を得ることができる。
すなわち、重合性反応基としてカチオン性以外の条件では反応性が低いオキセタニル基をカチオン重合性基として用いることにより、ラジカル重合もしくはアニオン重合でまず(メタ)アクリロイル基を重合することによって、本発明の側鎖型液晶性高分子化合物が得られる。式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子では、当該ユニット内の(メタ)アクリロイル基部分をラジカル重合またはアニオン重合の手法で、単独もしくは他の(メタ)アクリロイル化合物と共重合することにより容易に合成することができる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。
例えば、ラジカル重合の例としては、(メタ)アクリロイル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、80〜90℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系やTEMPO系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は厳密に脱酸素条件で行う必要がある。
アニオン重合の例としては、(メタ)アクリロイル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として、反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、厳密に脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
また、このとき共重合する(メタ)アクリロイル化合物は特に限定されるものではなく、合成される高分子が液晶性を示せば何でもよいが、合成される高分子の液晶性を高めるため、メソゲン基を有する(メタ)アクリロイル化合物が好ましい。下記式で示されるような(メタ)アクリロイル化合物が特に好ましい。
Figure 2010072439
このようにして得られる側鎖型液晶性高分子の重量平均分子量は2,000〜100,000であるものが好ましく、5,000〜50,000のものが特に好ましい。
また、側鎖型液晶性高分子に含まれるオキセタニル基の量が、液晶材料の硬化に必要なオキセタニル基の量を決定することから、前記式(1)で表されるユニットが5〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%含ませることが特に好ましい。
なお、本発明の側鎖型液晶性高分子は、主鎖型液晶性高分子と比べてTgが低いため配向し易く、容易に低い温度で配向することができる。側鎖型液晶性高分子を配向処理した後、次にカチオンの存在でオキセタニル基を重合(硬化/架橋)させることで、Tgが上昇し、耐熱性や機械的強度が向上した液晶フィルムを製造することができる。続けて、その製造方法について説明する。
本発明において用いられる液晶材料では、前記の側鎖型液晶性高分子などのオキセタニル基を有する液晶性化合物を少なくとも10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上含むものを用いる。オキセタニル基を有する液晶性化合物の含有量が10重量%未満では材料中に占めるオキセタニル基濃度が低くなり、重合後の機械的強度が不十分となるため好ましくない。
次に、本発明の液晶フィルムの製造方法について説明する。
液晶フィルムの製造方法としてはこれらに限定されるものではないが、液晶材料を配向基板上に展開し、当該液晶材料層を適宜な温度下で配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより架橋させ、当該配向状態を固定化した液晶材料層上に、本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物層を形成し、必要により該接着剤組成物層を硬化することにより製造することができる。
配向基板としては、平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなる材料を用いることが好ましい。有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー類、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。これらはブレンド物であってもよい。また前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物、具体的には、下記式(7)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
Figure 2010072439
前記式(7)中、R〜Rは、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、および炭素数1〜10のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R〜Rは、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、および炭素数1〜10のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
前記式(7)中、Zは、例えば、炭素数6〜20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または下記式(8)で表される基である。
Figure 2010072439
前記式(8)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、または、NR基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。Rは、それぞれ独立に、水素またはC(Rである。Rは、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。Rは、それぞれ独立に、水素、フッ素または塩素である。
これらのフィルムは製造方法によっては、液晶材料に対して充分な配向能を示し、そのまま配向基板として用いることができるものもあるが、多くはラビング、延伸、偏光光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現もしくは強化させて用いられる。延伸したフィルムを用いる場合は、位相差フィルムとして使用されているものを用いることもできる。
また、これらの基板フィルム上に、ポリイミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルシンナメート、ポリビニルアルコールなどの公知の配向膜を設けて、ラビング、延伸、偏光光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現することもできる。さらに、酸化ケイ素の斜方蒸着処理による方法や配向基板上へのシランカップリング剤等による処理も例示できる。これらの操作や処理は適宜組み合わせて行うこともできる。
液晶の分野においては、基板に対して布等で一定方向に擦るラビング処理を行うことが一般的であるが、面内に配向規制力を必要としない液晶配向を実現させる場合は必ずしもラビングを必要としない。
配向膜を形成する材料は溶液状態にしての塗布が、配向膜厚や表面性の制御から好ましい。当該溶液は、当該材料を溶解できる溶媒を用いて適宜行うことができる。例えばアルキル基変性ポリビニルアルコール(PVA)の溶液を調製する溶媒は、当該PVAを溶解できる溶媒であれば特に制限はなく、通常は水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやこれらの混合物が使用される。
なお、溶解に当たっては塗布や液晶の配向に悪影響を及ぼさない各種の添加剤を添加してもよい。また、溶解を促進するために加温してもよい。
基材上に配向膜を形成するために使用される塗布方式は特に制限はなく、特に大面積の配向膜の塗布方法は、フレキソ印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式など挙げることができる。これらの中でグラビアコート方式、リップコート方式やダイコート方式が好ましい。
塗布された配向膜は、必要により乾燥を行う。乾燥温度は、通常、PVAの場合はその耐熱性から限定されるが、目的によってはそれ以上であってもよい。一般には、50℃〜180℃、好ましくは80℃〜160℃である。また乾燥時間も特に制限はないが、通常は、10秒〜60分、好ましくは1分〜30分がよい。被乾燥膜と乾燥風との相対的な移動速度は相対風速で60m/min〜1200m/minが好ましい。
液晶材料を配向基板上に展開して液晶材料層を形成する方法としては、液晶材料を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶材料の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶材料を構成する成分や適宜添加してもよい各種化合物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単一でもよいし、また複数種類を混合して用いてもかまわない。また、前述の各種化合物としては配向基板上に均一な塗膜を形成するために用いられる界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、二色性色素などが挙げられる。これらの各種化合物の添加量は本発明に使用される液晶材料を構成する成分の構造やそれらの組成比により変化するため一概には決定できないが、通常は、0.01重量%から10重量%程度である。
液晶材料を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶材料層は1枚の配向基板表面上に塗布された形態、すなわち液晶材料層はその表面が空気に曝された状態であってもよく、また溶媒を除去した後にもう1枚の別の基板で表面を覆い液晶材料層を2枚の基板でサンドウィッチ状とした形態でもよい。このときもう1枚の別の基板は当初の配向基板と必ずしも同一である必要はない。
液晶材料の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、配向基板上に形成された液晶材料層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、光照射および/または加熱処理で硬化を行い固定化する。最初の熱処理では、液晶材料層を液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶材料が本来有する自己配向能により液晶層を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶材料の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶材料のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶材料中のカチオン重合性基や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
上述した液晶材料層は熱処理などの方法で種々の液晶相や配向形態を形成させることができる。発現できる液晶相としては、ネマチック相、ねじれネマチック相、コレステリック相、スメクチック相、ディスコティックネマチック相等が挙げられる。また、配向状態としては、配向基板に水平に配向するホモジニアス配向や垂直に配向するホメオトロピック配向、両者の中間状態と考えられるチルト配向やハイブリッド配向が例示される。
また、前記側鎖型液晶性高分子の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、フィルム形成能を有する各種の高分子、ネマチック液晶性、コレステリック液晶性あるいはディスコティック液晶性を示す各種の低分子液晶性化合物や液晶性高分子化合物などが挙げられる。
ねじれネマチック相およびコレステリック相を発現させる場合は液晶材料中に光学活性な化合物を必要とする。光学活性な化合物は、別途添加する形態でも、側鎖型液晶性高分子化合物中に共重合成分として組み込まれた形態でもよく、光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、たただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニル基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドなどやこれらの誘導体を挙げることができる。これらのなかでも少ない量で効果の大きいビナフトール、イソソルビド、イソマンニド等が好ましい。
次いで配向させた液晶材料層について、該材料中に含有されるオキセタニル基のカチオン重合による硬化(架橋)反応させることで配向状態がより固定化され、耐熱性の向上した強固な膜に変性する。
このオキセタニル基の硬化(架橋)反応におけるカチオン重合開始剤は、本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物に用いる光カチオン重合開始剤と同じものを適用することが出来る。カチオン重合開始剤には、光カチオン重合開始剤と熱カチオン開始剤があるが光カチオン開始剤の使用が好ましい。光カチオン開始剤を用いた場合、光カチオン開始剤の添加後、液晶材料の配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン開始剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶材料は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶材料層を硬化させる。
これらのカチオン開始剤の液晶材料中への添加量は、用いる側鎖型液晶性高分子を構成するメソゲン部分やスペーサー部分の構造や、オキセタニル基当量、液晶の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、側鎖型液晶性高分子に対し、通常100質量ppm〜20重量%、好ましくは1000質量ppm〜10重量%、より好ましくは0.2重量%〜7重量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、発生するカチオンの量が十分でなく重合が進行しないおそれがあり、また20重量%よりも多い場合には、液晶フィルム中に残存するカチオン開始剤の分解残存物等が多くなり耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
光照射の方法としては、前記接着剤組成物の硬化条件で述べた方法と同様に出来る。
光照射時の温度は、該液晶材料層が液晶配向をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶材料のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
オキセタニル基の硬化反応によってメソゲンが3次元的に結合され、硬化前と比べて耐熱性(液晶配向保持の上限温度)が向上するのみでなく、耐スクラッチ性、耐磨耗性、耐クラック性などの機械的強度に関しても大幅に向上する。
硬化した液晶材料層単体の膜厚は、本発明の液晶フィルムの用途や目的に依存することから一概には言えないが、通常0.2μm〜20μm、好ましくは0.3μm〜10μm、さらに好ましくは0.5μm〜5μmである。膜厚が0.2μmより薄い場合、例えば液晶表示装置に適用した場合、十分な視野角改良や輝度向上の効果を得ることができない恐れがある。また20μmを越えると、配向が悪化したり液晶表示装置に不必要な着色が見られる恐れがある。
上記の硬化した液晶材料層上に、カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物を所定量含有する本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物の層を形成し、必要により該接着剤組成物層表面に、配向基板とは異なる光学的に透明な基板(以下、第2の基板という。)や表面を保護するための仮基板を積層して接着剤組成物層に前述の条件で硬化処理を施し、必要により配向基板を剥離することにより本発明の液晶フィルムが得られる。
前記の第2の基板や仮基板としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、一軸延伸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムが使用できる。
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムとしては、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などの各フィルムが例示できる。
これらのプラスチックフィルムには、適度な再剥離性を持たせるために、予めその表面にシリコーンをコートしておくことができ、あるいは有機薄膜又は無機薄膜を形成しておくことができる。また、同様な目的で、プラスチックフィルムの表面に鹸化処理などの化学処理を施すか、あるいはコロナ放電処理のような物理的処理を施しておくこともできる。
さらに、第2の基板として、偏光素子、偏光板や前記のプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィルムを用いることもできる。
これらの偏光素子、偏光板や位相差フィルムは第2の基板や仮基板上の液晶材料層と粘着剤や接着剤を介して積層したのち、必要により第2の基板や仮基板を剥離することにより、本発明の光学素子用フィルムとすることができ、当該光学素子用フィルムとしては楕円偏光板や光学補償板等が挙げられる。
また、第2の基板の剥離性を調整するために、上記のプラスチックフィルムに滑剤や表面改質剤を含有させることもできる。前記滑剤としては、光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、種類、添加量に特に制限は無い。滑剤の具体例としては、微細シリカ、微細アルミナ等が挙げられ、添加量の指標としては、基板のヘイズ値が通常50%以下、好ましくは30%以下となるようにすればよい。添加量が少なすぎると添加効果が認められず、一方、多すぎる場合には、光学的欠陥の検査性が悪化し好ましくない。また、必要に応じてその他の公知の各種添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
前記の偏光素子としては、特に制限されず、各種のものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光素子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光素子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
また、偏光板としては、通常、偏光素子の片側または両側に保護フィルムを有するものが使用される。
保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、シクロオレフィンポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどが挙げられる。保護フィルムの厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましく、5〜200μmが特に好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーやシクロオレフィンポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光素子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光素子と保護フィルムとは通常、接着剤等を介して密着している。
接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムには、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
前記位相差フィルムとしては、適宜なポリマーからなるフィルムを一軸あるいは二軸延伸処理する手法や特開平5−157911号公報に示されるような熱収縮フィルムにより長尺フィルムの幅方向を熱収縮させて厚み方向に位相差を大きくする手法により製造した複屈折フィルムが好ましく、上記原料としては、例えば有機高分子材料からなるフィルムやシートを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらに塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。これらのなかでも、光学フィルムとして用いられるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン等のプラスチックフィルムが賞用される。有機高分子材料のフィルムとしては、特に、ゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが好適に用いられる。
位相差フィルムの光学特性(光学異方性)は、面内の屈折率nxとny(nx≧ny)及びフイルムの厚さdを用いて、Re=(nx−ny)×dで定義される面内のレターデーション(Re)により表される。Reの範囲に特に制限はないが、一般には1/4波長板および1/2波長板と呼称される範囲にあるのものが好ましく、前者のReは60〜200nm、好ましくは70〜180nm、より好ましくは90〜160nmであり、また、後者のReは180〜320nm、好ましくは200〜300nm、より好ましくは220〜280nmである。なお、Reは波長550nmで測定した値である。
また、位相差フィルムとして液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルムを用いることもでき、当該配向フィルムとしては、均一でモノドメインなネマチック配向性を示し、かつその配向状態を容易に固定化できる液晶性高分子を基板上、もしくは配向膜を塗布した基板上で熱処理し、均一、モノドメインなネマチック構造を形成させたのち冷却することによって液晶状態における配向を損なうことなく固定化して製造される配向フィルムや、前記液晶性高分子に光重合性液晶化合物を配合して液晶性組成物とし基板上もしくは配向膜を塗布した基板上に塗布・配向し重合させた配向フィルムを挙げることができる。
本発明の光学素子用フィルムの調製に使用される前記の偏光素子、偏光板や位相差フィルムと本発明の液晶フィルムの貼合に使用することができる粘着剤や接着剤(粘・接着剤)としては、貼合される両界面に適度な密着力を有する光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル重合体系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができるが、光硬化型、とりわけ(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主体とする粘・接着剤(以下、アクリル系粘・接着剤という。)が処理の容易さなどから好ましい。
光硬化型の粘・接着剤は、前記の本発明の液晶層用光硬化型接着剤組成物の説明に記載したような化合物や添加剤を適宜選択して得ることができる。
さらに光の拡散や散乱を目的としてアクリル系粘・接着剤とは屈折率の異なる(微)粒子を添加してもよい。前記(微)粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、ITO、銀や各種の(架橋)プラスチック等を挙げることができる。これらの添加量は、その種類、構成成分、機能などにより一概には決定できないが、通常は、アクリル系粘・接着剤に対して0.01重量%〜20重量%が好ましい。
また、アクリル系粘・接着剤の反応(硬化)条件は、粘・接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよく、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線が利用できる。照射する活性エネルギー線の量は光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、200〜400nmの紫外線を0.1〜1000mJ/cm、好ましくは10〜600mJ/cmの範囲で照射する。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは25kV〜100kVである。
光重合開始剤の添加量は、粘・接着剤の構成成分100質量部に対して0.01〜15質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜7質量部である。これらの光重合開始剤は二種以上を併用してもよい。また、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基を有する増感剤を併用してもよい。
粘・接着剤層の形成は、適宜な方式で行うことができる。その例としては、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘・接着剤の溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で前記の偏光素子、偏光板、位相差フィルム、液晶層や光学異方性層上に直接付設する方式、あるいは前記に準じ、セパレータ上に粘・接着剤層を形成してそれを前記の偏光板、位相差フィルム、液晶材料層上に移着する方式などが挙げられる。また、粘・接着剤層には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘・接着剤に添加されることのある添加剤を含有していてもよい。
粘・接着剤層の厚さは、貼着する部材を貼着し、かつ十分な密着力を維持できる限り特に膜厚に制限はなく、粘・接着剤の特性や粘・接着される部材により適宜選定することができる。得られる積層体(フィルム)の総厚の低減要求の強いことから、粘・接着剤の厚さは薄いほうが好ましいが、通常は2〜80μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜40μmである。この範囲外では、密着力が不足したり、積層時や積層体の保存時に端部から滲み出すなどして好ましくない。なお、前記の偏光素子、偏光板や各種の位相差フィルムは必要により複数枚貼合してもよい。
本発明の液晶フィルムや光学素子フィルムは、液晶表示装置の視野角改良や色補償等に好適に用いられる。前記の液晶表示装置に使用される液晶セルとして特に制限はないが、透過型、反射型、半透過型の各種液晶セルを挙げることができる。液晶セルにおける液晶配向によるモードとして例を挙げると、TN型、STN型、VA(vertical-alignment)型、MVA(multi-domain-vertical-alignment)型、OCB(optically-compensated-bend)型、ECB(electrically-controlled-birefringence)型、HAN(hybrid-aligned-nematic)型、IPS(in-plane-switching)、双安定ネマチック(bistable-nematic)型、ASM(axially-symmetric-aligned-microcell)型、ハーフトーングレイスケール型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等を挙げることができる。
液晶セルを構成する透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有している透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、ITO等の公知のものが使用できる。電極は通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
当該液晶配向については、セルの面内で単一の方向性を持つものでも良いし、配向が分割された液晶表示素子等にも用いることができる。さらに液晶セルに電圧を印加する方法で言えば、例えば、ITO電極などを用いるパッシブ方式、TFT(薄膜トランジスター)電極やTFD(薄膜ダイオード)電極などを用いるアクティブ方式等で駆動する液晶表示素子を挙げることができる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板、光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、液晶フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に、偏光板、他の光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
また、前記液晶セルの一方の基板の反射機能を有する領域と透過機能を有する領域とを有する基板とすることにより半透過反射型の液晶表示素子とすることができる。半透過反射型の液晶表示素子に使用する半透過反射性電極に含まれる反射機能を有する領域(以下、反射層ということがある。)としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又は、これらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の該電極基板上の電極を兼備させたもの、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)GPCの測定(分子量の測定)
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GELSuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(2)相挙動の観察
相挙動はメトラー社製ホットステージ上で、試料を加熱しつつ、オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で観察した。
(3)相転移温度の測定
相転移温度の測定は、Perkin−Elmer社製示差走査熱量計DSC7により測定した。
(4)接着強度(剥離強度)の測定
液晶フィルムや光学素子フィルムから長さ150mm、幅30mmの短冊状試料を切り出し、(株)東洋精機製作所製 ストログラフE−Lにより180°剥離強度を測定(温度23℃、剥離速度300mm/min)した。
以下の参考例中のスキーム1〜3に記載の略号は次の化合物を表す。
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
DCC:N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
PPTS:ピリジニウム−4−トルエンスルホネート
THF:テトラヒドロフラン
[参考例1:オキセタニル基を持つアクリル化合物1およびオキセタニル基を持たな
いアクリル化合物2の合成]
特開2004-123882号公報開示の方法に準拠して合成を行った。オキセタニル
基を持つアクリル化合物1およびオキセタニル基を持たないアクリル化合物2の合成は、それぞれ以下に示すスキーム1およびスキーム2に従って行った。
Figure 2010072439
Figure 2010072439
[参考例2:側鎖型液晶性ポリアクリレート1の合成]
前記アクリル化合物1を10部(モル比)と、前記アクリル化合物2を90部(モル比)と配合し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、オキセタニル基を持つ側鎖型液晶性ポリアクリレート1(ポリマー1)を合成した。ポリマー1の重量平均分子量は、9,800であり、Tgは79℃であった。偏光顕微鏡による観察より、Tg以上で液晶相を発現し、スメクチック−ネマチック転移温度が109℃、ネマチック−アイソトロピック転移温度は250℃以上であることを確認した。
[参考例3:側鎖型液晶性ポリアクリレート2の合成]
アクリル化合物2を、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、オキセタニル基を持たない側鎖型液晶性ポリアクリレート2(ポリマー2)を合成した。ポリマー2の重量平均分子量は、6,800であり、Tgは74℃であった。偏光顕微鏡による観察より、Tg以上でネマチック相を発現し、ネマチック−アイソトロピック転移温度は250℃以上であることを確認した。
[参考例4:2官能性オキセタンモノマー3の合成]
スキーム3に従い、2官能性オキセタンモノマー3を合成した。DSC測定と偏光顕微鏡による観察より、結晶−69℃−ネマチック相−95℃−アイソトロピック相という相挙動をとることがわかった。
Figure 2010072439
[参考例5:液晶材料層1の作製]
参考例2で合成したポリマー1の1.0gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.05gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して液晶材料の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(テオネックスQ−51(帝人社製))上にスピンコート法を用いて塗布し、60℃のホットプレート上で乾燥させた。得られたポリエチレンナフタレートフィルム上の液晶材料層を150℃に加熱しながら、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cmの紫外線光を照射した後、冷却して液晶材料層1を得た。
[参考例6:液晶材料層2の作製]
ポリマー1を0.8gと、参考例4で合成した2官能性オキセタンモノマー3の0.2gを使用すること以外は参考例5と同様の手順にて液晶材料層2を作製した。
[参考例7:液晶材料層3の作製]
参考例5における液晶材料の溶液調製の際に、ポリマー1の代わりに、参考例3で合成したポリマー2を1gにした以外は、参考例5と同様の手順にて液晶材料層3を作製した。
[実施例1〜6、比較例1〜3]
参考例5〜7で作製した液晶材料層1〜3について、紫外線硬化型アクリル接着剤UV−3400(東亜合成社製品)に表1に示す配合物を添加した紫外線硬化型アクリル系接着剤組成物(以下、接着剤Aと表記する。)を用いて液晶フィルムを得た。すなわち、PENフィルム上の硬化された液晶材料層の上に接着剤Aを5μm厚となるように塗布し、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムでラミネートし、TACフィルム側から600mJ/cmの紫外線光を室温で照射して接着剤Aを硬化させた後、PENフィルムを剥離した。上記のように作製された液晶フィルムの液晶材料層上に、紫外線硬化型アクリル接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から600mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/(接着剤A)/液晶材料層/UV−3400/TACの層構成を持つフィルムを得た。
これらのフィルムの剥離強度を測定した結果を表1に示す。実施例2および4については、接着剤Aと液晶材料層の密着力が極めて高く、TACフィルムの切断が発生したため、表1にはTACフィルム切断時の値を示した。接着剤Aと液晶材料層間の真の密着力は不明だが、TACフィルムが切断する500N/M以上の密着力を持つものと推定される。
なお、表1中の接着剤A中のモノマー(カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物)の略号は次の化合物を表す。
VEEA:2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート
OXE−10:(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート
MEDOL:4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン
Figure 2010072439
[実施例7〜12、比較例4〜6:光学素子用フィルムの作成]
参考例5〜7で作製した液晶材料層1〜3について、PENフィルム上の硬化された液晶材料層の上に、紫外線硬化型アクリル接着剤UV−3400に表1に示す配合物を添加した接着剤Aを5μm厚となるように塗布し、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムでラミネートし、TACフィルム側から600mJ/cmの紫外線光を室温で照射して接着剤Aを硬化させた。次にPENフィルムを剥離し、TACフィルム/(接着剤A)/液晶物質層1の液晶フィルム積層体1を得た。さらに、得られた液晶フィルム積層体1の露出した液晶物質層1の面にセパレートフィルム付きの約25μmの粘着剤層1をラミネートし、TACフィルム/(接着剤A)/液晶物質層1/粘着剤層1/セパレートフィルムとし、次にTACフィルムを剥離した。
得られた(接着剤A)/液晶物質層1/粘着剤層1/セパレートフィルムの積層体の(接着剤A)の面に偏光板(厚み約180μm;住友化学(株)製「SQ−1852AP」)を25μmの粘着剤層2を介してラミネートし、偏光板/粘着剤層2/(接着剤A)/液晶物質層1/粘着剤層1/セパレートフィルムが一体となった積層体からなる楕円偏光板を得た。
最後の工程である偏光板のラミネートは、偏光板の吸収軸と液晶フィルムの液晶配向方向(ラビング方向)の角度の関係が光学素子としての機能に大きく影響を及ぼすため、製造工程で貼り合わせ位置(角度)のずれが生じた場合にやり直すことがある。このケースを想定して、積層体から偏光板を引き剥がして、ラミネートのやり直しが可能かどうかの判定を行った。その結果、粘着剤層2/(接着剤A)の界面で剥がれる場合には、偏光板のラミネートのやり直しが可能であるため合格とし、(接着剤A)/液晶物質層1の界面で剥がれた場合には、偏光板のラミネートのやり直しが不可能であり、製造上好ましくないため不合格とした。表2に結果を示す。
Figure 2010072439

Claims (13)

  1. オキセタニル基を有する液晶性化合物を含む液晶材料からなる固体状の液晶層の接着に使用される液晶層用光硬化型接着剤組成物であって、カチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物が接着剤組成物中に1〜50重量%含有されていることを特徴とする液晶層用光硬化型接着剤組成物。
  2. 前記カチオン重合性基が環状エーテル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であり、前記ラジカル重合性基が(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項1に記載の液晶層用光硬化型接着剤組成物。
  3. 前記カチオン重合性基がオキセタニル基、ジオキソラニル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする請求項2に記載の液晶層用光硬化型接着剤組成物。
  4. オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜とカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物を接着剤組成物中に1〜50重量%含有する液晶層用光硬化型接着剤組成物からなる層から少なくともなることを特徴とする液晶フィルム。
  5. 前記液晶性化合物が液晶材料中に10重量%以上含有することを特徴とする請求項4に記載の液晶フィルム。
  6. 前記液晶性化合物が液晶性高分子であることを特徴とする請求項4に記載の液晶フィル
    ム。
  7. 前記液晶性化合物が式(1)で表されるユニットを含むことを特徴とする請求項4に記
    載の液晶フィルム。
    Figure 2010072439
    (式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
    −P−L−P−L−P− (2)
    −P−L−P− (3)
    −P− (4)
    式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
    Figure 2010072439
    Figure 2010072439
  8. 前記液晶性化合物が前記式(1)で表されるユニットを5〜100モル%含むことを特徴とする請求項4記載の液晶フィルム。
  9. 前記液晶性高分子の重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする請求項6記載の液晶フィルム。
  10. 前記液晶材料中に光カチオン開始剤および/または熱カチオン開始剤を含むことを特徴とする請求項4記載の液晶フィルム。
  11. 前記の液晶層用光硬化型接着剤組成物のカチオン重合性基およびラジカル重合性基を有する化合物のカチオン重合性基が環状エーテル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であり、ラジカル重合性基が(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項4に記載の液晶フィルム。
  12. 前記のカチオン重合性基がオキセタニル基、ジオキソラニル基およびビニルオキシ基から選ばれる基であることを特徴とする請求項11に記載の液晶フィルム。
  13. 請求項4〜12のいずれかに記載の液晶フィルムを用いて得られる光学素子フィルム。
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