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JP2010068655A - 移動体、及びその制御方法 - Google Patents

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JP2010068655A JP2008233594A JP2008233594A JP2010068655A JP 2010068655 A JP2010068655 A JP 2010068655A JP 2008233594 A JP2008233594 A JP 2008233594A JP 2008233594 A JP2008233594 A JP 2008233594A JP 2010068655 A JP2010068655 A JP 2010068655A
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Abstract

【課題】高い操作性を有する移動体、及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる移動体1は、搭乗者が搭乗する搭乗席8と、搭乗席8を支持する車台13と、車台13を移動させる車輪6と、搭乗席8の座面に加わる力に応じた計測信号を出力する力センサ9と、計測信号に応じて、車輪6を駆動するための指令値を算出する制御計算部51と、搭乗席8をヨー軸周りに回転するヨー軸機構501と、ヨー軸機構をロール軸周りに回転するロール軸機構503と、ヨー軸機構501をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構502と、を備えるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動体、及びその制御方法に関する。
近年、搭乗者を搭乗させた状態で移動する移動体が開発されている(特許文献1、2)。例えば、特許文献1〜3では、搭乗者が搭乗する搭乗面(座面)に力センサ(圧力センサ)を設けている。そして、力センサからの出力によって、車輪を駆動している。すなわち、力センサが操作手段となって、入力が行われている。
特許文献1の移動体では、進みたい方向に体重をかけることで移動している。例えば、前方に進みたい場合、搭乗者が上体を前方に傾ける。すなわち、搭乗者が前傾姿勢になる。そして、前傾姿勢になると搭乗席に加わる力が変化する。そして、この力を力センサで検出する。力センサの検出結果によって、球状タイヤを駆動している。特許文献1の図14には、搭乗者が搭乗席に座った状態で、倒立振子制御を行っている。特許文献2には、車椅子型の移動体が開示されている。この移動体には、椅子とフットレストが設けられている。
また、特許文献3には、利用者の動作を能動的に検知して、それに応じて自律的に動作する移動体が開示されている。例えば、複数の圧力センサによって、利用者の重心を計算している。この重心位置に応じて、車椅子形状の移動体が動作している(図2)。
さらに、特許文献4では、2足歩行型の移動体を動作させるためのインタフェイス装置が開示されている。このインタフェイス装置は、椅子型形状を有している。そして、椅子の背面と座面に複数の力センサを設けている。4つの力センサによって、搭乗者の骨盤旋回を検知して、歩行意思を推定している。そして、力センサによって推定された歩行意志に応じて両脚を駆動している。また、このインタフェイス装置には、足置き台が設けられている。
特開2006−282160号公報 特開平10−23613号公報 特開平11−198075号公報 特開平7−136957号公報
特許文献1〜3では、実際に移動体に搭乗している搭乗者の姿勢によって、移動している。これにより、実際に移動している環境に応じた操作が可能になる。例えば、搭乗者は、以下のように操作を行うことができる。前進したい場合、搭乗者が前方に上体を移動させる。すなわち、搭乗者が前傾姿勢になる。すると、重心位置が前方になって、力センサに加わる力が変化する。これにより、センサが前進入力を検知する。反対に、後方に移動したい場合は、搭乗者が後傾姿勢になる。すると、重心位置が後方になり、後傾入力が検知される。また、左右に移動する場合は、搭乗者が左右方向に重心を移動する。これにより、旋回入力が検知される。このように、旋回入力、前進入力、後退入力に応じて移動することができる。
しかしながら、搭乗者が搭乗する搭乗面に力センサが設けられている移動体では、以下に示す問題点がある。例えば、右斜め前方に進んでいる場合を仮定する。この時、移動体のメカ構成が固定されていると、搭乗者が遠心力を受けてしまう。すると、余計に右斜め前に状態をそらし、スピードが加速されてしまう。あるいは、上体が外側にそれてしまい、思い通りに右斜め前方に進むことができないという問題点がある。すなわち、力センサへの入力が搭乗者へ伝わらないため、どれくらいの操作したのか、直感的に分かりにくい。特に、遠心力が加わる場合、搭乗者が移動したい方向に、操作することが困難になってしまう。
さらに、平坦ではない非平坦地を移動する場合、座面が傾斜してしまう。従って、意図通りに制御することができなくなってしまう。例えば、下り坂を移動する場合、搭乗面が前傾する。すると、図10に示すように、搭乗者19が搭乗面に対して後傾姿勢になってしまうため、力センサ9で後退入力が検知される。従って、下り坂を下ることができなくなってしまう。また、上り坂を移動する場合、搭乗面が後傾する。すると、搭乗者が搭乗面に対して、前傾してしまう。よって、必要以上に前傾入力が検知され、意図通りに坂道を上ることができなくなってしまう。さらに、左右片側に段差がある場合、旋回入力が検知され、移動体が左右に移動してしまう。
このように、従来の移動体では、搭乗者の意図通りに、操作することができないという問題点がある。
本発明は、高い操作性を有する移動体、及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る移動体は、搭乗者が搭乗する搭乗席と、前記搭乗席を支持する本体部と、前記本体部を移動させる移動機構と、前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、前記計測信号に応じて、前記車輪を駆動するための指令値を算出する制御計算部と、前記搭乗席をヨー軸周りに回転するヨー軸機構と、前記ヨー軸駆動機構をロール軸周りに回転するロール軸機構と、前記ヨー軸駆動機構をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備えるものである。これにより、搭乗者の臀部に対して、ヨー軸が垂直になる。よって、ヨー軸周りのモーメントを確実に入力することができる。従って、操作性を向上することができる。
本発明の第2の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、前記搭乗席に搭乗した搭乗者の動作によって前記搭乗席の座面に加わる力と同じ方向に、前記ロール軸機構、及び前記ピッチ軸機構が動作することを特徴とするものである。これにより、搭乗者が操作量を直感的に把握することができる。よって、操作性を向上することができる。
本発明の第3の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、前記ヨー軸機構、ロール軸機構、及びピッチ軸機構の少なくとも一つが、アクティブに動作することを特徴とするものである。これにより、精度よく、制御することができる。
本発明の第4の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、前記車台の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ピッチ軸機構と、前記ロール軸機構を動作させることを特徴とするものである。これにより、移動している床面の形状によらず、所定の姿勢になることが可能になる。
本発明の第5の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、前記搭乗席の座面が水平になるように、前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ロール軸機構と、前記ピッチ軸機構とが動作するものである。これにより、搭乗者の意図通りの入力を行うことができる。よって、操作性を向上することができる。また、乗り心地を向上することができる。
本発明の第6の態様に係る移動体は、搭乗者が搭乗する搭乗席と、前記搭乗席を支持する本体部と、前記本体部を移動させる移動機構と、前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、前記計測信号に応じて、前記車輪を駆動するための指令値を出力する制御計算部と、前記搭乗席の座面が水平に近づくように、前記搭乗席をロール軸周りに回転するロール軸機構と、前記搭乗席の座面が水平に近づくように、前記搭乗席をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備えるものである。これにより、搭乗者の意図通りの入力を行うことができる。よって、操作性を向上することができる。また、乗り心地を向上することができる。
本発明の第7の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、ロール軸機構、及びピッチ軸機構の少なくとも一つが、アクティブに動作することを特徴とするものである。これにより、精度よく、水平を維持することができる。
本発明の第8の態様に係る移動体は、上記の移動体であって、前記移動体の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ピッチ軸機構、及び前記ロール軸機構を動作させることを特徴とするものである。これにより、確実に水平を維持することができる。
本発明の第9の態様に係る移動体の制御方法は、搭乗者が搭乗する搭乗席と、前記搭乗席を支持する本体部と、前記本体部を移動させる移動機構と、前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、前記計測信号に応じて、前記車輪を駆動するための指令値を算出する制御計算部と、前記搭乗席をヨー軸周りに回転するヨー軸機構と、前記ヨー軸駆動機構をロール軸周りに回転するロール軸機構と、前記ヨー軸駆動機構をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備える移動体の制御方法であって、前記センサで検出された前記ヨー軸周りのモーメントに基づいて、前記ヨー軸機構を駆動するための指令値を算出するステップと、前記センサで検出された前記ピッチ軸周りのモーメントに基づいて、前記ピッチ軸機構を駆動するための指令値を算出するステップと、前記センサで検出された前記ロール軸周りのモーメントに基づいて、前記ロール軸機構を駆動するための指令値を算出するステップとを備えるものである。これにより、搭乗者が操作量を直感的に把握することができるため、操作性を向上することができる。
本発明の第10の態様に係る移動体の制御方法は、搭乗者が搭乗する搭乗席と、前記搭乗席を支持する本体部と、前記本体部を移動させる移動機構と、前記車台に対して回転可能に設けられた車輪と、前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、前記計測信号に応じて、前記車輪を駆動するための指令値を出力する制御計算部と、前記移動体の姿勢に対応する角度を検出する姿勢検出部と、前記搭乗席をロール軸周りに回転するロール軸機構と、前記搭乗席をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備えた移動体の制御方法であって、前記姿勢検出部で検出されたロール軸周りの角度に基づいて、前記ロール軸機構を駆動するステップと、前記姿勢検出部で検出されたピッチ軸周りの角度に基づいて、前記ピッチ軸機構を駆動するステップとを備えるものである。これにより、姿勢を所望の状態に維持することができるため、操作性を向上することができる。
本発明によれば、高い操作性を有する移動体、及びその制御方法を提供することができる。
以下、本発明に係る小型車両の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
発明の実施の形態1.
実施形態1に係る移動体1について、図1、図2を用いて説明する。図1は、移動体1の構成を模式的に示す正面図であり、図2は、移動体1の構成を模式的に示す側面図である。なお、図1、及び図2には、XYZの直交座標系が示されている。Y軸が移動体1の左右方向を示し、X軸が移動体1の前後方向を示し、Z軸が鉛直方向を示している。従って、X軸がロール軸に対応し、Y軸がピッチ軸、Z軸がヨー軸となる。図1、2において、+X方向が移動体1の前方向であるとして説明する。
図1に示すように移動体1は、搭乗部3、及び車台13を有している。車台13は、移動体1の本体部であり、搭乗部3を支持している。車台13は、姿勢検出部4、車輪6、フットレスト10、筐体11、制御計算部51、バッテリ52等を備えている。車輪6は、前輪601と後輪602から構成されている。ここでは、1つの前輪601と2つの後輪602からなる3輪型の移動体1を説明する。
搭乗部3は、搭乗席8、及び力センサ9を有している。そして、搭乗席8の上面が座面8aとなる。すなわち、座面8aの上に、搭乗者が乗った状態で移動体1が移動する。座面8aは平面でもよいし、臀部の形に合わせた形状となっていてもよい。さらに、搭乗席8に背もたれを設けてもよい。すなわち、搭乗席8を車椅子形状としてもよい。乗り心地を向上するために、搭乗席8にクッション性を持たせてもよい。移動体1が水平面上にある場合、座面8aが水平になっている。力センサ9は、搭乗者の体重移動を検知する。すなわち、力センサ9は、搭乗席8の座面8aに加わる力を検出する。そして、力センサ9は、座面8aに加わる力に応じた計測信号を出力する。力センサ9は、搭乗席8の下側に配置される。すなわち、車台13と搭乗席8の間に、力センサ9が配設されている。
力センサ9としては、例えば、6軸力センサを用いることができる。この場合、図3に示すように、3軸方向の並進力(SFx、SFy、SFz)と各軸周りのモーメント(SMx、SMy、SMz)を計測する。これらの並進力とモーメントは、力センサ9の中心を原点に取った値である。移動体1のセンサ処理部に出力する計測信号をモーメント(Mx、My、Mz)とし、それらのモーメントの制御座標原点を図2に示す(a、b、c)とすると、Mx、My、Mzは、それぞれ以下のように表すことができる。
Mx=SMx+c・SFy−b・SFz
My=SMy+a・SFz−c・SFx
Mz=SMz+b・SFx−a・SFy
なお、図3は、各軸を説明するための図である。力センサ9として、モーメント(Mx、My、Mz)を計測できるものであればよい。各軸周りのモーメント(SMx、SMy、SMz)を計測できる3軸力センサを制御座標原点に配置して、Mx,My、Mzを直接計測してもよい。また、1軸の力センサを3つ設けてもよい。さらには、歪みゲージや、ポテンショを用いたアナログジョイスティックなどでもよい。すなわち、直接的又は間接的に3軸周りのモーメントを計測できるものであればよい。そして、力センサ9は、3つのモーメント(Mx、My、Mz)を計測信号として出力する。
移動体1の本体部分となる車台13には、姿勢検出部4、車輪6、フットレスト10、筐体11、制御計算部51、及びバッテリ52等が設けられている。筐体11は、箱形状を有しており、前方下側が突出している。そして、この突出した部分の上にフットレスト10が配設されている。フットレスト10は、搭乗席8の前方側に設けられている。従って、搭乗者が搭乗席8に搭乗した状態では、搭乗者の両足がフットレスト10上に乗せられている。
筐体11には、駆動モータ603、姿勢検出部4、制御計算部51、及びバッテリ52が内蔵されている。バッテリ52は、駆動モータ603、姿勢検出部4、制御計算部51、及び力センサ9などの各電気機器に電源を供給する。姿勢検出部4は、例えば、ジャイロセンサまたは加速度センサなどを有しており、移動体1の姿勢を検出する。すなわち、車台13が傾斜すると、姿勢検出部4は、その傾斜角度や傾斜角速度を検出する。姿勢検出部4は、ロール軸周りにおける姿勢の傾斜角度、及びピッチ軸周りにおける姿勢の傾斜角度を検出する。そして、姿勢検出部4は、姿勢検出信号を制御計算部51に出力する。
筐体11には、車輪6が回転可能に取り付けられている。ここでは、円盤上の車輪6が3つ設けられている。車輪6の一部は、筐体11の下面よりも下側に突出している。従って、車輪6が床面と接触している。2つの後輪602は、筐体11の後部に設けられている。後輪602は、駆動輪であり、駆動モータ603によって回転する。すなわち、駆動モータ603が駆動することによって、後輪602がその車軸周りに回転する。後輪602は、左右両側に設けられている。なお、後輪602には、その回転速度を読み取るためのエンコーダが内蔵されている。2つの後輪602は、同軸上に配置されている。左の後輪602の車軸と、右の後輪602の車軸は、同一直線上に配置されている。
また、車輪6には前輪601が含まれている。そして、1つの前輪601が筐体11の前部中央に設けられている。従って、Y方向において、2つの後輪602の間に、前輪601が配設されている。X方向において、前輪601の車軸と後輪602の車軸との間に、搭乗席8が設けられている。前輪601は、従動輪(補助輪)であり、移動体1の移動に応じて回転する。すなわち、後輪602の回転によって移動する方向、及び速度に応じて、前輪601が回転する。このように、後輪602の前に補助輪である前輪601を設けることで、転倒を防ぐことができる。前輪601は、フットレスト10の下方に設けられている。
制御計算部51はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信用のインタフェイスなどを有する演算処理装置である。また、制御計算部51は、着脱可能なHDD、光ディスク、光磁気ディスク等を有し、各種プログラムや制御パラメータなどを記憶し、そのプログラムやデータを必要に応じてメモリ(不図示)等に供給する。もちろん、制御計算部51は、物理的に一つの構成に限られるものではない。制御計算部51には、力センサ9からの出力に応じて駆動モータ603の動作を制御するための処理を行う。また、姿勢検出部4からの出力に応じて、車台13の傾きを制御するための処理を行う。すなわち、移動体1の姿勢が、車台13の傾きに応じて変化する。筐体11の内部には、姿勢を変化させるための機構が内蔵されている。この構成については後述する。
次に、移動体1を移動させるための制御系について、図4を用いて説明する。図4は、移動体1を移動させるための制御系の構成を示すブロック図である。まず、力センサ9によって、座面8aにかかる力を検出する。センサ処理部53は、力センサ9からの計測信号に対して処理を行う。すなわち、力センサ9から出力される計測信号に対応する計測データに対して、演算処理を行う。これにより、制御計算部51に入力される入力モーメント値が算出される。なお、センサ処理部53は、力センサ9に内蔵されていてもよく、制御計算部51に内蔵されていてもよい。
このように、力センサ9で計測されたモーメント(Mx、My、Mz)が各軸周りの入力モーメント値(Mx'、My'、Mz')に変換される。そして、入力モーメント値が各後輪602を動作させるために入力される入力値となる。このように、センサ処理部53は、各軸毎に入力値を算出する。入力モーメント値の大きさは、モーメントの大きさに応じて決まる。入力モーメント値の符号は、計測されたモーメントによって決まる。すなわち、モーメントが正の場合、入力モーメント値も正となり、モーメントが負の場合、入力モーメント値も負となる。例えば、モーメントMxが正の場合、入力モーメント値Mx'も正となる。従って、この入力モーメント値が搭乗者の意図する操作に対応する入力値となる。
制御計算部51は、入力モーメント値に基づいて、制御計算を行う。これにより、駆動モータ603を駆動するための指令値が算出される。もちろん、入力モーメント値が大きいほど、指令値が大きくなる。この指令値は、駆動モータ603に出力される。なお、本実施形態では、左右の後輪602が駆動輪であるため、2つの駆動モータ603が図示されている。そして、一方の駆動モータ603が右の後輪602を回転させ、他方の駆動モータ603が左の後輪602を回転させる。駆動モータ603は、指令値に基づいて後輪602を回転させる。すなわち、駆動モータ603は、駆動輪である後輪602を回転させるためのトルクを与える。もちろん、駆動モータ603は、減速機などを介して、後輪602に回転トルクを与えてもよい。例えば、制御計算部51から、指令値として指令トルクが入力された場合、その指令トルクで、駆動モータ603が回転する。これにより、後輪602が回転して、移動体1が所望の方向に、所望の速度で移動する。もちろん、指令値は、トルクに限らず、回転速度、回転数であってもよい。
さらに、駆動モータ603にはそれぞれ、エンコーダ603aが内蔵されている。このエンコーダ603aは、駆動モータ603の回転速度等を検出する。そして、検出された回転速度は、制御計算部51に入力される。制御計算部51は、現在の回転速度と、目標となる回転速度とに基づいてフィードバック制御を行う。例えば、目標回転速度と現在回転速度との差分に、適当なフィードバックゲインを乗じて、指令値を算出する。もちろん、左右の駆動モータ603に出力される指令値は、異なる値であってもよい。すなわち、前方、又は後方に直進する場合は、左右の後輪602の回転速度が同じになるように制御し、左右に旋回する場合は、左右の後輪602が、同じ方向で異なる回転速度になるよう制御する。また、その場旋回する場合は、左右の後輪602が反対方向に回転するように制御する。
例えば、搭乗者が前傾姿勢になると、搭乗席8にピッチ軸周りの力が加わる。すると、力センサ9が+Myのモーメントを検出する(図3参照)。この+Myのモーメントによって、センサ処理部53は、移動体1を並進させるための入力モーメント値My'を算出する。同様に、センサ処理部53は、Mxに基づいて入力モーメント値Mx'を算出し、Mzに基づいて、入力モーメント値Mz'を算出する。すなわち、センサ処理部53は、計測値を入力モーメント値に変換する。これらは、それぞれの独立に算出される。すなわち、Mx'は、Mxのみによって決まり、My'は、Myのみによって決まり、Mz'は、Mzのみのよって決まる。このように、Mx'、My'、Mz'はそれぞれ独立している。
制御計算部51が、入力モーメント値とエンコーダの読み値に基づいて、指令値を算出する。これにより、左右の後輪602が所望の回転速度で回転する。同様に、右方向に曲がる場合は、搭乗者が右側に体重移動する。これにより、搭乗席にロール軸周りの力が加わり、力センサ9が+Mxのモーメントを検出する。この+Mxのモーメントによって、センサ処理部53は、移動体1を右方向に旋回させるための入力モーメント値Mx'を算出する。すなわち、移動体1が移動する方向に対応する舵角が求められる。そして、入力モーメント値に応じて、制御計算部51が指令値を算出する。この指令値に応じて、左右の後輪602が異なる回転速度で回転する。すなわち、左側の後輪602が右側の後輪602よりも速い回転速度で回転する。
このように、My'に基づいて、前後方向の並進移動に対する成分が求められる。すなわち、左右の後輪602を同じ方向に同じ回転速度で駆動するための駆動トルクなどが決定する。従って、My'、すなわち、Myが大きいほど、移動体1の移動速度が速くなる。Mx'に基づいて、移動方向、すなわち、舵角に対する成分が求められる。すなわち、左右の後輪602の回転トルク差が決定される。従って、Mx'、すなわち、Mxが大きいほど、左右の後輪602の回転速度の違いが大きくなる。
Mz'に基づいて、その場旋回に対する成分が求められる。すなわち、左右の後輪602を反対方向に回転させて、その場旋回するための成分が求められる。従って、Mz'、すなわち、Mzが大きいほど、左右の後輪602における反対方向の回転速度が大きくなる。例えば、Mz'が正の場合、上側から見て、左周りにその場旋回する駆動トルクなどが算出される。すなわち、右側の後輪602が前方に回転し、左側の後輪602が同じ回転速度で後方に回転することとなる。
そして、それぞれの入力モーメント値Mx'、My'、Mz'に基づいて算出された3つの成分を合成して、2つの後輪602を駆動するための指令値を算出する。これにより、左右の後輪602に対する指令値がそれぞれ算出される。駆動トルクや回転速度などが指令値として算出される。すなわち、入力モーメント値Mx'、My'、Mz'に対応する成分毎に算出された値を合成することで左右の後輪602に対する指令値が算出される。このように、計測されたモーメントMx、My、Mzに基づいて算出された入力モーメント値Mx'、My'、Mz'によって、移動体1が移動する。すなわち、搭乗者の体重移動によるモーメントMx、My、Mzによって、移動体1の移動方向、及び移動速度が決定する。
このように、搭乗者の動作によって、移動体1を移動させるための入力が行われる。すなわち、搭乗者の姿勢変化によって、各軸周りのモーメントが検出される。そして、これらのモーメントの計測値に基づいて、移動体1が移動する。これにより、搭乗者が、移動体1を簡便に操作することができる。すなわち、ジョイスティックやハンドルなどの操作が不要となり、体重移動のみでの操作が可能となる。例えば、右斜め前方に移動したい場合は、体重を右前方にかける。また、左斜め後方に移動したい場合は、体重を左後方にかける。これにより、搭乗者の重心位置が変化して、その変化量に応じた入力が行われる。すなわち、搭乗者の重心移動に応じたモーメントを検出することで、直感的に操作することができる。
次に、移動体1の姿勢を変化させるための構成について、図5を用いて説明する。図5は、姿勢を変化させるための機構の構成を示す図であり、車台13の内部構成を示している。図5に示すように、車台13には、姿勢を制御するためのフレーム部2が設けられている。フレーム部2は、筐体11内に配設される。フレーム部2は、第1の平行リンク機構201と第2の平行リンク機構202とが、交差部分で相互の回転を拘束しないように、平面視T字状に連結されている。
第1の平行リンク機構201は、前後方向に配置されている。この第1の平行リンク機構201は、四本の横リンク201a、前後の縦リンク201bを備えている。
横リンク201aは、全て等しい長さとされている。横リンク201aの両端には、図示を省略したが、縦リンク201bとの連結軸を嵌め込む嵌合穴が形成されている。二本の横リンク201aは上下に配置されており、当該二本の横リンク201aを一組として、縦リンク201bを挟み込むように、当該縦リンク201bの左右両側に配置されている。
縦リンク201bの左右両側部からは、図示を省略したが、それぞれ上下方向に等しい間隔を開けて相対峙する配置で、横リンク201aとの連結軸が左右方向に突出している。この連結軸は、横リンク201aと縦リンク201bとの回転軸として、横リンク201aの嵌合穴に軸受け等を介して嵌め込まれている。
本実施形態の前側の縦リンク201bはL字形状に形成されている。縦リンク201bの垂直片の上下端部に、横リンク201aが連結軸を介して回転可能に連結されている。縦リンク201bの水平片の先端に、車輪6として自在式のキャスターが設けられている。移動体1の移動方向が変化すると、その変化に応じてキャスターの方向が回転する。後側の縦リンク201bは、下側の横リンク201aより下方に突出する突出部を備えている。この突出部の前後両側部からは、図示を省略したが、それぞれ相対峙する配置で第2の平行リンク機構202との連結軸が前後方向に突出している。さらに後側の縦リンク201bの前後両側部における上下の横リンク201aの間の部分からも、図示を省略したが、それぞれ相対峙する配置で第2の平行リンク機構202との連結軸が前後方向に突出している。
第2の平行リンク機構202は、左右方向に配置されている。この第2の平行リンク機構202は、四本の横リンク202a、左右の縦リンク202bを備えている。
横リンク202aは、全て等しい長さとされている。横リンク202aの両端には、図示を省略したが、縦リンク202bとの連結軸を嵌め込む嵌合穴が形成されている。さらに横リンク202aの長手方向の略中央位置には、図示を省略したが、第1の平行リンク機構201との連結軸を嵌め込む嵌合穴が形成されている。二本の横リンク202aは上下に配置されており、当該二本の横リンク202aを一組として、縦リンク202b及び第1の平行リンク機構201の後側の縦リンク201bを挟み込むように、当該縦リンク202b及び第1の平行リンク機構201の後側の縦リンク201bの前後両側に配置されている。第1の平行リンク機構201の後側の縦リンク201bから突出する連結軸は、第1の平行リンク機構201と第2の平行リンク機構202との回転軸として、横リンク202aの略中央位置の嵌合穴に軸受け等を介して嵌め込まれている。
縦リンク202bの前後両側部からは、図示を省略したが、それぞれ上下方向に等しい間隔を開けて相対峙する配置で、横リンク202aとの連結軸が前後方向に突出している。この連結軸は、横リンク202aと縦リンク202bとの回転軸として、横リンク202aの端部の嵌合穴に軸受け等を介して嵌め込まれている。
その結果、第1の平行リンク機構201は、第2の平行リンク機構202に拘束されることなく、前後方向に回転可能な構成となる。一方、第2の平行リンク機構202は、第1の平行リンク機構201に拘束されることなく、左右方向に回転可能な構成となる。
搭乗部3は、姿勢検出部4の上に設けられ、フレーム部2の回転に連動する。具体的にいうと、搭乗部3は、第1の平行リンク機構201の上下の横リンク201aに支持軸301を介して連結されている。この支持軸301の上部及び下部の左右両側部からは、図示を省略したが、第1の平行リンク機構201の上下の横リンク201aとの連結軸が左右方向に突出している。第1の平行リンク機構201の横リンク201aにおける長手方向の略中央位置には、図示を省略したが、支持軸301から突出する連結軸を嵌め込む嵌合穴が形成されている。支持軸301は、縦リンク201bを挟み込むように、当該縦リンク201bの左右に配置された横リンク201aの間に挿入されている。支持軸301から突出する連結軸は、第1の平行リンク機構201の嵌合穴に軸受け等を介して嵌め込まれている。その結果、第1の平行リンク機構201が前後方向に回転すると、支持軸301と縦リンク201bとは平行状態を維持した状態で連動する。
駆動部5が駆動することで、フレーム部2が動作する。これにより、移動体1の姿勢が変化する。車台13が傾くことで、搭乗部3の角度が変化する。なお、駆動部5には、ヨー軸周りに回転するヨー軸機構501と、ピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構502と、ロール軸周りに回転するロール軸機構503が設けられている。ヨー軸機構501は、例えば、支持軸301と姿勢検出部4の間に設けられている。すなわち、ヨー軸機構501が3つの機構の中で、最も搭乗部3側に設けられている。なお、ヨー軸機構501は、搭乗部3をヨー軸周りに旋回させる旋回関節であり、ピッチ軸機構502及びロール軸機構503は搭乗部3を軸周りに回転させる回転関節である。
次に、姿勢を制御するための制御系について、図6を用いて説明する。図6は、姿勢を制御するための構成を示すブロック図である。姿勢検出部4は、フレーム部2の姿勢を検出する。姿勢検出部4は、図6に示すように姿勢センサ401、処理部402を備えている。姿勢センサ401は、ジャイロセンサ又は加速度センサ等から成る。処理部402は、演算回路402a、記憶部402bを備えている。演算回路402aは、マイクロコンピュータ(CPU)から成る。記憶部402bは、プログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等から成る。
姿勢センサ401は、フレーム部2に設けられている。そして、フレーム部2の前後方向及び左右方向の傾斜を検出(感知)し、その検出信号を演算回路402aに出力する。演算回路402aは、記憶部402bに格納されているプログラムを呼び出して、フレーム部2の水平度を算出し、その算出結果を示す信号を制御計算部51に出力する。
ちなみに、図示例の姿勢検出部4は、搭乗部3と支持軸301との間に配置されているが、当該支持軸301と連動する第1の平行リンク機構201の縦リンク201bに設けても良い。要するに、姿勢検出部4は、フレーム部2、しいては搭乗部3の水平度を検出できる位置に設けられていれば良い。
制御計算部51は、姿勢検出部4の算出結果を示す信号に基づいて制御計算を行い、各機構の駆動指令値を駆動部5に出力する。そして、駆動部5は、搭乗部3が略水平となるように、平行リンク機構201、202を回転駆動させる。駆動部5には、ヨー軸機構501と、ピッチ軸機構502と、ロール軸機構503が設けられている。ヨー軸機構501と、ピッチ軸機構502と、ロール軸機構503は、それぞれ能動関節であり、モータや減速器などが設けられている。例えば、ロール軸機構503が第1の平行リンク機構201を回転させ、ピッチ軸機構502が第2の平行リンク機構202を回転させる。
ピッチ軸機構502とロール軸機構503は、駆動指令値に基づいて駆動する。これにより、各平行リンク機構201、202が回転して、搭乗部3の水平が維持される。また、ヨー軸機構501、ピッチ軸機構502、ロール軸機構503には、エンコーダ501a、502a、503aがそれぞれ設けられている。エンコーダ501aは、ヨー軸機構501の回転角度等を検出する。同様に、エンコーダ502aは、ピッチ軸機構502の回転角度等を検出し、エンコーダ503aは、ロール軸機構503の回転角度等を検出する。そして、エンコーダ501a、502a、502aの読み値は、制御計算部51に入力されている。制御計算部51は、エンコーダの読み値と、搭乗部3の水平度に基づいて、フィードバック制御を行ってもよい。例えば、エンコーダの読み値による回転角度と、水平にするための目標角度との差分に基づいて、フィードバック制御を行うことができる。
このように、搭乗部3が水平に近づくように、ピッチ軸機構502、及びロール軸機構503を駆動する。すなわち、搭乗者が常時、水平な座面8aに搭乗するようになる。従って、傾斜面を移動している場合でも、平坦面を移動している場合と同様の操作、制御を行うことができる。すなわち、搭乗者の姿勢が力センサ9に対して傾くのを防ぐことができる。
例えば、図7に示すように、下りの傾斜面Fを移動している場合、ピッチ軸機構502が回転する。これにより、搭乗席8の座面8aの水平が維持される。従って、図10に示したように、後退入力が検出されるのを防ぐことができる。よって、搭乗者の意図に応じた速度で、上り坂を移動することができる。同様に、上り坂の場合も、必要以上に前進入力が検知されるのを防ぐことができる。よって、搭乗者の意図する速度で、上り坂を登ることができる。また、図8に示すように、左右の傾斜面Fを移動している場合、ロール軸機構503が回転する。これにより、搭乗席の座面8aの水平が維持される。このように、床面の傾斜の角度だけ、ピッチ軸機構502、ロール軸機構503を回転させる。
傾斜面を移動したい時でも座面8aの水平を維持することができるため、搭乗者の意図通り、移動体1が走行する。よって、傾斜面でも平坦面と変わらず操作することができる。力センサ9を用いた操作部の操作性を向上することができる。すなわち、搭乗者の意図通りの移動が可能になり、所望の速度で、所望の方向に走行することができる。また、姿勢検出部4の計測結果に応じて、車輪6の制御を変える必要がなくなる。すなわち、平坦面を移動しているときと同様の制御で傾斜面を走行させることができる。換言すると、移動体1の姿勢によってセンサ処理部53での演算処理を変える必要がなくなる。よって、移動体1の走行制御を簡便に行うことができる。さらに、座面8aが水平になるため、搭乗者の乗り心地を向上することができる。もちろん、完全に水平にしなくてもよく。すなわち、水平に近づけるように各機構を動作させることで、操作性、及び乗り心地を向上することができる。
なお、上記の説明では、ヨー軸機構501と、ピッチ軸機構502と、ロール軸機構503を能動関節としたが、受動関節とすることも可能である。例えば、ピッチ軸機構502、及びロール軸機構503において、各平行リンクの両端にバネなどの弾性体を設ける。それとともに、各平行リンクの中心において、各縦リンク及び横リンクを回転可能に支持する。そして、水平面を移動している場合は、各縦リンク、及び横リンクが水平になるように配置する。車台13が傾くと、弾性体からの力を受けて、平行リンクが回転する。例えば、車台13が傾斜すると、一方の弾性体が収縮し、他方の弾性体が伸長する。すると、弾性体の復元力によって、各縦リンク、及び横リンクが水平に近づく。よって、座面8aを水平に近づけることができる。すなわち、傾斜面を移動している場合でも、座面の傾斜を緩和することができる。これにより、搭乗者の意図しない入力を抑制することができるため、操作性を向上することができる。
なお、本実施の形態では、ヨー軸機構501を設けなくてもよい。また、ピッチ軸機構502、及びロール軸機構503の可動域を超えた傾斜面の場合でも、水平に近くすることが可能になる。なお、可動域を越えた場合は、水平を維持することができなくなってしまうため、センサ処理部53や制御計算部51による処理を変えてもよい。すなわち、可動域を越えた場合は、制御モードを切換えてもよい。
発明の実施の形態2.
本実施の形態にかかる移動体1について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態にかかる移動体1の制御系の構成を示すブロック図である。なお、図9は実施の形態1の図6に対応するブロック図である。本実施の形態では、各機構の駆動に、力センサ9の検出結果が用いられている。すなわち、制御計算部51は、姿勢検出部4の検出結果ではなく、力センサ9の検出結果に基づいて、目標角度を算出している。なお、移動体1の基本的構成は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。例えば、移動体1の全体構成は、図1、及び図2に示したものと同様であり、移動体1の内部構成は、図5に示したものと同様である。
本実施の形態では、力センサ9が受ける力に応じて、ヨー軸機構501、ピッチ軸機構502、ロール軸機構503を駆動している。例えば、力センサ9がヨー軸周りのモーメントMzを検出したとする。すると制御計算部51は、この力センサ9での計測されたモーメントMzに応じて、ヨー軸機構501の目標角度を算出する。これにより、座面8aがヨー軸周りに回転する。ここでは、モーメントMzと反対方向にヨー軸機構501が回転する。すなわち、ヨー軸機構501の回転方向は、計測されたモーメントMzと反対方向になっている。より、具体的には、モーメントMzが強くなる方向にヨー軸機構501がトルクを与える。正のモーメントMzが検出されると、制御計算部51は、ヨー軸機構501がヨー軸周りのマイナス方向にトルクする。すると、搭乗部3がマイナス方向に旋回する。よって、力センサ9に加わるヨー軸周りのモーメントがさらに強くなる。もちろん、モーメントMzの方向と同じ方向にヨー軸機構501を駆動してもよい。
さらに、回転角度は、モーメントMzの大きさに応じて設定する。たとえば、モーメントMzの大きさに応じて、ヨー軸機構の回転角度を設定する。これにより、搭乗者の操作量に応じた力を搭乗者が座面8aから受ける。よって、搭乗者が自分自身で操作している操作量を直感的に把握することができる。
また、力センサ9がピッチ軸周りのモーメントMyを検出したとする。すると、制御計算部51が、力センサ9での計測されたモーメントMyに応じて、ピッチ軸機構502の目標角度を算出する。これにより、搭乗席8がピッチ軸周りに回転して、座面8aの傾斜角度が変化する。すなわち、座面8aが前後方向に傾斜する。ピッチ軸機構502は、モーメントMyと同じ方向に回転してもよく、反対方向に回転してもよい。例えば、ピッチ軸機構502がモーメントMyと同じ方向に回転する場合、搭乗者が前傾になると、搭乗席8が前方に倒れる。すなわち、座面8aが前方に傾斜する。搭乗席8に搭乗した搭乗者の動作によって搭乗席8の座面8aに加わる力と同じ方向に、ピッチ軸機構502が動作する。
あるいは、モーメントMyと、ピッチ軸機構502の回転方向を反対にしてもよい。この場合、搭乗者が前傾になると、搭乗席8が後ろ側に倒れる。すなわち、座面が後方に傾斜する。いずれの場合でも、回転角度は、モーメントMyの大きさに応じて設定することが好ましい。すなわち、モーメントMyの大きさに応じて、回転角度の大きさを決定する。これにより、搭乗者が自分自身で操作している操作量(入力量)を直感的に把握することができる。
同様に、力センサ9がロール軸周りのモーメントMxを検出したとする。すると、制御計算部51が、力センサ9での計測されたモーメントMxに応じて、ロール軸機構503の目標角度を算出する。これにより、搭乗席8がロール軸周りに回転して、座面8aの傾斜角度が変化する。すなわち、座面8aが左右方向に傾斜する。ロール軸機構503は、モーメントMxと同じ方向に回転してもよく、反対方向に回転してもよい。例えば、ロール軸機構503がモーメントMxと同じ方向に回転する場合、搭乗者が右側に体重移動すると、搭乗席8が右側に倒れる。すなわち、座面8aが右側に傾斜する。搭乗席8に搭乗した搭乗者の動作によって搭乗席8の座面8aに加わる力と同じ方向に、ロール軸機構503が動作する。
あるいは、モーメントMxと、ロール軸機構503の回転方向を反対にしてもよい。この場合、搭乗者が右側に体重移動すると、搭乗席8が左側に倒れる。すなわち、座面8aが左側に傾斜する。いずれの場合でも、ロール軸機構503の回転角度は、モーメントMxの大きさに応じて設定することが好ましい。すなわち、モーメントMxの大きさに応じて、回転角度の大きさを決定する。これにより、搭乗者が自分自身で操作している操作量(入力量)を直感的に把握することができる。
なお、モーメントの大きさから各機構の回転角度を求める場合、予め変換テーブルを設定おけばよい。すなわち、モーメントの値を回転角度に変換する変換テーブルを制御計算部51のメモリなどに記憶させておく。これにより、速やかに、回転角度を求めることができる。あるいは、変換式を用いて、モーメントを回転角度に変換してもよい。また、各軸毎に独立して、モーメントを回転角度に変換することで、回転角度を容易に求めることができる。
このように、ロール軸方向、及びピッチ軸方向の入力に応じて、座面が傾斜する。また、本実施の形態では、ヨー軸機構501が最も搭乗部3側に配置されている。すなわち、ピッチ軸機構502の回転、及びロール軸機構503の回転に連動して、ヨー軸機構501がピッチ軸周り、及びロール軸周りに回転する。一方、ヨー軸機構501が回転しても、ロール軸機構503、及びピッチ軸機構502がヨー軸周りに回転しない。これにより、ヨー軸が常時、搭乗者の臀部と垂直になる。すなわち、ロール軸、及びピッチ軸が傾いたとしても、ヨー軸が常に、臀部と垂直になる。そして、座面8aが常時、搭乗者の臀部と対向するようになっている。これに対して、ロール軸機構503やピッチ軸機構502がヨー軸機構501と搭乗部3との間にある場合、ロール軸機構503やピッチ軸機構502が回転すると、その回転角度に応じてヨー軸が臀部に対する垂直方向に傾いてしまう。すると、正確にヨー軸周りのモーメントを検出することができなくなってしまう。すなわち、ヨー軸周りのモーメントMzの検出が困難になってしまう。よって、ヨー軸周りの入力を確実に行うことができ、搭乗者が意図する方向及び速度での移動することが可能となる。
これにより、操作性を向上することができる。すなわち、各軸周りの機構が駆動することで、どのくらいの操作量で操作しているかを直感的に把握することができる。実際の操作量と意図する操作量の違いを認識することができる。よって、意図する操作量に対する実際の操作量のずれを抑制することができる。また、搭乗者が遠心力を受けている場合でも、意図する移動を行うための操作が可能となる。すなわち、必要以上にスピードが出たり、必要以上にスピードが低下するのを防ぐことができる。これにより、操作性の高い移動体1を実現することができる。
実施形態1、2において、各機構をアクティブに動作する能動関節として説明したが、パッシブに動作する受動関節としてもよい。すなわち、各リンクにバネなどの弾性体を設けて、モーメントMx、My、Mzと反対方向に、弾性体の復元力が働くするようにする。具体的には、上下や左右に傾斜した場合、その傾斜を元に戻そうと弾性体が反発する。これにより、操作性を向上することができる。もちろん、受動関節と能動関節を組み合わせて使用してもよい。例えは、1つの機構を受動関節とした場合、2つの機構を能動関節とする。また、1つ以上の機構を能動関節とすることが好ましい。これにより、より精度の高い制御が可能になる。
また、本発明は、車輪型の移動体1に限らず、歩行型の移動体においても適用可能である。すなわち、車台13などの本体部を床面に対して移動させる移動機構が設けられているものであればよい。さらに、実施の形態1と2を組み合わせてもよい。例えば、平地を移動している場合は実施の形態2による制御を行い、傾斜面を移動している場合は、実施の形態1による制御を行う。平地か傾斜面かの判定は、姿勢検出部4によって行えばよい。
本発明の実施形態1にかかる移動体を模式的に示す正面図である。 本発明の実施形態1にかかる移動体を模式的に示す側面図である。 各軸周りの動作を説明するための図である。 移動体を移動させるための制御系を示すブロック図である。 移動体の姿勢を変化させるための構成を示す斜視図である。 移動体の姿勢を変化させるための制御系を示すブロック図である。 下り坂を移動している移動体の姿勢を示す側面図である。 横方向の傾斜面を移動している移動体の姿勢を示す正面図である。 実施の形態2にかかる移動体の姿勢を変化させるための制御系を示すブロック図である。 移動体が下り坂を移動しているときの姿勢を説明するための図である。
符号の説明
1 移動体
2 フレーム部
3 搭乗部
4 姿勢検出部
5 駆動部
501 ヨー軸機構
501a エンコーダ
502 ピッチ軸機構
502a エンコーダ
503 ロール軸機構
503a エンコーダ
603 駆動モータ
603a エンコーダ
6 車輪
601 前輪
602 後輪
603 駆動モータ
603a エンコーダ
8 搭乗席
8a 座面
9 力センサ
10 フットレスト
11 筐体
13 車台
51 制御計算部
52 バッテリ
53 センサ処理部
201 第1の平行リンク機構
201a 横リンク
201b 縦リンク
202 第2の平行リンク機構
202a 横リンク
202b 縦リンク
301 支持軸

Claims (10)

  1. 搭乗者が搭乗する搭乗席と、
    前記搭乗席を支持する本体部と、
    前記本体部を移動させる移動機構と、
    前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、
    前記計測信号に応じて、前記移動機構を駆動するための指令値を算出する制御計算部と、
    前記搭乗席をヨー軸周りに回転するヨー軸機構と、
    前記ヨー軸駆動機構をロール軸周りに回転するロール軸機構と、
    前記ヨー軸駆動機構をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備える移動体。
  2. 前記搭乗席に搭乗した搭乗者の動作によって前記搭乗席の座面に加わる力と同じ方向に、前記ロール軸機構、及び前記ピッチ軸機構が動作することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
  3. 前記ヨー軸機構、ロール軸機構、及びピッチ軸機構の少なくとも一つが、アクティブに動作することを特徴とする請求項1、又は2に記載の移動体。
  4. 前記車台の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
    前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ピッチ軸機構と、前記ロール軸機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移動体。
  5. 前記搭乗席の座面が水平になるように、前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ロール軸機構と、前記ピッチ軸機構とが動作する請求項4に記載の移動体。
  6. 搭乗者が搭乗する搭乗席と、
    前記搭乗席を支持する本体部と、
    前記本体部を移動させる移動機構と、
    前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、
    前記計測信号に応じて、前記移動機構を駆動するための指令値を出力する制御計算部と、
    前記搭乗席の座面が水平に近づくように、前記搭乗席をロール軸周りに回転するロール軸機構と、
    前記搭乗席の座面が水平に近づくように、前記搭乗席をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備える移動体。
  7. ロール軸機構、及びピッチ軸機構の少なくとも一つが、アクティブに動作することを特徴とする請求項6に記載の移動体。
  8. 前記移動体の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
    前記姿勢検出部からの出力に応じて、前記ピッチ軸機構、及び前記ロール軸機構を動作させることを特徴とする請求項7に記載の移動体。
  9. 搭乗者が搭乗する搭乗席と、
    前記搭乗席を支持する本体部と、
    前記本体部を移動させる移動機構と、
    前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、
    前記計測信号に応じて、前記移動機構を駆動するための指令値を算出する制御計算部と、
    前記搭乗席をヨー軸周りに回転するヨー軸機構と、
    前記ヨー軸駆動機構をロール軸周りに回転するロール軸機構と、
    前記ヨー軸駆動機構をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備える移動体の制御方法であって、
    前記センサで検出された前記ヨー軸周りのモーメントに基づいて、前記ヨー軸機構を駆動するための指令値を算出するステップと、
    前記センサで検出された前記ピッチ軸周りのモーメントに基づいて、前記ピッチ軸機構を駆動するための指令値を算出するステップと、
    前記センサで検出された前記ロール軸周りのモーメントに基づいて、前記ロール軸機構を駆動するための指令値を算出するステップとを備えた移動体の制御方法。
  10. 搭乗者が搭乗する搭乗席と、
    前記搭乗席を支持する本体部と、
    前記本体部を移動させる移動機構と、
    前記搭乗席の座面に加わる力に応じた計測信号を出力するセンサと、
    前記計測信号に応じて、前記移動機構を駆動するための指令値を出力する制御計算部と、
    前記移動体の姿勢に対応するを検出する姿勢検出部と、
    前記搭乗席をロール軸周りに回転するロール軸機構と、
    前記搭乗席をピッチ軸周りに回転するピッチ軸機構と、を備えた移動体の制御方法であって、
    前記姿勢検出部で検出されたロール軸周りの角度に基づいて、前記ロール軸機構を駆動するステップと、
    前記姿勢検出部で検出されたピッチ軸周りの角度に基づいて、前記ピッチ軸機構を駆動するステップとを備える移動体の制御方法。
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