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JP2010067771A - ダイシング−ダイボンディングテープ及び半導体チップの製造方法 - Google Patents

ダイシング−ダイボンディングテープ及び半導体チップの製造方法 Download PDF

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JP2010067771A JP2008232275A JP2008232275A JP2010067771A JP 2010067771 A JP2010067771 A JP 2010067771A JP 2008232275 A JP2008232275 A JP 2008232275A JP 2008232275 A JP2008232275 A JP 2008232275A JP 2010067771 A JP2010067771 A JP 2010067771A
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Abstract

【課題】レーザーダイシングによりダイボンディングフィルムを精度良く切断でき、かつ、レーザーダイシング後に、半導体チップをダイボンディングフィルムごと容易に剥離できるダイシング−ダイボンディングテープを提供する。
【解決手段】レーザーダイシング用のダイシング−ダイボンディングテープ1であって、ダイボンディングフィルム3と、ダイボンディングフィルム3の一方の面に貼り付けられた非粘着フィルム4とを有し、ダイボンディングフィルム3が、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含み、非粘着フィルム4は、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、非粘着フィルム4のゲル分率が60〜100%の範囲内にあるダイシング−ダイボンディングテープ1。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体チップの製造に用いられるダイシング−ダイボンディングテープに関し、より詳細には、レーザーダイシングによって、ダイボンディングフィルムが接合された半導体チップを得、半導体チップをダイボンディングするのに用いられるダイシング−ダイボンディグテープ、並びに該ダイシング−ダイボンディングテープを用いた半導体チップの製造方法に関する。
近年、半導体ウェーハから個々の半導体チップを得るために、先ダイシング法と称されているダイシング法が用いられてきている。
先ダイシング法では、先ず、半導体ウェーハの表面に切り込みを形成する。次に、切り込みが形成された半導体ウェーハの表面に、保護シートを貼り付ける。その後、半導体ウェーハの裏面を切り込み部分まで研削し、半導体ウェーハの厚みを薄くする。これにより、半導体ウェーハが個々の半導体チップに分割される。次に、先ダイシング法により得られた分割後半導体ウェーハの裏面に、ダイボンディングフィルム及びダイシングフィルムを貼り付ける。次に、分割後半導体ウェーハの表面から、保護シートを剥離する。その後、分割後半導体ウェーハの分割溝に沿って、ダイボンディングフィルムを切断する。切断後に、ダイボンディングフィルムごと半導体チップをダイシングフィルムから剥離することにより、ダイボンディングフィルム付き半導体チップが得られる。
上記のような先ダイシング法を用いた半導体チップの製造方法が、下記の特許文献1,2に開示されている。
特許文献1では、上記ダイボンディングフィルムとして接着フィルムが用いられている。この接着フィルムは、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂により形成されている。また、上記ダイシングフィルムとして、紫外線等の外的刺激によって粘着力が低下する性質を有するUVフィルムや、伸張可能なポリオレフィンフィルムが用いられている。
特許文献2では、上記ダイボンディングフィルムとして接着フィルムが用いられている。この接着フィルムは、ガラス転移温度が90℃以下の熱可塑性ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物により形成されている。また、上記ダイシングフィルムとしてピックアップフィルムが用いられている。このピックアップフィルムは、非粘着層と、該非粘着層の一方の面の外周縁に粘着剤層とを有する。上記非粘着層として、塩化ビニル樹脂フィルムが用いられている。上記粘着剤層は、アクリル樹脂系の粘着剤により形成されている。
特開2006−245467号公報 特開2007−220743号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接着フィルム及びダイシングフィルムを用いた場合、レーザー光の照射により接着フィルムを切断する際に、接着フィルムがダイシングフィルムに固着し、接着フィルム付き半導体チップをダイシングフィルムからピックアップできないことがあった。
また、特許文献2に記載の接着フィルム及びピックアップフィルムを用いた場合、接着フィルムとピックアップフィルムとの接着力が高すぎて、接着フィルム付き半導体チップをピックアップフィルムからピックアップできないことがあった。
また、特許文献1及び2ではいずれも、接着フィルムを切断する際に、ダイシングフィルムやピックアップフィルムに切り込みが形成されることがあった。ダイシングフィルムやピックアップフィルムに切り込みが形成されると、接着フィルム付き半導体チップをピックアップできなかったり、ピックアップが困難になったりすることがあった。これは、ピックアップの際に、ピックアップフィルムと接着フィルムとの界面に剥離起点ができにくいためである。
なお、特許文献2では、レーザー光の照射により接着フィルムを切断する際に、波長355nmのパルスレーザー光を照射することが記載されている。しかし、レーザー光の照射によるピックアップフィルムの切断性については、具体的に触れられていない。
本発明の目的は、レーザーダイシングする際に、非粘着フィルムに切り込みが形成され難く、ダイボンディングフィルムを精度良く切断でき、かつ、レーザーダイシングした後に、半導体チップをダイボンディングフィルムごと容易に剥離して、取り出すことができるダイシング−ダイボンディングテープ、並びに該ダイシング−ダイボンディングテープを用いた半導体チップの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、レーザーダイシングによりダイボンディングフィルムが接合された半導体チップを得、半導体チップをダイボンディングするのに用いられるレーザーダイシング用のダイシング−ダイボンディングテープであって、ダイボンディングフィルムと、前記ダイボンディングフィルムの一方の面に貼り付けられた非粘着フィルムとを有し、前記ダイボンディングフィルムが、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含み、前記非粘着フィルムは、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、前記非粘着フィルムのゲル分率が60〜100%の範囲内にあることを特徴とする、ダイシング−ダイボンディングテープが提供される。
なお、上記非粘着フィルムのダイボンディングフィルムが貼り付けられた面とは反対側の面には、例えば、ダイシングフィルムが貼り付けられて、レーザーダイシングが行われてもよい。あるいは、上記非粘着フィルム自体がダイシングフィルムとして用いられてもよい。上記のように、本発明の「ダイシング−ダイボンディングテープ」とは、レーザーダイシング及びダイボンディングに用いられるテープであり、上記ダイボンディングフィルムと非粘着フィルムとを必須の構成として含み、ダイシングフィルムを別途有していてもよく、有していなくてもよい。ダイシング−ダイボンディングテープがダイシングフィルムを有しない場合には、ダイシングに際しダイシングフィルムが別途用意される。該ダイシングフィルムが非粘着フィルムのダイボンディングフィルムが貼り付けられた面とは反対側の面に貼り付けられ、レーザーダイシングが行われる。この場合には、ダイシング−ダイボンディングテープは、ダイシングフィルムを有しなくてもダイシング時に用いられるため、ダイシング−ダイボンディングテープである。
本発明では、前記(メタ)アクリル樹脂組成物は、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを含むことが好ましい。この場合には、レーザー光の照射により非粘着フィルムに切り込みがより一層形成され難い。従って、ダイボンディングフィルムをより一層精度良く切断できる。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープのある特定の局面では、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの酸価は2以下である。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープの他の特定の局面では、前記(メタ)アクリル樹脂組成物は、アクリル基と反応可能な二重結合を有し、かつ重量平均分子量が100〜50000の範囲内にあるオリゴマーをさらに含む。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープのさらに他の特定の局面では、前記オリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ブタジエン骨格、ポリウレタン骨格、シリケート骨格、イソプレン骨格、ポリアルキル骨格、ポリアクリロニトリル骨格、ポリカーボネート骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有する。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープの別の特定の局面では、前記非粘着フィルムの25℃での貯蔵弾性率が1〜1000MPaの範囲内にあり、かつ60℃での貯蔵弾性率が1MPa以上である。
本発明のダイシング−ダイボンディングテープのさらに他の特定の局面では、前記非粘着フィルムの前記ダイボンディングフィルムが貼り付けられた面とは反対側の面に、ダイシングフィルムが貼り付けられている。
本発明の半導体チップの製造方法は、個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハを用意する工程と、本発明に従って構成されたダイシング−ダイボンディングテープを、前記ダイボンディングフィルム側から、個々の半導体チップに分割された前記半導体ウェーハの裏面に貼り付ける工程と、分割された前記半導体ウェーハの分割溝に沿って、前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程と、ダイシング後に、前記半導体チップが接合された前記ダイボンディングフィルムを前記非粘着フィルムから剥離し、ダイボンディングフィルムごと半導体チップを取り出す工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る半導体チップの製造方法のある特定の局面では、前記個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハを用意する工程が、半導体ウェーハの表面に、前記半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割するための切り込みを形成する工程と、切り込みが形成された前記半導体ウェーハの表面に保護シートを貼り付ける工程と、保護シートが貼り付けられた前記半導体ウェーハの裏面を研削し、前記半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割する工程とを備え、前記ダイシング−ダイボンディングテープを前記半導体ウェーハの裏面に貼り付ける工程の後、前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程の前に、前記半導体ウェーハの表面から保護シートを剥離する工程がさらに備えられる。
本発明に係る半導体チップの製造方法の他の特定の局面では、前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程において、レーザー光の照射により、前記非粘着フィルムが切断されることなく、かつ前記非粘着フィルムに切り込みが形成されることなく、前記ダイボンディングフィルムが切断される。
本発明に係る半導体チップの製造方法のさらに他の特定の局面では、前記個々の半導体チップに分割する工程において、前記ダイボンディングフィルムと前記非粘着フィルムとの間の剥離力を変化させることなく、半導体チップが取り出される。
なお、本明細書において剥離力を変化させないとは、例えば、光の照射や加熱によりダイシング−ダイボンディングテープのいずれかの層を硬化させて粘着力を下げることにより剥離力を変化させる工程、又は、いずれかの層を収縮させて剥離力を変化させる工程、あるいは、いずれかの層を発泡させて剥離力を変化させる工程等の剥離力を変化させる処理を実施しないことを意味する。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープは、ダイボンディングフィルムの一方の面に非粘着フィルムが貼り付けられており、非粘着フィルムが(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、かつ非粘着フィルムのゲル分率が60〜100%の範囲内にあるため、レーザーダイシングする際に、レーザー光の照射により非粘着フィルムに切り込みが形成されるのを抑制できる。従って、レーザー光の照射により、ダイボンディングフィルムを精度良く切断できる。
さらに、レーザーダイシングの後に、ダイボンディングフィルムを非粘着フィルムから、容易に剥離できる。このため、ダイシング後に、半導体チップをダイボンディングフィルムごと取り出す際に、ダイボンディングフィルムが欠けたり、半導体チップが破損したりするのを抑制できる。
本発明に係る半導体チップの製造方法では、ダイボンディングフィルムを精度よく切断できる。さらに、半導体チップが接合されたダイボンディングフィルムを、非粘着フィルムから容易に剥離し、取り出すことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a),(b)に、本発明の一実施形態に係るレーザーダイシング用のダイシング−ダイボンディングテープを部分切欠正面断面図及び部分切欠平面図で示す。
図1(a),(b)に示すように、ダイシング−ダイボンディングテープ1は、長尺状の離型フィルム2を有する。離型フィルム2の上面2aに、ダイボンディングフィルム3、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5がこの順に積層されている。ダイボンディングフィルム3の離型フィルム2が貼り付けられた表面3aは、半導体ウェーハが接合される面である。
ダイボンディングフィルム3、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5の平面形状は、円形である。ダイボンディングフィルム3の径は、非粘着フィルム4の径と異なっていてもよい。非粘着フィルム4の径は、ダイボンディングフィルム3の径よりも大きいことが好ましい。非粘着フィルム4の外周側面は、ダイボンディングフィルム3の外周側面よりも外側に張り出していることが好ましい。これらの場合には、ダイボンディングフィルム3に半導体ウェーハを接合する際に、非粘着フィルム4が設けられている位置に対応する部分に、半導体ウェーハを正確に位置合わせできる。また、半導体ウェーハをダイボンディングフィルム3に確実に接合できる。
ダイシングフィルム5は、基材5aと、基材5aの片面に塗布された粘着剤5bとを有する。ダイシングフィルム5は、非粘着フィルム4のダイボンディングフィルム3が貼り付けられた表面4aとは反対側の表面4bに、粘着剤5b側から貼り付けられている。ダイシングフィルム5は、非粘着フィルム4を介して、ダイボンディングフィルム3に間接的に貼り付けられている。
ダイシングフィルム5の径は、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4の径よりも大きい。このため、図1(b)に示すように、ダイシングフィルム5は、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4の外周縁を超えるように延ばされている延長部5cを有する。該延長部5cの一面が、粘着剤5bにより離型フィルム2の上面2aに貼り付けられている。すなわち、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4の外周縁よりも外側の領域において、ダイシングフィルム5が離型フィルム2の上面2aに貼り付けられている。
このように、ダイシングフィルム5の径は、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4の径よりも大きいことが好ましい。ダイシングフィルム5の外周側面は、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4の外周側面よりも外側に張り出していることが好ましい。これらの場合には、ダイシングフィルム5にダイシングリングを貼り付けることができる。ダイボンディングフィルム3の表面3aに半導体ウェーハを接合する際に、延長部5cに位置している粘着剤5bにダイシングリングを貼り付けることができる。また、ダイボンディングフィルム3に、半導体ウェーハを正確に位置合わせして貼り付けることができる。また、ダイシングリングと半導体ウェーハとを異なる層に貼り付けることができるので、ダイボンディングフィルム3とダイシングフィルム5とをそれぞれ最適な材料により構成できる。このため、切削性及びピックアップ性と、ダイシング後の接合信頼性とが高くなる。
また、非粘着フィルム4の外周側面は、ダイボンディングフィルム3により覆われていないことが好ましい。
図1(b)に示すように、長尺状の離型フィルム2の上面2aに、ダイボンディングフィルム3、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5からなる複数の積層体が等間隔に配置されている。離型フィルム2の上面2aに保護シート6,7が設けられている。保護シート6,7が設けられている場合には、ダイシング−ダイボンディングテープ1を例えばロール状に巻回されたときに、ダイボンディングフィルム3、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5に加わる圧力が、保護シート6,7により軽減される。なお、保護シート6,7は設けられていなくてもよい。
離型フィルム2の厚みや形状は特に限定されない。例えば正方形の形状の離型フィルムが用いられてもよい。離型フィルムの上面2aにダイボンディングフィルム、非粘着フィルム及びダイシングフィルムからなる1つの積層体のみが配置されていてもよい。また、上記積層体及び離型フィルムは、ロール状に巻回されていなくてもよい。また、ダイボンディングフィルム、非粘着フィルム及びダイシングフィルムの厚みや形状も特に限定されない。
ダイシング−ダイボンディングテープ1では、ダイボンディングフィルム3付き半導体チップを取り出す際に、ダイボンディングフィルム3と非粘着フィルム4との剥離力は、非粘着フィルム4とダイシングフィルム5との剥離力よりも小さいことが好ましい。この場合には、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から両者の界面で剥離しやすくなる。従って、ダイボンディングフィルム3ごと半導体チップを、非粘着フィルム4からより一層容易に剥離して、取り出すことができる。
ダイボンディングフィルム3付き半導体チップを取り出す際に、ダイボンディングフィルム3と非粘着フィルム4との剥離力は、15N/m以下であることが好ましく、7N/m以下であることがより好ましく、5N/m以下であることがさらに好ましい。剥離力が大きすぎると、非粘着フィルム4からのダイボンディングフィルム3の剥離が困難となることがある。剥離力の好ましい下限は、1N/mである。剥離力が小さすぎると、ダイシングの際にダイボンディングフィルム3が非粘着フィルム4から剥離する(チップ飛びという)ことがある。
(非粘着フィルム)
非粘着フィルム4は、ダイボンディングフィルム3と非粘着フィルム4との界面で、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から剥離するために設けられている。
非粘着フィルム4は、非粘着性を有する。なお、「非粘着性フィルム」には、表面が粘着性を有しないフィルムだけでなく、表面を指で触ったときにくっつかないフィルムをも含まれることとする。具体的には、「非粘着性フィルム」における「非粘着」とは、非粘着フィルムをステンレス板に貼り付けて、非粘着フィルムを300mm/分の剥離速度で剥離したときに、剥離力が5g/25mm幅以下であることを意味する。
本実施形態の特徴は、非粘着フィルム4が(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、さらに非粘着フィルム4のゲル分率が60〜100%の範囲内にあることにある。非粘着フィルム4が(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、かつ非粘着フィルム4のゲル分率が上記特定の範囲にあることによって、レーザー光の照射により非粘着フィルム4が局所的に加熱されても、非粘着フィルム4が溶融し難くなり、かつアブレーションが生じ難くなる。このため、レーザーダイシングする際に、非粘着フィルム4に切り込みが形成され難くなる。さらに、非粘着フィルム4が(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含むことによって、レーザーダイシング後のダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性を高めることができる。
非粘着フィルム4のゲル分率が60%未満であると、レーザー光の照射により非粘着フィルム4が局所的に加熱された際に、非粘着フィルム4が溶融したり、非粘着フィルム4に切り込みが形成されたりする。また、レーザーダイシング後のダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性が低下する。非粘着フィルム4のゲル分率は80〜100%の範囲内にあることが好ましく、90〜100%の範囲内にあることがより好ましく、95〜100%の範囲内にあることがさらに好ましい。
上記「ゲル分率」は、以下の方法により測定される。
非粘着フィルムを50mm×100mmの平面形状を有するように切断し、試験片を得る。この試験片を酢酸エチルに23℃で24時間浸漬する。その後、200メッシュのステンレス製メッシュを通して、試験片を酢酸エチルから取り出す。取り出された試験片を100℃で1時間乾燥する。酢酸エチルに浸漬する前の試験片の重量と、酢酸エチルに浸漬し、乾燥した後の試験片の重量とを測定し、下記式からゲル分率を算出できる。
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100
W1:酢酸エチルに浸漬する前の試験片の重量
W2:酢酸エチルに浸漬し、乾燥した後の試験片の重量
非粘着フィルム4は、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含む。すなわち、非粘着フィルムは、(メタ)アクリル樹脂組成物を架橋させた架橋体を主成分として含む。非粘着フィルム4は、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を50重量%以上含む。(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を用いた場合、非粘着フィルム4の表面エネルギーや貯蔵弾性率を容易に調整できる。さらに、レーザー光の照射により非粘着フィルム4に切り込みがより一層形成され難くなる。このため、ダイボンディングフィルム3をより一層精度良く切断できる。
また、上記(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を用いた場合には、レーザーダイシング後のダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性をより一層高めることができる。特に、薄型の半導体チップを用いた場合に、ダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性を顕著に高めることができる。さらに、上記(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を用いる場合、該架橋体を得るための(メタ)アクリル樹脂を適宜選択することにより、非粘着フィルム4の極性を低めたり、貯蔵弾性率を容易に制御したりすることができる。
さらに、(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物の架橋体を用いた場合には、ポリオレフィン系樹脂を含む架橋体を用いた場合に比べて、所望のゲル分率に容易に調整できるため、レーザーダイシングを行う際に、非粘着フィルム4に切り込みが形成され難くなる。
なお、「(メタ)アクリル」とはメタクリル又はアクリルを意味する。また、「架橋体」とは、3次元的に架橋された状態を意味する。
上記(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体は、(メタ)アクリル樹脂組成物を架橋させることにより得られる。(メタ)アクリル樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂と架橋剤とを含む。
上記(メタ)アクリル樹脂組成物は、上記(メタ)アクリル樹脂として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを用いた場合には、レーザーダイシング後に、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から剥離する際に、ダイボンディングフィルム3の欠けがより一層生じ難くなる。さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを用いた場合、非粘着フィルム4の貯蔵弾性率を容易に制御できる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーは特に限定されない。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることが好ましい。炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを用いた場合には、非粘着フィルム4の極性が充分に低くなる。このため、非粘着フィルム4の表面エネルギーを低くすることができ、ダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性をより一層高めることができる。アルキル基の炭素数が18を超えると、溶液重合が困難となり、非粘着フィルム4の製造が困難となることがある。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーのアルキル基の炭素数は、6以上であることが好ましい。炭素数が6以上であると、非粘着フィルム4の極性がより一層低くなる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主モノマーとして用いて得られたポリマーであることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーは、上記主モノマーと、官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させて得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーのアルキル基の炭素数は2以上であることがより好ましく、6以上であることが特に好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは特に限定されない。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する一級又は二級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸n−ステアリル又は(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、炭素数6以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが特に好ましい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとして、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、アクリル酸イソミリスチル又は(メタ)アクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
炭素数6以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを用いた場合、非粘着フィルム4の表面エネルギーを低くすることができる。さらに、ダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性をより一層高めることができる。
上記官能基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル又は(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーが挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、反応性二重結合を有する硬化型アクリル系ポリマーであることが好ましい。この場合には、該硬化型アクリル系ポリマーを含む(メタ)アクリル樹脂組成物を架橋させた架橋体の架橋密度を高めることができる。上記硬化型アクリル系ポリマーとして、反応性二重結合を側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有する硬化型アクリル系ポリマー等が挙げられる。アクリル系ポリマーに反応性二重結合を導入する方法は、特に制限されない。分子設計が容易であるため、上記反応性二重結合は、側鎖に導入されていることが好ましい。例えば、アクリル系ポリマーに官能基含有モノマーを共重合させた官能基含有アクリル系ポリマーを用意した後に、この官能基(以下、官能基Aともいう)と反応し得る官能基(以下、官能基Bともいう)、及び反応性二重結合を両方有する化合物(以下、化合物Cともいう)を、反応性二重結合が残存するように、上記官能基含有アクリル系ポリマーを縮合反応又は付加反応することによって導入する方法が挙げられる。
上記官能基Aと官能基Bとの組合せの例として、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、又は水酸基とイソシアネート基等の組合せが挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも、反応を容易に制御できるため、水酸基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせでは、どの官能基を上記官能基含有アクリル系ポリマーが含有してもよく、またどの官能基を上記化合物Cが含有してもよい。水酸基を有する官能基含有アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する上記化合物の組合せが好ましい。イソシアネート基及び反応性二重結合を有するイソシアネート化合物として、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、又はm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、上記水酸基を有する官能基含有アクリル系ポリマーは、アクリル系ポリマーに、上述の水酸基含有モノマー又は水酸基含有エーテル系化合物を共重合させることにより得られたアクリル系ポリマーであることが好ましい。上記水酸基含有エーテル系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル又はジエチレングルコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
上記改質用モノマーは特に限定されない。上記改質用モノマーは、カルボキシル基を含有するモノマーではないことが好ましい。カルボキシル基を含有するモノマーを使用すると、非粘着フィルム4の極性が高くなり、ピックアップ性に悪影響を及ぼすことがある。
上記改質用モノマーとして、例えば、二重結合を有するブタジエン、スチレン、イソプレン又はアクリロニトリル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの酸価は、2以下であることが好ましい。酸価が2以下であると、非粘着フィルム4の表面エネルギーを小さくすることができ、ダイボンディングフィルム3の非粘着フィルム4からの剥離性をより一層高めることができる。
上記酸価を2以下に調整する方法は特に限定されない。上記酸価を2以下に調整する方法としては、上記改質用モノマーとしてカルボキシル基を含有するモノマーを使用しない方法、又は重合反応過程においてエステルの加水分解が生じないように反応を調整する方法が好ましい。
上記「酸価」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマー1g中に含まれる遊離酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの重量平均分子量は、20万〜200万の範囲内にあることが好ましい。重量平均分子量が20万未満であると、塗工成形時に外観欠点を多量に生じることがある。重量平均分子量が200万を超えると、製造時に増粘しすぎてポリマー溶液を取り出すことができないことがある。
非粘着フィルム4を形成するための(メタ)アクリル樹脂組成物は、上記(メタ)アクリル樹脂の他に、アクリル基と反応可能な二重結合を有し、かつ重量平均分子量が500〜50000の範囲内にあるオリゴマーをさらに含むことが好ましい。このオリゴマーを用いた場合には、非粘着フィルム4からのダイボンディングフィルム3の剥離性がより一層高くなる。また、非粘着フィルム4の貯蔵弾性率をより一層容易に制御できる。上記オリゴマーの重量平均分子量が500未満であると、オリゴマーの配合による効果が充分に得られないことがある。上記オリゴマーの重量平均分子量が50000を超えると、非粘着フィルム4に対するダイボンディングフィルム3の剥離性が低下することがある。
上記オリゴマーは、柔軟性を有する骨格を有することが好ましい。柔軟性を有する骨格とは、例えば、上記オリゴマーのTgが25℃以下となる骨格をいう。上記柔軟性を有する骨格として、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ブタジエン骨格、ポリウレタン骨格、シリケート骨格、イソプレン骨格、ポリアルキル骨格、ポリアクリロニトリル骨格、ポリカーボネート骨格又はジシクロペンタジエン骨格等が挙げられる。
上記オリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ブタジエン骨格、ポリウレタン骨格、シリケート骨格、イソプレン骨格、ポリアルキル骨格、ポリアクリロニトリル骨格、ポリカーボネート骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも骨格を有することが好ましい。上記オリゴマーは、ポリエーテル骨格又はポリエステル骨格を有するアクリルオリゴマーであることがより好ましい。上記ポリエーテル骨格又はポリエステル骨格を有するアクリルオリゴマーとして、ポリプロピレンオキシドジアクリレート又はポリエーテル系ウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。このオリゴマーの市販品として、M−225(東亜合成社製)及びUN−7600(根上工業社製)等が挙げられる。
上記オリゴマーのアクリル基と反応可能な二重結合は特に限定されない。該二重結合を含む基として、(メタ)アクリル基、ビニル基又はアリル基等が挙げられる。中でも、アクリル基が好ましい。この場合には、非粘着フィルム4の貯蔵弾性率を所望の範囲に容易に制御できる。上記オリゴマーは、アクリル基と反応可能な二重結合を2以上有することが好ましい。
上記アクリル基と反応可能な二重結合は、上記オリゴマー1分子中に2個以上含有されていることが好ましい。上記アクリル基と反応可能な二重結合を有するオリゴマーは、加熱や光の照射により、上記(メタ)アクリル樹脂と架橋する。この架橋により、架橋体中に上記オリゴマーに由来する骨格が取り込まれる。このため、非粘着フィルム4の貯蔵弾性率を所望の範囲に容易に制御できる。
上記アクリル基と反応可能な二重結合は、分子の両末端に2個存在していてもよく、分子鎖の途中に存在していてもよい。中でも、分子の両末端のみに上記アクリル基と反応可能な二重結合性基が2個存在することが好ましく、分子の両末端のみにアクリル基が2個存在することがより好ましい。また、分子の両末端及び分子鎖中に上記アクリル基と反応可能な二重結合性基が存在することも好ましい。
上記ポリエーテル骨格として、例えばポリプロピレンオキシド骨格又はポリエチレンオキシド骨格等が挙げられる。
上記ポリエーテル骨格を有し、かつ分子の両末端のみにアクリル基を有するアクリルオリゴマーとして、ポリプロピレンオキシドジアクリレート又はポリエステル系ウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。この市販品として、UA340P及びUA4200(以上、いずれも中村化学工業社製)、並びにアロニックスM−1600及びアロニックスM−220(以上、いずれも東亜合成社製)等が挙げられる。
また、上記アクリルオリゴマーとして、3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーが好適に用いられる。3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーの骨格は適度な柔軟性を有する。ウレタンアクリルオリゴマーが3官能未満であると、柔軟性が低くなりすぎることがあり、10官能を超えると、柔軟性が高くなりすぎることがある。
上記3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーとして、ポリプロピレンオキシド主鎖のウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。上記3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーの市販品として、U−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−15HA、UA−32P、U−324A、U−108A、U−200AX、UA−4400、UA−2235PE、UA−160TM及びUA−6100(以上、いずれも新中村化学工業社製)並びにUN−7600、UN−7700、UN−333及びUN−1255(以上、いずれも根上工業社製)等が挙げられる。
上記オリゴマーの配合量は特に限定されない。オリゴマーを配合した効果を得るには、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマー100重量部に対して、上記オリゴマーは1重量部以上含有されることが望ましい。上記オリゴマーの配合量の好ましい上限は50重量部である。上記オリゴマーの量が多すぎると、原料が溶解せず、非粘着フィルム4の製造が困難になることがある。
両末端にアクリル基を有するオリゴマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマー100重量部に対して、オリゴマーは1〜100重量部含有されることが好ましく、1〜50重量部含有されることがより好ましい。多官能のウレタンアクリルオリゴマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマー100重量部に対して、オリゴマーは1〜50重量部含有されることが好ましく、1〜30重量部含有されることがより好ましい。
非粘着フィルム4は、紫外線吸収材を含有していてもよい。
非粘着フィルム4の作製方法は特に限定されない。この方法として、非粘着フィルム4を構成する材料を離型フィルム上に塗布し、光の照射及び加熱の内の少なくとも一方を行い、離型フィルム上に非粘着フィルム4を形成した後、離型フィルムを剥離する方法が挙げられる。
具体的には、先ず、上記(メタ)アクリル樹脂と、光重合架橋剤や熱重合架橋剤などの架橋剤と、その他必要に応じて配合される化合物とを含む(メタ)アクリル樹脂組成物を、離型フィルム上に塗布し、組成物層を形成する。そして、光の照射及び加熱の内の少なくとも一つの処理を行う。これにより、光硬化もしくは熱硬化により、又は光硬化及び熱硬化により、組成物層が硬化(架橋)され、硬化(架橋)した組成物層からなる非粘着フィルムが得られる。光重合開始剤や熱重合開始剤の配合量や、光硬化条件や熱硬化条件を調整することにより、上記特定の範囲のゲル分率を達成できる。中でも、光硬化を用いることが特に好ましい。光硬化を用いる場合、非粘着フィルム4のゲル分率や貯蔵弾性率をより一層容易に制御できる。
上記(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を得るのに用いられる架橋剤は特に限定されない。該架橋剤として、光重合架橋剤を用いてもよく、熱重合架橋剤を用いてもよい。なかでも、光重合架橋剤が好ましい。光重合架橋剤を用いた場合、モノマーを含む溶液の塗膜を形成した後、モノマーを室温で重合させることにより、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含む非粘着フィルムを容易に得ることができる。特に、非粘着フィルム4に、該非粘着フィルム4とは別にダイシングフィルム5を積層する場合には、光重合架橋剤を用いることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、上記架橋剤は0.01〜20重量部含有されることが好ましく、0.05〜10重量部含有されることがより好ましく、0.1〜5重量部含有されることがさらに好ましい。
上記光重合架橋剤は特に限定されない。上記光重合架橋剤として、例えば、光ラジカル発生剤又は光カチオン発生剤等を用いることができる。なかでも、光ラジカル発生剤が好ましい。光ラジカル発生剤を用いた場合には、非粘着フィルム4のゲル分率をより一層容易に制御できる。光ラジカル発生剤を用いる場合、(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、光ラジカル発生剤は0.01〜10重量部の範囲内で含有されることが好ましく、0.01〜1重量部の範囲内で含有されることがより好ましい。光ラジカル発生剤の量が少なすぎると、非粘着フィルムのゲル分率が60%未満になりやすい。光ラジカル発生剤の量が多すぎると、非粘着フィルムの作製の際に副反応が進行しやすくなる。さらに、非粘着フィルムに光ラジカル発生剤が残存し、非粘着フィルムの貯蔵安定性が低下することがある。
上記光ラジカル発生剤の市販品として、例えば、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア369及びイルガキュア379(以上、いずれもチバ・スペシャリティーケミカルズ社製)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、並びにルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。
上記光カチオン発生剤として、オニウム塩類又は有機金属錯体類を用いることができる。上記オニウム塩類として、例えば芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、又は芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記有機金属錯体類として、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、又はアリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。
上記光硬化に用いる光源として、光ラジカル発生剤等の反応波長に応じて、適宜の光源を用いることができる。光源として、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯又はメタルハライドランプ等が挙げられる。また、光の照射に際し、フィルターを用いて不要な波長成分を低減又は除去してもよい。これらの光源を複数組み合わせて用いてもよい。
上記光硬化に用いる光の照射エネルギーは、200〜10000mJ/cmの範囲内にあることが好ましい。光の照射エネルギーが低すぎると、非粘着フィルムのゲル分率が60%未満になることがある。光の照射エネルギーが高すぎると、光の照射時に非粘着フィルムの温度が高くなりすぎることがある。このため、離型フィルム上に非粘着フィルムを作製する場合に、離型フィルムが劣化するなど製造上の問題が生じることがある。
上記光硬化に用いる光の波長は、300nm〜450nmの範囲内にあることが好ましい。300nmよりも短波長の光を使用すると、取り扱いが困難になる。また、一光子当たりのエネルギーが高いため、非粘着フィルムの作製に際し、副反応がおこりやすい。450nmよりも長波長の光を使用すると、(メタ)アクリル樹脂の架橋反応が十分に進行しないため、非粘着フィルムのゲル分率が60%未満になることがある。光源を選択したり、光学フィルタを用いたりすることにより、光の波長を制御できる。
なかでも、光硬化の条件は、光源として超高圧水銀灯又はメタルハライドランプを用いて、主たる発光波長365nmの光を取り出し、20〜100mW/cmの照度で2〜500秒、光を照射する条件であることが好ましい。
上記熱重合架橋剤として、例えば、熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤として、有機過酸化物又はアゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、又はt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、又はジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、上記熱重合架橋剤は0.01〜10重量部の範囲内で含有されることが好ましい。熱重合架橋剤の量が少なすぎると、非粘着フィルムのゲル分率が60%未満になりやすい。熱重合架橋剤の量が多すぎると、非粘着フィルムの作製の際に副反応が進行しやすくなる。さらに、非粘着フィルムに光ラジカル発生剤が残存し、非粘着フィルムの貯蔵安定性が低下することがある。
上記熱硬化の条件は、60〜120℃で5〜30分間加熱する条件であることが好ましい。硬化温度が低すぎたり、硬化時間が短すぎたりすると、非粘着フィルムのゲル分率が60%未満になることがある。硬化温度が高すぎたり、硬化時間が長すぎたりすると、離型フィルム上に非粘着フィルムを作製する場合に、離型フィルムが熱により変形するなど製造上の問題が生じることがある。
非粘着フィルム4の厚みは特に限定されない。非粘着フィルム4の厚みは、30〜100μmの範囲内にあることが好ましい。厚みが30μm未満であると、充分なエキスパンド性が得られないことがあり、厚みが100μmを超えると、均一な厚みとすることが困難なことがある。厚みにばらつきがあると、半導体チップを製造する際にレーザーダイシングを適切に行えないことがある。
非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率は1〜1000MPaの範囲内にあることが好ましい。この場合には、室温で非粘着フィルム4が適度な硬さを有する。非粘着フィルム4の60℃での貯蔵弾性率は1MPa以上であることが好ましい。この場合には、加熱時において非粘着フィルム4が適度な硬さを有する。非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率が1〜1000MPaの範囲内にあり、かつ60℃での貯蔵弾性率が1MPa以上であることが好ましい。この場合には、室温及び加熱時の両方において非粘着フィルム4が適度な硬さを有する。このため、レーザーダイシングする際に、非粘着フィルム4に切り込みが形成され難くなり、かつ、レーザーダイシング後のダイボンディングフィルム3のダイシングフィルムからの剥離性を高めることができる。
非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率が1MPa未満であると、レーザー光の照射により非粘着フィルム4が局所的に加熱された場合に、非粘着フィルムが柔らかくなりすぎて溶融し、切り込みが形成されやすくなる。上記貯蔵弾性率が1000MPaを超えると、非粘着フィルムが硬すぎて、エキスパンド性が不足し、ピックアップ性が低下することがある。非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率のより好ましい上限は600MPa、さらに好ましい上限は400MPaであり、より好ましい下限は3MPaである。
非粘着フィルム4の60℃での貯蔵弾性率が1MPa未満であると、レーザー光の照射により非粘着フィルム4が局所的に加熱された場合に、非粘着フィルムが柔らかくなりすぎて溶融し、切り込みが形成されやすくなり、かつ非粘着フィルムとダイボンディングフィルムとが融着し、ダイボンディングフィルムの切断面が汚染されることがある。非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率のより好ましい上限は、500MPaである。非粘着フィルム4の25℃での貯蔵弾性率が500MPaを超えると、材料の選択性が狭く、かつピックアップ性が低下することがある。非粘着フィルム4の60℃での貯蔵弾性率のより好ましい下限は1.5MPaであり、さらに好ましい下限は10MPaである。
非粘着フィルム4のダイボンディングフィルム3が貼り付けられている表面4aの表面エネルギーは、40N/m以下であることが好ましい。非粘着フィルム4が非粘着性を有し、かつ表面4aの表面エネルギーが40N/m以下であると、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4からより一層容易に剥離できる。さらに、剥離の際に、ダイボンディングフィルム3の一部が欠けてフィルム片として分離し、該フィルム片が非粘着フィルム4に付着し難い。よって、ダイボンディングフィルム3の欠けが生じ難いので、ダイボンディングをより一層確実に行うことができる。
非粘着フィルム4の表面4aの表面エネルギーは、30〜35N/mの範囲内にあることがより好ましい。表面エネルギーが高すぎると、ピックアップ時に剥離不良が生じることがある。表面エネルギーが低すぎると、ダイシング時の水圧によってチップ飛びが発生することがある。
上記表面エネルギーは、例えば濡れ性試薬を用いて、JIS K6798に準拠して測定できる。
(ダイシングフィルム)
ダイシングフィルム5は、ダイシング−ダイボンディングテープをダイシングリングに貼り付けるために用いられている。また、ダイシングフィルム5は、ダイシングが行われた後のエキスパンド性を高めるために、あるいはダイボンディングフィルム3付き半導体チップのピックアップ性を高めるために用いられている。ダイシングフィルム5は、基材5aと、該基材5aの片面に塗布された粘着剤5bとを有する。ダイシング−ダイボンディングテープ1は、ダイシングフィルム5を備える。ただし、ダイシングフィルム5は必ずしも備えられていなくてもよい。
基材5aは特に限定されない。基材5aとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、又はポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。なかでも、エキスパンド性に優れ、環境負荷が小さいため、ポリオレフィン系フィルムが好適に用いられる。
粘着剤5bは特に限定されない。粘着剤5bとして、アクリル系粘着剤、特殊合成ゴム系粘着剤、合成樹脂系粘着剤又はゴム系粘着剤等が挙げられる。なかでも、感圧タイプとしてのアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤を用いた場合には、非粘着フィルム4に対する貼着力およびダイシングリングからの剥離性を高めることができ、かつコストを低減できる。なお、粘着剤5bは、例えばダイシングリングを貼り付けることができるように構成されていることが好ましい。
基材5aを構成する材料は、ポリオレフィン又はポリ塩化ビニルであることが特に好ましい。粘着剤5bは、アクリル系粘着剤又はゴム系粘着剤であることが好ましい。これらの好ましい材料を用いることにより、半導体チップのピックアップに際し、適度なエキスパンド性が得られる。
(ダイボンディングフィルム)
ダイボンディングフィルム3は、レーザーダイシングにより切断される。ダイボンディングフィルム3は、レーザーダイシング後に半導体チップごと取り出され、半導体チップのダイボンディングに用いられる。
ダイボンディングフィルム3は、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含む。ダイボンディングフィルム3は、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物により形成されている。熱硬化前の上記熱硬化性組成物は十分に柔らかく、従って外力により容易に変形する。もっとも、半導体チップを得た後に、ダイボンディングフィルム3に熱や光の照射エネルギーを与えて硬化させることで、基板等の被着体に半導体チップを強固に接合させることができる。
上記熱硬化性化合物は特に限定されない。上記熱硬化性化合物として、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ダイボンディングフィルム3は、熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーと、熱硬化剤とを含むことが好ましい。この場合には、ダイボンディングフィルム3を用いて接合された半導体チップと基板との間、あるいは複数の半導体チップ間における接合信頼性をより一層高めることができる。「エポキシ樹脂」とは、一般的には、1分子中にエポキシ基を2個以上もつ分子量300〜8000程度の比較的低分子のポリマー(プレポリマー)、およびそのエポキシ基の開環反応によって生じた熱硬化性樹脂を示す。
エポキシ樹脂100重量部に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーは10〜100重量部の範囲内で含有されることが好ましく、15〜50重量部の範囲内で含有されることがより好ましい。上記高分子ポリマーの量が多すぎると、流動性が不足して、ダイボンディングフィルム3と半導体ウェーハとの密着性が低下することがある。高分子ポリマーの量が少なすぎると、ダイボンディングフィルム3の成形時に外観不良を引き起こすことがある。
上記エポキシ樹脂は特に限定されない。上記エポキシ樹脂は、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であることが好ましい。多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を用いた場合、硬化物は剛直となり、分子の運動が阻害される。このため、硬化物の機械的強度、耐熱性及び耐湿性が高くなる。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂として、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又は3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。なかでも、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の具体例として、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。上記ナフタレン型エポキシ樹脂の具体例として、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン又は1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂の内のいずれか一方のみが用いられてもよい。上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂の双方が用いられてもよい。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は500であり、好ましい上限は1000である。重量平均分子量が500未満であると、硬化後の硬化物の機械的強度、耐熱性及び耐湿性等が十分に向上しないことがある。重量平均分子量が1000を超えると、硬化物が剛直になりすぎて、脆くなることがある。
上記エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーとして、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基又はエポキシ基等を有する高分子ポリマーが挙げられる。なかでも、エポキシ基を有する高分子ポリマーが好ましい。エポキシ基を有する高分子ポリマーを用いた場合、硬化物の可撓性が高くなる。
多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂と、エポキシ基を有する高分子ポリマーとを用いた場合、上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂により硬化物の機械的強度、耐熱性及び耐湿性が高くなるとともに、上記エポキシ基を有する高分子ポリマーにより硬化物の可撓性も高くなる。
上記エポキシ基を有する高分子ポリマーの重量平均分子量は10万〜200万の範囲内にあることが好ましい。該エポキシ基を有する高分子ポリマーは、末端及び側鎖(ペンダント位)の内の少なくとも一方にエポキシ基を有する高分子ポリマーであればよく、特に限定されない。上記エポキシ基を有する高分子ポリマーとして、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂又はエポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、硬化物の機械的強度や耐熱性が高くなるため、エポキシ基含有アクリル樹脂が好適に用いられる。これらのエポキシ基を有する高分子ポリマーは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤又はカチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤のなかでも、常温で液状の加熱硬化型硬化剤や、多官能であり、当量的に添加量が少量で良いジシアンジアミド等の潜在性硬化剤が好適に用いられる。これらの好ましい硬化剤を用いることにより、硬化前のダイボンディングフィルムの常温での柔軟性が高められ、かつハンドリング性が高められる。
上記常温で液状の加熱硬化型硬化剤の代表的なものとして、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤が挙げられる。なかでも、疎水化されているため、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好適に用いられる。酸無水物系硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
硬化速度や硬化物の物性等を調整するために、上記熱硬化剤とともに、硬化促進剤を用いてもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。上記硬化促進剤として、例えば、イミダゾール系硬化促進剤又は3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系を容易に制御できるため、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記イミダゾール系硬化促進剤は特に限定されない。上記イミダゾール系硬化促進剤として、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールや、イソシアヌル酸で塩基性を保護した商品名「2MAOK−PW」(四国化成工業社製)等が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
酸無水物系硬化剤と例えばイミダゾール系硬化促進剤等の硬化促進剤とを併用する場合は、酸無水物系硬化剤の添加量をエポキシ基の当量に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。酸無水物系硬化剤の添加量が過剰であると、水分により、熱硬化性樹脂組成物の硬化物から塩素イオンが溶出しやすくなるおそれがある。例えば、熱水を用いて、硬化後の硬化物から溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが4〜5程度まで低くなり、エポキシ樹脂から引き抜かれた塩素イオンが多量に溶出してしまうことがある。
アミン系硬化剤と例えばイミダゾール系硬化促進剤等の硬化促進剤とを併用する場合には、アミン系硬化剤の添加量をエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。アミン物系硬化剤の添加量が過剰であると、熱硬化性樹脂組成物の硬化物から水分により塩素イオンが溶出しやすくなるおそれがある。例えば、熱水を用いて、硬化後の硬化物から溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが高く、抽出水が塩基性となり、エポキシ樹脂から引き抜かれた塩素イオンが多量に溶出してしまうことがある。
上記熱硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形し、ダイボンディングフィルム3を得る方法は特に限定されない。ダイボンディングフィルム3を得る際に、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター又はグラビアコーター等が用いられる。なかでも、ダイボンディングフィルムの厚み精度が高められ、異物が混入したとしても筋状のむらなどが形成され難いので、グラビアコーターが好ましい。
ダイボンディングフィルム3の硬化前の25℃における貯蔵弾性率は、10〜10Paの範囲内にあることが好ましい。ダイボンディングフィルム3の貯蔵弾性率が低すぎると、自己形状保持性能が低下し、ピックアップ時にダイボンディングフィルムの欠けが生じることがある。ダイボンディングフィルム3の貯蔵弾性率が高すぎると、ダイボンディングフィルム3が非粘着フィルム4に充分に密着せず、ダイシング−ダイボンディングテープ1の作製が困難になることがある。
(離型フィルム)
離型フィルム2は、半導体ウェーハが貼り付けられるダイボンディングフィルム3の表面3aを保護するために用いられている。ただし、離型フィルム2は必ずしも用いられなくてもよい。
離型フィルム2は特に限定されない。離型フィルム2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、又はポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。なかでも、平滑性、厚み精度などに優れているため、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの合成樹脂フィルムが好ましい。これらのフィルムの片面は、シリコーン離型剤、又は長鎖アルキル基等を有する離型剤を用いて離型処理されていてもよい。
上記離型フィルムは、単層のフィルムであってもよく、上記フィルムが2以上積層された積層フィルムであってもよい。離型フィルムが積層フィルムである場合、上記フィルムのうち異なる2種以上が積層されていてもよい。
図2に、本発明の他の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを部分切欠正面断面図で示す。
図2に示すダイシング−ダイボンディングテープ11では、上述した離型フィルム2、ダイボンディングフィルム3及び非粘着フィルム4がこの順で積層されている。すなわち、ダイシング−ダイボンディングテープ11は、ダイシングフィルム5が別途設けられていないこと以外はダイシング−ダイボンディングテープ1と同様に構成されている。このように、ダイシングフィルム5は必ずしも設けられていなくてもよい。ダイシング−ダイボンディングテープ11では、非粘着フィルム4をダイシングフィルムとして用いてもよい。
図3に、本発明の別の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを部分切欠正面断面図で示す。
図3に示すダイシング−ダイボンディングテープ15は、非粘着フィルムの構成が異なることを除いては、ダイシング−ダイボンディングテープ1と同様に構成されている。ダイシング−ダイボンディングテープ15では、離型フィルム2、ダイボンディングフィルム3、非粘着フィルム16及びダイシングフィルム5がこの順で積層されている。
非粘着フィルム16は、非粘着性を有する。すなわち、第1の層17及び第2の層18は非粘着性を有する。また、非粘着フィルム16は、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、非粘着フィルム16のゲル分率は60〜80%の範囲内にある。
(半導体チップの製造方法)
次に、上述したダイシング−ダイボンディングテープ1を用いた場合の半導体チップの製造方法を図4〜図7を用いて以下説明する。
先ず、個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハ21を用意する。半導体ウェーハ21の裏面21bに、ダイシング−ダイボンディングテープ1を貼り付けることにより、図6に示す積層体20を得る。ダイシング−ダイボンディングテープ1を貼り付ける際に、離型フィルム2を剥離し、ダイボンディングフィルム3の表面3aを露出させた後、露出したダイボンディングフィルム3に半導体ウェーハ21を貼り付ける。
積層体20は、例えば以下の各工程を経て得ることができる。
先ず、図4(a)に示すように、図示しない回路が表面に形成された半導体ウェーハ21を用意する。半導体ウェーハ21の平面形状は円形である。半導体ウェーハ21の表面21aには、ストリートによってマトリックス状に区画された各領域に、個々の半導体チップを構成するための回路が形成されている。
次に、図4(b)に示すように、半導体ウェーハ21の表面21aに切り込み21cが形成されるように、半導体ウェーハ21を表面21a側からダイシングする。半導体ウェーハ21の表面21aには、個々の半導体チップ21Aに分割するための切り込み21cが形成される。ダイシングは、例えば、高速回転するブレードを備えるダイシング装置等を用いて行われる。
次に、図4(c)に示すように、半導体ウェーハ21の表面21aに、保護シート22を貼り付ける。その後、図4(d)に示すように、半導体ウェーハ21の裏面21bを研削し、半導体ウェーハ21の厚みを薄くする。ここでは、半導体ウェーハ21の裏面21bは、切り込み21c部分まで研削され、半導体ウェーハ21に分割溝21dが形成されている。半導体ウェーハ21の裏面21bは、切り込み21cが形成されている部分まで研削されることが好ましい。研削は、例えば研削磁石等を備えるグラインダなどの研削機を用いて行われる。研削時には、半導体ウェーハ21の表面21aに保護シート22が貼り付けられているので、回路に研削屑が付着しない。また、研削後に半導体ウェーハ21が個々の半導体チップ21Aに分割されても、複数の半導体チップ21A,21Aはばらばらにならずに保護シート22に貼り付けられたままである。
保護シート22として、グラインダ用粘着シートとして一般に知られているシートを使用できる。保護シート22として、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル又は塩化ビニルなどの基材に、例えば粘着剤を塗布したシートを使用できる。上記粘着剤はアクリル系粘着剤であることが好ましい。保護シート22は、アクリル系粘着剤を含むことが好ましい。
図5に示すように、個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハ21すなわち分割後半導体ウェーハ21は、複数の半導体チップ21A,21Aの集合体により形成されている。分割後半導体ウェーハ21の裏面21bに、図1に示すダイシング−ダイボンディングテープ1をダイボンディングフィルム3側から貼り付ける。その後、図6に示すように、半導体ウェーハ21の表面21aから保護シート22を剥離することにより、積層体20が得られる。
次に、図7に示すように、個々の半導体チップ21Aに分割された半導体ウェーハ21の分割溝21dに沿って、レーザーダイシングを行い、レーザー光の照射によりダイボンディングフィルム3を切断する。このとき、ダイシング−ダイボンディングテープ1が上記特定の非粘着フィルム4を備えるため、レーザーダイシングによって、ダイボンディングフィルム3に融着が生じ難い。また、非粘着フィルム4に切り込みが形成されることなく、ダイボンディングフィルム3のみを切断できる。
レーザーダイシングに使用されるレーザー光源は特に限定されない。ダイシング性とダイシング効率とを高めることができるので、光源として、Nd−YAGレーザーが好適に用いられる。中でも、第3高長波の355nmの波長の光を用いることが望ましい。355nmよりも長波長の光を照射する光源を用いた場合、加工のメカニズムとして熱的なモードが支配的になり、加工性が低下しやすくなる。また、ダイボンディングフィルム3と非粘着フィルム4とが融着しやすくなる。比較的短波長の光を照射する光源を用いた場合、エキシマレーザー等の高周波の光を照射できないことがあり、ダイシング効率が低下することがある。
レーザーダイシング後には、ダイボンディングフィルム3は個々のダイボンディングフィルム3に分割されている。ダイボンディングフィルム3は完全に切断され、ダイボンディングフィルム3に分割溝3bが形成されている。なお、レーザー光の照射により、非粘着フィルム4は切断されておらず、かつ非粘着フィルム4には切り込みが形成されていない。
ダイシング−ダイボンディングテープ1では、非粘着フィルム4が(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、かつ非粘着フィルム4のゲル分率が60〜100%の範囲内にあるため、レーザーダイシングの際に、レーザー光の照射により非粘着フィルム4に切り込みが形成され難く、半導体ウェーハ21とダイボンディングフィルム3とを精度良く切断できる。また、ダイシング−ダイボンディングテープ1では、非粘着フィルム4が(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含むため、レーザー光が照射されても溶着が生じ難い。
半導体ウェーハ21をレーザーダイシングし、個々の半導体チップに分割した後、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5を引き延ばして、分割された個々の半導体チップ21A,21Aの間隔を拡張する。ダイシング−ダイボンディングテープ1はダイシングフィルム5を有するため、エキスパンド性に優れ、非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5を容易に引き延ばすことができる。
非粘着フィルム4及びダイシングフィルム5を引き延ばした後に、半導体チップ21Aが接合された状態で、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から剥離して取り出す。このようにして、ダイボンディングフィルム3付き半導体チップ21Aを得ることができる。ダイシング−ダイボンディングテープ1を用いた場合には、ダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から、容易に剥離できる。このため、半導体チップ21Aをダイボンディングフィルム3ごと取り出す際に、半導体チップ21Aの破損を抑制できる。また、ダイボンディングフィルム3の一部が欠けてフィルム片として分離し、該フィルム片が非粘着フィルム4に付着するのを抑制できる。よって、得られた半導体チップ21Aには、欠けのないダイボンディングフィルム3が接合されているので、より一層確実にダイボンディングすることができる。
なお、半導体チップ21Aが接合されたダイボンディングフィルム3を非粘着フィルム4から剥離する方法として、半導体ウェーハ21の裏面21b側から、多数のピンを用いて突き上げる方法や多段ピンを用いて突き上げる方法、半導体ウェーハ21の表面21a側から真空ピールする方法、又は超音波振動を利用する方法等が挙げられる。
半導体チップの破損をより一層防止できるので、半導体ウェーハ21とダイボンディングフィルム3との接合面に対して略直交する方向に作用する力を付与することにより、ダイボンディングフィルム3が接合された状態で半導体チップを非粘着フィルム4から剥離することが好ましい。
ダイシング−ダイボンディングテープ1では、ダイボンディングフィルム3と、非粘着フィルム4との剥離性が高められている。従って、光照射等により剥離力を低下させる作業を行わなくても、ダイボンディングフィルムごと半導体チップを容易に取り出すことができる。すなわち、ダイシング−ダイボンディングテープ1では、例えば光の照射等により剥離力が低下するように非粘着フィルムを構成する必要はない。非粘着フィルムは、光照射等により剥離力が低下するものではないことが好ましい。非粘着フィルムが光照射等により剥離力が低下するものでない場合には、光照射等により剥離力を低下させる作業を行わなくてもよく、半導体チップの製造効率が高められる。なお、光の照射とは、自然光下に晒される場合を含まず、紫外線などを意図的に照射することをいう。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(1)ダイボンディングフィルム
(ダイボンディングフィルムA)
G−2050M(日本油脂社製、エポキシ基含有アクリル系高分子ポリマー、重量平均分子量Mw20万)15重量部と、EXA−7200HH(大日本インキ社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)80重量部と、HP−4032D(大日本インキ社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)5重量部と、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物系硬化剤)35重量部と、2MAOK−PW(四国化成社製、イミダゾール)8重量部と、S320(チッソ社製、アミノシラン)2重量部とを配合し、配合物を得た。この配合物を溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK)に固形分60%となるように添加し、攪拌し、塗液を得た。この塗液を離型フィルムに塗布し、110℃のオーブン内で3分間加熱乾燥し、離型フィルム上に厚み40μmのダイボンディングフィルムAを形成した。
(ダイボンディングフィルムB)
日立化成工業社製DF402
(2)非粘着フィルムを形成する材料
先ず、以下の(メタ)アクリル樹脂を合成した。
(ポリマー1)
2−エチルヘキシルアクリレート97重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を1.8重量部反応させて、(メタ)アクリル樹脂であるアクリル共重合体(ポリマー1)を得た。ポリマー1は、重量平均分子量が89万であり、酸価が0.58(mgKOH/g)であった。
(ポリマー2)
2−エチルヘキシルアクリレート99重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を0.9重量部反応させて、(メタ)アクリル樹脂であるアクリル共重合体(ポリマー2)を得た。ポリマー2は、重量平均分子量が73万であり、酸価が0.34(mgKOH/g)であった。
(ポリマー3)
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を7重量部反応させて、(メタ)アクリル樹脂であるアクリル共重合体(アクリルポリマー3)を得た。得られたポリマー3の重量平均分子量は92万であり、酸価は1.00(mgKOH/g)であった。
(3)ダイシングフィルム
(ダイシングフィルムDC1)
PEテープ#6318−B:積水化学社製、ポリエチレン基材の片面にゴム系粘着剤からなる粘着剤層が形成されたPEテープ、基材の厚み60μm、粘着剤層の厚み10μm
(実施例1)
得られたポリマー1と、U−324A(新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー)と、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製)とを下記の表1に示す割合で配合し、酢酸エチルに溶解し、溶液を得た。この溶液を、離型PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上にアプリケーターを用いて塗工した。さらに110℃のオーブン内で3分間加熱乾燥し、厚み50μmのフィルムを形成した。このフィルムに、高圧水銀灯下で、365nmの紫外線を、光の照射エネルギーが200mJ/cmとなるように照射した。このようにして(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体により形成された非粘着フィルムL1を得た。
離型フィルム上のダイボンディングフィルムAの表面に、非粘着フィルムL1を60℃でラミネートした。次に、非粘着フィルムL1のダイボンディングフィルムAが貼り付けられた面とは反対側の面に、ダイシングフィルムDC1を粘着剤側から貼り付けた。このようにして、離型フィルム/ダイボンディングフィルム/非粘着フィルム/ダイシングフィルムがこの順で積層されたダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例2)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから300mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL2を得た。非粘着フィルムL2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例3)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから400mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL3を得た。非粘着フィルムL3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例4)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから500mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL4を得た。非粘着フィルムL4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例5)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから750mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL5を得た。非粘着フィルムL5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例6)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから1000mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL6を得た。非粘着フィルムL6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例7)
ダイボンディングフィルムAをダイボンディグフィルムBに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例8)
得られたポリマー2と、U−324A(新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー)と、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製)とを下記表1に示す割合で配合し、酢酸エチルに溶解し、溶液を得た。この溶液を、離型PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上にアプリケーターを用いて塗工した。さらに110℃のオーブン内で3分間加熱乾燥し、厚み50μmのフィルムを形成した。このフィルムに、高圧水銀灯下で、365nmの紫外線を、光の照射量が200mJ/cmとなるように照射した。このようにして(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体により形成された非粘着フィルムL7を得た。
非粘着フィルムL1を非粘着フィルムL7に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例9)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから300mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL8を得た。非粘着フィルムL8を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例10)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから400mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL9を得た。非粘着フィルムL9を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例11)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから500mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL10を得た。非粘着フィルムL10を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例12)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから750mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL11を得た。非粘着フィルムL11を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例13)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから1000mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL12を得た。非粘着フィルムL12を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例14)
ダイボンディングフィルムAをダイボンディグフィルムBに変更したこと以外は、実施例13と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例15)
得られたポリマー3と、U−324A(新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー)と、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製)とを下記表2に示す割合で配合し、酢酸エチルに溶解し、溶液を得た。この溶液を、離型PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上にアプリケーターを用いて塗工した。さらに110℃のオーブン内で3分間加熱乾燥し、厚み50μmのフィルムを形成した。このフィルムに、高圧水銀灯下で、365nmの紫外線を、光の照射エネルギ−が200mJ/cmとなるように照射した。このようにして(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体により形成された非粘着フィルムL13を得た。
非粘着フィルムL1を非粘着フィルムL13に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例16)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから300mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL14を得た。非粘着フィルムL14を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例17)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから400mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL15を得た。非粘着フィルムL15を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例18)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから500mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL16を得た。非粘着フィルムL16を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例19)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから750mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL17を得た。非粘着フィルムL17を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例20)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから1000mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL18を得た。非粘着フィルムL18を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例21)
ダイボンディングフィルムAをダイボンディングフィルムBに変更したこと以外は、実施例20と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(比較例1)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから100mJ/cmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、非粘着フィルムL19を得た。非粘着フィルムL19を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(比較例2)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから100mJ/cmに変更したこと以外は実施例8と同様にして、非粘着フィルムL20を得た。非粘着フィルムL20を用いたこと以外は実施例8と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(比較例3)
紫外線を照射する際に、光の照射エネルギーを200mJ/cmから100mJ/cmに変更したこと以外は実施例15と同様にして、非粘着フィルムL21を得た。非粘着フィルムL21を用いたこと以外は実施例15と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(ダイシング−ダイボンディングテープの評価)
(1)非粘着フィルムのゲル分率
実施例1〜21及び比較例1〜3で用いた非粘着フィルムを用意した。上述の方法により非粘着フィルムのゲル分率を求めた。
(2)非粘着フィルムの25℃及び60℃での貯蔵弾性率
非粘着フィルムを厚さ0.5mm、幅5mm及び長さ3cmの大きさに切り出し、評価サンプルを得た。得られた評価サンプルについて、アイティ計測社製DVA−200を用いて、10Hz及び歪み0.1%の条件で、25℃及び60℃での貯蔵弾性率を測定した。
(3)レーザーダイシング性評価
直径12inch及び厚み50μmのシリコンウェーハであって、10mm×10mmのチップサイズ及びカーフ幅30μmに分割されているシリコンウェーハを用意した。ダイシング−ダイボンディングテープの離型フィルムを剥離し、露出したダイボンディングフィルムをシリコンウェーハの裏面に60℃の温度でラミネートし、評価サンプルを作製した。
レーザーダイシング装置(ディスコ社製、品番DFL7160)を用いて、波長355nmのパルスレーザー光をシリコンウェーハの上方から照射し、シリコンウェーハの分割溝に沿ってダイボンディングフィルムを切断した。切断後、切断部位を顕微鏡で観察し、下記の評価基準でレーザーダイシング性を判定した。
〔レーザーダイシング性の評価基準〕
○:非粘着フィルムに切り込みが形成されておらず、切断面に非粘着フィルムとダイボンディングフィルムとの間の融着が見られず、ダイボンディングフィルムを精度良く切断できた
△:非粘着フィルムにごく浅いが切り込みが形成されているか、又は切断面に非粘着フィルムとダイボンディングフィルムの界面に若干融着が見られた
×:非粘着フィルムに切り込みが形成されおり、かつ、切断面に非粘着フィルムとダイボンディングフィルムの界面に融着が見られ、平面視した際に切断線がきれいな直線ではなかった
(4)ピックアップ性の評価
上記のレーザーダイシング後に、ダイボンダーbestem D−02(キャノンマシーナリー社製)を用いて、コレットサイズ8mm角、突き上げ速度5mm/秒、及びエキスパンド4mmの各条件で、分割された半導体チップの連続ピックアップを行い、ピックアップの可否を評価した。さらに、ピックアップ後に、ピックアップされた5個の半導体チップについて4辺ずつ、計20辺においてダイボンディングフィルムの一部が欠けているか否かを観察した。辺に沿った長さが50μmより大きい欠けが存在しない辺の数を数えた。
結果を下記表1,2に示す。
Figure 2010067771
Figure 2010067771
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを示す部分切欠正面断面図及び部分切欠平面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図3は、本発明の別の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図4(a)〜(d)は、半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割する各工程を説明するための部分切欠正面断面図である。 半導体ウェーハの裏面に本発明の一実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープが貼り付けられており、半導体ウェーハの表面に保護シートが貼りつけられている状態を示す部分切欠正面断面図である。 半導体ウェーハの裏面に本発明の一実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープが貼り付けられている積層体を示す部分切欠正面断面図である。 図6に示す積層体のダイボンディングフィルムがレーザーダイシングにより切断された状態を説明するための正面断面図である。
符号の説明
1…ダイシング−ダイボンディングテープ
2…離型フィルム
2a…上面
3…ダイボンディングフィルム
3a…表面
3b…分割溝
4…非粘着フィルム
4a,4b…表面
5…ダイシングフィルム
5a…基材
5b…粘着剤
5c…延長部
6,7…保護シート
11…ダイシング−ダイボンディングテープ
15…ダイシング−ダイボンディングテープ
16…非粘着フィルム
16a,16b…表面
17…第1の層
18…第2の層
20…積層体
21…半導体ウェーハ
21a…表面
21b…裏面
21c…切り込み
21d…分割溝
21A…半導体チップ
22…保護シート

Claims (11)

  1. レーザーダイシングによりダイボンディングフィルムが接合された半導体チップを得、半導体チップをダイボンディングするのに用いられるレーザーダイシング用のダイシング−ダイボンディングテープであって、
    ダイボンディングフィルムと、前記ダイボンディングフィルムの一方の面に貼り付けられた非粘着フィルムとを有し、
    前記ダイボンディングフィルムが、熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含み、
    前記非粘着フィルムは、(メタ)アクリル樹脂組成物の架橋体を主成分として含み、
    前記非粘着フィルムのゲル分率が60〜100%の範囲内にあることを特徴とする、ダイシング−ダイボンディングテープ。
  2. 前記(メタ)アクリル樹脂組成物が、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーを含む、請求項1に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  3. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの酸価が2以下である、請求項1または2に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  4. 前記(メタ)アクリル樹脂組成物が、アクリル基と反応可能な二重結合を有し、かつ重量平均分子量が100〜50000の範囲内にあるオリゴマーをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  5. 前記オリゴマーが、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ブタジエン骨格、ポリウレタン骨格、シリケート骨格、イソプレン骨格、ポリアルキル骨格、ポリアクリロニトリル骨格、ポリカーボネート骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有する、請求項4に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  6. 前記非粘着フィルムの25℃での貯蔵弾性率が1〜1000MPaの範囲内にあり、かつ60℃での貯蔵弾性率が1MPa以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  7. 前記非粘着フィルムの前記ダイボンディングフィルムが貼り付けられた面とは反対側の面に、ダイシングフィルムが貼り付けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のダイシング−ダイボンディングテープ。
  8. 個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハを用意する工程と、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイシング−ダイボンディングテープを、前記ダイボンディングフィルム側から、個々の半導体チップに分割された前記半導体ウェーハの裏面に貼り付ける工程と、
    分割された前記半導体ウェーハの分割溝に沿って、前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程と、
    ダイシング後に、前記半導体チップが接合された前記ダイボンディングフィルムを前記非粘着フィルムから剥離し、ダイボンディングフィルムごと半導体チップを取り出す工程とを備えることを特徴とする、半導体チップの製造方法。
  9. 前記個々の半導体チップに分割された半導体ウェーハを用意する工程が、半導体ウェーハの表面に、前記半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割するための切り込みを形成する工程と、切り込みが形成された前記半導体ウェーハの表面に保護シートを貼り付ける工程と、保護シートが貼り付けられた前記半導体ウェーハの裏面を研削し、前記半導体ウェーハを個々の半導体チップに分割する工程とを備え、
    前記ダイシング−ダイボンディングテープを前記半導体ウェーハの裏面に貼り付ける工程の後、前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程の前に、前記半導体ウェーハの表面から保護シートを剥離する工程をさらに備える、請求項8に記載の半導体チップの製造方法。
  10. 前記ダイボンディングフィルムをレーザー光の照射により切断する工程において、レーザー光の照射により、前記非粘着フィルムが切断されることなく、かつ前記非粘着フィルムに切り込みが形成されることなく、前記ダイボンディングフィルムを切断する、請求項8または9に記載の半導体チップの製造方法。
  11. 前記半導体チップを取り出す工程において、前記ダイボンディングフィルムと前記非粘着フィルムとの間の剥離力を変化させることなく、半導体チップを取り出す、請求項8〜10のいずれか1項に記載の半導体チップの製造方法。
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