JP2010064664A - 舶用推進機 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子式のシフト機構部を備えた構成において、シフトアウト操作時にシフト機構部にかかる負荷を軽減することが可能な舶用推進機を提供する。
【解決手段】この舶用推進機(船外機1)は、エンジン2の駆動力をプロペラ3に伝達する伝達状態と、エンジンの駆動力をプロペラ3から遮断する遮断状態とを切り替えるための前後進切換機構部4と、前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを電気的に制御するECU5とを備えている。ECU5は、リモコンレバー103が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合に、エンジン2の回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、エンジン回転低下制御の開始後、所定の遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御するように構成されている。
【選択図】図5
【解決手段】この舶用推進機(船外機1)は、エンジン2の駆動力をプロペラ3に伝達する伝達状態と、エンジンの駆動力をプロペラ3から遮断する遮断状態とを切り替えるための前後進切換機構部4と、前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを電気的に制御するECU5とを備えている。ECU5は、リモコンレバー103が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合に、エンジン2の回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、エンジン回転低下制御の開始後、所定の遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御するように構成されている。
【選択図】図5
Description
この発明は、舶用推進機に関し、特に、エンジンの駆動力を推力発生部に伝達する伝達状態と、エンジンの駆動力を推力発生部から遮断する遮断状態とを切り替えるためのシフト機構部を備えた舶用推進機に関する。
従来、エンジンの駆動力をプロペラ(推力発生部)に伝達する伝達状態と、エンジンの駆動力をプロペラから遮断する遮断状態とを切り替えるためのシフト機構部を備えた船外機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1の船外機では、エンジンのクランク軸に連結されたドライブシャフトとプロペラの回転軸であるプロペラシャフトとの間に機械式の前後進切換機構(シフト機構部)が設けられている。この前後進切換機構は、船体に設置されたユーザが操作可能なシフト操作レバー(シフト操作部)と機械的に接続されており、シフト操作レバーの操作と連動して、前進および後進(伝達状態)と、ニュートラル(遮断状態)とを切り替えるように構成されている。上記特許文献1では、ユーザがシフト操作レバーを前進または後進からニュートラルに操作した場合(以下、「シフトアウト操作時」という)に、そのシフトアウト操作を検出してからできるだけ早くエンジンの点火プラグ(点火部)を失火制御することによりエンジン回転数を低下させることによって前後進切換機構(シフト機構部)にかかる負荷を軽減している。
また、従来、シフト操作レバーと前後進切換機構とが機械的に接続されずに、前後進切換機構がシフト操作レバーの位置情報を受信して、その受信データに基づいてシフト駆動モータなどのシフト駆動源により実際の切換駆動が行われる、いわゆるドライブバイワイヤ(DBW)方式の電子式シフト駆動機構が知られている。上記特許文献1の機械式のシフト機構部を前提とする構成をDBW方式による電子式シフト駆動機構に適用した場合、シフト操作レバーのシフトアウト操作を検出した直後に、エンジンの点火プラグの失火制御と、シフト駆動源の駆動とを開始する構成となる。
しかしながら、電子式シフト駆動機構において、上記のように、シフトアウト操作の直後に、エンジンの点火プラグの失火制御と、シフト駆動源の駆動とを開始する構成の場合、以下の問題点がある。すなわち、点火プラグはコイルに一定時間通電した後にその通電を解除することにより放電させて点火を行う構成であるので、シフトアウト操作を検出した時に既に通電中である場合には、その点火プラグについては失火させることができず、次の点火プラグから失火が開始されてしまう。このため、エンジンの点火プラグの失火制御の開始から、実際に点火プラグが失火し始めてエンジン回転数が低下するまでの間にタイミングの遅れが発生してしまう場合がある。このような場合に、シフトアウト操作の直後にシフト駆動源の駆動を開始すると、エンジン回転数が低下する前にシフト駆動源が駆動されてしまうので、シフト機構部のシフト駆動源およびシフト駆動部品に大きな負荷がかかってしまうという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電子式のシフト機構部を備えた構成において、シフトアウト操作時にシフト機構部にかかる負荷を軽減することが可能な舶用推進機を提供することである。
この発明の一の局面による舶用推進機は、エンジンと、エンジンの駆動力により水中において推力を発生させる推力発生部と、エンジンの駆動力を推力発生部に伝達する伝達状態と、エンジンの駆動力を推力発生部から遮断する遮断状態とを切り替えるためのシフト駆動源を含むシフト機構部と、伝達状態に対応する第1シフト位置と遮断状態に対応する第2シフト位置とにユーザがシフト操作可能に構成されたシフト操作部の位置に基づいて、シフト機構部のシフト駆動源を電気的に制御する制御部とを備え、制御部は、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合に、エンジンの回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、エンジン回転低下制御の開始後、所定の第1遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。
この一の局面による舶用推進機では、上記のように、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合(シフトアウト操作時)に、エンジンの回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、エンジン回転低下制御の開始後、所定の第1遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始する。これにより、シフトアウト操作を行ってからエンジン回転数が実際に低下するまでにタイミングの遅れが発生してしまう場合にも、確実に、エンジンの回転数が実際に低下し始めた後に、シフト駆動源を駆動して伝達状態から遮断状態への切り替えを開始することができるので、確実に、シフト機構部にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができる。これにより、シフトアウト操作時にシフト機構部(シフト駆動源およびシフト駆動部品)にかかる負荷を軽減することができる。また、シフト駆動源にかかる負荷を軽減することができるので、シフト駆動モータなどのシフト駆動源の消費電力を低減することができる。
上記一の局面による舶用推進機において、好ましくは、エンジンは、点火部により燃料を燃焼させて推力発生部の駆動力を発生させるように構成されており、エンジン回転低下制御は、点火部を一時的に失火制御することによって行われ、制御部は、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合に、失火制御を開始するとともに、失火制御の開始後の所定の第1遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。このように構成すれば、失火制御を行うことによってエンジン回転数を低下させる場合に、シフトアウト操作時にシフト機構部(シフト駆動源およびシフト駆動部品)にかかる負荷を軽減することができる。
上記エンジン回転低下制御を点火部を失火制御することによって行う構成において、好ましくは、所定の第1遅延時間は、失火制御を開始してから実際に点火部が失火し始めるまでの遅れ時間であり、制御部は、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された場合に、失火制御を開始するとともに、遅れ時間を予測し、予測した遅れ時間の経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。このように構成すれば、エンジンの状態により遅れ時間が変わる場合にも、予測した遅れ時間に基づいて、より適切なタイミングで伝達状態から遮断状態への切り替えを開始することができる。
上記遅れ時間を予測する構成において、好ましくは、制御部は、エンジン回転数が低下し始める初期の期間に伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。このように構成すれば、ユーザによるシフトアウト操作時の後、シフト駆動源の駆動の開始を遅れ時間分だけ遅らせても、出来るだけ早くシフトアウト(伝達状態から遮断状態への切り替え)を終了することができる。これにより、ユーザがシフトアウト操作を行ってから、実際にシフト機構部によりシフトアウトが実行されるまでの時間を短くすることができるので、シフト駆動源の駆動開始の遅れに起因してユーザがシフトアウトの実行の遅れを認識してしまうのを有効に抑制することができる。
上記遅れ時間を予測する構成において、好ましくは、所定の第1遅延時間は、失火制御を開始してから点火部が実際に失火し始めるまでの予測最大遅れ時間であり、制御部は、予測最大遅れ時間を算出するとともに、失火制御を開始してから予測最大遅れ時間の経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。このように構成すれば、確実に、点火部が失火し始めてエンジンの回転数が実際に低下し始めた後に、シフト駆動源を駆動して伝達状態から遮断状態への切り替えを開始することができる。これにより、確実に、シフト機構部にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができるので、シフトアウト操作時にシフト駆動部(シフト駆動源およびシフト駆動部品)にかかる負荷を軽減することができる。
上記予測最大遅れ時間の経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始する構成において、好ましくは、制御部は、エンジンの気筒数と、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された時のエンジン回転数とに基づいて、点火間隔を算出するとともに、点火間隔に基づいて、予測最大遅れ時間を算出するように構成されている。このように構成すれば、遅れ時間は点火間隔と連動して変化するので、点火間隔に基づいて予測最大遅れ時間を算出することによって、より適切な予測最大遅れ時間を得ることができる。
上記点火間隔に基づいて予測最大遅れ時間を算出する構成において、好ましくは、制御部は、点火部の点火毎に設定されるタイマーにより点火部を点火させるタイミングを決定するように構成されており、制御部は、エンジンの気筒数およびエンジンの回転数に加えて、タイマーの時間にも基づいて、予測最大遅れ時間を算出するように構成されている。このように構成すれば、点火毎にタイマーを設定して点火部を点火させるタイミングを決定する構成においても、適切な予測最大遅れ時間を算出することができる。
上記予測最大遅れ時間の経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始する構成において、好ましくは、エンジンは、複数の気筒を有しており、エンジン回転低下制御は、複数の気筒のうち、予め指定された所定の気筒の点火部を失火制御することによって行われ、制御部は、失火制御を開始してから予め指定された所定の気筒の点火部が実際に失火を開始するまでの予測最大遅れ時間を算出するように構成されている。このように構成すれば、複数の気筒のうち、予め指定された所定の気筒の点火部を失火制御することによってエンジン回転低下制御を行う場合にも、適切な予測最大遅れ時間を算出することができる。
上記第1の局面による舶用推進機において、好ましくは、制御部は、シフト操作部とは別個に設けられ、ユーザの操作に基づいてエンジンの回転数を所定の回転数に維持するエンジン回転指示部の状態に基づいて、エンジンの回転数を制御するように構成されており、制御部は、エンジン回転指示部の状態に基づいてエンジンの回転数を制御している場合に、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作された際に、シフト操作部が第1シフト位置から第2シフト位置に操作されてから第2遅延時間が経過した後にエンジンの回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、エンジン回転低下制御の開始後、第1遅延時間経過後に、伝達状態から遮断状態への切り替えを開始するようにシフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている。このように構成すれば、エンジン回転指示部の状態に基づいてエンジン回転数が高い回転数に維持されている状態でシフトアウト操作が行われた場合に、シフトアウト操作時からエンジン回転低下制御を行ったとしてもシフトアウト操作時から第1遅延時間が経過しただけではシフト切換動作時にエンジン回転数が充分に低下しない場合にも、第2遅延時間だけ遅延させた後に第1遅延時間を遅延させるので、エンジン回転数が充分に低下した状態で伝達状態から遮断状態への切り替えを開始することができる。これにより、エンジン回転指示部の状態に基づいてエンジン回転数が高い回転数に維持されている状態でシフトアウト操作が行われた場合にも、確実に、シフト機構部にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3は、本発明の第1実施形態による船外機の全体構成を示す図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による船外機1の構造を説明する。なお、第1実施形態では、本発明を舶用推進機の一例である船外機1に適用した例について説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態による船外機の全体構成を示す図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による船外機1の構造を説明する。なお、第1実施形態では、本発明を舶用推進機の一例である船外機1に適用した例について説明する。
図1および図2に示すように、船外機1は、船体100の船尾101にクランプブラケット102(図2参照)を介して上下方向および左右方向に揺動可能に取り付けられている。船外機1は、エンジン2と、エンジン2の駆動力により回転するプロペラ3と、前後進切換機構部4とを備えている。前後進切換機構部4は、エンジン2のクランク軸11の回転をプロペラシャフト3aに伝達する伝達状態(前進および後進)と、エンジン2の回転をプロペラシャフト3aから遮断する遮断状態(ニュートラル)とを切り替えることが可能である。エンジン2の回転および前後進切換機構部4は、エンジンコントロールユニット5(以下、ECU5という)により制御される。なお、プロペラ3、前後進切換機構部4およびECU5は、それぞれ、本発明の「推力発生部」、「シフト機構部」および「制御部」の一例である。
第1実施形態によるエンジン2は、4サイクルの4気筒のエンジンである。エンジン2は、図2に示すように、シリンダヘッド6とシリンダブロック7とから構成される4つのシリンダ8と、シリンダ8内で燃料と空気との混合気が燃焼されることにより各シリンダ8内を往復移動するピストン9とを含んでいる。ピストン9はコンロッド10を介して延びるクランク軸11に接続されている。ピストン9の往復運動は、コンロッド10およびクランク軸11により回転運動に変換される。また、クランク軸11の近傍にはクランク角センサ11aが取り付けられている。図3に示すように、クランク角センサ11aの出力値(クランク角信号)はECU5に入力されるように構成されており、ECU5はクランク角センサ11aの出力値に基づいて、エンジン回転数を算出するように構成されている。
また、クランク軸11の回転は、カム軸12aおよび12bに伝達されるように構成されている。カム軸12aおよび12bのそれぞれの回転により、各シリンダ8の吸気バルブ13aおよび排気バルブ13bが所定のタイミングで駆動されるように構成されている。また、排気バルブ13bから排気された排気ガスは、排気通路14を介して外部に放出されるように構成されている。シリンダ8の吸気口8aには、スロットルバルブ15が設けられた空気通路16が接続されている。スロットルバルブ15により空気通路16の空気の供給量が調整されるように構成されている。空気通路16内の温度は、吸気温センサ16aにより検出されるように構成されている。このスロットルバルブ15は、ECU5によって電子制御されるアクチュエータ15aによって駆動されるように構成されている。スロットルバルブ15の実際の開度は、スロットル開度センサ15bにより検出されるように構成されている。シリンダ8の吸気口8aの近傍には、燃料を噴射するインジェクタ17が設けられている。
シリンダ8には点火プラグ18が設けられており、点火プラグ18が放電されることによりシリンダ8内の混合気が燃焼されるように構成されている。具体的には、イグナイタ18aに所定時間(数msec)通電を行うことにより、イグナイタ18aのトランジスタがオンされて、点火コイル18bの1次コイル(図示せず)に1次電流が流れる。この1次電流を遮断すると、コイルの相互インダクタンス作用により、点火コイル18bの2次コイル(図示せず)に高電圧が発生して、点火プラグ18が放電する。ECU5によって電子制御されるイグナイタ18aにより、点火プラグ18は所定のタイミングで放電して点火を行うように構成されている。なお、点火プラグ18は、本発明の「点火部」の一例である。
また、クランク軸11の下端部はドライブシャフト19と接続されている。ドライブシャフト19の回転は、傘歯車機構20を介してプロペラ3が取り付けられたプロペラシャフト3aに伝達されるように構成されている。傘歯車機構20は、ドライブシャフト19の下端に装着された傘歯車20aと、ドライブシャフト19の回転を前進回転としてプロペラシャフト3aに伝達する前進用傘歯車20bと、ドライブシャフト19の回転を後進回転としてプロペラシャフト3aに伝達する後進用傘歯車20cとを含んでいる。前進用傘歯車20bおよび後進用傘歯車20cは、プロペラシャフト3aに対して自由回転するように構成されている。
第1実施形態では、前後進切換機構部4により、前進用傘歯車20bまたは後進用傘歯車20cのいずれかとプロペラシャフト3aとが接続された状態(伝達状態)と、前進用傘歯車20bおよび後進用傘歯車20cの両方がプロペラシャフト3aから遮断された状態(遮断状態)とに切り替えられる。前後進切換機構部4は、上下方向に延びる回転可能なシフトロッド4aと、シフトロッド4aの回転によりプロペラシャフト3aに沿って移動するドッグクラッチ4bと、ECU5により電子制御され、シフトロッド4aを回転駆動するシフト駆動モータ4cとを含んでいる。なお、シフト駆動モータ4cは、本発明の「シフト駆動源」の一例である。ドッグクラッチ4bは、プロペラシャフト3aと一体的に回転するとともに、プロペラシャフト3aに沿って移動可能にプロペラシャフト3aに取り付けられている。シフト駆動モータ4cが駆動されることによりシフトロッド4aを介してドッグクラッチ4bが移動することによって、前進用傘歯車20bの回転がドッグクラッチ4bを介してプロペラシャフト3aに伝達される前進状態と、後進用傘歯車20cの回転がドッグクラッチ4bを介してプロペラシャフト3aに伝達される後進状態と、前進用傘歯車20bおよび後進用傘歯車20cの両方の回転がプロペラシャフト3aに伝達されないニュートラル状態とに切り替えられるように構成されている。また、実際のシフト状態(前進状態、後進状態またはニュートラル状態)は、シフト位置センサ4dにより検出されるように構成されている。図3に示すように、シフト位置センサ4dの検出値(シフト位置信号)は、ECU5に入力され、ECU5は、シフト位置信号に基づいて、実際のシフト状態(前進状態、後進状態またはニュートラル状態)を認識している。
船体100には、スロットル開度およびシフトの切換を指示するためのリモコンレバー103、船体100の進行方向を変更するための操舵装置104および船体100の速度などが表示される表示部105などが設置されている。リモコンレバー103は、レバー103aを回動させることにより、ニュートラル、前進および後進の切換と、アクセル操作とを行うことが可能である。なお、リモコンレバー103は、本発明の「シフト操作部」の一例である。
リモコンレバー103には、ポテンショメータまたはエンコーダなどからなるレバー位置センサ103bが設けられている。図3に示すように、レバー103aの位置(回動角度)はレバー位置センサ103bにより検出されるとともに、レバー103aの位置(回動角度)を示すレバー位置信号がECU5に送信されるように構成されている。
ECU5は、各種のセンサの出力値に基づいて、エンジン2の制御を行うように構成されている。具体的には、ECU5は、クランク角センサ11a、レバー位置センサ103b、吸気圧センサ16aおよびスロットル開度センサ15bからの検出値に基づいて、スロットルバルブ15の開度、インジェクタ17の燃料噴射量、燃料噴射のタイミング、点火プラグ18の点火するタイミングなどを調整してエンジン2の回転の制御を行うように構成されている。また、ECU5は、レバー位置センサ103bおよびシフト位置センサ4dの検出値に基づいて、前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御することにより、シフト状態を前進状態、後進状態またはニュートラル状態のいずれかに切り替えるように制御するように構成されている。
ここで、第1実施形態では、ECU5は、前後進切換機構部4により前進状態または後進状態からニュートラル状態に切り替える際に、エンジン回転数を一時的に低下させるようにエンジン2を制御するように構成されている。エンジン回転数が低い状態でシフトアアウトを行うことにより、前進用傘歯車20bまたは後進用傘歯車20cとドッグクラッチ4bとの噛合いを弱い力で外すことが可能であるので、前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cにかかる負荷を軽減することが可能である。ここで、ECU5は、エンジン回転数を低下させるために、点火プラグ18の放電を一時的に停止させる失火制御を行うように構成されている。失火制御は、複数の気筒(第1実施形態では、4気筒)の各点火プラグ18の全部または一部に対して、所定の期間だけ点火をカットする制御である。失火制御は、リモコンレバー103のレバー103aが前進ノッチ位置Fまたは後進ノッチ位置Rからニュートラルノッチ位置Nに回動されたことが検知された時に開始されるとともに、シフト位置センサ4dがニュートラル状態になったことを検出した時に終了するように構成されている。
また、第1実施形態では、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの間に所定の遅れ時間が生じることを考慮して、ECU5は、失火制御の開始と同時にシフトアウト(シフト駆動モータ4cの駆動)を開始するのではなく、失火制御の開始からその遅れ時間分だけ遅延させた後にシフトアウト(シフト駆動モータ4cの駆動)を開始するようにシフト駆動モータ4cを制御するように構成されている。この失火制御を開始してから所定時間だけ遅延させた後にシフトアウト(シフト駆動モータ4cの駆動)を開始する制御については、後に詳細に説明する。
図4および図5は、それぞれ、第1実施形態によるECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのタイミングチャートおよびフローチャートである。次に、図2、図4および図5を参照して、第1実施形態による船外機1のECU5によるエンジン2および前後進切換機構部4の制御動作を説明する。なお、図5では、前進状態からニュートラル状態に切り替える場合について説明するが、後進状態からニュートラル状態に切り替える場合も同様である。
まず、図4のフローチャートを説明する前に、シフト状態の切換時の動作制御について説明する。ユーザが中央のニュートラルノッチ位置Nから矢印P方向に前進ノッチ位置Fまでレバー103aを回動させた場合には、ECU5は、シフト状態をニュートラル状態から前進状態に切り替えるように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御する。また、ユーザが前進ノッチ位置Fからさらに矢印P方向にレバー103aを回動させた場合には、ECU5は回動角度の増加とともにスロットル開度を増加させるようにスロットルバルブ15を制御する。なお、レバー103aがフルスロットル位置GFに位置する時に、ECU5は、スロットルバルブ15を全開にするように制御するように構成されている。ユーザが前進ノッチ位置Fからニュートラルノッチ位置Nまでレバー103aを回動させた場合には、ECU5は、シフト状態を前進状態からニュートラル状態に切り替えるように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御する。
同様に、ユーザが中央のニュートラルノッチ位置Nから矢印Q方向に後進ノッチ位置Rまでレバー103aを回動させた場合に、ECU5は、シフト状態をニュートラル状態から後進状態に切り替えるように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御する。ユーザが後進ノッチ位置RからさらにQ方向にレバー103aを回動させた場合には、ECU5は、回動角度の増加とともにスロットル開度を増加させるようにスロットルバルブ15を制御する。なお、レバー103aがフルスロットル位置GRに位置する時には、ECU5は、スロットルバルブ15を全開にするように制御する。ユーザが後進ノッチ位置Rからニュートラルノッチ位置Nまでレバー103aを回動させた場合には、ECU5はシフト状態を後進状態からニュートラル状態に切り替えるように前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを制御する。
シフト切換の際に、ECU5は、シフト位置センサ4dが切換の目標とするシフト状態(前進状態、後進状態またはニュートラル状態)を検出した場合にシフト切換を終了する。たとえば、後進状態からニュートラル状態に切り替える場合には、ECU5は、ニュートラル状態を切換の目標とするとともに、シフト位置センサ4dからのシフト位置信号に基づいてシフト状態が切換の目標であるニュートラル状態であることを検出した場合に、シフト駆動モータ4cの駆動を停止する。
上記のようなシフト状態の切換制御が行われる場合に、図4に示すように、ステップS1において、ECU5により、シフト位置センサ4dからのシフト位置信号に基づいて、現在のシフト状態が前進状態(または後進状態)か否かが判断される。シフト状態が前進状態(後進状態)でない場合(ニュートラル状態の場合)には、この判断が繰り返される。シフト状態が前進状態(後進状態)である場合には、ステップS2において、レバー103aが前進ノッチ位置Fからニュートラルノッチ位置Nに操作されたか否かが判断される。具体的には、図2および図5に示すように、前進ノッチ位置Fに位置していたレバー103aが時間t1においてユーザによりQ方向(図2参照)に回動される場合に、ECU5は、レバー103aが前進ノッチ位置FからQ方向に回動されるだけではレバー103aがニュートラルノッチ位置Nに操作されたとは認識せず、レバー103aがニュートラルノッチ位置Nの近傍の所定の位置まで回動された時(時間t2)に、ECU5はレバー103aがニュートラルノッチ位置Nに操作されたと認識する。これは、操作者がレバー103aをニュートラルノッチ位置Nに変更しようとして、途中で前進または後進に戻すようにレバー103aを操作した場合に、余計なシフト切換動作を行わないようにするためである。レバー103aが前進ノッチ位置Fからニュートラルノッチ位置Nに操作されていないと判断された場合には、ステップS1に戻る。なお、前進ノッチ位置Fおよび後進ノッチ位置Rは、本発明の「第1シフト位置」の一例であり、ニュートラルノッチ位置Nは、本発明の「第2シフト位置」の一例である。
レバー103aが前進ノッチ位置Fからニュートラルノッチ位置Nに操作されたと判断された場合には、ステップS3において、ECU5は、失火制御を開始する。すなわち、ECU5は、通常の点火制御を行っている際に、レバー103aが前進ノッチ位置Fからニュートラルノッチ位置Nに操作されたと判断した時(時間t2)に通常の点火制御から失火制御に切り替える。具体的には、ECU5は、失火制御を開始した時点(時間t2)からできるだけ早く点火プラグ18の点火を停止するようにイグナイタ18aを制御する。点火プラグ18の放電は、所定の時間分(数msec)通電した後に行われ、一度通電を開始した点火プラグ18の放電は停止することができないため、通電中に失火制御を開始した場合、実際に点火がカットされるのはその次に点火される予定の点火プラグ18となる。したがって、失火制御を開始(時間t2)してから実際に点火がカットされる(時間t3)までに所定の時間分(t3−t2)の遅れが生じる。
そして、ステップS4において、ECU5は、所定の時間が経過したか否かを判断する。この所定の時間は、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの予測時間であり、本発明の「第1遅延時間」の一例である。所定の時間は、予め設定された既定値でもよいし、センサ(クランク角センサ11aなど)の出力値と予め設定されたマップとから取得してもよいし、センサ(クランク角センサ11aなど)の出力値から算出してもよい。この遅れ時間は100msec〜150msec以下の時間である。この遅れ時間は、この遅れ時間と失火制御に要する時間との合計時間が、ユーザがリモコンレバー103の操作時にシフト駆動の遅れを感じない程度の時間になるように設定されている。所定の時間が経過していない場合には、ステップS5において、レバー103aがニュートラルノッチ位置Nから前進ノッチ位置F(または後進ノッチ位置R)に操作されたか否かが判断される。レバー103aがニュートラルノッチ位置Nから前進ノッチ位置F(または後進ノッチ位置R)に操作されていない場合には、ステップS4に戻る。レバー103aがニュートラルノッチ位置Nから前進ノッチ位置F(または後進ノッチ位置R)に操作された場合には、シフトの切換を行う必要がないので、ステップS6において、失火制御を停止するとともに、ステップS1に戻る。
また、ステップS4において所定の時間が経過したと判断された場合には、ステップS7において、シフト駆動が開始される。すなわち、第1実施形態では、ECU5は、失火制御を開始してから所定の時間だけ遅延させた後(遅延時間経過後)にシフト駆動を開始するように制御している。ECU5は、前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cを駆動することにより、ドッグクラッチ4bが前進用傘歯車20b(後進用傘歯車20c)と噛合った状態からドッグクラッチ4bが前進用傘歯車20bまたは後進用傘歯車20cから離れるように移動される。この時、点火プラグ18の点火がカットされていることによりエンジン回転数は低下しているので、シフトの切換の際に前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cにかかる負荷が軽減される。
次に、ステップS8において、ECU5は、シフト位置センサ4dの検出値に基づいて、実際のシフト状態がニュートラル状態か否かを判断する。実際のシフト状態がニュートラル状態でない場合には、ステップS9において、ECU5は、レバー103aが前進ノッチ位置Fまたは後進ノッチ位置Rに操作されたか否かが判断する。レバー103aが前進ノッチ位置Fまたは後進ノッチ位置Rに操作されていない場合には、ステップS8に戻り、レバー103aが前進ノッチ位置Fまたは後進ノッチ位置Rに操作された場合には、ステップS10において、ECU5は、失火制御およびシフト駆動を停止して、ステップS1に戻る。
ステップS8において実際のシフト状態がニュートラル状態に切り替えられた時(時間t4)に、ステップS11において、失火制御およびシフト駆動を停止するとともに、通常の点火制御が行われる。このようにして、ECU5は、シフト状態を前進状態または後進状態からニュートラル状態に切り替える制御を行う。
第1実施形態では、上記のように、エンジン回転低下制御(失火制御)の開始後に、所定の遅延時間経過後に、前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することによって、シフトアウト操作を行ってからエンジン回転数が実際に低下するまでにタイミングの遅れが発生してしまう場合にも、確実に、エンジン2の回転数が実際に低下し始めた後に、シフト駆動モータ4cを駆動して前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することができるので、確実に、前後進切換機構部4にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができる。これにより、シフトアウト操作時に前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cおよびシフト駆動部品(ドッグクラッチ4b、シフトロッド4aなど)にかかる負荷を軽減することができる。また、シフト駆動モータ4cにかかる負荷を軽減することができるので、シフト駆動モータ4cの消費電力を低減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、失火制御を開始後、所定の遅延時間経過後に点火プラグ18が実際に失火し始めた後に、前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することによって、失火制御を行うことによってエンジン回転数を低下させる場合に、シフトアウト操作時に前後進切換機構部4にかかる負荷を軽減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、エンジン回転数が低下し始める初期の期間に前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することによって、ユーザによるシフトアウト操作時の後、シフト駆動モータ4cの駆動の開始を遅れ時間分だけ遅延させても、出来るだけ早くシフトアウト(前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替え)を終了することができる。これにより、ユーザがシフトアウト操作を行ってから、実際に前後進切換機構部4によりシフトアウトが実行されるまでの時間を短くすることができるので、シフト駆動モータ4cの駆動開始の遅れに起因してユーザがシフトアウトの実行の遅れを認識してしまうのを有効に抑制することができる。
(第2実施形態)
図6および図7は、それぞれ、本発明の第2実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのフローチャートおよびタイミングチャートである。次に、図6および図7を参照して、この第2実施形態では、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間を算出する例を説明する。なお、第2実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第2実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
図6および図7は、それぞれ、本発明の第2実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのフローチャートおよびタイミングチャートである。次に、図6および図7を参照して、この第2実施形態では、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間を算出する例を説明する。なお、第2実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第2実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、ステップS3で失火制御を開始した後、図6のステップS12において、ECU5により、失火制御を開始した時のエンジン回転数と気筒数(第2実施形態では、4気筒)とに基づいて、失火制御を開始してから前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cの駆動を開始するまでの所定時間(遅延時間)を算出する。第2実施形態では、所定時間は、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの最大遅れ時間である。
図7に示すように、失火制御を開始した時点で第1気筒の点火プラグ18のイグナイタ18aに既に通電中の場合には、その第1気筒を失火させることはできないので、その次の第2気筒の通電をキャンセルすることにより第2気筒から実際に失火が開始される。したがって、この第2実施形態においては、失火制御を開始してから実際の失火が開始される時点(失火させる点火プラグ18の放電予定時点)までの最大遅れ時間は、点火間隔(第1気筒の点火タイミングと第2気筒の点火タイミングとの間隔)と、既知の通電時間(数msec)との和となる。点火間隔は、失火制御を開始した時点のエンジン回転数と、気筒数(4気筒)とから算出される。たとえば、4気筒4サイクルエンジンの場合には、エンジン1回転当たり2回の点火が行われるので、エンジン回転数が600rpmの場合には、点火間隔は50msecとなる。したがって、最大遅れ時間は、50msec+通電時間(数msec)となる。エンジン回転数が1200rpmの場合には、点火間隔は25msecとなる。したがって、最大遅れ時間は、25msec+通電時間(数msec)となる。失火制御を開始してから最大遅れ時間が経過した後(遅延時間経過後)にシフト駆動モータ4cの駆動を開始することにより、確実に、失火が実際に開始した後(エンジン回転数が低下し始めた後)にシフト駆動モータ4cの駆動を開始することが可能である。
第2実施形態では、上記のように、失火制御を開始してから点火プラグ18が実際に失火し始めるまでの予測最大遅れ時間を算出するとともに、失火制御を開始してから予測最大遅れ時間の経過後(遅延時間経過後)に、前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することによって、確実に、点火プラグ18が失火し始めてエンジン2の回転数が実際に低下し始めた後に、シフト駆動モータ4cを駆動して伝達状態から遮断状態への切り替えを開始することができる。これにより、確実に、前後進切換機構部4にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができるので、シフトアウト操作時に前後進切換機構部4にかかる負荷を軽減することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、エンジン2の気筒数と、リモコンレバー103が前進ノッチ位置Fまたは後進ノッチ位置Rからニュートラルノッチ位置Nに操作された時のエンジン回転数とに基づいて、点火間隔を算出するとともに、点火間隔に基づいて、予測最大遅れ時間(遅延時間)を算出することによって、遅れ時間は点火間隔と連動して変化するので、点火間隔に基づいて予測最大遅れ時間を算出することによって、より適切な予測最大遅れ時間(遅延時間)を得ることができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのフローチャートおよびタイミングチャートである。次に、図6および図8を参照して、この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、タイマーにより点火タイミングを決定する場合において、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間(遅延時間)を算出する例を説明する。なお、第3実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第3実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
図8は、本発明の第3実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのフローチャートおよびタイミングチャートである。次に、図6および図8を参照して、この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、タイマーにより点火タイミングを決定する場合において、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間(遅延時間)を算出する例を説明する。なお、第3実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第3実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、図6のステップS3で失火制御を開始した後、ECU5により、図6のステップS12において、失火制御を開始した時のエンジン回転数と気筒数(第3実施形態では、4気筒)と、タイマー時間とに基づいて、失火制御を開始してから前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cの駆動を開始するまでの所定時間(最大遅れ時間)を算出する。
第3実施形態では、シリンダ8におけるピストン9(図2参照)の上死点(TDC:Top Dead Center)から所定のクランク角度(たとえば、90度)だけ前の時点(BTDC90°:Before TDC90°)でタイマー(図8のハッチング部分)を設定し、そのタイマーが切れた時点で通電を開始して点火を行うように構成されている。図8に示すように、失火制御を開始した時点で第1気筒の点火プラグ18に対してタイマーが既に設定されている場合には、その点火プラグ18については失火させないように構成されている。これは、タイマーを解除することは可能である一方、そのタイマーを解除可能に構成した場合には、制御が複雑になるためである。また、上記第2実施形態と同様に、イグナイタ18aに既に通電中の場合には、その点火プラグ18を失火させることはできない。したがって、この第3実施形態においては、失火制御を開始してから実際の失火が開始される時点(失火させる点火プラグ18の放電予定時点)までの最大遅れ時間は、点火間隔(第1気筒の点火タイミングと第2気筒の点火タイミングとの間隔)と、既知の通電時間と、タイマーの設定時間との和となる。
点火間隔は、上記第2実施形態と同様に、失火制御を開始した時点のエンジン回転数と、気筒数(4気筒)とから算出される。また、タイマーの設定時間は、BTDC90°からTDCまで回転するまでの時間であるので、エンジン回転数から算出することが可能である。たとえば、エンジン回転数が600rpmの場合には、BTDC90°からTDCまで回転するまでの時間は25msecであり、点火間隔は50msecとなる。したがって、最大遅れ時間は、75msec+通電時間(数msec)となる。エンジン回転数が1200rpmの場合には、BTDC90°からTDCまで回転するまでの時間は12.5msecであり、点火間隔は25msecとなる。したがって、最大遅れ時間は、37.5msec+通電時間(数msec)となる。失火制御を開始してから最大遅れ時間が経過した後(遅延時間経過後)にシフト駆動モータ4cの駆動を開始することにより、確実に、失火が実際に開始した後(エンジン回転数が低下し始めた後)にシフト駆動モータ4cの駆動を開始することが可能である。
第3実施形態では、上記のように、点火プラグ18の点火毎に設定されるタイマーにより点火プラグ18を点火させるタイミングを決定するように構成されており、タイマーの時間にも基づいて、予測最大遅れ時間を算出することによって、点火毎にタイマーを設定して点火プラグ18を点火させるタイミングを決定する構成においても、適切な予測最大遅れ時間(遅延時間)を算出することができる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのタイミングチャートである。次に、図6および図9を参照して、この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、失火させる気筒が予め決められている場合において、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間を算出する例を説明する。なお、第4実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第4実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
図9は、本発明の第4実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのタイミングチャートである。次に、図6および図9を参照して、この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、失火させる気筒が予め決められている場合において、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの遅れ時間を算出する例を説明する。なお、第4実施形態による船外機の構造は、図1〜図3に示した上記第1実施形態による船外機と同様である。また、第4実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS3とステップS4との間にステップS12が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、ステップS3で失火制御を開始した後、ECU5により、図6のステップS12において、失火制御を開始した時のエンジン回転数と気筒数(第2実施形態では、4気筒)と、失火させる予定の点火プラグ18が点火するまでの点火する数とに基づいて、失火制御を開始してから前後進切換機構部4のシフト駆動モータ4cの駆動を開始するまでの所定時間(遅延時間)を算出する。第4実施形態では、所定時間は、失火制御を開始してから実際に失火が開始されるまでの最大遅れ時間である。
この例では、第1気筒および第4気筒が失火されるように予め設定されている。図9に示すように、失火制御を開始した時点で第1気筒の点火プラグ18のイグナイタ18aに既に通電中の場合には、その第1気筒を失火させることはできない。また、第2気筒および第3気筒は失火しないので、第4気筒の通電をキャンセルすることにより第4気筒から実際に失火が開始される。したがって、この第4実施形態においては、失火制御を開始してから実際の失火が開始される時点(失火させる点火プラグ18の放電予定時点)までの最大遅れ時間は、第1気筒から第4気筒までの点火間隔の合計と、既知の通電時間(数msec)との和となる。たとえば、4気筒4サイクルエンジンの場合には、1点火間隔は50msecとなり、第1気筒から第4気筒までの点火間隔の合計は、150msec(50msec×3)となる。したがって、最大遅れ時間は、150msec+通電時間(数msec)となる。
第4実施形態では、上記のように、失火制御を開始してから予め指定された所定の気筒の点火プラグ18が実際に失火を開始するまでの予測最大遅れ時間(遅延時間)を算出することによって、複数の気筒のうち、予め指定された所定の気筒の点火プラグ18を失火制御することによってエンジン回転低下制御を行う場合にも、適切な予測最大遅れ時間を算出することができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態による船外機を示す平面図である。次に、図2および図11を参照して、本発明の第5実施形態による船外機1aについて説明する。この第5実施形態では、上記第1実施形態と異なり、トロール可変機能を備えた船外機1aに本発明を適用した例を説明する。
図11は、本発明の第5実施形態による船外機を示す平面図である。次に、図2および図11を参照して、本発明の第5実施形態による船外機1aについて説明する。この第5実施形態では、上記第1実施形態と異なり、トロール可変機能を備えた船外機1aに本発明を適用した例を説明する。
第5実施形態では、図11に示すように、エンジン回転数を確認するためのゲージ部107が船体100aに設けられている。なお、ゲージ部107は、本発明の「エンジン回転指示部」の一例である。ゲージ部107にはボタン(図示せず)が設けられており、ユーザがこのボタンを押した場合に、船外機1aのECU5は、リモコンレバー103のレバー103aの位置によらずに、エンジン回転数がユーザが設定した所定の回転数(ユーザが目標とする回転数)に維持されるようにエンジン2を制御するトロール可変制御を行うように構成されている。具体的には、トロール可変制御時には、ECU5は、エンジン回転数が所定の回転数よりも低い場合にはスロットルバルブ15(図2参照)の開度を大きくし、エンジン回転数が所定の回転数よりも高い場合にはスロットルバルブ15の開度を小さくするようにアクチュエータ15aを制御するように構成されている。所定のエンジン回転数は、たとえば、アイドリング回転数よりも高い回転数である1000rpm〜3000rpmである。なお、ECU5は、ゲージ部107のボタンが押された場合に生成されるトロール可変制御指示信号を受信した場合にトロール可変制御を行うように構成されている。
図12および図13は、それぞれ、本発明の第5実施形態による船外機のECUによるエンジンおよび前後進切換機構部の制御動作を説明するためのフローチャートおよびタイミングチャートである。次に、図2および図11〜図13を参照して、第5実施形態による船外機1aのECU5によるエンジン2および前後進切換機構部4の制御動作を説明する。なお、図13では、前進状態からニュートラル状態に切り替える場合について説明するが、後進状態からニュートラル状態に切り替える場合も同様である。また、第5実施形態のフローチャートは、上記第1実施形態のフローチャートのステップS2とステップS3との間にステップS13〜ステップS15が行われる点以外は上記第1実施形態と同様である。
第5実施形態では、図12のステップS2においてレバー103aが前進ノッチ位置F(図2参照)からニュートラルノッチ位置Nに操作された場合(図13の時間t5)に、ステップS13において、ECU5は、トロール可変制御指示信号を受信しているか否かを判断することにより、トロール可変制御を実施中か否かを判断する。トロール可変制御を実施中でない場合には、ステップS3に進む。
また、トロール可変制御を実施中である場合には、ステップS14において、ECU5は、シフトアウト操作の検出時(時間t5)と同時に、トロール可変制御により開かれていたスロットルバルブ15(図2参照)を閉じるようにアクチュエータ15aの制御を開始する。そして、ステップS15において、ECU5は、ステップS2のレバー操作時から設定時間が経過したか否かが判断する。この設定時間は、トロール可変制御において設定されたエンジン回転数またはシフトアウト操作時のスロットル開度に対応する時間(t5からt2までの時間)であり、200msec〜300msec程度の時間である。なお、この設定時間は、本発明の「第2遅延時間」の一例である。設定時間が経過していない場合には、設定時間が経過するまでステップS14およびステップS15が繰り返される。この設定時間が経過するまでの間(時間t5からt2までの間)に、トロール可変制御において設定されていたエンジン回転数(アイドリング回転数よりも高い回転数)がアイドリング回転数付近まで低下する。
この後、上記第1実施形態と同様にステップS3〜ステップS11が行われる。
第5実施形態では、上記のように、トロール可変制御が行われている場合に、シフトアウト操作が行われた際に、設定時間(第2遅延時間)が経過した後に失火制御を開始するとともに、失火制御の開始してから遅延時間(第1遅延時間)が経過した後に、前進または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始する。これにより、トロール可変制御によりエンジン回転数が高い回転数に維持されている状態でユーザによりシフトアウト操作が行われた場合に、シフトアウト操作時から失火制御を行ったとしてもシフトアウト操作時から遅延時間(第1遅延時間)が経過しただけではシフト切換動作時にエンジン回転数が充分に低下しない場合にも、設定時間(第2遅延時間)だけ遅延させた後に遅延時間(第1遅延時間)を遅延させるので、エンジン回転数が充分に低下した状態で前進または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することができる。これにより、トロール可変制御によりエンジン回転数が高い回転数に維持されている状態でシフトアウト操作が行われた場合にも、確実に、前後進切換機構部4にかかる負荷が小さい状態でシフトアウトを実行することができる。
また、第5実施形態では、設定時間(第2遅延時間)を遅延させる分だけ上記第1実施形態と比べてシフト操作時から実際のシフト駆動の開始時までの時間が長くなるが、シフトアウト操作前のエンジン回転数が高く船体100aの速度が大きい状態でシフトアウト操作を行った場合には、ユーザはシフト駆動の遅れを感じにくい。すなわち、シフトアウト操作と同時にスロットルバルブ15が閉じられてエンジン回転数が落ちるので、船体100aの速度はシフトアウト操作と同時に低下し始める。したがって、船体100aの挙動は、シフトアウト操作と同時にシフト駆動を行った場合と略同様の挙動となるので、ユーザはシフト駆動の遅れを感じにくい。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、失火することによりエンジン回転数を低下させた例を示したが、本発明はこれに限らず、燃料の噴射を制限したり、空気の流量を制限することによりエンジン回転数を低下させてもよい。この場合にも、燃料噴射制御または空気流量制御を行ってから実際に燃料噴射の制限または空気流量の制限によるエンジン回転の低下が始まるまでに遅れ時間が発生するので、その遅れ時間に合わせてシフト駆動モータを駆動すればよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明を舶用推進機の一例としての船外機に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、船内機または船内外機に適用してもよい。さらに、インペラ(推力発生部)を備えたマリンジェット(登録商標)などの水ジェット推進艇に適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、レバー位置センサ103bの検出値をECU5が直接受信する例を示したが、本発明はこれに限らず、図10に示す変形例のように、船体100側にリモコン側ECU106を設け、レバー位置センサ103bの検出値をリモコン側ECU106を介してECU5に送信するように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、失火制御中に4気筒のうちの2気筒において失火させる例を示したが、本発明はこれに限らず、全ての気筒において失火させてもよい。また、上記第1〜第4実施形態では、4気筒エンジンを用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、1気筒エンジンを用いてもよいし、4気筒以外の多気筒エンジンを用いてもよい。
また、上記第2〜第4実施形態では、算出した最大遅れ時間(第1遅延時間)だけシフト駆動モータ4cの駆動の開始を遅延させる例を示したが、本発明はこれに限らず、正確な遅れ時間(失火制御を開始した時点から実際の失火開始時点までの時間)を算出して、その遅れ時間分だけシフト駆動モータ4cの駆動の開始を遅延させてもよい。これにより、エンジン2の状態により遅れ時間が変わる場合にも、予測した遅れ時間に基づいて、より良いタイミングで前進状態または後進状態からニュートラル状態への切り替えを開始することができる。
また、上記第1〜第4実施形態では、エンジン回転数が低下し始めるタイミングとしての実際に点火部が失火し始める時期を、実際の失火が開始される時点(失火された点火プラグが放電する予定のタイミング(放電予定時間))として説明したが、本発明はこれに限らず、実際に点火部が失火し始める時期を失火させる点火プラグの通電の開始時点としてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、前後進切換機構部4のドッグクラッチ4bをモータ(シフト駆動モータ4c)を用いて移動させてシフト状態の切換を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、他のシフト切換構造である場合には、モータ以外のシフト駆動源を用いてもよい。
また、上記第5実施形態では、本発明のエンジン回転指示部がゲージ部107により構成された例を示したが、本発明はこれに限らず、簡易的なスイッチにより構成されていてもよい。
1 船外機(舶用推進機)
1a 船外機(舶用推進機)
2 エンジン
3 プロペラ(推力発生部)
4 前後進切換機構部(シフト機構部)
4c シフト駆動モータ(シフト駆動源)
5 ECU(制御部)
8 シリンダ(気筒)
18 点火プラグ(点火部)
103 リモコンレバー(シフト操作部)
107 ゲージ部(エンジン回転指示部)
1a 船外機(舶用推進機)
2 エンジン
3 プロペラ(推力発生部)
4 前後進切換機構部(シフト機構部)
4c シフト駆動モータ(シフト駆動源)
5 ECU(制御部)
8 シリンダ(気筒)
18 点火プラグ(点火部)
103 リモコンレバー(シフト操作部)
107 ゲージ部(エンジン回転指示部)
Claims (9)
- エンジンと、
前記エンジンの駆動力により水中において推力を発生させる推力発生部と、
前記エンジンの駆動力を前記推力発生部に伝達する伝達状態と、前記エンジンの駆動力を前記推力発生部から遮断する遮断状態とを切り替えるためのシフト駆動源を含むシフト機構部と、
前記伝達状態に対応する第1シフト位置と前記遮断状態に対応する第2シフト位置とにユーザがシフト操作可能に構成されたシフト操作部の位置に基づいて、前記シフト機構部のシフト駆動源を電気的に制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作された場合に、前記エンジンの回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、前記エンジン回転低下制御の開始後、所定の第1遅延時間経過後に、前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、舶用推進機。 - 前記エンジンは、点火部により燃料を燃焼させて前記推力発生部の駆動力を発生させるように構成されており、
前記エンジン回転低下制御は、前記点火部を一時的に失火制御することによって行われ、
前記制御部は、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作された場合に、前記失火制御を開始するとともに、前記失火制御の開始後の所定の第1遅延時間経過後に、前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、請求項1に記載の舶用推進機。 - 前記所定の第1遅延時間は、前記失火制御を開始してから実際に前記点火部が失火し始めるまでの遅れ時間であり、
前記制御部は、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作された場合に、前記失火制御を開始するとともに、前記遅れ時間を予測し、予測した前記遅れ時間の経過後に、前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、請求項2に記載の舶用推進機。 - 前記制御部は、前記エンジン回転数が低下し始める初期の期間に前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、請求項3に記載の舶用推進機。
- 前記所定の第1遅延時間は、前記失火制御を開始してから前記点火部が実際に失火し始めるまでの予測最大遅れ時間であり、
前記制御部は、前記予測最大遅れ時間を算出するとともに、前記失火制御を開始してから前記予測最大遅れ時間の経過後に、前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、請求項3または4に記載の舶用推進機。 - 前記制御部は、前記エンジンの気筒数と、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作された時のエンジン回転数とに基づいて、点火間隔を算出するとともに、前記点火間隔に基づいて、前記予測最大遅れ時間を算出するように構成されている、請求項5に記載の舶用推進機。
- 前記制御部は、前記点火部の点火毎に設定されるタイマーにより前記点火部を点火させるタイミングを決定するように構成されており、
前記制御部は、前記エンジンの気筒数および前記エンジンの回転数に加えて、前記タイマーの時間にも基づいて、前記予測最大遅れ時間を算出するように構成されている、請求項6に記載の舶用推進機。 - 前記エンジンは、複数の気筒を有しており、
前記エンジン回転低下制御は、前記複数の気筒のうち、予め指定された所定の気筒の点火部を失火制御することによって行われ、
前記制御部は、前記失火制御を開始してから前記予め指定された所定の気筒の点火部が実際に失火を開始するまでの前記予測最大遅れ時間を算出するように構成されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載の舶用推進機。 - 前記制御部は、前記シフト操作部とは別個に設けられ、ユーザの操作に基づいて前記エンジンの回転数を所定の回転数に維持するエンジン回転指示部の状態に基づいて、前記エンジンの回転数を制御するように構成されており、
前記制御部は、前記エンジン回転指示部の状態に基づいて前記エンジンの回転数を制御している場合に、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作された際に、前記シフト操作部が前記第1シフト位置から前記第2シフト位置に操作されてから第2遅延時間が経過した後に前記エンジンの回転数を一時的に低下させるエンジン回転低下制御を開始するとともに、前記エンジン回転低下制御の開始後、前記第1遅延時間経過後に、前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始するように前記シフト機構部のシフト駆動源を制御するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の舶用推進機。
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