JP2010060610A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
で表される環状フェノール硫化物を含有してなる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有してなる、電子写真用トナーに関する。
で表される環状フェノール硫化物を含有する電子写真用トナーにおいて、結着樹脂として、軟化点が120℃以上のポリエステルを含有している点に大きな特徴を有しており、帯電立ち上がり性、ベタ追従性及び定着強度において、優れた特性を有する。これは、式(I)で表される環状フェノール硫化物を、後述の軟化点が120℃以上のポリエステルと併用することにより、トナーを製造する際に、結着樹脂と環状フェノール硫化物を含む混練物に適度な剪断力がかかり、環状フェノール硫化物の分散性を向上させることができるためと推定される。
で表されるサリチル酸化合物の金属化合物を含有していることが好ましい。かかるサリチル酸化合物の金属化合物を併用することにより、トナーの製造時にポリエステルと混練した際に、ポリエステルの一部がサリチル酸化合物の金属化合物によって架橋されて混練物の粘度が上昇するため、混練物にかかる剪断力が大きくなり、環状フェノール硫化物の分散性をより向上させることができる。なお、サリチル酸化合物の金属化合物は、金属塩及び金属錯体のいずれであってもよいが、本発明においては、トナーの飽和帯電量の向上の観点から、Yが亜鉛である、サリチル酸化合物の亜鉛錯体が好ましい。サリチル酸化合物の金属化合物は、無色であるため、カラートナーにおいても好適に使用することができる。
で表される化合物であるベンジル酸化合物の金属化合物を含有していることが好ましい。
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その温度から降温速度50℃/分で-10℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%電解液
分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個のトナー粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、及びオクチル酸錫(II)10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂A)を得た。樹脂Aの軟化点は111.4℃、吸熱の最高ピーク温度は71.0℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.6、ガラス転移点は68.5℃、酸価は3.2mgKOH/gであった。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2573g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1024g、テレフタル酸1011g、ドデセニルコハク酸360g、無水トリメリット酸282g、及びオクチル酸錫(II)10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂B)を得た。樹脂Bの軟化点は135.2℃、吸熱の最高ピーク温度は90.0℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.5、ガラス転移点は61.7℃、酸価は2.9mgKOH/gであった。
1,4−ブタンジオール1575g、1,6−ヘキサンジオール870g、フマル酸2950g、ハイドロキノン2g及びオクチル酸錫(II)10gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.3kPaにて、軟化点が110℃になるまで反応させ、冷却後、粉砕して、結晶性ポリエステル(樹脂a)を得た。樹脂aの軟化点は113℃、吸熱の最高ピーク温度は111℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.02、数平均分子量は6200、重量平均分子量は49000であった。
表1に示す結着樹脂及び荷電制御剤をヘンシェルミキサーにて1分間攪拌混合後、さらに、着色剤「ECR-101」(大日精化社製)2.0重量部、着色剤「Super Magenta R」(大日本インキ社製)4.0重量部、カルナバワックス「WAX-C1」(加藤洋行社製)2.5重量部及びフィッシャートロプシュワックス「FT-105」(日本精蝋社製)2.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサーにてさらに1分間攪拌混合後、オープンロール型混練機を用いて混練した。
トナー1.0gとキャリア(シリコーンコートフェライトキャリア、100μm)19.0gを50ml容のポリプロピレン容器に投入し、蓋をしてボールミルを用いて250r/minで30秒間混合し、混合されたデベロッパーをQ/m-meter(Epping社製)を用いてトナーの帯電量を測定した。その後、さらに9.5分間ボールミルで混合を行い、10分後のトナーの同様に帯電量を測定した。30秒後と10分後のトナーの帯電量比を算出し、帯電立ち上がり性を評価した。なお、帯電量比は、1.00に近いことが好ましい。結果を表1に示す。
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、温度25℃、相対湿度50%の環境下で12時間放置した後、白紙(0%)印字を行った。その後、感光体ドラム上に残存しているトナーをメンディングテープで写し取り、リファレンスとの画像濃度差ΔEを色差計「X-Rite」(X-Rite社製)にて測定し、カブリ(初期カブリ)を評価した。なお、ΔEは、1.5未満であることが好ましい。結果を表1に示す。
試験例2において、カブリを評価した後、3cm×8cmのベタパッチをXerox L紙(A4)にトナー付着量0.50mg/cm2に調整して印字し、未定着のまま取り出した。未定着の画像を「MicroLine3050」(沖データ社製)の定着器を改良した外部定着器にて、160℃の定着温度、100mm/secの定着速度で定着させた。その後、ベタパッチ部にメンディングテープを貼り付け、メンディングテープを静かに剥がし取った。メンディングテープを貼る前と剥がした後の画像濃度をそれぞれ測定し、それらの比(剥離後/貼付前×100)を算出することにより、定着強度を評価した。結果を表1に示す。定着強度は、90%以上が好ましい。
試験例3において、定着強度を評価した後、ベタ画像を100枚印字した。5枚目、10枚目、50枚目、80枚目、100枚目の画像におけるカスレの有無を目視で観察し、以下の評価基準に従って、ベタ追従性を評価した。結果を表1に示す。
A:100枚目までカスレが発生していない。
B:80枚目までカスレが発生しておらず、100枚目でカスレが見られる。
C:50枚目までカスレが発生しておらず、80枚目でカスレが見られる。
D:10枚目までカスレが発生しておらず、50枚目でカスレが見られる。
E:10枚目でカスレが見られる。
Claims (7)
- 軟化点が120℃以上のポリエステルが非晶質ポリエステルである、請求項1記載の電子写真用トナー。
- 結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステルを5〜40重量%含有してなる、請求項2記載の電子写真用トナー。
- 少なくとも、原料として、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有した結着樹脂と、該結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の式(I)で表される環状フェノール硫化物とを、混練する工程と得られた混練物を粉砕する工程を含む方法により得られる粉砕トナーである、請求項1〜5いずれか記載の電子写真用トナー。
- さらに、混練する工程の前に、結着樹脂及び式(I)で表される環状フェノール硫化物を含む荷電制御剤を混合した後、さらに、他の原料を混合する工程を含む、請求項6記載の電子写真用トナー。
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