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JP2010060610A - 電子写真用トナー - Google Patents

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JP2010060610A
JP2010060610A JP2008223359A JP2008223359A JP2010060610A JP 2010060610 A JP2010060610 A JP 2010060610A JP 2008223359 A JP2008223359 A JP 2008223359A JP 2008223359 A JP2008223359 A JP 2008223359A JP 2010060610 A JP2010060610 A JP 2010060610A
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polyester
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JP2008223359A
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Akihiro Sakaeda
栄田  朗宏
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

【課題】定着性、帯電性及びカブリ抑制及びベタ追従性が良好である電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、及び該結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の式(I):
Figure 2010060610

(式中、Xは−S−又は−S(=O)n−(nは1又は2である)で表される基、mは4〜9の整数を示す)で表される環状フェノール硫化物を含有し、前記結着樹脂が、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有してなる、電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
帯電性の良好な荷電制御剤として、特定の環状フェノール硫化物の混合物が特許文献1、2に開示されている。また、トナーに使用できる結着樹脂としてポリエステルも開示されている。
一方、特許文献3には、荷電制御剤として汎用されている四級アンモニウム塩化合物の分散性を向上させるために、湿式粉砕により特定のBET比表面積にした微細化四級アンモニウム塩化合物を使用する技術が提案されているが、生産性の観点から実際の工業生産に適用することは難しい。
国際公開第07/111346号パンフレット 国際公開第07/119797号パンフレット 特開2006−154026号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されている環状フェノール硫化物は、硬く、例えば1μm以下への小粒径化が困難であるため、結着樹脂との混練による結着樹脂中での分散性が低く、その帯電性を十分に発揮させることが困難である。さらに検討した結果、かかる硫化物の分散が不十分であると、定着強度が低下することも判明した。
本発明の課題は、煩雑な工程を加えることなく、良好な生産性での製造が可能であり、定着強度を維持しつつ、帯電の立ち上がり性、カブリ抑制及びベタ追従性が良好である電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂、及び該結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の式(I):
Figure 2010060610
(式中、Xは−S−又は−S(=O)n−(nは1又は2である)で表される基、mは4〜9の整数を示す)
で表される環状フェノール硫化物を含有してなる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有してなる、電子写真用トナーに関する。
本発明の電子写真用トナーは、煩雑な工程を加えることなく、良好な生産性での製造が可能であり、定着強度を維持しつつ、帯電の立ち上がり性、カブリ抑制及びベタ追従性が良好であるという優れた効果を奏するものである。
本発明は、式(I):
Figure 2010060610
(式中、Xは−S−又は−S(=O)n−(nは1又は2である)で表される基、mは4〜9の整数を示す)
で表される環状フェノール硫化物を含有する電子写真用トナーにおいて、結着樹脂として、軟化点が120℃以上のポリエステルを含有している点に大きな特徴を有しており、帯電立ち上がり性、ベタ追従性及び定着強度において、優れた特性を有する。これは、式(I)で表される環状フェノール硫化物を、後述の軟化点が120℃以上のポリエステルと併用することにより、トナーを製造する際に、結着樹脂と環状フェノール硫化物を含む混練物に適度な剪断力がかかり、環状フェノール硫化物の分散性を向上させることができるためと推定される。
式(I)で表される環状フェノール硫化物中、mが8である環状フェノール硫化物の含有量は、1モル%以上が好ましく、1.5モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましい。また、mが8である環状フェノール硫化物の含有量は1.5〜25モル%、mが4である環状フェノール硫化物の含有量は75〜98.5モル%であることが好ましい。より好ましくは、mが8である環状フェノール硫化物の含有量が2〜15モル%、mが4である環状フェノール硫化物の含有量が85〜98モル%である。これらの場合、mが8である環状フェノール硫化物とmが4である環状フェノール硫化物のみの混合物でもよいが、これ以外に、mが5である環状フェノール硫化物、mが6である環状フェノール硫化物、mが7である環状フェノール硫化物及びmが9である環状フェノール硫化物の1種又は2種以上を含有していてもよい。
式(I)で表される環状フェノール硫化物の市販品としては、「T-8」(X:−S−、mが8である環状フェノール硫化物の含有量が2〜15モル%、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
式(I)で表される環状フェノール硫化物の含有量は、帯電付与と定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であり、0.2〜3.0重量部が好ましく、0.3〜2.0重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、式(I)で表される環状フェノール硫化物以外の荷電制御剤を含有していてもよく、さらに、式(II):
Figure 2010060610
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子、直鎖又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基、Yはクロム、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム又はアルミニウム、pは2以上の整数、qは1以上の整数を示す)
で表されるサリチル酸化合物の金属化合物を含有していることが好ましい。かかるサリチル酸化合物の金属化合物を併用することにより、トナーの製造時にポリエステルと混練した際に、ポリエステルの一部がサリチル酸化合物の金属化合物によって架橋されて混練物の粘度が上昇するため、混練物にかかる剪断力が大きくなり、環状フェノール硫化物の分散性をより向上させることができる。なお、サリチル酸化合物の金属化合物は、金属塩及び金属錯体のいずれであってもよいが、本発明においては、トナーの飽和帯電量の向上の観点から、Yが亜鉛である、サリチル酸化合物の亜鉛錯体が好ましい。サリチル酸化合物の金属化合物は、無色であるため、カラートナーにおいても好適に使用することができる。
式(II)において、R2は水素原子が好ましく、R1及びR3は分岐鎖状のアルキル基が好ましくは、tert-ブチル基がより好ましい。
式(II)で表されるサリチル酸化合物の金属化合物の市販品としては、「ボントロンE-81」(R2:水素原子、R1及びR3:tert-ブチル基、Y:クロム、オリエント化学工業(株)製)、「ボントロンE-84」(R2:水素原子、R1及びR3:tert-ブチル基、Y:亜鉛、オリエント化学工業(株)製)、「E-304」(R2:水素原子、R1及びR3:tert-ブチル基、Y:亜鉛、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(R2:水素原子、R1及びR3:tert-ブチル基、Y:ジルコニウム、保土谷化学工業(株)製)、「ボントロンE-88」(R2:水素原子、R1及びR3:tert-ブチル基、Y:アルミニウム、オリエント化学工業(株)製)等が挙げられる。
式(II)で表されるサリチル酸化合物の金属化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、ポリエステルの架橋効果の観点から、0.1重量部以上が好ましく、定着性の観点から、3重量部以下が好ましい。従って、これらの観点から、式(II)で表されるサリチル酸化合物の金属化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、0.2〜2.0重量部がより好ましく、0.3〜1.5重量部がさらに好ましい。
また、式(II)で表されるサリチル酸化合物の金属化合物と式(I)で表される環状フェノール硫化物との重量比(サリチル酸化合物/環状フェノール硫化物)は、環状フェノール硫化物の分散性の観点から、3/7〜7/3が好ましく、4/6〜6/4がより好ましい。
また、トナーの帯電立ち上がり性の観点からは、本発明のトナーは、式(I)で表される環状フェノール硫化物以外の荷電制御剤として、式(III):
Figure 2010060610
(式中、Zはホウ素又はアルミニウム、sは2以上の整数、tは1以上の整数を示す)
で表される化合物であるベンジル酸化合物の金属化合物を含有していることが好ましい。
本発明では、式(III)で表されるベンジル酸化合物の金属化合物のなかでも、Zがホウ素である金属錯体化合物が好ましい。
式(III)で表されるベンジル酸化合物の金属化合物の市販品としては、「LR-147」(Z:ホウ素、日本カーリット社製)等が挙げられる。
式(III)で表されるベンジル酸化合物の金属化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、帯電立ち上がり性付与の観点から、0.1重量部以上が好ましく、飽和帯電量の低下防止の観点から、3重量部以下が好ましい。従って、これらの観点から、ベンジル酸化合物の金属化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、0.2〜2.0重量部がより好ましく、0.3〜1.5重量部がさらに好ましい。
式(III)で表されるベンジル酸化合物の金属化合物と式(I)で表される環状フェノール硫化物との重量比(ベンジル酸化合物/環状フェノール硫化物)は、トナーの帯電立ち上がり性の観点から、3/7〜7/3が好ましく、4/6〜6/4がより好ましい。
さらに、本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、環状フェノール硫化物、サリチル酸化合物の金属化合物及びベンジル酸化合物の金属化合物以外の荷電制御剤を含有していてもよい。
一方、結着樹脂において、前記ポリエステルの軟化点は、120℃以上であり、好ましくは120〜150℃、より好ましくは125〜140℃である(本ポリエステルを高軟化点ポリエステルともいう)。
高軟化点ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、トナー製造時、混練物に適切な粘度を与える観点から、20重量%以上であり、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。
さらに、本発明において、結着樹脂は、粉砕性の観点から、軟化点が120℃未満、好ましくは90℃以上、120℃未満、より好ましくは100〜115℃のポリエステルを含有していることが好ましい(本ポリエステルを低軟化点ポリエステルともいう)。
低軟化点ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、30〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルの結着樹脂中の重量比(高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステル)は、20/80〜70/30が好ましく、30/70〜60/40がより好ましい。高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルの軟化点の差は、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。
また、本発明において、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有している場合に、さらに帯電立ち上がり性が良好となり、べた追従性がより良好となる。これは、結晶性ポリエステルが非晶質ポリエステルよりも導電性が高いため、通常であれば結晶性ポリエステルの添加によりトナーの帯電量が低下するところが、前記環状フェノール化合物と併用することにより、トナー表面の環状フェノール化合物によって付与された電荷が速やかにトナー内部に移行し、さらなる電荷付与を促すため、帯電立ち上がり性が良く、良好な帯電レベルを維持するものと推測される。また、トナーの定着性も良好となる。
結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、適正な導電性付与の観点から5重量%以上が好ましく、また、保存耐久性の観点から、40重量%以下が好ましい。これらの観点から、結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、5〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜20重量%がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルと、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルの合計量の結着樹脂中の重量比〔結晶性ポリエステル/(高軟化点ポリエステル+低軟化点ポリエステル)〕は、5/95〜40/60が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、10/90〜20/80がさらに好ましい。
ポリエステルの結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で表わされ、一般にこの値が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が0.6〜1.4、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質ポリエステル」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が1.4より大きいか、0.6未満、好ましくは1.4より大きいポリエステルをいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
結晶性ポリエステルは、トナーの低温定着性の観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、なかでも炭素数2〜8のジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
アルコール成分には、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等のα,ω−直鎖アルカンジオール以外のアルコールが含まれていてもよい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、炭素数2〜8のジカルボン酸化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおける脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(脂肪族ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、さらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、真空反応時に蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.9以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満がより好ましい。
結晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のように脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択すればよい。なお、高出力のモーターを用いて、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、トナーの保存性及び生産性の観点から、好ましくは3,000〜10,000、より好ましくは4,000〜9,000である。
また、トナーの耐久性の観点から、結晶性ポリエステルは高分子量成分をある程度含有しているのが好ましいことから、結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは30,000〜100,000、より好ましくは40,000〜70,000である。結晶性ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
結晶性ポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は軟化点と20℃以内の差であること、即ち融点であることが好ましく、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、100〜140℃が好ましく、100〜130℃がより好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。
高軟化点ポリエステル及び低軟化点ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分を含む原料モノマーを縮重合させる通常の方法により得ることができるが、荷電制御剤の結着樹脂中の分散性の観点から、非晶質ポリエステルであることが好ましい。
非晶質ポリエステルも、結晶性ポリエステルと同様に、原料モノマーとしてアルコール成分とカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られるが、アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の式(IV):
Figure 2010060610
(式中、R4O及びOR4はオキシアルキレン基であり、R4はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール等の樹脂の非晶質化を促進させるモノマーが含有されていることが好ましい。
アルコール成分には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコールが含まれていてもよい。
式(IV)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、帯電安定性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
また、カルボン酸成分に含まれるジカルボン酸化合物としては、フマル酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の炭素数2〜30、好ましくは2〜8の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。また、ロジンや変性ロジン等もカルボン酸成分として挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整等のために、適宜含有されていてもよい。
非晶質ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で180〜250℃で縮重合させて得られる。
非晶質ポリエステルのガラス転移点は、溶融混練物の粉砕性及びトナーの保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
また、非晶質ポリエステルの酸価は、トナーの環境安定性の観点から、1〜50mgKOH/gが好ましく、2〜40mgKOH/gがより好ましい。
非晶質ポリエステル及び結晶性ポリエステルの製造に用いられるエステル化触媒としては、ジブチル錫オキシド、チタン化合物、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。
チタン化合物としては、Ti-O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。チタン化合物としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、(R5COO)2Sn(ここでR5は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R6O)2Sn(ここでR6は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R5COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクチル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
上記エステル化触媒は、その各々について2種以上組み合わせて使用することができる。
上記エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
結着樹脂としては、例えば、前記の高軟化点ポリエステル、低軟化点ポリエステル及び結晶性ポリエステル以外のポリエステル等の縮重合系樹脂、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられるが、ポリエステルの総含有量は、結着樹脂中、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
結着樹脂、荷電制御剤以外のトナー原料としては、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤が挙げられる。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
トナーの製造方法は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の公知のいずれの方法であってもよいが、本発明のトナーは、本発明の効果顕著に発揮されることから、少なくとも、原料として、結着樹脂と式(I)で表される環状フェノール硫化物とを混練する工程と得られた混練物を粉砕する工程を含む方法により得られる粉砕トナーであることが好ましく、例えば、粉砕トナーの場合、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、混練し、粉砕が可能な程度まで冷却した後、粉砕し、適宜分級して製造することができる。荷電制御剤の結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂及び式(I)で表される環状フェノール硫化物を含む荷電制御剤を混合機で混合した後、さらに、他の原料を加えて混合機で混合し、得られた混合物を混練機で混練することが好ましい。
原料の混練には、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の混練機を用いることができるが、本発明では、環状フェノール硫化物の分散性向上の観点から、混練にオープンロール型混練機を用いることが好ましい
原料の混練は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤等を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で適宜混合し、減算式スクリューフィーダー等を用いてオープンロール型混練機に投入して行うことができる。なお、原料は、混練機のロールをロール間で下向きに回転するように互いに逆方向に回転させたロールの上面又はその間隙に投入することが好ましい。
連続式オープンロール型混練機とは、混練部がオープン型であるものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが望ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機であることが好ましい。本発明においては、分散性の観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが望ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
高回転側ロールの原料投入側端部温度は100〜160℃が好ましく、低回転側ロールの原料投入側端部温度は35〜100℃が好ましい。
高回転側ロールと低回転側ロールにおける、原料投入側端部と混練物排出側端部の設定温度の差は、添加剤の分散性の観点から、0〜50℃であることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、4〜50m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は1〜90m/minが好ましく、2〜60m/minがより好ましく、2〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
2本のロールの間隙(クリアランス)は、混練の上流側端部で好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.1〜1mmである。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
原料混合物の供給速度及び平均滞留時間は、用いるロールのサイズや原料の組成等により異なるので、これらの条件により最適な条件を選択すればよい。
さらに、トナーには、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等の外添剤と、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌可能な混合機を用いて混合することによって、外添処理が施されていてもよい。
トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その温度から降温速度50℃/分で-10℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%電解液
分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個のトナー粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、及びオクチル酸錫(II)10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂A)を得た。樹脂Aの軟化点は111.4℃、吸熱の最高ピーク温度は71.0℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.6、ガラス転移点は68.5℃、酸価は3.2mgKOH/gであった。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2573g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1024g、テレフタル酸1011g、ドデセニルコハク酸360g、無水トリメリット酸282g、及びオクチル酸錫(II)10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂B)を得た。樹脂Bの軟化点は135.2℃、吸熱の最高ピーク温度は90.0℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.5、ガラス転移点は61.7℃、酸価は2.9mgKOH/gであった。
樹脂製造例3
1,4−ブタンジオール1575g、1,6−ヘキサンジオール870g、フマル酸2950g、ハイドロキノン2g及びオクチル酸錫(II)10gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.3kPaにて、軟化点が110℃になるまで反応させ、冷却後、粉砕して、結晶性ポリエステル(樹脂a)を得た。樹脂aの軟化点は113℃、吸熱の最高ピーク温度は111℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度は1.02、数平均分子量は6200、重量平均分子量は49000であった。
実施例1〜7及び比較例1〜6
表1に示す結着樹脂及び荷電制御剤をヘンシェルミキサーにて1分間攪拌混合後、さらに、着色剤「ECR-101」(大日精化社製)2.0重量部、着色剤「Super Magenta R」(大日本インキ社製)4.0重量部、カルナバワックス「WAX-C1」(加藤洋行社製)2.5重量部及びフィッシャートロプシュワックス「FT-105」(日本精蝋社製)2.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサーにてさらに1分間攪拌混合後、オープンロール型混練機を用いて混練した。
オープンロール型混練機として、ロール外径0.12m、有効ロール長0.8mの連続式二本ロール型混練機を使用した。連続式二本ロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)の周速度が75r/min(28.3m/min)、低回転側ロール(バックロール)の周速度が50r/min(18.8m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙は0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が145℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は10kg/時間であった。
得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ロートプレックス(東亜機械社製)にて粗粉砕を行った。
得られた粗粉砕物に、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製)1.0重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて1500回転/1分間混合し、流動槽式ジェットミル「AFG-400」(アルピネ社製)で粉砕し、ローター式分級機「TTSP」(アルピネ社製)で分級して、体積中位粒径(D50)が5.7μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子に、外添剤として疎水性シリカ「NY-50」(日本アエロジル社製)1.0重量部を10リットル容のヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて3000r/minで3分間攪拌し、トナーを得た。
試験例1〔帯電立ち上がり性〕
トナー1.0gとキャリア(シリコーンコートフェライトキャリア、100μm)19.0gを50ml容のポリプロピレン容器に投入し、蓋をしてボールミルを用いて250r/minで30秒間混合し、混合されたデベロッパーをQ/m-meter(Epping社製)を用いてトナーの帯電量を測定した。その後、さらに9.5分間ボールミルで混合を行い、10分後のトナーの同様に帯電量を測定した。30秒後と10分後のトナーの帯電量比を算出し、帯電立ち上がり性を評価した。なお、帯電量比は、1.00に近いことが好ましい。結果を表1に示す。
試験例2〔カブリ〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、温度25℃、相対湿度50%の環境下で12時間放置した後、白紙(0%)印字を行った。その後、感光体ドラム上に残存しているトナーをメンディングテープで写し取り、リファレンスとの画像濃度差ΔEを色差計「X-Rite」(X-Rite社製)にて測定し、カブリ(初期カブリ)を評価した。なお、ΔEは、1.5未満であることが好ましい。結果を表1に示す。
試験例3〔定着強度〕
試験例2において、カブリを評価した後、3cm×8cmのベタパッチをXerox L紙(A4)にトナー付着量0.50mg/cm2に調整して印字し、未定着のまま取り出した。未定着の画像を「MicroLine3050」(沖データ社製)の定着器を改良した外部定着器にて、160℃の定着温度、100mm/secの定着速度で定着させた。その後、ベタパッチ部にメンディングテープを貼り付け、メンディングテープを静かに剥がし取った。メンディングテープを貼る前と剥がした後の画像濃度をそれぞれ測定し、それらの比(剥離後/貼付前×100)を算出することにより、定着強度を評価した。結果を表1に示す。定着強度は、90%以上が好ましい。
試験例4〔ベタ追従性〕
試験例3において、定着強度を評価した後、ベタ画像を100枚印字した。5枚目、10枚目、50枚目、80枚目、100枚目の画像におけるカスレの有無を目視で観察し、以下の評価基準に従って、ベタ追従性を評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
A:100枚目までカスレが発生していない。
B:80枚目までカスレが発生しておらず、100枚目でカスレが見られる。
C:50枚目までカスレが発生しておらず、80枚目でカスレが見られる。
D:10枚目までカスレが発生しておらず、50枚目でカスレが見られる。
E:10枚目でカスレが見られる。
Figure 2010060610
以上の結果より、比較例1〜6と対比して、所定量の環状フェノール硫化物と所定量の高軟化点ポリエステルを併用した実施例1〜7のトナーは、帯電立ち上がり性、カブリ、定着強度のいずれにおいても良好な結果が得られていることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 結着樹脂、及び該結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の式(I):
    Figure 2010060610
    (式中、Xは−S−又は−S(=O)n−(nは1又は2である)で表される基、mは4〜9の整数を示す)
    で表される環状フェノール硫化物を含有してなる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有してなる、電子写真用トナー。
  2. 軟化点が120℃以上のポリエステルが非晶質ポリエステルである、請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. 結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステルを5〜40重量%含有してなる、請求項2記載の電子写真用トナー。
  4. さらに、式(II):
    Figure 2010060610
    (式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子、直鎖又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基、Yはクロム、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム又はアルミニウム、pは2以上の整数、qは1以上の整数を示す)
    で表されるサリチル酸化合物の金属化合物を含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
  5. さらに、式(III):
    Figure 2010060610
    (式中、Zはホウ素又はアルミニウム、sは2以上の整数、tは1以上の整数を示す)
    で表されるベンジル酸化合物の金属化合物を含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
  6. 少なくとも、原料として、軟化点が120℃以上のポリエステルを20重量%以上含有した結着樹脂と、該結着樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の式(I)で表される環状フェノール硫化物とを、混練する工程と得られた混練物を粉砕する工程を含む方法により得られる粉砕トナーである、請求項1〜5いずれか記載の電子写真用トナー。
  7. さらに、混練する工程の前に、結着樹脂及び式(I)で表される環状フェノール硫化物を含む荷電制御剤を混合した後、さらに、他の原料を混合する工程を含む、請求項6記載の電子写真用トナー。
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