JP2010043560A - 2サイクルエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガスに含まれる未燃焼ガスを大幅に低減させることができるとともに、小型で簡単な構造となり、製造コストを低減することができる2サイクルエンジンを提供することを課題とする。
【解決手段】シリンダ60内に装着されたピストン50と、燃焼室62に通じる排気通路と、クランク室10と燃焼室62とを連通させる掃気通路20,20と、クランク室10に通じる混合ガス吸入通路30及び空気吸入通路40,40とを備える2サイクルエンジン1Aであって、空気吸入通路40,40は、混合ガス吸入通路30よりも掃気通路20,20側でクランク室10の側部に開口しており、空気吸入通路40,40からクランク室10内に流入する空気が、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入する混合ガスよりも、掃気通路20,20側に流れ込むことを特徴としている。
【選択図】図4
【解決手段】シリンダ60内に装着されたピストン50と、燃焼室62に通じる排気通路と、クランク室10と燃焼室62とを連通させる掃気通路20,20と、クランク室10に通じる混合ガス吸入通路30及び空気吸入通路40,40とを備える2サイクルエンジン1Aであって、空気吸入通路40,40は、混合ガス吸入通路30よりも掃気通路20,20側でクランク室10の側部に開口しており、空気吸入通路40,40からクランク室10内に流入する空気が、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入する混合ガスよりも、掃気通路20,20側に流れ込むことを特徴としている。
【選択図】図4
Description
本発明は、チェンソー、刈払機、ブロワなどの小型作業機械に用いられる2サイクルエンジンに関する。
2サイクルエンジンは、シリンダ内に摺動自在に装着されたピストンと、シリンダの上部に形成された燃焼室に通じる排気通路と、クランク室と燃焼室とを連通させる掃気通路と、クランク室に通じる吸入通路と、を備えている。このような2サイクルエンジンでは、吸入通路からクランク室内に流入した燃料と空気の混合ガスを、掃気通路を通じて燃焼室内に流入させ、混合ガスを燃焼室内で燃焼させたときの膨張力によって、ピストンをシリンダ内で往復動させている。
2サイクルエンジンでは、ピストンが上昇すると、クランク室内の圧力が低下し、吸入通路からクランク室内に混合ガスが流入する(吸入行程)。ピストンが上死点に到達し、燃焼室内で混合ガスを燃焼させたときの膨張力によってピストンが下降すると、排気通路がシリンダの上部燃焼室側に開口し、燃焼室内の燃焼ガスが排気通路に排気される(排気行程)。また、排気行程の後に、さらにピストンが下降すると、掃気通路がシリンダの上部燃焼室側に開口して、クランク室内の混合ガスが掃気通路を通じて燃焼室内に流入する(掃気行程)。
2サイクルエンジンの掃気行程では、排気通路と掃気通路の両方がシリンダの上部燃焼室側に開口するため、燃焼室内の燃焼ガスとともに、掃気通路からシリンダ内に流入した未燃焼の混合ガスも排気通路に排気される「吹き抜け」が生じる場合がある。そして、エンジンから排出される排気ガスに含まれる未燃焼ガスが増加すると、排気ガスに含まれる炭化水素量が増加することになる。
そこで、クランク室に通じる混合ガス吸入通路と、掃気通路内に通じる空気吸入通路とを形成し、吸入行程において、空気吸入通路から掃気通路内に空気を流入させるとともに、混合ガス吸入通路からクランク室内に混合ガスを流入させている層状掃気2サイクルエンジンがある(例えば、特許文献1参照)。
このような層状掃気2サイクルエンジンでは、吸入行程において、掃気通路内には空気吸入通路からの空気が充填され、掃気行程において、掃気通路内に充填された空気が混合ガスよりも先行して燃焼室内に流入し、空気が混合ガスよりも先行して排気通路に到達することになる。したがって、掃気行程において、未燃焼の混合ガスが排気通路に排気される量を大幅に低減することができ、排気ガス中の炭化水素量を低減することができる。
このような層状掃気2サイクルエンジンでは、吸入行程において、掃気通路内には空気吸入通路からの空気が充填され、掃気行程において、掃気通路内に充填された空気が混合ガスよりも先行して燃焼室内に流入し、空気が混合ガスよりも先行して排気通路に到達することになる。したがって、掃気行程において、未燃焼の混合ガスが排気通路に排気される量を大幅に低減することができ、排気ガス中の炭化水素量を低減することができる。
しかしながら、前記した従来の層状掃気2サイクルエンジンでは、シリンダブロック下部のクランク室側に混合ガス吸入通路が形成され、その上方の燃焼室側に空気吸入通路が形成されるため、シリンダブロックが上下方向に長くなり、エンジンが大型になるとともに、エンジンの構造が複雑になり、エンジンの製造コストが高くなるという問題がある。
本発明では、前記した問題を解決し、排気ガスに含まれる未燃焼ガスを大幅に低減させることができるとともに、小型で簡単な構造となり、製造コストを低減することができる2サイクルエンジンを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、シリンダ内に摺動自在に装着されたピストンと、前記シリンダ内に形成された燃焼室に通じる排気通路と、クランク室と前記燃焼室とを連通させる掃気通路と、前記クランク室に通じる混合ガス吸入通路及び空気吸入通路と、を備え、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入した燃料と空気の混合ガスを、前記掃気通路を通じて前記燃焼室内に流入させ、前記混合ガスを前記燃焼室内で燃焼させることで、前記ピストンを前記シリンダ内で往復動させる2サイクルエンジンであって、前記空気吸入通路は、前記混合ガス吸入通路よりも前記掃気通路側で前記クランク室の側部に開口しており、前記空気吸入通路から前記クランク室内に流入する空気が、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入する前記混合ガスよりも、前記掃気通路側に流れ込むことを特徴としている。
前記課題を解決するため、本発明の他の構成としては、シリンダ内に摺動自在に装着されたピストンと、前記シリンダ内に形成された燃焼室に通じる排気通路と、クランク室と前記燃焼室とを連通させる掃気通路と、前記クランク室に通じる混合ガス吸入通路及び空気吸入通路と、を備え、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入した燃料と空気の混合ガスを、前記掃気通路を通じて前記燃焼室内に流入させ、前記混合ガスを前記燃焼室内で燃焼させることで、前記ピストンを前記シリンダ内で往復動させる2サイクルエンジンであって、前記空気吸入通路は、前記掃気通路側に向けて前記クランク室の側部に開口しており、前記空気吸入通路から前記クランク室内に流入する空気が、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入する前記混合ガスよりも、前記掃気通路側に流れ込むことを特徴としている。
これらの構成では、吸入行程において、クランク室内の圧力が低下すると、空気吸入通路からクランク室内に空気が流入するとともに、混合ガス吸入通路からクランク室内に混合ガスが流入する。このとき、空気吸入通路から流入した空気は、混合ガス吸入通路から流入した混合ガスよりも掃気通路側に流れ込むため、掃気通路内には、混合ガスよりも先行して空気が流入する。そして、掃気行程において、掃気通路が燃焼室に通じると、掃気通路内に充填された空気が混合ガスよりも先行して燃焼室内に流入し、空気が混合ガスよりも先行して排気通路に到達する。したがって、掃気行程において、未燃焼の混合ガスが排気通路に排気される量を大幅に低減することができ、排気ガス中の炭化水素量を低減することができる。
また、混合ガス吸入通路と空気吸入通路はクランク室に通じており、混合ガス吸入通路と空気吸入通路を上下に配置する必要がないため、シリンダブロックを小型化することができ、エンジン内部が簡単な構造になるため、製造コストを低減することができる。
なお、混合ガス吸入通路と排気通路との位置関係は、特に限定されるものではなく、エンジン全体の構造に対応して、適宜に設定することができる。例えば、混合ガス吸入通路をシリンダの側部において排気通路と同じ側に形成したり、混合ガス吸入通路をシリンダの側部において排気通路に対して周方向に略90度ずれた位置に形成したりしてもよい。
なお、混合ガス吸入通路と排気通路との位置関係は、特に限定されるものではなく、エンジン全体の構造に対応して、適宜に設定することができる。例えば、混合ガス吸入通路をシリンダの側部において排気通路と同じ側に形成したり、混合ガス吸入通路をシリンダの側部において排気通路に対して周方向に略90度ずれた位置に形成したりしてもよい。
前記した2サイクルエンジンにおいて、前記ピストンには、前記掃気通路の前記燃焼室側の開口部と、前記クランク室とを連通させる連通部を形成してもよい。
また、前記連通部は、前記ピストンの側面に形成された溝部や、前記ピストンの側部に形成された孔部とすることができる。
また、前記連通部は、前記ピストンの側面に形成された溝部や、前記ピストンの側部に形成された孔部とすることができる。
この構成では、吸入行程において、空気がクランク室内から掃気通路内に流入したときに、前回の掃気行程で掃気通路内に滞留した混合ガスは、ピストンに形成された連通部を通じてクランク室内に押し出されるため、掃気通路全体に空気が充填される。したがって、掃気行程の始めの段階において、掃気通路からは空気が混合ガスよりも確実に先行して燃焼室内に流入することになる。
また、連通部をピストンの側面に形成された溝部や、ピストンの側部に形成された孔部によって構成した場合には、連通部を簡単に形成することができる。
また、連通部をピストンの側面に形成された溝部や、ピストンの側部に形成された孔部によって構成した場合には、連通部を簡単に形成することができる。
前記した2サイクルエンジンにおいて、前記混合ガス吸入通路は、前記シリンダの側部において前記排気通路の反対側に形成され、前記空気吸入通路は、前記シリンダの側部において前記排気通路側に形成することもできる。
この構成では、混合ガスと空気がクランク室内にそれぞれ逆方向から流れ込むことで、クランク室内で混合ガスと空気が混合され難くなっているため、空気が混合ガスよりも確実に先行して掃気通路内に流入することになる。
前記した2サイクルエンジンにおいて、前記掃気通路の前記クランク室側の開口部の少なくとも一部は、前記空気吸入通路の前記クランク室側の開口部に対向する位置に形成されていることが望ましい。
この構成では、空気吸入通路からクランク室内に流れ込んだ空気が、空気吸入通路のクランク室側の開口部に対向する位置に形成された掃気通路のクランク室側の開口部に流れ込み易くなっているため、空気が混合ガスよりも確実に先行して掃気通路内に流入することになる。
本発明の2サイクルエンジンによれば、未燃焼の混合ガスが排気通路に排気される量が大幅に低減されるため、排気ガス中の炭化水素量を低減することができる。
また、シリンダブロックを小型化することができ、エンジン内が簡単な構造になるため、製造コストを低減することができる。
また、シリンダブロックを小型化することができ、エンジン内が簡単な構造になるため、製造コストを低減することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す本実施形態の2サイクルエンジン1Aは、チェンソー、刈払機、ブロワなどの小型作業機械に用いられるものである。
この2サイクルエンジン1Aは、シリンダ60内に摺動自在に装着されたピストン50を備えており、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入した燃料と空気の混合ガスを、二つの掃気通路20,20を通じてシリンダ60の上部に流入させ(図2参照)、シリンダ60の上部に形成された燃焼室62内で混合ガスを燃焼させたときの膨張力によって、ピストン50をシリンダ60内で往復動させている。
なお、本実施形態の2サイクルエンジン1Aにおける各種の動力機構は、公知の2サイクルエンジンと同様の構成であるため、本発明を構成する特徴的な構成以外は詳細な説明を省略する。
図1に示す本実施形態の2サイクルエンジン1Aは、チェンソー、刈払機、ブロワなどの小型作業機械に用いられるものである。
この2サイクルエンジン1Aは、シリンダ60内に摺動自在に装着されたピストン50を備えており、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入した燃料と空気の混合ガスを、二つの掃気通路20,20を通じてシリンダ60の上部に流入させ(図2参照)、シリンダ60の上部に形成された燃焼室62内で混合ガスを燃焼させたときの膨張力によって、ピストン50をシリンダ60内で往復動させている。
なお、本実施形態の2サイクルエンジン1Aにおける各種の動力機構は、公知の2サイクルエンジンと同様の構成であるため、本発明を構成する特徴的な構成以外は詳細な説明を省略する。
2サイクルエンジン1Aは、シリンダ60内に摺動自在に装着されたピストン50と、シリンダ60内に形成された燃焼室62に通じる排気通路80と、クランク室10と燃焼室62とを連通させる二つの掃気通路20,20(図2参照)と、クランク室10に通じる混合ガス吸入通路30及び二つの空気吸入通路40,40と(図4参照)、クランク室10内でピストン50の往復動に連動して回転するクランクシャフト90と、を備えている。
排気通路80は、シリンダブロック61の側部に形成されており、一端はシリンダ60の上部に開口し、他端は図示しない排気管に接続されている。
シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには(図1の状態)、排気通路80のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の上部燃焼室側に開口して燃焼室62に通じる。一方、図3に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、排気通路80のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面によって閉塞される。
シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには(図1の状態)、排気通路80のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の上部燃焼室側に開口して燃焼室62に通じる。一方、図3に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、排気通路80のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面によって閉塞される。
二つの掃気通路20,20は、図2においてシリンダ60の左右側方となる位置で、シリンダブロック61内に形成されている。すなわち、各掃気通路20,20は、図5に示すように、排気通路80に対して、シリンダ60の周方向に略90度ずれた位置に形成されている。図2に示すように、各掃気通路20,20の一端は排気通路80と略同じ高さでシリンダ60の上部に開口し、他端はクランク室10に開口している。
各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部は、図5に示すように、排気通路80の開口部の両側にそれぞれ開口しており、シリンダ60の中心部を挟んで対峙している。
図2に示すように、シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の上部燃焼室側に開口して燃焼室62に通じる。一方、図4に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面に形成された溝部51,51にそれぞれ通じる。
図2に示すように、シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の上部燃焼室側に開口して燃焼室62に通じる。一方、図4に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面に形成された溝部51,51にそれぞれ通じる。
ピストン50は、図1及び図2に示すように、シリンダ60内で上下方向に往復動する部材であり、平面視で円形となっている。
ピストン50の側面において、各掃気通路20,20側には、側面視で長方形の溝部51,51がそれぞれ形成されている。この溝部51は、上端部がピストン50の高さ方向の中間部よりも上方に位置し、下端部はピストン50の下端縁に開口してクランク室10に通じている。
ピストン50の側面において、各掃気通路20,20側には、側面視で長方形の溝部51,51がそれぞれ形成されている。この溝部51は、上端部がピストン50の高さ方向の中間部よりも上方に位置し、下端部はピストン50の下端縁に開口してクランク室10に通じている。
各溝部51,51は、図2に示すように、シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには、シリンダ60の内周面によって、掃気通路20のシリンダ60側(燃焼室62側)の開口部とは遮断されている。また、各溝部51,51は、図4に示すように、吸入行程においてピストン50がシリンダ60内の上方に移動したときには、掃気通路20のシリンダ60側(燃焼室62側)の開口部に通じる。
混合ガス吸入通路30は、図1に示すように、シリンダブロック61の側部において、排気通路80の反対側に形成されており、一端はシリンダ60の下部に開口し、他端は図示しない燃料供給通路に接続されている。また、混合ガス吸入通路30は、燃料供給通路側からシリンダ60側に向けて斜め下方に傾斜している。
図1に示すように、シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには、混合ガス吸入通路30のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面によって閉塞される。一方、図3に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、混合ガス吸入通路30のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の下部に開口してクランク室10に通じる。
二つの空気吸入通路40,40は、図4に示すように、シリンダブロック61の側部において、混合ガス吸入通路30の左右両側にそれぞれ形成されており、図1に示すように、一端はシリンダ60の下部に開口し、他端は図示しない空気供給通路に接続されている。各空気吸入通路40,40は、図6に示すように、混合ガス吸入通路30の両側にそれぞれ形成されることで、混合ガス吸入通路30よりも各掃気通路20,20に近い位置でクランク室10に通じている。また、空気吸入通路40は、図1に示すように、水平に形成されている。
シリンダ60内でピストン50が下死点に位置したときには(図1の状態)、各空気吸入通路40,40のシリンダ60側の開口部は、ピストン50の側面によって閉塞される。一方、図4に示すように、シリンダ60内でピストン50が上死点に位置したときには、各空気吸入通路40,40のシリンダ60側の開口部は、シリンダ60の下部に開口してクランク室10内に通じる。
クランクシャフト90は、図4の右側に配置された第一クランクシャフト91と、図4の左側に配置された第二クランクシャフト92と、から構成されている。第一クランクシャフト91及び第二クランクシャフト92には、クランクケース11に回転自在に軸支される出力軸91a,92aが形成されており、コンロッド93を介してピストン50が連結されている。そして、シリンダ60内でピストン50が上下方向に往復動すると、コンロッド93がピストン50の往復動に連動して昇降し、ピストン50の往復動がクランクシャフト90の回転運動に変換されて、各出力軸91a,92aが軸線回りに回転する。
以上のように構成された本実施形態の2サイクルエンジン1Aは、次のように動作して本発明の作用効果を奏する。
吸入行程において、図4に示すように、シリンダ60内でピストン50が上昇すると、混合ガス吸入通路30及び二つの空気吸入通路40,40がシリンダ60の下部に開口してクランク室10内に通じる。また、ピストン50がシリンダ60内で上死点に達すると、排気通路80(図3参照)がピストン50の側面によって閉塞される。このとき、各掃気通路20,20は、ピストン50の側面に形成された各溝部51,51にそれぞれ通じる。
吸入行程において、図4に示すように、シリンダ60内でピストン50が上昇すると、混合ガス吸入通路30及び二つの空気吸入通路40,40がシリンダ60の下部に開口してクランク室10内に通じる。また、ピストン50がシリンダ60内で上死点に達すると、排気通路80(図3参照)がピストン50の側面によって閉塞される。このとき、各掃気通路20,20は、ピストン50の側面に形成された各溝部51,51にそれぞれ通じる。
吸入・圧縮行程では、ピストン50の上昇に伴って、クランク室10内が負圧状態になると、図示しない燃料供給通路に設けられたキャブレター又は燃料噴射装置で生成された燃料と空気の混合ガスが、混合ガス吸入通路30を通じてクランク室10内に流入する。同様に、図示しない空気供給通路からの空気が、各空気吸入通路40,40を通じてクランク室10内に流入する。
このとき、図6に示すように、各空気吸入通路40,40は、混合ガス吸入通路30よりも各掃気通路20,20に近い位置でクランク室10に通じているため、各空気吸入通路40,40からクランク室10内に流入した空気は、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入した混合ガスよりも、クランク室10内において各掃気通路20,20側にそれぞれ流れ込む。
このように、吸入行程において、クランク室10内には、混合ガスの層の左右両側に空気の層が形成され、空気の層が混合ガスの層よりも各掃気通路20,20側を通過する。 また、混合ガス吸入通路30は斜め下方に傾斜しており(図1参照)、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入した混合ガスは、クランク室10の下方を通過して各掃気通路20,20に到達することになる。したがって、各掃気通路20,20には、空気が混合ガスよりも先行して流入する。
また、図4に示すように、吸入行程においてピストン50がシリンダ60内の上方に移動したときには、ピストン50の側面に形成された各溝部51,51が各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部に通じる。これにより、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部とクランク室10とが各溝部51,51を通じて連通した状態となる。そして、空気がクランク室10内から掃気通路20内に流入したときに、前回の掃気行程で掃気通路20内に滞留した混合ガスは、ピストン50の側面に形成された溝部51を通じてクランク室10内に押し出されるため、掃気通路20全体に空気が充填される。
シリンダ60内でピストン50が上死点に達すると、図3に示すように、前回の掃気行程でシリンダ60内に流入していた混合ガスが燃焼室62内で圧縮される。そして、燃焼室62内に突出した点火プラグ63によって、燃焼室62内で混合ガスに着火されると、その膨張力によってシリンダ60内でピストン50が押し下げられる。
シリンダ60内でピストン50が下降すると、図1に示すように、排気通路80がシリンダ60の上部に開口して燃焼室62に通じた状態となり、混合ガスの燃焼によって生じた燃焼ガスが排気通路80に排気される(排気行程)。また、ピストン50が下降することで、クランク室10内の混合ガスが圧縮される。
シリンダ60内でピストン50が下降して、排気通路80がシリンダ60の上部に開口し始めた後に、さらにピストン50が下降すると、図2に示すように、二つの掃気通路20,20がシリンダ60の上部に開口して燃焼室62に通じる。そして、クランク室10内で圧縮された混合ガスが、各掃気通路20,20を通じてシリンダ60内に流入する(掃気行程)。このとき、各掃気通路20,20内には、吸入行程において空気が充填されているため、各掃気通路20,20が燃焼室62に通じると、各掃気通路20,20に充填された空気が混合ガスよりも先行して燃焼室62内に流入して、排気通路80(図5参照)に到達する。
シリンダ60内で下死点に達したピストン50は、クランクシャフト90の回転力によってシリンダ60内で再び上昇し、吸入・圧縮行程が繰り返される。
本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図4に示す吸入行程において、各空気吸入通路40,40から流入した空気は、混合ガス吸入通路30から流入した混合ガスよりも各掃気通路20,20側に流れ込むため(図6参照)、各掃気通路20,20内には、混合ガスよりも先行して空気が流入する。そして、図2に示す掃気行程において、各掃気通路20,20が燃焼室62に通じると、各掃気通路20,20内に充填された空気が混合ガスよりも先行して燃焼室62内に流入し、空気が混合ガスよりも先行して排気通路80に到達する(図5参照)。したがって、掃気行程において、未燃焼の混合ガスが排気通路に排気される量を大幅に低減することができ、排気ガス中の炭化水素量を低減することができる。
また、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図3に示すように、混合ガス吸入通路30と各空気吸入通路40,40はクランク室10に通じており、各吸入通路30,40,40を上下に配置する必要がないため、シリンダブロック61を小型化することができ、エンジン内部が簡単な構造になるため、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図4に示すように、吸入行程において、クランク室10内の空気が各掃気通路20,20内に流入したときに、前回の掃気行程で各掃気通路20,20内に滞留した混合ガスは、ピストン50の側面に形成された各溝部51,51を通じてクランク室10内に押し出されるため、各掃気通路20,20全体に空気が充填される。したがって、図2に示す掃気行程の始めの段階において、各掃気通路20,20からは空気が混合ガスよりも確実に先行して燃焼室62内に流入することになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
例えば、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図6に示すように、混合ガス吸入通路30及び各空気吸入通路40,40は、シリンダ60の側部において排気通路80の反対側に形成されているが、図7に示す2サイクルエンジン1Bのように、混合ガス吸入通路30は、シリンダ60の側部において排気通路80の反対側に形成し、各空気吸入通路40,40は、シリンダ60の側部において排気通路80側に形成することもできる。この構成では、混合ガスと空気がクランク室10内にそれぞれ逆方向から流れ込むことで、クランク室10内で混合ガスと空気が混合され難くなっているため、空気が混合ガスよりも確実に先行して各掃気通路20,20内に流入することになる。
例えば、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図6に示すように、混合ガス吸入通路30及び各空気吸入通路40,40は、シリンダ60の側部において排気通路80の反対側に形成されているが、図7に示す2サイクルエンジン1Bのように、混合ガス吸入通路30は、シリンダ60の側部において排気通路80の反対側に形成し、各空気吸入通路40,40は、シリンダ60の側部において排気通路80側に形成することもできる。この構成では、混合ガスと空気がクランク室10内にそれぞれ逆方向から流れ込むことで、クランク室10内で混合ガスと空気が混合され難くなっているため、空気が混合ガスよりも確実に先行して各掃気通路20,20内に流入することになる。
また、図7に示す2サイクルエンジン1Bのように、各空気吸入通路40,40を各掃気通路20,20側に向けてクランク室10の側部に開口することで、各空気吸入通路40,40からクランク室10内に流入する空気が、混合ガス吸入通路30からクランク室10内に流入する混合ガスよりも、各掃気通路20,20側に流れ込むように構成してもよい。
また、図8に示す2サイクルエンジン1Cのように、各掃気通路20,20のクランク室10側の開口部の少なくとも一部を、各空気吸入通路40,40のクランク室10側の開口部にそれぞれ対向する位置に形成することで、各空気吸入通路40,40からクランク室10内に流れ込んだ空気が、各掃気通路20,20のクランク室10側の開口部に流れ込み易くなるように構成してもよい。
また、図6及び図7に示す混合ガス吸入通路30からクランク室10内に混合ガスが流入するタイミングを、各空気吸入通路40,40からクランク室10内に空気が流入するタイミングよりも遅らせることで、空気を混合ガスよりも確実に先行して各掃気通路20,20内に流入させることもできる。
また、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図4に示すように、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部とクランク室10とが、ピストン50の側面に形成された各溝部51,51を通じて連通しているが、図9(b)に示すように、ピストン50の両側部に孔部51a,51aを形成し(図9(a)参照)、この孔部51a,51aを通じて、各掃気通路20,20のシリンダ60側の開口部とクランク室10とを連通させることもできる。
また、本実施形態の2サイクルエンジン1Aでは、図6に示すように、シリンダ60の中心部を挟んで両側の位置に二つの掃気通路20,20が形成されているが、図10に示すように、シリンダ60の中心部を挟んだ両側の位置に対して、片側にそれぞれ二つの掃気通路20,20を形成し、全体で四つの掃気通路20・・・を形成してもよい。
また、図11(a)に示すように、混合ガス吸入通路30をシリンダ60の側部において排気通路80と同じ側に形成したり、図11(b)に示すように、混合ガス吸入通路30をシリンダ60の側部において排気通路80に対して周方向に略90度ずれた位置に形成したりしてもよい。このように、混合ガス吸入通路30と排気通路80との位置関係は、特に限定されるものではなく、エンジン全体の構造に対応して、適宜に設定することができる。
1A 2サイクルエンジン
10 クランク室
11 クランクケース
20 掃気通路
30 混合ガス吸入通路
40 空気吸入通路
50 ピストン
51 溝部
60 シリンダ
61 シリンダブロック
62 燃焼室
80 排気通路
90 クランクシャフト
91 第一クランクシャフト
91a 出力軸
92 第二クランクシャフト
93 コンロッド
10 クランク室
11 クランクケース
20 掃気通路
30 混合ガス吸入通路
40 空気吸入通路
50 ピストン
51 溝部
60 シリンダ
61 シリンダブロック
62 燃焼室
80 排気通路
90 クランクシャフト
91 第一クランクシャフト
91a 出力軸
92 第二クランクシャフト
93 コンロッド
Claims (7)
- シリンダ内に摺動自在に装着されたピストンと、
前記シリンダ内に形成された燃焼室に通じる排気通路と、
クランク室と前記燃焼室とを連通させる掃気通路と、
前記クランク室に通じる混合ガス吸入通路及び空気吸入通路と、を備え、
前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入した燃料と空気の混合ガスを、前記掃気通路を通じて前記燃焼室内に流入させ、前記混合ガスを前記燃焼室内で燃焼させることで、前記ピストンを前記シリンダ内で往復動させる2サイクルエンジンであって、
前記空気吸入通路は、前記混合ガス吸入通路よりも前記掃気通路側で前記クランク室の側部に開口しており、
前記空気吸入通路から前記クランク室内に流入する空気が、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入する前記混合ガスよりも、前記掃気通路側に流れ込むことを特徴とする2サイクルエンジン。 - シリンダ内に摺動自在に装着されたピストンと、
前記シリンダ内に形成された燃焼室に通じる排気通路と、
クランク室と前記燃焼室とを連通させる掃気通路と、
前記クランク室に通じる混合ガス吸入通路及び空気吸入通路と、を備え、
前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入した燃料と空気の混合ガスを、前記掃気通路を通じて前記燃焼室内に流入させ、前記混合ガスを前記燃焼室内で燃焼させることで、前記ピストンを前記シリンダ内で往復動させる2サイクルエンジンであって、
前記空気吸入通路は、前記掃気通路側に向けて前記クランク室の側部に開口しており、
前記空気吸入通路から前記クランク室内に流入する空気が、前記混合ガス吸入通路から前記クランク室内に流入する前記混合ガスよりも、前記掃気通路側に流れ込むことを特徴とする2サイクルエンジン。 - 前記ピストンには、前記掃気通路の前記燃焼室側の開口部と、前記クランク室とを連通させる連通部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2サイクルエンジン。
- 前記連通部は、前記ピストンの側面に形成された溝部であることを特徴とする請求項3に記載の2サイクルエンジン。
- 前記連通部は、前記ピストンの側部に形成された孔部であることを特徴とする請求項3に記載の2サイクルエンジン。
- 前記混合ガス吸入通路は、前記シリンダの側部において前記排気通路の反対側に形成され、前記空気吸入通路は、前記シリンダの側部において前記排気通路側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の2サイクルエンジン。
- 前記掃気通路の前記クランク室側の開口部の少なくとも一部は、前記空気吸入通路の前記クランク室側の開口部に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の2サイクルエンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008206554A JP2010043560A (ja) | 2008-08-11 | 2008-08-11 | 2サイクルエンジン |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008206554A JP2010043560A (ja) | 2008-08-11 | 2008-08-11 | 2サイクルエンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010043560A true JP2010043560A (ja) | 2010-02-25 |
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ID=42015122
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JP2008206554A Pending JP2010043560A (ja) | 2008-08-11 | 2008-08-11 | 2サイクルエンジン |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010043560A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015075055A (ja) * | 2013-10-10 | 2015-04-20 | 株式会社やまびこ | ロータリー式気化器 |
CN115370464A (zh) * | 2022-08-19 | 2022-11-22 | 山东赛马力发电设备有限公司 | 一种多端空气进气的燃料混合发动机 |
-
2008
- 2008-08-11 JP JP2008206554A patent/JP2010043560A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015075055A (ja) * | 2013-10-10 | 2015-04-20 | 株式会社やまびこ | ロータリー式気化器 |
CN104564428A (zh) * | 2013-10-10 | 2015-04-29 | 株式会社山彦 | 旋转式化油器 |
CN115370464A (zh) * | 2022-08-19 | 2022-11-22 | 山东赛马力发电设备有限公司 | 一种多端空气进气的燃料混合发动机 |
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