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JP2009536980A - シロールベースのポリマー、およびこのポリマーより調製される半導体材料 - Google Patents

シロールベースのポリマー、およびこのポリマーより調製される半導体材料 Download PDF

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JP2009536980A
JP2009536980A JP2009509886A JP2009509886A JP2009536980A JP 2009536980 A JP2009536980 A JP 2009536980A JP 2009509886 A JP2009509886 A JP 2009509886A JP 2009509886 A JP2009509886 A JP 2009509886A JP 2009536980 A JP2009536980 A JP 2009536980A
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トビン ジェイ. マークス,
アントニオ ファチェッティ,
ガン ルー,
ハカン ウスタ,
ジョセフ レティツィア,
Original Assignee
ノースウェスタン ユニバーシティ
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

本教示内容は、p型半導体として使用することができるシロールベースのポリマーを提供する。より具体的には、本教示内容は、以下の式Iの反復単位を含むポリマーであって:式中、R、R、R、R、R、R、Z、xおよびx’が本明細書に定義する通りである、ポリマーを提供する。また、本教示内容は、これらのポリマーを調製する方法も提供し、これらのポリマーを組み込む種々の組成物、複合材料およびデバイスにも関連する。

Description

政府の援助による研究および開発に関する陳述
本発明は、部分的に、the National Aeronautics & Space Administrationより賞された政府補助金番号521−0077−050−A1/NCC2−1363;the National Science Foundationより賞された政府補助金番号DMR−0076097;the Office of Naval Researchより賞された政府補助金番号N00014−02−1−0909およびN00014−05−1−0021により行われ、すべてNorthwestern Universityに対するものである。米国政府は本発明に対し、一定の権利を有し得る。
背景
過去30年にわたり、π共役オリゴマーおよびポリマー半導体は、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、発光ダイオード(OLED)および光電池といった、低コスト電子部品の無機半導体に代わり得るものとして集中的な研究の焦点とされてきた。例えば、Dimitralopoulos,C.D.et al.Adv.Mater.,14:99−117(2002)、Horowitz,G.et al.,Adv.Mater.,10:365−377(1998)、Katz,H.E.,Chem.Mater.,16:4748−4756(2004)、Sirringhaus,H.et al.,Science,280:1741−1744(1998)、Bernius,M.et al.,Thin Solid Films,363:55−57(2000)、Kraft,A.et al.,Angew.Chem.,Intl.Ed.Engl.,37:402−428(1998)、Kulkarni,A.P.et al.,Chem.Mater.,16:4556−4573(2004)、およびAlam,M.M.et al.,Chem.Mater.,16:4647−4656(2004)を参照されたい。OTFTは、低性能メモリエレメント、センサーに使用できるとともに、アクティブマトリクス型表示装置の駆動デバイスとしても使用することができる。例えば、Huitema,H.E.A.et al.,Adv.Mater.,14:1201−1204(2002)、Kitamura,M.et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,Part 1,42:2483−2487(2003)、およびMach,P.et al.,Appl.Phys.Lett.,78:3592−3594(2001)を参照されたい。OLEDは、液晶表示装置の安価でエネルギー効率の良い代替装置として考えられており、OLEDをベースとしたフラットパネル表示装置が、市販の携帯型電子デバイスや新規の繊維製品において登場し始めている。有機半導体は、低コストかつ大面積で軽量の電子デバイスの気相または溶液の製造を可能にし、可塑性と形状適合性を備えた装着型の電子機器のプラスチック基材と互換性を有する。
OTFTに使用される有機半導体の中でも、(オリゴ、ポリ)チオフェン類は最も広範に研究が進められている。α−セキシチオフェン(α−6T)のホール輸送特性が最初に報告されたのは1988年のことであった。例えば、Fichou,D.et al.,Chemtronics,3:176−178(1988)を参照されたい。その1年後には、熱蒸着したα−6T薄膜から製造されたp型OTFTデバイスが報告された。例えば、Horowitz,G.et al.,Solid State Commun.,72:381−384(1989)、およびHorowitz,G.et al.,Appl.Phys.Lett.,57:2013−2015(1990)を参照されたい。蒸着薄膜を使用したOTFTデバイスで得られる最も高い移動度は、現在α−6T単結晶(μ=0.16cm/Vs)で測定されたものに近づいている。例えば、Horowitz,G.et al.,Euro.Phys.J.Appl.Phys.,1:361−367(1998)を参照されたい。また、相補回路を介した有機エレクトロニクスを完全に実現するために、高性能の電子輸送能を有する(n型)オリゴチオフェン類も開発されてきた。例えば、Facchetti,A.et al.,Chem.Mater.,16:4715−4727(2004)、Facchetti,A.et al.,J.Am.Chem.Soc.,126:13859−13874(2004)、Facchetti,A.et al.,J.Adv.Mater.,17:1705−1725(2005)、Facchetti,A.et al.,J.Am.Chem.Soc.,126:13480−13501(2004)、Facchetti,A.et al.,Angew.Chem.,Intl.Ed.Engl.,42:3900−3903(2003)、Jones,B.A.et al.,Angew.Chem.Intl.Ed.Engl.,43:6363−6366(2004)、Yoon,M.H.et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:1348−1349(2005)、およびYoon,M.H.et al.,J.Am.Chem.Soc.,128:5792−5801(2006)を参照されたい。しかし、オリゴチオフェン類をベースとしたOTFTデバイスは、膜を溶液から成長させた場合に移動度が著しく低くなることが多く、おそらくは溶液から高レベルの構造的順序を生成することの難しさを反映しているものと考えられる。このため、代替の真空蒸気相膜成長プロセスに内在する非効率性により、オリゴチオフェン類は、OTFTのアクティブチャンネル材料としての魅力が少なくなっている。
スピンコーティング、スタンピングまたはインクジェット印刷などの溶液処理法のコスト効率を最大限に活用するには、ポリマー有機半導体が第一選択の材料であると考えられる。ポリチオフェンの中でも、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)および変異体などの可溶性のレジオレギュラーなポリチオフェン(例えば、Bao,Z.et al.,Appl.Phys.Lett.,69:4108−4110(1996)、Bao,Z.et al.,Chem.Mater.,11:2607−2612(1999)、Merlo,J.A.et al.,J.Polym.Sci.,Part B:Polym.Phys.,41:2674−2680(2003)、Sirringhaus,H.et al.,Synth.Mat.,202:857−860(1999)、およびSirringhaus,H.et al.,Nature,401:685−688(1999)を参照)が、電荷担体の移動度と化学的有用性が高いことから、OTFTで最も広く使用されている。近年進歩を見せてはいるものの、広く使用されているポリチオフェンの大きな欠点の一つに、大気中での安定性の低さが挙げられる。これは、これらの材料がOTFTのアクティブ層として使用される場合に、特に深刻な欠点となる。大気中の酸素との反応によってポリチオフェンがドーピングを起こすと、大量のオフ電流が生じ、それによってオンオフ電流比(Ion/Ioff)が低くなり、これらの材料で製造されたトランジスタの閾値電圧も正方向にシフトする。例えば、Meijer,E.J.et al.,J.Appl.Phys.,93:4831−4835(2003)を参照されたい。このため、酸素を除外する材料の合成やデバイスの製造では注意を払う必要がある。これらの制約から、ポリチオフェン系OTFTは、ケイ素系チップの安価な代替品としての魅力が少なくなっており、そのため、電荷担体の移動度が高く大気中での安定性に優れた半導体ポリマーの開発が切実に求められている。
ケイ素置換基は、その高い電子吸引性のため、隣接するカルバニオンを安定化することが古くから知られている。例えば、Wetzel,D.M.et al.,J.Am.Chem.Soc.,110:8333−8336(1988)を参照されたい。種々のケイ素含有π共役系のうち、シロール(シラ−2,4−シクロペンタジエン)ポリマーは、Si−C σ*軌道関数が効果的にブタジエン断片のπ*軌道関数と相互作用し、LUMOが低くなりバンドギャップが相対的に小さくなる新規の共役系として、近頃広く注目を集めている。例えば、Risko,C.et al.,J.Chem.Phys.,121:9031−9038(2004)、Yamaguchi,S.et al.,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,3693−3702(1998)、Zhan,X.W.et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:9021−9029(2005)、およびYamaguchi,S.et al.,Bull.Chem.Soc.,Jpn.,69:2327−2334(1996)を参照されたい。また、ケイ素の導入により、シロールのHOMOレベルが炭素の場合に比べて安定化し、それにより先験的にOFETデバイスのシロール含有ポリマーの大気中の安定性が向上すると考えられる。しかし、これまでのところ、ケイ素誘導体の使用は、OLEDや太陽電池の電子輸送材料に限られていた。例えば、非特許文献1、Chen,H.Y.et al.,Appl.Phys.Lett.,81:574−576(2002)、Chen,J.W.et al.,Chem.Mater.,15:1535−1546(2003)、Kim,W.et al.,Chem.Mater.,16:4681−4686(2004)、Liu,M.S.et al.,Chem.Mater.,15:3496−3500(2003)、Luo,J.D.et al.,Chem.Commun.,1740−1741(2001)、Murata,H.et al.,Appl.Phys.Lett.,80:189−191(2002)、Tamao,K.et al.,Chem.Commun.,1873−1874(1996)、Tamao,K.et al.,J.Am.Chem.Soc.,118:11974−11975(1996)、Ohshita,J.et al.,Organometallics,18:1453−1459(1999)、およびMi,B.X.et al.,Chem.Commun.,3583−3585(2005)を参照されたい。シロール含有ポリマーがOTFTのアクティブ層として使用され始めたのはごく最近のことである。例えば、非特許文献2、Wang,Y.et al.,Macromol.Chem.Phys.,206:2190−2198(2005)、およびWang,F.et al.,Macromolecules,38:2253−2260(2005)を参照されたい。しかし、報告した材料の性能は、電荷担体の移動度の面でもIon/Ioff比の面でも一般的に優れてはおらず、これはおそらくチオフェンの3位および4位にある大きな置換基同士の立体障害によって、効率的な電荷の輸送に不可欠なπ−πスタッキング効果が妨げられるためであると考えられる。
Chan,K.L.et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:7662−7663(2005) Ohshita,J.et al.,Chem.Lett.,33:892−893(2004)
要旨
以上のような点に鑑み、本教示内容は、上述のものをはじめとする最新技術の種々の不足および欠点に対処することができる有機半導体材料および関連する組成物、複合材料および/またはデバイスを提供する。
より具体的には、本教示内容は、所望の半導体活性を促進するためのシロール含有環状部分を含む共役ポリマー化合物を提供する。このような共役ポリマー化合物は、有機半導体材料を調製するのに使用することができる。
いくつかの実施形態において、本教示内容は、以下の式Iの反復単位を含むポリマー(またはポリマー化合物)であって:
Figure 2009536980
式中、R、R、R、R、R、R、Z、xおよびx’が本明細書に定義する通りである、ポリマー(またはポリマー化合物)を提供する。
また、本教示内容は、このようなポリマーを調製する方法、ならびに本明細書に開示するポリマーを組み込む半導体材料および種々の組成物、複合材料およびデバイスも提供する。
本教示内容の前述およびその他の特性および利点は、以下の図面、説明および特許請求の範囲によってより詳細に理解されるであろう。
以下の図面は単に例示を目的としたものであって、いかなる方法によっても本教示内容の適用範囲を制限するものとして意図されることはないことを理解しなければならない。
本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー1〜8)のある実施形態の熱重量分析(TGA)曲線を示す。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー2(A)、6(B)および8(C))のある実施形態の示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー1〜8)がTHF溶液中にある場合(A)と、薄膜の形態をとる場合(B)のある実施形態の紫外可視分光光度法、ならびに同ポリマーがTHF溶液中にある場合(C)のフォトルミネセンス(PL)スペクトルを示す。 本教示内容のポリマー(例えば、ポリマー1〜8)が0.1M Bu4NPF6のアセトニトリル溶液中で薄膜の形態をとる場合のある実施形態のサイクリックボルタモグラム(スキャン速度100mV/s)を示す。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー1〜6)がケイ素置換基上に付着したある実施形態のドロップキャスト膜のX線回折(XRD)図である。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー3および6)のある実施形態で製造されたデバイスのOFETプロットを示す。VSD=−100Vでのポリマー3のトランスファープロットおよびポリマー3の出力プロット(A)、ならびにVSD=−100Vでのポリマー6のトランスファープロットおよびポリマー6の出力プロット(B)。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー3(A)およびポリマー6(B)のある実施形態のOFETにおける電界効果移動度およびIon/Ioff比をアニール温度に対してプロットしたものである。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー6)のある実施形態で製造した版画印刷デバイスのOFETトランスファープロットである(VSD=−40V)。 本教示内容のポリマー(すなわち、ポリマー2(A)、6(C)および9(E))のある実施形態で製造されたデバイスの伝達特性を大気中での保管時間を関数として示す。
詳細な説明
本教示内容は、シロール含有環状部分を含む共役ポリマー系をベースとした有機半導体材料に関する。より具体的には、本教示内容は、少なくとも1個の反復単位にシロール含有環状部分を含むポリマーに関する。本教示内容のポリマーは、比較的高い収率で調製することができ、薄膜半導体として使用することができる溶解処理可能な膜を提供することができる。優れた加工性と大気中の安定性を兼ね備えることから、本ポリマーは、他の応用例の中でも低コストのプリンテッドエレクトロニクスに使用することができる。さらに、本教示内容は、これらのポリマーを調製する方法、ならびにこのようなポリマーを組み込む組成物、複合材料、材料、物品、構造およびデバイスにも関する。
本説明全体を通して、組成物が特定の構成要素を有する、包含する、または含むものとして記載される場合、またはプロセスが特定の手順を有する、包含する、または含むものとして記載される場合、本教示内容の組成物はまた、列挙された構成要素から本質的に構成されるか構成され、本教示内容のプロセスは、列挙された手順から本質的に構成されるか構成されることが企図される。
本願において、要素または構成要素が列挙された要素または構成要素の一覧に含まれるか、一覧から選択される場合、その要素または構成要素は、列挙された要素または構成要素のいずれか一つであってもよく、列挙された要素または構成要素の複数からなる群から選択してもよいことを理解しなければならない。「含む」という用語の使用は、特に記載がない限り、オープンエンドかつ非限定的なものであると、一般的に理解しなければならない。
特に記載がない限り、本明細書における単数形の使用は複数形を含み、複数形の使用は単数形を含む。また、数値の前に「約」という用語を使用する場合、本教示内容はまた、特に記載がない限り、特定の数値そのものを含む。
手順の順序または特定の動作を実施する順序は、本教示内容が動作可能である限り重要でないことを理解しなければならない。さらに、複数の手順または動作を同時に実施する場合もある。
本明細書で使用される「ポリマー」とは、共有化学結合により結合した複数(例えば、3個以上、5個以上、10個以上)の反復単位を含む分子を指す。ポリマーまたはポリマー化合物は、1種類のみの反復単位を有することもできれば、複数種類の反復単位を有することもできる。前者の場合、ポリマーはホモポリマーと呼ぶことができる。後者の場合は、特にポリマーが化学的に著しく異なる反復単位を含む場合に、代わりに「コポリマー」または「コポリマー化合物」という用語を本明細書で使用することができる。特に記載がない限り、コポリマー中の反復単位の集合は、ヘッド・トゥ・テイル(Head−to−tail)型、ヘッド・トゥ・ヘッド(Head−to−head)型、またはテイル・トゥ・テイル(Tail−to−tail)型であってもよい。さらに、特に記載がない限り、コポリマーはランダムコポリマー、交互コポリマー、またはブロックコポリマーであってもよい。
本明細書で使用される「シロール含有環状部分」とは、
Figure 2009536980
(式中、R、R、R、RおよびZは本明細書に定義する通りである)を指す。
本明細書で使用される「溶解処理可能な」とは、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷)、スプレーコーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティング、およびブレードコーティングを含むがこれらに限定されない種々の液相処理で使用することができる化合物、材料または組成物を指す。
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
本明細書で使用される「アミノ」とは、−NH、−NH−アルキル基、−N(アルキル)基、−NH(−L−C6〜14アリール)基、−N(C1〜20アルキル)(−L−C6〜14アリール)基、−N(−L−C6〜14アリール)基(式中、Lは2価のC1〜20アルキル基、2価のC2〜20アルケニル基、2価のC2〜20アルキニル基、または共有結合である)を指す。
本明細書で使用される「アルコキシ」とは、−O−アルキル基または−O−L−C6〜14アリール基(式中、Lは本明細書に定義する通りである)を指す。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ基などが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「アルキルチオ」とは、−S−アルキル基または−S−L−C6〜14アリール基(式中、Lは本明細書に定義する通りである)を指す。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば、n−プロピルチオおよびイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ基などが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「エステル」とは、−O−C(O)−アルキル基または−C(O)−O−アルキル基、−O−C(O)−L−C6〜14アリール基、および−C(O)−O−L−C6〜14アリール基(式中、Lは本明細書に定義する通りである)を指す。
本明細書で使用される「オキソ」とは、二重結合酸素(例えば、=O)を指す。
本明細書で使用される「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが含まれる。種々の実施形態において、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C1〜20アルキル基)を有してもよい。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有してもよく、「低級アルキル基」と呼ぶことができる。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)およびブチル基(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)が含まれる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書で開示する通りに置換されてもよい。アルキル基は一般的に別のアルキル基またはアルケニルもしくはアルキニル基で置換されない。
本明細書で使用される「ハロアルキル」とは、1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例には、CF、C、CHF、CHF、CCl、CHCl、CHCl、CClなどが含まれるが、これらに限定されない。ペルハロアルキル基(すなわち、水素原子がすべてハロゲン原子(例えば、CFおよびC)で置換されたアルキル基)は、「ハロアルキル」の定義に含まれる。例えば、C1〜20ハロアルキル基は、式−C2j−または−C2i〜j−(式中、XはF、Cl、BrまたはIであり、iは1〜20の整数であり、jは0〜40の整数であるが、但し、iが2j以下である)を有してもよい。ペルハロアルキル基ではないハロアルキル基は、本明細書で開示する通りに場合により置換されてもよい。
本明細書で使用される「アリールアルキル」とは、アリールアルキル基がアルキル基を介して所定の化学構造に共有結合する−アルキル−アリール基を指す。アリールアルキル基は、−Y−C6〜14アリール基(式中、Yは本明細書に定義する通りである)の定義に含まれる。アリールアルキル基の例にはベンジル基(−CH−C)がある。アリールアルキル基は場合により置換されてもよく、すなわち、アリール基および/またはアルキル基は、本明細書で開示する通りに置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルケニル」とは、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基などが含まれるが、これらに限定されない。1個以上の炭素−炭素二重結合は、内部(例えば、2−ブテン)であってもよければ、末端(例えば、1−ブテン)であってもよい。種々の実施形態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C2〜20アルケニル基)を有してもよい。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、本明細書に開示する通りに置換されてもよい。アルケニル基は一般的に別のアルケニル基またはアルキルまたはアルキニル基で置換されない。
本明細書で使用される「アルキニル」とは、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。1個以上の炭素−炭素三重結合は、内部(例えば、2−ブチン)であってもよければ、末端(例えば、1−ブチン)であってもよい。種々の実施形態において、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子(C2〜20アルキニル基)を有してもよい。いくつかの実施形態において、アルキニル基は本明細書に開示する通りに置換されてもよい。アルキニル基は一般的に別のアルキニル基またはアルキルもしくはアルケニル基で置換されない。
本明細書で使用される「シクロアルキル」とは、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環基を指す。シクロアルキル基は、3〜14員の炭素原子を有する単環式(例えば、シクロヘキシル)であってもよければ、4〜14員の炭素原子を有する多環式(例えば、縮合、架橋および/またはスピロ環系を含む)であってもよく、炭素原子は環系の中または外に位置する。このシクロアルキル基のいずれの好適な環位も所定の化学構造に共有結合することができる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチル、およびスピロ[4.5]デカニル基、ならびにこれらの同族体、異性体などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は本明細書に開示する通りに置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外のいずれかの元素の原子を指し、これには例えば、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リンおよびセレンが含まれる。
本明細書で使用される「シクロヘテロアルキル」とは、O、NおよびSから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有し、場合により1個以上の二重または三重結合を含有する非芳香族シクロアルキル基を指す。シクロへテロアルキルは、少なくとも1個がO、NおよびSから選択される3〜14員の原子を有する単環式であってもよければ、少なくとも1個がO、SおよびSから選択される4〜14員の原子を有する多環式であってもよい。多環式シクロヘテロアルキル基は、縮合、架橋および/またはスピロ環系を含有してもよい。シクロヘテロアルキル環の1個以上のNまたはS原子は酸化してもよい(例えば、モルフォリンN−オキシド、チオモルフォリンS−オキシド、チオモルフォリンS,S−ジオキシド)。いくつかの実施形態において、シクロヘテロアルキル基の窒素原子は、例えば水素原子、アルキル基または本明細書に記載の他の置換基などの置換基を有してもよい。また、シクロヘテロアルキル基は、ピペリドン、オキサゾリジノン、ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、ピリジン−2(1H)−オンなどの1個以上のオキソ基を含有してもよい。シクロヘテロアルキル基の例には、モルフォリニル、チオモルフォリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、シクロヘテロアルキル基は本明細書に開示する通りに置換されてもよい。
本明細書で使用される「アリール」とは、複数の芳香族炭化水素環が互いに縮合する(すなわち、共通した結合を有する)か、少なくとも1個の芳香族単環式炭化水素環が1個以上のシクロアルキルおよび/またはシクロヘテロアルキル環に縮合する、芳香族単環式炭化水素環系または多環式環系を指す。アリール基は6〜14個の炭素原子をその環系に有してもよく、複数の縮合環を含んでもよい。いくつかの実施形態において、多環式アリール基は7〜14個の炭素原子を有してもよい。このアリール基のいずれの好適な環位も所定の化学構造に共有結合することができる。芳香族炭素環のみを有するアリール基の例には、フェニル、1−ナフチル(二環)、2−ナフチル(二環)、アントラセニル(三環)、フェナントレニル(三環)などが含まれるが、これらに限定されない。少なくとも1個の芳香族炭素環が1個以上のシクロアルキルおよび/またはシクロヘテロアルキル環に縮合する多環式環系の例には、シクロペンタン(すなわち、5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるインダニル基)、シクロヘキサン(すなわち、6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるテトラヒドロナフチル基)、イミダゾリン(すなわち、5,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるベンズイミダゾリニル基)、およびピラン(すなわち、6,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるクロメニル基)のベンゾ誘導体が含まれる。アリール基の他の例には、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アリール基は本明細書に開示する通りに置換されてもよい。いくつかの実施形態において、アリール基は1個以上のハロゲン置換基を有してもよく、「ハロアリール」基と呼ぶことができる。ペルハロアリール基(すなわち、水素原子がすべてハロゲン原子で置換されたアリール基(例えば、−CF5))は、「ハロアリール」の定義に含まれる。ある実施形態において、アリール基は別のアリール基で置換され、ビアリール基と呼ぶことができる。ビアリール基のそれぞれのアリール基は、本明細書に開示する通りに置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロアリール」とは、酸素(O)、窒素(N)および硫黄(S)から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する芳香族単環式環系、または環系に存在する少なくとも1個の環が芳香族であって、少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する多環式環系を指す。多環式へテロアリール基には、互いに縮合した複数のヘテロアリール環、ならびに1個以上の芳香族炭素環式環、非芳香族炭素環式環および/または非芳香族シクロヘテロアルキル環式環と縮合した単環式へテロアリール環が含まれる。ヘテロアリール基は、概して、例えば5〜14個の環原子を有し、1〜5個の環ヘテロ原子を含有してもよい。ヘテロアリール基は、安定した構造を形成するいずれかのヘテロ原子または炭素原子において所定の化学構造に結合してもよい。一般的に、ヘテロアリール環は、O−O、S−SまたはS−O結合を含有しない。しかし、ヘテロアリール基の1個以上のNまたはS原子が酸化してもよい(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例には、以下に示す5員の単環式および5〜6二環式環系が含まれる:
Figure 2009536980
(式中、TはO、S、NH、N−アルキル、N−アリールまたはN−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)である)。このようなヘテロアリール環の例には、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、2−メチルキノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、ベンズイソキサゾリル基、ベンズオキサジアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、シノリニル基、1H−インダゾリル基、2H−インダゾリル基、インドリジニル基、イソベンゾフリル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、プテリジニル基、プリニル基、オキサゾロピリジニル基、チアゾロピリジニル基、イミダゾピリジニル基、フロピリジニル基、チエノピリジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピリドピリダジニル基、チエノチアゾリル基、チエノキサゾリル基、チエノイミダゾリル基などが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基のさらなる例には、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル基、テトラヒドロキノリニル基、ベンゾチエノピリジニル基、ベンゾフロピリジニル基などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は本明細書に開示する通りに置換されてもよい。
本教示内容の化合物は、その他2個の部分との共有結合を形成することができる結合基として本明細書で定義される「二価基」を含んでもよい。例えば、本教示内容の化合物は、例えばメチレン基などの二価C1〜20アルキル基を含んでもよい。
本明細書の種々の箇所では、化合物の置換基が群または範囲で開示される。この説明にはこのような群および範囲の成員のあらゆる個々の下位の組み合わせが含まれることが具体的に意図される。例えば、「C1〜6アルキル」という用語は、C、C、C、C、C、C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜−C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜CおよびC〜Cアルキルをそれぞれ開示するものとして具体的に意図される。他の例としては、0〜40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39および40をそれぞれ開示するものとして具体的に意図され、1〜20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20をそれぞれ開示するものとして具体的に意図される。さらなる例として、「場合により1〜4個の置換基で置換される」という語句は、0、1、2、3、4、0〜4、0〜3、0〜2、0〜1、1〜4、1〜3、1〜2、2〜4、2〜3および3〜4個の置換基を含んでもよい化学構造をそれぞれ開示するものとして具体的に意図される。
本説明全体を通して、構造は化学名で示される場合もあれば、示されない場合もある。命名法に何らかの疑問がある場合は、構造が優先される。
ある態様において、本教示内容は、以下の式Iの反復単位を含むポリマーであって:
Figure 2009536980
式中、
Zがa)S、b)Se、c)Te、d)NR、e)N=N、f)C(O)またはg)CR−CRであり、
およびRが独立してa)H、b)C1〜20アルキル基、c)C2〜20アルケニル基、d)C2〜20アルキニル基、e)C1〜20ハロアルキル基、f)−Y−C3〜14シクロアルキル基、g)−Y−C6〜14アリール基、h)−Y−3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはi)−Y−5〜14員へテロアリール基であって、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、および5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
、R、RおよびRが独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であって、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、および5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
がa)H、b)C1〜20アルキル基、c)C2〜20アルケニル基、d)C2〜20アルキニル基、e)C1〜20ハロアルキル基、f)−Y−C3〜14シクロアルキル基、g)−Y−C6〜14アリール基、h)−Y−3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはi)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であって、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、および5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
およびRが独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であって、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、および5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
10が各々の発現で独立して、a)ハロゲン、b)−NO、c)−CN、d)オキソ、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であり、
Yが各々の発現で独立して、a)二価C1〜20アルキル基、b)二価C2〜20アルケニル基、c)二価C2〜20アルキニル基、d)二価C1〜20ハロアルキル基、またはe)共有結合であり、
mが各々の発現で独立して0、1または2であり、
xが0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
x’が1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
ポリマーを提供する。
いくつかの実施形態において、ZはS、NR、N=N、C(O)またはCR=CRであってもよく、式中、R、RおよびRは本明細書に定義する通りである。ある実施形態において、ZはSであってもよい。他の実施形態において、ZはCR=CRであってもよく、式中、RおよびRは本明細書に定義する通りである。例えば、ZはCH=CHであってもよい。
いくつかの実施形態において、RおよびRは独立して、H、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、またはC1〜20ハロアルキル基であってもよく、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、およびC1〜20ハロアルキル基のそれぞれは場合により1〜4個の−Y−R10基で置換されてもよく、式中、YおよびR10は本明細書に定義する通りである。ある実施形態において、RおよびRは独立して、直鎖C1〜20アルキル基、分岐鎖C1〜20アルキル基、直鎖C1〜20ハロアルキル基、または分岐鎖C1〜20ハロアルキル基であってもよく、式中、これらの基のそれぞれは場合により1〜4個の−Y−R10基で置換されてもよい。例えば、RおよびRのそれぞれは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、またはドデシル基を含むがこれらに限定されないC1〜20アルキル基(直鎖または分岐鎖)であってもよい。特定の実施形態において、RおよびRは独立して、ヘキシル基またはオクチル基であってもよい。
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−NH、−C(O)OH、−C(O)NH、−OC1〜20アルキル、−NH−C1〜20アルキル、−N(C1〜20アルキル)、−C(O)−C1〜20アルキル、−C(O)−OC1〜20アルキル、−C(O)NH−C1〜20アルキル、−C(O)N(C1〜20アルキル)、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、または5〜14員ヘテロアリール基であってもよく、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C3〜14シクロアルキル基、C6〜14アリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、および5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれは場合により1〜4個の−Y−R10基で置換されてもよく、式中、YおよびR10は本明細書に定義する通りである。ある実施形態において、R、R、RおよびRの少なくとも1個はHであってもよい。
いくつかの実施形態において、xは0、1、2、3、4または5であってもよい。例えば、Xは0、1または2であってもよい。xが0である実施形態では、本教示内容のポリマーをシロールホモポリマーと呼ぶことができる。xが>0である実施形態では、本教示内容のポリマーをシロール−チオフェンコポリマーと呼ぶことができる。
いくつかの実施形態において、x’は1、2、3、4または5であってもよい。ある実施形態において、x’は1であってもよい。
いくつかの実施形態において、本教示内容のポリマーは、以下の式IIの反復単位を含んでもよく:
Figure 2009536980
式中、R、R、R、R、R、R、Zおよびxは本明細書に定義する通りである。
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのそれぞれはHであってもよい。したがって、いくつかの実施形態において、本教示内容のポリマーは、以下の式IIIの反復単位を含んでもよく:
Figure 2009536980
式中、R、R、Zおよびxは本明細書に定義する通りである。
本教示内容は本明細書に開示するポリマーのある特定の実施形態を除外してもよいことを理解しなければならない。例えば、ZがCH=CHであり、RおよびRがn−ヘキシル基である場合、本教示内容はxが0である実施形態を除外してもよい(すなわち、いくつかの実施形態において、ZがCH=CHであり、RおよびRがn−ヘキシル基である場合、xは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であってもよい)。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示するポリマーは、1種類の反復単位(例えば、式I、式IIまたは式IIIの反復単位)のみ含んでもよい(またはこれから本質的に構成されてもよい)。したがって、いくつかの実施形態において、本教示内容のポリマーは、以下の式I’、式II’または式III’で表わしてもよく:
Figure 2009536980
式中、R、R、R、R、R、R、Z、xおよびx’は本明細書に定義する通りであり、nは2〜約500の範囲の整数であってもよい。種々の実施形態において、nは、10〜約250の範囲の整数、10〜約200の範囲の整数、10〜約100の範囲の整数、50〜約250の範囲の整数、50〜約200の範囲の整数、または50〜100の範囲の整数であってもよい。
いくつかの実施形態において、本教示内容は、
Figure 2009536980
から選択されるポリマーであって、式中nが本明細書に定義する通りである、ポリマーを提供する。
他の実施形態において、本教示内容のポリマーは、式I、式IIまたは式IIIの反復単位以外にさらなる1個以上の反復単位を含んでもよい。いくつかの実施形態において、さらなる反復単位は、以下の式IVaを有してもよく:
Figure 2009536980
式中、RおよびRは本明細書に定義する通りである。
いくつかの実施形態において、さらなる反復単位は、以下の式IVbを有してもよく:
Figure 2009536980
式中、RおよびRは本明細書に定義する通りである。
さらなる反復単位IVaおよびIVbは、全体が参考として本明細書で援用される、2005年9月14日出願の同時係属中の米国特許出願第11/227,559号に記載の通りに調製することができる。さらなる反復単位IVa(関連するジアシル部分および/またはチオフェン部分の数により変更してもよい)およびさらなる反復単位IVbは、本明細書に開示するシロール含有環状部分のいずれかと結合してもよい。
いくつかの実施形態において、さらなる反復単位は、以下の式IVc、式IVdまたは式IVeを有してもよく:
Figure 2009536980
式中、R、R、RおよびRは本明細書に定義する通りである。
さらなる反復単位IVcおよびそのモノイミド変異体は、全体が参考として本明細書で援用される、2005年1月26日出願の同時係属中の米国特許出願第11/043,814号に記載の通りに調製することができる。式IVcの反復単位に類似するペリレンモノイミドまたはジイミドも、本明細書に開示するシロール含有環状部分のいずれかに結合させるためのさらなる反復単位として使用することができる。
さらなる反復単位IVdおよびIVeは、当該技術分野で既知の手順にしたがって調製することができる。例えば、McCulloch,I.et al.,Nature Materials,5(4):328−333(2006)、欧州特許第EP1394188号、および国際特許公開第WO2007/020954号を参照されたい。
本教示内容のポリマーは、市販の出発材料、文献で既知の化合物、または容易に調製できる中間生成物から、当業者に既知の標準的な合成方法および手順を使用して、以下のスキームで概略する手順にしたがって調製することができる。有機分子を調製し、官能基を変換および操作する標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当該技術分野の標準的な教科書から容易に得ることができる。典型的または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が示されている場合でも、特に記載がなければ、他の処理条件も使用できることが理解されるであろう。至適な反応条件は使用する反応物または溶媒によって異なる可能性があるが、当業者は慣例の最適化手段によりこのような条件を決定することができる。有機合成の当業者は、示された合成手順の性質および順序を、本明細書に記載の化合物の形成を最適化するために変更できることを認識するであろう。
本明細書に記載のプロセスは、当該技術分野で既知の好適な方法にしたがって監視することができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(NMR、例えば、Hまたは13C)、赤外分光法(IR)、分光光度法(例えば、紫外可視)、質量分析法(MS)などの分光手段により、あるいは高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、または薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィーによって監視することができる。
本明細書に記載の反応またはプロセスは、有機合成の当業者によって容易に選択することができる好適な溶媒中で行ってもよい。好適な溶媒は典型的には、反応を実施する温度(すなわち、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲の温度)で反応物、中間生成物および/または生成物と実質的に反応することがない。所定の反応は、1種類の溶媒中または複数種類の溶媒の混合物中で行ってもよい。特定の反応手順に応じて、特定の反応手順に好適な溶媒を選択してもよい。
式I’(また式II’および式III’)のポリマーは、以下のスキーム1にしたがって調製することができる。
スキーム1
Figure 2009536980
Figure 2009536980
スキーム1に示す通り、ジチエノシロールベースのポリマー1〜3は、それぞれ化合物13と14、化合物13と2,5−ビス(トリメチルスタニル)チオフェン、化合物13と2,5’−ビス(トリメチルスタニル)ビチオフェンの間のスティル重縮合反応を介してきわめて高収率で合成することができる。ジベンゾシロールベースのポリマー4〜6は、化合物18と19、化合物18と2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン、化合物18と2,5’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビチオフェンの間の鈴木重縮合反応を介して、中等度の収率から高収率で調製することができる。
式I’(また式II’および式III’)のポリマーの構成単位(例えば、モノマー型)は、以下のスキーム2およびスキーム3にしたがって調製することができる。
スキーム2
Figure 2009536980
スキーム2に示す通り、3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ビチオフェン12は、ビチオフェンを最初に臭素と化合させて3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’−ビチオフェン10を得て、それをZnと選択的に脱臭素処理して3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン11を得るという報告された手順(例えば、Chen,W.,Ph.D.Thesis,Iowa State University,1997を参照)にしたがって調製することができる。化合物11をn−ブチルリチウムで二重リチオ化した後に、ジ−n−ヘキシルジクロロシランで環化することで、ジチエノシロールモノマーである3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ビチオフェン12を得ることができる。ジブロモ官能性モノマーである5,5’−ジブロモ−3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ビチオフェン13は、化合物12をDMF中のNBSで臭素と化合させることにより良好な収率で調製することができる。化合物13は、化合物13をn−BuLiで(例えば、−78℃などの低温でTHFなどの溶媒中で)処理した後、塩化トリメチルチンで処理することにより、ジスタニル反応物である5,5’−ビス(トリメチルチン)−3,3’−ジヘキシルジチエノシロール14に変換することができる。
スキーム3
Figure 2009536980
スキーム3に示す通り、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルジベンゾシロール18は、Ullmannプロトコールによる1,4−ジブロモ−2−ニトロベンゼンのカップリングから始まる既知の手順によって調製することができる。例えば、Chan,K.L.et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:7662−7663(2005)を参照されたい。Ullmannカップリング生成物である4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル15は、対応するジアミンである4,4’−ジブロモビフェニル−2,2−ジアミン16に還元することができ、濃縮HCl中で化合物16を硝酸ナトリウムとSandmeyer反応させた後に、10倍過剰量の濃縮KI溶液を添加することによって、ビフェニルである4,4’−ジブロモ−2,2−ジヨードビフェニル17を得ることができる。化学量論量のKIとの従来のSandmeyer反応によっても化合物17を得ることができる。化合物17の2,2’−ヨード−置換基と4等量のn−BuLiとの選択的なトランスリチオ化を(例えば、−78℃などの低温でTHFなどの溶媒中で)行った後、ジ−n−オクチルジクロロシランで環化することにより、ジベンゾシロールモノマーである2,7’−ジブロモ−9,9−ジオクチルジベンゾシロール18を良好な収率で得ることができる。化合物18は、(例えば、−78℃などの低温でTHFなどの溶媒中で)t−BuLiと処理した後、モノマー18とのホモ重合におけるコモノマー19として使用する4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロランと処理することによって、ピナコラトエステルである2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルジベンゾシロール19へと変換することができる。
本教示内容の適用範囲をいかなる方法によっても制限することなく、単に例示を目的として、本教示内容のポリマーのある実施形態は、本明細書で以下に記載する1つ以上の物理的特性により特徴付けることができる。さらに、比較のため、2個のフルオレン含有チオフェンコポリマーを、本教示内容のポリマーとともに考察する場合がある。この2個のフルオレン含有チオフェンコポリマーの構造は、以下の通りである:
Figure 2009536980
本教示内容のポリマーの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定することができる。式I’(式中、ZがSである)のポリマー、特にポリマー1の実施形態において、その分子量(M)は、高温GPCによって26kDであると測定された。その多分散性指数(PDI)は2.9であると測定された。同様に、ポリマー2の実施形態の場合、Mは30kD、PDIは2.9であると測定された。ポリマー3の実施形態の場合、Mは41kDであり、PDIは3.0であると測定された。これらの実施形態は、THF、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン(DCB)および1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)などの共通する非プロトン性有機溶媒に溶けやすいことが認められた。
式I’(式中、ZはCH=CHである)ポリマー、特にポリマー4の実施形態において、そのGPCにより得られる分子量は32kDであり、PDIは3.4であると測定された。同様に、ポリマー5の実施形態の場合、Mは112kDであり、PDIは3.1であると測定された。ポリマー6の実施形態の場合、Mは127kDであり、PDIは3.7であると測定された。記載のポリマー4の特定の実施形態は、共通する非プロトン性有機溶媒に極めて溶けやすいことが認められた。それぞれ比較的高い分子量を有する、記載のポリマー5および6の特定の実施形態の場合、これらの実施形態は温かいクロロベンゼン、DCBおよびTCBなどの塩素系芳香族溶媒に主にやや溶けやすい。
本明細書に開示するポリマーの熱安定性は、熱重量分析(TGA)によって測定することができる。例えば、窒素下で10℃/分の加熱勾配を使用して、5%の質量の減少を閾値と定めた場合、ポリマー1の実施形態のTGA開始温度は約250℃にてあり、ポリマー2〜8のある実施形態の開始温度は400℃を超えることが認められ、これは熱安定性が良好であることの指標となった(図1)。
本教示内容のポリマーの熱特性はまた、示差走査熱量測定(DSC)によって試験することもできる。例えば、窒素下で10℃/分の走査速度を使用した場合、ポリマー2の実施形態は、加熱時および冷却時に約250℃にて単一の吸熱を示したのに対して、ポリマー3の実施形態は、300℃前後で幅広い吸熱を示した(図示なし)。両ポリマーのこれらのおよび他の実施形態において、吸熱と発熱は何サイクルでも可逆的に繰り返すことができる。さらに、ポリマー5の実施形態は、加熱サイクルにおいて253℃にて幅広い遷移を示すことが認められたが、発熱は冷却サイクルにおいて認められなかった。同様の知見はポリマー7の実施形態でも認められ、約267℃にて単一の吸熱を示した。ポリマー6の実施形態の場合は、加熱サイクルにおいて340℃にて吸熱融解が認められ、これはポリマー主鎖構造の融解によるものと考えられた(図2)。冷却時には、295℃にて再結晶化の発熱ピークが認められた。融解および再結晶化の両ピークは4サイクルにわたって完全に可逆的であった。
いくつかの実施形態において、チオフェン単位を含有するポリマーは、チオフェン単位を含有しないポリマーに比べて融解温度が高くなってもよい(図1のポリマー1および2ならびにポリマー4および5のTGA曲線を参照)。これに対し、同数のチオフェン単位を含有するジベンゾシロールベースのポリマーとジチエノシロールベースのポリマーは、同等の融解温度を有してもよい。例えば、ポリマー2および5のある実施形態とポリマー3および6のある実施形態は、融解温度(T)が同等であることが認められた。いくつかの実施形態においては、ケイ素の置換によりTが低下することが認められた。例えば、ポリマー5の実施形態では、その他の点でほぼ同じであるポリマー7の実施形態に比べて、15℃のマイナス差が見られた。他の実施形態においては、ケイ素の置換によりTおよびTが上昇することが認められた。例えば、ポリマー6の実施形態では、その他の点でほぼ同じであるポリマー8の実施形態に比べて、60〜100℃のプラス差が見られた。
式Iのポリマーのある実施形態における溶液および薄膜の紫外可視吸収スペクトルを、図3Aおよび図3Bに示し、データを表1に示す。図3Aおよび図3Bを参照すると、THF中のポリマー1の実施形態は533nmで単一の吸収ピークを示したのに対し、シリコンウェーハー上の溶液キャスティングによる薄膜である同じ実施形態は、535nmで同様の吸収ピークを示した。いくつかの実施形態において、ポリマー2および3の吸収ピークは、それぞれTHF中で521nmおよび544nmに位置した。ポリマー2および3のある実施形態は、シリコンウェーハー上に溶液キャスティング法によって調製され、その上に形成された薄膜は滑らかで光沢があることが認められた。固相(すなわち、薄膜)において、これらの実施形態は、ポリマー2の場合574nmで、ポリマー3の場合545nmで赤方偏移した吸収ピークを示した。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、溶液から薄膜に変わった場合のポリマー2の吸収ピークの赤方偏移(約50nm)は、薄膜相での高分子構造を示唆している。上述の実施形態の場合、ポリマー1および3は、溶液相でも薄膜相でも光学特性の差をほとんど示さないと考えられる。
Figure 2009536980
DSCで測定した融解温度(T)および結晶化温度(T)。検出限界未満。窒素下でTGAにて測定した分解開始温度。ポリマー7および8は基準として使用する。
引き続き図3Aおよび図3Bを参照すると、ジベンゾシロールベースのポリマー4〜6のいくつかの実施形態の紫外可視吸収スペクトルは、ジチエノシロールベースのポリマー1〜3に比べて青方偏移した吸収ピークを示した。例えば、ポリマー5および6のある実施形態は、それぞれ444nmと471nm、および473nmと503nmの2箇所に吸収ピークを示した。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、これらの偏移は、構成要素であるジベンゾシロールおよびモノ/ビチオフェンコポリマーの構成単位の大部分が局所的な遷移に相当するものであると考えられる。いくつかの実施形態において、ホモポリマー4の吸収ピークは377nmで発生すると認められ、これはシロールベースのポリマー群の最高エネルギーのπ−π*遷移に相当すると考えられる。薄膜相において、ポリマー4〜6のある実施形態の吸収ピークは、それぞれ401nm、484nmおよび493nmに位置した。これに対して、フルオレン系コポリマーは、ポリマー7の実施形態の場合、溶液中にて427nmで、薄膜として440nmで吸収ピークを示し、ポリマー8の実施形態の場合は、溶液中にて456nmで吸収ピークを、502nmで強度のショルダーピークを、薄膜としては460nmで吸収ピークを示した。いくつかの実施形態において、ジベンゾシロールベースのコポリマー5および6は、フルオレン系ポリマー7および8に比べて、約40〜50nmの有意な深色偏移を示した。これらの実施形態の場合、アニーリングは膜吸収ピークに対してほとんど影響を及ぼさなかったように思われる。
本明細書に開示するポリマーのある実施形態のフォトルミネセンス(PL)の溶液発光スペクトルを図3Cに示し、対応するデータを表1に示す。吸収スペクトルと矛盾することなく、ジチエノシロールベースのポリマー1〜3は一般的に、ジベンゾシロールベースのポリマー4〜6に比べて、より長い波長で(約100〜150nm赤方偏移した)発光を示すようであった。具体的に、試験した実施形態の場合、ジチエノシロールベースのポリマーは、ポリマー1の場合601nmで、ポリマー2の場合611nmで、およびポリマー3の場合620nmで赤色の発光を示した。これに対し、ホモポリマー4の実施形態は455nmで青色の発光ピークを示し、コポリマー5および6のある実施形態は、それぞれ488nmおよび528nmで緑色〜オレンジ色の発光ピークを示し、これらは希釈溶液中での0−0遷移に相当すると考えられる。PL発光スペクトルにおける0−1および0−2遷移は、ポリマー4の場合477nmと512nmで、ポリマー5の場合521nmと561nmで認められる。上述のポリマー6の実施形態は、555nmで0−1遷移を示した。
引き続き図3Cを参照すると、フルオレン系ポリマー7および8は、それぞれ469nmおよび496nmで発光ピークを示し、ジベンゾシロールベースのポリマーに比べると浅色偏移を示した。試験した実施形態の場合、ポリマー5および6は、フルオレン系ポリマー7および8に比べると約20〜30nm赤方偏移した発光を示した。具体的に、ポリマー5および6は、吸収ピークと発光ピークの間で、ポリマー7および8(約40nm)よりも小さな約20nmの軽度のストークス偏移を示したが、ホモポリマー4とジチエノシロールベースのポリマー1〜3について上述した実施形態の場合には、より大きな約70〜90nmのストークス偏移が認められる。
本教示内容のポリマーのイオン化ポテンシャル、電子親和力、および電子状態の推定値(HOMOおよびLUMOレベル)を調べるには、サイクリックボルタンメトリー(CV)を使用することができる。薄膜の形態をとる本教示内容のポリマーのある実施形態のサイクリックボルタンモグラムを図4に示し、対応する電子化学データを以下の表2に要約する。
Figure 2009536980
酸化開始電圧。名目の酸化電圧。紫外可視スペクトルにおける低エネルギーバンドのエッジから推定される光学バンドギャップ。ポリマー7および8は基準として使用する。
いくつかの実施形態において、ジチエノシロールベースのポリマー1、2および3は、名目の酸化電圧が1.1〜1.5V(飽和カロメル電極(SCE)を基準として)であるところが、それぞれ酸化開始電圧が1.2V、0.9Vおよび0.8V(SCEを基準として)であることが認められた。ジベンゾシロールベースのポリマーのある実施形態の場合、ポリマー4、5および6の酸化開始電圧は、それぞれ1.6V、1.4Vおよび1.2Vであると測定され(SCEを基準として)、これらはジチエノシロールベースのポリマーよりも約0.4〜0.5V高かった。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、ポリマー4、5および6は酸化ドーピングに対して高い安定性を有すると考えられる。ポリマー4〜6の名目の酸化電圧は1.7〜1.8V(SCEを基準として)であると測定された。試験した実施形態のすべてにおいて、顕著なピークの低下は認められず、これらがp型の電荷伝導に好適であることが示唆された。但し、いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、適切なゲート絶縁膜の使用および/または他の好適なモノマーとの共重合によってもn−チャンネル活性が得られると考えられる。
本教示内容のポリマーの構造的順序は、θ−2θX線回折(XRD)図によって判定することができる。図5を参照すると、本明細書に開示するポリマーのある実施形態は、THFまたは1,2,4−トリクロロベンゼン中の0.5重量%溶液から厚いドロップキャスト膜(約250〜300nm)を調製し、窒素下で130℃にて30分間アニーリングした場合に、結晶性であると考えられる。例えば、ポリマー2および3のある実施形態は、2θ=5.68°および5.74°で明らかな一次回折を見せる高度に結晶性のパターンを示し、これらはそれぞれ15.54Åおよび15.38Åの格子面間隔に相当する。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、コポリマー2および3でπ−πスタッキングの回折が認められないことは、ポリマー鎖が層構造の基材に比べて「edge−on」配向しやすいことを示唆する場合がある。これに対して、ジベンゾシロールベースのポリマー4〜6のある実施形態は、ポリマー2および3に比べて回折パターンが幅広く弱かった。具体的に、ホモポリマー4は2θ=4.97°で単一の大きな反射を示し、これは17.76Åの格子面間隔に相当したのに対して、ポリマー5および6はいずれも2θ=4.22°および4.72°で単一の大きな反射を示し、これは20.91および18.70Åの鎖間の格子面間隔に相当すると考えられた。さらに、ジベンゾシロールベースのポリマーは、ポリマー4および5の場合約2θ=20°で、ポリマー6の場合21.95°で幅広いピークを示し、これらは4.0〜4.4Åのπ−πスタッキング距離に相当すると考えられた。ジチエノシロールホモポリマー1はアモルファスであると考えられた(少なくとも試験した実施形態に関して)。
式I’、式II’およびIII’のポリマーなどがあるがこれらに制限されない式I、式IIおよび/または式IIIの反復単位を含むポリマーは、半導体材料(例えば、組成物および複合材料)を調製するのに使用することができ、ひいてはこれらの材料を種々の有機電子物品、構造およびデバイスを作製するのに使用することができる。いくつかの実施形態において、本教示内容の1個以上のポリマーを組み込む半導体材料は、p型の半導体材料として使用することができる。他の実施形態において、本教示内容の1個以上のポリマーを組み込む半導体材料は、n型の半導体活性を示すことがある。他の用途の中でもとりわけ、これらの半導体材料は、無機または有機のいずれかであるn型(またはp型)の半導体とともに相補回路を構築するために使用することができる。
したがって、本教示内容はさらに、本教示内容の半導体材料および基材構成要素および/または誘電体構成要素を含む、例えば複合材料などの製造物品も提供する。基材構成要素は、ドープシリコン、酸化インジウムスズ(ITO)、ITOでコーティングされたガラス、ITOでコーティングされたポリイミド、または他のプラスチック、アルミニウム、または他の単独の金属またはポリマーもしくは他の基材上にコーティングされた他の金属、ドープポリチオフェンなどから選択されてもよいが、これらに限定されない。複合材料は誘電体構成要素を含んでもよい。誘電体構成要素は、当該技術分野で別の形で既知であるか、有用であることが見出されている種々の化合物または材料から選択されてもよい。複合材料は1個以上の電気接点を含んでもよい。このような電気接点は金属(例えば、金)で作製されていてもよく、電源、ドレインまたはゲート接点として機能してもよい。上述の複合材料の1個以上を、有機薄膜トランジスタ(OTFT)ならびにコンデンサー、相補回路(例えば、インバーター回路)などの種々の有機電子デバイスに組み入れてもよい。
本明細書に開示するポリマーのある実施形態は共通する溶媒にやや溶けやすいことから、本教示内容のポリマーは、薄膜半導体、電界効果デバイス、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、光検知器、コンデンサーおよびセンサーなどの電気デバイスの作製に使用する場合に、処理上の利点をもたらすことができる。
このため、本教示内容はさらに、半導体材料を調製する方法も提供する。前記方法は、1個以上の有機溶媒中の本明細書に開示するポリマーを含む前駆体組成物を調製する手順、前記前駆体組成物を基材上に付着させて半導体材料前駆体を得る手順、および前記半導体前駆体を加熱して本明細書に開示するポリマーを含む半導体材料(例えば、薄膜半導体)を得る手順、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記付着手順は、インクジェット印刷および種々の接触型印刷技術(例えば、スクリーン印刷、版画印刷、オフセット印刷、パッド印刷およびマイクロコンタクト印刷)を含めた印刷により行ってもよい。ある実施形態において、前記付着手順は、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティング、ブレードコーティングまたはスプレーにより行ってもよい。
本教示内容の別の態様は、本教示内容の半導体材料を組み込む有機電界効果トランジスタを製造する方法に関する。本教示内容の半導体材料は、トップゲート・トップコンタクト型のコンデンサー構造、トップゲート・ボトムコンタクト型のコンデンサー構造、ボトムゲート・トップコンタクト型のコンデンサー構造、およびボトムゲート・ボトムコンタクト型のコンデンサー構造を含むがこれらに限定されない種々の有機電界効果トランジスタを製造するのに使用することができる。
本明細書に開示する有機半導体ポリマーを活用する種々の製造物品、構造およびデバイスもまた、本教示内容の適用範囲に含まれる。このような物品の例には、有機電界効果トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ)、その有機類似物、それとのハイブリッド、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路、相補インバーター、Dフリップフロップおよびリング発振器などが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、OTFTデバイスは、熱成長SiO(300nm)またはHMDSで不動態化したSiOを誘電体として使用し、低抵抗性のn型シリコンウェーハー上に本教示内容のポリマーを付着させて、トップコンタクト型に製造することができる。ある実施形態において、すべてのデバイス製造手順は大気中で行ってもよい。特定の実施形態において、本教示内容のポリマーを少なくとも1種類組み込むアクティブな半導体層は、種々の溶媒中で3分間5mg/mLの溶液をスピンコーティングすることによって塗布することができる。トップコンタクト型デバイスの場合には、シャドウマスク材を使用して膜の上に金接点をパターン化して、長さ25〜100μm、幅500〜2000μmのチャンネルを得ることができる。
より具体的には、1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB、沸点214℃)、1,4−ジクロロベンゼン(DCB、沸点180〜181℃)、クロロベンゼン(CB、沸点131℃)、p−キシレン(沸点138℃)およびo−キシレン(沸点143〜145℃)中のポリマー2および3の溶液を、ゲート誘導体としてSiOを使用し、シリコン基材上にスピンコーティングすることができる。膜厚はプロフィロメトリーによる測定で50〜70nmであってもよい。いくつかの実施形態においては、溶液を80℃に加熱して、スピンコーティング前にゲル化するのを防止してもよい。また、いくつかの実施形態においては、得られたデバイスを、測定前に30分間窒素下で130℃にてアニーリングしてもよい。例えば、ポリマー2および3のTHF溶液は、HMDSで処理したシリコン基材上で滑らかな薄膜を形成することが認められた。
本教示内容の適用範囲をいかなる方法でも制限することなく、単に例示を目的として、OFETを、上述の手順を使用して、ポリマー2、3、5および6のある実施形態で製造した。ポリマー3および6で製造したデバイスの実例となるトランスファープロット(VSD=−100V)および出力プロットを、図6Aおよび図6Bに示す。
試験した実施形態の場合、1,2−ジクロロベンゼンからスピンコーティングしたポリマー2のデバイスは、チャンネル長さ100μmで、0.002cm/Vsと最も高い飽和正孔移動度および約10〜10のIon/Ioff値を示したが、他の溶媒からスピンコーティングした膜を有するデバイスの場合、正孔移動度は同等であった。すべての溶媒からスピンコーティングしたポリマー3の薄膜は、約10−4cm/Vsときわめて類似した飽和正孔移動度を示した。一例として、p−キシレンおよびo−キシレンは、ポリマー3で製造したデバイスの場合にIon/Ioff比を一桁増大させることが認められた。未処理のSiO基材上でポリマー5および6から製造したデバイスは、ポリマー2および3で製造したデバイスよりも1桁または2桁低い正孔移動度を示した。特に、試験した実施形態の中で、ポリマー5で製造したデバイスは、TCB溶液からスピンコーティングした薄膜の場合に5×10−6cm/V−sと最も高い移動度を示し、Ion/Ioff比は1×10であった。試験した実施形態の中で、ポリマー6で製造したデバイスは、TCB溶液からスピンコーティングした場合に最も優れた性能を示し、移動度は1×10−4cm/V−sで、Ion/Ioff比は1×10であった。
HMDSで不動態化したシリコン基材上にスピンコーティングした場合、デバイス2、3、5および6はTFT反応の大幅な向上を示すと考えられた。具体的に、ポリマー2および3の高温THF溶液から得られ、窒素下で150℃にてアニーリングした高品質の薄膜(AFMによる計測で厚さが約25〜30nmで、RMS粗さが約0.2〜0.3nm)は、移動度がそれぞれ0.01cm/Vsおよび0.007cm/Vsであり、Ion/Ioff比がいずれも1×10であった。ポリマー5および6の膜で製造した類似のデバイスの性能も、HMDSで不動態化したシリコン基材を使用すると向上した。
いくつかの実施形態においては、アニーリングによって、本教示内容のポリマーで製造したデバイスのTFTデバイス性能(例えば、移動度およびIon/Ioff比)を向上させることができる。例えば、デバイスは、窒素雰囲気下で100℃、150℃、200℃、250℃および300℃にて30分間アニーリングした後、大気中で急冷するか窒素下での緩徐に冷却するかのいずれかによって、室温に冷却してもよい。いくつかの実施形態において、急冷したデバイスは、緩徐に冷却したデバイスよりも優れた移動度を有する可能性がある。
アニーリング温度によるデバイスの移動度およびIon/Ioff比の変化を、ポリマー2、3、5および6の実施形態ならびに基準ポリマー7および8で製造したデバイスを使用して検討した。試験した実施形態の中で、デバイス性能は250℃のアニーリング温度で最大になると考えられた。例えば、250℃にてアニーリングしたデバイスの場合、図7を参照すると、ポリマー2(図示なし)およびポリマー3で製造したデバイスの最高移動度は、それぞれ0.05および0.08cm/V−sであり、Ion/Ioff比は1×10および5×10であることが認められた。ポリマー5(図示なし)およびポリマー6の最高移動度は、それぞれ6×10−5および0.006cm/V−sであり、Ion/Ioff比は5×10および4×10であることが認められた。いくつかの実施形態において、ポリマー2、3および6で製造されたデバイスでは低い閾値電圧(0〜10V)が認められた。ポリマー5の閾値電圧はわずかに高い(約−10V〜−30V)ことが認められた。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、これは金電極の仕事関数(−5.1V)とそのHOMOレベルとが一致していないことが原因であると考えられる。いくつかの実施形態において、ポリマー3および6の融点が約300℃にてあったとしても、高温は本教示内容のポリマーに有害な作用をもたらす可能性がある。
いくつかの実施形態において、印刷されたOFETは、高粘度の溶液から版画印刷によって付着させたポリマー薄膜で製造することができる。例えば、印刷されたOFETは、誘導体層も印刷されたPET−Al−CPB基材上にポリマー6(0.5%(w/v)TCB溶液)の実施形態を付着させて製造した。印刷後、Au接触付着の前に、印刷した膜を真空下で30分間約100℃にてアニーリングした。印刷したデバイスは、大気中で測定した場合に10−5cm/V−sの飽和正孔移動度と、約100のIon/Ioff比を示した(図8)。印刷したデバイスの移動度はスピンコーティングした膜よりも低いことが認められたが、このデバイスはpチャンネルのトランジスタとして再現可能に機能した。これらの処理上の利点(具体的には、版画印刷の簡便性と低いアニーリング温度)は、用途によっては若干低いデバイス性能を補うものとなる。
本教示内容のポリマーを使用して製造したOFETデバイスは、大気中できわめて良好に機能し、例えば、優れた大気中での保存安定性と電気安定性の両方を示す。例えば、ポリマー3の実施形態で製造し、3週間大気に暴露したデバイスのオフ電流は、1桁未満増大することが認められたが、オン電流は同レベルを維持した(図9A)。別の例として、ポリマー6の実施形態で製造したデバイスのIon/Ioff比は、60日後に1桁未満減少することが認められた(図9C)。ポリマー3および6で製造したデバイスでは、ほぼ同じ閾値電圧、移動度およびIon/Ioff比が認められ、本教示内容のポリマーの優れた大気安定性が示された。実際に、露光も含む大気条件下で1年間保存した後、Ion/Ioff比は約1×10〜約5×10であることが認められた。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、数週間後の閾値電圧の正方向への偏移は、酸素によるわずかなpドーピングによるものと考えられる。また、大気中で種々のゲートバイアスにてデバイスのオン・オフを繰り返し切り替えることによって、OFETの電気安定性も試験した。図9Bおよび図9Dを参照すると、ポリマー3および6で製造したデバイスでは、デバイス性能が低下の徴候をほとんど示さず、固定ゲート電圧におけるIon/Ioff比が一定したままであった。
本教示内容の態様は、以下の実施例に鑑みてより詳細に理解することができるが、これらの実施例は、いかなる方法によっても本教示内容の適用範囲を制限するものとして解釈してはならない。
特に記載がない限り、すべての試薬は、販売元から購入し、さらなる精製を行わずに使用した。無水THFはNa/ベンゾフェノンから蒸留した。特に記載がない限り、従来のシュレンク法を使用し、反応は窒素下で行った。紫外可視スペクトルは、Cary Model 1紫外可視分光光度計で記録した。蛍光測定値は、Photon Technology InternationalのQM−2蛍光計で記録した。NMRスペクトルはVarian Unity Plus 500分光計で記録した(H、500MHz;13C、125MHz)。エレクトロスプレー質量分析は、Thermo FinneganのLCQ Advantage質量分析計で行った。電気化学分析は、BAS Epsilonソフトウェア(Bioanalytical Systems,Inc.、米国インディアナ州ラファイエット)を備えたC3 Cell Stand電気化学分析ステーションで行った。
(実施例1) 3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’−ビチオフェン10の調製
氷酢酸(20mL)とクロロホルム(45mL)の混合溶媒に溶かした2,2’−ビチオフェン(5.57g、33.5mmol)溶液に、ブロミン(19.6g、122.6mmol)を5〜15℃にて1.5時間かけて滴加した。この混合物を室温にて5時間攪拌した後、24時間還流した。室温に冷却した後、10%KOH水溶液50mLを添加することによって、この反応物を急冷した。この混合物をCHCl(2×100mL)で抽出し、合わせた抽出物を水で洗浄して、無水MgSOで乾燥させ、濾過して、溶媒を蒸発除去した。エタノールからの再結晶化により、オフホワイトの結晶を77%の収率で得た。H NMR (CDCl): δ 7.06 (s, 2H) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 112.32, 115.31, 133.17 ppm。
(実施例2) 3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン11の調製
3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’−ビチオフェン10(12.5g、25.9mmol)を0.5時間以内に数回に分けて、水13mL、氷酢酸31mLおよび3M HCl 2.6mLを含有するエタノール130mLとZn粉末(6.5g、0.1mol)との分散液が還流したところへ添加した。還流しながらさらに2時間加熱してから、室温に冷却した後、この混合物を濾過してエタノールで3回洗浄し、濾過物を回収した。その後溶媒を蒸発除去し、HO 60mLを添加した。この混合物をジエチルエーテルで抽出して、合わせた抽出物を水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過した。蒸発により溶媒を蒸発除去し、粗生成物をヘキサンから再結晶化させて、無色の結晶を得た(7.6g、収率90%)。H NMR (CDCl): 7.41 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 5.3 Hz, 2H) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 112.84, 127.73, 129.07, 131.01 ppm。
(実施例3) 3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ビチオフェン12の調製
−78℃の無水THF(500mL)中のn−BuLiヘキサン溶液(60mmol、24mL)に、無水THF(100mL)中の11の溶液(30mmol、9.720g)を、激しく攪拌しながら30分間かけて滴加した。この混合物を−78℃にて1時間攪拌して、白色の懸濁液を得た。次に、ジクロロジヘキシルシラン(30mmol、8.070g)のTHF(100mL)溶液を滴加した。この反応混合物を−78℃にてさらに5時間攪拌し、室温に温め、一晩攪拌した。この反応物を、NHCl飽和水溶液(300mL)を添加することにより急冷した。水層をエーテル(3×100mL)で抽出した。その後、この有機相を集めて、水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色の液体(6.8g、68%)を得た。H NMR (CDCl): δ 0.85−0.93 (m, 10H), 1.24−1.41 (m, 16H), 7.06 (d, 2H, J = 5 Hz), 7.21 (d, 2H, J = 5 Hz) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 12.07, 14.29, 22.80, 24.37, 31.65, 33.07, 125.17, 126.85, 141.81, 149.37 ppm。
(実施例4) 5,5’−ジブロモ−3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ビチオフェン13の調製
12(1.84g、5.0mmol)のDMF(40mL)溶液に、NBS(1.98g、11.0mmol)を1回で添加した。この混合物を室温にて10分間攪拌した後、水(50mL)を添加した。この混合物をエーテル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過後、エーテルを除去し、ヘキサンを溶離液として使用してカラムクロマトグラフィーにて生成物を精製して、緑色の液体(2.38g、91%)を得た。H NMR (CDCl): δ 0.86−0.88 (m, 10H), 1.32−1.22 (m, 16H), 7.00 (s, 2H) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 11.85, 14.29, 22.75, 24.19, 31.58, 33.00, 111.62, 132.35, 141.19, 149.13 ppm。
(実施例5) 5,5’−ビス(トリメチルチン)−3,3’−ジヘキシルジチエノシロール14の調製
12(0.77mmol、0.40g)のTHF(20mL)溶液に、n−BuLi(1.85mmol、0.74mL、2.5Mのヘキサン溶液)を−78℃にて滴加した。この混合物を−78℃にて1時間攪拌した。その後、クロロトリメチルチン(2.4mmol、2.4mL、1.0Mのヘキサン溶液)を添加した。この混合物を室温に温め、2時間攪拌した。真空下で揮発性物質を除去した。
(実施例6) 4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル15の調製
2,5−ジブロモニトロベンゼン(24.0g、85.4mmol)のDMF(110mL)攪拌溶液に、銅粉末(12.0g、188.9mmol)を添加し、この反応混合物を125℃に加熱した。3時間後、この混合物を室温に放冷した。60℃の高真空下でDMFの大半を蒸発させた後、残留物をベンゼン(400mL)に溶解し、溶解しない無機塩および過剰銅をCelite(登録商標)により濾過して除去した。濾過物を水および10% NaHCOで洗浄し、乾燥するまで蒸発させて、黄色の結晶の粗生成物(15.6g、91%)を得た。この粗生成物をイソプロパノールから再結晶化させて、純粋な生成物11.0gを得た。この母液を容量が4分の1になるまで蒸発させて、純粋な生成物をさらに3.9g回収し、合計で14.9g(87%)を得た。H NMR (CDCl): δ 7.17 (2H, d, J = 8.0), 7.84 (2H, dd, J = 8.0, 2.0), 8.39 (2H, d, J = 2.0) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 123.0, 128.2, 131.8, 132.0, 136.4, 147.5 ppm; m.p. 148 ℃。
(実施例7) 4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジアミン16の調製
絶対エタノール135mLに溶解した15(11.0g、27.4mmol)の溶液に、32%w/wのHCl水溶液(78.0mL)を添加した。その後、10分間かけて錫粉末(13.0g、108.5mmol)を数回に分けて添加し、反応混合物を100℃にて2時間加熱還流した。冷却後、この混合物を氷水(400mL)に注ぎ、20%w/wのNaOH水溶液でpHが9.0になるまでアルカリ化した。この生成物をジエチルエーテルで抽出し、有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで蒸発させて、さらに精製せずに使用できる淡褐色の結晶の純粋な生成物(8.6g、92%)を得た。H NMR (CDCl): δ 6.92 (6H, s), 3.78 (4H, br s, NH) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 118.2, 121.9, 122.1, 122.8, 132.4, 145.3 ppm; m.p. 118−119 ℃。
(実施例8) 4,4’−ジブロモ−2,2’−ジヨードビフェニル17の調製
16(16g、46.8mmol)および濃縮HCl(56.0mL)の水溶液(64.0mL)を0℃に冷却した。温度を0℃に維持しながら、水40mLに溶解したNaNO8.0g(0.106mmol)を、30分間かけてこのジアミン溶液に滴加した。NaNOの添加が完了した後、得られた混合物をさらに30分間攪拌した。−5℃のKI水溶液(水150mL中の77.7g)を30分間かけて滴加した。この反応混合物を室温にて1時間、60℃にて3時間(撹拌機で)攪拌し、暗褐色の溶液を得た。この溶液を25℃に冷却し、褐色の沈殿物を濾過によって回収した。この褐色の粗固形物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)で精製して、白色の固形物として表題の化合物を得た(7.4g、28%)。元素分析: C, 26.1; H, 1.2; I, 46.2; H NMR (CDCl): δ 7.04 (2H, d, J = 8.0), 7.57 (2H, d, J = 8.0), 8.11 (2H, s) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 99.9, 122.4, 130.8, 131.3, 141.2, 146.6 ppm; m.p. 91 ℃。
(実施例9) 2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルジベンゾシロール18の調製
n−ブチルリチウム(17.0mL、42.5mmol、2.5Mのヘキサン溶液)を、乾燥THF(120mL)に溶かした17(6.0g、10.64mmol)の攪拌溶液に、−78℃にて数回に分けて2時間かけて添加した。この混合物を−78℃にてさらに1時間攪拌した。次にジクロロジオクチルシラン(7.4mL、21.37mmol)を添加し、混合物を室温に温め、一晩攪拌した。この反応混合物を蒸留水(30.0mL)で急冷し、溶媒を真空除去した。この生成物をジエチルエーテルに溶解し、有機相を塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発させ、褐色を帯びた油の粗生成物8.5gを得た。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)による精製を行い、無色の油として表題の化合物(4.2g、70%)を得た。元素分析: C, 60.4; H, 7.4; H NMR (CDCl): δ 0.91 (6H, t, CH3), 0. 98 (4H, t, CH2), 1.23−1.38 (24H, m, CH2), 7.53 (2H, dd, J = 8.0, 1.5), 7.63 (2H, d, J = 8.0), 7.68 (2H, d, J = 1.5) ppm; 13C NMR (CDCl): δ 12.2, 14.3, 22.9, 23.9, 29.2, 29.4, 32.0, 33.5, 122.4, 122.6, 133.2, 136.0, 140.6, 146.2 ppm; 29Si NMR (CDCl): δ 4.4 ppm。
(実施例10) 2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルジベンゾシロール19の調製
Tert−BuLi(4.6mL、7.81mmol、1.7Mのペンタン溶液)を、乾燥THF(15mL)に溶かした16(1.05g、1.86mmol)の溶液に、窒素下で−78℃にて30分間かけて添加した。この混合物を−78℃にてさらに15分間攪拌し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(0.95mL、4.65mmol)を滴加し、さらに25℃にて一晩攪拌を続けた。この反応物を蒸留水で急冷し、THFを真空除去した。この生成物をジエチルエーテルで抽出し、有機相を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発させて、白色の固形物として純粋な生成物8.5g(0.97g、80%)を得た。H NMR (CDCl): δ 0.92 (6H, t, CH), 0. 96 (4H, t, CH), 1.22−1.38 (24H, m, CH), 1.38 (24H, s, CH), 7.82 (2H, d, J = 7.0), 7.85 (2H, d, J = 7.0), 8.08 (2H, s) ppm; 29Si NMR (CDCl): δ 3.3 ppm。
(実施例11) TS6(1)の調製
THF(20mL)に溶かした5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシルジチエノシロール13(0.77mmol、0.40g)と触媒Pd(PPhCl(55mg)を不活性の窒素雰囲気下で合わせ、この調製物を8日間加熱還流して、濃い懸濁液を得た。この混合物を冷却し、水(30mL)を添加した。水相をCHCl(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を水(40mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を除去し、残留物をTHFに溶解して、沸騰したメタノールを滴加して、黒色の懸濁液を得た。沈殿物を濾過により回収し、THFに再び溶解し、メタノールによって再び沈殿させて、黒色の塊状の固形物(0.37g、66%)を得た。GPC: M=2.6x10, PDI=2.9; NMR: H (CDClCDCl): δ 7.06 (br, 2H), 1.35 (m, 4H), 1.17 (m, 16H), 0.80 (s, 6H); 13C (CDClCDCl): δ 146.92, 142.53, 138.01, 125.40, 32.44, 30.92, 23.60, 22.07, 13.61, 11.34; 元素分析: C 66.14, H 7.08。
(実施例12) TS6T1(2)の調製
無水THF(50mL)に溶かした試薬2,5−ビス(トリメチルスタニル)チオフェン(1.5mmol、0.614g)、13(1.5mmol、0.78g)およびPd(PPhCl(50mg)を攪拌しながら窒素下で7日間加熱還流した。その後、加熱を中止し、反応混合物を室温に放冷して、メタノール(800mL)中に注いだ。ほぼ黒色の沈殿物を濾過により回収し、さらにメタノール/THFから2回沈殿させて精製し、濃紫色の固形物(0.52g、81%)を得た。GPC: M= 30500, PDI = 2.9; H NMR (ClCDCDCl): δ 0.81 (br, 6H), 1.20−1.36 (br, 20H), 7.02−7.08 (br, 4H) ppm; 元素分析: C, 65.11; H, 6.90。
(実施例13) TS6T2(3)の調製
無水THF(50mL)に溶かした試薬2,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(1.5mmol、0.74g)、13(1.5mmol、0.78g)およびPd(PPhCl(50mg)を窒素下で7日間加熱還流した。その後、加熱を中止し、反応混合物を室温に放冷して、メタノール(800mL)中に注いだ。黒色の沈殿物を濾過により回収し、さらにメタノール/THFから2回沈殿させて精製し、濃紫色の固形物(0.65g、83%)を得た。GPC: M= 40700, PDI = 3.0; H NMR (ClCDCDCl): δ 0.80−0.87 (br, 6H), 1.19−1.34 (br, 20H), 7.02−7.08 (br, 4H); 元素分析: C, 64.04, H, 6.08.

(実施例14) BS8(4)の調製
19(315.0mg、0.478mmol)、18(270.0mg、0.478mmol)およびAliquat 336(0.040g)をNで3回脱ガス処理した後、乾燥トルエン2.5mLを添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.3mg、0.007mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液(0.95mL、2時間脱気)をN下で添加した。この混合物を激しく攪拌し、2日間加熱還流した。高粘度の反応混合物を沸騰したメタノール(15mL)に注ぎ、薄緑色のポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾過により回収し、アセトン、メタノール、水で洗浄して、70℃にて一晩真空乾燥させた。その後、ポリマーを沸騰したTHFに溶解し(THF20mL中の400mg)、濾過し、メタノール80mLで再び沈殿させて、薄緑色のポリマーとして表題の生成物300mg(76%)を得た。GPC: M= 32210, PDI = 3.4; H NMR (ClCDCDCl): δ 0.6−1.6 (br, CH+CH), 6.3−7.0(m, ArH), 7.5−8.0(m, ArH) ppm; 元素分析: C, 82.68; H, 10.44。
(実施例15) BS8T1(5)の調製
18(564.5mg、1.0mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン(336.0mg、1.0mmol)およびAliquat 336(0.084g)の混合物をNで3回脱ガス処理し、乾燥トルエン7.0mLを添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(15.0mg、0.014mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液(1.95mL、2時間脱気)をN下で添加した。この混合物を激しく攪拌し、2日間加熱還流した。高粘度の反応混合物を沸騰したアセトン(13mL)に注ぎ、オレンジ色のポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾過により回収し、アセトン、メタノール、水で洗浄して、60℃にて一晩真空乾燥させた。その後、ポリマーを沸騰したトリクロロベンゼンに溶解し、メタノール100mLで2回再沈殿させて、純粋な緑色のポリマーとして表題の生成物292mg(60%)を得た。GPC: M= 112000, PDI = 3.1; H NMR (CDCl): δ 7.41−7.73 (8H, br, ArH), 0.86−1.40 (34H, m, CH+CH) ppm; 元素分析: C, 78.58; H, 8.97。
(実施例16) BS8T2(6)の調製
18(193.0mg、0.354mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビチオフェン(148.0mg、0.354mmol)およびAliquat 336(0.03g)の混合物をNで3回脱ガス処理し、乾燥トルエン2.5mLを添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.3mg、0.005mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液(0.7mL、2時間脱気)をN下で添加した。この混合物を激しく攪拌し、2日間加熱還流した。高粘度の反応混合物を沸騰したアセトン(13mL)に注ぎ、オレンジ色のポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾過により回収し、アセトン、メタノール、水で洗浄して、60℃にて一晩真空乾燥させた。その後、ポリマーを沸騰したトリクロロベンゼンに溶解し(TCB9mL中の170mg)、メタノール40mLで2回再沈殿させて、純粋なオレンジ色のポリマーとして表題の生成物140mg(45%)を得た。GPC: M= 127000, PDI = 3.7; H NMR (ClCDCDCl): δ 7.01−7.85 (10H, br, ArH), 0.86−1.45 (34H, m, CH+CH) ppm; 元素分析: C, 75.68; H, 7.84。
(比較例1) F8T1(7)の調製
19(530.0mg、1.0mmol)、2,5−ジブロモチオフェン(242.0mg、1.0mmol)およびAliquat 336(0.084g)の混合物をNで3回脱ガス処理し、乾燥トルエン7mLを添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(15.0mg、0.014mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液(1.95mL、2時間脱気)をN下で添加した。この混合物を激しく攪拌し、2日間加熱還流した。この反応混合物を沸騰したアセトン(20mL)に注ぎ、緑色のポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾過により回収し、アセトン、メタノール、水で洗浄して、60℃にて一晩真空乾燥させた。その後、ポリマーを沸騰したトルエンに溶解し、メタノール40mLで3回再沈殿させて、純粋な緑色のポリマーとして表題の生成物260mg(55%)を得た。GPC: M= 17755, PDI = 2.6;(C3342S)の理論計算値: C, 84.20; H, 8.99; 実測値: C, 84.31; H, 9.41。
(比較例2) F8T2(8)の調製
19(800.0mg、1.5mmol)、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン(489.0mg、1.5mmol)およびAliquat 336(0.12g)の混合物をNで3回脱ガス処理し、乾燥トルエン10mLを添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(23.0mg、0.021mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液(2.95mL、2時間脱気)をN下で添加した。この混合物を激しく攪拌し、2日間加熱還流した。高粘度の反応混合物を沸騰したメタノール(30mL)に注ぎ、黄色の線維性のポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾過により回収し、アセトン、メタノール、水で洗浄して、60℃にて一晩真空乾燥させた。その後、ポリマーを沸騰したトルエンに溶解し、メタノール50.0mLで3回再沈殿させて、純粋な黄色の線維性ポリマーとして表題の生成物660.0mg(79%)を得た。GPC: M= 80000, PD = 3.3;(C3744の理論計算値: C, 80.38; H, 8.02; 実測値: C, 80.68; H, 8.14。
(実施例17) 薄膜トランジスタデバイスの製造および薄膜の特性評価
300nmの熱成長酸化物を有する高級n型ドーピングシリコンウェーハ(Process Specialties Inc.)をデバイスの基材として使用した。これらを水、メタノールおよびアセトンで洗い流した後に、膜を付着させた。窒素下で一晩室温にて密閉容器でこのシリコンウェーハーをヘキサメチルジシラザン(HMDS)の蒸気に暴露することにより、Si/SiO表面のトリメチルシリル化を行った。0.5%(w/v)のTHFまたは1,2,4−トリクロロベンゼン溶液からポリマー膜にスピンコーティングした後、窒素下で230〜250℃にて30分間アニーリングを行った。スピンコーティングした膜厚は、プロフィロメトリーによる評価で25〜30nmであった。FETデバイスの製造では、トップコンタクト型電極(500Å)を金蒸着により付着させ(圧力10−5トル未満)。チャンネル寸法は長さ25/50/100μm、幅0.2/1.0/2.5/5.0mmであった。絶縁体のキャパシタンスは、300nmのSiOで1×10−8F/cmである。TFTデバイスの測定は、カスタマイズした真空プローブステーション(8×10−5トル)または大気中で行った。同軸形および/または3軸のシールドをSignatonプローブに組み込んで、ノイズレベルを最小限に抑えた。TFTの特性評価は、Keithley 6430サブフェムトアンプ計およびKeithley 2400電源計をローカルで作成したLabviewプログラムおよびGPIB通信により操作することにより行った。薄膜は、Cu−Kα線およびモノクロメーターを使用して、標準のθ−2θ法に基づくRikagu ATX−G装置による広角X線回折法(WAXRD)によって分析した。θ−2θスキャンはすべて、Si(100)基材の反射によりin situにて測定した。
(実施例18) 電気化学測定
サイクリックボルタンメトリー測定は、乾燥アセトニトリルに溶かした0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩(BuNPF)の電解質溶液中で行った。白金ワイヤー電極を作用電極および対電極の両方として使用し、Agワイヤーを疑似基準電極として使用した。フェロセン/フェロセニウム酸化還元対を内部基準として使用し、銀電極で得られた電圧を飽和カロメル電極(SCE)スケールに変換した。0.5〜1.0重量%THF溶液からドロップキャストすることによって、ポリマーの薄膜をPt作用電極にコーティングし、80℃にて2時間真空乾燥させた。
本教示内容は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱しない範囲で他の特定の形態の実施形態を包含する。そのため、前記の実施形態は、あらゆる点で、本明細書に記載の本教示内容を制限するものではなく例示するものであると見なされるものとする。したがって、本教示内容の適用範囲は、前記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価性の意味および範囲に含まれるすべての変更が、本教示内容の適用範囲に包含されるものとして意図される。

Claims (20)

  1. 以下の式Iの反復単位を含むポリマーであって:
    Figure 2009536980
    式中、
    Zがa)S、b)Se、c)Te、d)NR、e)N=N、f)C(O)またはg)CR=CRであり、
    およびRが独立してa)H、b)C1〜20アルキル基、c)C2〜20アルケニル基、d)C2〜20アルキニル基、e)C1〜20ハロアルキル基、f)−Y−C3〜14シクロアルキル基、g)−Y−C6〜14アリール基、h)−Y−3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはi)−Y−5〜14員へテロアリール基であって、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C1〜20ハロアルキル基、該C3〜14シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜14員シクロヘテロアルキル基、および該5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
    、R、RおよびRが独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であって、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C1〜20ハロアルキル基、該C3〜14シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜14員シクロヘテロアルキル基、および該5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
    がa)H、b)C1〜20アルキル基、c)C2〜20アルケニル基、d)C2〜20アルキニル基、e)C1〜20ハロアルキル基、f)−Y−C3〜14シクロアルキル基、g)−Y−C6〜14アリール基、h)−Y−3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはi)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であって、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C1〜20ハロアルキル基、該C3〜14シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜14員シクロヘテロアルキル基、および該5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
    およびRが独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であって、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C1〜20ハロアルキル基、該C3〜14シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜14員シクロヘテロアルキル基、および該5〜14員ヘテロアリール基のそれぞれが場合により1〜4個の−Y−R10基で置換され、
    10が各々の発現で独立して、a)ハロゲン、b)−NO、c)−CN、d)オキソ、e)−OH、f)−NH、g)−SH、h)−C(O)OH、i)−C(O)NH、j)−S(O)OH、k)−OC1〜20アルキル、l)−NH−C1〜20アルキル、m)−N(C1〜20アルキル)、n)−C(O)−C1〜20アルキル、o)−C(O)−OC1〜20アルキル、p)−C(O)NH−C1〜20アルキル、q)−C(O)N(C1〜20アルキル)、r)−S(O)−C1〜20アルキル、s)−S(O)−OC1〜20アルキル、t)−S(O)−NHC1〜20アルキル、u)−S(O)−N(C1〜20アルキル)、v)C1〜20アルキル基、w)C2〜20アルケニル基、x)C2〜20アルキニル基、y)C1〜20ハロアルキル基、z)C3〜14シクロアルキル基、aa)C6〜14アリール基、ab)3〜14員シクロヘテロアルキル基、またはac)5〜14員ヘテロアリール基であり、
    Yが各々の発現で独立して、a)二価C1〜20アルキル基、b)二価C2〜20アルケニル基、c)二価C2〜20アルキニル基、d)二価C1〜20ハロアルキル基、またはe)共有結合であり、
    mが各々の発現で独立して0、1または2であり、
    xが0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、そして
    x’が1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であるが、
    但し、ZがCH=CHであり、RおよびRがn−ヘキシル基である場合、xは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である、
    ポリマー。
  2. 前記反復単位が以下の式IIを有し:
    Figure 2009536980
    式中、R、R、R、R、R、R、Zおよびxが請求項1に定義する通りである、
    請求項1に記載のポリマー。
  3. ZがSである、請求項1または2に記載のポリマー。
  4. ZがCR=CRである、請求項1または2に記載のポリマー。
  5. ZがCH=CHである、請求項1または2に記載のポリマー。
  6. およびRが独立して、場合により1〜4個の−Y−R10基で置換されるC1〜20アルキル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー。
  7. 、R、RおよびRの少なくとも1個がHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー。
  8. 前記反復単位が、以下の式IIIを有し:
    Figure 2009536980
    式中、R、R、Zおよびxが請求項1に定義する通りである、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマー。
  9. およびRが独立してヘキシル基またはオクチル基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマー。
  10. 前記ポリマーが以下の式I’を有し:
    Figure 2009536980
    式中、nが2〜約500の範囲の整数であり、
    、R、R、R、R、R、Z、xおよびx’が請求項1に定義する通りである、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー。
  11. 前記ポリマーが以下の式II’または式III’を有し:
    Figure 2009536980
    式中、nが2〜約500の範囲の整数であり、そして
    、R、R、R、R、R、Z、およびxが請求項1に定義する通りである、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリマー。
  12. 前記ポリマーが、
    Figure 2009536980
    から選択され、
    式中、nが2〜約500の範囲の整数である、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリマー。
  13. 前記ポリマーが式Iの前記反復単位以外の1個以上のさらなる反復単位を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー。
  14. 前記1個以上のさらなる反復単位が、
    Figure 2009536980
    から選択され、
    式中、R、R、R、R、RおよびRが請求項1に定義する通りである、
    請求項13に記載のポリマー。
  15. 有機溶媒または溶媒混合物に溶解する請求項1〜14のいずれか1項に記載の1個以上のポリマーを含む、組成物。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の1個以上のポリマーを含む、薄膜半導体。
  17. 基材、ならびに該基材上に付着した請求項15に記載の薄膜半導体を含む、複合材料。
  18. 請求項17に記載の複合材料を含む、有機電界効果トランジスタデバイス。
  19. 請求項17に記載の薄膜半導体を含む、相補回路。
  20. 請求項17に記載の相補回路を含む、電子デバイス。
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