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JP2009528298A - 細胞の除去または破壊を必要とする腫瘍および他の状態の治療に有効なペプチド - Google Patents

細胞の除去または破壊を必要とする腫瘍および他の状態の治療に有効なペプチド Download PDF

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JP2009528298A JP2008556623A JP2008556623A JP2009528298A JP 2009528298 A JP2009528298 A JP 2009528298A JP 2008556623 A JP2008556623 A JP 2008556623A JP 2008556623 A JP2008556623 A JP 2008556623A JP 2009528298 A JP2009528298 A JP 2009528298A
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Abstract

本実施態様は、小ペプチドに基づく化合物を用いて、ヒトにおける良性もしくは悪性腫瘍などの、細胞要素の除去または破壊を必要とする状態を治療する方法を含む。該方法は、これに限定されないが、該化合物を筋肉内、経口、静脈内、髄腔内、腫瘍内、鼻腔内、局所、経皮等により、単独で、またはキャリアと複合体化させて投与することを、含む。

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2006年2月28日に出願された米国仮出願第60/776,933の利益を請求し、該出願の全体は、参照によって本明細書に援用される。
背景
1.実施態様の分野
[0002] 本実施態様には、小ペプチドに基づく化合物を用いた、ヒトにおける良性もしくは悪性腫瘍などの、細胞要素の除去または破壊を必要とする状態の治療方法が含まれる。該方法には、これに限定されないが、化合物を、筋肉内、経口、静脈内、髄腔内、腫瘍内、鼻腔内、局所、経皮等により、単独で、またはキャリアと複合体化させて投与することが含まれる。
2.関連技術の説明
[0003] 多くの医学的治療および手順の本質は、有害もしくは望ましくない組織の除去または破壊を伴う。このような重要な治療の例には、癌性成長の外科的除去、化学療法による転移性腫瘍の破壊、および腺(例えば、前立腺)過形成の縮小が含まれる。他の例には、望ましくない顔の毛の除去、疣贅の除去および望ましくない脂肪組織の除去が含まれる。
[0004] 有害もしくは望ましくない細胞および組織のさらなる成長を破壊することによって、それらの除去を促進するか、またはさらなる成長を阻害する剤であって、ただし、主として局所的な効果を有し、かつ、全身毒性がわずかであるか、もしくはないであろう有効な剤に対する明らかな需要が存在する。
[0005] このような剤の種類については、「Methods of Treating Tumors and Related Conditions Using Neural Thread Proteins」と題する係属中の米国特許出願第10/092,934、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/153,334、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/198,069、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する10/198,070、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/294,891;および、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/920,313に開示されており、それぞれの該出願の開示は、その全体が、参照によって本明細書に援用される。
[0006] 本明細書に開示するのは、一つのこのようなペプチド剤(配列番号1:Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)のコンポジット、断片およびサブシークエンスであって、これらも、細胞の除去または破壊を必要とする腫瘍および他の状態の治療に有用である。
[0007] 癌は、細胞の制御不能な成長および複製をもたらす、細胞の内部調節機構の異常である。正常な細胞は組織を構成し、そして、これらの細胞が、特定の、制御されたおよび調整された単位としてふるまう能力(脱分化)を失うとき、その欠陥が細胞集団の間で無秩序を引き起こす。これが起こると、腫瘍が形成される。
[0008] 組織の良性の過成長は、生物体から細胞を除去することが望ましい異常である。良性腫瘍は、全身に転移しない細胞増殖であるが、しかしながら、病徴を引き起こす。このような腫瘍は、脳などの器官のアクセス不能な領域に位置する場合、死をもたらす可能性がある。肺、脳、皮膚、下垂体、甲状腺、副腎皮質および副腎髄質、卵巣、子宮、精巣、結合組織、筋肉、腸、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、肝臓、胆嚢、膵臓、前立腺、心臓ならびに他の器官を含む器官の良性腫瘍がある。
[0009] 外科手術は、癌の治療における最初の措置である場合が多い。外科手術の目的は、様々である。明らかな腫瘍を可能な限り除去するために用いられる場合もあれば、少なくとも「デバルキングする」(他の手段により治療される必要のある部分がより少ないように、腫瘍の大部分を除去する)のために用いられる場合もある。癌の型および位置にもよるが、外科手術は、患者にある程度の症状軽減をもたらす可能性がある。例えば、外科医が、広がった脳腫瘍の大部分の除去可能であるならば、頭蓋内部の圧は低減し、患者の症状を改善させるであろう。
[0010] すべての腫瘍が、外科手術可能なわけではない。完全に除去することが不可能な身体の部分に位置する場合もある。脳幹(呼吸を制御する脳の部分)の腫瘍、または大血管の中もしくは周囲に成長している腫瘍が、これらの例であろう。これらの場合、外科手術の役割は、腫瘍の除去に伴う高い危険性のために、限られる。
[0011] 時として、外科手術は、単に必要でないことから、腫瘍をデバルキングするために用いられない。その例は、ホジキンリンパ腫という、化学療法と放射線療法の組み合わせに対して非常によく反応するリンパ節の癌である。ホジキンリンパ腫では、外科手術は、治癒を達成するために必要とされることは滅多にないが、しかし、たいていの場合、診断を確立するために用いられる。
[0012] 化学療法は、癌治療の別の一般的な形態である。本質的には、これは、全身の分裂細胞(腫瘍内に見いだされるものなど)を迅速に特異的に攻撃する薬剤(経口または注射によって通常は投与される)の使用を伴う。これにより、化学療法は、すでに転移している癌、ならびに、血液およびリンパ系を介して広がる可能性が高いが、しかし、原発腫瘍を超えていることが明らかでない腫瘍の治療に有用となる。さらに、化学療法を、外科手術および放射線療法に対する限局性腫瘍の反応を増強させるために用いてもよい。これは、例えば、一部の頭頸部癌に対する場合である。
[0013] 残念なことに、通常迅速に分裂するヒト身体の他の細胞(胃内膜および髪など)もまた、化学療法の影響を受ける。この理由のため、多くの化学療法剤は、悪心、嘔吐、貧血、脱毛または他の症状などの望ましくない副作用を誘発する。これらの副作用は一時的なものであり、そして、これらの副作用の多くを軽減させることが可能な薬剤がある。我々の知識が増し続けていることから、研究者は、癌細胞を殺すことにより優れているだけでなく、患者への副作用がより少ない新たな化学療法剤を考案している。
[0014] 化学療法は、多様な方法にて患者に投与される。丸薬を含むものあれば、静脈内等への注射により投与されるものもある。注射による化学療法に関しては、患者は、治療のために医院または病院へ通う。他の化学療法剤は、血流中への持続注入を1日24時間必要とする。これらのタイプの化学療法に関しては、小さな外科的手順を、患者が装着する小ポンプを埋め込むために行う。次いで、ポンプが徐々に薬剤を投与する。多くの場合、針刺しを繰り返し行う必要性を排除するために、患者の静脈内に恒久的なポートを設置する。
[0015] 放射線療法は、癌との闘いにおいて一般的に用いられる別の対抗手段である。放射線は、腫瘍細胞内のDNAを損傷させることによって癌を殺す。放射線は、様々な方法で送達される。最も一般的なものは、患者の腫瘍を焦点として高精度に放射線ビームを当てることを伴う。これを行うためには、患者は台の上に横たわり、そして、ビームがその周囲を動く。この手順を数分間続けるが、しかし、特定の総処方用量に達するために、数週間、毎日行ってもよい(腫瘍の型による)。
[0016] 時に使用されることがある「近接照射療法」と称される別の放射線方法は、放射活性ペレット(シード)またはワイヤーを選び、そして身体の腫瘍領域にそれを埋め込むことを伴う。埋め込みは、一時的または恒久的であることが可能である。恒久的な埋め込みに関しては、シード内の放射線は、患者が放射活性とならないよう、数日または数週間の期間かけて崩壊する。一時的な埋め込みに関しては、放射線の全用量が、通常は、数日間で送達され、そして、患者はその間病院に留まらなければならない。双方のタイプの近接照射療法に関して、放射線を、癌に対する局所的制御を増すために(化学療法が行うように全身を治療するのとは対照的に)、一般には、極めて標的化された領域へと送達する。
[0017] 厳選されたいくらかの患者に、骨髄移植を勧めてもよい。この手順は、通常は、患者が特に攻撃的な癌を有するか、あるいは、慣用の療法で治療した後に再発した癌を有するために、行われる。骨髄移植は、複雑な手順である。多くのタイプがあり、そして、それらが副作用および治癒をもたらす可能性は、様々である。たいていの移植は、特別なセンターにて行われ、そして、多くの場合、その使用は研究目的であるとみなされる。
[0018] 多数の他の療法が存在するが、そのほとんどは臨床試験において開発段階であり、かつ、標準的な治療にはまだなっていない。その例には、免疫療法、モノクローナル抗体、抗血管新生因子および遺伝子療法が含まれる。
[0019] 免疫療法:患者自身の免疫系が癌と闘うことを助けるように設計された、放射線または化学療法とは極めて異なる種々の技術がある。目標を達成するために、研究者は、特別に作製したワクチンを患者に注射する場合が多い。
[0020] モノクローナル抗体:これらは、癌性細胞と非癌性細胞との間の抗原特性および/または他の特性の違いを利用することによって、癌性細胞(および正常でない細胞)と結び付くよう設計されている。該抗体を、単独で患者に投与してもよく、あるいは、癌性細胞を選択的に標的とすることによって毒性剤または放射活性を所望の細胞へ送達可能なように、種々の細胞毒性化合物と複合体化させるか、または放射活性形態により患者に投与してもよい。
[0021] 抗血管新生因子:癌細胞が迅速に分裂し、そして腫瘍が成長するにつれて、それらは、程なく、成長により血液を供給できなくなる可能性がある。これを補うために、一部の腫瘍は、その近隣の血管の成長の誘導を助けると考えられている物質を分泌することによって、癌細胞に、血管栄養源を提供する。血管から腫瘍への成長を止めるために、実験的療法が設計されている。
[0022] 遺伝子療法:癌は、最終的に癌細胞の生成およびその過剰な増殖をもたらす、一連の変異の産物である。癌の増殖を抑制するかまたは停止させるよう作用するか、細胞を破壊するための細胞のプログラム細胞機構を作動させるか、細胞の免疫認識を増強するか、あるいは、毒性代謝物に変換されるプロドラッグまたは腫瘍の成長を阻害するサイトカインを発現させることになる遺伝子を、癌細胞に導入することによって、癌を治療することが可能である。
[0023] 良性腫瘍および奇形はまた、外科手術、放射線療法、薬物療法、熱もしくは電気焼灼、凍結療法等を含む多様な方法によっても、治療可能である。良性腫瘍が転移しなくても、これらは大きく成長し、そして再発する可能性がある。下垂体腺腫、脳の髄膜腫、前立腺肥大等などの一部の良性腫瘍に対して、良性腫瘍の外科的摘出は、一般に、大変困難かつ外科手術の副作用があり、そして、繰り返し行わなければならない場合が多い。
[0024] 望ましくない細胞要素を伴う他の状態があり、選択的な細胞除去が望ましい。例えば、心臓疾患および脳卒中は、一般的には、アテローム性動脈硬化によって引き起こされ、これは、血管壁を歪め、管腔を狭め、血流を狭窄し、限局的に血栓を生じやすくし、そして最終的に閉塞および梗塞をもたらす、線維脂肪の増殖性病変および修飾された平滑筋要素である。アテローム性動脈硬化に対しては、バイパス移植術;人工移植術;再疎通を伴う血管形成術、掻爬術、放射線、レーザーまたはその他の除去;脂質の低減によってアテローム性動脈硬化を阻害するための薬物療法;抗血栓療法;ならびに、食習慣、運動および生活様式の一般的対策などの、種々の治療がある。外科的手順の危険性および副作用を伴わずに、アテローム性動脈硬化病変を除去するための方法が、必要とされる。
[0025] 選択的な細胞除去が望ましい、望ましくない細胞要素の他の例には、疣贅などの、ウイルスにより誘導される成長が含まれる。別の例は、炎症状態においてみられる肥大性の炎症性腫瘤、および、肥大性の瘢痕もしくはケロイドである。さらに、他の例は、顔の真皮および結合組織、または四肢の真皮および結合組織などにおける、美容目的での望ましくない毛(例えば、顔の毛)の除去または望ましくない組織領域の縮小などの、美容的状況において見いだされる。
[0026] 選択的な細胞除去または細胞増殖の阻害が望ましい、望ましくない細胞要素の他の例には、これに限定されないが、弁(例えば、大動脈弁口の狭窄を伴う大動脈狭窄)、冠動脈(例えば、冠動脈口の狭窄を伴う冠動脈口硬化症)、頸動脈および腎動脈を含む、循環系における任意の動脈、弁または管の狭窄および再狭窄が含まれる。他の例には、内部の狭窄、狭窄症または動脈瘤の治療のため血管内に、あるいは尿管内および胆管内に設置または埋め込みが行われたステントなどの医療器具の部分的もしくは完全な閉塞をもたらす、望ましくない細胞の成長もしくは蓄積の阻害または除去が含まれる。
[0027] さらなる他の例は、当業者に対して明白であろう。すべてもしくはほとんどのこれらの例において、望ましくない細胞要素を、慣用の療法にある危険性および副作用を伴わずに除去または破壊することが可能であるか、あるいは望ましくない細胞要素をより正確に除去することが可能な治療法が、必要とされる。
[0028] 前述の関連技術の説明、本明細書に記載の任意およびすべての公表されている書類(任意およびすべての米国特許を含む)を含む、本説明の全体は、具体的に参照によって援用される。前述の関連技術の説明は、本明細書に記載の任意の書類(係属中の米国特許出願を含む)が、本開示に対する先行技術であると多少なりとも認めることを意図するものではない。さらに、記載される製品、方法および/または装置に関するいかなる不都合についての本明細書での記載も、本実施態様を限定することを意図するものではない。実際に、本実施態様の側面は、記載される製品、方法および/または装置の特定の特徴を、その記載される不都合の影響を受けることなく含んでもよい。
実施態様の概要
[0029] 望ましくない細胞要素を治療するための新たなより低毒性の治療についての、当該技術分野における需要が依然として存在する。実施態様はこれらの需要を満たすものである。
[0030] 本開示は、アミノ酸配列Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leuにより記載される特定のペプチドを含む、あるペプチドが、望ましくない細胞増殖を治療し、かつ/または殺すことが可能であるという発見を、部分的に前提とする。これらの望ましくない細胞増殖には、とりわけ、良性および悪性腫瘍、腺(例えば、前立腺)過形成、望ましくない顔の毛、疣贅、ならびに望ましくない脂肪組織が含まれる。
[0031] 本明細書に記載される実施態様は、ペプチドIle−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leuのあるペプチド断片およびサブシークエンス(「S05Aペプチド」)もまた、望ましくない細胞増殖を治療し、かつ/または殺すことが可能であるという、意外かつ予想外の発見を、部分的に前提とする。
[0032] いくつかの実施態様は、望ましくない細胞増殖(良性および悪性腫瘍、腺(例えば、前立腺)過形成、望ましくない顔の毛、疣贅、ならびに望ましくない脂肪組織)を治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療有効量のS05Aペプチドを投与することを含んでなる前記方法に関する。
[0033] このようなS05Aペプチドを、単独で、あるいは、キャリアまたは抗体と複合体化させて投与することが可能である。S05Aペプチドを、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、髄腔内、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮、噴霧、注入、ボーラス注射、埋め込み器具、徐放システム等によって、単独で、またはキャリアと複合体化させて投与することが可能である。あるいは、S05Aペプチドを発現する遺伝子を投与するか、このような産生を誘発するワクチンを投与するか、またはin vivoにて該ペプチドを発現する細胞、細菌もしくはウイルスを導入することによって、遺伝子改変またはその他のために、S05Aペプチドをin vivoにて発現させることが可能である。
[0034] 加えて、S05Aペプチドを、良性および悪性腫瘍ならびにその他の望ましくないかもしくは有害な細胞成長を治療するための他の療法と併せて、用いてもよい。
[0035] 前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の双方は、例示および説明のためであって、かつ、特許請求の範囲に記載される実施態様のさらなる説明を提供することが意図される。他の目的、利点および特徴は、実施態様の以下の詳細な説明から、当業者には容易に明白であろう。
好ましい実施態様の詳細な説明
[0036] 本タンパク質、ヌクレオチド配列、ペプチド等および方法について記載する前に、本発明は、記載した特定の方法論、プロトコール、細胞株、ベクターおよび試薬に限定されず、これらは異なっていてもよいことが、理解されよう。さらに、本明細書に用いられる用語は、特定の実施態様のみを記載することを目的とし、かつ、本実施態様の範囲を限定することを意図せず、本実施態様の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうということも、理解されよう。
[0037] 本明細書に用いる語および語句を、特記されない限り、以下に説明するように定義する。
[0038] 本説明全体にわたり、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈が特段に明確に指示しない限り、複数形への言及も含まれる。したがって、例えば、「宿主細胞(単数形)」への言及には、このような宿主細胞の複数形も含まれ、そして、「抗体(単数形)」への言及は、1またはそれより多くの抗体、および当業者に公知のその同等物等への言及である。
[0039] 本明細書に記載のアミノ酸およびアミノ酸残基を、以下の表に提供する一般に認められている1または3文字コードにしたがって称してもよい。
Figure 2009528298
[0040] 本明細書に用いられる「ペプチド」の語は、少なくとも2アミノ酸の連鎖であり、かつ、ペプチドのホモログ、誘導体、断片およびバリアントを含む。「S05Aペプチド」の表現は、ペプチド配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)の少なくとも一つの断片またはサブシークエンスを含んでなるペプチドを指し、そして、文脈が特段に示さない限り、該ペプチドの任意のホモログ、断片、誘導体、バリアント、融合タンパク質およびペプチドミメティックを含む。「S05Aペプチド」の表現は、これに限定されないが、
a) 配列番号2(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
b) 配列番号3(Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
c) 配列番号4(Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
d) 配列番号5(Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
e) 配列番号6(Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;および、
f) 配列番号7(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile)中のアミノ酸配列によって表されるペプチド;
からなる群より選択される少なくとも一つのペプチドを含んでなるペプチドを含む。
[0041] 「断片」または「サブシークエンス」の語は、タンパク質もしくはペプチドのアミノ酸配列の連続したサブシークエンスからなる、タンパク質またはポリペプチドを指し、スプライスバリアントなどの自然発生的な断片、および自然発生的なin vivoプロテアーゼ活性により生じる断片を含む。このような断片は、アミノ末端、カルボキシ末端および/または内部で切断されてもよい(自然のスプライシングによるものなど)。このような断片を、アミノ酸末端メチオニンの有無にかかわらず、調製してもよい。「断片」の語には、同一のタンパク質またはペプチドに由来する、同一あるいは異なる断片であって、共通しているかもしくは共通していない連続的なアミノ酸配列を伴い、直接もしくはリンカーを介して連結している前記断片が、含まれる。結論として、配列番号1の断片を含むいずれのペプチドも、上記に選択されたもののいずれか、ならびに、本明細書では簡潔にするために示さないが、当業者には容易に明白であろう他の断片またはサブシークエンスであることが可能である。当業者はまた、ガイドラインおよび本明細書において概説される手順を用いて、必要以上の実験を行うことなく、実施態様における使用に適した断片を選択することが可能であろう。
[0042] 「バリアント」の語は、タンパク質もしくはペプチドのアミノ酸配列と比較して1またはそれより多くのアミノ酸置換、欠失および/または挿入が存在する、タンパク質またはポリペプチドを指し、そして、タンパク質もしくはペプチドの自然発生的な対立遺伝子のバリアントまたは別のスプライスバリアントを含む。「バリアント」の語は、ペプチド配列中の1またはそれより多くのアミノ酸の、類似もしくは同種のアミノ酸または非類似のアミノ酸による置換を含む。アミノ酸を類似または同種であると位置付けることが可能な、多くの基準がある(Gunnar von Heijne、Sequence Analysis in Molecular Biology、123〜39ページ(アカデミック・プレス社、ニューヨーク、ニューヨーク州、1987年)。好ましいバリアントには、1またはそれより多くのアミノ酸位置でのアラニン置換が含まれる。他の好ましい置換には、タンパク質の全体的な正味荷電、極性または疎水性にほとんどもしくは全く影響しない、保存的置換が含まれる。保存的置換については、以下の表2において説明する。
Figure 2009528298
表3に、アミノ酸置換の別のスキームを示す:
Figure 2009528298
[0043] その他のバリアントは、(a)例えば、シートもしくはヘリカル構造などの、置換領域におけるポリペプチド骨格の構造;(b)標的部位における分子の荷電もしくは疎水性;または、(c)側鎖の大部分;の維持に対する影響がより有意に異なる残基を選択するなどの、より保存的でないアミノ酸置換からなることが可能である。概して機能に対する影響がより有意であることが期待される置換は、(a)グリシンおよび/またはプロリンを、別のアミノ酸により置換するか、または欠失させるか、もしくは挿入する;(b)例えばセリルまたはスレオニルなどの親水性残基を、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニルなどの疎水性残基に代わって(または、により)置換する;(c)システイン残基を、任意の他の残基に代わって(または、により)置換する;(d)例えばリシル、アルギニルまたはヒスチジルなどの陽性の側鎖を有する残基を、例えばグルタミルまたはアスパルチルなどの陰性電荷を有する残基に代わって(または、により)置換する;あるいは、(e)例えばフェニルアラニンなどの大きな側鎖を有する残基を、例えばグリシンなどのこのような側鎖を持たないものに代わって(または、により)置換する;ことである。他のバリアントには、新規グリコシル化および/またはリン酸化部位を作出するよう設計されたもの、あるいは、既存のグリコシル化および/またはリン酸化部位を欠失するよう設計されたものが含まれる。バリアントは、グリコシル化部位、タンパク質分解的切断部位および/またはシステイン残基に、少なくとも一つのアミノ酸置換を含む。バリアントにはまた、リンカーペプチド上のタンパク質もしくはペプチドアミノ酸配列の前または後に追加のアミノ酸残基を伴った、タンパク質およびペプチドも含まれる。例えば、ジスルフィド結合の形成によってペプチドの環化を可能にするために、システイン残基を、S05Aペプチドのアミノ末端とカルボキシ末端の双方に加えてもよい。「バリアント」の語はまた、ペプチドの3’もしくは5’末端のいずれかに隣接して、少なくとも1で、かつ25もしくはそれより多くのさらなるアミノ酸を伴った、S05Aペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドも包含する。
[0044] 「誘導体」の語は、プロセシングおよびその他の翻訳後修飾などの自然のプロセスによるのみならず、さらには、例えば1もしくはそれより多くのポリエチレングリコール分子、糖類、ホスフェート類、および/または、野生型タンパク質もしくはS05Aペプチドと自然には結び付かない他のこのような分子の付加によるなどの化学的修飾技術によって、化学的に修飾されているタンパク質またはポリペプチドを指す。誘導体には、塩が含まれる。このような化学的修飾については、基本的な教科書およびより詳細な研究論文、ならびに、膨大な研究文献において十分に記載され、かつ、それらは、当業者に周知である。同じタイプの修飾が、同程度もしくは異なる程度に、所与のタンパク質またはポリペプチドの複数の部位に存在してもよいことが理解されよう。さらに、所与のタンパク質またはポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含有してもよい。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキシ末端を含む、タンパク質またはポリペプチド中の任意の位置に生じてもよい。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋連結、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解加工(proteolytic processing)、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質付着(attachment)、硫酸化、グルタミン酸残基のγカルボキシル化、水酸化およびADPリボシル化、セレノイル化、硫酸化、転移RNAを介したアミノ酸のタンパク質への付加(アルギニル化など)、ならびにユビキチン化が含まれる。例えば、Protein--Structure And Molecular Properties、第2版、T.E. Creighton、W.H. Freeman and Company、ニューヨーク(1993年)、および、Wold F.、「Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects」、Posttranslational Covalent Modification Of Proteins、B.C. Johnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク州(1983年)中、1〜12ページ;Seifterら、Meth. Enzymol. 182:626-646(1990年)、および、Rattanら、「Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging」、Ann. N. Y. Acad. Sci. 663:48-62(1992年)を参照されたい。「誘導体」の語は、タンパク質またはポリペプチドが、分枝の有無にかかわらず分枝するかまたは環状となる、化学的修飾を含む。環状、分枝および分枝環状のタンパク質またはポリペプチドは、翻訳後の自然プロセスにより生じてもよく、そして、同様に、完全に合成法によって作製されてもよい。
[0045] 「ホモログ」の語は、二つのポリペプチドのアミノ酸位置の類似性を比較するために一般的に用いられている標準的方法によって判定される、S05Aペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%が同一のタンパク質を指す。二つのタンパク質間の類似性または同一性の程度は、これに限定されないが、Computational Molecular Biology、Lesk, A. M.編、オックスフォード大学プレス、ニューヨーク州、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W.編、アカデミックプレス、ニューヨーク州、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.およびGriffin H.G.編、Humanaプレス、ニュージャージー州、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、アカデミックプレス、1987年;Sequence Analysis Primer、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M Stocktonプレス、ニューヨーク州、1991年;ならびに、Carillo H.およびLipman, D.、SIAM、J. Applied Math. 48:1073(1988年)に記載されているものを含む公知の方法によって、容易に計算することが可能である。同一性を判定する好ましい方法は、試験される配列間で最も大きな一致を供するように設計される。同一性および類似性を判定する方法は、公開されているコンピュータープログラムにおいて体系化されている。
[0046] 二つの配列間の同一性および類似性を判定するのに有用な好ましいコンピュータープログラムには、これに限定されないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984年))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA、Atschul, S. F.ら、J. Molec. Biol. 215:403-410(1990年)が含まれる。BLAST Xプログラムは、NCBIならびに他の源(BLASTマニュアル、Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH、ベセスダ、メリーランド州、20894;Altschul,S.ら、J. Mol. Biol. 215:403-410(1990年))より公開されている。一例として、GAP(Genetic Computer Group、ウィスコンシン大学、マディソン、ウィスコンシン州)などのコンピュータアルゴリズムを用いて、配列同一性の割合を決定する二つのタンパク質もしくはポリペプチドを、それぞれのアミノ酸が最も一致するよう(アルゴリズムによって決定される、「一致した全長」)配列比較する。
[0047] ギャップ開裂ペナルティ(平均ダイアゴナルの3倍として計算;「平均ダイアゴナル」は、用いる比較マトリックスのダイアゴナルの平均である;「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリックスにより、それぞれのアミノ酸の完全一致に対して割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ伸張ペナルティ(通常、ギャップ開裂ペナルティの{分数(1/10)}倍である)、ならびに、PAM 250またはBLOSUM 62などの比較マトリックスを、アルゴリズムと併せて用いる。標準的な比較マトリックス(PAM250比較マトリックスに関しては、Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure中、第5巻、Suppl.3を参照されたい;BLOSUM 62比較マトリックスに関しては、Henikoffら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 89:10915-10919を参照されたい)もまた、アルゴリズムにより用いてもよい。次いで、同一率を、アルゴリズムにより計算する。ホモログは、典型的には、比較タンパク質もしくはペプチドと比較して、1またはそれより多くのアミノ酸置換、欠失および/または挿入を有するであろうが、場合による。
[0048] 「融合タンパク質」の語は、1またはそれより多くのペプチドが、(これに限定されないが)抗体、またはFab断片もしくは短鎖Fvのような抗体断片などのタンパク質と、組換えにより融合しているか、あるいは化学的に複合体化している(共有結合的および非共有結合的を含む)タンパク質を指す。「融合タンパク質」の語はまた、ペプチドの多量体(すなわち、二量体、三量体、四量体、およびさらに高度の多量体)も指す。このような多量体は、一つのペプチドを含んでなるホモマーの多量体、1より多くのペプチドを含んでなるヘテロマーの多量体、ならびに、少なくとも一つのペプチドおよび少なくとも一つの他のタンパク質を含んでなるヘテロマーの多量体を、含んでなる。このような多量体は、疎水性、親水性、イオン性および/もしくは共有的会合、結合または連結の結果として生じるものであってよく、リンカー分子を用いた架橋により形成されてもよく、あるいは、例えばリポソーム形成により間接的に連結されてもよい。
[0049] 「ペプチドミメティック」または「ミメティック」の語は、ペプチドもしくはタンパク質の生物学的活性を模倣するが、しかし、化学的性質においてもはやペプチド性ではなく、すなわち、いかなるペプチド結合(すなわち、アミノ酸間のアミド結合)も含有しない、生物学的に活性の化合物を指す。本明細書では、ペプチドミメティックの語を、偽ペプチド、半ペプチドおよびペプトイドなどの、性質においてもはや完全なペプチド性ではない分子を含む、より広い意味にて用いる。このより広い意味でのペプチドミメティックの例(ペプチドの一部が、ペプチド結合がない構造により置換されている)を、以下に記載する。完全に非ペプチドであっても、または部分的に非ペプチドであっても、本実施態様によるペプチドミメティックは、ペプチドミメティックの基となるペプチド中の活性基の三次元配置と極めて類似する、反応化学部分の空間配置を提供する。この類似した活性部位の幾何学的構造により、ペプチドミメティックは、ペプチドの生物学的活性と類似する生体系への効果を持つ。
[0050] 本実施態様のペプチドミメティックは、好ましくは、三次元の形状と生物学的活性の双方が、本明細書に記載のペプチドと実質的に類似する。ペプチドを構造的に修飾してペプチドミメティックを作り出す、当該技術分野において公知の方法の例には、骨格キラル中心の反転によってD−アミノ酸残基構造へと導くことが含まれ、該構造は、特にN末端において、活性に悪影響を及ぼさずにタンパク質分解に対する安定性を増強させる可能性がある。その例は、「Tritriated D−ala−Peptide T Binding」、Smith C. S.ら、Drug Development Res. 15、371〜379ページ(1988年)に示されている。第二の方法は、安定性のために、NからCへの鎖間イミドおよびラクタムなどの環状構造を変えることである(Edeら、SmithおよびRivier(編)、「Peptides: Chemistry and Biology」、Escom、Leiden(1991年)中、268〜270ページ)。この例は、米国特許第4,457,489(1985年)、Goldstein,G.らにおいて開示されるものなどの、構造的に制限されたチモペンチン様化合物に示されており、ここで、該出願の開示は、参照によりその全体が援用される。第三の方法は、タンパク質分解に対する抵抗性を授ける偽ペプチド結合によって、ペプチド中のペプチド結合を置換することである。
[0051] 多数の偽ペプチド結合は、一般には、ペプチドの構造および生物学的活性に影響を及ぼさないと、記載されている。このアプローチの一例は、retro-inverso型偽ペプチド結合への置換である(「Biologically active retroinverso analogues of thymopentin」、Sisto A.ら、Rivier,J.E.およびMarshall,G.R.(編)「Peptides, Chemistry, Structure and Biology」、Escom、Leiden(1990年)中、722〜773ページ)、ならびに、Dalpozzoら(1993年)、Int. J. Peptide Protein Res. 41:561-566、参照により本明細書に援用される)。この修飾によると、ペプチドのアミノ酸配列は、1またはそれより多くのペプチド結合がretro-inverso型偽ペプチド結合により置換されることを除けば、上述のペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合を置換するが、これは、そのような置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する抵抗性を授けることになるためである。アミノ酸の化学基を類似した構造の他の化学基により置換することによって、さらなる修飾も行うことも可能である。生物学的活性を全くもしくはほとんど損なわずに酵素的切断に対する安定性を増強することが公知の、別の適切な偽ペプチド結合は、低減したイソスター偽ペプチド結合である(Couderら(1993年)、Int. J. Peptide Protein Res. 41:181-184、参照によりその全体が援用される)。
[0052] このように、これらのペプチドのアミノ酸配列は、1またはそれより多くのペプチド結合がイソスター偽ペプチド結合によって置換されることを除けば、ペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合を置換するが、これは、そのような置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する抵抗性を授けることになるためである。1またはそれより多くの低減したイソスター偽ペプチド結合の合成は、当該技術分野において公知である(Couderら(1993年)、上記に引用)。他の例には、ペプチド結合を置換するためにケトメチレンもしくはメチルスルフィド結合を導入することが、含まれる。
[0053] ペプチドのペプトイド誘導体は、生物学的活性のための重要な構造決定基を保持し、さらにペプチド結合を除去することによって、タンパク質分解に対する抵抗性を授ける、別の種類のペプチドミメティックを表す(Simonら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367-9371、参照によりその全体が援用される)。ペプトイドは、N置換グリシンのオリゴマーである。多数のN−アルキル基が記載されており、それぞれ、自然アミノ酸の側鎖に対応している(Simonら(1992年)、上記に引用)。ペプチドのアミノ酸の一部もしくはすべてが、置換されるアミノ酸に対応するN置換グリシンによって置換されてもよい。
[0054] 「ペプチドミメティック」または「ミメティック」の語はまた、以下に定義するリバース−Dペプチドおよびエナンチオマーも含む。
[0055] 「リバース−Dペプチド」は、ペプチドのL−アミノ酸配列と比較して逆の順序に配列されるD−アミノ酸からなる、生物学的に活性のタンパク質もしくはペプチドを指す。したがって、L−アミノ酸ペプチドのカルボキシ末端残基が、D−アミノ酸ペプチド等のアミノ末端になる。例えば、ペプチドETESHはH
となり、ここで、E、H、SおよびTは、L−アミノ酸であるE、H、SおよびTにそれぞれ対応するD−アミノ酸である。
[0056] 「エナンチオマー」の語は、ペプチドのアミノ酸配列中の1またはそれより多くのL−アミノ酸残基が、対応するD−アミノ酸残基により置換されている、生物学的に活性のタンパク質もしくはペプチドである。
[0057] 本明細書では、「組成物」は、列挙したペプチドもしくはアミノ酸配列を含有する任意の組成物を広く指す。組成物は、乾燥状処方物、水溶液または無菌組成物を含んでなってもよい。ペプチドを含んでなる組成物を、ハイブリダイゼーション用プローブとして使用してもよい。プローブは、凍結乾燥形態にて保管してもよく、そして、炭水化物などの安定化剤と会合させてもよい。ハイブリダイゼーションにおいて、プローブを、例えばNaClなどの塩、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤、および、例えばデンハルト溶液、乾燥ミルク、サケ精子DNA等などの他の構成成分中に配置してもよい。
[0058] 本実施態様は、本実施態様において上記に定義のS05Aペプチドを含んでなる組成物に関する。
[0059] さらに、本実施態様は、S05Aペプチドの全体もしくは一部を含有することにより、該ペプチドと同一か、類似するか、または増強された生物学的活性を好ましくは有する、他のタンパク質を含む。本明細書に提供されるガイドラインを用いて、当業者は、細胞死を引き起こすための有効な剤であることが見いだされた任意のS05Aペプチドのアミノ酸配列に基づいた、特定のタンパク質を合成し、そして、細胞死を引き起こすための剤としてのその有効性を試験することが可能である。
[0060] 細胞死を引き起こすための有効な剤であることが見いだされたS05Aペプチドに由来する他のペプチド配列もまた、細胞死を引き起こすための有効な剤である可能性がある。当業者は、本明細書に供するガイドラインを用いて、必要以上の実験を行わずに、他の有効なペプチド配列を特定するために、そのタンパク質の全アミノ酸配列に及ぶ有効なペプチドの断片を合成することが可能である。
[0061] 特に好ましい実施態様のS05Aペプチドには、これに限定されないが、以下のものが含まれる:
Figure 2009528298
[0062] 上記のS05Aペプチドの他のより小さな断片を、これらのペプチドが同一かもしくは類似する生物学的活性を有するように選択してもよいことは、当業者に明らかであろう。他の断片を、これらのペプチドが同一かもしくは類似する生物学的活性を有するように、当業者が選択してもよい。本実施態様のペプチドは、これらの他の断片を包含する。一般に、本実施態様のペプチドは、少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも5アミノ酸、そしてより好ましくは少なくとも4アミノ酸を有する。
[0063] 本実施態様はまた、2またはそれより多くのS05Aペプチドが一緒に合わさったものを含んでなるS05Aペプチドも、包含する。S05Aペプチドが所望の生物学的活性を有する限りにおいては、二つのこのようなペプチドもまた、所望の生物学的活性を有することになるであろう。
[0064] 本実施態様に包含されるS05Aペプチドならびにその断片、バリアント、誘導体、ホモログ、融合タンパク質およびミメティックを、自然発生的なペプチド、タンパク質、AD7c−タンパク質ならびにその断片、バリアント、誘導体およびホモログの組換えDNA技術、タンパク質合成および単離などの当業者に公知の方法を用いて、調製することが可能である。
[0065] S05Aペプチドならびにその断片、バリアント、誘導体、ホモログ、融合タンパク質およびミメティックを、他のペプチド、タンパク質ならびにその断片、バリアント、誘導体およびホモログから、当業者に公知の方法を用いて調製することが可能である。このような方法には、(これに限定されないが)ペプチドまたはタンパク質を切断して所望のS05Aペプチドにするための、プロテアーゼの使用が含まれる。
[0066] S05Aペプチドを、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバー研究所プレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、および/または、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、Green Publishers Inc.およびWiley and Sons、ニューヨーク州に説明されているものなどの、周知の組換えDNA技術方法を用いて、調製することが可能である。
[0067] S05Aペプチドをコードする遺伝子またはcDNAを、例えば、ゲノムもしくはcDNAライブラリのスクリーニング、またはPCR増幅によって、得てもよい。ライブラリをスクリーニングするのに有用なプローブもしくはプライマーを、例えば、他のペプチドもしくはタンパク質中に見いだされる保存モチーフなどの、同一かもしくは関連する遺伝子ファミリーに由来する他の公知の遺伝子または遺伝子断片の配列情報に基づいて、作出することが可能である。加えて、S05Aペプチドをコードする遺伝子が特定された場合、その遺伝子の全部もしくは一部を、ホモログ遺伝子を特定するためのプローブとして用いてもよい。該プローブもしくはプライマーを、S05Aペプチド遺伝子を発現すると考えられる種々の組織源から得たcDNAライブラリをスクリーニングするために用いてもよい。典型的には、スクリーニングにより得られる偽陽性数を最小限にするために、高ストリンジェントな条件がスクリーニングに使用されるであろう。
[0068] S05Aペプチドをコードする遺伝子を調製する別の手段は、Engelsら、Angew. Chem. Intl. Ed. 28:716-734に記載されるものなどの当業者に周知の方法を用いて、化学合成を使用することである。これらの方法には、とりわけ、核酸合成のためのホスホトリエステル、ホスホロアミダイトおよびH−ホスホネート法が含まれる。このような化学合成の好ましい方法は、標準的なホスホロアミダイト化学を用いた高分子担持合成である。典型的には、ペプチドもしくはタンパク質をコードするDNAは、全長数百ヌクレオチドであろう。これらの方法を用いて、約100〜ヌクレオチドよりも大きな核酸を、いくつかの断片として合成することが可能である。次いで、該断片をつなぎ合わせて、完全長のペプチドもしくはタンパク質を形成することが可能である。通常、タンパク質のアミノ末端をコードするDNA断片は、メチオニン残基をコードするATGを有するであろう。このメチオニン残基は、タンパク質もしくはペプチドの成熟形上に存在していても、または存在していなくてもよく、これは、宿主細胞において産生される該タンパク質が、その細胞から分泌されるよう設計されているかどうかによって決まる。
[0069] S05Aペプチドをコードする遺伝子、cDNAまたはその断片を、標準的なライゲーション技術を用いて、適切な発現ベクターもしくは増幅ベクター中に挿入することが可能である。ベクターは、典型的には、使用する特定の宿主細胞において機能するよう選択する(すなわち、ベクターが、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が起こることが可能なように宿主細胞機構と適合する)。S05Aペプチドをコードする遺伝子、cDNAまたはその断片を、原核、酵母、昆虫(バキュロウイルス系)および/または真核の宿主細胞において増幅/発現させてもよい。宿主細胞の選択は、S05Aペプチドがグリコシル化および/またはリン酸化されているかどうかに応じて、ある程度決まるであろう。もしそうであれば、酵母、昆虫または哺乳動物の宿主細胞が、好ましい。
[0070] 典型的には、任意の宿主細胞において用いられるベクターは、少なくとも、5’フランキング配列(プロモーターとも称される)と、他の調節エレメント(エンハンサー、複製起点エレメント、転写終結エレメント、ドナーおよびアクセプターのスプライス部位を含有する完全イントロン配列、シグナルペプチド配列、リボソーム結合部位エレメント、ポリアデニル化配列、発現させるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに、選択マーカーエレメントなど)を含有するであろう。これらのエレメントの各々については、以下に論じる。任意選択で、ベクターは、タグ配列、すなわち、タンパク質もしくはペプチドをコードする配列の5’もしくは3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有してもよく;該オリゴヌクレオチド分子は、ポリHis(ヘキサHisなど)、あるいは、市販の抗体用に存在するFLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)またはmycなどの他のタグをコードする。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現時にポリペプチドと融合し、そして、タンパク質またはペプチドを宿主細胞からアフィニティ精製する手段となることが可能である。アフィニティ精製は、例えば、アフィニティマトリックスとしてタグに対する抗体を用いたカラムクロマトグラフィによって、成し遂げることが可能である。その後、任意選択で、タグを、特定のペプチダーゼを用いるなどの種々の手段により、精製タンパク質またはペプチドから除去することが可能である。
[0071] 当業者は、ヒトイムノグロブリンのヒンジおよびFc領域を、S05AペプチドのN末端もしくはC末端のいずれかにおいて融合させることが可能である。その結果生じたFc融合タンパク質を、プロテインAアフィニティカラムの使用により精製することが可能である。Fcは、長いin vivo薬物動態半減期を呈することが公知であり、そして、Fcと融合させたタンパク質は、融合していない対応物よりも実質的に大きなin vivo半減期を呈することが見いだされている。さらに、Fc領域との融合により、該分子の二量体化/多量体化が可能となり、一部の分子の生物活性に有用である可能性がある。
[0072] 5’フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/もしくは系に由来)、異種(すなわち、宿主細胞の種もしくは系以外の種に由来)、ハイブリッド(すなわち、1より多くの源に由来する5’フランキング配列の組み合わせ)、合成であってもよく、あるいは、天然のタンパク質もしくはペプチド遺伝子の5’フランキング配列であってもよい。5’フランキング配列が、宿主細胞機構において機能的であって、かつ、該機構により活性化されることが可能であるならば、そのようなものとして、5’フランキング配列の源は、任意の単細胞原核もしくは真核生物体、任意の脊椎もしくは無脊椎動物、または任意の植物であってもよい。
[0073] 本実施態様のベクターにおいて有用な5’フランキング配列を、当該技術分野において周知のいくつかの方法のいずれかから得てもよい。典型的には、該タンパク質もしくはペプチド遺伝子のフランキング配列以外の本明細書において有用な5’フランキング配列は、マッピングおよび/または制限エンドヌクレアーゼ消化によってあらかじめ特定されているであろうことから、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて適切な組織源から単離することが可能である。5’フランキング配列の完全長ヌクレオチド配列が公知である場合もある。本明細書では、5’フランキング配列を、核酸合成またはクローニングに関して上述の方法を用いて合成してもよい。
[0074] 5’フランキング配列の全体もしくは一部が公知である場合、PCRを用いることによって、かつ/あるいは、同一かもしくは別の種に由来する適切なオリゴヌクレオチドおよび/または5’フランキング配列断片を用いてゲノムライブラリをスクリーニングすることによって、これを得てもよい。
[0075] 5’フランキング配列が公知でない場合、5’フランキング配列を含有するDNAの断片を、例えば、コード配列またはさらに別の遺伝子(単数もしくは複数)を含有する可能性のあるより大きなDNA片から単離してもよい。制限エンドヌクレアーゼ消化による単離を、1またはそれより多くの慎重に選択された酵素を用いて成し遂げて、適切なDNA断片を単離してもよい。消化後、所望の断片を、アガロースゲル精製、キアゲンRTMカラム、または当業者に公知の他方法によって単離してもよい。本目的を成し遂げるための適切な酵素の選択は、当業者には容易に明らかであろう。
[0076] 複製起点エレメントは、典型的には、市販の原核細胞発現ベクターの一部であり、そして、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。一定の複製数へのベクターの増幅が、タンパク質もしくはペプチドの至適な発現のために重要な場合もある。選択されたベクターが、複製起点部位を含有しない場合、公知の配列に基づいてこれを化学合成し、そしてベクター中にライゲーションしてもよい。転写終結エレメントは、典型的には、タンパク質もしくはペプチドコード配列の3’末端に位置し、かつ、該タンパク質もしくはペプチドの転写を終結させる働きをする。通常、原核細胞における転写終結エレメントは、G−Cを多く含む断片にポリT配列が続くものである。該エレメントを、ライブラリからクローニングするか、またはベクターの一部として市販品購入してもよいが、上述のものなどの核酸合成法を用いて容易に合成することもまた可能である。
[0077] 選択マーカー遺伝子エレメントは、選択培養培地中で成長させた宿主細胞の生存および成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)例えば、原核細胞に対しては、アンピシリン、テトラサイクリンまたはカナマイシンなどの、抗生物質または他の毒素に対する耐性を授ける;(b)細胞の栄養要求性の欠損を補完する、あるいは;(c)複合培地からは得られない必須栄養素を供給する;タンパク質をコードする。好ましい選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。
[0078] リボソーム結合エレメントは、一般的にシャイン・ダルガノ配列(原核細胞)またはコザック配列(真核細胞)と称され、mRNAの翻訳開始に通常は必要である。該エレメントは、典型的には、プロモーターの3’側、および、合成されるタンパク質もしくはペプチドのコード配列の5’側に位置する。シャイン・ダルガノ配列は、様々ではあるが、しかし、典型的にはポリプリンである(すなわち、A−Gを多く含有する)。多くのシャイン・ダルガノ配列が同定されており、そのそれぞれは、上記に説明した方法を用いて容易に合成可能であり、そして、原核細胞ベクターに用いられることが可能である。
[0079] S05Aペプチドを宿主細胞から分泌することが望ましい場合、シグナル配列を用いて、該ペプチドをそれが合成された宿主細胞から排出してもよく、そして、該タンパク質のカルボキシ末端部分を、膜アンカー妨げるために欠失させてもよい。典型的には、シグナル配列は、S05Aペプチド遺伝子もしくはcDNAのコード領域内に位置するか、あるいは、該ペプチド遺伝子のコード領域の5’末端に直結して位置する。多くのシグナル配列が同定されており、そして、選択した宿主細胞内において機能的なそのいずれを、ペプチド遺伝子もしくはcDNAとともに用いてもよい。したがって、シグナル配列は、ペプチド遺伝子もしくはcDNAと同種であっても、または異種であってもよく、かつ、ペプチド遺伝子もしくはcDNAと同種であっても、または異種であってもよい。加えて、シグナル配列を、上記に説明した方法を用いて化学合成してもよい。たいていの場合、シグナルペプチドの存在による宿主細胞からのポリペプチド分泌によって、アミノ末端のメチオニンは該ポリペプチドから除去されることになるであろう。
[0080] 多くの場合、S05Aペプチド遺伝子もしくはcDNAの転写は、ベクター中の1またはそれより多くのイントロンの存在によって増加し;該ペプチドが真核宿主細胞、特に哺乳動物宿主細胞中で産生される場合において、このことはとりわけ当てはまる。特に、用いる遺伝子が完全長ゲノム配列もしくはその断片である場合、用いるイントロンは、ペプチド遺伝子内で自然に生じたものであってもよい。イントロンが、(ほとんどのcDNAに関してのように)遺伝子内で自然に生じたものでない場合、イントロンを別の源から得てもよい。イントロンは有効なように転写されなければならないため、フランキング配列およびペプチド遺伝子に関してのイントロンの位置は、概して重要である。そのようなものとして、発現ベクター中に挿入されたペプチド遺伝子がcDNA分子である場合、イントロンの好ましい位置は、転写開始部位の3’側およびポリA転写終結配列の5’側である。ペプチドcDNAに関して、好ましくは、イントロン(単数または複数)は、このコード配列を遮らないように、cDNAの一方の側またはもう一方の側(すなわち、5’または3’)に位置するであろう。任意のウイルス、原核細胞および真核(植物または動物)生物体を含む任意の源に由来するいずれのイントロン(単数もしくは複数)も、挿入される宿主細胞(単数もしくは複数)に適合するならば、本実施態様を実行するために用いてもよい。さらに、合成イントロンも、本明細書に含まれる。任意選択で、1またはそれより多くのイントロンをベクター中に用いてもよい。
[0081] 上記に説明した1またはそれより多くのエレメントが、用いるベクター中にまだ存在しない場合、これらを個々に得て、そしてベクター中にライゲーションしてもよい。それぞれのエレメントを得るために用いる方法は、当業者に周知であり、かつ、上記に説明した方法(すなわち、DNA合成、ライブラリスクリーニング等)と同等である。
[0082] 本実施態様を実行するために用いる最終的なベクターは、市販のベクターなどの開始ベクターから構築してもよい。このようなベクターは、完成したベクターに含まれるべきエレメントの一部を含有しても、または含有しなくてもよい。所望のエレメントのいずれもが開始ベクター中に存在しないならば、ライゲーションを行うエレメントの末端とベクターの末端がライゲーションに適合するように、ベクターを適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて切断することによって、各エレメントを個々にベクター中にライゲーションしてもよい。十分なライゲーションを得るために、一緒にライゲーションする末端を平滑末端化することが必要な場合もある。平滑末端化は、クレノウDNAポリメラーゼまたはT4 DNAポリメラーゼを4つのすべてのヌクレオチドの存在下にて用いて、「粘着末端」をまず充填することによって、成し遂げられる。この手順は、当該技術分野において周知であり、かつ、Sambrookら、上記にてその例が記載されている。あるいは、ベクター中に挿入する2またはそれより多くのエレメントを、(これらが互いに隣接した位置にあるならば)まず一緒にライゲーションし、そして次いで、ベクター中にライゲーションする。
[0083] ベクターを構築するためのさらなる方法は、種々のエレメントのすべてのライゲーションを、一つの反応混合物中にて同時に行うことである。この場合、多くのナンセンスもしくは非機能的なベクターが、エレメントの不適切なライゲーションまたは挿入によって作出されるであろうが、しかしながら、機能的なベクターが、制限エンドヌクレアーゼ消化によって同定および選択される可能性がある。
[0084] 本実施態様を実行するための好ましいベクターは、細菌、昆虫および哺乳動物宿主細胞と適合するものである。このようなベクターには、とりわけ、pCRII、pCR3およびpcDNA3.1(インビトロジェン・カンパニー、サンディエゴ、カリフォルニア州)、pBSII(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州)、pET15b(ノバジェン社、マディソン、ウィスコンシン州)、PGEX(ファルマシア・バイオテック社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)、pEGFP−N2(クロンテック社、パロアルト、カリフォルニア州)、pETL(BlueBachl;インビトロジェン社)およびpFastBacDual(ギブコ/BRL社、グランドアイランド、ニューヨーク州)が含まれる。
[0085] ベクターを構築し、そして完全長もしくはトランケートされたタンパク質またはペプチドをコードする核酸分子を、ベクターの適切な部位に挿入した後、完成したベクターを、増幅および/またはポリペプチド発現に適した宿主細胞に挿入してもよい。宿主細胞は、原核宿主細胞(大腸菌(E.coli)など)または真核宿主細胞(酵母細胞、昆虫細胞または脊椎動物細胞など)であってもよい。宿主細胞は、適切な条件下で培養すると、タンパク質またはペプチドを合成することが可能であり、続いて、培養培地から(宿主細胞がそれを培地中に分泌する場合)、またはそれを産生する宿主細胞から直接(それが分泌されない場合)、それを回収することが可能である。
[0086] 回収後に、S05Aペプチドを、分子ふるいクロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ等などの方法を用いて、精製することが可能である。タンパク質もしくはペプチド産生のための宿主細胞の選択は、ペプチドがグリコシル化またはリン酸化されるかどうか(この場合、真核宿主細胞が好ましい)、ならびに、生物学的に活性のタンパク質が生物学的活性を有するペプチドによって調製されるように、宿主細胞が該ペプチドをその天然の三次構造に折りたたむことが可能な様式(例えば、ジスルフィド架橋の適切な配向等)によって部分的に決まり、該ペプチドを、以下に論じるような適切な化学条件を用いて合成後に折りたたんでもよい。適切な細胞または細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒト胎児腎臓(HEK)293、293T細胞または3T3細胞などの哺乳動物細胞であってもよい。適切な哺乳動物宿主細胞の選択、ならびに、形質転換、培養、増幅、スクリーニング、ならびに産物の産生および精製の方法は、当該技術分野において公知である。他の適切な哺乳動物細胞株は、サルCOS−1およびCOS−7細胞株、ならびにCV−1細胞株である。哺乳動物宿主細胞のさらなる例には、形質転換された細胞株を含む、霊長類細胞株およびげっ歯類細胞株が含まれる。正常な2倍体細胞、初代組織のin vitro培養により生じる細胞系、ならびに初代移植物もまた、適している。候補の細胞は、選択遺伝子の遺伝子型が欠損していても、または、ドミナントに作用する選択遺伝子を含有してもよい。他の適切な哺乳動物細胞株には、これに限定されないが、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−cもしくはNIHマウス由来3T3株、BHKもしくはHaKハムスター細胞株が含まれる。
[0087] 同様に、本実施態様に適した宿主細胞として有用なのは、細菌細胞である。例えば、種々の大腸菌株(例えば、HB101、DH5α、DH10およびMC1061)は、宿主細胞として、生物工学の分野において周知である。枯草菌(B.subtilis)、シュードモナス属、他のバシラス属、ストレプトマイセス属等の種々の株もまた、本方法において使用してもよい。当業者に公知の酵母細胞の多くの系もまた、本実施態様のポリペプチドの発現のための宿主細胞として利用可能である。
[0088] 加えて、所望の場合には、昆虫細胞系を、本実施態様の方法に利用してもよい。このような系は、例えば、Kittら(Biotechniques 14:810-817)、Lucklow(Curr. Opin. Biotechnol. 4:564-572)およびLucklowら(J. Virol. 67:4566-4579)に記載されている。好ましい昆虫細胞は、Sf−9およびHi5(インビトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)である。
[0089] 選択した宿主細胞へのベクターの挿入(形質転換またはトランスフェクションとも称される)を、塩化カルシウム法、電気穿孔法、マイクロインジェクション法、リポフェクション法またはDEAE−デキストラン法などの方法を用いて、成し遂げてもよい。選択した方法は、部分的には、用いられる宿主細胞のタイプの機能であろう。これらの方法および他の適切な方法は、当業者に周知であり、かつ、例えば、Sambrookら、上記に説明されている。
[0090] ベクターを含有する(すなわち、形質転換またはトランスフェクションされた)宿主細胞を、当業者に周知の標準培地を用いて培養してもよい。培地は、通常は、細胞の成長および生存に必要なすべての栄養素を含有するであろう。大腸菌細胞を培養するのに適した培地は、例えば、Luria液体培地(LB)および/またはTerrific液体培地(TB)である。真核細胞を培養するのに適した培地は、RPMI 1640、MEM、DMEMであり、培養している特定の細胞株による必要に応じて、そのすべてに、血清および/または成長因子が添加されてもよい。昆虫培養に適した培地は、必要に応じてイーストレート、ラクトアルブミン加水分解物および/またはウシ胎仔血清を添加された、グレース培地である。典型的には、形質転換された細胞のみの選択的成長に有用な抗生剤または他の化合物を、培地への添加物として加える。用いる化合物は、宿主細胞を形質転換したプラスミド上に存在する選択マーカーエレメントによって決定されるであろう。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン耐性の場合、培養培地に加える化合物はカナマイシンであろう。
[0091] 宿主細胞において産生されるS05Aペプチドの量を、当該技術分野において公知の標準的方法を用いて評価することが可能である。このような方法には、これに限定されないが、ウエスタンブロット解析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、質量分析、免疫沈降、および/または、DNA結合ゲルシフトアッセイなどの活性アッセイが含まれる。
[0092] タンパク質もしくはペプチドが、宿主細胞から分泌されるように設計されている場合、タンパク質もしくはペプチドの大部分が、細胞培養培地中に認められる可能性がある。この方法にて調製されたタンパク質は、アミノ末端メチオニンが細胞からの分泌中に除去されるため、典型的には、これを保有しないであろう。しかしながら、タンパク質もしくはペプチドが宿主細胞から分泌されない場合、それは、細胞質および/もしくは核中(真核宿主細胞に関して)、または細胞質ゾル中(グラム陰性細菌宿主細胞に関して)に存在する可能性があり、かつ、アミノ末端メチオニンを有する可能性がある。
[0093] 宿主細胞の細胞質および/または核中にあるS05Aペプチドに関しては、典型的には、まず、機械的に、または界面活性剤を用いて宿主細胞を破壊して、細胞内内容物を緩衝溶液に放出させる。次いで、ペプチドを、この溶液から単離することが可能である。
[0094] 溶液からのS05Aペプチドの精製を、多様な技術を用いて成し遂げることが可能である。S05Aペプチドが、ヘキサヒスチジン(例えば、ペプチド/ヘキサHis)などのタグ、または、FLAG(シグマ−アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)もしくはカルモジュリン結合ペプチド(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州)などのその他の小ペプチドを、カルボキシル末端またはアミノ末端のいずれかに含有するように合成されているならば、カラムマトリックスがタグまたはタンパク質と直接的に高い親和性を有する(すなわち、ペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体)アフィニティカラムに溶液を通すことによって、これを、基本的に一工程のプロセスで精製してもよい。例えば、ポリヒスチジンは、ニッケル、亜鉛およびコバルトと、大きな親和性および特異性を伴って結合し;したがって、ニッケルをベースとするアフィニティ樹脂(キアゲン社のQlAexpressシステムまたはインビトロジェン社のXpressシステムに用いられる)またはコバルトをベースとするアフィニティ樹脂(BD Biosciences-CLONTECH社のTalonシステムに用いられる)を使用する固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィを、ペプチド/ポリHisの精製に用いることが可能である(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology, Section 10.11.8、John Wiley & Sons、ニューヨーク州を参照されたい)。
[0095] S05Aペプチドがタグを結び付けずに調製され、かつ、利用可能な抗体がない場合は、他の周知の精製手順を用いることが可能である。このような手順には、これに限定されないが、イオン交換クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、分子ふるいクロマトグラフィ、HPLC、ゲル溶出と組み合わせたネガティブゲル電気泳動、および分取等電点電気泳動(イソプライムマシーン/技術、Hoefer Scientific社)が含まれる。これらの技術のうち2またはそれより多くを組み合わせて、純度の増加を達成してもよい場合もある。
[0096] S05Aペプチドが主として細胞内に認められるであろうと予想される場合、細胞内物質(グラム陰性細菌に関しては、封入体を含む)を、当業者に公知の任意の標準的技術を用いて、宿主細胞から抽出することが可能である。例えば、宿主細胞を溶解させて、フレンチプレス、ホモジナイゼーションおよび/または超音波処理に続いて遠心分離を行うことにより、ペリプラズム/細胞質の内容物を放出させることが可能である。ペプチドが細胞質ゾル中に封入体を形成しているならば、封入体は、細胞膜の内部および/または外部に結合する場合が多いため、遠心分離後に、主としてペレット物質中に認められるであろう。次いで、ペレット物質を、極端なpHにて、あるいは、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素または尿素誘導体などのカオトロピック剤を用いて、アルカリ性pHではジチオスレイトール、または、酸性pHではトリスカルボキシエチルホスフィンなどの還元剤の存在下で処理して、封入体を放出させ、分解し、そして可溶化させることが可能である。次いで、可溶型となったペプチドを、ゲル電気泳動、免疫沈降等を用いて解析することが可能である。ペプチドを単離することが望ましい場合は、以下およびMarstonら、Meth. Enz. 182:264-275に説明されるものなどの標準的方法を用いて、単離を成し遂げてもよい。
[0097] S05Aペプチドが、単離の際に生物学的に活性でない場合もある。ポリペプチドをその三次構造へとリフォールディングするかもしくは変換し、そしてジスルフィド連結を作出するための種々の方法を用いて、生物学的活性を回復させることが可能である。このような方法は、可溶化ポリペプチドを、通常は7を超えるpHに、かつ、特定の濃度のカオトロープ存在下で曝露することを含む。カオトロープの選択は、封入体の可溶化に用いられる選択肢と非常に類似しているが、しかし、通常はより低濃度であり、かつ、可溶化に用いられるものと必ずしも同一のカオトロープではない。ほとんどの場合において、リフォールディング/酸化溶液は、還元剤、または、特定の比の還元剤およびその酸化型を含有し、特定の酸化還元電位を生じ、タンパク質のシステイン架橋形成を生じるジスルフィドシャフリングを可能にする。一般的に用いられる酸化還元対のいくつかには、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が含まれる。多くの場合において、共溶媒が、リフォールディングの効率を増加させるために必要であり、そして、本目的のために用いられるより一般的な試薬には、グリセロール、種々の分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンが含まれる。
[0098] S05Aペプチドの封入体が、宿主細胞中で有意な程度に形成されていない場合、S05Aペプチドは、細胞ホモジネートの遠心分離後の上清中に主として認められるであろう。そして、S05Aペプチドを、以下に説明するものなどの方法を用いて、上清から単離することが可能である。
[0099] S05Aペプチドを部分的または完全に単離することが好ましいこのような状況において、精製を、当業者に周知の標準的方法を用いて成し遂げることが可能である。このような方法には、これに限定されないが、電気泳動による分離に続く電気溶出、種々のタイプのクロマトグラフィ(免疫アフィニティ、分子ふるいおよび/またはイオン交換)、および/または、高圧液体クロマトグラフィが含まれる。完全精製のためのこれらの方法のうちの1またはそれより多くを用いることが好ましい場合もある。
[0100] 組換えDNA技術を用いたS05Aペプチドの調製および精製に加えて、S05Aペプチド、ならびにその断片、バリアント、ホモログ、融合タンパク質、ペプチドミメティックおよび誘導体を、化学合成方法(固相ペプチド合成など)によって、Merrifieldら、J. Am. Chem. Soc. 85:2149;Houghtenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5132;および、StewartおよびYoung、Solid Phase Peptide Synthesis、Pierce Chemical Co.、ロックフォード、イリノイ州;により説明されるものなどの当該技術分野において公知の技術を用いて、調製してもよい。このようなペプチドを、アミノ末端上におけるメチオニンの有無に関わらず合成してもよい。化学合成したS05Aペプチドを、これらの参考文献に説明される方法を用いて酸化して、ジスルフィド架橋を形成させてもよい。S05Aペプチドは、組み換えにより産生されるか、または天然源から精製されるペプチドと同等の生物学的活性を有することが予想されるため、組換えもしくは天然ペプチドと互換的に用いてもよい。
[0101] ペプチドが高分子と連結している化学修飾されたS05Aペプチド組成物は、本実施態様の範囲に含まれる。選択される高分子は、典型的には、それが結び付くタンパク質が、生理学的環境などの水溶性環境において沈殿しないように、水溶性である。選択される高分子は、重合の程度を本方法において提供されるように制御可能なように、通常は、アシル化に対しては活性エステル、または、アルキル化に対してはアルデヒドなどの、一つの反応基を有するように修飾される。高分子は、いかなる分子量であってもよく、かつ、分枝していても、または分枝していなくてもよい。ペプチド高分子の範囲に含まれるのは、高分子の混合物である。
[0102] 自然発生的なS05Aペプチドの核酸および/またはアミノ酸のバリアントを調製することが望ましい場合もある。核酸のバリアントを、部位特異的突然変異、PCR増幅、または、プライマーに所望の点変異を生じるその他の適切な方法を用いて、作り出してもよい(突然変異技術の記載に関しては、Sambrookら、上記;および、Ausubelら、上記;を参照されたい)。Engelsら、上記;により記載される方法を用いた化学合成もまた、このようなバリアントを調製するために用いてよい。当業者に公知の他の方法を、同様に用いてもよい。
[0103] 好ましい核酸のバリアントは、S05Aペプチドを産生するために用いる宿主細胞におけるコドン選択の説明となるヌクレオチド置換を含有するものである。このようなコドンの最適化を、高度に発現する細菌遺伝子のコドン選択に関するEcohigh.Codなどのコドン頻度表を組み込んだコンピューターアルゴリズム(ウィスコンシン大学パッケージ、バージョン9.0、ジェネティクス・コンピューター・グループ、マディソン、ウィスコンシン州により提供)を介して、決定することが可能である。他の有用なコドン頻度表には、Celegans high.cod、Celegans low.cod、Drosophila high.cod、Human high.cod、Maize high.cod、およびYeast high.codが含まれる。他の好ましいバリアントは、野生型と比較して上述のような保存的アミノ酸変化をコードするもの(例えば、自然発生的なアミノ酸側鎖の荷電または極性が、異なるアミノ酸による置換によって実質的に変化しない)、ならびに/あるいは、新規グリコシル化および/もしくはリン酸化部位を作出するように設計されたもの、または、既存のグリコシル化および/もしくはリン酸化部位を欠失させるように設計されたものである。
[0104] S05Aペプチド、ならびにその断片、ホモログ、バリアント、融合タンパク質、ペプチドミメティック、誘導体および塩はまた、当業者に公知の慣用のペプチド合成技術を用いても作製可能である。これらの技術には、化学カップリング法(Wunsch, E:「Methoden der organischen Chemie」、第15巻、Band 1+2、Synthese von Peptiden、thime Verlag、Stuttgart(1974年);および、Barrany, G.:Marrifield, R. B.:「The Peptides」E. Gross、J. Meienhofer編、第2巻、第1章、1〜284ページ、アカデミックプレス(1980年);を参照されたい。)、酵素カップリング法(Widmer, F.、Johansen, J. T.、Carlsberg Res. Commun.第44巻、37〜46ページ(1979年);Kullmann, W.:「Enzymatic Peptide Synthesis」、CRC Press Inc.、Boca Raton、フロリダ州(1987年);および、Widmer, F.、Johansen, J. T.、「Synthetic Peptides in Biology and Medicines」中、Alitalo, K.、Partanen, P.、Vatieri A.編、79〜86ページ、Elsevier、アムステルダム(1985年)を参照されたい)、あるいは、それがプロセス設計にとって、かつ経済的に有利であるならば、化学法と酵素法との組み合わせが含まれる。本明細書に提供されるガイドラインを用いて、当業者は、S05Aペプチドのペプチド配列を変えて、元の、もしくは天然のS05Aペプチドと同一または類似した生物学的活性(生物活性)を有するホモログを、作製することが可能である。
[0105] ペプチド自体よりもむしろ所与のS05Aペプチドのミメティックを用いることの利点が、存在する。概して、ペプチドミメティックは、より生物学的に利用可能であり、作用時間がより長く、かつ、天然のタンパク質およびペプチドよりも安く生産可能である。
[0106] したがって、上述のペプチドは、類似した生物学的活性、およびそれによる類似した治療有用性を有する、このような小さな化学化合物の開発において、有用である。S05Aペプチドのペプチドミメティックを、コンビナトリアル化学技術および当該技術分野において公知の他の技術を用いて、開発することが可能である(例えば、Proceedings of the 20th European Peptide Symposium、G. Jung、E. Bayer編、289〜336ページ、およびその中の参考文献を参照されたい)。
[0107] ペプチドを構造的に修飾してペプチドミメティックを作り出すための、当該技術分野において公知の方法の例には、骨格キラル中心の反転によってD−アミノ酸残基構造へと導くことが含まれ、該構造は、特にN末端において、活性に悪影響を及ぼさずにタンパク質分解に対する安定性を増強させる可能性がある。その例は、「Tritriated D−ala−Peptide T Binding」、Smith C. S.ら、Drug Development Res. 15、371〜379ページ(1988年)に供されている。
[0108] 第二の方法は、安定性のために、NからCへの鎖間イミドおよびラクタムなどの環状構造を変えることである(Edeら、SmithおよびRivier(編)、「Peptides: Chemistry and Biology」、Escom、Leiden(1991年)中、268〜270ページ)。この例は、米国特許第4,457,489(1985年)、Goldstein, G.らにおいて開示されるものなどの、構造的に制限されたチモペンチン様化合物に示されており、該出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
[0109] 第三の方法は、タンパク質分解に対する抵抗性を授ける偽ペプチド結合によって、S05Aペプチド中のペプチド結合を置換することである。多数の偽ペプチド結合は、一般には、ペプチドの構造および生物学的活性に影響を及ぼさないと、記載されている。このアプローチの一例は、retro-inverso型偽ペプチド結合への置換である(「Biologically active retroinverso analogues of thymopentin」、Sisto A.ら、Rivier, J. E.およびMarshall, G. R.(編)「Peptides, Chemistry, Structure and Biology」、Escom、Leiden(1990年)中、722〜773ページ)、ならびに、Dalpozzoら(1993年)、Int. J. Peptide Protein Res. 41:561-566、参照により本明細書に援用される)。この修飾によると、ペプチドのアミノ酸配列は、1またはそれより多くのペプチド結合がretro-inverso型偽ペプチド結合により置換されることを除けば、上述のペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合を置換するが、これは、そのような置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する抵抗性を授けることになるためである。
[0110] 1またはそれより多くの低減したretro-inverso型偽ペプチド結合を有するペプチドの合成は、当該技術分野において公知である(Sisto(1990年)およびDalpozzoら(1993年)、上記に引用)。したがって、ペプチド結合を、ペプチドミメティックに元のペプチドと類似した構造、およびそれによる類似した生物学的活性を装わせる非ペプチド結合によって、置換することが可能である。アミノ酸の化学基を類似した構造の他の化学基により置換することによって、さらなる修飾を行うことも可能である。生物学的活性を全くもしくはほとんど損なわずに酵素的切断に対する安定性を増強することが公知の、別の適切な偽ペプチド結合は、低減したイソスター偽ペプチド結合である(Couderら(1993年)、Int. J. Peptide Protein Res. 41:181-184、参照によりその全体が援用される)。このように、これらのペプチドのアミノ酸配列は、1またはそれより多くのペプチド結合がイソスター偽ペプチド結合によって置換されることを除けば、ペプチドの配列と同一であってもよい。好ましくは、最もN末端のペプチド結合を置換するが、これは、そのような置換が、N末端に作用するエキソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する抵抗性を授けることになるためである。1またはそれより多くの低減したイソスター偽ペプチド結合の合成は、当該技術分野において公知である(Couderら(1993年)、上記に引用)。他の例には、ペプチド結合を置換するためにケトメチレンもしくはメチルスルフィド結合を導入することが、含まれる。
[0111] S05Aペプチドのペプトイド誘導体は、生物学的活性のための重要な構造決定基を保持し、さらにペプチド結合を除去することによって、タンパク質分解に対する抵抗性を授ける、別の種類のペプチドミメティックを表す(Simonら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367-9371、および、参照によりその全体が援用される)。ペプトイドは、N置換グリシンのオリゴマーである。多数のN−アルキル基が記載されており、それぞれ、自然アミノ酸の側鎖に対応している(Simonら(1992年)、上記に引用され、かつ、その全体は参照により本明細書に援用される)。ペプチドのアミノ酸の一部もしくはすべては、置換されるアミノ酸に対応するN置換グリシンによって置換される。
[0112] ペプチドミメティックの開発を、元のペプチドの三次元構造をNMR分光、結晶学および/またはコンピューターを使った分子モデリングにより決定することによって、支援することが可能である。これらの技術は、元のペプチドよりも高い有効性および/または大きなバイオアベイラビリティおよび/または大きな安定性の新規組成物の開発を、支援する(Dean(1994年)、BioEssays 16:683-687;CohenおよびShatzmiller(1993年)、J. Mol. Graph. 11:166-173;WileyおよびRich(1993年)、Med. Res. Rev. 13:327-384;Moore(1994年)、Trends Pharmacol. Sci. 15:124-129;Hruby(1993年)、Biopolymers 33:1073-1082;Buggら(1993年)、Sci. Am. 269:92-98、すべての該参考文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
[0113] ひとたび潜在的なペプチドミメティック化合物が同定されるならば、それを合成し、そして、以下の例において概説する方法を用いてアッセイして、その活性を評価してもよい。上記の方法により得られる、該ペプチドの生物学的活性および類似した三次元構造を有するペプチドミメティック化合物は、本実施態様により包含される。ペプチドミメティックを、上述の修飾のうち1またはそれより多くを保有する任意のペプチドから作出可能であることは、当業者には容易に明らかであろう。さらに、本実施態様のペプチドミメティックを、治療用化合物としてのその有用性に加えて、さらに強力な非ペプチド性化合物の開発に用いることが可能なことが、明らかであろう。
[0114] 本明細書に記載のペプチドを合成可能な多数の組織が、今日、存在する。例えば、該組織は、S05Aペプチドの配列を供されると、そのペプチドを合成し、そして、合成されたペプチドを、該ペプチドの必要書類および証明書を伴って発送することが可能である。
[0115] 本実施態様はまた、哺乳動物の組織もしくは体液試料中のS05Aペプチド、S05AペプチドDNAまたは対応するRNAの存在について、定性的あるいは定量的に試験するアッセイへの、S05Aペプチドおよびその対応する核酸分子の使用も包含する。S05Aペプチドおよびその対応する核酸分子を、ペプチドもしくはコードされるペプチドDNAが生物学的活性を示すかどうかにかかわらず、このようなアッセイにおける調製に用いてもよい。S05Aペプチド核酸配列は、哺乳動物の組織もしくは体液試料中のペプチドDNAまたは対応するRNAの存在について、定性的あるいは定量的に試験するハイブリダイゼーションプローブの、有用な源であってもよい。それ自体は生物学的に活性でないS05Aペプチドは、S05Aペプチドを認識し、かつ/またはそれと結合する抗体を調製するために有用な可能性がある。このような抗体を、標準的方法を用いて調製してもよい。したがって、S05Aペプチドと反応または結合する抗体、ならびに、そのような抗体の短鎖抗体断片および他の反応性断片もまた、本発明の実施態様の範囲にあることが企図される。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え、キメラ、一本鎖および/または二重特異性であってもよい。典型的には、抗体またはその断片は、ヒト由来であるか、あるいは、ヒト化されている、すなわち、患者に投与される場合に抗体に対する免疫反応を妨げるかもしくは最小限にするように調製されているかの、いずれかであろう。好ましい抗体は、ポリクローナルあるいはモノクローナルのヒト抗体である。抗体断片は、Fab、Fab’等などの、本実施態様のペプチドに反応性の任意の断片であってもよい。本実施態様によりさらに提供されるのは、選択された哺乳動物へ任意のS05Aペプチドを抗原として提示することに続いて、公知の技術により、該哺乳動物の細胞(例えば、脾細胞)を特定の癌細胞と融合させて、不死化細胞株を作り出すことによって作出される、ハイブリドーマである。このような細胞株、およびS05Aペプチドの全体または一部に特異的な抗体を作出するために使用される方法もまた、本実施態様により包含される。
[0116] さらに、抗体を、体液または細胞試料中のS05Aペプチドの存在を検出するために標識された形態などにて、in vivoおよびin vitroでの診断もしくは研究目的に用いてもよい。
[0117] 本実施態様はまた、哺乳動物の組織もしくは体液試料中のS05Aペプチド、タンパク質、ペプチドDNA、タンパク質DNAまたは対応するRNAの存在について定性的あるいは定量的に試験するアッセイにおける、1またはそれより多くのS05Aペプチドの較正基準としての使用も、包含する。
[0118] 本実施態様は、良性および悪性腫瘍、腺(例えば、前立腺)過形成、望ましくない顔の毛、疣贅、ならびに望ましくない脂肪組織などの細胞の除去、あるいは、ステントの狭窄などの望ましくない細胞増殖の阻害または予防を必要とする状態を、治療する方法に関する。このような方法は、それを必要とするか、またはステントなどの器具を装着している哺乳動物に、有効量のS05Aペプチドを投与することを含んでなる。
[0119] 該状態は、例えば、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、リンパ節およびリンパ系、ならびにその他の器官の腫瘍であることが可能である。
[0120] 本明細書では、「悪性腫瘍」の語は、あまり分化しない形態、中等度に分化する形態、および非常に分化する形態にて生じる、ヒト癌腫、肉腫および黒色腫の全形態を包含することが意図される。
[0121] 本実施態様は、より少ないリスクおよびより少ない望ましくない外科手術の副作用にて良性腫瘍を除去することが可能な治療の、当該技術分野における必要性を満たす。身体の深部(例えば、脳、心臓、肺およびその他)などの外科手術が危険な領域にある良性腫瘍を除去するための方法が、特に必要とされる。
[0122] 細胞を除去しなければならない状態を治療する方法を、外科的切除、化学療法および放射線照射などの、そのような状態を治療する慣用の治療方法と併せて、用いることが可能である。ペプチドを、このような慣用の治療の前、最中または後に投与することが可能である。
[0123] 治療される状態はまた、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される、組織の過形成、肥大または過成長であることも可能である。
[0124] 本実施態様の方法を用いて治療することが可能な他の状態は、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される、ウイルス、細菌または寄生虫により変化した組織である。
[0125] 治療される状態はまた、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される、組織の奇形または障害であることも可能である。
[0126] 具体的には、治療される状態は、扁桃肥大、前立腺過形成、乾癬、湿疹、皮膚病または痔であることが可能である。治療される状態は、アテローム性動脈硬化症または動脈硬化症などの血管疾患、あるいは、静脈瘤、動脈もしくはステントの狭窄または再狭窄などの血管障害であることが可能である。治療される状態はまた、皮膚、眼、耳、鼻、喉、口、筋肉、結合組織、毛髪または胸部組織などの組織に対する美容的修飾であることも可能である。
[0127] S05Aペプチドの治療用組成物もまた、本実施態様において熟慮されている。このような組成物は、治療有効量のS05Aペプチドを、医薬的に許容可能なキャリアとの混合物中に含んでなってもよい。キャリア材料は、好ましくは、哺乳動物への投与用溶液において一般的な他の材料が添加されている、注射用水であってもよい。典型的には、治療使用のためのS05Aペプチドを、1またはそれより多くの生理学的に許容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに精製ペプチドを含んでなる組成物の形態にて、投与することになるであろう。中性緩衝生理食塩液、または血清アルブミンを混合された生理食塩液は、適切なキャリアの例である。好ましくは、生成物を、適切な賦形剤(例えば、ショ糖)を用いて、凍結乾燥物として処方物化する。他の標準的なキャリア、希釈剤および賦形剤は、所望に応じて含まれてもよい。本実施態様の組成物はまた、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含む、適切なpH値範囲にある当業者に公知の緩衝液を含んでなってもよく、該緩衝液は、ソルビトールまたは適切なその代用品をさらに含んでもよい。
[0128] 望ましくない細胞要素を標的とするための、抗体、抗体断片、抗体様分子、または、細胞受容体、シグナルペプチドもしくは過剰発現酵素などの特定の腫瘍マーカーに高親和性の分子と複合体化もしくは連結もしくは結合しているS05Aペプチドの使用もまた、本実施態様の範囲により包含される。抗体、抗体断片、抗体様分子、または、特定の腫瘍マーカーに高親和性の分子は、ペプチド複合体に特定の細胞もしくは組織標的を標的とさせるために用いられる。例えば、抗体、抗体断片または抗体様結合分子は、独特の表面抗原もしくは発現抗原を伴う腫瘍を標的とすることが可能であり、そして、ペプチドによって腫瘍細胞を殺すことが可能である。抗体による標的化を用いたこのようなアプローチは、投与量を低減させ、標的細胞への結合および該細胞による取り込みの可能性を増加させ、かつ、転移性腫瘍および微小腫瘍を標的とし、そして治療する有用性を増加させるという利点が、期待される。
[0129] 本実施態様はまた、タンパク質もしくは他の分子と複合体化もしくは連結もしくは結合しているS05Aペプチドの使用であって、腫瘍もしくは部位特異的な酵素またはプロテアーゼ、あるいは腫瘍もしくは他の望ましくない細胞を標的とする抗体複合体によって、腫瘍もしくは望ましくない細胞の部位またはその近辺にて切断されると、腫瘍もしくは他の望ましくない細胞の部位またはその近辺に該ペプチドを放出する組成物を形成するための該使用も、包含する。
[0130] 本実施態様はまた、タンパク質もしくは他の分子と複合体化もしくは連結もしくは結合しているS05Aペプチドの使用であって、治療される組織を光(レーザー療法、または他の光力学もしくは光活性化療法におけるものなど)、電磁照射の他形態(赤外線照射、紫外線照射、X線もしくはγ照射、局所加熱、α線もしくはβ線照射、超音波放射)、または他の局所エネルギー源に曝露すると、該ペプチドまたは該ペプチドのいくつかの生物学的に活性の断片を放出する組成物を形成させるための該使用も、包含する。
[0131] S05Aペプチドを、単独で、一緒に、あるいは、治療される徴候に適したサイトカイン、成長因子、抗体、アポトーシス誘導剤、抗炎症剤および/または化学療法剤などの他の医薬組成物と組み合わせて、使用してもよい。
[0132] 本実施態様はまた、デンドリマー、フラーレン、ならびに、その他の合成分子、高分子およびマクロ分子を使用して、ペプチドおよび/もしくはその対応するDNA分子が、分子、高分子もしくはマクロ分子と複合体化しているか、結び付いているか、またはそれに包まれているものを、単独で、または腫瘍特異的マーカーなどの他の分子種とともに使用した、S05Aペプチドの治療用組成物も包含する。例えば、米国特許第5,714,166、Bioactive and/or Targeted Dendimer Conjugatesは、とりわけ、少なくとも一つのデンドリマーから構成される樹状高分子複合体を、標的ディレクターおよび少なくとも一つの生物活性剤と複合体化させて、調製および使用する方法を、提供する。米国特許第5,714,166の開示の全体は、参照によって本明細書に援用される。
[0133] 本実施態様はまた、S05Aペプチドおよび/または遺伝子と、脂質エマルジョン、ミセル高分子、高分子微小球、電気活性高分子、ヒドロゲルおよびリポソームなどの薬物送達媒体からなる、治療用組成物も包含する。
[0134] 望ましくない細胞に伝達されたS05Aペプチドまたは関連する遺伝子もしくは遺伝子同等物の使用もまた、本実施態様により包含される。腫瘍内部でのペプチドの過剰発現を、腫瘍内の細胞の死滅を誘導することによって、腫瘍細胞集団を低減させるために用いることが可能である。望ましくない細胞要素を治療するためのS05Aペプチドの遺伝子もしくは遺伝子同等物の伝達は、必要とされる投与量がより少なくなるとの利点、ならびに、標的細胞要素の細胞子孫へと継承され、したがって、必然的に治療がより低頻度および低回数になるとの利点を有することが、期待される。本実施態様はまた、S05Aペプチドを含有する融合タンパク質をコードする遺伝子を、望ましくない細胞もしくはその近隣の細胞に伝達し、該遺伝子の発現ならびに該融合タンパク質の産生および/または分泌に続いて、該融合タンパク質を、天然酵素またはプロテアーゼによって、あるいは、望ましくない細胞内、細胞もしくはその近隣にて該ペプチドを放出するためのプロドラッグによって切断することも、包含する。
[0135] クローン化された組換えペプチド−抗体複合体;クローン化された組換えペプチド−抗体断片複合体;および、クローン化された組換えペプチド−抗体様タンパク質複合体の使用もまた、本実施態様の範囲により包含される。クローン化されたS05Aペプチドを標的化複合体(癌特異的受容体もしくは他の腫瘍マーカーに高親和性の抗体、抗体断片、抗体様分子または分子など)と組み合わせる利点は、このような分子が、クローン化された複合体化分子の製造および標準化された生産に対する利点に加えて、上述の標的化する利点を兼ね備えている。
[0136] 本実施態様はまた、S05Aペプチドまたは遺伝子もしくは遺伝子同等物からなる治療用組成物の使用であって、望ましくない細胞の増殖もしくは蓄積を除去、阻害または予防するためにステントなどの医療器具をコーティングする構成成分としての前記使用も、包含する。
[0137] 経口投与用の固形剤型には、これに限定されないが、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が含まれる。このような固形剤型において、活性化合物は、(a)クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどの、1またはそれより多くの不活性賦形剤;(b)スターチ、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの、充填剤または増量剤;(c)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアラビアゴムなどの結合剤;(d)グリセロールなどの、保湿剤;(e)寒天、炭酸カルシウム、ポテトもしくはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩複合体および炭酸ナトリウムなどの、崩壊剤;(f)パラフィンなどの、溶解遅延剤;(g)第四級アンモニウム化合物などの、吸収促進剤;(h)アセチルアルコールまたはグリセリンモノステアレートなどの、湿潤剤;(i)カオリンおよびベントナイトなどの、吸着剤;ならびに、(j)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物などの、潤滑剤;のうち少なくとも一つと混合される。カプセル、錠剤および丸薬に関しては、剤型は、緩衝剤もまた含んでなってよい。
[0138] 経口投与用の液体剤型には、医薬的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤型は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当該技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤を含んでなってもよい。乳化剤の例は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類、ソルビタンの脂肪酸エステル類、またはこれらの物質の混合物等である。
[0139] このような不活性希釈剤の他に、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、着香剤および芳香剤などのアジュバントも含むことが可能である。
[0140] 本実施態様の組成物における活性成分の実際の投与量レベルは、有効なS05Aペプチド量を得て、特定の組成物および投与方法に対して所望の治療反応を得るために、多様であってもよい。したがって、選択される投与量レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の治療期間および他の要因によって決まる。
[0141] ヒトを含む哺乳動物では、有効量を、体表面積に基づいて投与することが可能である。種々のサイズ、種の動物およびヒトに対する投与量の相互関係(mg/M体表面に基づく)は、E. J. Freireichら、Cancer Chemother. Rep. 50(4):219(1966年)に記載されている。体表面積は、個体の身長および体重から、近似的に決定されてもよい(例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals、Ardsley、ニューヨーク州、537〜538ページ(1970年)を参照されたい)。
[0142] 宿主に投与されるS05Aペプチドの1日総投与量は、単用量であっても、または分割用量であってもよい。投与単位の組成物は、1日用量を構成するために用いられてもよいように、その約数の量を含有してもよい。しかしながら、いずれの特定の患者に対する具体的な用量レベルも、体重、全体的健康、性別、食事、投与の時間および経路、投与薬の有効性、吸収率および排泄率、他の薬物との組み合わせ、ならびに治療される特定の疾患の重症度によって決まるであろう。
[0143] 本実施態様によるS05Aペプチド組成物の投与方法には、これに限定されないが、筋肉内、経口、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、腫瘍内、病巣内、皮内、髄腔内、鼻腔内、眼内、動脈内、局所、経皮、噴霧、注入、ボーラス注射、埋め込み器具、徐放システム等による該化合物の投与が、含まれる。
[0144] 本実施態様のS05Aペプチドを投与する別の方法は、経皮もしくは経皮的経路によるものである。このような実施態様の一例は、パッチの使用である。具体的には、パッチを、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、またはDMSOと綿実油の混合物中に、ペプチドを微細に懸濁することによって調製し、そして、腫瘍を有する哺乳動物の、皮膚ポーチ内部の腫瘍部位から離れた皮膚と接触させることが可能である。他の媒体、または他の溶剤および固体担体とのその混合物も、同様に作用するであろう。パッチは、該ペプチド化合物を、溶液または懸濁液の形態にて含有することが可能である。次いで、パッチを、例えば、ステッチ、クリップまたは他の保持器具により皮膚を合わせて畳み、かつ保持することによって形成された患者の皮膚ポーチ内に、これを挿入することによって、患者の皮膚に適用することが可能である。このポーチは、皮膚との持続的な接触が、哺乳動物を干渉することなく確実であるような方法にて、使用されるべきである。皮膚ポーチを用いる他に、パッチを皮膚と接触させてしっかりと配置することを確実にする、任意の器具を用いてもよい。
[0145] S05Aペプチドを、徐放性処方物もしくは調製物にて投与してもよい。徐放性調製物の適切な例には、例えばフィルムもしくはマイクロカプセルなどの、造形された物品の形態の半透性高分子マトリックスが含まれる。徐放性マトリックスには、ポリエステル類、ヒドロゲル類、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919、EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートの共重合体(Sidmanら、Biopolymers, 22:547-556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら、J. Biomed. Master. Res. 15:167-277、および、Langer、Chem. Tech. 12:98-105)、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が含まれる。徐放性組成物にはまた、リポソームが含まれてもよく、これは、当該技術分野において公知のいくつかの方法のいずれを用いても、調製可能である(例えば、Eppsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692;EP 36,676;EP 88,046;および、EP 143,949)。
[0146] 本実施態様のS05Aペプチドを投与する別の方法は、治療される腫瘍または他の組織内へのペプチドの直接もしくは間接注射によるものである。このような実施態様の一例は、治療される腫瘍または他の組織内へのペプチドの直接注注射である。治療は、単回注射であっても、一度における複数回注射、あるいは、数時間、数日間または数カ月間にわたる一連の注射からなってもよく、生検、造影、または組織の成長をモニターする他の方法によって、治療される腫瘍もしくは他の組織の退縮または破壊をモニターしながら行われる。治療される腫瘍もしくは他の組織への注射は、in vivoにて腫瘍または組織に到達するために、鼻、口、耳、腟、直腸または尿道などの開口部に挿入された器具によるか、あるいは、切開術を介してもよく、そして、適切な注射部位を特定するために、超音波もしくは光ファイバースコープなどの造影または光学システムと併せて行われてもよい。このような実施態様の別の例は、S05Aペプチドを長期にわたり組織へ一定注入させることが可能な器具の使用である。
[0147] 本実施態様のS05Aペプチドを投与する別の方法は、除去もしくは破壊することが必要であるかまたは望ましい、腫瘍または他の組織もしくは細胞要素を、物理的に切除するか、切断するか、あるいは殺すために使用される、外科的もしくは類似の手順を併用したものであり、該手順によって除去もしくは破壊されない任意の腫瘍細胞または他の細胞要素の成長を破壊するかまたは妨害するために、腫瘍または他の組織を除去する領域を取り囲む隣接領域に、本実施態様のS05Aペプチドを投与する。
[0148] 本実施態様のS05Aペプチドを投与する別の方法は、治療される腫瘍または他の組織内に器具を埋め込むことによるものである。このような実施態様の一例は、ペプチドを含有するウェーハの、治療される腫瘍または他の組織内への埋め込みである。該ウェーハは、治療用量のペプチドを、長期にわたって組織内に放出する。あるいは、またはさらに、S05Aペプチドが吸収されているメンブレン、スポンジまたは他の適切な材料を罹患した領域へ埋め込むことによって、該組成物を局所的に投与してもよい。埋め込み器具を用いる場合は、該器具を、任意の適切な組織または器官に埋め込んでもよく、そして、ペプチドの送達は、ボーラスまたは持続的投与により器具を直接的に介しても、あるいは、持続注入を用いてカテーテルを介してもよい。
[0149] 別の投与方法は、S05Aペプチドをコードする遺伝子の1またはそれより多くのコピーを治療される細胞に導入し、そして、必要ならば、遺伝子のコピーが該ペプチドの細胞内での産生を開始するよう誘導させることである。遺伝子療法を適用可能な一つの方法は、S05Aペプチドをコードする遺伝子(該ペプチド(またはその断片、バリアント、ホモログもしくは誘導体)をコードするゲノムDNA、cDNAおよび/または合成DNA)を用いることであり、これを、構成的もしくは誘導的プロモーターと機能可能なように連結させて、遺伝子療法用DNAコンストラクトを形成してもよい。プロモーターは、該コンストラクトが挿入されることになる細胞または組織型において活性であるならば、内在性ペプチドコード遺伝子と同種であっても、または異種であってもよい。遺伝子療法用DNAコンストラクトの他の構成成分には、必要に応じて、部位特異的組込み用に設計されたDNA分子(例えば、同種組換えに有用な内在性フランキング配列)、組織特異的プロモーター、エンハンサーまたはサイレンサー、親細胞に優る選択的利点を提供可能なDNA分子、形質転換された細胞を特定するための標識として有用なDNA分子、ネガティブ選択システム、細胞特異的結合剤(例えば、細胞ターゲティング用など)、細胞特異的内在化因子、ならびに、ベクターによる発現を増強するための転写因子およびベクター製造を可能するための因子も、任意選択で含まれてもよい。
[0150] 細胞もしくは組織へのin vivoまたはex vivoでの遺伝子送達手段には、(これに限定されないが)裸DNAの直接注射、弾道法、リポソームを介した伝達、受容体を介した伝達(リガンド−DNA複合体)、電気穿孔、およびリン酸カルシウム沈降が含まれる。米国特許第4,970,154、WO 96/40958、米国特許第5,679,559、米国特許第5,676,954および米国特許第5,593,875を参照されたく、それぞれの該出願の開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。これらにはまた、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ポックスウイルス、レンチウイルス、パピローマウイルスまたは単純ヘルペスウイルスなどのウイルスベクターの使用、DNA−タンパク質複合体の使用、およびリポソームの使用も含まれる。遺伝子療法用ベクターの使用については、例えば、米国特許第5,672,344、米国特許第5,399,346、米国特許第5,631,236および米国特許第5,635,399に記載されており、それぞれの該出願の開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
[0151] S05Aペプチドまたはその断片、バリアント、ホモログもしくは誘導体を発現および分泌させるために、S05Aペプチドをコードする遺伝子を、本明細書に記載されるものなどの方法を用いてex vivoにて遺伝子操作した特定の細胞を患者に埋め込むことにより、送達してもよい。このような細胞は、動物細胞であっても、またはヒト細胞であってもよく、かつ、ヒトまたは非ヒトにかかわらず、患者自身の組織に由来しても、または他の源に由来してもよい。任意選択で、細胞は、不死化されていても、または幹細胞であってもよい。しかしながら、免疫反応の可能性を低減させるため、細胞は、周辺組織の浸潤を避けるために被包されていることが好ましい。被包材料は、典型的には、生体適合性で、半透性の高分子エンクロージャもしくはメンブレンであって、タンパク質産物の放出を可能にするが、しかし、患者の免疫系、または周辺組織からの他の有害な要因による細胞の破壊を予防する。細胞のメンブレン被包に用いられる方法は、当業者に知られており、そして、被包された細胞の調製および患者へのその埋め込みを、必要以上の実験を伴うことなく成し遂げてもよい。例えば、米国特許第4,892,538;第5,011,472;および第5,106,627を参照されたく、それぞれの該出願の開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。生細胞を被包するためのシステムについては、PCT WO 91/10425に記載されている。リポソームキャリア、生体内分解性粒子もしくはビーズなどの多様な他の徐放もしくは制御送達手段を処方物化するための技術もまた、当業者に公知であり、そして、例えば米国特許第5,653,975に記載されている。該出願の全体は、参照によって本明細書に援用される。細胞を、被包の有無にかかわらず、患者の適切な身体組織または器官に埋め込んでもよい。
[0152] 細胞の除去または破壊を必要とする障害を治療する方法の特に好ましい実施態様は、本実施態様の1またはそれより多くのペプチドを投与することであり、そして、除去または破壊される細胞はリンパ組織に存在する。他の好ましい実施態様には、扁桃肥大、前立腺過形成、血管疾患(アテローム性動脈硬化または動脈硬化)、痔、静脈瘤、乾癬、湿疹、皮膚病、および組織に対する美容的修飾から単独で、または組み合わせて選択される任意のものなどの、細胞の除去または破壊を必要とする状態を治療することが、含まれる。他の治療可能な状態には、狭窄、再狭窄、動脈または動脈内に設置されたかもしくは埋め込まれたステントの閉塞あるいは封鎖が含まれる。好ましい実施態様において治療されることが可能な適切な組織には、皮膚、眼、耳、鼻、喉、口、筋肉、結合、毛髪および胸部が含まれる。
[0153] 本実施態様にしたがって治療される他の好ましい状態には、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、遺伝性/遺伝的疾患、外傷性疾患もしくは身体的傷害、栄養欠乏症、感染性疾患、アミロイド病、線維症、蓄積症、先天性奇形、酵素欠乏症、中毒、中毒症、公害病、放射能疾患、内分泌疾患、変性疾患および機械的疾患から選択されるものが含まれる。別の好ましい実施態様では、ペプチドは、抗体、抗体断片および抗体様結合分子から選択される分子と複合体化しているか、連結しているか、または結合しており、ここで、前記分子は、腫瘍または他の標的に対して、他細胞よりも高い結合親和性を有する。別の実施態様では、ペプチドは、ペプチドと、抗体、抗体断片および抗体様結合分子からなる群より選択される分子からなる、単一の新たなクローン化された組換え分子の一部であり、ここで、該分子は、腫瘍または他の標的に対して、他細胞よりも高い結合親和性を有する。
[0154] 以下の実施例を、本実施態様を例示するために提供する。しかしながら、該実施態様は、これらの実施例に記載される具体的な条件または詳細に限定されるのではないことが、理解されるべきである。本明細書全体にわたり、米国特許を含む公表されている書類への任意およびすべての参考文献は、参照によって明確に本明細書に援用される。
[0155] 具体的には、本実施態様は、係属中の米国特許出願第10/092,934、Methods of Treating Tumors and Related Conditions Using Neural Thread Proteinsに含まれる実施例を、参照によって明示的に本明細書に援用する。該出願において、全AD7c−タンパク質が、神経膠腫および神経芽細胞腫細胞培養におけるin vitroと、正常なげっ歯類の筋組織、皮下結合組織および真皮、ならびに多様な異なるヒトおよび非ヒト由来腫瘍(哺乳動物の癌腫、皮膚癌腫および乳頭腫、結腸癌腫、脳の神経膠腫、およびげっ歯類モデルにおけるその他のものを含む)におけるin vivoの双方において、細胞死を引き起こすための有効な剤であることが、明らかとなっている。本実施態様はまた、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/153,334、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/198,069、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する10/198,070、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/294,891;および、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/920,313に含まれる実施例も、参照によって明示的に本明細書に援用し、該出願のそれぞれは、該出願中に挙げられた特定のペプチドが、正常なげっ歯類の筋組織、皮下結合組織、真皮および他の組織においてin vivoにて細胞死を引き起こすための有効な剤であることを、明らかにしている。
(実施例1)
[0156] 本実施例の目的は、注射部位の組織に対するS05Aペプチドの効果を判定することである。
[0157] 以下のS05Aペプチドを、標準的方法を用いて合成した:
Figure 2009528298
[0158] 雄性Sprague−Dawleyラット(300グラム体重範囲)を、エーテル麻酔し、そして、前立腺を外科的に切開して目視可能にした後に、上記のS05Aペプチドのうち一つを前立腺内注入によって供するか、対照として生理食塩液を注射するか、または注射を行わなかった。該注射は、PBS pH7.4中の1mg/mLのS05Aペプチド 300μlからなった(1.0mg/kg)(n=36)。ラットを、24時間後(n=12)、72時間後(n=12)および7日後(n=12)に安楽死させた。前立腺を解剖し、10%緩衝ホルマリン中で24時間固定し、パラフィン中に埋め込み、そして切片を作製し、そして、H&Eにより染色した。各動物につき、前立腺全体を埋め込み、そして切片を作製した。すべての染色された切片を組織学的検査し、そして測定した。各前立腺につき、少なくとも二つの組織学的切片を検査し、そして、各組織学的切片につき、互いに90度にある二つの断面直径(D)を測定した(一前立腺につき、合計≧8回測定)。各群の断面直径(D)の平均を、V=4/3π(D/2)にしたがって体積を推定するために用い、そして、平均体積を各群について計算した。組織学的変化を、以下の基準に基づき評価した:
− なし
+ わずかにあり
++ 中等度にあり
+++ 中等度かつびまん性にあり
++++ びまん性かつ広範にあり
[0159] 結果:以下の表4は、観察された細胞死の組織学的変化を示す。
Figure 2009528298
[0160] 1mg/mLのPBSのみを注射した前述の対照試験は、組織学的変化なし、または、穿刺部における軽度の病巣性炎症からなるわずかな組織学的変化を示した(「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/153,334、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/198,069、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する10/198,070、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/294,891;および、「Peptides Effective In The Treatment Of Tumors And Other Conditions Requiring The Removal Or Destruction Of Cells」と題する第10/920,313に含まれる実施例を、参照されたい。該出願は、参照によって本明細書に援用される)。
[0161] 以下の表5は、観察された体積変化を示す。
Figure 2009528298
[0162] So5AペプチドであるS05A−2およびS50A−7を注射されたラットにおける前立腺体積の全体的な低減は、対照と比較して平均>40%であると推定された。S50A−2およびS50A−7で治療されたラットは、広範な細胞死、壊死、腺上皮の消失、および萎縮を示した。対照は、注射部位における急性炎症および穿刺部における病巣性微小出血からなるわずかな組織学的変化、または組織学的変化なしを示した。
[0163] 本実施態様の方法および組成物において、種々の修飾およびバリエーションを、本実施態様の精神または範囲から逸脱することなく行うことが可能なことは、当業者に明らかであろう。

Claims (19)

  1. 配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの断片からなる、単離されたペプチド。
  2. 前記ペプチドが、
    a) 配列番号2(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile)中のアミノ酸配列からなるペプチド;
    b) 配列番号3(Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチド;
    c) 配列番号4(Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys)中のアミノ酸配列からなるペプチド;
    d) 配列番号5(Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys)中のアミノ酸配列からなるペプチド;
    e) 配列番号6(Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチド;および、
    f) 配列番号7(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile)中のアミノ酸配列からなるペプチド;
    からなる群より選択される、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドのうち少なくとも一つ、およびキャリアを含んでなる、組成物。
  4. 請求項1に記載のペプチドのミメティック。
  5. 配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも二つの断片を含んでなる、単離されたペプチド。
  6. 配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの断片の少なくとも二回の反復を含んでなる、単離されたペプチド。
  7. 配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの断片のアミノ酸配列に基づいた、リバース−Dの順のアミノ酸を含んでなる、単離されたペプチド。
  8. 抗体、抗体の断片または抗体様分子と融合させた、配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの断片を含んでなる、単離されたペプチド。
  9. 配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドの断片、および、該ペプチドの3’または5’末端のいずれかに隣接して少なくとも1で、かつ25までのさらなるアミノ酸を含んでなる、単離されたペプチドであって、当該単離されたペプチドは配列番号1(Ile−Asp−Gln−Gln−Val−Leu−Ser−Arg−Ile−Lys−Leu−Glu−Ile−Lys−Arg−Cys−Leu)中のアミノ酸配列からなるペプチドを含まない、前記単離されたペプチド。
  10. 請求項1に記載のペプチドに対応するアミノ酸配列をコードする核酸、ならびに、そのホモログ、断片およびバリアント。
  11. 請求項10に記載の1またはそれより多くの核酸、および医薬的に許容可能なキャリアを含んでなる、組成物。
  12. 細胞の除去または破壊を必要とする哺乳動物における状態を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の請求項1に記載のペプチドを投与することを含んでなる、前記方法。
  13. ペプチドを、経口、皮下、皮内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、髄腔内、鼻腔内、腫瘍内、局所および経皮からなる群より選択される方法によって投与する、請求項12に記載の方法。
  14. 方法を、外科的切除、移植、移植術、化学療法、免疫療法、ワクチン接種、熱もしくは電気焼灼、凍結療法、レーザー療法、光線療法、遺伝子療法および放射線照射からなる群より選択される治療による、哺乳動物の治療前、治療中または治療後に、哺乳動物に対して行う、請求項12に記載の方法。
  15. 状態が、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、ならびに、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される組織の良性もしくは悪性腫瘍である、請求項12に記載の方法。
  16. 状態が、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、ならびに、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される組織の過形成、肥大または過成長である、請求項12に記載の方法。
  17. 状態が、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、ならびに、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される、ウイルス、細菌または寄生虫により変化した組織である、請求項12に記載の方法。
  18. 状態が、肺、胸部、胃、膵臓、前立腺、膀胱、骨、卵巣、皮膚、腎臓、洞、結腸、腸、胃、直腸、食道、心臓、脾臓、唾液腺、血液、脳およびその周りの内層、脊髄およびその周りの内層、筋肉、結合組織、副腎、副甲状腺、甲状腺、子宮、精巣、下垂体、生殖器官、肝臓、胆嚢、眼、耳、鼻、喉、扁桃腺、口、ならびに、リンパ節およびリンパ系からなる群より選択される組織の奇形である、請求項12に記載の方法。
  19. ステントの狭窄、閉塞もしくは封鎖を予防または阻害する方法であって、少なくとも治療有効量の請求項1に記載のペプチドによりステントをコーティングすることを含んでなる、前記方法。
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