JP2009500563A - 掃気を改良した2ストローク内燃機関 - Google Patents
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Abstract
少なくとも一本のシリンダ(2)を有するエンジンであって、各シリンダの中に少なくとも一の、好適には複数の吸気弁(25’、1)を有し、ピストン(53)の底位置より上方の下側位置に少なくとも一の排出開口(51)を具える。送風機を設置して、ピストンが底位置周辺を動くときに、各吸気弁を介して空気を各シリンダへ押し入れ、この送風機は、ピストンが上方へ移動する間は、十分な圧力を供給せずに各吸気弁を開いた状態にし、ピストンが上方へ移動する間に、各シリンダ内に圧縮が生じて、ピストンが下方へ移動する間は、下方への移動によって各排出開口が覆われなくなると、送風機が各吸気弁を介して各シリンダへ空気を押し入れて、各排出開口を介して各シリンダの外へ空気を出す。吸気弁は、例えば、弁シート(1)に対して閉じる弁ディスク(85)、弁シャフト(86)及び下側と上側のガイドディスク(87、88)を具える各吸気弁によって制御された空気圧の差によって積極的に動作する。下側及び上側ガイドディスクはガイドボア(89)の中で稼働して、空気式ピストンを動かすように動作し、ガイドボアは、送風機からの空気を受ける空気供給室(3)と真空プレナム(84)との間に延在する。従って、ガイドディスクは、真空プレナムと空気供給室との間の圧力差に応答して、弁を作動させる。
【選択図】図4
【選択図】図4
Description
本発明は、2ストローク内燃機関、特に、空気供給と排ガス排出(掃気)システムに関する。
本発明は、本願発明者による米国特許第6,170,444号(「先願発明」)に基づく改良発明である。
2ストロークエンジンでは、同ストロークの間に、排ガスを放出して燃焼空気を提供するプロセスが主な課題である。排ガスを放出するプロセスは、一般に「掃気(scavenging)」と呼ばれる。燃料注入システムによって、ある程度この問題は緩和されているが、効率性を良くして大気中への汚染物質の排出を少なくするために、適切な掃気が必要とされている。
従来型の2ストロークエンジンの掃気の問題点は、燃料効率と汚染物質に関する公知の欠点を伴うこれらの2つの気体塊の混合を妨げることであった。本発明の先願発明は、この問題に対処している。
先願発明では、少なくとも一の及び好適には複数の吸気弁を各シリンダヘッドに、そして、少なくとも一の及び好適には複数の排ガス排出開口を下側シリンダの壁に配置して、掃気を達成している。この吸気弁は、弁の一方の側であるシリンダ内部と弁の他方の側の空気供給室の圧力が変動して生じる空気圧の差によって、単独で制御される。下ストロークの際にピストン外縁がこれらの排出開口を通過すると、シリンダ内の圧力は空気供給室内の圧力よりも下がるので、吸気弁が開いて、掃気空気がシリンダへと入る。掃気送風機を用いて、空気を空気供給室へ、次いで吸気弁へと流すことで、ピストンが下がるときにさらに効率的にシリンダの排ガスを放出できる。この構成はディーゼル又はオットープロセスのどちらかを利用した内燃機関で動作する。
先願発明の試験エンジンのテスト結果は、とても望ましいものである。現在までのところ、良好な結果を実現できたが、さらなる改良が可能である。
特に、上方運動のピストンが排出開口を閉じた後に、先願発明の受動弁逆止体をさらに迅速に閉じるように補助することは有益である。これによって、圧縮のために利用できるクランクシャフトの角度が大きくなって、燃焼室での有効圧縮率をさらに高くする。
上記見解では、本発明は、特定のシステムの構成要素及び形状要素を具える2ストローク内燃機関用の改良した掃気システムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、2ストロークエンジンの従来の利点のほとんど又は全てを維持しつつ、先願発明に記載したエンジンについて特に掃気に関する所定の改良を提供することを目的とする。
本発明は、先願発明において逆止体の適時の閉鎖の制御を改良して、エンジンの燃料効率を良くして、この特定の出力を増やす。もちろん、2ストロークエンジン本来の利点である、例えば、簡単な構造、より小さいサイズと、質量、対費用効果の高い製造などを損なうことなく改良することが望ましい。
ユニフロー掃気形式を利用している2ストロークエンジンは公知であるが、4ストロークエンジンのようにカムシャフトによって制御する排気弁を組み込むと、この利点が部分的に犠牲になる。
先願発明によるエンジンでは、機械的に動作する逆止体は、技術的には可能であるが、構造を簡単にできずにコストがかかるので、一般に問題外である。逆止体を動作させるその他の方法例えば個別の筒型コイルが考えられるが、やはり、構造を簡単にできずコストがかかる。
それゆえ、本発明では空気式作動システムを採用し、先願発明の原理及びある特性、例えば送風機を介した掃気空気の外部生成を利用しており、逆止体及びシリンダヘッドを具える先願発明の他の構成要素のある特性を特に修正している。
従って、このエンジンは、少なくとも一のシリンダとこの上端位置と底位置の間で往復運動をするようにこの中に取り付けられた一本のピストンを具えている。各シリンダは、シリンダ内に空気をシリンダの上端部へ送る少なくとも一の好適には複数の吸気弁を具え、ピストンの底位置より上方の下側位置に少なくとも一の排出開口を具えている。ピストンが底位置周辺を動くときに、各吸気弁を介して空気を各シリンダへ押し入れるように送風機を設置して、この送風機は、ピストンが上方へ移動する間は、十分な圧力を供給せずに各吸気弁を開いた状態にし、ピストンが上方へ移動する間に、各シリンダ内に圧縮が生じて、ピストンが下方へ移動する間は、下方への移動によって各排出開口が覆われなくなると、各吸気弁を介して各シリンダへ空気を押し入れて、各排出開口を介して各シリンダの外へ空気を出す。本発明では、吸気弁は制御された空気圧の差によって積極的に動作する。
本発明の好適な実施形態は、必要とする場合には、例えば排気量が1.0L乃至3.0Lの例えば2、3、4又は6個のシリンダのモジュラーエンジン設計を利用して、100HP乃至300HPの潜在出力を有する内燃機関を提供することを目的とする。しかしながら、本発明は、特定の数のシリンダもしくは大きさ又は出力に限定されない。本発明は、2ストロークエンジンによって、4サイクルエンジンと比較して同じように作動することができ、4サイクルエンジンの対応する部分よりさらに軽量で、簡単で、費用対効果が高いことが理想的である。
本発明の好適な実施形態は、圧縮段階の間の弁逆止体の応答時間を減らすだけでなく、ピストンに対向するシリンダヘッドの滑らかな表面によって、より清浄な(cleaner)燃焼室を形成することができ、いくつかの望ましくないデットスペースに相応する逆止体周辺の小さな空洞を除去する。
本発明のさらなる詳細は例示としての以下の本発明の特定の実施形態の詳細な説明と図によって記述され、明確になる。
本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して記載するが、これは例示にすぎない。
先願発明
先願発明は、本発明者の先願特許第6,170,444号に十分に記載されているので、追加的な情報として参照することができる。しかしながら、説明の便宜上、以下に先願発明を要約する。
先願発明は、本発明者の先願特許第6,170,444号に十分に記載されているので、追加的な情報として参照することができる。しかしながら、説明の便宜上、以下に先願発明を要約する。
図1乃至3は先願発明の実施形態を示している。
先願発明では、吸気弁1によって、各シリンダ2と空気供給室3とに間の通路が提供されている。この吸気弁は、弁の一方の側であるシリンダ内部と弁の他方の側の空気供給室の圧力が変動して生じる空気圧の差によって、単独で動いて制御される。
掃気送風機4を設けて、排ガスを放出して、同時にエンジンに空気を満たすことができる。所望するエンジンの特性によっては、掃気送風機は、適切な掃気のみを提供するために、空気及びガスが流れるチャネルの抵抗にちょうど打ち勝つ低圧タイプにすることができる。代替的に、高圧掃気送風機を用いると、シリンダに予圧縮を提供して出力を改良できる。この高圧掃気送風機を従来型の中間冷却器5と組み合わせると、事前給気効果を高めることができる。
膨張段階で、2ストロークエンジンの作業工程を提供する必要があるので、できる限り下ストロークでは排出開口を閉じておくことが望ましい。掃気用送風機を用いることで、掃気を非効率にすることなく、排出開口の開きを遅らせて動作を改良する。
掃気送風機4は電気サーボモータ9によって駆動して、掃気送風機は、クランクシャフトの旋回又は排ガスのエネルギィ量などのエンジンの操作状態に依存せずにエンジンの動作状態の変化に迅速に応答できる。従って、掃気送風機はサーボモータによって駆動されて、例えば掃気送風機の機能を最適化するように設計されたコンピュータプログラムによって制御される。このサーボモータによって、コンピュータプログラムに必要な電子フィードバックが提供される。
図1に示すように、掃気送風機の中へ吸い込まれた空気は、好ましくは、第1に従来型のエアフィルタ6及び逆止弁7を通過する。エンジンからの出力を増やすことが望ましい場合には、空気が3方向分岐弁8に達する前に、空気が従来の中間冷却器5を通過するようにしてもよい。
3方向分岐弁8は中間冷却器5と空気供給室3との間に設置されている。代替的に、エンジンが中間冷却器を具えていない場合には、3方向分岐弁を送風機4の出口と空気供給室との間に設置してもよい。3方向分岐弁を用いることで、掃気送風機と燃焼機関との相互作用の処理をさらに効率的にできる。
3方向分岐弁は加速器10に連結しているので、加速器が低下して全出力を要求すると、3方向分岐弁によって空気供給室に無制限の空気の流れを提供することができ、エンジンがアイドリングしているときには、この空気の流れが部分的に掃気送風機の吸い込み側へ戻るようにすることができる。代替的に、空気供給システムの一部として、空気圧及び空気の流れのためのトランスデューサ(図示せず)を組み込んで、電子制御システムへフィードバックを提供することができる。代替的な実施形態では、第2の小さなサーボモータ(図示せず)によって、3方向分岐弁を様々な状態に制御できる。この第2のサーボモータの制御システムは、加速器の位置を検出するように構成された電子位置エンコーダからのフィードバックを受ける。
図2は、各シリンダの上端部周りに同心円状に配置した複数の同一吸気弁1を具える空気供給室3を示す。吸気弁は空気供給室とシリンダとの間でシリンダヘッドの、ディバイダ壁15を貫通している。図3に示すように、吸気弁は各シリンダの中心に設置されている燃焼室20を囲んでいる。
図3は、また、丸いボア縁部22及び出口ボア24を有する入口ボア21から構成されている吸気弁を示す。好適な実施形態では、入口ボアは直径7mmであり、出口ボアは直径11mmである。環状シート23は入口ボアに隣接して、出口ボア内に設置されている。逆止体25は出口ボア内で自由に浮動して、上方向ではシートリング23によって、下方向では同心保持リング26によって保持されている。逆止体は、環状シートから十分な距離で軸方向に離れて自由に移動して、チャネルを開いて空気を流すことができる。閉じた位置では、逆止体は環状シートに対して接触し、必然的に空気の流れを止める。シリンダ軸と同心の保持リングは断面台形であり、シリンダヘッドの下側平面にある相補的な台形状の溝内に嵌る。2つのボア27及び28は、空気供給室とシリンダとの間のディバイダ壁を貫通して、点火プラグ及び燃料注入ノズルをそれぞれ収容している。
先願発明の逆止体25はマッシュルーム形であり、円錐状の脚部に取り付けられ、入口ボアに面している半球状の頭部を有する。
さらに、上述したように吸気弁はシリンダヘッド内に設置し、直流掃気システムを達成するために排ガス開口部はシリンダボトム近くに設置する必要がある。概略を図1に示して説明するが、クランクシャフト52が下死点周辺にあるとき、排出開口51はピストン53の上側外縁54の最も下側の位置近くで下側シリンダ壁を通して設置される。好ましくは、排出開口は放射状に溝穴の形状をしているが、図1では特に示していない。
下ストロークの際に上側ピストン外縁がこれらの排出開口を通過するときに、シリンダ内の圧力は空気供給室内の圧力よりも下がるので、吸気弁が開いて、掃気空気がシリンダへと入ることができる。掃気空気は、排出開口を介してシリンダの外へ排ガスを押し出す。一以上のシリンダを有するエンジンでさえも、シリンダの外周の少なくとも50%を掃気に利用できる状態なので、排出開口の高さをとても小さくすることができ従来型の2ストロークエンジンとは異なり、掃気のためにクランクシャフトの角度をほとんど犠牲にすることがない。すなわち、これによってエンジン全体の性能を改良することができる。
上述したように、発明者の先願特許は追加の詳細を提供している。
本願発明
先願発明では、エンジンのシリンダヘッドに複数の弁逆止体が設けられている。先願発明に従って作ったワンシリンダ試験エンジンは、例えば、16個の逆止弁ボディを具える。これらを2つの同心円に並べて設置して、機械的に動かすことはとても複雑かつ高価である。本発明では、真空によって提供したブーストが、サイクル中の最適時間で弁を閉じることを十分に補助できる。
先願発明では、エンジンのシリンダヘッドに複数の弁逆止体が設けられている。先願発明に従って作ったワンシリンダ試験エンジンは、例えば、16個の逆止弁ボディを具える。これらを2つの同心円に並べて設置して、機械的に動かすことはとても複雑かつ高価である。本発明では、真空によって提供したブーストが、サイクル中の最適時間で弁を閉じることを十分に補助できる。
好ましい実施形態では、真空ブーストは先願発明のいくつかの構成要素を修正することによって提供され、追加的に送風機を利用することでも同様に真空状態を作り出すことができる。もちろん、分離されている真空ポンプを追加的に用いることはより高価であるが、送風機の利用に対する実行可能な代替案である。
図4は、先願発明に対する本願発明の変更点を説明する図である。以下に主要部品を記載する。
吸気口フィルタ 6
掃気送風機 4
ベンチュリーノズル 70
ベンチュリーノズルの圧力室 71
ベンチュリーノズルの環状室 72
ベンチュリーノズルのディフューザ 73
圧縮空気の流れを示す、濃い矢印 75
「真空(vacuum)」の流れ方向を示す、薄い矢印 76
真空ダクト 77
空気供給ダクト 78
スイッチ弁 8
ソレノイドコイル 80
電子制御ユニット 81
複数の弁モジュールの一部断面;「交換可能なユニット」 40
カバー蓋 83
真空プレナム 84
空気供給室 3
弁ボア及びシート 1
逆止体 25’
弁ディスク 85
弁シャフト 86
下側及び上側ガイドディスク 87、88
ガイドボア 89
位置決めピン 90
吸気口フィルタ 6
掃気送風機 4
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ベンチュリーノズルの圧力室 71
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逆止体 25’
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弁シャフト 86
下側及び上側ガイドディスク 87、88
ガイドボア 89
位置決めピン 90
吸気口フィルタ6及び掃気送風機4の機能は明らかである。
様々なタイプの送風機、たとえばターボチャージャの高速ラジアルファンを用いることができるが、先願発明で独自に提案したDC電気モータ又は電動系チャネル送風機によって動力を供給できる。その他のオプションとして、標準的な排出駆動ターボチャージャ又はルーツ送風機などがある。
後者は、約100年以上利用されて、利用できるサイズ、信頼性、効率、耐久性及び価格に関して大幅に進歩してきた。さらに、特定の2つの特性において、ルーツ送風機に好適な選択をすることができる:第1に、圧縮比を組み込んではいないが、必要に応じて空気を圧縮できるので、すなわち、エンジン内の抵抗を自動的に調整できる;第2に、簡単な手段、例えばベルトドライブを介してエンジン自体によって動力を供給できる。
濃い矢印75によって圧縮空気用ダクトの流れ方向を説明している。
また、実際には大気圧以下の空気である「真空(vacuum)」用ダクトは、流れ方向を示す薄い矢印76によって説明する。
ベンチュリーノズル70は、簡単に、費用対効果も高く真空状態を作る方法である。圧力室71の後の最も狭い部分において、真空ダクト77が連結している環状室72を特徴としている。
ディフューザ73は、過剰圧力の空気の流れを部分的に再設置して、空気供給ダクト78を介して、複数の弁モジュール40の一部である空気供給室3へ向けて流し続ける。
複数の弁モジュール40は、さらに逆止体25’(先願発明の逆止体25に相当するが、構成が異なる)、弁ボア及びシート1、ガイドボア89、位置決めピン90、真空プレナム84を作るカバー蓋83とを収容している。
図4に示していないが、複数の弁モジュール40は、点火プラグ及び燃料注入ノズル用のねじ式ボア27、28を特色とする。しかしながら、弁モジュールを通らずに、燃料注入器はシリンダの上端側部から燃焼室へ通じるように設置することもできる。
説明のために、図4に逆止体25’を2つの位置で記載しているが、動作中は、所定のシリンダに関連する全ての逆止体は、もちろん、所定の時間に同じ位置にある。2つは閉じた状態で示されており、その他は開いており、掃気段階の間の空気の流れは矢印75によって示されている。図5は単一の逆止体25’を示している。
スイッチ弁8は、これらの位置変更の補助に必要な構成要素である。これは、3方向2位置弁であり、ソレノイドコイル80により作動して、このコイルは電子制御ユニット(ECU)81によって制御される。3方向構造によって、制御可能でプログラム可能な態様で、弁の開口を操作することができる。
本発明によると、好適な逆止体は、弁ディスク85、弁シャフト86及び下側と上側のガイドディスク87と88のような球形部分を有する小さいポペット弁の形状をしており、ガイドディスクは空気式ピストンを動かすときにも対で動作する。ガイドボア89は空気式シリンダとして動作する。弁ディスク85の自己整列効果によって、一対のガイドディスク87、88とガイドボア89との間の隙間はとても大きくなり、空気供給室3と真空プレナム84との間にわずかに空気漏れが生じる。次いで、これによって、ガイドディスク87、88に空気潤滑を提供して、これらの簡単なそして低コスト設計を可能にする。
本発明の操作を以下に述べる:
掃気送風機4は、つねにエンジンと共に稼働し、掃気空気の流れを作り出す。直接的に駆動する場合、この流量はエンジンによって決定される;例えばDCモータなどによって間接的に駆動する場合には、この速度はECU81によって制御される。
ベンチュリーノズル70は環状室72を有し、必要な真空状態を作り出す。
ディフューザ73は、空気の過剰圧力を部分的に元に戻して、ダクト7を介して空気供給室3へ送る。
逆止体25が開くと、掃気空気は矢印75に示すようにシリンダへ流れる。もちろん、一連の事象はECU81によって制御され、特定の事象、パラメータ又は設定点についてはプログラム可能である。従って、例えば、弁の開閉のタイミング及び燃料注入と点火の回数を最適化して出力、燃費、排気を最適化することができる。
球状セグメントのような形状の逆止体25’の弁ディスク85によって、自己整列効果が達成されて、すでに述べた低コスト設計が可能である。シリンダヘッドの完全に滑らかな表面が達成されると同時に、弁が閉じているときに「清浄な(clean)」燃焼室を提供する。
逆止体25’が上側ガイドディスク88に当たるとき、位置決めピン90は逆止体25’の下方向の移動を制限する。逆止体25’の最も高い位置は、必要な堅固な連結を提供している弁シャフト86を用いて弁ディスク85をシート1に据えることによって規定される。
ワンシリンダエンジンには、複数の逆止体25’以外の、上記に挙げた各アイテムが一ずつある。シリンダをX個有するエンジンは、吸気口フィルタ6、送風機4、ベンチュリーノズル70及びECU81を除いて、上記に挙げた各アイテムをX個有する。
さらなる変更が自明であり又は本発明の分野の知識から自明なので、これらの変更はここに記載したクレームによって規定される本発明の範囲内である。
本発明によれば、性能、排出基準、燃料消費率、その他、関連するパラメータに関して、最近の4ストロークエンジンと同等でありながら、従来の2ストロークエンジンの利点である、より小さく、より軽量に、より構造が簡単で、さらに高い費用対効果を維持できる2ストロークエンジンを容易に作ることができる。本発明に従い、先願発明に制御可能でありプログラム可能な弁作動システムを加えて、様々な弁のタイミング及び部分的に選択したシリンダの閉鎖を容易にする。このような弁のタイミングが非常にフレキシブルなエンジンは、負荷状態によって様々に変位させて操作することができ、全体の燃費がさらに改良される。極端に負荷が低い間に、燃料を節約するためには、2ストロークから4ストローク態様の動作へと切りかえることが可能であり、これは、変位が大きい4ストロークエンジンの製造者によって現在開発されている/実装されている個々のシリンダを遮断する方法を超える大きな利点がある。プログラム可能な逆止弁の作動によって、既存のエンジンのフレキシビリティを提供できる。
本発明によって、2ストロークエンジンを、効率、燃費、排気の品質について比較可能な4サイクルエンジンのレベルにすることができ、より小さく、より軽量に、より構造が簡単で、さらに経済的な出力を有することができる。
Claims (7)
- 上端位置と底位置の間で往復運動をするように取り付けられた一本のピストン(53)を具える少なくとも一本のシリンダ(2)を有する2ストローク内燃機関において、前記各シリンダは、当該シリンダ内に空気を前記シリンダの上端部へ送る少なくとも一の吸気弁(1、25’)と、前記ピストンの底位置上方の下側位置に少なくとも一の排出開口(51)を具え;前記ピストンが前記底位置周辺を動くときに、前記各吸気弁を介して空気を前記各シリンダへ押し入れるように設置した送風機(4)を有しており、当該送風機は、前記ピストンが上方へ移動する間は、十分な圧力を供給せずに、前記各吸気弁を開いた状態にし、前記ピストンが上方へ移動する間に、前記シリンダ内に圧縮が生じて、前記ピストンが下方へ移動する間は、前記下方への移動によって前記各排出開口が覆われなくなると、前記各吸気弁を介して前記各シリンダへ空気を押し入れて、前記各排出開口を介して前記各シリンダの外へ空気を出し;前記吸気弁(1)は制御された空気圧の差によって積極的に動作することを特徴とする2ストローク内燃機関。
- 請求項1に記載の機関において、前記各シリンダに複数の前記吸気弁があることを特徴とする機関。
- 請求項2に記載の機関において、複数の吸気弁が交換可能なユニットに配置されていることを特徴とする機関。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機関において、前記空気圧の差の一部が部分的な真空によるものであることを特徴とする機関。
- 請求項4に記載の機関において、前記部分的な真空が前記送風機に連結しているベンチュリーノズル装置によって作り出されることを特徴とする機関。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機関において、前記空気圧の差が、所望されるシリンダの弁のタイミングによって前記圧力差を動作させるようにソレノイドスイッチ弁(8)を操作する電子制御ユニット(81)によって制御されることを特徴とする機関。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の機関において、前記各吸気弁(25’)は弁シート(1)に対して閉じる弁ディスク(85)、弁シャフト(86)及び下側と上側のガイドディスク(87、88)を具え、当該下側及び上側ガイドディスクはガイドボア(89)の中で稼働して、空気式ピストンを動かすように動作し、前記ガイドボアは、前記送風機からの空気を受ける空気供給室(3)と真空プレナム(84)との間に延在しており、これによって、前記ガイドディスクが、前記真空プレナムと前記空気供給室との間の圧力差に応答して前記弁を動かすことを特徴とする機関。
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