JP2009544277A - 改良型選択プレート培地 - Google Patents
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Abstract
Description
この特許出願は2006年9月13日の国際出願日を有し、2006年5月2日に提出した米国仮特許出願番号60/746,227の優先権を主張するPCT/US2006/035625のCIP出願である。両出願は、出典明示によりその全てを本明細書の一部として組み込む。
1. 本発明の分野
この発明は細菌用の増殖培地の分野に関し、より具体的には、この発明は特定の細菌株または種の検出のための選択プレート培地に関する。特に、本発明はサルモネラ属またはシゲラ属選択プレート培地およびその使用に関係する。
市場には、サルモネラ属(Salmonella spp.)に対して選択的なものとして推奨される様々な市販購入し得るプレート培地が存在する。いくつかのより一般的な選択プレート寒天培地は次のものである:MAC(Mac Conkey)、HE(Hektoen Enteric);SS(サルモネラ・シゲラ)およびXLD(キシロース-リシン-デオキシコリン酸塩)。しかしながら、サルモネラ属およびシゲラ属(Shigella spp.)の増殖を支持できるが、これらの寒天培地は検出されるべきサルモネラ属およびシゲラ属試料由来の一般的によく見られるバックグラウンドの細菌増殖(例えば、シトロバクター属およびプロテウス属)を十分に区別出来ないため、これらの既知の寒天培地は必要とされ得る程度に感受性または特異的ではない。
本発明により、本出願人により見出された選択的な増殖プレート培地は、XLT4寒天培地中に一般的に含有される成分を含んで構成され得るが、高いレベルでの加水分解タンパク質源、酵母抽出物およびさらにαラクトースおよびスクロース、そして新規添加物、すなわち(D+)-セロビオース、サリシンおよびズルシトールを含むように作成され得るが、寒天濃度および塩化ナトリウムの濃度はXLT4寒天培地中に一般的に存在する濃度よりも低いものである。さらに、本発明の選択的な増殖培地は、高濃度のNIAPROOF(登録商標)4(7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩、また7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル 硫酸ナトリウム塩としても知られる)を許容する。これらの化合物は、従来の選択的なプレート培地よりもサルモネラ属およびシゲラ属の増殖および検出のための感受性および特異性を増強し得る十分な濃度で存在する。
図1は、本発明のN4寒天培地を有する2枚のプレートの写真である。十分なサイズの黒色(H2S陽性)サルモネラ属のコロニーは、37℃で24時間(左側プレート)および室温でさらに24時間後(右側プレート)にN4寒天培地で増殖した。
本発明の実施形態を説明する場合、具体的な専門用語は、明白性の目的のために用いられる。しかしながら、本発明は、特定用語に限定することを意図せずに選択され、具体的な用語は同様の目的を達成するために類似した方法で行う全ての技術的等価物を包含すると解されるべきである。例えば、本出願の目的のために、用語"N4寒天培地"または"N4寒天培地(複数)"は、本発明の培地混合物中にNIAPROOF(登録商標)4の存在を示すものであって、かかる用語は、本明細書で開示された寒天培地の様々な配合物を一般的に表示することを助けるために使用され得る。
実施例1
一般的な培地N4寒天培地
本発明の選択的なプレート培地の第一実施態様において、一般的な選択的N4寒天培地は、水1リットルと共に、下記の成分:
a) 約3.0〜約30.0gの酵母抽出物、
b) 約0.0〜10.0gのプロテオースペプトン No.3、
c) 約0.0〜15.0gのプロテオースペプトン、
d) 約0.0〜10gのL-リシン、
e) 約0.0〜約8.0gのキシロース、
f) 約0.0〜約15.0gのαラクトース、
g) 約0.0〜約15.0gのスクロース、
h) 約0.0〜約15.0gの(D+)−セロビオース、
i) 約0.0〜約15.0gのサリシン、
j) 約0.0〜約8.0gのズルシトール、
k) 約0.0〜5.0gの塩化ナトリウム、
l) 約5.0〜8.0gのチオ硫酸ナトリウム、
m) 約0.6〜1.0gのクエン酸第二鉄アンモニウム、
n) 約0.05〜0.2gのフェノールレッド、および
o) 約10.0〜20.0gの寒天、
p) 約4.0〜12.0mlの7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩溶液(NIAPROOF(登録商標)4, Sigma-Aldrich, 製品コード4またはBD-Difco製品コード235310)を混合して作成する。
N4化学組成273
本発明の選択的なプレート培地の別の好ましい実施態様において、選択的N4寒天培地は、水1リットルと共に、下記の成分:
a) 約7.5〜約15.0gの酵母抽出物、
b) 約3.0〜6.0gのプロテオースペプトン No.3
c) 約3.0〜6.0gのプロテオースペプトン、
d) 約4.0〜6.0gのL-リシン、
e) 約2.0〜4.0gのキシロース、
f) 約10.0〜15.0gのαラクトース、
g) 約10.0〜15.0gのスクロース、
h) 約10.0〜15.0gの(D+) -セロビオース、
i) 約4.0〜8.0gのサリシン
j) 約2.0〜約4.0gのズルシトール、
k) 約0.6〜0.9gのクエン酸第二鉄アンモニウム、
l) 約6.0〜7.0gのチオ硫酸ナトリウム、
m) 約0.08〜10.0gのフェノールレッド、
n) 約12.0〜14.0gの寒天、および
o) 約4.0〜8.0mlの7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩溶液(NIAPROOF(登録商標)4, Sigma-Aldrich, 製品コード4 または BD-Difco 製品コード235310)、
を混合して作成する。
本発明の選択的な増殖培地N4寒天培地は、サルモネラ属およびシゲラ属両方のコロニー検出において、先の腸プレート培地技術よりも非常に高い選択性を提供する。
従来技術のXLT4プレート培地と、本発明のN4寒天培地(組成273)との比較により、N4寒天培地が、XLT4寒天培地よりも2倍以上のプロテオースペプトンNo.3、約2〜5倍以上の酵母抽出物、100%よりも少ない塩化ナトリウムを含有することが示される。さらに、XLT4寒天培地には含まないセロビオース、サリシン、ズルシトールおよびプロテオースペプトンは、N4寒天培地および(組成273)中に存在する。
従来のMMプレート培地と本発明のN4寒天培地(組成273)とを比較する場合、本発明の選択的N4寒天培地が、MM寒天培地と比べて2〜5倍以上の酵母抽出物および2〜3倍量のセロビオースを含有することが判る。さらに、MM寒天培地には存在しないサリシンおよびズルシトールは、N4寒天培地(組成273)に存在する。MM寒天培地では含有するが、組成273は塩化ナトリウムを含有しない。
前記したとおり、MM寒天培地はシゲラ属の増殖を支持するが、MM寒天培地の発色(酵素的)コロニーの識別方法は、大腸菌と他の乳酸発酵細菌の青緑色コロニーから臨床学的に重要なシゲラ・ソネイのコロニーを識別することが出来ない。これは、MM寒天培地を用いる臨床医は、病原性のシゲラ・ソネイを、通常重要でない乳酸発酵細菌(例えば、大腸菌)コロニーと識別できないために、これは重要な臨床的問題であり得る。この結果はシゲラ属について偽陰性であって、また試験に関連する臨床的誤診である。この例は、図8の写真に示されており、ここでMM寒天培地により被覆されたプレートはプレート上でのシゲラ・ソネイのコロニー増殖を有することを示される。
Claims (20)
- タンパク質源、
シトロバクター属が該タンパク質源を利用することを回避するために有効量の1以上の炭水化物源、および
7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩、
を含む、
サルモネラ属に対して選択的な非発色性増殖培地。 - 酵母抽出物、
タンパク質源、
シトロバクター属が該タンパク質源を利用することを回避するために有効量の1以上の炭水化物源、および
7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩、
を含む、
サルモネラ属またはシゲラ属に対して選択的な非発色性増殖培地。 - 炭水化物源が、ラクトース、セロビオース、サリシン、ズルシトールおよびスクロースを含む、請求項1および2の非発色性増殖培地。
- 炭水化物源が、全体で約18-65g/Lの量で存在する、請求項1および2の非発色性増殖培地。
- サルモネラ属またはシゲラ属により、利用される少なくとも1つのさらなる炭水化物をさらに含む、請求項3記載の非発色性増殖培地。
- サルモネラ属またはシゲラ属により、利用される少なくとも1つのさらなる炭水化物がキシロースである、請求項5記載の非発色性増殖培地。
- キシロースが約2.0〜4.0g/Lの量で存在し、ズルシトールが約2.0〜4.0g/Lの量で存在する、請求項6記載の非発色性増殖培地。
- 酵母、
タンパク質源、
シトロバクター属が該タンパク質源を利用することを回避するために有効量の1以上の炭水化物源、および
7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩、
を含む、
塩化ナトリウムを含まない、サルモネラ属またはシゲラ属に対して選択的な非発色性増殖培地。 - 炭水化物源が、ラクトース、セロビオース、サリシン、ズルシトールおよびスクロースを含む、請求項8記載の非発色性増殖培地。
- 全ての炭水化物源からの全炭水化物が約30-80g/Lの量で存在する、請求項8記載の非発色性増殖培地。
- サルモネラ属またはシゲラ属により、利用される少なくとも1つのさらなる炭水化物をさらに含む、請求項9記載の非発色性増殖培地。
- 水1リットルあたり、
a) 約3.0〜約30.0gの酵母抽出物、
b) 約0.0〜10.0gのプロテオースペプトン No. 3、
c) 約0.0〜15.0gのプロテオースペプトン、
d) 約0.0〜10gのL-リシン、
e) 約0.0〜約8.0gのキシロース、
f) 約0.0〜約15.0gのαラクトース、
g) 約0.0〜約15.0gのスクロース、
h) 約0.0〜約15.0gの(D+)−セロビオース、
i) 約0.0〜約15.0gのサリシン、
j) 約0.0〜約8.0gのズルシトール、
k) 約0.0〜5.0gの塩化ナトリウム、
l) 約5.0〜8.0gのチオ硫酸ナトリウム、
m) 約0.6〜1.0gのクエン酸第二鉄アンモニウム、
n) 約0.05〜0.2gのフェノールレッド、および
o) 約10.0〜20.0gの寒天、
p) 約4.0〜12.0mlの7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩溶液、
を含む、
サルモネラ属またはシゲラ属に対して選択的な非発色性増殖培地。 - 塩化ナトリウムを含まない、請求項12記載の非発色性増殖培地。
- 酵母抽出物が約7〜23gの量で存在する、請求項13記載の非発色性増殖培地。
- 水1リットルに対して、
a) 約7.5〜約15.0gの酵母抽出物、
b) 約3.0〜6.0gのプロテオースペプトン No.3
c) 約3.0〜6.0gのプロテオースペプトン、
d) 約4.0〜6.0gのL-リシン、
e) 約2.0〜4.0gのキシロース、
f) 約10.0〜15.0gのαラクトース、
g) 約10.0〜15.0gのスクロース、
h) 約10.0〜15.0gの(D+)-セロビオース、
i) 約4.0〜8.0gのサリシン
j) 約2.0〜約4.0gのズルシトール、
k) 約0.6〜0.9gのクエン酸第二鉄アンモニウム、
l) 約6.0〜7.0gのチオ硫酸ナトリウム、
m) 約0.08〜10.0gのフェノールレッド、
n) 約12.0〜14.0gの寒天、および
o) 約4.0〜12.0mlの7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノール硫酸水素塩溶液、
を含む、
塩を含まないサルモネラ属またはシゲラ属に対して選択的な非発色性増殖培地。 - サンプルの代表的部分を用いて請求項1および15のいずれかに記載の培地に直接画線塗抹すること、
該画線塗抹培地をサルモネラ属の増殖を促す条件下でインキュベートすること、および
該培地を、該インキュベーション後にサルモネラ属コロニーについて検査すること、
を含む、
サンプル中に存在している疑いのあるサルモネラ属を選択的に増殖させる方法。 - サンプルの代表的部分を用いて請求項2および14のいずれかに記載の培地に直接画線塗抹すること、
該画線塗抹培地をシゲラ属の増殖を促す条件下でインキュベートすること、および
該培地を、該インキュベーション後にシゲラ属のコロニーについて検査すること、
を含む、
サンプル中に存在している疑いのあるシゲラ属を選択的に増殖させる方法。 - 下記の工程;
1) ヒト臨床的使用のための物品または装置からサンプルを得ること、
2) 該サンプルの代表的部分を用いて請求項1および10のいずれかに記載の培地に画線塗抹すること、
3) 該画線塗抹培地をサルモネラ属およびシゲラ属の増殖を促す条件下でインキュベートすること、および
4) 該培地を、該インキュベーション後にサルモネラ属およびシゲラ属のコロニーについて検査すること、
を含む、
ヒト臨床的使用のための物品または装置上のサルモネラ属およびシゲラ属の存在を評価するための方法。 - 下記の工程;
1) 臨床診断、品質コントロールまたは疫学的試験のために、ヒトまたは動物対象、食料/飼料または水からのサンプルを得ること、
2) 該サンプルの代表的部分を用いて、請求項1-5のいずれかに記載の培地に画線塗抹すること、
3) 該画線塗抹培地を、サルモネラ属およびシゲラ属の増殖を促す条件下でインキュベートすること、および
4) 該培地を、サルモネラ属およびシゲラ属のコロニーについて該インキュベーション後に検査すること、
を含む、
ヒトまたは動物対象、食料/飼料または水から回収された物品内または物品上のサルモネラ属およびシゲラ属の存在を評価するための方法。 - 工程1)においてサンプルを得た後に、
該サンプルを、前増菌培地および/または選択増菌培地に入れ、該サンプルを十分な量のサルモネラ属またはシゲラ属が増殖するまでの時間インキュベートすること、
その後に、工程2)に進めること、
をさらに含む、
請求項17-18いずれかに記載の方法。
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