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JP2009542356A - 電気刺激療法を用いた摂食障害の治療 - Google Patents

電気刺激療法を用いた摂食障害の治療 Download PDF

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Abstract

【課題】食物消費に影響を及ぼす感覚を調節することにより、たとえば肥満および/または肥満の原因となる病状などの摂食障害に苦しむ患者を治療するための装置および方法に関する。
【解決手段】上記装置および方法は、空腹感および満腹感を取り扱うために、種々の空腹感が検出された場合に胃腸管および/または胃腸管神経に信号を送ることによって空腹を制御することのように、胃腸(GI)管および/または胃腸管に分布する神経における信号をシミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび/または調節することにより、適切なカロリー摂取を容易にするため、体重減少を引き起こしうる。
【選択図】図1

Description

本願発明が関係するのは、治療目的で電気刺激(電気インパルス)を体の各組織へ供給する分野であり、より具体的には、肥満および/または肥満の原因となる病状のような、1つもしくは複数の摂食障害に苦しむ患者を治療する装置および方法である。
病状を治療するために電気刺激を用いることは、ほぼ2000年の間、技術的によく知られている。ローマの医師が頭痛および痛風と関連する痛みを治療するために電気ウナギを使用してきたことが報告されている。1760年に、ジョン・ウェズレー(John Wesley)は、原始的な初歩的電気装置であるライデン瓶を、麻痺、痙攣、発作、頭痛、狭心症、および坐骨神経痛で苦しむ患者に電気ショックを与えようと思い、治療目的に応用した。
1791年にようやく、ルイジ・ガルバーニ(Luigi Galvani)が、電気の筋肉および神経への影響に関するしっかりとした研究を、科学的に厳密におこなった。1793年には、アレッサンドロ・ボルタ(Alessandro Volta)が、運動神経および運動神経によって刺激された筋肉の近くに帯電した金属が置かれると、筋収縮が起こってしまう可能性があることを報告し、この研究をさらに進めた。
筋肉と神経との関係についてのこの基本的理解の、最も成功した現代の応用例の1つは、心臓ペースメーカである。ペースメーカのルーツは1800年代に遡るが、1950年になって初めて、外部取り付け型でかさばったものではあったが、最初の実用的なペースメーカが開発された。ルーン・エルクヴィスト(Rune Elqvist)博士が1957年に、真に機能的で着用可能な最初のペースメーカを開発した。そのすぐ後の1960年に、最初の完全に埋め込み型のペースメーカが開発された。
この頃、電気リードが静脈を通して心臓に接続できることも発見され、これによって、胸腔を開いて心臓壁にリードを接続する必要がなくなった。1975年にはリチウムヨウ素電池が導入されて、ペースメーカの電池寿命が数か月から10年以上へと延びた。現代のペースメーカは、心筋における異なる兆候を示す様々な病状を治療でき、また、心臓の細動除去器としての役割を果たすこともできる(その開示が参照によって本明細書に援用される、デノ(Deno)らの発明になる米国特許第6738667号を参照)。
神経の電気刺激の他の応用としては、仙骨神経根を脊髄底部において刺激することにより、足下部の放散痛を治療するものがある(その開示が参照によって本明細書に援用される、ホワイトハースト(Whitehurst)らの発明になる米国特許第6871099号を参照)。
「コード化された神経信号を用いて血圧を調節する、埋め込み可能な方法」という題名の付けられた、シューラー(Sculer)らの発明になる、さらなる応用例が、米国特許第6957106号(以下‘106号と略す)に開示されているが、その開示のすべては参照によって本明細書に援用される。その‘106号特許には、「心臓血管の血圧を調節するための電気的作用は、迷走神経の束を経由して延髄橋野(medullopontine)から現れる」ということが記載されている。それゆえ、迷走神経束の電気的作用に影響を及ぼせば、血圧の調節にも影響を及ぼしうるため、迷走神経は電気刺激研究のさらなる対象となっている。
ヒトもしくは動物の体の生命維持制御の大部分は、延髄から出る迷走神経(つまり第X脳神経)を経由して行われる。2つの迷走神経を、髄質もしくは頸部のレベルで麻痺もしくは切断させると、直ちに死に至る。迷走神経は、実際には救心性神経および遠心性神経の長い束であり、体内を巡り胃を含むほとんどの器官にまで達している。迷走神経は髄質の両側から出て、異なる経路をとりつつ同じ標的器官にまで達している。たとえば、左迷走神経は、胃の前上方表面に神経を分布させる。
胃に分布する神経は、左右の迷走神経の末梢枝であり、右迷走神経は背部上に分布し、左迷走神経は胃の前部に分布する。交感神経の腹腔神経叢からの非常に多くの枝も、胃に分布する。神経叢は、腸のように粘膜固有層および筋層の層間に見られる。これらの神経叢から、小線維は筋組織および粘膜に分布する。
胃は、胃腸管の最も拡張した部分であり、食道の終端と小腸の始端との間に位置している。胃は、2つの開口部、2つの縁もしくは湾曲、および2つの表面を呈する。胃が収縮状態にある場合、胃の表面はそれぞれ上方および下方へ向けられるが、内臓が膨張した場合、表面はそれぞれ前方および後方へ向けられる。したがって、胃の2つの表面は、前上方および後下方といわれてもよい。
前上方表面のうち、左半分は横隔膜と接触しているが、横隔膜は胃の左半分を左肺の底部、心膜、ならびに第7,第8、および第9肋骨、ならびに左側の肋間腔から分離する。右半分は、肝臓の左葉および方形葉、ならびに腹部前壁と関係がある。胃が空の場合、横行結腸は胃表面の前部に横たわることがある。胃の全表面は、腹膜で覆われている。
後下方表面は、横隔膜、脾臓、左腎上体、左腎前面の上部、膵臓の前面、左結腸曲、および横行結腸間膜の上層と関係がある。これらの構造は、浅床および胃床を形成し、その上で内臓が休息する。横行結腸間膜は、胃を十二指腸空腸曲および小腸から分離する。後下方表面は、噴門に近い小さな領域上を除き、腹膜により覆われている。この領域は、胃横隔間膜の付着線によって制限され、横隔膜と並列に位置し、左腎上体の上部とともに位置することが多い。
図3Aに図示された胃の構成部分に関し、小弯上にある角切痕および大弯上にある対向した拡張の左端を通る面は、胃を左部分すなわち胃体と右部分すなわち幽門部に分ける。胃体の左部分は、胃底として知られ、噴門を水平に通る面によって胃体の残りの部分から区別される。幽門部は、結節間溝を垂直に通ってこの部分の長軸に至る面によって分割される。つまり、この面の右側にある部分は、幽門洞である。
生理学的には、胃は、食物消費、つまり過体重状態および肥満につながる体重増加の玄関口としての機能を果たす。多くの人々には、食べたい、ひいては暴食したいという飽くことなき願望があるが、その願望は過体重状態および時として肥満につながる。人はボディー・マス・インデックス(BMI)の値が25以上になると過体重であると見なされる。BMIは、過体重であることを決定するための計測手段である。人のBMI値は、キログラムで表示した体重の、メートルで表示した身長の2乗に対する比率である(すなわち、kg/m)。BMI値が30以上の人は肥満と見なされるが、BMI値が40以上の人は重度の肥満と見なされる。
2002年現在、過体重状態および肥満は、合衆国だけでも1億2700万人以上の成人および900万人以上の子供に、世界中では数億人に影響を及ぼしていると推定された。合衆国における約1億2700万人の過体重の成人のうち、約6000万人が肥満と見なされており、それら6000万人のうち900万人が重度の肥満と見なされている。パーセンテージで言えば、それは合衆国の成人のうち64.5%が過体重であり、30.5%が肥満であり、4.7%が重度の肥満であることを意味する。
疾病対策センター(CDC)は肥満および過体重状態に言及し、疫病と化す慢性状態であるとしている。過体重になれば、そして肥満になればさらに、多くの健康状態が冒され病気になる危険性が増大する。そのような病気には、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、脳梗塞、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸、呼吸器疾患、およびある種の癌(子宮内膜癌、乳癌、および結腸癌)がある。過体重状態および肥満の患者数を減らすための多くの試みがなされているが、データが示すのは、過体重や肥満になる大人と子供の数は増加しているということである。
過体重状態および肥満は、政府および医療の支出額も増加させている。2003年にCDCは、納税者が肥満関連の医療費に390億ドルを支払ったという結論を出したが、これはその年の肥満関連の医療費である750億ドルの半分以上をまかなう額である。この額は、メディケア(高齢者向け医療保険制度)およびメディケイド(医療扶助)を介して肥満関連の疾患を治療するためのものである。肥満関連の支出額は、合衆国における医療費の総額の約10%を占める。カリフォルニア州だけでも、肥満関連の医療に毎年ほぼ77億ドルを費やしている。
肥満に関して言えば、食べたもので体が決まる、という格言は当てはまる。食物を消費すると体にエネルギーが供給されるが、そのエネルギーが測定され、称されるのは、カロリーである。カロリーは体が機能するために必要である。体の新陳代謝により、カロリーが身体活動のための燃料に変換される。カロリー消費に関連した身体活動のレベルに応じて、カロリーは即時利用のための燃料として代謝されるか、もしくは将来使用するための脂肪として蓄積される。即時利用のための燃料が体から欠乏すると、食欲ホルモンの放出により、人は空腹感を覚え、その結果食べ物を食べてしまう可能性がある。食べ物を食べると、今度は満腹感を誘引するホルモンが放出されることにより、人は食べるのを止めると考えられる。
満腹感、つまりお腹がいっぱいであるという感覚、および食後に食欲が無くなることは、「満腹中枢」として知られる視床下部の腹内側核が介在するプロセスである。様々なホルモン、何よりもまずコレシストキニンは、満腹感を脳に伝達することと関係があるとされている。レプチンは満腹時に増加するが、グレリンは胃が空のときに増加する。したがって、満腹感とは、むさぼり食ったという身体的な感覚、つまり非常に多くの食べ物を食べた後の身体的な充足感というよりは、食後の満足感という心理的な感覚をいう。満腹感は、辺縁系で生産される食欲、および神経ホルモン、とりわけ外側視床下部のセロトニンにより制御される空腹感に直接影響を与える。人は満腹感により食べるのを止めるのが望ましい。
レプチンは、他のホルモンと共に、食欲および代謝を制御するために体により使われる。より具体的には、レプチンは16kDaのタンパク質ホルモンであり、エネルギー摂取およびエネルギー消費において重要な役割を果たす。レプチンは、ヒトの7番染色体に位置するOb(Lep)遺伝子の発現により、脂肪組織により(つまりレプチンは脂肪細胞から放出される)生産される。脂肪組織は含脂肪細胞で構成される疎性結合組織であり、脂肪組織の主要な役割はエネルギーを脂肪の形で貯蔵することであるが、脂肪組織は体への衝撃を和らげ、体を防護し、またレプチン、レジスチン、およびTNFαのようなホルモンの生産において、重要な内分泌の機能を果たす。
レプチンは6種類のレセプター(LepRa〜LepRf)と相互作用する。LepRbは、活性のある細胞内シグナル伝達ドメインを含む唯一のレセプターアイソフォームであり、視床下部核の多くに存在し、LepRbは視床下部核で影響を及ぼす。重要なことに、レプチンは視床下部の内側腹側核、つまり上述の「満腹中枢」に結合する。レプチンがこの内側腹側核に結合すると、体には十分な食べ物がある、つまり満腹感という信号が脳に送られる。ヒトの非常に小さなグループ(大部分が近交系の集団から生じたものである)は、レプチン遺伝子の突然変異体である。これらの人々はほぼ絶え間なく食べるため、7歳までに100ポンド(45kg)以上太りすぎることがある。
レプチンは、ニューロペプチドY(NPY)およびアグーチ関連ペプチド(AgRP)を含むニューロンの活性を抑制すること、および色素細胞刺激ホルモン(α−MSH)を発現するニューロンの活性を増大させることにより機能する。NPYニューロンは、食欲の制御における主要な要素である。つまり、実験動物の脳への注射によるNPYの少量の投与により、摂食行動が促進されるが、マウスのNPY神経を選択的に破壊すると、マウスは拒食症になってしまう。反対に、α−MSHは満腹感の重要な伝達物質であり、レセプターの遺伝子内の差異のうちα−MSHが脳で作用する部分は、ヒトにおいて肥満と関連している。レプチンはまた、夜の間はメラトニンにより(下方に)制御される。
レプチンがいったんOb−Rbレセプターに結合すると、レプチンはstat3分子を活性化するが、stat3分子はリン酸化され、内側腹側核まで移動し、遺伝子の発現の変化に影響を与えると推測されている。それらの他の多くの機能のうち、遺伝子の発現に対する主な影響の1つが内在性カンナビノイドの発現の下方調節であり、これは食欲の増大の原因となる。レプチンにより活性化される他の細胞内経路があるが、それらがこの系でどう機能するかについてはほとんど知られていない。レプチンに反応して、レセプター神経細胞は自らを再構築することが示されているが、この場合、これらの神経細胞に発火する(fire)シナプスの数および種類を変える。
レプチンは、脂肪細胞により、体全体の体脂肪の蓄積量を反映した量が放出される。したがって、レプチンのレベルを循環させることにより、食欲および代謝を調節することを目的として、脳はエネルギー蓄積の指標を得る。一般にレプチンは食欲を低下させる循環信号であるが、レプチンの生産量は体重の増加とともに増大するため、肥満の人々はレプチンの血中濃度が著しく高い。レプチンのレベルの増大は、体に食物の摂取を減少させる信号の増加をもたらすと考えられる。しかしながら、過体重および肥満の人々は、レプチンにより送られ、過剰な食料の消費の原因となる信号に、耐性を有するようである。
肥満の人々の中には、レプチンの効力に耐性がある人もいると言われているが、これは2型糖尿病の人々がインスリンの効力に耐性があるのとほぼ同様である。一般的に、使用する以上のエネルギーを長期にわたり人々が摂取した場合に、肥満は進行する。レプチン耐性の肥満の人々においては、この過剰な食物摂取は、空腹信号により促進されるわけではなく、循環するレプチンからの抗食欲信号が存在しても起こる。増大した脂肪蓄積から生じるレプチンの高い持続濃度により、レプチンに反応する細胞が鈍化する。
過剰なカロリー摂取により、過度のエネルギー不均衡が生じるが、その場合のカロリー消費では、身体活動によるように、カロリーを摂取に比例して使用しているわけではない。過度のエネルギー不均衡を長期にわたって繰り返すことは、最終的に過体重状態および肥満を引き起こす原因となる。ある個人にとって、このエネルギー不均衡の動態に影響を及ぼす因子はたくさんあるが、その中にはその人の遺伝的特徴、環境、食べ物の選択、身体活動の選択、病気および薬剤の使用が含まれる。悲劇的なことに、過体重および肥満の人々の多くは、自らの問題に気づきながらも、自分ではなすすべのない問題であると信じている。
体重の増加を抑え、体重の減少を促進することを目的として、食欲を抑制し、身体活動を増大させようとする数多くの試みがなされてきた。それらの試みの中には、食欲抑制のための薬剤、ダイエット計画、危険な外科手術、および催眠術が含まれる。これらの体重制御方法の多くは初期成果を示しはしてきたが、体重の減少がいったん停滞期に入るとその人は以前の行動に戻ってしまうことが多く、その結果体重が増加してしまう。
数多くの電気装置およびプロセスが技術的に知られているが、それらは個人の食物の摂取および/または消化過程の様々な局面を制御しようとするものであり、またその制御の目的は摂食障害および消化系障害を治療することにある。先行技術文献には、食物の動きに焦点を当てたものもある。チェンらが米国特許第5690691号において開示するのは、胃−腸管に埋め込み可能な胃のペースメーカであり、これによりペース蠕動(pace peristalsis)に段階的な電気刺激を供給し、胃管を通じて蠕動運動を増進もしくは促進し、または摂食障害もしくは下痢のような病状を治療するために蠕動運動を弱める。同様に、テリージュニア(Terry, Jr.)らが米国特許第5540730号において開示するのは、運動性障害を治療する装置および方法である。これらは患者の迷走神経を選択的に刺激することにより、迷走神経の電気活動を調節し、またそれによって神経伝達物質もしくは抑制性伝達物質の選択的な放出もしくは抑制を引き起こすものである。ある実施態様が用いるのは、選択的な調節のために、埋め込まれた装置を手動もしくは自動で起動することである。同様に、シゲーナ(Cigaina)が米国特許第5423872号において開示するのは、肥満および胃の運動障害に関連した症候群を治療するためのプロセスおよび装置である。これらは電気刺激を与えて排出を防いだり、食物の輸送の速度を遅くすることにより、患者の自然の胃運動性を変化させることによるものである。
チェンの発明になる米国特許出願第2005/0222637号は、参照によって本明細書に援用され、胃の頻脈の(tachygastrial)電気刺激という題名であるが、以下のような肥満の治療法を開示する。つまり、「電気刺激によってあらかじめ決められた時間、患者の自然の胃運動性を人工的に変化させることにより、胃を通して胃通過の排出の阻止もしくは胃通過の抑制をし、満腹感を増大および/または腸管輸送を促進し、腸管内の吸収時間を減少させることによる肥満の治療法である。より具体的には、電気刺激は胃の頻脈(tachygastria)を誘発するが、これは胃運動性を阻害し、胃膨満を引き起こし、そして胃内容排出を遅らせる。胃もしくは胃腸管の他の部分の胃の頻脈の(tachygastrial)電気刺激には、500ミリ秒以下のパルス長とともに、比較的長いパルス幅が含まれる。」
他の先行技術文献が注目するのは、食物消費の感覚的な側面である。ジクリア(Zikria)が米国特許第6564101号において開示するシステムは、患者の食欲を電気信号制御装置を用いて制御するものである。この制御装置は、電気信号を患者の胃底に送り、その制御装置は胃底において、それぞれの個人に特異的な生理機能、生体構造、および/または心理状態により決定された、可変の周波数を有する実質的に連続的な低電圧刺激を生み出す。
ウェルニッケ(Wernicke)らの発明である米国特許第5188104号(以下‘104号と略す)は、参照によって本明細書に援用されるが、迷走神経の電気刺激を用いて強迫性摂食障害の患者を治療する方法および装置を開示する。‘104号特許が提示するのは、「興味のある特定の摂食障害の治療に対する切迫した必要性を示す、事前に選択された出来事を検出すること、およびあらかじめ選択された出来事の発生が検出された場合に、関心のある摂食障害の影響を和らげるのに適した、あらかじめ決定された刺激信号を患者の迷走神経に印加することによってそれに反応すること」である。
‘104特許が示すのは、強迫観念に駆られた過食の場合、「刺激信号は、患者に満腹感を生み出すようにあらかじめ決められる」。一方、もし「病気が強迫観念に駆られた拒食の場合(神経性無食欲症)、刺激信号は、患者に空腹感を生み出しもしくは患者の満腹感を抑えるようにあらかじめ決められる」。
‘104特許において、あらかじめ選択された出来事は、たとえば「規定時間内における患者による規定レベルの食料消費、もしくは患者の概日周期に従った習慣的な食事時間の開始、もしくはあらかじめ決められた一連の時間間隔のそれぞれの経過、もしくは迷走神経への刺激信号の印加を自発的に開始することによる患者自身の治療の必要性の認識」であってもよい。‘104特許が示唆するのは、あらかじめ選択された出来事の発生を、「あらかじめ決められた時間間隔内における患者による食物の摂取の数を合計することにより」検出することである。
しかしながら、肥満に関連した摂食障害の効果的な治療には、上記装置はいずれも十分ではない。したがって、過度の食物消費の原因となる肥満を仲介するものを治療するための、新しい製品および方法が技術的に必要とされている。
米国特許第6738667号 米国特許第6871099号 米国特許第6957106号 米国特許第5690691号 米国特許第5540730号 米国特許第5423872号 米国特許出願第2005/0222637号 米国特許第6564101号 米国特許第5188104号
本願発明が関係するのは、肥満および/または肥満の原因となる病状のような1つ以上の摂食障害に苦しむ患者に対する治療として、食物消費に影響を及ぼす感覚を調節するための、電気信号を利用する製品および方法である。その電気信号は、胃腸管および/または胃腸管神経に対し、満腹感および/または空腹感に関連した神経信号を一時的に刺激、増幅、ブロックおよび/または調節するために印加されてもよい。本願発明は、肥満の原因となる病状の治療を含むが、甲状腺の病変を患った患者、および投薬もしくはクッシング病の副作用に苦しむ患者におけるような、一般的な肥満および深刻な肥満の両方が含まれる。この肥満の治療は他の病状に対する治療を伴いうるが、それらの病状としては、たとえば体重増加の状況でも起こりうるうつ病がある。
第1の実施形態において、本願発明が意図するのは、食物消費に影響を及ぼす感覚を調整し、および/または摂食障害、主に肥満および/または肥満の原因となる病状を、電気信号検出/供給(ESDD)装置を用いて治療するための方法である。ESDD装置は患者が生成した食物消費に関連した信号を検出し、患者が生成した信号をモデル化し、1つ以上の電気刺激を、胃腸管および/または胃腸管に分布する神経の少なくとも1つの選択された領域に供給することにより、満腹感および/または空腹感に関連した信号を、刺激、増幅、ブロック、および/または調節する。本方法はまた、ESDD装置をプログラミングし、特定のセンサー機能およびシグナル伝達機能を実行することを含んでいてもよい。
第2の実施形態において、本願発明が意図するのは、満腹感および/または空腹感のような、食物消費に影響を及ぼす感覚を調節するための電気信号検出/供給装置である。本装置が含んでいてもよいものは、食物消費に関連して患者の生成した信号(PGS)を検出しうるセンサと、患者の生成した信号をモデル化、刺激、増幅、および/またはブロックしうる制御ユニットと、1つもしくは複数の電気刺激を胃腸管および/または胃腸管に分布する神経の少なくとも1つの選択された領域に供給する電気刺激発生器と、PGSを検出し、および/または電気刺激を供給することにより、食物消費に関連したPGSの刺激、増幅、ブロック、および/または調節を行うための電極および/またはリードと、電力供給装置とである。ESDD装置はまた、受信部、もしくは任意に送受信部を備え、プログラミングユニットと制御ユニットの間で、情報、設定、データなどの伝達をおこなってもよい。
別の好ましい実施形態では、患者が生成した空腹感信号をブロックし、および/または患者が生成した満腹感信号を刺激もしくは増幅する方法で、刺激が印加される。その際、患者が生成した満腹感信号のシミュレーションには、特定の感覚に関連した患者自身の信号を実質的にコピーし、適切な場合もしくは望ましい場合にそれらの信号を患者にフィードバックすることが含まれる。そのようなシミュレーションは、信号が必要とされる場合もしくは望ましい場合に信号が存在しなければ、既存の信号を増幅すること、もしくは信号を供給することを含んでいてもよい。そのような刺激の活性化は、実施形態によっては、自動的にもしくは手動で、肥満に苦しむ患者、または医師、看護師、もしくは主介護者などの患者の健康管理係によって指示されてもよいということは理解されるべきである。
本願発明が主に関連するのは食物消費の減少を通じて体重減少を引き起こすことによる肥満の治療であるが、本願発明は、食物摂取の増大を通じた体重増加が望まれる拒食症の深刻な症状にも適用される。体重増加が望まれる症状においては、患者が生成した空腹感信号をシミュレートもしくは増幅するような方法で、および/または患者が生成した満腹感信号をブロックするような方法で、刺激が印加されてもよい。
患者が生成した信号は、胃腸管および/または胃腸管に分布する神経の位置にリードを置くことにより検出されてもよいし、また刺激が印加されてもよい。そのような神経には、胃の底領域の神経のような空腹感および満腹感を伝達する神経や、左右の迷走神経の末梢枝、および交感神経の腹腔神経叢からの枝などがある。信号により影響を受けるより多くの、もしくはより少ない組織を含むように、それぞれ近位もしくは遠位にリードが配置されてもよい。刺激を標的とする領域に印加するために、先行技術に示されるようなリードのない刺激も用いられてもよいことも理解されるであろう。
適切な刺激を胃腸(GI)管および/または胃腸管神経の選択された領域に印加する機構には、1つもしくは複数の電気リードの遠位端部を、空腹感および満腹感を制御する神経組織の近くに配置することを含めることができる。それらのリードは、埋め込み型もしくは外部取付け型の電気刺激発生装置に接続される。上記リードの遠位端で生成された電場は、標的とする神経線維に浸透し、対象組織に対する信号の刺激(stimulating)、ブロックおよび/または調整をもたらすといった効力を有する場を作り出す。
胃腸管もしくは胃腸管神経のいずれかへ電気刺激を印加し、満腹感もしくは空腹感を刺激、ブロック、および/または調節することに関しては、添付の図面を参照して以下の詳細な説明において、およびここに添付の特許請求の範囲において、より完全に説明される。
他の態様や、特徴、利点などは、添付の図面と共に本明細書の記述を読めば、当業者には明白であろう。
本願発明の種々の態様を例証する目的で、図面には現時点で好適な形態が示されるが、しかしながら本発明は、示されたまさにそのデータ、方法論、配置や手段によって、またはそれらに限定されるものではないことは理解されるべきである。
交感神経系および副交感神経系の線図である。 頸部、胸部および腹部の選択された部分の解剖学的断面図である。 胃および胃の各部の簡略面である。 図1および2に示される迷走神経に近接して取り付けられた例示的な電気信号検出/供給装置を備えた胃の簡略面である。 本願発明の実施形態に従って、胃腸管および/または胃腸管に分布する神経の一部もしくは複数の部分に印加された刺激(impulse)を、刺激(stimulating)、ブロックおよび/または調整した場合の電圧と電流の例示的な曲線である。 本願発明に従って使用される例示的な銅複合体マイクロコイルである。 本願発明に従って使用される例示的な銅複合体マイクロコイルの拡大図である。 本願発明の実施形態に係る例示的な実行のフローチャートである。
本願発明を説明する目的で、図面には好ましい形態が示されているが、本願発明はここに示されたまさにその配置もしくは手段に限定されるものではないことは理解されるべきである。
図1においては、交感神経系および副交感神経系の線図が示されている。興味深いことに、神経系は交感神経および副交感神経により伝達された信号のバランスを維持する、ということが文献では観察されている。交感神経から、腹腔神経叢は胃に神経を分布する(左から伸びることが示されている)。副交感神経(第III脳神経、第VII脳神経、第VIII脳神経、第IX脳神経、第X脳神経、および骨盤神経がここでは示されている)から、迷走神経(つまり第X脳神経)は胃に向かって下方へ伸びることが図示されている。また、迷走神経が、心臓、喉頭、気管、気管支、食道、腹部の血液、肝臓と肝管、膵臓、小腸、および大腸に向かって伸びることも示されている。
図2においては、頸部、胸郭、および腹部領域の選択された部分の解剖学的な断面図により、迷走神経がより詳細に描写されている。迷走神経は、運動線維および知覚線維からなる。迷走神経は、頭蓋を出て、副神経とともに硬膜の同じ鞘に包含される。迷走神経は、頸動脈鞘を通って頸部を降り、首根まで到達する。胃の副交感神経支配には、迷走神経が介在する。迷走神経の分配された(distribution)枝には、とりわけ、上心臓枝、下心臓枝、前気管支枝および後気管支枝が含まれる。
右側では、迷走神経は気管の傍を通って肺根の後部まで降り、下心臓枝および後肺神経叢において広がっている。右迷走神経は洞房結節において分布する。副交感神経の過刺激は、徐脈性不整脈の影響を受けた人を病気にかかりやすくさせる。左側では、迷走神経は胸部に入り、大動脈弓の左側を横断して上心臓枝を形成し、左肺根の後ろを下り、後肺神経叢を形成する。左迷走神経は、超刺激された場合、心臓を房室(AV)ブロックになりやすくする。
哺乳動物では、迷走神経の2つの構成要素が脳幹中で発達して、周辺の副交感神経の機能を制御している。背側運動核(DMNX)およびその接続から構成される迷走神経背側複合体(DVC)は、横隔膜よりも下にある副交感神経の機能を制御する。一方、疑核および顔面神経核後核で構成される迷走神経腹側複合体(VVC)は、頸部および上胸にある他の腺や組織、ならびに食道複合体の筋肉などの特殊化した筋肉とともに、横隔膜より上部にある心臓、胸腺、および肺などの器官の機能を制御する。
迷走神経の副交感神経部分は、標的器官のそれぞれの中もしくはそれぞれに隣接して存在する神経節ニューロンを刺激する。上記VVCは哺乳動物にのみ見られ、心拍数、気管支収縮、発声および感情状態に関連した顔の筋肉の収縮などの、正および負の調節に関係している。一般的には、迷走神経のこの部分は、副交感性緊張を調節する。筋緊張(残存する筋肉の緊張)は、持続的で消極的な、筋肉の部分的な収縮である。このVVC抑制は、覚醒状態で解放される(オフにされる)。
副交感神経性緊張は、交感神経支配によって平衡を保たれている側面がある。一般的には、たとえば心臓や肺の場合、心筋を伸張し、気管支の筋肉を弛緩させる傾向を有する信号を供給して、それぞれ(心筋の)過収縮および(気管支の筋肉の)過収縮が起こらないようにしている。迷走神経を刺激すると(緊張の上方調節)、たとえばショック時に起こりうるように、たとえば心臓および肺の場合では、心拍数の減少および気道狭窄が起こる。
このような状況においては、上方調節は特異的効果を増大するプロセスであるが、下方調節は特異的効果の減少を伴う。細胞レベルでは、上方調節は細胞が特定のホルモンまたは神経伝達物質に対するレセプターの数を増加させ、この分子に対する感受性を改善するプロセスである。レセプターの減少は、下方調節と呼ばれている。
本願発明の少なくとも1つの態様に従って、肥満もしくは過体重で苦しむ患者において、胃腸管および/または胃腸管に分布する迷走神経のような神経における信号の伝達をシミュレート、刺激、増幅、ブロック、および/または調節するのに十分な電気刺激を供給することにより、満腹および/または空腹に関連した感覚の調節がもたらされる。より詳細には、そのような電気刺激は、組織および/または胃腸管に分布する神経への、もしくはそれら(それ)からの信号の送信を刺激、増幅、ブロック、および/または調節するように操作可能であるが、そのような電気刺激は、空腹感、満腹感、胃部膨満感、胃部空腹感、および腹痛感に影響を及ぼす。患者が生成した感覚信号をシミュレートすることには、胃腸管の特定の感覚に関連した患者自身の信号を実質的にコピーし、適切な場合もしくは望ましい場合にそれらの信号を患者にフィードバックすることが含まれる。そのようなシミュレーションは、既存の信号を増幅すること、または必要とされる場合もしくは望ましい場合に信号が存在しなければ信号を供給することを含んでいてもよい。
胃腸管および/または胃腸管に分布する神経の選択された領域に電気刺激を印加するという、ここに開示の方法は、上記の少なくとも1つの領域が、患者の第10脳神経(迷走神経)から出てきた少なくとも1つの神経線維を含みうるように、特にその前上表面および/または後下表面の枝の少なくとも1つを含みうるように、さらに洗練されてもよい。同様に、上記少なくとも1つの領域は、患者の交感神経から出てきた神経線維、特に腹腔神経叢の少なくとも1つを含んでいてもよい。
必要に応じて、上記刺激は、胃の底領域および/または迷走神経のような胃腸管および/または胃腸管神経の領域に方向づけられ、胃腸管枝の信号をシミュレート、刺激、増幅、ブロック、および/または調節してもよい。当業者には理解されるように、この実施形態は、既に電気生理学的な問題があることがわかっている患者に使用する前に、注意深く評価されなければならない。
図3Aおよび3Bにおいて、図3Aが示すのは胃および胃の各部の簡略図であるが、図3Bが示すのは図1および2に示された迷走神経200の付近に取り付けられた典型的な電気信号検出/供給装置300を備えた胃である。電気信号検出/供給(ESDD)装置300が胃腸管組織および/または胃腸管神経において検出するのは、患者が生成した信号(PGS)である。これらの患者が生成した信号は、患者の胃腸管の活動に関する患者が特定した1つ以上の感覚と関係するが、そのような感覚には、空腹感、満腹感、胃部膨満感、胃部空腹感、および腹痛感がある。検出された信号のパターンは保存され、患者の生理的な感覚(たとえば空腹もしくは満腹)と関連づけられてもよい。PGSは、監視され、定期的に調節されてもよい。食物消費の減少を通じて体重減少を引き起こすために、ESDD装置300は空腹のためのPGSをブロックし、満腹のためのPGSをシミュレート(たとえば、刺激および/または増幅を通じて)してもよい。
ESDD装置300は、電気刺激発生器310と、電気刺激発生器310と接続した電源320と、電気刺激発生器310と情報伝達し電源320に接続された制御ユニット330と、哺乳動物の迷走神経200のような胃腸管および/または胃腸管神経の1つ以上の選択された領域200Aおよび200Bにリード340を介して取り付けるための、電気刺激発生器310、電源320、および/または制御ユニット330に接続された電極350とを備えていてもよい。
電源320は、電源接続部325を経由して電気刺激発生器310および制御ユニット330に連結されていてもよい。ESDD装置300には機能するための電力が必要であるが、電源320は、着脱可能なバッテリーもしくは他の分離可能な電源320Sであって、製造時もしくは販売時にはESDD装置300に付属しないものを含んでいてもよい。ESDD装置300を使用する前に、分離可能な電源320Sは電源接続部325に連結されてもよい。したがって本願発明は、ESDD装置300であって、電源接続部325を有し電源320を有さないものも対象としている。
構成によっては、電極350およびリード340のそれぞれは、患者が生成した信号を検出するよう機能してもよいし、制御する刺激を生成するよう機能してもよいし、またはその両方を行うよう機能してもよい。リード340が使用される場合、電極350を保護するのが望ましいが、それは電極350がリード340とESDD装置300を連結するリード線として機能できるようにするためである。検出という状況下では、電極350およびリード340は、電極センサおよび誘導ピックアップコイルであってもよい。制御ユニット330と組み合わされて、電極センサおよび/または誘導ピックアップコイルは、検出手段の例として機能してもよい。制御という状況下では、電極350およびリード340は、刺激電極および誘導刺激コイルであってもよい。電気刺激発生器310および制御ユニット330と組み合わされて、刺激電極および/または誘導刺激コイルは、信号伝達手段の例として機能してもよい。目的とする装着領域が電極を装着するには繊細すぎる場合には、コイルが好適であってもよい。
信号を検出し刺激を生成するために単一の電極350および/またはリード340が使用される限りにおいては、検出と信号伝達を交互に入れ替えることが必要な場合に、制御ユニット330は電極350および/またはリード340の機能を切り換える。検出機能に切り換えられた状態で、制御ユニット330は、電極350および/またはリード340から入力を受け取る。信号伝達機能に切り替えられた状態で、制御ユニット330は、電極350および/またはリード340の信号出力を調節する。
本図に示されるように、装置300は内蔵型であってもよく、または様々な別の相互接続されるユニットを含んでいてもよい。制御ユニット330は、電極350および/またはリード340を経由して、胃腸管および/または迷走神経200のような胃腸管神経に信号が印加された場合に、PGSの刺激、増幅、調節、および/またはブロックに適した信号を生成するために、電気刺激発生器310を制御してもよい。電極350およびリード340との接続によって、制御ユニット330は検出された情報を受け取り収集する。
制御ユニット330はまた、受信部360を有していてもよく、ユーザ380によって操作可能なプログラミングユニット370からの情報を受信部360によって受け取ってもよい。受信部360は、外付けの駆動部(360e)、もしくはそのかわりに内蔵の駆動部(360i)を含んでもよく、それによって制御ユニット330は完全で内蔵型の埋め込み可能なユニットを構成してもよい。受信部360は、情報をプログラミングユニット370へ逆に伝達することが可能な送受信部を含んでいてもよい。プログラミングユニット370は、体外にあって、制御ユニット330とやりとりして設定、情報、およびデータを伝達するように操作可能であってもよい。
好ましい実施形態に従って、本願発明に従ったESDD装置300は、個人によって再利用可能な、経皮もしくは皮下埋め込みの形態で提供される。
経皮的な使用に対して、ESDD装置300は、外部の電気器具としてユーザ380(たとえば患者もしくは健康管理係)に利用可能であってもよい。そこではリード340と電極350が患者に埋め込まれてもよいが、ESDD装置300に連結するように皮膚を横断する接続末端部340Eを有していてもよい。皮下的な使用に対して、ESDD装置300は、腹部の皮下ポケットなどに外科的に埋め込まれてもよい。構成によっては、ESDD装置300は、体外から電力を供給および/または再充電されてもよく、あるいはそれ自身の電源320を有していてもよい。一例として、ESDD装置300は、市販のものを購入してもよい。ESDD装置300は、メドトロニック社(Medtronic, Inc.)からも入手可能なモデル7432のような内科医プログラマ(physician programmer)を用いてプログラムされるのが好ましい。
肥満患者では、1台以上のESDD装置300が、胃腸管の1か所以上の選択された領域200Aおよび200Bに埋め込まれてもよい。いずれもシャファー(Shafer)の発明になる米国特許出願2005/0075701および2005/0075702は、両方とも参照によって本明細書に援用される。本出願は、免疫反応を減衰するために交感神経系のニューロンを刺激することに関するものであり、本発明に応用可能な可能性のある刺激発生器について記述している。
ESDD装置の埋め込みは、既知の技術を用いて行われてもよいが、その中にはたとえばコリオウ(Colliou)らの発明になる米国特許第7020531号があり、これは参照によって本明細書に援用される。コリオウらが教示するのは、機能デバイスの胃壁への取り付けであり、たとえば胃壁の電気刺激を供給する装置などである。必要であれば、胃に加えて別の場所にも、類似もしくは異なる技術を用いてESDD装置を取り付けてもよい。
図4においては、本願発明の実施形態に従って、胃腸管および/または胃腸管神経の一部もしくは複数の部分に印加された電気刺激をシミュレート、刺激、増幅、ブロック、および/または調節するための例示的な電圧/電流曲線が図示されている。
迷走神経200ような胃腸管および/または胃腸管神経の部分200Aに対する刺激410をシミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび/または調整する適切な電圧/電流曲線400の適用は、電気刺激発生器310を用いて達成されてもよい。好適な実施形態では、上記の電気刺激発生器310は、電源320と、たとえば、処理部、時計、メモリなどを備えた制御ユニット330と組み合わされ、これによりリード340を経由して上記迷走神経200に対してシミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび/または調整を行う刺激410を伝達する電極350に対して、パルス列420を生成してもよい。
調整用信号400のパラメーターは、周波数、振幅、負荷サイクル、パルス幅、パルス波形などについてプログラム可能であることが好ましい。埋め込まれたESDD装置300の場合には、埋め込みの前後に制御ユニット330のプログラミングが行われてもよい。たとえば、埋め込まれたESDD装置300は、ESDD装置300とプログラミングユニット370の間で設定を情報伝達するために、受信部360を備えていてもよい。プログラミングユニット370は、治療を改善するためにESDD装置300のプログラミングを修正するための外付けの通信デバイスを含んでいてもよい。
刺激信号410は、治療結果に影響を及ぼすように、すなわち満腹感もしくは空腹感の送信信号のうちのいくつかもしくはすべてをシミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび/または調整するように選択された周波数、振幅、負荷サイクル、パルス幅、パルス波形などを有するのが好ましい。上記の調整信号は、約20μ秒以上、たとえば約20μ秒〜約1000μ秒などの、治療結果に影響を及ぼすように選択されたパルス幅を有していてもよい。上記の調整信号は、約1ミリボルト以上、たとえば、約1ミリボルト〜約2ボルトなどの、治療結果に影響を及ぼすように選択された最大電圧振幅を有していてもよい。
本発明に従ったESDD装置300は、別の実施形態に従って、「ペースメーカ」タイプの形態で提供されてもよい。その場合、電気刺激410は、底領域および/または迷走神経200などの胃腸管および/または胃腸管神経の選択された領域200Aに対し、ESDD装置300により時々生成されて、患者の中で上方制御信号に対する組織もしくは神経の反応性をより低くし、または適切な電気刺激を与え、刺激に対する組織もしくは神経の反応性を弱める。
しかしながら、永久埋め込みのすべての場合において、埋め込みを行う外科医は、制御ユニット330および電極350の特定の位置によって調整される信号を、所望の結果が得られるまで変化させなければならない。また、この効果の長期維持性についてモニタを行い、患者の体に起こる適応機構によってこの所望の効果が無くならないことを確実にしなければならない。
本願発明の好ましい実施形態に従って、電気刺激治療は、患者の自然信号(患者が生成した信号、つまりPGS)を捕獲し保存する検出コイルおよび治療コイルを用いて遂行されてもよい。マイクロコイルは、検出の用途に対して一般に使われる。上述のように、治療の状況に応じて、1つのコイルが患者の自然信号の検出および調節の両方に使われてもよいが、別の状況においては、分離した治療コイルもしくは電極が望ましい場合もありうる。検出および調節の動作が同時に行われる場合は、検出コイルおよび治療コイルを分離するのが望ましい。図5Aおよび5Bに示されるように、コイルは埋め込みのために小さいことが望ましく、また埋め込み可能な等級のシリコーンもしくは他の物質に覆われたフレキシブル基板上にあってもよい。
図5Aおよび5Bにおいては、本願発明に従って使用するための、例示的な銅複合体マイクロコイル500およびそれを拡大したものが図示されている。図のように、それぞれの例示的なコイル500の全幅は2.3mm(0.090インチ)であり、全長は4.24mm(0.167インチ)である。それぞれのコイル500は44個のターン510を有する。4つのコイル500が互いに層状に重ねられており、たとえば電極350のように、誘導システムあたり合計176回転の直巻きを有する。図示された導体幅520は、12.5ミクロン(0.0005インチ)であり、図示された導体間の間隙530もまた12.5ミクロンである。図示された導体高540は7ミクロン(0.0003インチ)である。4つの銅伝導体層のそれぞれは、厚さ10ミクロン(0.0004インチ)のポリイミド層によって分離されていてもよい。
本願発明に係る検出コイル500の導体の太さ、回転、および配置の正確な詳細は、10〜1000Hzおよび1mV〜2Vまでの信号を検出できるように選択されてもよい。制御ユニット330中のマイクロプロセッサは、アナログ/デジタル(A/D)変換器を用いて2000サンプル/秒以上の割合で信号をデジタル化してもよく、また信号を500秒までメモリ(メモリの1MB)中に保存してもよい。必要であれば、この信号をメモリから同じ割合で取り出し(clocked)、デジタル/アナログ(D/A)変換器に供給し、増幅し、そして治療コイル500および/または電極350を通じて患者に印加することができる。追加の参考資料は、米国特許第6564101号および米国特許出願第2005/0222637号中に見つかるかもしれないが、それらの両方は上述されており、参照によって本明細書に援用される(それらのコピーが本明細書に添付されている)。
本願発明の検出の態様は、既知の検出技術を利用してもよく、そのような技術には、たとえば本明細書に参照によって援用されるファミロニ(Familoni)の米国特許第5861014号がある。ファミロニが開示するのは、埋め込み可能なパルス発生器である。本発生器は、胃の系に接続され、胃の電気活動における異常を検出するセンサと、胃の不整脈、胃の遅脈(bradygastria)、律動不整、胃の頻脈(tachygastria)、伝播の後退(retrograde propagation)、もしくは脱共役(uncoupling)などの異常を検出するための検出手段とを有する。それらの胃の調律異常のうちのいずれかが検出されれば、パルス発生器は胃の系に対して刺激パルス列を発し、検出された胃の調律異常を治療する。
図6においては、本願発明に係る例示的な実行600のフローチャートが図示されている。連結線は説明目的だけのものであり、本願発明の機能性を制限するために用いられたものでも、特定の一連の出来事を意味するものでもない。多くの動作が非常に多くの順序で起こりうるし、それらの動作には特定の順序はない。
患者の特徴(性別、年齢、体重、身長、健康状態など)を考慮して、ESDD装置300は、最良の結果が得られることが期待される、患者の胃腸管領域に埋め込まれてもよい(動作610)。患者にESDD装置300を埋め込んだ後、ユーザ380(患者、医師、介護者など)は、プログラミングユニット370を制御ユニット330をプログラムする(動作620)ように操作してもよい。
ESDD装置の形態によっては、ユーザ380は、食事時間、食事持続時間、食事の種類および量、食事内容、などを含む様々なデータ点を、それらが生じたときに入力(動作622)してもよい。加えて、食物消費に影響を及ぼす感覚を患者が感じたときに、ユーザ380(もし患者だけでは無理な場合には、患者と協力して)は、プログラミングユニット370を始動させ(動作624)、患者が感じた感覚を検出もしくは感知してもよいし、感覚の種類および認識した感覚の強さを入力してもよい(動作626)。上記感覚には、空腹感、満腹感、胃部膨満感、胃部空腹感、および腹痛感が含まれてもよい。それらのデータ点には、感覚の種類、感覚時間、感覚持続時間、および感覚の強さなどの、様々な感覚特異的な変数を有する患者の知覚が含まれる。制御ユニット330は、たとえば信号のモデル化に用いるために、患者の知覚を記録してもよい。制御ユニット330はまた、あらかじめプログラムされ、そのような感覚に関連し、自動始動因子として機能する、患者が生成した信号(PGS)を検出してもよい。
ESDD装置300は、始動すると、電極350および/またはリード340を介してPGSの検出を開始し(動作630)、制御ユニット330に信号パターンを保存する(動作632)。ユーザ380によって入力された感覚の種類および強さに関するデータとあわせて、制御ユニット330は、所定の感覚および強さに対するPGSのモデル化(動作634)を行う一環として、入力された感覚の種類を保存されたPGSの信号パターンと関連付けてもよい。
あらかじめプログラミングされたモデルもしくはユーザがプログラミングしたモデルのいずれかに基づいて、制御ユニット330は、上記検出手段を用いて胃腸管組織および/または胃腸管神経の電気活動を測定する(動作640)ことにより、食物消費に影響を及ぼす感覚に関連した様々なPGSを検出してもよい。制御ユニット330によって、食物消費に影響を及ぼす感覚に関連するPGSが検出された場合(動作642)、制御ユニット330は、電気刺激を印加し(動作644)、PGSをシミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび/または調節してもよい。適切な場合、制御ユニット330はいかなる動作も起こさない。
たとえば、減量が必要な患者において空腹時のPGS信号が検出された場合、制御ユニット330は、空腹時のPGSをブロックもしくは下方調節する電気刺激、満腹時のPGSをシミュレートする電気刺激、またはそれらの両方を印加してもよい。印加された電気刺激の強度、持続時間およびタイミングは、あらかじめプログラミングされていても、ユーザ自身のプログラミングの支配下にあっても、またはその両方であってもよい。例として、ユーザは、電気刺激が印加されるべきかどうかの判断を促されてもよい。また、時間遅延がプログラミング中に組み込まれてもよい。また、患者が食事をするべき1日のうちの時間帯がプログラミングされてもよいので、適切な時間に生じる空腹時のPGSは影響を受けない。
ユーザは、空腹に関連した、もしくは満腹に関連した刺激を適用したり、強度を調節することなどについて、制御ユニット330を様々な方法でプログラミングしてもよい(動作628)。たとえば、少量の食事を食べた後などの状況にもかかわらず、患者は空腹を覚え続けてもよく、ユーザは制御ユニット330をプログラミングし、満腹時のPGSをシミュレート(既存の1つ以上の信号の刺激もしくは増幅であってもよい)および/または空腹時のPGSをブロックする刺激を印加してもよい。反対に、満腹すぎると感じている患者は、制御ユニット330をプログラミングし、満腹時のPGSをブロックもしくは下方調節する電気刺激を印加してもよい。食事の間隔に基づいて、制御ユニット330は電気刺激を印加し、減量の必要性がある患者における満腹感の維持、または増量の必要性がある患者における空腹の加速のいずれかを行うために、検出されたPGSを増幅してもよい。
装置の構成制限が電気刺激の特徴を制限するが、制御ユニット330が印加できる特定の周波数および振幅において、装置の構成制限はなお患者の治療に適切な刺激の範囲を超える可能性がある。したがって、ESDD装置300は、あらかじめ制御ユニット330中にプログラミングされ、ユーザ380が上書きできない治療制限を有していてもよい。
ESDD装置300はまた、あらかじめプログラミングされた、管理ユーザ390が選択してもよい(動作650)初期設定を有していてもよい。管理ユーザ390としては、様々な患者の特徴や埋め込みの処理が適用可能な医師などが考えられる。管理ユーザ390は、たとえば、プログラミングユニット370へのロールベースアクセスを通じて、またはプログラミングユニット370が接続されうるパーソナル・コンピューターのような管理ユニットを通じて、管理者権限を行使してもよい。
ESDD装置300の構成次第では、管理ユーザ390は、必要な場合はいつでも、さらに制御ユニット330もしくはプログラミングユニット370からデータをダウンロードし(動作652)、治療体制の再検討および修正のために患者の進行を測定してもよい。このように、ダウンロードはプログラミングユニット370自身において行われ、これによりまるでプログラミングユニット370が携帯情報端末(PDA)であるかのように、管理ユーザ390がプログラミングユニット370においてデータを直接再検討することが可能となってもよい。そのかわりに、もしくはそれに加えて、ダウンロードはたとえば記録の保管用に管理ユニットに対して行われてもよい。同様に、必要に応じて管理ユーザ390は、ユーザ380により入力された様々なプログラミングおよびデータを、調節もしくは無効化してもよい(動作654)。
本願発明を特定の実施形態を参照して記述したが、これらの実施形態は本発明の原理および応用を単に説明しただけのものであることは理解されるべきである。したがって、上記実施形態には多くの改良が可能であり、本明細書に添付の特許請求の範囲に定義された本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、他の配置も考案されうることは理解されるべきである。

Claims (10)

  1. 患者により提供された情報に基づき、患者により特定された患者の胃腸(GI)管の1つ以上の感覚を定量化するステップと、
    患者の胃腸組織および胃腸神経のうちの少なくとも1つの活性を検出するステップと、
    胃腸組織および/または胃腸神経の前記検出された活性を、患者により特定された患者の胃腸管に関連する前記感覚に関連づけるステップと、
    患者により特定された前記感覚、検出された前記活性、および前記感覚と前記活性の間の前記関連づけを保存するステップと、
    その後に、患者の前記胃腸組織および/または前記胃腸神経の活性をさらに検出することに基づいて、患者の胃腸管に関連する患者により特定された前記感覚の1つ以上が存在することを決定するステップと、
    少なくとも1つの電気刺激を患者の胃腸管の1つ以上の選択された領域に印加し、患者の胃腸管に関連して患者により知覚された前記感覚を調節するために、患者の胃腸組織および/または胃腸神経の活性について、シミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび調節の少なくとも1つを行うステップとを含むことを特徴とする方法。
  2. 患者の胃腸管に関連して患者により知覚された感覚の前記調節が、摂食障害を対象とするものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記摂食障害は、過食、過体重、肥満、および食べる量が少なすぎることの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 患者により特定された前記感覚は、
    空腹感、満腹感、胃部膨満感、胃部空腹感、および腹痛感、からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 患者の胃腸組織および/または胃腸神経の検出された前記活性は、
    患者の胃腸管の1つ以上の筋肉、患者の胃腸管に分布する1つ以上の神経、患者の胃底に分布する1つ以上の神経、患者の左右の迷走神経の末梢枝に分布する1つ以上神経、および患者の腹腔神経叢の1つ以上の枝に分布する1つ以上の神経、からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 患者の胃腸管の1つ以上の選択された領域への少なくとも1つの電気刺激の印加は、患者が特定した前記感覚が1つ以上存在すると判定された場合に自動的に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 少なくとも1つの電気刺激の自動的な印加は、時間遅延および所定時間間隔のうちの少なくとも1つの影響を受けることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 患者自身が増大および無効化のうちの少なくとも一方を指示した場合、少なくとも1つの電気刺激の自動的な印加に影響を及ぼすことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 患者により提供された情報に基づき、患者により特定された患者の胃腸管に関する1つ以上の感覚を定量化する情報を受け取るための入力手段と、
    患者の胃腸組織および胃腸神経の少なくとも1つの活性を検出するための検出手段と、
    胃腸組織および/または胃腸神経の検出された前記活性を、患者の胃腸管に関する患者により特定された前記感覚と関連づける処理手段と、
    患者により特定された前記感覚、検出された前記活性、および前記感覚と前記活性の間の前記関連づけを保存するための記憶手段と、
    前記手段の実行後に、患者の胃腸組織および/または胃腸神経の活性をさらに検出することに基づき、患者により特定された患者の胃腸管に関する1つ以上の前記感覚が存在することを決定するための処理手段と、
    少なくとも1つの電気刺激を患者の胃腸管の1つ以上の選択された領域に印加し、患者の胃腸管に関連して、患者により知覚された前記感覚を調節するために、患者の胃腸組織および/または胃腸神経の活性について、シミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび調節の少なくとも1つを行うための駆動手段と、を含むことを特徴とするシステム。
  10. 電気刺激発生器と、
    前記電気刺激発生器に接続された電源と、
    前記電気刺激発生器と通信し前記電源に接続された制御ユニットと、
    前記電気刺激発生器に接続された電極と、
    患者の胃腸組織および胃腸神経の少なくともいずれかの、1以上の選択された領域に取り付けるために、前記電極に接続された電気リードもしくはコイルと、を有し、
    前記制御ユニットは、
    患者により提供された情報に基づき、患者により特定された、患者の胃腸管に関連した1つ以上の感覚を定量化する情報を受信し、
    電気リードもしくはコイルから、患者の胃腸組織および胃腸神経の少なくとも一方の検出された活性を受信し、
    胃腸組織および/または胃腸神経の検出された前記活性を、患者の胃腸管に関する患者により特定された前記感覚と関連づけ、
    患者により特定された前記感覚、検出された前記活性、および前記感覚と前記活性との間の前記関連づけを保存し、
    その後、患者の胃腸組織および/または胃腸神経の活性をさらに検出することに基づき、患者により特定された患者の胃腸管に関する1つ以上の感覚が存在することを決定し、
    患者の胃腸管に関連して患者により知覚された前記感覚を調節するために、患者の胃腸組織および/または胃腸神経の活性について、シミュレート、刺激、増幅、ブロックおよび調節の少なくとも1つを行うために、前記電気リードもしくはコイルを介して、少なくとも1つの電気刺激を、患者の胃腸管の1つ以上の選択された領域へ、前記電気刺激発生器に印加させるように操作可能であることを特徴とする装置。
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