JP2009300403A - 質量流量計及びマスフローコントローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】低真空領域における分流比の圧力依存性を考慮した質量流量計1及びこの質量流量計1を用いたマスフローコントローラZを提供する。
【解決手段】試料ガスGが流れるメイン流路2と、前記メイン流路2から分岐して前記試料ガスGを分流させるものであり、前記試料ガスGの流量を検出する流量検出機構4が設けられる測定路3Aを有するセンサ流路3と、前記メイン流路2における前記センサ流路3の分岐点BPと合流点MPの間に設けられ、複数の内部流路51を有する層流素子5と、を具備し、前記測定路3Aの流路形状及び前記内部流路51の流路形状が略同一である。
【選択図】図1
【解決手段】試料ガスGが流れるメイン流路2と、前記メイン流路2から分岐して前記試料ガスGを分流させるものであり、前記試料ガスGの流量を検出する流量検出機構4が設けられる測定路3Aを有するセンサ流路3と、前記メイン流路2における前記センサ流路3の分岐点BPと合流点MPの間に設けられ、複数の内部流路51を有する層流素子5と、を具備し、前記測定路3Aの流路形状及び前記内部流路51の流路形状が略同一である。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えばマスフローコントローラにおける流量制御の際などに用いられる質量流量計に関するものである。
この種の質量流量計としては、試料ガスが流れるメイン流路と、メイン流路から分岐して試料ガスを分流させるものであり、試料ガスの質量流量を検出する流量検出機構が設けられるセンサ流路と、メイン流路において、センサ流路の分岐点と合流点の間に設けられるバイパス流路と、を具備する熱式質量流量計が知られている。そして、この熱式質量流量計は、流量検出機構は、センサ流路を形成する金属製の中空細管の外側に2本の感熱抵抗体をコイル状に巻いて形成した上流側センサ部及び下流側センサ部と、両センサ部に対して設けられたブリッジ回路とを備えている。
具体的に、中空細管は、感熱抵抗体により加熱されており、試料ガスが流れていないときは、中空細管の中心に対して対称的な温度分布となっている。これに対し、試料ガスが中空細管内に流れているときは、下流側センサ部には、上流側センサ部によって温められた試料ガスが流入するため、上流側センサ部と比べて温度が高くなり、上流側センサ部及び下流側センサ部間に温度差が形成される。この結果、前記温度分布が非対称となる。
このときの温度差(ΔT)と試料ガスの質量流量には一定の関係が成り立っているので、温度差をブリッジ回路により検出することで、質量流量を測定できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この熱式質量流量計を低真空領域(例えば1〜100Torr)において用いた場合、同流量設定における流量が、圧力によって変化する現象(以下、流量誤差という。)が発生する。
具体的には、図5に示すように、メイン流路とセンサ流路とに分流させずに、全ての試料ガスをセンサ流路に一定流量を流す場合(図中、バイパス無し)において、一次側圧力を徐々に低下させていくと、流量誤差がプラス(+)に大きくなる。つまり、バイパス無しの場合には、センサ感度が低下して、測定流量が増加していることを示している。これは、定圧比熱Cpの圧力依存性だけでは説明できない。
一方、図5に示すように、メイン流路とセンサ流路と一定の分流比で分流させた場合(図中、バイパス有り)において、一次側圧力を徐々に低下させていくと、流量誤差がマイナス(−)に大きくなる。つまり、バイパス有りの場合には、センサ感度が低下して、測定流量が減少していることを示している。なお、ここで流量誤差[%]とは、100Torrにおける試料ガスの測定流量を基準にしたときの流量変化を%表示したものである。
この図5に示す結果から、本願発明者は、バイパス無しの場合に一次側圧力を小さくすると測定流量が増加するにも拘わらず、バイパス有りの場合に一次側圧力を小さくすると測定流量が減少することに矛盾を見出した。なぜなら、分流比が一定ならば、バイパス有りの場合にも測定流量が増加するはずである。
特許公開平7−271447号公報
そして、本願発明者は、図5の測定結果に基づいて鋭意検討を行った結果、低真空領域においては分流比が圧力依存性を持つと仮定した。そして、この仮定を裏付けるための実験を行った。この実験の結果を図6に示す。この図6は、一次側圧力を徐々に低下させていった場合におけるメイン流路及びセンサ流路の分流比の変動を示す。この図6から明らかなように、一次側圧力を徐々に小さくしていくと、分流比が小さくなっていることが分かる。つまり、一次側圧力の低下に従い、分流比が減少していることが分かる。なお、「分流比」とは、(センサを流れる流量)/(バイパスを流れる流量)である。
このように、分流比の圧力依存性の原因としては、差圧(二次側圧力に対する一次側圧力の差)が一定の条件下において、センサ流路における流体の流速と、メイン流路における流体の流速とが異なることから生じると考えられる。このように各流路における流速が異なるのは、センサ流路の流量検出機構が設けられる流路と層流素子の内部流路との流路長や、流路径の違いからであると推察される。また、流路長等が違うことにより、各流路管の内周壁により生じる摩擦力(粘性力)が異なる。これらにより、各流路における流速が異なると考えられる。
そこで本発明は、従来の熱式質量流量計の低真空領域における特性を見出し、鋭意検討の結果、その原因を特定することにより初めてなされたものであり、低真空領域における分流比の圧力依存性を考慮した質量流量計及びこの質量流量計を用いたマスフローコントローラを提供することをその主たる所期課題とするものである。
すなわち本発明に係る質量流量計は、流体が流れるメイン流路と、前記メイン流路から分岐して前記流体を分流させるものであり、前記流体の流量を検出する流量検出機構が設けられる測定路を有するセンサ流路と、前記メイン流路における前記センサ流路の分岐点と合流点の間に設けられ、複数の内部流路を有する層流素子と、を具備し、前記測定路の流路形状及び前記内部流路の流路形状が略同一であることを特徴とする。ここで「層流素子」とは、定流量特性を有するバイパス素子等の抵抗部材である。
このようなものであれば、測定路の流路形状及び内部流路の流路形状が略同一であり、また、測定路の内周壁における摩擦力と内部流路の内周壁における摩擦力とを略同一にすることができるので、分流比の圧力依存性を抑制することができると考えられる。したがって、低真空領域において、高精度測定を実現することができ、安定した質量流量測定を可能にすることができる。
測定路及び内部流路の構成を簡単にするとともに、容易に測定路及び内部流路の流路形状を略同一にするためには、前記測定路及び前記内部流路が、長手方向において等断面形状であり、略同一径且つ略同一長さであることが望ましい。またこのような構成により、例えば、測定路をキャピラリ配管により形成することができ、層流素子を複数本の細管を外管の内部に挿入して形成したもの、又は多数の貫通孔を形成した薄い円板を複数枚積層して形成したもの等を採用することができ、両流路の流路形状を極めて簡単に同一にすることができる。
センサ流路において測定路以外の流路による圧力損失により、測定路の流路形状及び内部流路の流路形状を略同一にしたことによる効果を減退させないようにするためには、前記センサ流路における前記メイン流路と前記測定路とを連通する接続路の流路形状が、前記測定路に比べて圧力損失が小さくなるように設定されていることが望ましい。具体的な構成としては、分流比への影響が無視できる径及び長さに設定することが考えられる。
前記流量検出機構が、前記測定路の上流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された上流側センサ部と、前記測定路の下流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された下流側センサ部と、を具備し、前記上流側センサ部及び下流側センサ部が、前記測定路に巻き付けられたコイル状の第1感熱抵抗体と、当該第1感熱抵抗体において、各センサの外周に巻き付けられたコイル状の第2感熱抵抗体とを備えることが望ましい。各センサ部の感熱抵抗体を所定幅で設けることにより、中空細管内に流れる試料ガス中の分子に対して、上流側センサ部及び下流側センサ部間に生じる温度差に対する流量変化の直線性の確保に必要な熱量を与えることができる。一方、第2感熱抵抗体を各センサ部の内側の所定領域に設けることにより、センサ部全体の温度分布に現れる中央のピークを鋭くすることができる。したがって、検知時に上流/下流での差を大きくすることができ、変化を高感度に捉えることができるので、センサ感度が向上する。また、第1感熱抵抗体の所定幅を所定の範囲内で長くすることにより、1次側圧力が小さくなっても(異なっても)、流体の希薄化および流速の高速化に起因したセンサ感度の低下を可及的に小さくすることができる。特に、低蒸気圧ガスのようにその物性により、直線性の確保できる領域が狭小でフルスケールが制限される試料ガスに対しても、直線性の確保できる領域を拡大させ且つセンサを高感度化させてフルスケールを大きくすることができ良好に流量を検知できる。
上流側センサ部及び下流側センサ部からの熱を細管(センサ流路を形成する細管)全体に伝熱させてしまうと、各センサの応答速度が低下してしまう。この問題を解決して、質量流量計の低真空領域におけるセンサ感度の低下抑制及び応答速度の両立を図るためには、前記センサ流路における前記メイン流路と前記測定路とを連通する接続路に放熱機構が設けられていることが望ましい。
また、分流比の圧力依存性を解消するための質量流量計は、流体が流れるメイン流路と、前記メイン流路から分岐して前記流体を分流させるものであり、前記流体の流量を検出するためのセンサ流路と、前記センサ流路に設けられたセンサ部から得られる信号により前記流体の流量を算出する流量算出部と、前記メイン流路及び前記センサ流路の分流比と、メイン流路の一次側圧力との関係を示す分流比圧力関係データを格納する関係データ格納部と、前記メイン流路の一次側圧力に基づいて、前記流量算出部により得られた前記流体の流量を補正する流量補正部と、を具備することを特徴とする。
このようなものであれば、質量流量計の低真空領域における分流比の変動を補正することができるので、低真空領域において高精度測定を実現することができ、安定した質量流量測定を可能にすることができる。
質量流量計の測定結果をより一層高精度にするためには、前記関係データ格納部が、前記メイン流路の一次側圧力と、当該メイン流路を流れる流体の定圧比熱との関係を示す比熱圧力関係データを格納するものであり、前記流量補正部が、前記メイン流路の一次側圧力に対する定圧比熱により、前記流体の流量を補正するものであることが望ましい。
さらに、上述した質量流量計を用いて、好適に低真空領域において流量制御を可能にするためには、上述した質量流量計と、前記メイン流路に設けられた流量制御弁と、前記質量流量計により得られた測定流量値と、目標流量である設定流量値に基づいて前記流量制御弁の弁開度を制御する弁制御部と、を具備することを特徴とする。
このように構成した本発明によれば、低真空領域において生じる分流比の圧力依存性を考慮した熱式質量流量センサを提供することができ、低真空領域において安定した質量流量測定を可能にすることができる。
以下に本発明に係る質量流量計1の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態に係る質量流量計1を示す模式的構成図である。
<装置構成>
本実施形態に係る質量流量計1は、低真空領域(例えば1〜100Torr)において好適に用いられる熱式質量流量計である。
具体的にこのものは、流体である試料ガス(例えばC4F8等の半導体処理用ガス)Gが流れるメイン流路2と、前記メイン流路2から分岐して試料ガスGを分流させるものであり、前記試料ガスGの流量を検出するためのセンサ流路3と、試料ガスGの流量を検出する流量検出機構4と、前記メイン流路2における前記センサ流路3の分岐点BPと合流点MPの間に設けられ、複数の内部流路51を有する層流素子5と、を具備する。
以下、各部2〜5について説明する。
メイン流路2は、流体入口201及び流体出口202を有する概略直管状のメイン管部200から形成されている。なお、メイン管部200の形状としては、後述する分岐点BP及び合流点MPを含む流路を形成する部分の形状が直管状であれば良く、そのため流体入口201及び流体出口202を有する曲管形状であっても良い。
センサ流路3は、メイン管部200に立設された概略逆U字形状をなす中空細管300により形成されている。本実施形態の中空細管300は、ステンレス製のものであるが、他の素材を用いて形成することができる。
そしてセンサ流路3は、メイン流路2を流れる試料ガスGの流量を検出するための流量検出機構4が設けられる測定路3Aと、メイン流路2及び測定路3Aを連通する接続路3Bとからなる。
測定路3Aはメイン流路2と略平行に形成されおり、接続路3Bは、メイン流路2と略直交して設けられている。つまり接続路3Bは、測定路3Aと略直交して設けられている。
流量検出機構4は、センサ流路3に分流した流量を検出するためのセンサ部41と、当該センサ部41からの出力信号を取得してメイン流路2を流れる試料ガスGの流量を算出する流量算出部42と、を備えている。
センサ部41は、図2に示すように、測定路3Aの上流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された上流側センサ部411と、測定路3Aの下流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された下流側センサ部412と、を備えている。
そして、上流側センサ部411及び下流側センサ部412は、温度の変化にともなって電気抵抗値が増減する感熱抵抗体が巻きつけられて形成されるものであって、測定路3Aを形成する中空細管300の直管部301に巻き付けられたコイル状の第1感熱抵抗体41aと、当該第1感熱抵抗体41aの外周に巻き付けられたコイル状の第2感熱抵抗体41bとを備えている。本実施形態では、中空細管300全体の平均温度を無用に上げることなく中空細管300中央に現れる温度分布のピークを鋭くしてセンサ感度を向上する観点から、第2感熱抵抗体41bを、各センサ部411、412間の内側端部(合い寄る内側の端部)に設けている。また、第2感熱抵抗体41bの巻幅は、第1感熱抵抗体41aの巻幅の1/2以下としている。なお、上流側センサ部411及び下流側センサ部412は、いずれも断熱材により被覆されている。
これならば、センサ部411、412全体の温度分布に現れる中央のピークを鋭くして検知時に上流側/下流側での温度差を大きくすることができ、変化を高感度に捉えることができるので、センサ感度が向上する。また、第1感熱抵抗体の巻幅を所定の範囲内で長くすることにより低蒸気圧ガスのようにその物性により、直線性の確保できる領域が狭小でフルスケールが制限される試料ガスGに対しても、直線性の確保できる領域を拡大させ且つセンサを高感度化させてフルスケールを大きくすることができ良好に流量を検知できる。
流量算出部42は、センサ部411、412の感熱抵抗体41a、41bと電気的に接続されて、当該感熱抵抗体41a、41bの電圧値を検出することにより、センサ流路3(具体的には測定路3A)中の流量を算出するとともに、メイン流路2とセンサ流路との分流比に基づいて、メイン流路2中の試料ガスGの流量を算出するものである。
具体的な構成としては、電気回路から形成されており、ブリッジ回路、増幅回路及び補正回路(いずれも図示しない)を備えている。そして、流量算出部42は、試料ガスGの瞬時流量をセンサ部411、412によって電気信号(電圧値)として検出し、前記電気回路によってその電気信号を増幅等して、検出流量に応じた値を有するセンサ出力信号(流量測定信号)として出力するものである。
層流素子5は、メイン流路2中において、センサ流路3の分岐点BPからセンサ流路3の合流点MPとの間に設けられ、メイン流路2及びセンサ流路3の分流比が所定の設計値となるようにするものである。ここで、分流比とは、センサ流路3の流量に対するメイン流路2における分岐点BP及び合流点MP間の流路の流量の比である。具体的にこのものは、定流量特性を有するバイパス素子等の抵抗部材から構成されている。そして、その内部流路51が、メイン流路2の流路方向と略平行となるように設けられている。層流素子としては、複数本の細管を外管の内部に挿入して形成したもの、又は多数の貫通孔を形成した薄い円板を複数枚積層して形成したもの等を用いることができる。
しかして本実施形態の質量流量計1は、上記の基本構成に加えて、前記測定路3Aの流路形状及び前記内部流路51の流路形状が、略同一である。つまり、本実施形態の質量流量計1は、低真空領域における分流比が圧力変動に影響を受けない構造を備えている。
具体的には、測定路3Aと内部流路51とが長手方向(メイン流路2の流路方向)において等断面形状を成し、さらに、測定路3Aと内部流路51とが略同一径且つ略同一長さである。つまり、測定路3Aの内周壁の面積と内部流路51の内周壁の面積とが略同一である。
さらに、センサ流路3の接続路3Bの流路形状が、測定路3Aに比べて圧力損失が小さくなるように設定されている。具体的には、接続路3Bの流路径及び流路長が、分流比への影響を実質的に無視できる程度に設定されている。つまり、センサ流路3の接続管部302の内径及び管長が分流比への影響を実質的に無視できる程度に設定されている。これにより、接続路3Bにおける圧力損失が分流比に与える影響を抑制することができるとともに、測定路3Aの流路形状と層流素子5の内部流路51の流路形状を略同一にしたことの効果を妨げることを防止することができる。
また、本実施形態の質量流量計1は、センサ流路3における接続路3Bに放熱機構6を備えている。具体的には、接続路3Bを形成する接続管部302の周囲に放熱機構6を備えている。放熱機構6の構成としては、放熱フィンを用いたもの、例えばシリコン等からなる熱伝導放熱シートを用いたもの等、センサ部411、412から接続管部302への伝熱を放熱することができるものであれば良い。このように接続管部302に放熱機構6を設けることにより、測定路3A内を流れる試料ガスG中の分子に対して直線性の確保に必要な熱量を与えることができ、低真空領域におけるセンサ感度の低下を抑制しつつ、センサの応答速度を担保することができる。
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る質量流量計1によれば測定路3Aの流路形状及び内部流路51の流路形状を略同一にすることにより、測定路3Aの内周壁における摩擦力及び流速と内部流路51の内周壁における摩擦力及び流速とを略同一にすることができるので、分流比の圧力依存性を抑制することができると考えられる。したがって、低真空領域において、高精度測定を実現することができ、安定した質量流量測定を可能にすることができる。
また、センサ部411、412において、第2感熱抵抗体41bの長さを第1感熱抵抗体41aの長さよりも小さくした上で、センサ部411、412間の内側端部に設けているので、センサ感度を向上させることができる。
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
例えば、前記実施形態の質量流量計1をマスフローコントローラZに用いても良い。この場合、低真空領域において高精度且つ高感度に流量を測定することができるため、非常に高精度な流量制御を実現し得るマスフローコントローラZを提供することができる。
この質量流量計1を組み込むマスフローコントローラZの具体的態様としては、例えば、図3に示すように、前記実施形態の質量流量計1と、メイン流路2の合流点MPより下流側に設けた流量制御バルブZ1と、質量流量計1の出力する流量測定信号の示す信号値(測定流量値)及び入力手段(図示しない)により入力される流量設定信号の示す目標流量である設定流量値に基づいて流量制御バルブZ1の弁開度を制御する弁制御部Z2と、を具備する。
第2感熱抵抗体を第1感熱抵抗体のセンサ部間の内側端部に設けるほかに、その内側端から所定距離外側に位置させた領域(内側端から外側へオフセットした位置から外側)に巻き付けるようにしても良い。
また、前記センサ部の構成は、第1感熱抵抗体及び第2感熱抵抗体からなる2段巻きから構成されているが、3段巻き以上の多段巻きにより構成しても良い。
その他センサ部の構成としては、それぞれの両端部のうち各センサ部が合い寄る内側(センサ部間の内側)の所定領域に、その外側領域よりも感熱抵抗体の単位長さ当たりの巻数を多くした多数巻部を有するようにしても良い。「単位長さ当たりの巻数を多く」とは、例えば、感熱抵抗体の巻付間隔を一定としながら各センサ部の内側の所定領域のみを複数段(例えば、2段)に巻き付けることでその内側の所定領域における巻数をその外側領域のものよりも多くするといった態様や、巻き付ける段数を1段としながら各センサ部の内側の所定領域における巻付間隔を、その外側領域の巻付間隔よりも狭めることで、その内側の所定領域における巻数を多くするといった態様などが挙げられる。
また、上流側センサ部及び下流側センサ部間に隙間を設けているが、隙間の無い構成とすることもできる。
さらに、前記実施形態の熱式質量流量センサは、定電流型のものに適用できるに限らず、定温度型のものにも適用することができる。
その上、流量検出機構として感熱抵抗体を用いた熱式質量流量計に限られず、メイン流路及びセンサ流路とに所定の分流比で分流させて試料ガスGの流量を測定する流量計に用いることができる。
また、前記実施形態のようにセンサ流路3の測定路3A及び層流素子5の内部流路51を同一形状にすると分流比が小さくなるため、限られた寸法(仕様)の範囲内において流量の拡大化が困難になってしまう。そのためメイン流路の管長を短くして流量を大きくする手段が考えられる。しかし、この手段では流量を大きくできても、分流比の圧力依存性により影響を受ける。このような問題を解決するための質量流量計1は、図4に示すように、前記実施形態の基本構成に加えて、メイン流路2における分岐点BPの上流側に設けられ、一次側圧力を検出する圧力センサ7をさらに備えている。さらに、流量検出機構4が、センサ部41と、流量算出部42と、関係データ格納部D1と、流量補正部43とを備えている。なお、センサ部41及び流量算出部42の構成は、前記実施形態と同様である。以下、関係データ格納部D1及び流量補正部43について説明する。
関係データ格納部D1は、図6に示すように、メイン流路2及びセンサ流路3の分流比と、メイン流路2の一次側圧力との関係を示す分流比圧力関係データと、メイン流路2の一次側圧力と、当該メイン流路2を流れる試料ガスGの定圧比熱Cpとの関係を示す比熱圧力関係データとを格納するものである。分流比圧力関係データとは、図6に示すように、全流量毎の、一次側圧力とメイン流路2及びセンサ流路3の分流比との関係を示すデータである。また、比熱圧力関係データとは、試料ガスG毎の、一次側圧力と当該試料ガスGの定圧比熱Cpとの関係を示すデータである。
流量補正部43は、流量算出部42から流量測定信号を取得するとともに、圧力センサ7から一次側圧力を示す圧力測定信号、及び関係データ格納部D1から分流比圧力関係データ及び比熱圧力関係データを取得して、流量測定値を補正するものである。そして、流量補正部43は、その補正流量値を出力する。
このように流量補正部43が、分流比の圧力依存性を補正するので、従来の質量流量計1の構成を変更すること無く、プログラムを変更するだけで、安定した質量流量測定を可能にすることができる。また、定圧比熱Cpの圧力依存性も補正しているので、より一層高精度な質量流量測定を可能にすることができる。
前記実施形態の質量流量計及びマスフローコントローラを半導体製造プロセス又は半導体製造プロセス以外にも用いることができる。
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
G・・・・・試料ガス(流体)
1・・・・・質量流量計
2・・・・・メイン流路
3・・・・・センサ流路
3A・・・・測定路
3B・・・・接続路
BP・・・・分岐点
MP・・・・合流点
4・・・・・流量検出機構
411・・・上流側センサ部
412・・・下流側センサ部
41a・・・第1感熱抵抗体
41b・・・第2感熱抵抗体
5・・・・・層流素子
51・・・・内部流路
6・・・・・放熱機構
42・・・・流量算出部
D1・・・・関係データ格納部
43・・・・流量補正部
Z・・・・・マスフローコントローラ
Z1・・・・流量制御弁
Z2・・・・弁制御部
1・・・・・質量流量計
2・・・・・メイン流路
3・・・・・センサ流路
3A・・・・測定路
3B・・・・接続路
BP・・・・分岐点
MP・・・・合流点
4・・・・・流量検出機構
411・・・上流側センサ部
412・・・下流側センサ部
41a・・・第1感熱抵抗体
41b・・・第2感熱抵抗体
5・・・・・層流素子
51・・・・内部流路
6・・・・・放熱機構
42・・・・流量算出部
D1・・・・関係データ格納部
43・・・・流量補正部
Z・・・・・マスフローコントローラ
Z1・・・・流量制御弁
Z2・・・・弁制御部
Claims (8)
- 流体が流れるメイン流路と、
前記メイン流路から分岐して前記流体を分流させるものであり、前記流体の流量を検出する流量検出機構が設けられる測定路を有するセンサ流路と、
前記メイン流路における前記センサ流路の分岐点と合流点の間に設けられ、複数の内部流路を有する層流素子と、を具備し、
前記測定路の流路形状及び前記内部流路の流路形状が略同一である質量流量計。 - 前記測定路及び前記内部流路が、長手方向において等断面形状であり、略同一径且つ略同一長さである請求項1記載の質量流量計。
- 前記センサ流路における前記メイン流路と前記測定路とを連通する接続路の流路形状が、前記測定路の流路形状に比べて圧力損失が小さくなるように設定されている請求項1又は2記載の質量流量計。
- 前記流量検出機構が、前記測定路の上流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された上流側センサ部と、前記測定路の下流側に設けられ、感熱抵抗体から形成された下流側センサ部と、を具備し、
前記上流側センサ部及び下流側センサ部が、前記測定路に巻き付けられたコイル状の第1感熱抵抗体と、当該第1感熱抵抗体の外周に巻き付けられたコイル状の第2感熱抵抗体とを備える請求項1、2又は3記載の質量流量計。 - 前記センサ流路における前記メイン流路と前記測定路とを連通する接続路に放熱機構が設けられている請求項1、2、3又は4記載の質量流量計。
- 流体が流れるメイン流路と、
前記メイン流路から分岐して前記流体を分流させるものであり、前記流体の流量を検出するためのセンサ流路と、
前記センサ流路に設けられたセンサ部から得られる信号により前記流体の流量を算出する流量算出部と、
前記メイン流路及び前記センサ流路の分流比と、メイン流路の一次側圧力との関係を示す分流比圧力関係データを格納する関係データ格納部と、
前記メイン流路の一次側圧力に基づいて、前記流量算出部により得られた前記流体の流量を補正する流量補正部と、を具備する質量流量計。 - 前記関係データ格納部が、前記メイン流路の一次側圧力と、当該メイン流路を流れる流体の定圧比熱との関係を示す比熱圧力関係データを格納するものであり、
前記流量補正部が、前記メイン流路の一次側圧力に対する定圧比熱により、前記流体の流量を補正するものである請求項6記載の質量流量計。 - 請求項1乃至7記載の質量流量計と、
前記メイン流路に設けられた流量制御弁と、
前記質量流量計により得られた測定流量値と、目標流量である設定流量値に基づいて前記流量制御弁の弁開度を制御する弁制御部と、を具備するマスフローコントローラ。
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