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JP2009235532A - 深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.035%、Si:0.8〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005%〜0.1%、N:0.01%以下、Nb:0.01〜0.3%、Ti:0.1%以下、V:0.3%以下(但し、Vは0の場合を含む)を含有し、かつ、NbとTiとVとCの含有量(質量%)が、0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%、Ti*=Ti−3.4Nを満たし、残部が鉄および不可避的不純物からなり、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値がともに1.7以上である深絞り性に優れた高強度鋼板である。また、同様の成分組成の鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とし、圧延後0.5s以内で20℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、冷却停止温度を600℃〜750℃とし、巻き取り温度を550℃以上750℃以下とし、コイル冷却した熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および圧延率50%以上85%以下の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、焼鈍温度:800℃以上950℃以下で焼鈍を行う冷延板焼鈍工程を順次施すことによる、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値がともに1.7以上である深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法である。
【選択図】なし

Description

この発明は、自動車用鋼板等の使途に有用な、引張強度(TS)が500MPa以上の高強度でかつ高r値(r値≧1.7)を有する深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法を提案しようとするものである。
近年、地球環境保全の観点から、CO2の排出量を規制するため、自動車の燃費改善が要求されている。加えて、衝突時に乗員の安全を確保するため、自動車車体の衝突特性を中心にした安全性向上も要求されている。このように、自動車車体の軽量化および自動車車体の強化が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に満たすには、剛性に問題とならない範囲で部品素材を高強度化し、板厚を減することによる軽量化が効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。

軽量化効果は使用する鋼板が高強度であるほど大きくなるため、自動車業界では、例えば内板および外板用のパネル用材料として引張強度(TS)440MPa超級の鋼板を使用する動向にある。
一方、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工によって成形されるため、自動車用鋼板には優れたプレス成形性を有していることが必要とされる。しかしながら、高強度鋼板は、通常の軟鋼板に比べて成形性、特に深絞り性は大きく劣化するため、自動車の軽量化を進める上での課題として、 TS≧500MPaでしかも、440MPa級以下の深絞り用鋼板と同等の深絞り性を有する鋼板の要求が高まっており、深絞り性の評価指標であるランクフォード値(以下、r値)で、平均r値≧1.7の高強度鋼板が要求されている。
高r値を有しながら高強度化する手段としては、極低炭素鋼板にTi、Nbを固溶炭素、固溶窒素を固着する量添加し、IF化(Interstitial free)した鋼をベースとして、これにSi、Mn、Pなどの固溶強化元素を添加する手法(例えば、特許文献1参照)がある。
特開昭56−139654号公報
特許文献1は、C:0.002〜0.015%、Nb:C%×3〜C%×8+0.020%、Si:1.2%、Mn:0.04〜0.8%、P:0.03〜0.10%の組成を有する、引張強さ35〜45kg/mm2級(340〜440MPa級)の非時効性を有する成形性の優れた高張力冷延鋼板に関する技術である。
しかしながら、このような極低炭素鋼を素材とする技術では、引張強度が≧440MPaの鋼板を製造しようとすると、合金元素添加量が多くなり、表面外観上の問題や、めっき性の劣化、2次加工脆性の顕在化などの問題が生じてくることがわかってきた。また、多量に固溶強化成分を添加すると、r値が劣化するので、高強度化を図るほどr値の水準は低下してしまう問題があった。

また、C量を極低炭素域まで低減するためには製鋼工程で真空脱ガスをおこなわなければならず、すなわち、これは製造過程でCO2を多量に発生することになり、地球環境保全の観点からも最適なものとは言い難い。
鋼板の高強度化の方法として、前述のような固溶強化以外に、組織強化法がある。例えば、軟質なフェライトと硬質のマルテンサイトからなる複合組織鋼板であるDP(Dual-Phase)鋼板がある。 DP鋼板は、一般的に延性については概ね良好であり優れた強度-延性バランス(TS×El)を有し、さらに降伏比が低い、すなわち引張強さの割に降伏応力が低く、プレス成形時の形状凍結性に優れるという特徴があるが、r値が低く深絞り性に劣る。これは結晶方位的にr値に寄与しないマルテンサイトが存在することの他、マルテンサイト形成に必須である固溶Cは高r値化に有効な{111}再結晶集合組織の形成を阻害するからと言われている。
このような複合組織鋼板のr値を改善する試みとして、例えば、特許文献2あるいは特許文献3の技術がある。
特公昭55−10650号公報 特開昭55−100934号公報
特許文献2の技術では、冷間圧延後再結晶温度〜Ac3変態点の温度で箱焼鈍を行い、その後、複合組織とするため700〜800℃に加熱した後、焼入焼戻しを行う技術が開示されている。しかしながら、この方法では、連続焼鈍時に焼入焼戻しを行うため、製造コストが問題となる。また箱焼鈍の場合処理時間や効率の面から、連続焼鈍に劣る。
特許文献3の技術は、高r値を得るために冷間圧延後、まず箱焼鈍を行い、このときの温度をフェライト(α)−オーステナイト(γ)の2相域とし、その後連続焼鈍を行うものである。この技術では、箱焼鈍の均熱時にα相からγ相にMnを濃化させる。このMn濃化相はその後の連続焼鈍時に優先的にγ相となり、ガスジェット程度の冷却速度でも混合組織が得られるものである。しかしながら、この方法では、Mn濃化のため比較的高温で長時間の箱焼鈍が必要であり、そのため鋼板間の密着の多発、テンパーカラーの発生および炉体インナーカバーの寿命低下など製造工程上多くの問題がある。
また、C:0.003〜0.03%、Si:0.2〜1%、Mn:0.3〜1.5%、Ti:0.02〜0.2%(ただし(有効Ti)/(C+N)の原子濃度比を0.4〜0.8)含有する鋼を、熱間圧延し、冷間圧延した後、所定温度に加熱後急冷する連続焼鈍を施すことを特徴とする深絞り性及び形状凍結性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法の技術(特許文献4参照)がある。この技術には、質量%で、0.012%C-0.32%Si-0.53%Mn-0.03%P-0.051%Tiの組成の鋼を冷間圧延後α-γの2相域である870℃に加熱後、100℃/sの平均冷却速度で冷却することにより、r値=1.61、TS=482MPaの複合組織型冷延鋼板が製造可能である技術が開示されている。しかし、100℃/sという高い冷却速度を得るには水焼入設備が必要となる他、水焼入した鋼板は表面処理性の問題が顕在化するため、製造設備上および材質上の問題がある。
特公平1−35900号公報
さらに、特許文献5には、C含有量との関係でV含有量の適正化を図ることで複合組織鋼板のr値を改善する技術が開示されている。これは再結晶焼鈍前には鋼中のCをV系炭化物で析出させて固溶Cを極力低減させて高r値を図り、引き続きα-γの2相域で加熱することによりV系炭化物を溶解させてγ中にCを濃化させてその後の冷却過程でマルテンサイトを生成させるものである。しかしながら、VCの熱延段階での析出が不十分であると、焼鈍後のr値を高めることができないという問題があった。

特開2002−226941号公報
また、深絞り性に優れた高度鋼板およびその製造方法の技術として、特許文献6の技術がある。この技術は、所定のC量を含有し、平均r値が1.3以上、かつ組織中にベイナイト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有する高強度鋼板を得るものであり、製造方法としては、冷間圧延の圧下率を30〜95%とし、次いでAlとNのクラスターや析出物を形成することによって集合組織を発達させてr値を高めるための焼鈍と、引き続き組織中にベイナイト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有するようにするための熱処理を行うことを特徴とするものである。この方法では冷延後、良好なr値を得るための焼鈍と、組織を作り込むための熱処理をそれぞれ必要としており、さらに焼鈍工程ではその保持時間が1時間以上という長時間保持を必要としており、工程的(時間的)に生産性が悪いという問題がある。さらに、得られる組織の第2相分率が比較的高く、これでは実際優れた強度延性バランスを安定的に確保することは困難である。
特開2003−64444号公報
深絞り性に優れる(軟)鋼板を高強度化するにあたり、従来検討されてきた固溶強化のみによる高強度化の方法には、多量の或いは過剰な合金成分の添加が必要であり、これはコスト的にも工程的にも、またr値の向上そのものにも課題を抱えるものであった。また、複合組織化による高r値化についても限界があった。
本発明は、このような従来技術の問題点を有利に解決し、従来にない深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、Nb、Ti、Vを適宜添加した低炭素鋼板で、Nb、Ti、Vに固定されない炭素量を制御しつつ、Siによる固溶強化と細粒化強化、析出強化をバランスさせること。さらに、熱延時での特に後段での未再再結晶域での圧延率を確保することにより圧延45°方向のr値および平均r値ともに1.7以上で深絞り性に優れた高強度鋼板を得ることに成功した。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)質量%で
C:0.01〜0.035%
Si:0.8〜2.0%
Mn:1.0〜3.0%
P:0.005〜0.1%
S:0.01%以下
Al:0.005%〜0.1%
N:0.01%以下
Nb:0.01〜0.3%
Ti:0.1%以下、
V:0.3%以下(但し、Vは0の場合を含む)を含有し、
かつ、NbとTiとVとCの含有量(質量%)が
0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
Ti*=Ti−3.4Nを満たし、残部が鉄および不可避的不純物からなり、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値がともに1.7以上であることを特徴とする深絞り性に優れた高強度鋼板である。
(2)さらに、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.02〜0.5%を1種以上含有することを特徴とする前記(1)の深絞り性に優れた高強度鋼板である。
(3)鋼組織は、フェライト相の面積率が90%以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)の深絞り性に優れた高強度鋼板である。
(4)鋼板表面にメッキ層が形成されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項の深絞り性に優れた高強度鋼板である。
(5)質量%で
C:0.01〜0.035%
Si:0.8〜2.0%
Mn:1.0〜3.0%
P:0.005〜0.1%
S:0.01%以下
Al:0.005%〜0.1%
N:0.01%以下
Nb:0.01〜0.3%
Ti:0.1%以下
V:0.3%以下(但し、Vは0の場合を含む)を含有し、
かつ、NbとTiとVとCの含有量(質量%)が
0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
Ti*=Ti−3.4N
を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とし、圧延後0.5s以内で20℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、冷却停止温度を600℃〜750℃とし、巻き取り温度を550℃以上750℃以下とし、コイル冷却した熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および圧延率50%以上85%以下の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、焼鈍温度:800℃以上950℃以下で焼鈍を行う冷延板焼鈍工程を順次施し、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値ともに1.7以上の鋼板を製造することを特徴とする深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法である。
(6)前記鋼スラブが、さらに、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.02〜0.5%を1種以上含有することを特徴とする前記(5)の深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法である。
(7)前記冷延板焼鈍工程の後に、溶融めっき処理を施すことを特徴とする前記(5)又は(6)の深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法である。
本発明は、C含有量が0.01〜0.035wt%の範囲において、従来の極低炭素IF鋼のように深絞り性に悪影響をおよぼす固溶Cの低減を徹底的に行うことはせずに、固溶Cを残存させた状態下にもかかわらず、固溶C量の最適化と、熱延条件の最適化により{111}再結晶集合組織を発達させてTS500MPa以上で圧延45°方向のr値、平均r値ともに1.7以上を達成したものである。
従来、軟鋼板においては、高r値化、すなわち{111}再結晶集合組織を発達させるためには、冷間圧延および再結晶前の固溶Cを極力低減することや熱延板組織を微細化することなどが有効な手段とされてきた。一方、前述のようなDP鋼板では、マルテンサイト形成に必要な固溶Cを必要とするため母相の再結晶集合組織が発達せずr値が低かった。しかしながら、本発明では、Nbと熱延の後段での圧延率確保による熱延板の微細化効果による高r値効果により、適度な固溶Cが存在しても、平均r値と相関の強い{111}再結晶集合組織発達と、圧延45°方向のr値を発達させる{211}<110>付近の集合組織を発達させる好成分範囲が存在することを新たに見出した。すなわち、従来のDP鋼板(低炭素鋼レベル)よりもC量を低減し、しかしながら、極低炭素鋼に比べてC量が多いという、0.01〜0.035%のC含有量に加え、このC量に合わせて適切なNb、Ti、V添加を行うこと、さらに熱延の後段での圧延率を確保することで、強度については固溶強化と細粒化効果と析出強化のバランスでTS500MPaを達成し、r値については圧延45°方向、平均r値ともに1.7以上となる特性を達成したものである。強度については、TS530MPa以上とすることが好ましく、TS540MPa以上とすることがより好ましい。固溶Cの確保は、積極的にDP組織を発現させ、組織強化を図るほどのものではないが、一部はマルテンサイトやベイナイトの第2相を含有することもある。そして、固溶強化のみにより高強度化を図るIF系ハイテンの問題である二次加工脆性を改善する目的もある。
従来知られているように、Nbは再結晶遅延効果があるため、熱延時の仕上温度を適切に制御することで熱延板組織を微細化することが可能であり、さらに鋼中においてNbは高い炭化物形成能を有している。本発明では特に、熱延仕上温度を変態点直上の適切な範囲にして熱延板組織を微細化する以外に、950℃以下のγの未再結晶域での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とすることで、冷延焼鈍後に圧延45°方向r値、平均r値ともにの上昇させるための、熱延板の微細化と熱延集合組織を発達させる。また、固溶強化元素のSiを活用する場合にも、固溶Cの確保とNb添加だけでは、Si添加に伴い、焼鈍後の圧延45°方向のr値が低下してしまうので、上記の熱延条件の最適化が必須であることが分かってきた。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
以下、特に断らない限り、元素の含有量は質量%で示している。
まず、本発明の鋼板の成分組成を限定した理由について説明する。
C:0.01〜0.035%
Cは後述のNbとともに本発明における重要な元素である。CはNbCによる析出強化と細粒化硬化に有効であり、さらに焼鈍板に固溶することで耐二次加工脆性を改善する。本発明では析出強化、細粒化硬化、耐二次加工脆性の観点から0.01%以上含有する必要がある。一方、良好なr値を得るためには過剰な添加は好ましいものではないことを考慮して上限を0.035%とする。より好ましくは、C含有量は0.03%以下とする。
Si: 0.8〜2.0%
Siはr値を低下させず有効に固溶強化を図ることのできる元素であり、TS500Mpaを確保するためには、Siは0.8%以上含有することが好ましく、より好ましくは1.0%以上含有する。一方、Siを2.0%を超えて含有すると、熱延時に赤スケールが発生するため、鋼板とした時の表面外観を悪くする。また溶融亜鉛を施す際にめっきの濡れ性を悪くしてめっきむらの発生を招き、めっき品質が劣化するので、Si含有量は2.0%以下とすることが好ましい。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは焼鈍後の冷却時に一部第2相を存在させることで高強度化に有効であるとともに、圧延45°方向のr値を上昇させるために変態点を低下させることで、熱延板の微細化させる効果を有する。またMnはSによる熱間割れを防止するのに有効な元素でもある。このような観点からMnは1.0%以上含有する必要がある。より好ましくは1.2%以上含有させる。また一方で、過度の添加はr値および溶接性を劣化させるので3.0%を上限とする。
P:0.005〜0.1%
Pはr値の低下代も少なく固溶強化可能な元素がある。しかしながら0.005%未満ではその効果が現れないだけでなく、製鋼工程において脱りんコストの上昇を招く。したがって、Pは0.005%以上含有するものとした。より好ましくは0.01%以上含有する。一方0.1%を越える過剰な添加は、Pが粒界に偏析し、耐二次加工脆性および溶接性を劣化させる。また、溶融亜鉛めっき鋼板とする際には、溶融亜鉛めっき後の合金化処理時に、めっき層と鋼板の界面における鋼板からめっき層へのFeの拡散を抑制し、合金化処理性を劣化させる。そのため、高温での合金化処理が必要となり、得られるめっき層はパウダリング、チッピング等のめっき剥離が生じやすいものとなるため好ましくない。従ってPの含有量の上限を0.1%とした。
S:0.01%以下
Sは不純物であり、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させるので、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までは許容できるため、0.01%以下とする。
Al:0.005%〜0.1%以下
Alは鋼の脱酸元素として有用である他、固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用があるため、0.005%以上含有する。一方、0.1%を越える添加は高合金コストを招き、さらに表面欠陥を誘発するので、0.1%以下とする。
N:0.01%以下
Nは多すぎると耐常温時効性を劣化させ、多量のAlやTi添加が必要となるため、をできるだけ低減することが好ましいく、上限を0.01%とする。
Nb:0.01〜0.3%、0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
Nbは本発明において最も重要な元素であり、熱延板組織の微細化および熱延板中にNbCとしてCを析出固定させる作用を有し、高r値化に寄与する元素である。このような観点からNbは0.01%以上含有するのが好ましい、過剰のNb添加は焼鈍板を軟質化させるとともに、粒界を清浄化し、粒界強度を低下させ、二次加工脆性を顕在化させるので、上限を0.3%とする。
また、上記のNb添加の効果を奏するには特にNb含有量(質量%)とC含有量(質量%)とのバランスを
0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
を満足させることが必要である。
上記のC、Nb、Ti、Vの式が0.0005%未満では耐二次加工脆性や低強度化が懸念させるので好ましくなく、0.005%を超えると平均r値が1.7以上を確保することが困難となる。
V:0.3%以下(0の場合を含む)
VもNbと同様の効果を有し、熱延板組織の微細化させること、熱延板中に炭化物としてCを析出固定させる作用を有し、高r値化に寄与する元素であるので、適宜Vを添加する。但し、炭素を固定する能力はNb、Tiなどに比べると劣るので、その分を考慮して添加する必要がある。そのための係数として10を用いている。
Ti:0.1%以下
TiもNbと同様の効果を有し、熱延板組織の微細化させること、熱延板中に炭化物としてCを析出固定させる作用を有し、高r値化に寄与する元素である。但し、熱延板の微細化効果はNbが大きいので、Nb添加鋼に対して、Tiを添加するのが良い。このような観点からTi、は0.005%以上含有するのが好ましい。一方で、過剰のTi、添加は強度確保と耐二次加工脆性の観点から好ましいものでなく、上限を0.1%とする。
また、Nb、Ti、添加の効果を奏するには特にNb、Ti(Ti*)、V含有量(質量%)とC含有量(質量%)との関係を
0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
を満足させることが必要である。この場合のTi*
Ti*=Ti−3.4N
で、非常に安定なTiNにより析出してしまう分を差し引いた有効なTi量で評価する。
Cr:0.1%〜1.0%
CrはMn同様マルテンサイトが得られる臨界冷却速度を遅くする作用をもち、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト形成を促す元素であり、強度レベル向上に効果がある。これらの効果を得るためには、Crは0.1%以上含有することが好ましい。しかしながら、過剰のCr添加はこれらの効果を必要以上に飽和するだけでなく、高合金コストを招くことから上限を1.0%とする。
Mo:0.02%〜0.5%
MoはMn同様マルテンサイトが得られる臨界冷却速度を遅くする作用をもち、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト形成を促す元素であり、強度レベル増加に効果がある。また、フェライト中でのMoはr値への低下量が少なく、固溶強化できる元素である。これらの効果を得るためには、Moは0.02%以上含有することが好ましい。しかしながら、過剰のMo添加はこれらの効果を必要以上に飽和するだけでなく、高合金コストを招くことから上限を0.5%とする。
以上が本発明の基本成分である。
また、本発明では上記した成分以外の残部は実質的に鉄および不可避的不純物の組成とすることが好ましい。
なお、B、Ca、REM等を、通常の鋼組成範囲内であれば含有しても何ら問題はない。
例えば、Bは鋼の焼入性を向上する作用をもつ元素であり、必要に応じて含有できる。しかしその含有量が0.003%を越えるとその効果が飽和するため0.003%以下が好ましい。
また、CaおよびREMは硫化物系介在物の形態を制御する作用をもち、これにより鋼板の諸特性の劣化を防止する。このような効果はCaおよびREMのうちから選ばれた1種または2種の含有量が合計で0.01%を越えると飽和するのでこれ以下とすることが好ましい。
また、その他の不可避的不純物としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下の範囲である。
本発明の鋼板の鋼組織については、主相はフェライト相であり、フェライト相の他に、マルテンサイト相、パーライト、ベイナイトあるいは残留γ相などを含んだ組織としてもよい。但し、第2相の存在はr値の低下を招くため、フェライト相の面積率を90%以上とすることが好ましい。
圧延45°方向および平均r値が1.7以上
本発明の鋼板は、上記成分組成、組織を満足するとともに、圧延45°方向および平均r値が1.7以上を満足するものである。
本発明では、上記成分組成に調整し、しかも後で述べる熱延条件の最適化により、初めて圧延45°方向のr値(r45)および平均r値が1.7以上を達成することができた。
ここで平均r値とは、JIS Z 2254で求められる平均塑性ひずみ比を意味し、以下で求められる値である。
平均r値=(r0+2r45+r90)/4
0=試験片を板面の圧延方向に対し平行に採取し測定した塑性ひずみ比
45=試験片を板面の圧延方向に対し45°方向に採取し測定した塑性ひずみ比
90=試験片を板面の圧延方向に対し90°方向に採取し測定した塑性ひずみ比
本発明の鋼板は、電気めっき、あるいは溶融亜鉛めっきなどの表面処理を施した、いわゆるめっき鋼板をも含むものである。めっきとは、純亜鉛の他、亜鉛を主成分として合金元素を添加した亜鉛系合金めっき、あるいはAlやAlを主成分として合金元素を添加したAl系合金めっきなど、従来鋼板表面に施されているめっき層も含む。
次に、本発明鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本発明の製造方法にもちいられるスラブの組成は上述した鋼板の組成と同様であるので、鋼スラブの限定理由については省略する。
本発明の鋼板は、上記した範囲内の組成を有するスラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し、仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とし、圧延後0.5s以内で20℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、冷却停止温度を600℃〜750℃とし、巻き取り温度を550℃以上750℃以下とし、コイル冷却した熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および圧延率50%以上85%以下の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、焼鈍温度:800℃以上950℃以下で焼鈍を行う冷延板焼鈍工程を順次施すことにより製造できる。焼鈍温度から500℃までの温度域の平均冷却速度:5℃/s以上として冷却することが好ましい。
本発明では、まず鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とする仕上圧延を施す。
本発明の製造方法で使用する鋼スラブは成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造した後、いったん室温まで冷却し、その後再度加熱する従来法に加え、冷却せず温片のままで加熱炉に装入し熱間圧延する直送圧延、或いはわずかの保熱をおこなった後に直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギプロセスも問題なく適用できる。
スラブ加熱温度は、析出物を粗大化させることにより{111}再結晶集合組織を発達させて深絞り性を改善するため、低い方が望ましい。しかし加熱温度が1000℃未満では圧延荷重が増大し熱間圧延時におけるトラブル発生の危険性が増大するので、スラブ加熱温度は1000℃以上にすることが好ましい。なお、酸化重量の増加に伴うスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度の上限は1300℃とすることが好適である。
上記条件で加熱された鋼スラブに粗圧延および仕上げ圧延を行う熱間圧延を施す。ここで、鋼スラブは粗圧延によりシートバーとされる。なお、粗圧延の条件は特に規定する必要はなく、常法に従っておこなえばよい。また、スラブ加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止するといった観点から、シートバーを加熱する所謂シートバーヒーターを活用することは有効な方法であることは言うまでもない。
次いで、シートバーを仕上げ圧延して熱延板とする。仕上圧延出側温度(FT)は800℃以上とし950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上する。これは冷間圧延および再結晶焼鈍後に優れた深絞り性が得られる微細な熱延板組織と熱延集合組織を得るためである。950℃以下の未再結晶域での圧延率を高めることが重要で、50%未満では、十分な効果が得られない。特に圧延45°方向のr値を高めることができず、結果、平均r値も低い。

また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するため仕上圧延の一部または全部のパス間で潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは鋼板形状の均一化や材質の均質化の観点からも有効である。潤滑圧延の際の摩擦係数は0.10〜0.25の範囲とするのが好ましい。さらに、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも好ましい。連続圧延プロセスを適用することは熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
コイル巻き取り前の冷却については、一旦は圧延後0.5s以内で冷却を開始し、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却し冷却停止温度を600℃〜750℃にする必要がある。これは熱延板の微細化と、Nb系の析出物サイズ調整に重要な工程である。0.5sを越えるとオーステナイトが再結晶をし始め、変態後のフェライト組織が粗大となるため、高r値化に好ましくない。また、20℃/s未満の平均冷却速度ではフェライト変態開始温度が高くなり、フェライト粒が粗大となってr値が低下するので好ましくない。また、冷却停止温度は600℃未満では巻き取り温度が低くなり、NbCの析出が不十分となるので好ましくなく、750℃を超えると、フェライト粒径が粗大化し、強度低下を招くと共に、冷延焼鈍後のr値が低下してしまう。コイル巻き取り温度(CT)は、550℃以上750℃以下とする。この温度範囲が熱延板中にNbCを析出させるのに好適な温度範囲であるとともに、特にCTが上限を越えると結晶粒が粗大化し強度低下を招くとともに冷延焼鈍後の高r値化を妨げることになる。
上記のように成分組成および熱延条件を調整することにより、熱延板の組織を、小傾角粒界を含む平均結晶粒径が8μm以下とすることができ、高r値化に有利となる。
次いで、該熱延板に酸洗および冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程を施す。酸洗は通常の条件にておこなえばよい。冷間圧延条件は所望の寸法形状の冷延板とすることができればよく、特に限定されないが、冷間圧延時の圧下率は少なくとも50%以上とすることが好ましい。高r値化には高冷延圧下率が一般に有効であり、圧下率が50%未満では{111}再結晶集合組織が発達せず、優れた深絞り性を得ることが困難となる。一方、この発明では冷間圧下率を85%までの範囲で高くするほどr値が上昇するが、85%を越えるとその効果が飽和するばかりでなく、圧延時のロールへの負荷も高まるため、上限を85%とすることが好ましい。
次に、上記冷延板に焼鈍温度:800℃以上950℃以下で焼鈍を行う焼鈍工程を施す。
上記焼鈍は本発明の焼鈍工程では、変態する前に再結晶を促進させる必要があるため、800℃以上の焼鈍が最低必要である。一方950℃を越える高温ではγ単相域となり、フェライトへの逆変態時の集合組織が弱くなってしまうので好ましくない。
また、上記冷延板焼鈍工程の後に電気めっき処理、あるいは溶融めっき処理などのめっき処理を施し、鋼板表面にめっき層を形成しても良い。
例えば、めっき処理として、自動車用鋼板に多く用いられる溶融亜鉛めっき処理を行う際には、上記焼鈍を連続溶融めっきラインにておこない、焼鈍後の冷却に引き続いて溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、表面に溶融亜鉛めっき層を形成すればよく、或いはさらに合金化処理をおこない、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造してもよい。
また、上記焼鈍後の冷却までを焼鈍ラインで行い、一旦室温まで冷却した後、溶融亜鉛めっきラインにて溶融亜鉛めっきを施し、或いはさらに合金化処理を行っても良い。
ここで、めっき層は純亜鉛および亜鉛系合金めっきに限らず、AlやAl系合金めっきなど、従来、鋼板表面に施されている各種めっき層とすることも勿論可能である。
また、冷延焼鈍板およびめっき鋼板には形状矯正、表面粗度等の調整の目的で調質圧延またはレベラー加工を施してもよい。調質圧延或いはレベラー加工の伸び率は合計で0.2〜15%の範囲内であることが好ましい。0.2%未満では形状矯正、粗度調整の所期の目的が達成できない、一方15%を越えると顕著な延性低下をもたらす。なお、調質圧延とレベラー加工では加工形式が相違するが、その効果は両者で大きな差がないことを確認している。調質圧延、レベラー加工はめっき処理後でも有効である。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これら鋼スラブを1250℃に加熱し粗圧延してシートバーとし、次いで表2に示す条件の仕上圧延を施す熱間圧延工程により熱延板とした。これらの熱延板を酸洗および圧下率70、80%の冷間圧延工程により冷延板とした。引き続き、これら冷延板に連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で連続焼鈍をおこなった。さらに得られた冷延焼鈍板に伸び率0.5%の調質圧延を施した。
なお、No.7の鋼板は、連続溶融亜鉛めっきラインにて冷延板焼鈍工程を施し、その後引き続きインラインで溶融亜鉛めっき(めっき浴温:480℃)を施して溶融亜鉛めっき鋼板とし、同様に各種特性を評価した。
得られた冷延焼鈍板について微視組織、引張特性、およびr値測定を調査した。調査方法は下記の通りである。
(1)引張特性
各得られた冷延焼鈍板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度10mm/minで引張試験を行い、引張強さ(TS)、伸び(El)を求めた。
(2)r値測定
各得られた冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)、圧延方向に対し90°方向(C方向)からJIS5号引張試験片を採取した。これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を求め、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を求め、これをr値とした。
(3)微細組織の調査
組織は、ナイタールにて腐食後、SEMにて1000倍又は3000倍の写真を撮影し、ポイントカウント法により各相の面積率を評価した。
Figure 2009235532
Figure 2009235532
表1、表2より明らかなように、C、Si、Mn、P、S、Al、N、Nb、Ti、V、(Cr、Mo)を所定量含有し、0.0005%≦C*≦0.005%、C*=C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V、Ti*=Ti−3.4Nを満たした記号1、5、6、9、11、14〜16の鋼(表1)を用い、所定の条件で製造した本発明例(No.1〜7、9〜12、No.15、No.16、No.20、No.21、No.27、No.29、No32〜34)の鋼板(表2)では、いずれもTS500MPa以上(No.15、No.20、No.21、No32の鋼板を除いてTS540MPa以上)と圧延45°方向および平均r値1.7以上の高いr値を有し、高延性となっている。また、本発明の鋼板は、フェライト相の面積率が、90%以上であった。これに対し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例の鋼板では、強度が不足しているか或いはr値が低下している鋼板となっている。すなわち、C*が0.005%を超える記号2〜4、7、8、10の鋼を用いた鋼板(No.17〜19、No.22〜26、No.28)では、圧延45°方向のr値は1.7以上となっているが、平均r値が1.7以上を達成することができない。Siの含有量が0.8%未満で、C*が0.005%を大きく超える記号12、13の鋼を用いた鋼板(No.30、No.31)では、圧延45°方向のr値および平均r値の両者が1.7未満である。化学成分を所定量含有した記号6の鋼を用いた場合でも、所定の製造条件を満たしていない条件で製造した鋼板、例えば、冷却停止温度が750℃を超える条件で製造した鋼板(No.8)、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率が50%未満の条件で製造した鋼板(No.13、No.14)では、圧延45°方向のr値および平均r値の両者が1.7未満である。
以上のとおり、本発明においては、鋼の成分組成および製造条件を限定したことにより、TS500MPa以上と圧延45°方向および平均r値1.7以上の高いr値を達成することができたものである。
本発明によれば、TS500MPa以上での高r値を有する高強度鋼板を安価にかつ安定して製造することが可能となり産業上格段の効果を奏する。例えば本発明の高強度鋼板を自動車部品に適用した場合、これまでプレス成形が困難であった部位も高強度化が可能となり、自動車車体の衝突安全性や軽量化に十分寄与できるという効果がある。また自動車部品に限らず家電部品やパイプ用素材としても適用可能である。

Claims (7)

  1. 質量%で
    C:0.01〜0.035%
    Si:0.8〜2.0%
    Mn:1.0〜3.0%
    P:0.005〜0.1%
    S:0.01%以下
    Al:0.005%〜0.1%
    N:0.01%以下
    Nb:0.01〜0.3%
    Ti:0.1%以下
    V:0.3%以下(但し、Vは0の場合を含む)を含有し、
    かつ、NbとTiとVとCの含有量(質量%)が
    0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
    Ti*=Ti−3.4Nを満たし、残部が鉄および不可避的不純物からなり、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値がともに1.7以上であることを特徴とする深絞り性に優れた高強度鋼板。
  2. さらに、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.02〜0.5%を1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。
  3. 鋼組織は、フェライト相の面積率が90%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。
  4. 鋼板表面にめっき層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。
  5. 質量%で
    C:0.01〜0.035%
    Si:0.8〜2.0%
    Mn:1.0〜3.0%
    P:0.005〜0.1%
    S:0.01%以下
    Al:0.005%〜0.1%
    N:0.01%以下
    Nb:0.01〜0.3%
    Ti:0.1%以下
    V:0.3%以下(但し、Vは0の場合を含む)を含有し、
    かつ、NbとTiとVとCの含有量(質量%)が
    0.0005%≦C−(12/93)Nb−(12/48)Ti*−(12/50.9)(1/10)V≦0.005%
    Ti*=Ti−3.4N
    を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、950℃以下での仕上げ圧延のトータル圧延率を50%以上とし、圧延後0.5s以内で20℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、冷却停止温度を600℃〜750℃とし、巻き取り温度を550℃以上750℃以下とし、コイル冷却した熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および圧延率50%以上85%以下の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、焼鈍温度:800℃以上950℃以下で焼鈍を行う冷延板焼鈍工程を順次施し、TS500MPa以上で圧延45°方向のr値および平均r値ともに1.7以上の鋼板を製造することを特徴とする深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  6. 前記鋼スラブが、さらに、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.02〜0.5%を1種以上含有することを特徴とする請求項5に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  7. 前記冷延板焼鈍工程の後に、溶融めっき処理を施すことを特徴とする請求項5又は6に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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