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JP2009227809A - 親水性組成物及び親水性処理部材 - Google Patents

親水性組成物及び親水性処理部材 Download PDF

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JP2009227809A
JP2009227809A JP2008074727A JP2008074727A JP2009227809A JP 2009227809 A JP2009227809 A JP 2009227809A JP 2008074727 A JP2008074727 A JP 2008074727A JP 2008074727 A JP2008074727 A JP 2008074727A JP 2009227809 A JP2009227809 A JP 2009227809A
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hydrophilic
emulsion
resin
coating method
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Makoto Fukuda
誠 福田
Akira Kamata
晃 鎌田
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Fujifilm Corp
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】柔軟でかつ膨潤し難くすることで、耐傷性と耐水擦り性に優れた親水性塗膜、あるいは左記親水性塗膜を形成できる親水性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】架橋基を含有する親水ポリマー(A)とW/O/W型乳化物(B)とを含有することを特徴とする親水性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種の基板表面に防汚性、防曇性、且つ、より良好な耐傷性と耐水擦り性を有する親水膜を形成するのに有用な親水性組成物、及び、該親水性組成物による親水膜を備えた防汚性、防曇性表面を有する親水性処理部材に関する。
従来、建築物、土木構築物、自動車等の躯体の保護、意匠性の付与および、美観の向上のため塗装仕上げが行われている。特に、近年フッ素樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料あるいはポリウレタン樹脂塗料等の高耐久性塗料の出現により、躯体の保護に関しては大きな進歩を遂げた。しかしながら、それらの表面は、樹脂本来の特性から、疎水性・親油性を示すものが一般的である。従って、これらの表面に汚れ物質として、油分等が付着した場合、容易に除去することができず、また蓄積することにより、該表面を有する製品・部材の機能・特性を著しく低下させることがあった。また高湿度の条件や降雨下に曝される製品・部材では、水滴が付着することにより、透明な機能を有する製品・部材において、光の乱反射により光の透過性が阻害される問題があった。ガラスや金属等の無機表面を有する製品・部材においても、油分等の汚れ物質の付着に対する防汚性は十分とは言えず、水滴の付着による防曇性についても十分ではなかった。特に自動車用ガラス、建材用ガラスでは、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着する場合や、水滴の付着によりガラスを透して(鏡の場合は反射して)視界を確保することが妨げられる場合が多く、防汚性や防曇性の機能付与が強く求められていた。
防汚性の観点から、汚れ物質を油分等の有機系物質と想定すると、汚れ防止の為には材料表面との相互作用を低減する、即ち親水化するか、撥油化する必要がある。また防曇性に対しても、付着水滴を表面に一様に拡げる拡張濡れ性(即ち親水性)を付与するか、付着水滴を除去し易くさせる撥水性を付与することが必要となる。従って、現在検討されている防汚・防曇材料は、親水化や撥水・撥油化に依拠しているものが多い。
従来提案されている親水化するための表面処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等によれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案されている(非特許文献1)。この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められている。
その他の表面親水性機能を有する部材として、従来から光触媒として酸化チタンの利用が知られている。これは、光照射による有機物の酸化分解機能と親水化機能に基づくもので、例えば、特許文献1において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが報告されている。酸化チタンをガラス表面にコーティングした部材は、セルフクリーニング材料として、建材用窓ガラスや自動車用フロントガラスに使用されているが、防汚性や防曇性の機能発現には、長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での汚れの蓄積により、その性質が劣化することは避けられなかった。また膜強度が十分とは言えず、耐久性の向上が必要であった。またプラスチック基板上に酸化チタン層を設けたセルフクリーニングフィルムも自動車用サイドミラー等に使用されているが、同じく十分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗性を有する親水性材料が求められていた。
また、撥水・撥油性に基づく防汚・防曇性材料としては、主にシリコーン化合物やフッ素化合物が使用されている。例えば、基板表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚材料が特許文献2に、ポリフルオロアルキル基を有するシラン化合物を有する材料が特許文献3に、二酸化珪素を主成分とする光学薄膜とパーフルオロアクリレートとアルコキシシラン基を有するモノマーとの共重合体との組合せが特許文献4に開示されている。しかしながらこれらのシリコーン化合物やフッ素化合物を用いた防汚材料は、防汚性が不十分であり、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れを除去し難く、フッ素やシリコーン等の表面エネルギーの低い化合物による表面処理は、経時による機能の低下が懸念され、耐久性の優れた防汚・防曇性部材の開発が望まれていた。
一方、特許文献5には、シリル基を有するエマルションまたは水溶性樹脂、エポキシ基を有する化合物、有機アルミニウム化合物を含有する硬化性組成物等が提案されている。しかしながら、これらの硬化性組成物により得られる被覆膜は十分な親水性表面を得ることができず、耐水性、耐汚染性、耐候性が低い。このため、さらなる改善が望まれる。
こういった課題を解決するため、表面親水性を高めようと親水基と加水分解性シリル基を有するビニル系共重合体を塗料に用いると、親水基が強固に水素結合することによって非常に脆い膜質となり耐傷性が低くなる。また、膜内が親水的なため膨潤し易く、耐水擦り性が低くなるといった問題があった。
一般的には脆性の改良、膨潤の抑制にはラテックスなどの疎水性粒子を添加することが考えられる。しかし、このような粒子を添加した場合、摩耗することによって疎水部が表面に出てきてしまう。また、膨潤を抑制するために無機成分をハイブリッド化する検討も行われてきた(特許文献6)。しかし、膨潤は抑制できるものの、膜質は脆くなってしまう。これらの問題から、表面の親水性と柔軟性、膨潤の抑制を両立した親水材料は未だない。
一方、バインダー中に親水化合物を内包したカプセルを添加する手法も考えられてきた(特許文献7)。しかし、バインダーが溶剤に溶出してカプセルが塗膜表面に出てきて、親水性化合物を放出し親水性を発現しているため、この親水性化合物がなくなってしまうと親水性は持続できない。また、膜強度が低く脆い性質であったために耐傷性、耐水擦り性は低いものであった。
国際公開第96/29375号パンフレット 特開平4−338901号公報 特公平6−29332号公報 特開平7−16940号公報 特開平7−11152号公報 特開2002−361800号公報 特開2007−246818号公報 新聞"化学工業日報"1995年1月30日付け記事
本発明は、前記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、膜質を柔軟にし応力を分散することでドライ耐傷性を向上させること、膜内の膨潤を抑えウェット耐傷性を向上させ、長期に渡る防汚・防曇性を維持するためのものである。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、下記構成の発明により、上記課題が解決されることを見出した。
1. 架橋基を含有する親水ポリマー(A)とW/O/W型乳化物(B)とを含有することを特徴とする親水性組成物。
2. 前記親水ポリマー(A)の架橋性基が加水分解性シリル基であることを特徴とする上記1に記載の親水性組成物。
3. 前記親水ポリマー(A)が下記一般式(I)で表される構造を有することを特徴とする上記2に記載の親水性組成物。
Figure 2009227809
一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。Lは単結合又は多価の有機連結基を表す。Lは単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。mは1〜3の整数を表す。x、yは組成比であり、0<x<100、0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
4. 前記W/O/W型乳化物(B)の壁材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂から選択される少なくとも一つからなることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の親水性組成物。
5. 前記W/O/W型乳化物(B)の壁材表面が親水性化合物で処理されていることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の親水性組成物。
6. 前記W/O/W型乳化物(B)が、前記親水ポリマー(A)と架橋することができる架橋基を表面に有することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の親水性組成物。
7. 前記W/O/W型乳化物(B)が表面に有する架橋基が加水分解性シリル基であることを特徴とする上記6に記載の親水性組成物。
8. さらに、親水ポリマー(A)の架橋を促進する開始剤または触媒(C)を含有することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の親水性組成物。
9. 上記1〜8の親水性組成物を基材に塗布、乾燥し、膜厚10nm〜1mmの膜を形成したことを特徴とする親水処理部材。
10. 前記基材への塗布方法が、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、フローコーティング法、バーコート法、スポンジを用いたコーティング法のいずれかであることを特徴とする上記9に記載の親水処理部材。
本発明によれば、親水ポリマーとW/O/W型乳化物とを組み合わせることによって適度な柔軟性付与、膨潤を抑制することができドライ耐傷性・ウェット耐傷性を向上させることができる。また、たとえ塗膜が摩耗してもW/O/W型乳化物が潰れて中から親水性化合物が出てくるため長期に渡って親水性を保持することができる。
以下に、本発明の親水性組成物に含まれる、架橋基を含有する親水ポリマー(A)とW/O/W型乳化物(B)について説明する。
〔(A)架橋基を含有する親水ポリマー〕
(A)架橋基を含有する親水ポリマー(特定親水ポリマーともよぶ)が有する架橋基は、特に限定される必要はないが、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。中でも最も好ましいのは、架橋と同時に親水性基であるシラノール基を発現する加水分解性シリル基である。これらは2種類以上組み合わせることもできる。
(A)特定親水ポリマーが有する親水性基は、−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
(A)特定親水ポリマーとして特に好ましい化合物を以下に示す。
特定親水ポリマーは、下記一般式(I−a)、(I−b)で示される構造単位を有するポリマーであることが好ましい。
Figure 2009227809
一般式(I−a)及び(I−b)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基(好ましくは炭素数8以下)を表す。Lは単結合又は多価の有機連結基を表す。Lは単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。mは1〜3の整数を表す。x、yは組成比を表し、0<x<100、0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
〜Rが炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
〜Rは、効果および入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R〜Rにおいて挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
は単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とXが連結鎖なしに直接結合していることを表す。さらに、有機連結基とは非金属原子からなる連結基を示し、具体的には、0個から200個までの炭素原子、0個から150個までの窒素原子、0個から200個までの酸素原子、0個から400個までの水素原子、および0個から100個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009227809
また、Lはポリマー又はオリゴマーから形成されていてもよく、具体的には不飽和二重結合系モノマーからなるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンなどを含むことが好ましく、その他の好ましい例として、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノ酸、ポリシロキサン等が挙げられ、好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンが挙げられ、より好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレートである。
これらポリマー及びオリゴマーに用いられる構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、Lがポリマーまたはオリゴマーの場合は構成する元素数に制限は特になく、分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。ここで、単結合とはポリマー主鎖とSi原子が連結基なしに直接結合していることを表す。また、L中に、前記構造は2つ以上存在してもよく、その場合には、互いに同じものでも、異なるものであってもよい。前記構造を1つ以上含むのであれば、他の構造はLで挙げられたものと同様の構造を有することができる。
また、Xは親水基であって、−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基)、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
また、−CON(R)(R)、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SON(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、−PO(R)(R)、−N(R)(R)(R)又は−N(R)(R)(R)(R)についてR〜Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R〜Rはさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R〜Rがアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
、R又はRとしては具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
、Rとしては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、または、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
としては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等の無機アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等の有機アニオンが挙げられる。
また、このようなXとしては具体的には、−CO Na、−CONH、−SO Na、−SONH、−PO等が好ましい。
x及びyは(A)特定親水ポリマーにおける、一般式(I−a)で表される構造単位と一般式(I−b)で表される構造単位の組成比を表す。x、yは組成比を表し、0<x<100、0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。x:yは、99:1〜10:90の範囲であることが好ましく、99:1〜50:50の範囲であることがさらに好ましく、95:5〜70:30の範囲であることが最も好ましい。この範囲に各モノマーのモル比を設定することで、塗布液の高い安定性、高い膜強度と親水性が発現するという効果が奏される。
なお、ここで、ポリマー鎖を構成する構造単位である(I−a)及び(I−b)は、それぞれすべて同じものであっても、異なる複数の構造単位を含むものであってもよく、その場合、一般式(I−a)に相当する構造単位と一般式(I−b)に相当する構造単位の組成比が上記範囲であることが好ましい。
(A)特定親水ポリマーの質量平均分子量としては、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
以下に、(A)特定親水ポリマーの具体例〔例示化合物(1)〜(50)〕をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体であることを意味する。
Figure 2009227809
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本発明の(A)特定親水ポリマーを合成する原料化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
(A)特定親水ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
また、上記特定親水ポリマーは、後述するような他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、親水性膜としての機能が十分であり、(A)特定親水ポリマーを添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、(A)特定親水ポリマー中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
〔(B)W/O/W型乳化物〕
W/O/W型乳化物は外水相と壁材と内水相から成り立っている。
W/O/W型乳化物の壁材としては、特に限定される必要はないがポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。中でも、疎水性の樹脂が好ましい。
W/O/W型乳化物の壁材表面は水に分散させるために親水処理されていることが好ましい。その例としては、界面活性剤を吸着させる方法、外水相に含まれる親水性化合物と壁材を反応させる方法がある。
W/O/W型乳化物の壁材表面は前記特定親水ポリマーと架橋させるために架橋基を有することが好ましい。この架橋基としては、特定親水ポリマーと架橋し得るものであれば特に限定されないが、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。特に加水分解性シリル基が好ましい。
壁材表面への架橋基の導入は、架橋基を有し壁材と反応し得る官能基を有する化合物を外水相、或いは壁材と混合することによって可能である。
W/O/W型乳化物の内水相は、親水性のものであれば固体であっても液体であっても特に限定される必要はない。例えば、界面活性剤などの低分子化合物やポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸などの高分子化合物が挙げられる。中でも、乾燥状態で相互作用し難いポリビニルピロリドンやポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイドなどが好ましい。
(乳化方法)
W/O/W型乳化物の乳化方法としては、公知の分散法、例えば断続振とう法、プロペラ型攪拌機或いはタービン型攪拌機、などのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法、膜乳化法などにより行われる。
(乳化物の調製法)
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
高圧ホモジナイザーは、US−4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、US−5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
近年、特開平4−323224号等に詳細な機構が記載されているが、膜の孔径で乳化物の粒径を制御できる膜乳化法が開発された。この手法だと、均一な粒径のエマルションが得られるという特徴を有する。
(粒径)
W/O/W型乳化物の粒径としては、特に限定はされないが、50nm〜100μmが好ましく、耐傷性や耐水擦り性を向上させるためには100nm〜10μmが更に好ましい。
(添加量)
W/O/W型乳化物の添加量が多くなると親水性の低下が懸念され、また、添加量が少なくなると膜質が十分柔軟にならないため、添加量としては親水性組成物の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましい。また、添加量が70質量%の時、W/O/W型乳化物は塗膜中で最密充填になるため、これ以下が好ましい。親水性組成物の固形分とは揮発する溶媒を除いたものをいう。
本発明の親水性組成物には、(A)、(B)成分に加え、目的に応じて種々の化合物を、本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。
以下、併用し得る成分について説明する。
特定親水ポリマーの架橋或いはW/O/W型乳化物との架橋を促進するために、触媒、開始剤や架橋剤を用いても良い。
(触媒)
本発明の親水性組成物は、触媒として、酸、アルカリ、金属キレート、金属塩から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。以下これらにつき説明する。
(酸)
酸触媒としては、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、塩酸、硝酸が良い。
(アルカリ)
アルカリ触媒としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどを挙げることができ、好ましくは、アンモニア、水酸化ナトリウムが良い。
(金属キレート)
金属キレートとしては、例えば周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物とから構成される化合物が挙げられる。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属キレートの配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトンまたはアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本明細書においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属キレートの例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
(金属塩)
上記の金属キレートの代わりに金属塩を用いることもできる。代表的な金属塩は、例えば周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素のハロゲン化物、酸素酸塩や有機酸塩が挙げられる。
前記金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた金属塩を形成する。その中でもZr及びAlから得られる金属塩が優れており、好ましい。
好ましい金属塩としては、ZrOCl・8HO、ZrOSO・nHO、ZrO(NO・4HO、ZrO(CO・HO、ZrO(OH)・nHO、ZrO(C、(NHZrO(CO、ZrO(C1825、ZrO(C15やAlCl3、Al・HO、Al・3HO、Al(SO・18HO、Al(C・4HOが挙げられる。
(開始剤)
本発明に適応可能な開始剤としては特に限定はされないが、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロアセトフェノン類、2−ヒドロキシー2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類;2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のキサントン類;クロロアントラキノン、エチルアントラキノン等のアントラキノン類;ジメチルベンジルケタール類等が挙げられる。
(架橋剤)
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、特定親水ポリマーやW/O/W型乳化物と有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ジアミンやポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
親水性組成物に使用される触媒、開始剤、架橋剤の添加量について説明する。この触媒の添加量は特に制限されるものではないが、前記(A)特定親水ポリマー100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲の値とすることが好ましい。触媒の添加量が0.1質量部以上であれば、硬化性が低下せず、十分な硬化速度を得ることができる。触媒の添加量が20質量部以下であれば、得られる硬化物は十分な親水性を有する。硬化性と得られる硬化物の親水性とのバランスがより良好な観点から、触媒の添加量を、(A)特定親水ポリマー100質量部に対して1〜20質量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)無機微粒子
本発明の親水性組成物は、親水性の向上や、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が2nm〜1μmであるのが好ましく、10nm〜100nmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、塗布、乾燥して得られる親水膜中に安定に分散して、親水膜の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水膜を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は目的に応じて適宜選択されるが、組成物の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
(2)界面活性剤
本発明の親水性組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
(3)紫外線吸収剤
本発明においては、親水性組成物によって形成した親水膜の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
(4)酸化防止剤
本発明の親水性組成物により形成した親水膜の安定性向上のため、親水性組成物に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
(5)溶剤
本発明の親水性組成物により親水膜を形成する時に、基材に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水膜形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
(6)高分子化合物
本発明の親水性組成物には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
また、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基材への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
また、この他にも、本発明の目的や硬化を損なわない範囲において、ラジカル性重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、可塑剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、防腐剤、顔料、乾燥剤、沈殿防止剤、たれ防止剤、増粘剤、皮張り防止剤、色別れ防止剤、平滑剤、消泡剤、粘着防止剤、つや消し防止剤、難燃剤、防錆剤などの添加剤を更に含有させることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
〔基材〕
本発明の親水性組成物の支持体として使用可能な基材としては、例えば、防汚及び/又は防曇効果を期待する透明な基材の場合には、その材質はガラス、または無機化合物層を含有したガラス等の無機基材や、透明プラスチック、または無機化合物層を含有した透明プラスチック層など可視光を透過しうる基材が好適に利用できる。
また、防汚及び/又は防曇性部材を透明性を必要としない基材に適用しようとする場合には、上記の透明基材に加えて、例えば、金属、合金、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が、支持体基材としていずれも好適に利用できる。
(基材の処理法)
基材上に組成物を塗布する際、未処理基材のまま、前記親水膜を塗設できるが、必要に応じ、親水膜の密着性を向上させる目的で、片面又は両面に、表面親水化処理を施すことができる。上記表面親水化処理法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、アルカリ洗浄、サンドブラスト、ブラシ研磨などが挙げられる。
(下塗り層)
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては、金属酸化膜といった無機膜や有機膜を用いることができる。また、金属など酸化されやすい基材を用いた場合は、クロメート処理など種々の防錆層を設けることが好ましい。
金属酸化膜としては、SiO、Al、ZrO、TiO等が挙げられ、ゾルゲル法、スパッタ法や蒸着法により形成することができる。
有機膜の素材としては、クロロプレン、NBR、SBR、アクリルの溶剤系接着剤、酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル共重合体、EVA、アクリル、ウレタン、クロロプレン系のエマルション系接着剤、EVA、オレフィン、ポリアミド、ポリエステル、SIS、SBS、SEBSのホットメルト系、ウレタン系、シリコン、アクリルシリコンの常温湿気硬化系、エポキシ、アクリル、ウレタン系、アクリルシリコンの常温硬化系、エポキシ、ユリア、メラミン、フェノール、アクリルシリコンの加熱硬化系、アクリル系のUV硬化系が挙げられる。
上記の有機膜の素材は、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水ポリマーや水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ジアミンやポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
前記親水性樹脂及び/又は水分散性ラテックスの、下塗り層中における総量としては、0.01〜20μm が好ましく、0.05〜10μm がより好ましい。
〔塗布方法〕
親水性組成物の基材への塗布方法は、特に限定されないが、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法などの塗布法、スポンジを用いたコーティング法、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)をはじめとする気相法など公知の方法を適用することができる。これらの中でも、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、フローコーティング法、バーコート法、スポンジを用いたコーティング法のいずれかであることが好ましい。
〔親水性組成物の調液〕
親水性組成物の調製は、(A)特定親水性ポリマー及び(B)W/O/W型乳化物、更に好ましくは(C)触媒または開始剤をエタノールなどの溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましい。
本発明の親水性組成物を含む溶液を、適切な基板上に被膜し、乾燥することで、本発明の親水性処理部材を得ることができる。即ち、本発明の親水性部材は、基板上に、前記本発明の親水性組成物を被膜し、加熱、乾燥することにより形成された親水性膜を有するものである。
親水性膜の形成において、親水性組成物を含む溶液を被膜した後の加熱、乾燥条件としては、高密度の架橋構造を効率よく形成するといった観点からは、50〜200℃の温度範囲において、2分〜1時間程度行うことが好ましく、80〜160℃の温度範囲で、5〜30分間乾燥することがより好ましい。また、加熱手段としては、公知の手段、例えば、温度調整機能を有する乾燥機などを用いることが好ましい。
また、本発明の親水性部材は、親水性層及び下塗層を基板上に被膜する場合、触媒を基板に被膜する直前に混合することができる。具体的には触媒混合直後〜1時間以内で塗設することが好ましい。触媒を混合し、長時間放置したのちに塗設すると親水性組成物の粘度があがり、塗布むら等の欠陥を生じることがある。その他の成分も塗設直前に混合することが好ましいが混合後、長時間保存してもかまわない。
〔親水性部材使用時の層構成〕
本発明の親水性部材を、防汚性及び/または防曇性効果の発現を期待して使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
1)接着層
本発明の親水性部材を、別の基板上に貼り付けて使用する場合、基板の裏面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基板における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂およびこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類または混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、さらに好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237 に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
2)離型層
本発明の親水性部材が前記の接着層を有する場合には、さらに離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤しては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
3)その他の層
親水性層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性部材を適切な基板へ貼り付けた後には剥がされる。
〔構造体の形態〕
本発明の親水性処理部材は、シート状、ロール状あるいはリボン状の形態で供給されてもよく、適切な基板に貼り付けるために、あらかじめカットされたもとして供給することもできる。
本発明の親水性被膜を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に適用(使用、貼り付け)する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性被膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。本発明の親水性被膜の厚さは、0.01μm〜100μmが好ましく、0.05μm〜50μmがさらに好ましく、0.1μm〜20μmが最も好ましい。膜厚が0.01μm以上の場合は、十分な親水性、耐久性が得ら好ましく、膜厚が100μm以下の場合は、クラックが入るなど製膜性に問題を来たすことがなく、好ましい。
透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性被膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、この板ガラスの表面を10分間UV/O処理により親水化し、塗布用基板とした。表1に示した組成の塗布液を25℃で2時間攪拌し、塗布用基板に塗布バーで塗布した後、150℃、30分乾燥して、乾燥膜厚3.0μmの親水膜を形成した。
以下に、表1に示した成分の調製法あるいは入手先を記す。
<親水ポリマー(1)の合成>
500ml三口フラスコにアクリルアミド11.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、及び1−メトキシ−2−プロパノール280gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル1.9gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。その後、反応液をアセトン2リットル中に投入し、析出した固体をろ取した。得られた固体をアセトンにて洗浄後、親水ポリマー(1)を得た。乾燥後の質量は22.1gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により求めたポリマーの質量平均分子量は23000であった。
以後、実施例にて使用した親水ポリマーは上記と同様の手法により合成し、評価に使用した。実施例に使用した親水ポリマー(1)、(2)の構造を以下に示す。
Figure 2009227809
<触媒液(1)>
エタノール200gとアセチルアセトン10gを混合し、オルトチタン酸テトラエチル10g加えて10分攪拌した後、精製水100g加えて1時間攪拌し、調製した。
<W/O/W型乳化物(1)>
ポリエチレングリコール200(和光純薬社製 MW.200)0.8gを蒸留水0.8gに溶解した。得られた溶液を、タケネートD110N(武田薬品社製 75%酢酸エチル溶液)5.4gとSPAN80(和光純薬社製)0.17gを酢酸エチル15.3gに溶解した溶液に加え、ホモジナイザーで10分間混合してW/O乳化物を得た。このW/O乳化物を0.5%ポリビニルアルコール(和光純薬社製)200mlに注入し、ホモジナイザーを用いて500rpmで30分間混合した後、40℃で2時間混合し、粒径約0.5μmのW/O/W型乳化物とした。このW/O/W型乳化物(1)は壁材がウレア樹脂で、内水相がポリエチレングリコールである。
<W/O/W型乳化物(2)>
ポリエチレングリコール200をポリエチレングリコール400(和光純薬社製 MW.400)に変更した以外はW/O/W型乳化物(1)と同様に調製した。このW/O/W型乳化物(2)は壁材がウレア樹脂で、内水相がポリエチレングリコールである。
<W/O/W型乳化物(3)>
ポリエチレングリコール200をポリアクリルアミド(和光純薬社製 MW.10000)に変更した以外はW/O/W型乳化物(1)と同様に調製した。このW/O/W型乳化物(3)は壁材がウレア樹脂で、内水相がアクリルアミドである。
<W/O/W型乳化物(4)>
ポリビニルアルコールをR−1130(クラレ社製)に変更した以外はW/O/W型乳化物(1)と同様に調製した。このW/O/W型乳化物(4)は壁材がウレア樹脂で、内水相がポリエチレングリコールであり、表面に架橋基を有している。
<W/O/W型乳化物(5)>
ポリエチレングリコール200(和光純薬社製 MW.200)0.8gを蒸留水0.8gに溶解した。得られた溶液を、トリメチロールプロパンメタクリレート(和光純薬社製)54gとV−65(和光純薬社製 2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))6mgとSPAN80(和光純薬社製)0.34gを塩化メチレン50gに溶解した溶液に加え、ホモジナイザーで10分間混合してW/O乳化物を得た。このW/O乳化物を0.5%ポリビニルアルコール(和光純薬社製)400mlに注入し、ホモジナイザーを用いて200rpmで30分間混合した後、55℃窒素雰囲気下でで2時間混合し、W/O/W型乳化物とした。このW/O/W型乳化物(5)は壁材がアクリル樹脂で、内水相がポリエチレングリコールである。
<W/O/W型乳化物(6)>
トリメチロールプロパンメタクリレートにビニルトリメトキシシラン(和光純薬社製)を加えた以外は、W/O/W型乳化物(5)と同様に調製した。このW/O/W型乳化物(6)は壁材がウレア樹脂で、内水相がポリエチレングリコールであり、表面に架橋基を有している。
<界面活性剤>
下記構造式のアニオン系界面活性剤5質量%水溶液を用いた。
Figure 2009227809
<塗布液の調製>
(実施例1〜4)
表1に記載した固形分濃度(質量%)になるよう次の手順で調製した。
蒸留水にW/O/W型乳化物(1)と親水ポリマー(1)を溶解させ、触媒液(1)を加えた後、室温で2時間攪拌した。これに界面活性剤を加えて塗布液とした。
(実施例5〜8)
W/O/W型乳化物(1)をW/O/W型乳化物(2)に変更した以外は実施例1〜4と同様の手順で塗布液を調製した。
(実施例9〜12)
W/O/W型乳化物(1)をW/O/W型乳化物(3)に変更した以外は実施例1〜4と同様の手順で塗布液を調製した。
(実施例13〜16)
W/O/W型乳化物(1)をW/O/W型乳化物(4)に変更した以外は実施例1〜4と同様の手順で塗布液を調製した。
(実施例17〜20)
W/O/W型乳化物(1)をW/O/W型乳化物(5)に変更した以外は実施例1〜4と同様の手順で塗布液を調製した。
(実施例21〜24)
W/O/W型乳化物(1)をW/O/W型乳化物(6)に変更した以外は実施例1〜4と同様の手順で塗布液を調製した。
(実施例25〜48)
親水ポリマー(1)を親水ポリマー(2)に変更した以外は実施例1〜24と同様の手順で塗布液を調製した。
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
〔比較例1〜8〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、この板ガラスの表面を10分間UV/O処理により親水化し、塗布用基板とした。蒸留水中に、表2に記載した各成分を、表7に示した組成(質量部)になるように調製した塗布液を25℃で2時間攪拌し、塗布用基板に塗布バーで塗布した後、150℃、30分乾燥して、乾燥膜厚3.0μmの親水膜を形成した。
Figure 2009227809
<比較親水ポリマー(1)>
ポリアクリルアミド(和光純薬社製 MW.5000000〜6000000)を用いた。
<比較親水ポリマー(2)>
ポリビニルアルコール(和光純薬社製 MW.22000)を用いた。
<比較親水ポリマー(3)>
テトラメトキシシラン(和光純薬社製)の部分加水分解縮合物を用いた。
比較例において、比較親水ポリマー(1)の他に使用した成分は以下のとおりである。
親水ポリマー(1):実施例と同じ親水ポリマー(1)
親水ポリマー(2):実施例と同じ親水ポリマー(2)
触媒液(1):実施例と同じ触媒液
界面活性剤:実施例と同じ界面活性剤
<親水性部材の評価>
(親水性)
空中水滴接触角(θ)を測定し(協和界面科学株式会社製DropMaster500で測定)、下記のように評価した。
◎:θ≦15°
×:15°<θ
(耐屈曲性)
塗布液をアルミ板に塗布膜厚が0.3mmとなるように塗布し、150℃30分で乾燥させた。この試料についてJIS K5600−5−1に準じ試験を行い割れの有無を評価した。マンドレルは直径2mmのものを用いた。
(ドライ擦り性)
磨耗試験:不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で塗膜を500g荷重で2000回こすり、接触角(θ)評価と傷付きを目視評価した。
接触角(θ) ◎:θ≦15° ×:15°<θ
傷付き ◎:傷なし 〇:線傷5本以下 ×:5本以上の傷
(ウェット水擦り性)
磨耗試験:水を含ませた不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で塗膜を500g荷重で1000回こすり、接触角(θ)評価と傷付きを目視評価した。
接触角(θ) ◎:θ≦15° ×:15°<θ
傷付き ◎:傷なし 〇:線傷5本以下 ×:5本以上の傷
上記評価法に従った評価結果を表8〜14に示す。
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
Figure 2009227809
表8〜14から明らかなように、本発明の親水性組成物を用いて作製した膜は、親水性、ドライ擦り性、ウェット擦り性、耐屈曲性ともに良好であった。実施例1〜12、17〜20,25〜36,41〜44と実施例13〜16,21〜24,37〜40,45〜48との対比において、実施例1〜12、17〜20,25〜36,41〜44はドライ擦り性、ウェット擦り性が低かった。これは、W/O/W型乳化物の違いに起因したものと考えられる。それに対して、実施例13〜16,21〜24,37〜40,45〜48は親水性、耐傷性を両立しており、膜質も非常に柔軟なものであった。
また、比較例1〜2は親水性、ドライ擦り性は両立するものの、膨潤し易いため耐ウェット擦り性が低く、また非常に脆い膜質であった。比較例3〜4は親水性は高かったが、バインダーが脆過ぎるためW/O/W型乳化物を添加してもドライ擦り性、ウェット擦り性、いずれの性能も低かった。比較例5〜8は、W/O/W型乳化物を添加することで脆さは改善されたものの、親水ポリマーの親水性が低く、また架橋基を有していないため、親水性、ドライ擦り性、ウェット擦り性が低かった。
本発明の親水性部材の応用可能な分野の一例を挙げれば、可視光を透過しうる基板が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、バイク用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケース、カメラ用ファインダー、ディスプレイのガラス;メーターのような計測機器、CCDやCMOSのようなイメージセンサのカバーガラス、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムなどが挙げられる。
その他の適用可能な用途としては、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、エアコン熱交換器のフィン材、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、分析装置のセンサー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、タイル、サイディング、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、蛇口、調理レンジ、キッチンフード、レンジフード、換気扇、コンロ、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルム、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装及び塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及び塗装、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルム、おむつやフィルターなどの繊維、各種塗料や機能性膜などの下塗り剤用途などが挙げられ、その応用範囲は広い。

Claims (10)

  1. 架橋基を含有する親水ポリマー(A)とW/O/W型乳化物(B)とを含有することを特徴とする親水性組成物。
  2. 前記親水ポリマー(A)の架橋性基が加水分解性シリル基であることを特徴とする請求項1に記載の親水性組成物。
  3. 前記親水ポリマー(A)が下記一般式(I)で表される構造を有することを特徴とする請求項2に記載の親水性組成物。
    Figure 2009227809
    一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。Lは単結合又は多価の有機連結基を表す。Lは単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。mは1〜3の整数を表す。x、yは組成比であり、0<x<100、0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(R)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、アルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
  4. 前記W/O/W型乳化物(B)の壁材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリアミド樹脂から選択される少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親水性組成物。
  5. 前記W/O/W型乳化物(B)の壁材表面が親水性化合物で処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の親水性組成物。
  6. 前記W/O/W型乳化物(B)が、前記親水ポリマー(A)と架橋することができる架橋基を表面に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の親水性組成物。
  7. 前記W/O/W型乳化物(B)が表面に有する架橋基が加水分解性シリル基であることを特徴とする請求項6に記載の親水性組成物。
  8. さらに、親水ポリマー(A)の架橋を促進する開始剤または触媒(C)を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の親水性組成物。
  9. 請求項1〜8の親水性組成物を基材に塗布、乾燥し、膜厚10nm〜1mmの膜を形成したことを特徴とする親水処理部材。
  10. 前記基材への塗布方法が、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、フローコーティング法、バーコート法、スポンジを用いたコーティング法のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の親水処理部材。
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