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JP2009218272A - 化合物半導体基板およびその製造方法 - Google Patents

化合物半導体基板およびその製造方法 Download PDF

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Shunichi Suzuki
俊一 鈴木
Yoshihisa Abe
芳久 阿部
Jun Komiyama
純 小宮山
Koji Oishi
浩司 大石
Akira Yoshida
晃 吉田
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Abstract

【課題】反りが抑制され、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜が形成された化合物半導体基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】Si基板10の表面10aに、前記Si基板10の表面10aに該表面10aにおける幅Wおよび該表面10aからの深さDが、SiC膜20の厚さよりも大きい溝部30を形成し、前記Si基板10の表面10aに、前記溝部30によって島状にそれぞれ分離された複数のSiC島部20aとして、SiC膜20を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、Si基板上にSiC膜が形成された化合物半導体基板およびその製造方法に関する。
SiCは、広いバンドギャップ、高い電子移動度、高耐熱性等に優れた特性を有しており、また、構成元素の資源量が豊富であり、かつ、環境汚染への懸念が小さいこと等から、次世代電子素子、高速高温動作可能電子素子、太陽光発電素子等に応用が期待される材料である。
特に、Si基板上にSiC膜を形成する化合物半導体基板の製造は、現在のシリコンテクノロジーを継承することができるため、産業技術の開発コストにおける優位性からも、その実用化が求められている。
前記SiC膜の形成には、CVD法、スパッタリング法、MBE法等が用いられるが、これらの方法では、Si−C間の結合が共有結合であるため、化学結合形成エネルギーおよびエピタキシャル結晶成長のための拡散エネルギーがともに大きく、例えば、600〜1200℃の高温加熱が必要となる。
さらに、SiとSiCは、格子定数において約20%の違いがあるため、格子不整合が大きく、かつ、線熱膨張係数にも約8%の差があるため、高温でのSiC膜形成後の冷却工程において、熱歪みが生じ、化合物半導体基板全体に反りが発生する。この反りは、素子特性の劣化や機械的破損を引き起こす要因となる。
上記のような基板の反りは、SiC膜形成時の原料ガス比率、温度昇降速度等の成膜条件の調整によって、若干抑制することは可能であるが、このような成膜条件の変更は、SiCの結晶性等の特性向上のための成膜条件と相反する場合があり、反りの抑制および結晶性の向上を同時に満たす条件を見出すことは困難であった。
従来、上記のような反りを防止する方法としては、Si基板とSiC膜との間に応力を緩和させるための中間層を導入る方法(例えば、特許文献1参照)、Si基板の裏面にSi34膜を形成する方法(例えば、特許文献2参照)、また、反りが発生する方向とは逆方向に反った形状に基板を予め加工する方法等が知られている。
また、特許文献3には、窒化物系化合物半導体を作製する際、基板上に酸化膜等のマスク材を格子状に形成して、基板表面を各々分離して露出させ、窒化物系化合物半導体をエピタキシャル成長させる領域を各々独立した小さな領域として、クラックを抑制する方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、半導体基板裏面にコンタクト電極膜を形成する際の高温処理加熱に起因する基板の反りを抑制するために、前記基板裏面のほぼ全面に細分化してパターニングする方法が開示されている。
特開2006−253617号公報 特開2003−218031号公報 特開2002−299252号公報 特開2006−165179号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような方法は、Si基板と中間層との間にも、格子定数および線熱膨張係数の差があることから、反りの低減には限界がある。また、成膜工程の増加により、熱処理時間も長くなり、不純物汚染等の問題も生じる。
同様に、上記特許文献2に記載されたような方法も、成膜工程が増加し、不純物汚染等の問題が生じ、特に、基板裏面のSi34膜形成の際に、デバイス面となる表面の汚染防止のための対策が必要となり、製造工程の煩雑化の要因となる。
また、予め反りを有する基板の加工は、成膜時の反りを予測して制御する必要があり、厳しい加工精度も要求されるため、容易ではない。
また、上記特許文献3に記載された方法は、マスク材が不純物となるおそれがあり、また、マスク材によって、その付近では、窒化物系化合物半導体が段差形状で形成されるため、結晶性が低下する等の課題を有している。
そこで、本発明者らは、上記技術的課題を解決すべく検討を重ね、上記特許文献4に記載された裏面電極の形成方法を応用して、反りの抑制および結晶性の向上の両者を満足させるように、Si基板上にSiC膜を形成することができる方法を見出した。
すなわち、本発明は、反りが抑制され、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜が形成された化合物半導体基板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る化合物半導体基板は、Si基板表面にSiC膜が形成された化合物半導体基板であって、前記SiC膜が、前記Si基板表面に形成された溝部によって、島状に分離されていることを特徴とする。
このように、Si基板表面に形成された溝部によって、SiC膜が、全面に連続することなく、区分されて形成されることにより、化合物半導体基板の反りが抑制されるとともに、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜を形成することができる。
前記溝部は、前記Si基板表面における幅および前記Si基板表面からの深さが前記SiC膜の厚さよりも大きいことが好ましい。
このような幅および深さを有する溝部とすることにより、SiC膜を連続して形成させることなく、効率的に島状に分離させることができる。
また、前記Si基板表面と前記溝部の側面とがなす角度が90°以下であることが好ましい。
このような傾斜角度を有する溝を形成することにより、SiC膜が、より効率的に分離され、化合物半導体基板全体の反りを抑制することができる。
また、本発明に係る化合物半導体基板の製造方法は、Si基板表面に溝部を形成する工程と、前記Si基板表面に前記溝部によって島状に分離されたSiC膜を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
このような製造方法によれば、Si基板表面に、所定の溝部を予め形成しておくことのみで、不純物等の混入のおそれがなく、かつ、反りが抑制され、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜を備えた化合物半導体基板が得られる。
上記製造方法においては、前記溝部のSi基板表面における幅およびSi基板表面からの深さを、前記SiC膜の厚さよりも大きくなるように形成することが好ましい。
また、前記溝部を、前記Si基板表面から前記溝部の深さ方向の内面の傾斜角が90°以下となるように形成することが好ましい。
本発明によれば、反りが抑制され、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜が形成された化合物半導体基板が得られる。
したがって、本発明に係る化合物半導体基板は、高出力電子デバイス等として用いることができ、また、4H−SiC、6H−SiC、GaN等の六方晶系化合物半導体の結晶成長用基板としても好適に用いることができる。
以下、本発明を、図面を参照して、より詳細に説明する。
図1に、本発明に係る化合物半導体基板の一例を示す。また、図2に、図1に示す化合物半導体基板のA−A断面の拡大図を示す。
図1,2に示す化合物半導体基板1は、Si基板10の表面10aが、溝部30により格子状に形成されている。このSi基板10上に、前記溝部30によって、島状にそれぞれ分離された複数のSiC島部20aとして、SiC膜20が形成されている。
すなわち、SiC膜20は、Si基板10の表面全体に形成されているのではなく、Si基板10の表面10aに形成された溝部30によって区分されて形成されている。
このため、反りの発生も分断され、化合物半導体基板1全体の反りを抑制することができる。
前記溝部30は、Si基板10の表面10aにおける幅Wが、SiC膜20の厚さTよりも大きいことが好ましい。また、Si基板10の表面10aからの深さDも、SiC膜20の厚さDよりも大きいことが好ましい。
このような幅Wおよび深さDを有する溝部30を、Si基板10の表面に形成することにより、Si基板10の表面10aと溝部30において、SiC膜20を連続して形成させることなく、効率的に島状に分離させることができる。
一方、図3に示すように、溝部30の幅Wが大きくても、溝部30の深さDが小さい場合は、SiC膜20は、その横方向成長によって、Si基板10の表面10aと溝部30において連続して形成されることとなる。
このようにSiC膜20が形成されると、溝部30が形成されていない平らなSi基板10の表面全体にSiC膜20が形成される場合と同様に、化合物半導体基板1全体で大きな反りが発生する。
前記溝部30の幅Wは、SiC膜20の厚さTよりも2〜5mm程度大きいことがより好ましい。また、前記溝部30の深さDは、SiC膜20の厚さTの2〜4倍程度であることがより好ましい。
例えば、SiC膜20の厚さTを10μmとする場合、溝部30は、幅Wが約12〜15mm、深さDが20〜40μmで形成されることが好ましい。
さらに、前記溝部30は、前記Si基板10の周縁部10bまで形成されていることが好ましい。すなわち、SiC島部20aはすべて、図1に示すように、Si基板10の表面10a上で、完全に分離されていることが好ましい。
前記溝部30が、Si基板10の周縁部10bにまで達しておらず、SiC島部20aがSi基板10の周縁部10b近傍で完全に分離されていない場合には、SiC膜20は、該周縁部10b近傍では、平らなSi基板の表面全体に形成される場合と同様な状態となり、化合物半導体基板に反りが生じることとなる。
図4に、前記溝30の断面形状の好ましい態様を示す。図4(a)に示すように、Si基板表面10aと溝部の側面30bとがなす角度θは90°または、図4(b)に示すように、90°未満であることが好ましい。
このような傾斜角度を有する溝30を形成することにより、SiC膜20を溝30によって、より効率的に分離させることができ、化合物半導体基板1全体の反りを抑制することができる。
一方、図5に示すように、前記角度θが90°を超える場合は、SiC膜20の成膜時に、原料ガスが溝部30に流れ込みやすいため、溝30の底面30aおよび側面30bにもSiC膜20が形成され、SiC膜20を溝30によって区分することが困難となるため、好ましくない。
溝部30への原料ガスの流れ込みを抑制する観点からは、図4(b)に示すように、角θを90°未満とすることがより好ましい。
また、前記溝部30のSi基板10上における配置は、後のデバイス作製工程において、回路構成領域を効率的に確保することができるようにするために、複数の回路をチップ状にダイシングする際の切り代の位置に合わせて設計することが好ましい。このとき、溝部30の幅Wは、前記切り代以下とすることが好ましい。
なお、溝部30内に形成されたSiC膜20bは、成膜時のSi基板10上での原料ガスの流れ等の関係から、Si基板10の表面10aに形成されたSiC膜20aよりも結晶性にやや劣る傾向がある。このことからも、溝部30は、ダイシングの際の切り代となるように配置することが好ましい。
以下、上記のような本発明に係る化合物半導体基板の製造方法を説明する。
図6に、本発明に係る第1の態様の化合物半導体基板の製造方法の工程の概要を示す。
まず、Si基板10を用意する。このSi基板10は、CZ(チョクラルスキー)法により製造されたものに限られず、FZ(フローティングゾーン)法により製造されたもの、あるいはまた、これらのSi単結晶基板に気相成長によりSi単結晶膜をエピタキシャル成長させたもの(Siエピ基板)等であってもよい。
なお、前記Si基板10は、エッチング処理や、水素雰囲気下の1000〜1350℃での熱処理により自然酸化膜を除去し、表面を清浄にしておくことが好ましい。
次に、前記Si基板10上に、スパッタ法等によりレジスト膜を成膜後、フォトリソグラフィによりパターニングして、Si基板10上の溝部30を形成しない領域に、保護膜40を形成する(図6(a))。
そして、薬液等を用いたエッチングにより、溝部30を形成した後(図6(b))、薬液等により、レジスト膜による保護膜40を除去する(図6(c))。
この溝30が形成されたSi基板10上に、周知のCVD法等によって、SiC膜20を形成することにより、本発明に係る化合物半導体基板が得られる(図6(d))。
また、図7に、本発明に係る第2の態様の化合物半導体基板製造方法の工程の概要を示す。図7に示すような製造工程は、図4(b)に示したようなSi基板表面10aと溝部の側面30bとがなす角度θが90°未満の溝30を有する化合物半導体基板を製造する際に好適である。
まず、Si基板10上に、スパッタ法等によりレジスト膜を成膜後、フォトリソグラフィによりパターニングして、溝部30を形成する領域に、断面が台形状の保護膜40を形成する(図7(a))。
そして、周知のCVD法等により、前記保護膜40上面が露出した状態となるように、Si膜50を成膜した後(図7(b))、薬液等によりレジスト膜による保護膜40を除去する(図7(c))。
この溝30が形成されたSi基板10上に、周知のCVD法等によって、SiC膜20を形成することにより、本発明に係る化合物半導体基板が得られる(図7(d))。
上記のような製造方法によれば、Si基板10とSiC膜20との間に、異なる材料による中間層を設けたり、また、Si基板10の表面上に酸化膜等によるマスク材を設けたりする必要がないため、これらに起因する不純物が化合物半導体基板に混入することもなく、また、マスク材の分解による該マスク材付近の結晶性の低下等の問題を招くこともない。
すなわち、上記製造方法によれば、Si基板表面に、所定の溝部を予め形成しておくことのみで、不純物等の混入のおそれもなく、かつ、反りが抑制され、結晶性を低下させることなく、高品質なSiC膜を備えた化合物半導体基板を容易に得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
直径3インチのSi基板表面(酸化膜厚0.5μm)に、幅4mm、深さ10μm、Si基板表面と溝部の側面とがなす角度が90°である図4(a)に示すような断面形状の溝部を、間隔16mmの格子状に、エッチングにより形成した。
このSi基板表面を、水素雰囲気中、1000℃以上で加熱して、自然酸化膜を除去した。
その後、このSi基板を300℃まで降温し、50Torrの減圧下、キャリアガス18slmに対してC38を7.2sccm供給し、昇温速度20℃/minにて、基板温度を1150℃まで上昇させ、5分間保持し、炭化層を形成した。
次に、供給ガスをC38:0.9sccm、およびSiH4:1.8scmに切り替え、300分間保持し、気相成長により、厚さ約5μmの3C−SiC単結晶膜を形成した。
前記SiC単結晶膜は、X線回折分析の結果、3C−SiC(111)の非常にシャープなピークが認められた。
また、前記SiC単結晶膜は、溝部によって完全に分離されており、得られた化合物半導体基板の反りは34μmであった。
[実施例2]
溝部を、Si基板表面と溝部の側面とがなす角度が75°である図4(b)に示すような断面形状とし、それ以外については、実施例1と同様にして、SiC単結晶膜を形成した。
前記SiC単結晶膜は、X線回折分析の結果、3C−SiC(111)の非常にシャープなピークが認められた。
また、前記SiC単結晶膜は、溝部によって完全に分離されており、化合物半導体基板の反りは28μmであった。
[比較例1]
Si基板表面に、前記溝部を形成することなく、平坦な鏡面状態のままで、実施例1と同様にして、SiC単結晶膜を形成した。
得られた化合物半導体基板の反りは89μmであった。
[比較例2]
溝部を、Si基板表面と溝部の側面とがなす角度が135°である図5(b)に示すような断面形状とし、それ以外については、実施例1と同様にして、SiC単結晶膜を形成した。
前記SiC膜は、溝部30においても分離されておらず、Si基板の表面全体に連続して形成された。
得られた化合物半導体基板の反りは93μmであった。
本発明に係る化合物半導体基板の上面図である。 図1におけるA−A断面図である。 Si基板表面の溝部を説明するための断面図である。 Si基板表面の溝部の断面形状を示すものであり、(a)はSi基板表面と溝部の側面とがなす角度θが90°の場合、(b)はSi基板表面と溝部の側面とがなす角度θが90°未満の場合である。 Si基板表面の溝部の断面形状を示すものであり、Si基板表面と溝部の側面とがなす角度θが90°を超える場合である。 本発明に係る化合物半導体基板の製造方法の工程の概要を説明するための断面図である。 本発明に係る他の態様の化合物半導体基板の製造方法の工程の概要を説明するための断面図である。
符号の説明
1 化合物半導体基板
10 Si基板
20 SiC膜
30 溝部
40 保護膜
50 Si膜

Claims (6)

  1. Si基板表面にSiC膜が形成された化合物半導体基板であって、前記SiC膜が、前記Si基板表面に形成された溝部によって、島状に分離されていることを特徴とする化合物半導体基板。
  2. 前記溝部は、前記Si基板表面における幅および前記Si基板表面からの深さが、前記SiC膜の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の化合物半導体基板。
  3. 前記Si基板表面と前記溝部の側面とがなす角度が90°以下であることを特徴とする請求項1または2記載の化合物半導体基板。
  4. Si基板表面に溝部を形成する工程と、前記Si基板表面に前記溝部によって島状に分離されたSiC膜を形成する工程とを備えていることを特徴とする化合物半導体基板の製造方法。
  5. 前記溝部のSi基板表面における幅およびSi基板表面からの深さを、前記SiC膜の厚さよりも大きくなるように形成することを特徴とする請求項4記載の化合物半導体基板の製造方法。
  6. 前記溝部を、前記Si基板表面と前記溝部の側面とがなす角度が90°以下となるように形成することを特徴とする請求項4または5記載の化合物半導体基板の製造方法。
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