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JP2009216315A - 熱交換器 - Google Patents

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JP2009216315A
JP2009216315A JP2008060999A JP2008060999A JP2009216315A JP 2009216315 A JP2009216315 A JP 2009216315A JP 2008060999 A JP2008060999 A JP 2008060999A JP 2008060999 A JP2008060999 A JP 2008060999A JP 2009216315 A JP2009216315 A JP 2009216315A
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exchange tube
flat
bending
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Masayuki Kishi
正幸 岸
Ryoichi Hoshino
良一 星野
Ko Asakawa
高 淺川
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Showa Denko KK
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Abstract

【課題】部品点数の削減および小型軽量化を図り得る熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明は、幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部21と、一対の直管部21の端部間を連通接続するターン部22とを備えたU字状の熱交換チューブ2が、チューブ厚さ方向に沿って複数並列に配置される熱交換器を対象とする。本熱交換器において、熱交換チューブ2は、帯状の扁平チューブ部材20が長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げられることにより形成され、扁平チューブ部材20の中間部が、ターン部22として構成されるとともに、扁平チューブ部材20の両側部が、一対の直管部21として構成される。
【選択図】図7

Description

この発明は例えば、カーエアコンやルームエアコンの蒸発器等として用いられる熱交換器およびその関連技術に関する。
カーエアコンやルームエアコンの蒸発器としては、一対の皿状プレートを対向合致させたチューブエレメントを多数枚積層したラミネート型の蒸発器や、熱交換チューブとタンク(ヘッダー)とが別体で、チューブをタンクに差し込んで組み立てるようにしたヘッダー型(チューブ型)の蒸発器等が主として採用されている。
これらの蒸発器のうち、ヘッダー型の蒸発器としては、例えば下記特許文献1〜3に示すものが周知である。
特許文献1に示す蒸発器は、帯板状の扁平チューブがチューブ厚さ方向(蒸発器幅方向)に沿って複数並列配置されたチューブ群が、前後2列で設けられるとともに、前後両チューブ群の上下両端に、蒸発器幅方向(水平方向)に沿ってヘッダーがそれぞれ設けられている。
特許文献2に示す蒸発器は、上記と同様、前後2列にチューブ群が設けられている。そして両チューブ群の上端にはヘッダーが設けられるものの、両チューブ群の下端側は、前後のチューブ群間で対応する扁平チューブ同士がキャップ状の連結部材によって連通接続されている。
特許文献3に示す蒸発器は、扁平チューブ部材がその長さ方向の中間部で曲成されることにより形成されたU字状の熱交換チューブが、チューブ厚さ方向(蒸発器幅方向)に沿って複数並列に配置されて、チューブ群が構成される一方、チューブ群の上端側に蒸発器幅方向に沿ってヘッダーが設けられている。
特開平11−287587号 米国特許第6161616号明細書 特開平8−145580号
上記特許文献1に示す従来の蒸発器は、熱交換に関与しないヘッダーが上下両側に配置されるため、その分余計に、設置スペースや部品が必要となり、高重量大型化を来すという問題があった。
さらに特許文献2に示す蒸発器は、ヘッダーが上端側にのみに配置される構成となっているものの、下端側に、各扁平チューブ毎にキャップ状の連結部材を設置する必要があり、部品点数が増大して、組付作業性の低下等を来す恐れがある。
一方、特許文献3に示す蒸発器は、U字状の扁平チューブ(熱交換チューブ)を用いるものであるため、ヘッダーを上端側だけに組み付けるだけで良く、部品点数の削減および小型軽量化を図ることが可能である。しかしながら、蒸発器等の熱交換器の技術分野では、部品点数の削減および小型軽量化を含めて、より一層の技術的な改善が可及的に追求されているのが現状である。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、部品点数の削減および小型軽量化を一層図ることができる熱交換器およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1] 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブが、チューブ厚さ方向に沿って複数並列に配置される熱交換器であって、
熱交換チューブは、帯状の扁平チューブ部材が長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げられることにより形成され、
扁平チューブ部材の中間部が、ターン部として構成されるとともに、
扁平チューブ部材の両側部が、一対の直管部として構成されるようにしたことを特徴とする熱交換器。
[2] 隣り合う熱交換チューブのうち、一方側の熱交換チューブのターン部が、他方側の熱交換チューブのターン部に対し、チューブ厚さ方向に離間して配置される前項1に記載の熱交換器。
[3] 熱交換チューブのターン部における直管部表面からのチューブ厚さ方向の突出寸法が、隣り合う熱交換チューブにおいて対応する直管部間の隙間よりも小さく形成される前項1または2に記載の熱交換器。
[4] 熱交換チューブのターン部における直管部長さ方向の寸法が、直管部の幅寸法に対して1.0〜1.5倍に設定される前項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
[5] 熱交換チューブのターン部における両端折り曲げ部内側の曲率半径が、直管部の厚さ寸法に対して1〜3倍に設定される前項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
[6] 熱交換チューブにおけるターン部の中間に、平坦部が設けられる前項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器。
[7] 熱交換チューブにおけるターン部の両端折り曲げ部は共に、チューブ厚さ方向の一方側に折り曲げられている前項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器。
[8] 熱交換チューブにおけるターン部の両端折り曲げ部のうち、一方側の折り曲げ部は、チューブ厚さ方向の一方側に折り曲げられるとともに、他方側の折り曲げ部は、チューブ厚さ方向の他方側に折り曲げられている前項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器。
[9] 熱交換チューブの直管部における先端側に、複数の熱交換チューブの各直管部を連通接続するヘッダーが設けられる前項1〜8のいずれか1項に記載の熱交換器。
[10] 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブであって、
帯状の扁平チューブ部材が長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げられることにより形成され、
扁平チューブ部材の中間部が、ターン部として構成されるとともに、
扁平チューブ部材の両側部が、一対の直管部として構成されるようにしたことを特徴とする熱交換チューブ。
[11] 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブを製造する際に用いられ、帯状の扁平チューブ部材を長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げて、その折り曲げられた扁平チューブ部材の中間部を、ターン部として構成するとともに、両側部を、一対の直管部として構成するようにした熱交換チューブの製造方法であって、
帯状の扁平チューブ部材における長さ方向の両側部を、中間部に対し曲げ起こす1次曲げ工程と、
曲げ起こされた扁平チューブ部材の両側部を、中間部側に曲げ倒す2次曲げ工程とを含むことを特徴とする熱交換チューブの製造方法。
[12] 1次曲げ工程と、2次曲げ工程とを連続して行うようにした前項11に記載の熱交換チューブの製造方法。
[13] 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブを製造する際に用いられ、帯状の扁平チューブ部材を長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げて、その折り曲げられた扁平チューブ部材の中間部を、ターン部として構成するとともに、両側部を、一対の直管部として構成するようにした熱交換チューブの製造装置であって、
帯状の扁平チューブ部材における長さ方向の中間部を押さえ付けながら、扁平チューブ部材の両側部を相対的に押し込んで曲げ起こす1次曲げ手段と、
1次曲げ加工により両側部が曲げ起こされた扁平チューブの中間部を押さえ付けながら、扁平チューブ部材の両側部を相対的に中間部側へ押し込んで曲げ倒す2次曲げ手段とを備えたことを特徴とする熱交換チューブの製造装置。
[14] 平面視において山状の板部を有する押さえ型を備え、
その押さえ型の山状板部によって、1次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の中間部を押さえ付けるとともに、2次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の中間部を押さえ付けるようにした前項13に記載の熱交換チューブの製造装置。
[15] 平面視において谷状の凹部を有する押し曲げ型を備え、
その押し曲げ型の谷状凹部によって、1次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の両側部を曲げ起こすとともに、2次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の両側部を曲げ倒すようにした前項13または14に記載の熱交換チューブの製造装置。
[16] 進退駆動することにより、1次曲げ手段および2次曲げ手段を駆動させる進退駆動部材を備え、
進退駆動部材による1ストロークの進退動作が行われる間に、1次曲げ手段による加工および2次曲げ手段による加工が連続して行われるように構成される前項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換チューブの製造装置。
[17] 2次曲げ手段によって、扁平チューブ部材の両側部を曲げ倒した際に、両側部間に配置されて、両側部間に隙間を形成するための隙間形成部材を備える前項13〜16のいずれか1項に記載の熱交換チューブの製造装置。
発明[1]の熱交換器によれば、U字状の熱交換チューブを並列に複数配置するものであるため、部品点数を削減できて、組立作業性を軽減できるとともに、効率良く生産することができる。さらに熱交換チューブは、ターン部の両端部において斜め折りに折り曲げることによりU字状に成形しているため、ターン部の寸法を小さくでき、一層小型軽量化を図ることができる。
発明[2]〜[7]の熱交換器によれば、より一層小型軽量化を図ることができる。
発明[8]の熱交換器によれば、上記の効果を確実に得ることができる。
発明[9]の熱交換器によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[10]によれば、上記と同様の作用効果を有する熱交換チューブを提供することができる。
発明[11]の熱交換チューブの製造方法によれば、上記と同様の作用効果を有する熱交換チューブを製造することができる。
発明[12]の熱交換チューブの製造方法によれば、生産効率を向上させることができる。
発明[13]の熱交換チューブの製造装置によれば、上記と同様の作用効果を有する熱交換チューブを製造することができる。
発明[14][15]の熱交換チューブの製造装置によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[16]の熱交換チューブの製造装置によれば、効率良く熱交換チューブを製造することができる。
発明[17]の熱交換チューブの製造装置によれば、寸法精度に優れた熱交換チューブを製造することができる。
<蒸発器>
図1〜5はこの発明の実施形態である熱交換器が適用された蒸発器を示す図である。これらの図に示すように、この蒸発器は、コア(1)と、コア(1)の上側に設けられた前後ヘッダー(5)(6)とを備えている。
コア(1)は、U字状の複数の熱交換チューブ(2)を備えている。この熱交換チューブ(2)は図14A,C等に示すように、アルミニウムまたはその合金素材の押出製品によって構成される帯板状(直管状)の扁平チューブ部材(20)を曲成することによって形成されている。
すなわち図14A,C等に示す扁平チューブ部材(20)の長さ方向の両側部(21)(21)が、中間部(22)の両側部(23)(23)において、斜め折り(三角折り)にほぼ180°折り曲げられることにより、図7〜10に示すように両側部(21)(21)が中間部(22)に対し直角に曲成される。これにより、扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)によって構成され、かつ共に直線状に延びる一対の扁平な直管部(21)(21)と、扁平チューブ部材(20)の中間部(22)によって構成されるターン部(22)とを備えたU字状の熱交換チューブ(2)が形成される。
この熱交換チューブ(2)において、一対の直管部(21)(21)は、互いに間隔をおいた状態(隙間を形成した状態)で、チューブ幅方向に並んで平行に配置されるとともに、直管部(21)(21)の一端部(下端部)間が、ターン部(22)によって連通接続されている。
本実施形態の熱交換チューブ(2)におけるターン部(22)は、その両側の折り曲げられた部分によって構成される折り曲げ部(23)(23)と、両折り曲げ部(23)(23)間における平坦な部分によって構成される中間平坦部(24)とを備えている。
また図11に示すように、熱交換チューブ(2)は、幅方向に沿って並列に複数の熱交換路(25)が設けられており、各熱交換路(25)内を冷媒が通過するようになっている。
本実施形態においては、本実施形態特有の熱交換チューブ製造装置を用いて、ワークとしての扁平チューブ部材(20)を曲げ加工して、熱交換チューブ(2)を製作するものであるが、当該製造装置の詳細については後に説明する。なお熱交換チューブ(2)の表面には、耐久性を向上させるために、亜鉛溶射加工等も行われる。
ここで本発明において、「斜め折り」とは、扁平チューブ部材(20)を、その長さ方向に対し直角以外で交差する折り曲げ線に沿って、谷折りまたは山折りすることを言う。
さらに本発明において、折り曲げ線は、必ずしも直線でなくとも良く例えば、多少曲がっている曲線等によって構成しても良い。
また本発明においては、折り曲げ線上で正確に2つ折りに折り重ねるものではなく、後述するように、折り曲げ線の周辺部を含む領域を円弧状に曲成するように折り曲げるものである。
本実施形態において、上記折り曲げ線は、扁平チューブ部材(20)の長さ方向に対し、ほぼ45°の角度で交差するように設定されている。言うまでもなくこの折り曲げ線は、仮想的なものであり、実際に表示されるものではない。
以上の構成の熱交換チューブ(2)がチューブ厚さ方向(チューブ高さ方向)に沿って所定の間隔おきに複数並列に配置されるとともに、複数の熱交換チューブ(2)の各間および最外側の熱交換チューブ(2)の外側にフィン(31)がそれぞれ配置されて、コア(1)が形成されている。
このコア(1)において、各熱交換チューブ(2)の並列方向(チューブ厚さ方向)はコア(1)の左右幅方向に対応している。さらに熱交換チューブ(2)における各直管部(21)の先端側が、コア(1)の上側に対応するとともに、ターン部(22)側が、コア(1)の下側に対応している。従って各熱交換チューブ(2)はコア(1)に対し上下方向(高さ方向)沿って配置されている。
さらに各熱交換チューブ(2)において一対の直管部(21)(21)の並列方向(チューブ幅方向)は、コア(1)の前後方向に対応しており、一対の直管部(21)(21)のうち、一方がコア(1)の前側に配置されるとともに、他方がコア(1)の後側に配置されている。
またフィン(31)は図12(a)(b)に示すように、ルーバーが切り起こされた波状のコルゲートフィンにより構成されている。このフィン(31)は、熱交換チューブ(2)の各間および最外側の熱交換チューブ(2)の外側において、一対の直管部(21)(21)に対応する領域に配置されており、一方側(前側)の直管部(21)から他方側(後側)の直管部(21)にかけて連続して配置されている。
また図1〜4に示すようにコア(1)の両側端面には、保護部材としてのサイドプレート(4)(4)が設けられている。
コア(1)の上端に設けられるヘッダー(5)(6)は、前後に並列に配置された状態で、コア幅方向に沿って延びるように配置されている。
ヘッダー(5)(6)は、押出製品からなる中空丸パイプ形状のヘッダー本体の両端が、閉塞部材(55)(65)によって気密状態に閉塞されることによって形成されている。
なお言うまでもなく、本発明において、ヘッダー(5)(6)としては、必ずしも押出製品からなるものを使用する必要はなく、例えば、電縫管や、プレス加工品等からなるものを使用しても良い。
後側ヘッダー(6)は、コア(1)における複数の熱交換チューブ(2)の他方側(後側)の直管部(21)に対応して配置されており、それらの他方側の直管部(21)における先端部が後側ヘッダー(6)に連通接続されている。
前側のヘッダー(5)は、複数の熱交換チューブ(2)における一方側(前側)の直管部(21)に対応して配置されており、それらの一方側の直管部(21)における先端部が前側ヘッダー(5)に連通接続されている。
また前側ヘッダー(5)は図2,4に示すように、内部が仕切部材(53)によって、入口室と出口室との2室に仕切られて、入口室側には冷媒流入管(11)が連通接続されるとともに、出口室側には冷媒流出管(12)が連通接続されている。
これにより図1,2に示すように、複数の熱交換チューブ(2)のうち、入口室側に連通された熱交換チューブ(2)の一方側(前側)直管部(21)によって、第1パス(P1)が形成されるとともに、他方側(後側)直管部(21)によって、第2パス(P2)が形成される。さらに複数の熱交換チューブ(2)のうち、出口室側に連通された熱交換チューブ(2)の他方側(後側)直管部(21)によって、第3パス(P3)が形成されるとともに、一方側(前側)直管部(21)によって、第4パス(P4)が形成される。
以上のように構成された本実施形態の蒸発器は、各構成部材が、アルミニウムまたはその合金、さらには少なくとも片面にろう材が積層されたアルミニウムブレージングシート等からなり、これらの構成部品を、必要に応じてろう材を介して所定の蒸発器形状に組み付けて仮固定する。こうして仮固定した仮組製品を、炉中にて一括ろう付けすることにより、全体を連結一体化するものである。
この構成の蒸発器は、圧縮機、凝縮器(冷媒冷却器)および膨張弁等の減圧手段と共に、ルームエアコンやカーエアコン用の冷凍サイクルを構成するものである。そして圧縮機、凝縮器および減圧手段を通過した霧状の気液混相2相冷媒が、上記蒸発器の冷媒流入管(11)を介して、前側ヘッダー(5)の入口室側に導入される。
前側ヘッダー(5)の入口室側に導入された冷媒は、第1パス(P1)を構成する複数の直管部(21)を流下した後、ターン部(22)で折り返されて、第2パス(P2)を構成する複数の直管部(21)を上昇し、後側ヘッダー(6)の一側部(第2パスP2に対応する部分)に導入される。
後側ヘッダー(6)の一側部に導入された冷媒は、他側部(第3パスP3に対応する部分)に移動して、そこから第3パス(P3)を構成する複数の直管部(21)を流下した後、ターン部(22)で折り返されて、第4パス(P4)を構成する複数の直管部(21)を上昇し、前側ヘッダー(5)の出口室側に導入される。
前側ヘッダー(5)の出口室側に導入された冷媒は、冷媒流出管(12)を通って流出されて、上記圧縮機に戻される。
こうして各パス(P1)〜(P4)を通過する霧状の冷媒は、複数の直管部(21)の各間を通過する空気との間で熱交換されることにより、空気から熱を吸収して蒸発気化する。また、熱の吸収によって空気は冷却され、その冷却空気が所定の箇所に送り込まれる。
以上のように、本実施形態の蒸発器によれば、U字状に曲げ加工した熱交換チューブ(2)を並列に複数配置してコア(1)を形成するものであるため、直管状の扁平チューブを多数組み付けてコアを形成する場合と比較して、部品点数を削減できて、組立作業性を軽減できるとともに、効率良く生産することができる。
さらに本実施形態の蒸発器は、コア(1)の(上側)のみにヘッダー(5)(6)を設けるものであるため、下側に設けられるヘッダーを省略でき、その分、小型軽量化を図ることができる。
また本実施形態の蒸発器において、熱交換チューブ(2)は、ターン部(22)の両端部において斜め折りに折り曲げることにより、U字状に成形しているため、図6に示すようにターン部(22)におけるチューブ厚さ方向への突出寸法(ターン部突出寸法T2)を小さくすることができる。このため例えばターン部突出寸法(T2)を、汎用のフィン(31)の高さ寸法(H3)よりも小さくすることができ、隣り合う熱交換チューブ(2)(2)間において、ターン部(22)(22)同士が干渉する等の不具合を確実に防止することができる。このように隣り合うターン部(22)(22)同士の干渉を防止できるため、複数の熱交換チューブ(2)の各間の寸法を小さくでき、一層小型軽量化を図ることができる。
ここで本実施形態において、ターン部突出寸法(T2)は、ターン部(22)における直管部(21)の表面からのチューブ厚さ方向への突出寸法であり、熱交換チューブ(2)の全厚寸法(T)から直管部(21)の厚さ寸法(T1)を差し引いたものに相当する。つまり本実施形態では、「T2=T−T1」の関係が成立するものである。
具体的に本実施形態においては、ターン部突出寸法(T2)を3〜11mmに調整するのが良い。換言すれば、直管部(21)の厚さ寸法(T1)に対するターン部突出寸法(T2)の比率(T2/T1)を、3〜11倍に設定するのが良い。すなわちターン部突出量が大き過ぎる場合には、高重量大型化を来すおそれがあり、またチューブ部材の曲げ加工性や冷媒の流通性能等を考慮すると、ターン部突出量を上記所定の下限値よりも大きく形成するのが良い。
また本実施形態において図8,9に示すように、熱交換チューブ(2)は、ターン部(22)の両側部(24)(24)において斜め折りに折り曲げることにより、U字状に成形しているため、ターン部(22)の直管部長さ方向寸法(上下寸法L2)を小さくすることができる。このように熱交換に関与しないターン部(22)を小さくすることができるため、高い熱交換性能を維持しつつ、より一層小型軽量化を図ることができる。
具体的に本実施形態においては、ターン部(22)の上下寸法(L2)を10〜25mmに調整するのが良い。換言すれば直管部(21)の幅寸法(W1)に対するターン部(22)の上下寸法(L2)の比率(L2/W1)を1.0〜1.5に設定するのが良い。すなわちこれらの値が大き過ぎる場合には、熱交換に関与しないターン部(22)の上下寸法が大きくなり、大型高重量化を来すおそれがあり、逆に小さ過ぎる場合には、両側折り曲げ部(24)(24)の曲げ量が少なくなり、ターン部突出量が大きくなって隣り合うターン部(22)(22)同士が干渉するおそれがある。
なお本実施形態においては、ターン部(22)の上下寸法(L2)は、ヘッダー(5)(6)の高さ寸法(上下寸法)よりも小さく形成するのが好ましい。
また本実施形態においては図8,9に示すように、ターン部(22)における両端折り曲げ部(23)の内側(内周面側)の曲率半径(R3)を1〜3mmに調整するのが良い。換言すれば、直管部(21)の厚さ寸法(高さ寸法T1)に対する折り曲げ部(23)の曲率半径(R3)の比率(R3/T1)を1〜3倍に設定するのが良い。すなわちこの曲率半径(R3)が大き過ぎる場合には、ターン部突出寸法(T2)が大きくなり、蒸発器全体の高重量大型化を来すおそれがあり、またチューブ部材の曲げ加工性や冷媒の流通性能等を考慮すると、上記所定の下限値よりも大きく設定するのが好ましい。
また本実施形態においては、熱交換チューブ(2)における一対の直管部(21)(21)の間隔(S1)を4〜12mmに調整するのが良い。換言すれば、直管部(21)の厚さ寸法(T1)に対する間隔(S1)の比率(S1/T1)を4〜12倍に設定するのが良い。すなわちこの間隔(S1)が大き過ぎる場合には、蒸発器の前後サイズが大きくなり、高重量大型化を来すおそれがあり、また小さ過ぎる場合には、一対の直管部間において、互いに熱の悪影響を及ぼし合うおそれがある。
<熱熱交換チューブ製造装置>
本実施形態の蒸発器に採用される熱交換チューブ(2)は、本実施形態特有の熱交換チューブ製造装置によって作製するものであるが、以下にその装置およびそれを用いた熱交換チューブ(2)の製造方法について詳細に説明する。
なお以下の熱交換チューブ製造装置の説明においては、発明の理解を容易にするため、図13の紙面に向かって右側を「前側」、左側を「後側」、上側を「上側」、下側を「下側」、直交する方向を「左右方向」として説明する。
同図に示すように、この熱交換チューブ製造装置は、ベースフレーム(70)上に、押さえ型(71)と、押し曲げ型(72)とを備えている。
図13〜16に示すように、押さえ型(71)の先端(後端)には、平面視で等辺山型形状(二等辺三角形状)の山状板部(711)が設けられている。この押さえ型(71)が山状板部(711)を後方に向けた状態でベースフレーム(70)に上下方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。
さらに押さえ型(71)における山状板部(711)の下面側には、後方および左右両側方に向けて開放するチューブ設置凹部(714)が設けられている(図14B等参照)。このチューブ設置凹部(714)の幅寸法(上下寸法)は、ワークとしての扁平チューブ部材(20)の厚さ寸法よりも少し大きく形成されており、チューブ設置凹部(714)内に扁平チューブ部材(20)を幅方向に沿って挿入することによって、扁平チューブ部材(20)の挿入部をチューブ設置凹部(714)に支持できて、扁平チューブ部材(20)を所定の姿勢に保持できるようになっている。
なお本実施形態においては、チューブ設置凹部(714)の前端面(底面)に、位置決めストッパーを設けるようにしても良い。この場合には、扁平チューブ部材(20)をチューブ設置凹部(714)内にセットした際に、扁平チューブ部材(20)の側端縁を位置決めストッパーに当接係止させることによって、扁平チューブ部材(20)の前後方向の位置決めを図ることが可能となる。
押し曲げ型(72)の先端部(前端部)には、平面視で等辺V字状の谷状凹部(721)が設けられている。谷状凹部(721)は、押さえ型(71)の山状板部(711)に対応する形状(相似形状)に形成されており、谷状凹部(721)内に山状板部(711)を収容した状態で、両者(711)(721)を前後方向に離間させた際には、山状板部(711)の両辺部(両エッジ部712)と、谷状凹部(721)の両辺部(両エッジ部722)との間に、一定幅の隙間が形成されるようになっている。
押し曲げ型(72)は、押さえ型(71)の後方位置において、ベースフレーム(70)に前後方向にスライド自在に取り付けられている。この押し曲げ型(72)は、初期状態では、押さえ型(71)の後側の下方位置において、谷状凹部(721)が山状板部(711)に対応する位置に配置されている。そして後に詳述するように、プレス加工が開始されると、押さえ型(71)が下方に移動して、その山状板部(711)が押し曲げ型(72)の谷状凹部(721)内を通過して、押し曲げ型(72)が押さえ型(71)の上方に配置される。その後、押し曲げ型(72)が前方へ移動して、谷状凹部(721)が山状板部(711)よりも前方位置に配置されるようになっている。
図13に示すように、ベースフレーム(70)には上下方向に昇降自在に昇降台(735)が設けられている。そしてこの昇降台(735)に、押さえ型(71)が取り付けられることにより、押さえ型(71)が既述したように上下に昇降可能に構成されている。さらに昇降台(735)は、バネ等の付勢手段(733)によって上方に付勢されており、自然状態(初期状態)では、押さえ型(71)は、上昇した位置に配置されている。
また押し曲げ型(72)は、既述したようにベースフレーム(70)に対し前後方向にスライド自在に設けられている。さらに押し曲げ型(72)は、バネ等の付勢手段(743)によって後方に付勢されており、自然状態(初期状態)では、押し曲げ型(72)が、押さえ型(71)に対し下側で後方に後退した位置に配置されている。
一方、熱交換チューブ製造装置の上部には、シリンダ等の駆動手段によって上下方向に昇降自在(進退自在)に、進退駆動部材としての昇降駆動部材(75)が設けられている。
さらに製造装置の前方には、前部押込部材(76)が設けられるとともに、後方には、後部押込部材(77)が設けられている。両押込部材(76)(77)は、昇降駆動部材(75)に取り付けられており、昇降駆動部材(75)の昇降駆動に同期して昇降するように構成されている。
また両押込部材(76)の下端にはそれぞれ斜面カム(761)(771)が設けられている。
前部押込部材(76)と、押さえ型(71)の支持部材(731)との間には、前後方向に延びるロッド(78)が前後方向にスライド自在に設けられている。このロッド(78)の前端には、前部押込部材(76)の斜面カム(761)に対応して斜面カム(781)が設けられており、前部押込部材(75)が降下した際には、その斜面カム(751)によってロッド(78)の斜面カム(781)が押し込まれて、ロッド(78)が後方にスライド移動するようになっている。
またロッド(78)は、バネ等の付勢手段(783)によって前方に付勢されており、前部押込部材(75)が上昇して押込部材(75)による押込操作が解除された際には、前方にスライドして自然状態(初期状態)に復帰するようになっている。
ロッド(78)の後端には斜面カム(782)が設けられるとともに、その斜面カム(782)に対応して、押さえ型(71)を支持する昇降台(735)に斜面カム(732)が設けられている。そしてロッド(78)が前部押込部材(75)に押されて後方に移動した際に、その斜面カム(782)によって、昇降台(735)の斜面カム(732)が押し込まれて、昇降スライダ(735)が押さえ型(71)と共に降下するようになっている。なおロッド(78)の押込が解除された際には、既述したように、付勢手段(733)の付勢力によって上方に押し上げられて、初期状態に復帰するようになっている。
また押し曲げ型(72)の後端には、後部押込部材(77)の斜面カム(771)に対応して、斜面カム(741)が設けられている。そして後部押込部材(77)が降下した際には、その斜面カム(771)によって押し曲げ型(72)の斜面カム(741)が押し込まれて、押し曲げ型(72)が前方にスライド移動するようになっている。なお後部押込部材(77)が上昇してその押込部材(77)による押込操作が解除された際には、上記したように付勢手段(743)の付勢力によって、後方にスライドして自然状態(初期状態)に復帰するようになっている。
この熱交換チューブ製造装置においては、前部押込部材(76)による押込操作が先に開始されてその押込操作が完了した後、後部押込部材(77)による押込操作が開始されるようになっている。これにより後述するように押さえ型(71)が所定量降下し、その降下が完了して押さえ型(71)が停止した後、押し曲げ型(72)が前方へ所定量スライド移動するようになっている。
また押し曲げ型(72)のスライド移動が完了した後は、両押込部材(76)(77)が上昇し、両押込部材(76)(77)の押込操作が解除されて、既述したように押さえ型(71)および押し曲げ型(72)が初期状態に戻るようになっている。
本実施形態の熱交換チューブ製造装置において、ワークとして準備する扁平チューブ部材(20)は図14A,Cに示すように、周知の押出機によって連続押出成形された押出材を所定の長さに切断して得られる押出製品によって構成される。
この扁平チューブ部材(20)は、チューブ厚さ(チューブ高さ)よりもチューブ幅が大きい扁平な断面形状を有し、全体として細長い帯板形状を有している。さらにこの扁平チューブ部材(20)には、チューブ幅方向に並列に配置され、かつチューブ長さ方向に連続して延びる複数の熱交換路(25)が形成されている(図11参照)。
この構成の扁平チューブ部材(20)を熱交換チューブ製造装置にセットするには図14A〜Cに示すように、扁平チューブ部材(20)の長さ方向を製造装置の左右方向に対応させるようにして、扁平チューブ部材(20)の中間部(22)を、押さえ型(71)側のチューブ設置凹部(714)内に後方から挿入して、その凹部(714)に保持させる。
なおこのセット状態においては、扁平チューブ部材(20)の中間部(22)における両端に、押さえ型(71)の山状板部(711)における両辺部(712)(712)の下面側が、扁平チューブ部材(20)に対し斜めに45°の方向に横断する態様に配置されるとともに、中間部(22)における両端のやや外側に、押し曲げ型(72)の谷状凹部(721)における両辺部(722)(722)の上面側が、扁平チューブ部材(20)に対し斜め45°の方向に横断する態様に配置されている。
さらに押さえ型(71)における山状板部(711)の先端(山頂部)は、扁平チューブ部材(20)の中間部(22)の側縁から少し外方(後方)に突出するように配置されている。
またこのセット状態では平面視状態において、押さえ型(71)の山状板部(711)が、押し曲げ型(72)の谷状凹部(721)内に配置されており、山状板部(711)の両辺部(712)(712)と、谷状凹部(721)の両辺部(722)(722)との間に、扁平チューブ部材(20)の厚さ寸法以上の隙間が一定の間隔で形成されている。
この状態において熱交換チューブ製造装置を駆動させると、昇降駆動部材(75)が降下して、既述したように押さえ型(71)が、押し曲げ型(72)に対し下方に降下していく。これにより図15A〜Cに示すように、扁平チューブ部材(20)が、押し曲げ型(72)に下側から支持固定された状態で、押さえ型(71)によって上方から下方に押し込まれる。従って、扁平チューブ部材(20)の中間部両端が、押し曲げ型(72)における谷状凹部(721)の両辺部(712)(712)によって、上方へ押し曲げられて、扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)が、中間部(22)に対し所定の角度で上方へ曲げ起こされる(1次曲げ工程)。
この1次曲げ加工(曲げ起こし加工)が行われると、扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)は、その基端側(下端側)から先端側(上端側)にかけて次第に離間するようにV字状に配置される。さらに図15Cに示すように扁平チューブ部材(20)を熱交換チューブ製造装置に設置した直後の状態において、扁平チューブ部材(20)の「上面」を「表面(211)」、「下面」を「裏面(212)」としたとき、曲げ起こされた両側部(21)(21)の表面(211)(211)は、やや内側に向いた状態に配置されるとともに、裏面(212)(212)は、やや外側に向いた状態に配置されている。
また扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)が曲げ起こされて、押さえ型(71)の降下が終了した時点においては、押さえ型(71)の山状板部(711)が、押し曲げ型(72)の谷状凹部(721)よりも下方に配置され、両者が垂直方向に、扁平チューブ部材(20)の厚さ寸法以上に離間した状態に配置される。
ここで本実施形態においては、押さえ型(71)と、押し曲げ型(71)(72)と、昇降駆動部材(75)、前部押込部材(76)、ロッド(78)および昇降台(735)等の押さえ型(71)を降下させる機構部とによって、1次曲げ手段が構成されている。
一方、押さえ型(71)の降下(1次曲げ工程)が終了すると直ちに、押し曲げ型(72)が水平方向に沿って前方に移動していく。これにより図16A〜Cに示すように、扁平チューブ部材(20)における中間部(22)の両端が、押さえ型(71)の山状板部(711)により前方から支持固定された状態で、扁平チューブ部材(20)の中間部外側、つまり両側部(21)(21)の基端部が、押し曲げ型(72)の谷状凹部(721)によって後方から前方に押し込まれる。これにより、扁平チューブ部材(20)の中間部両端が、山状板部(711)の両辺部(712)(712)に沿うようにさらに押し曲げられて、両側部(21)(21)が中間部(22)に対しほぼ180°の角度で前方へ曲げ倒される(2次曲げ工程)。こうして帯状(直管状)の扁平チューブ部材(20)がU字状の熱交換チューブ(2)に加工される。
なお、2次曲げ加工(曲げ倒し加工)では、押し曲げ型(72)における谷状凹部(721)の両辺部(722)(722)によって、扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)を押し曲げることになるが、この押し曲げ時には、谷状凹部(721)の両辺部(722)(722)の内側から外側にかけて順次、両側部(21)(21)を押し曲げるようになる。従って曲げ起こされた扁平チューブ部材(20)の両側部(21)(21)は、曲げ倒し加工中において、内側から外側にかけて順次押し曲げられるようになるため、両側部(21)(21)はその表面(211)を徐々に押し曲げ方向(曲げ倒し方向)に向かうように、ねじられながら曲げ倒される。このように両側部(21)をひねるように曲げ加工を行うことにより、一対の直管部(両側部21)を所望の位置(状態)に精度良く押し曲げることができ、高い精度を得ることができる。
ここで本実施形態においては、押さえ型(71)と、押し曲げ型(72)と、昇降駆動部材(75)および後部押込部材(77)等の押し曲げ型(72)を降下させる機構部とによって、2次曲げ手段が構成されている。
また本実施形態では図16A,Bに示すように、熱交換チューブ製造装置における押さえ型(71)の前方には、曲げ加工される熱交換チューブ(20)の一対の直管部(22)(22)間に対応して、隙間形成部材としてのスペースガイド板(79)が前後方向に沿って配置されている。このスペースガイド板(79)は、一対の直管部(22)(22)の曲げ方向をガイドするものであり、一対の直管部(22)(22)が、スペースガイド板(79)の両側面にガイドされつつ、曲げ倒されることにより、一対の直管部(22)(22)を所望の位置に精度良く曲成することができ、一対の直管部(22)(22)間に所定の隙間を精度良く形成することができる。
なお、本実施形態においては、曲げ加工後のスプリングバックを考慮して、一対の直管部(22)(22)を、正規の曲げ位置よりも曲げ量を多くして曲げ加工するようにしても良い。
一方、プレス加工が完了すると、昇降駆動部材(75)が上昇し、押さえ型(71)および押し曲げ型(72)が既述したように初期状態に戻る。
その後、熱交換チューブ(2)のターン部(22)を押さえ型(71)側のチューブ設置凹部(714)から後方へ抜き取ることにより、熱交換チューブ(2)をプレス加工装置から取り出す。
なお、本実施形態の熱交換チューブ製造装置において、押さえ型(71)および押し曲げ型(72)の両辺部(712)(722)は、アールの付いた円弧状に形成されていて、この円弧状の湾曲面に沿って、扁平チューブ部材(20)が押し曲げられる。このため曲げ加工時に扁平チューブ部材(20)に局部的に多大な荷重が加わるのを防止でき、キズや亀裂が生じるのを有効に防止でき、より一層高品質のチューブ製品を得ることができる。
こうして作製された熱交換チューブ(2)は図7〜9に示すように、幅方向に並んで平行に配置される一対の直管部(21)(21)の下端部間がターン部(22)によって連通接続されたU字状の形状を有している。さらにターン部(22)の両端が斜め折り(三角折り)にほぼ180°折り曲げられて(折り返されて)、一対の直管部(21)(21)が、ターン部(22)の中間扁平部(24)に対し90°曲成された状態に配置されている。
以上のように、この熱交換チューブ製造装置においては、扁平チューブ部材(20)の両側部(21)を曲げ起こす1次曲げ加工と、曲げ起こされた両側部(21)を曲げ倒す2次曲げ加工とを連続して行って、熱交換チューブ(2)を製造するものである。つまり1台の装置(熱交換チューブ製造装置)によって順次連続して熱交換チューブ(2)を製造できるため、例えば1次曲げ加工と、2次曲げ加工とを別々の装置で行う場合とはことなり、各加工工程間の移行をスムーズに行うことができ、生産効率を向上させることができる。
さらに本実施形態の熱交換チューブ製造装置においては、昇降駆動部材(75)を1度降下(進出)させるだけの1回のプレス動作(1ストロークの昇降動作)で、1次曲げ加工および2次曲げ加工を行うことができるため、各加工毎にプレス動作を行う場合と比較して、より一層生産効率を向上させることができる。
<変形例>
上記実施形態においては、熱交換チューブ(2)のターン部(22)における両側の折り曲げ部(23)(23)が、互いに相対向する方向、つまり両側の折り曲げ部(23)(23)が共に、チューブ厚さ方向の一方側に折り曲げられるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては図17A,Bに示すように、両側の折り曲げ部(23)(23)のうち、一方側の折り曲げ部(23)をチューブ厚さ方向の一方側に折り曲げるとともに、他方側の折り曲げ部(23)をチューブ厚さ方向の他方側に折り曲げるようにしても良い。
また上記本実施形態においては、フィン(31)としてコルゲートフィンを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、他のフィンを用いるようにしても良い。例えば図18,19に示すように、フィンとして、プレートフィンを用いるようにしても良い。図18に示すフィン(32)は、各熱交換チューブ(2)の一対の直管部(21)(21)に対応して、チューブ挿着孔(321)がそれぞれ形成されており、各チューブ挿着孔(321)に各直管部(21)がそれぞれ配置されるようにして、コア高さ方向に所定のピッチで多数配置される。また図19に示すフィン(33)は、各熱交換チューブ(2)の直管部(21)に対応して、切欠部(331)がそれぞれ形成されており、各切欠部(331)に各直管部(21)がそれぞれ配置されるようにして、コア高さ方向に所定のピッチで多数配置されている。
また上記実施形態においては、ヘッダー(5)(6)を、押出製品を利用して形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、絞り製品を利用して形成するようにしても良い。例えば図20に示すように、絞り加工(スピニング加工)によって形成されたカップ状の一対の絞り製品(56)(56)における開口部側端部を、互いに対向合致させてヘッダーを形成するようにしても良い。
さらに上記実施形態においては、前列側のヘッダー(5)と、後列側のヘッダー(6)を別々のパイプ部材によって構成しているが、それだけに限られず、本発明においては例えば、押出製品やプレス曲げ製品等によって構成される箱状の1つのヘッダー部材の内部を仕切部材によって前後に仕切って、その前室側を前列側のヘッダー、後室側を後列側のヘッダーとして構成するようにしても良い。
また本発明においては、ヘッダーの内部に分流板、調整板を配置して、ヘッダー内部を流通する冷媒を、より一層に均等に分散させるようにすることも可能である。分流板、調整板としては、ヘッダー長さ方向に連続し、かつヘッダー軸心に平行に配置される仕切板に、冷媒通過孔が形成されたものや、ヘッダー長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、かつヘッダー軸心に垂直に配置される仕切板に、冷媒通過孔が形成されたもの等を採用することができる。
さらに上記実施形態においては、前側ヘッダー(5)を仕切部材(53)により左右に分割することによって、第1〜4パス(P1)〜(P4)を有する4パス回路構成に形成しているが、それだけに限られず、本発明の熱交換器は、2パス回路構成や、5パス以上の回路構成に形成するようにしても良い。例えば2パスの回路構成のものでは、前後両ヘッダー内に仕切部材を設けずに、前側のヘッダーに導入した冷媒を、全ての熱交換チューブに導入するとともに、各熱交換チューブを通った冷媒を、後側のヘッダーに導入して、そこから流出させるようなU字型の冷媒回路を形成するようにすれば良い。
また上記実施形態においては、本発明の熱交換器をカーエアコンやルームエアコン等の蒸発器(エバポレータ)として用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明は他の熱交換器等にも適用することができる。例えば本発明は、コンデンサ(凝縮器、冷媒冷却器)、オイルクーラー、ラジエータ、インタークーラー等の他の熱交換器としても用いることができる。
また上記実施形態においては、冷媒としては、フロン系冷媒に限られず、超臨界冷凍サイクルとなる二酸化炭素冷媒を使用しても良い。
また言うまでもなく、本発明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」は、重力方向を基準に特定されるものではなく、説明の便宜上、特定したものである。つまり、
本発明において、各方向は特定されるものではない。
この発明の熱交換器は、カーエアコンやルームエアコン等の蒸発器として利用可能である。
この発明の実施形態である熱交換器が適用された蒸発器を示す斜視図である。 実施形態の蒸発器を示す正面図である。 実施形態の蒸発器を示す側面図である。 実施形態の蒸発器を示す平面図である。 実施形態の蒸発器を示す底面図である。 実施形態の蒸発器における下端部を拡大して示す正面図である。 実施形態の蒸発器に適用された熱交換チューブを示す斜視図である。 実施形態の熱交換チューブを示す正面図である。 実施形態の熱交換チューブを示す側面図である。 実施形態の熱交換チューブを示す底面図である。 実施形態の熱交換チューブにおける直管部の端面を示す平面図である。 実施形態の蒸発器に適用されたフィンを示す図であって、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造するための熱交換チューブ製造装置を概略的に示す側面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際のチューブセット状態を示す平面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際のチューブセット状態を示す側面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際のチューブセット状態を示す斜視図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ起こし加工後の状態を示す平面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ起こし加工後の状態を示す側面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ起こし加工後の状態を示す斜視図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ倒し後の状態を示す平面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ倒し後の状態を示す平面図である。 実施形態の熱交換チューブを製造する際の曲げ倒し後の状態を示す斜視図である。 この発明の第1変形例としての熱交換チューブのターン部周辺を示す正面図である。 この発明の第1変形例としての熱交換チューブのターン部周辺を示す底面図である。 この発明の第2変形例としての蒸発器に適用可能なプレートフィンを示す平面図である。 この発明の第3変形例としての蒸発器に適用可能なプレートフィンを示す平面図である。 この発明の第4変形例としての蒸発器に適用可能なヘッダーを示す正面図である。
符号の説明
2…熱交換チューブ
20…扁平チューブ部材
21…直管部
22…ターン部(中間部)
23…折り曲げ部
24…中間平坦部(平坦部)
25…熱交換路
31〜33…フィン
5,6…ヘッダー
71…押さえ型
711…山状板部
72…押し曲げ型
721…谷状凹部
75…昇降駆動部材(進退駆動部材)
79…スペースガイド板(隙間形成部材)
L2…ターン部上下寸法
R3…折り曲げ部内側の曲率半径
T…熱交換チューブ厚さ寸法
T1…直管部厚さ寸法
T2…ターン部突出寸法T2
W1…直管部幅寸法

Claims (17)

  1. 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブが、チューブ厚さ方向に沿って複数並列に配置される熱交換器であって、
    熱交換チューブは、帯状の扁平チューブ部材が長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げられることにより形成され、
    扁平チューブ部材の中間部が、ターン部として構成されるとともに、
    扁平チューブ部材の両側部が、一対の直管部として構成されるようにしたことを特徴とする熱交換器。
  2. 隣り合う熱交換チューブのうち、一方側の熱交換チューブのターン部が、他方側の熱交換チューブのターン部に対し、チューブ厚さ方向に離間して配置される請求項1に記載の熱交換器。
  3. 熱交換チューブのターン部における直管部表面からのチューブ厚さ方向の突出寸法が、隣り合う熱交換チューブにおいて対応する直管部間の隙間よりも小さく形成される請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 熱交換チューブのターン部における直管部長さ方向の寸法が、直管部の幅寸法に対して1.0〜1.5倍に設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. 熱交換チューブのターン部における両端折り曲げ部内側の曲率半径が、直管部の厚さ寸法に対して1〜3倍に設定される請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
  6. 熱交換チューブにおけるターン部の中間に、平坦部が設けられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器。
  7. 熱交換チューブにおけるターン部の両端折り曲げ部は共に、チューブ厚さ方向の一方側に折り曲げられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器。
  8. 熱交換チューブにおけるターン部の両端折り曲げ部のうち、一方側の折り曲げ部は、チューブ厚さ方向の一方側に折り曲げられるとともに、他方側の折り曲げ部は、チューブ厚さ方向の他方側に折り曲げられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器。
  9. 熱交換チューブの直管部における先端側に、複数の熱交換チューブの各直管部を連通接続するヘッダーが設けられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱交換器。
  10. 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブであって、
    帯状の扁平チューブ部材が長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げられることにより形成され、
    扁平チューブ部材の中間部が、ターン部として構成されるとともに、
    扁平チューブ部材の両側部が、一対の直管部として構成されるようにしたことを特徴とする熱交換チューブ。
  11. 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブを製造する際に用いられ、帯状の扁平チューブ部材を長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げて、その折り曲げられた扁平チューブ部材の中間部を、ターン部として構成するとともに、両側部を、一対の直管部として構成するようにした熱交換チューブの製造方法であって、
    帯状の扁平チューブ部材における長さ方向の両側部を、中間部に対し曲げ起こす1次曲げ工程と、
    曲げ起こされた扁平チューブ部材の両側部を、中間部側に曲げ倒す2次曲げ工程とを含むことを特徴とする熱交換チューブの製造方法。
  12. 1次曲げ工程と、2次曲げ工程とを連続して行うようにした請求項11に記載の熱交換チューブの製造方法。
  13. 幅方向に並んで平行に配置される一対の扁平な直管部と、一対の直管部の端部間を連通接続するターン部とを備えたU字状の熱交換チューブを製造する際に用いられ、帯状の扁平チューブ部材を長さ方向の中間部両端において斜め折りに折り曲げて、その折り曲げられた扁平チューブ部材の中間部を、ターン部として構成するとともに、両側部を、一対の直管部として構成するようにした熱交換チューブの製造装置であって、
    帯状の扁平チューブ部材における長さ方向の中間部を押さえ付けながら、扁平チューブ部材の両側部を相対的に押し込んで曲げ起こす1次曲げ手段と、
    1次曲げ加工により両側部が曲げ起こされた扁平チューブの中間部を押さえ付けながら、扁平チューブ部材の両側部を相対的に中間部側へ押し込んで曲げ倒す2次曲げ手段とを備えたことを特徴とする熱交換チューブの製造装置。
  14. 平面視において山状の板部を有する押さえ型を備え、
    その押さえ型の山状板部によって、1次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の中間部を押さえ付けるとともに、2次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の中間部を押さえ付けるようにした請求項13に記載の熱交換チューブの製造装置。
  15. 平面視において谷状の凹部を有する押し曲げ型を備え、
    その押し曲げ型の谷状凹部によって、1次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の両側部を曲げ起こすとともに、2次曲げ手段の加工時に、扁平チューブ部材の両側部を曲げ倒すようにした請求項13または14に記載の熱交換チューブの製造装置。
  16. 進退駆動することにより、1次曲げ手段および2次曲げ手段を駆動させる進退駆動部材を備え、
    進退駆動部材による1ストロークの進退動作が行われる間に、1次曲げ手段による加工および2次曲げ手段による加工が連続して行われるように構成される請求項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換チューブの製造装置。
  17. 2次曲げ手段によって、扁平チューブ部材の両側部を曲げ倒した際に、両側部間に配置されて、両側部間に隙間を形成するための隙間形成部材を備える請求項13〜16のいずれか1項に記載の熱交換チューブの製造装置。
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