JP2009216021A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】NOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒をディーゼルエンジンに適用し、エンジン稼働中のアクセルオフ時にNOxからNH3を生成して三元触媒に吸着させて溜め込み、このNH3を用いて排気ガス中のNOxを還元浄化するようにした排気浄化装置に関し、高硫黄燃料を使用しても三元触媒に対し適宜に脱硫処理を施してNOxを低減する機能を継続させ得るようにする。
【解決手段】三元触媒14より上流側に酸化触媒19を、これより上流側に燃料添加弁15(燃料添加手段)を夫々備え、排気ガス9を酸化触媒19を経由させて三元触媒14へ導く再生流路20と、排気ガス9を酸化触媒19を迂回させて三元触媒14へ直接導く通常流路21とを設け、通常時はバタフライ弁22(流路切換手段)により通常流路21を選択し、三元触媒14の脱離処理を施す時に再生流路20を選択する。
【選択図】図1
【解決手段】三元触媒14より上流側に酸化触媒19を、これより上流側に燃料添加弁15(燃料添加手段)を夫々備え、排気ガス9を酸化触媒19を経由させて三元触媒14へ導く再生流路20と、排気ガス9を酸化触媒19を迂回させて三元触媒14へ直接導く通常流路21とを設け、通常時はバタフライ弁22(流路切換手段)により通常流路21を選択し、三元触媒14の脱離処理を施す時に再生流路20を選択する。
【選択図】図1
Description
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
従来より、ディーゼルエンジンにおいては、排気ガスが流通する排気管の途中に、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えた選択還元型触媒を装備し、該選択還元型触媒の上流側に必要量の還元剤を添加して該還元剤を選択還元型触媒上で排気ガス中のNOx(窒素酸化物)と還元反応させ、これによりNOxの排出濃度を低減し得るようにしたものがある。
他方、プラント等における工業的な排煙脱硝処理の分野では、還元剤にNH3(アンモニア)を用いてNOxを還元浄化する手法の有効性が既に広く知られているところであるが、自動車の場合には、NH3のような有毒な物質を搭載して走行することに関し安全確保が困難であるため、近年においては、毒性のない尿素水を還元剤として使用することが研究されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、尿素水を選択還元型触媒の上流側で排気ガス中に添加すれば、該排気ガス中で尿素水がNH3とCO2(炭酸ガス)に分解され、選択還元型触媒上で排気ガス中のNOxがNH3により良好に還元浄化されることになる。
ただし、このように尿素水を還元剤とする選択還元型触媒を用いた排気浄化装置では、尿素水を貯溜しておくための尿素水タンクを新たに増設しなければならないため、該尿素水タンクの搭載スペースの確保が難しいという問題や、コストの高騰が避けられなくなるという問題を招く結果となり、更には、運転者が簡単に尿素水を入手できるようにインフラを整備しなければならないという社会的な問題も招くことになった。
そこで、本発明者は、ディーゼルエンジンの排気管途中にNOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒を配設し、エンジン稼働中のアクセルオフ時に約0.7付近まで深く空気過剰率を下げ、しかも、その低い空気過剰率でも無煙燃焼を保ち得るよう予混合圧縮着火をディーゼルエンジンで行うようにして、前記三元触媒で排気ガス中のNOxとH2からNH3を生成して溜め込むという新しいシステムを創案するに到った。
即ち、このようにエンジン稼働中のアクセルオフ時に三元触媒にNH3を生成して溜め込んでおけば、アクセルオフの状態が解除されてアクセルが踏み込まれた通常の走行状態に移行した際に、空気過剰率が通常の約1.6以上の状態に戻されて三元触媒の周囲が有酸素状態になり、三元触媒に既に吸着されているNOxや新たに吸着されたNOxが、アクセルオフ時に溜められたNH3によりN2に還元浄化される。
この結果、尿素水を貯溜しておくための尿素水タンクを不要として該尿素水タンクの搭載スペースの確保やコストの高騰に関する問題を解消することが可能となり、しかも、運転者が簡単に尿素水を入手できるようなインフラの整備を不要とすることが可能となる。
特開2002−161732号公報
しかしながら、ディーゼルエンジンの通常の走行状態にあっては、酸素残存量の多い排気ガスに三元触媒が晒されて酸化作用が活発化するので、ディーゼルエンジンの排気ガス中に燃料(軽油)中の硫黄分を起源とするSO2ガスが存在していると、排気ガスの温度が約200〜300℃以上となった時に、三元触媒にて次式
[化1]
2SO2+O2+2H2O→2H2SO4
によりサルフェート(ミスト状硫酸成分)が生成されて三元触媒上に溜まってしまう懸念があった。
[化1]
2SO2+O2+2H2O→2H2SO4
によりサルフェート(ミスト状硫酸成分)が生成されて三元触媒上に溜まってしまう懸念があった。
この種のサルフェートは、約630℃以上の高温下で再びSO2ガスとなって脱離してしまうものであるが、開発途上国等での高硫黄燃料の使用にあっては、サルフェートの生成量が多すぎて短期間のうちに三元触媒の表面全てが覆われるコーキングを招いてしまうので、三元触媒の機能が発揮できなくなってNOxの低減化を図ることができなくなる虞れがあった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、NOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒をディーゼルエンジンに適用し、エンジン稼働中のアクセルオフ時にNOxからNH3を生成して三元触媒に吸着させて溜め込み、このNH3を用いて排気ガス中のNOxを還元浄化するようにした排気浄化装置に関し、高硫黄燃料を使用しても三元触媒に対し適宜に脱硫処理を施してNOxを低減する機能を継続させ得るようにすることを目的としている。
本発明は、ディーゼルエンジンの排気管途中にNOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒を配設し、エンジン稼働中のアクセルオフ時に前記三元触媒で排気ガス中のNOxとH2からNH3が生成される程度まで深く空気過剰率を下げ且つその低い空気過剰率でも無煙燃焼を保ち得るよう予混合圧縮着火を前記ディーゼルエンジンに行わしめる排気浄化装置であって、前記三元触媒より上流側に酸化触媒を備えると共に、該酸化触媒より上流側で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段を備え、排気ガスを酸化触媒を経由させて三元触媒へ導く再生流路と、排気ガスを酸化触媒を迂回させて三元触媒へ直接導く通常流路とを設け、通常時は通常流路を選択して排気ガスを流し且つ三元触媒の脱離処理を施す必要が生じた時に排気ガスの流れを通常流路から再生流路に切り換える流路切換手段を設けたことを特徴とするものである。
このようにすれば、エンジン稼働中のアクセルオフ時に制御装置により深く空気過剰率が下げられ、しかも、その低い空気過剰率でも無煙燃焼を保ち得るよう予混合圧縮着火がディーゼルエンジンで行われる結果、三元触媒の還元作用が活発化してNOxがN2となり、このN2が排気ガス中のH2と結びついてNH3が生成され、そのまま三元触媒に吸着されて溜め込まれる。
そして、アクセルオフの状態が解除されてアクセルが踏み込まれた通常の走行状態に移行し、空気過剰率が通常の約1.6以上の状態に戻されて三元触媒の周囲が有酸素状態になると、三元触媒に既に吸着されているNOxや新たに吸着されたNOxが、アクセルオフ時に溜められたNH3によりN2に還元浄化されることになる。
この際、ディーゼルエンジンからの排気ガスは、流路切換手段により選択された通常流路を流れて酸化触媒を迂回しつつ三元触媒に直接導かれているので、排気ガスの温度が約200〜300℃以上となった時には、三元触媒上で排気ガス中のSO2ガスが水と化合してサルフェートの状態で吸着されることになる。
ただし、三元触媒の脱離処理を施す必要が生じた時には、流路切換手段により選択された再生流路に排気ガスが流れ、該排気ガスが酸化触媒を経由して三元触媒へ流れることになるので、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置を燃料添加手段としてポスト噴射等により燃料添加を行うと、その添加燃料から生じたHCガスが酸化触媒を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガスが直後の三元触媒に流入して該三元触媒の触媒床温度が所定の脱離温度以上に上げられ、サルフェートが再びSO2ガスとして三元触媒から脱離される。
この時、酸化触媒では、通常時において排気ガスの流れに晒されていないことからサルフェートが殆ど溜まっておらず、HCガスの酸化反応を促す機能を良好に発揮し得る状態にあるため、添加燃料から生じたHCガスを良好に酸化反応させて排気ガスの昇温化を図ることが可能である。
しかも、酸化触媒の触媒表面でHCガスが酸化処理されている状況下では、触媒上のあちこちが局所的に著しく高温となっているため、排気ガス中のSO2ガスは硫酸化の行程を飛び越してSO2ガスの状態で酸化触媒を通り抜け、新たなサルフェートが生成されて酸化触媒上に溜まる虞れは殆どない。
ただし、燃料中に含まれる硫黄分が著しく多い場合には、敢えてそのような硫黄分の多い燃料を添加して脱硫処理を施さなくても、酸化触媒より上流の排気管に脱硫処理用のサルファフリー燃料を添加し得るように燃料添加手段を構成することも可能である。
また、本発明においては、三元触媒の直後にパティキュレートフィルタを配設しても良く、このようにすれば、排気ガス中のパティキュレートが後段のパティキュレートフィルタで捕集されることによりNOxとパティキュレートの同時低減が可能となり、しかも、このパティキュレートフィルタの強制再生を前述の脱硫処理と同じ手法で行うことが可能となり、還元すれば、パティキュレートフィルタの強制再生時に同時に三元触媒とパティキュレートフィルタ自体の脱硫処理を施すことが可能となる。
即ち、燃料添加手段により酸化触媒の上流側で排気ガス中に燃料添加を行うと、その添加燃料から生じたHCガスが酸化触媒を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガスが三元触媒を暖めた後にパティキュレートフィルタに流入し、該パティキュレートフィルタの触媒床温度が所定の脱離温度以上に上げられてサルフェートがSO2ガスとして脱離されると共に、捕集済みパティキュレートが燃やし尽くされてパティキュレートフィルタの再生化が図られる。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、NOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒をディーゼルエンジンに適用し、エンジン稼働中のアクセルオフ時にNOxからNH3を生成して三元触媒に吸着させて溜め込み、このNH3を用いて排気ガス中のNOxを還元浄化するようにした排気浄化装置に関し、高硫黄燃料を使用しても三元触媒に対し適宜に脱硫処理を施してNOxを低減する機能を継続させることができる。
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、酸化触媒より上流の排気管に脱硫処理用のサルファフリー燃料を添加することができ、燃料添加自体により酸化触媒上でのサルフェート生成が惹起されてしまう懸念を払拭し、該酸化触媒上にサルフェートが溜るのをより一層確実に防止することができる。
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、排気ガス中のパティキュレートを後段のパティキュレートフィルタで捕集することでNOxとパティキュレートの同時低減を図ることができ、しかも、このパティキュレートフィルタの強制再生時に同時に三元触媒とパティキュレートフィルタ自体の脱硫処理を施すことができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中1はターボチャージャ2を装備したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導かれた吸気4が吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へと送られて冷却され、該インタークーラ6から更に吸気マニホールド7へと吸気4が導かれてディーゼルエンジン1の各気筒8(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配されるようになっている。
また、前記ディーゼルエンジン1の各気筒8から排出された排気ガス9は、排気マニホールド10を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス9が排気管11(排気流路)を介し車外へ排出されるようにしてある。
そして、前記排気管11の途中には、フィルタケース12が介装されており、フィルタケース12内における後段側に、酸化触媒を一体的に担持して成る触媒再生型のパティキュレートフィルタ13が収容されている。
即ち、このパティキュレートフィルタ13は、セラミックから成る多孔質のハニカム構造を有し、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガス9のみが下流側へ排出されるようにしてある。
そして、前記フィルタケース12内におけるパティキュレートフィルタ13の前段には、NOxとNH3の吸着能を持たせたフロースルー型の三元触媒14が装備されており、より具体的には、従来周知のPtやPd、Rh、ZeO、CeO等から成る三元触媒に、排気ガス9中のNOxとNH3を物理的に吸着する能力に優れたゼオライト系触媒(例えばCu/ゼオライト触媒やFe/ゼオライト触媒等)をコーティングしたり、この種のゼオライト系触媒を原料段階から混ぜて一緒に担持させたりした三元触媒14を適用している。
ここで、従来周知の三元触媒とは、排気ガス9中のCO及びHCの酸化とNOxの還元を同時に行い、排気ガス9中の有害ガス三成分を無害なCO2、H2O、N2に浄化するものであり、空気過剰率が1.0前後の理論空燃比付近でだけ有効に働くものであるが、通常の走行状態で空気過剰率が1.6以上にもなるディーゼルエンジンでは、排気ガス9中の残存酸素量が多すぎて三元触媒を有効利用することができず、これまではガソリン車にのみ適用されてきた経緯がある。
尚、従来周知の三元触媒の浄化特性は、空気過剰率(空燃比)により大きく変化し、空気過剰率が高い時(空燃比が薄い時)に、排気ガス9中の残存酸素量が多いことから酸化作用が活発化して還元作用が不活発となり、空気過剰率が低い時(空燃比が濃い時)に、逆に還元作用が活発化して酸化作用が不活発となることが知られている。
一方、ゼオライトはアルミナケイ酸塩質の多孔性結晶材料であり、結晶中に均一な分子レベルの細孔を規則正しく配向して備えていることを特徴とし、この細孔を通じて各種の分子を空洞又は孔路内に吸着する性質を備えており、このような性質以外にも、細孔が均一であることに基づく分子ふるい作用を持つ性質(細孔の孔径より小さい分子しか吸着しない)、結晶構造中のカチオンとアニオンの作用により極性物質を強く吸着する性質、触媒作用を持つ性質も兼ね備えている。
また、この種のゼオライトは、その骨格構造の型に基づき多種類に分類されるが、細孔内へNOxとNH3を吸着する能力と、NOxとNH3との反応を促進する能力と、高耐熱性、高耐久性とに優れたものを適宜に選定すれば良く、同様の性質を備えたゼオライト類縁化合物の中から選定することも可能である。
更に、このようにしてNOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒14より上流側の排気管11には、該排気管11内に脱硫処理用のサルファフリー燃料(灯油等)を直接噴射するための燃料添加弁15が燃料添加手段として装備されており、この燃料添加弁15には、走行用燃料タンクとは別の添加燃料タンク16から導いた燃料添加ライン17が接続され、該燃料添加ライン17の途中に装備したポンプ18の駆動により添加燃料タンク16内のサルファフリー燃料が抜き出されて前記燃料添加弁15に向け供給されるようにしてある。
また、この燃料添加弁15によるサルファフリー燃料の添加位置と、前記フィルタケース12との間を接続する排気管11は、排気ガス9を酸化触媒19を経由させて三元触媒14へ導く再生流路20と、排気ガス9を酸化触媒19を迂回させて三元触媒14へ直接導く通常流路21とに二股状に分岐され、その分岐箇所には、通常時は通常流路21を選択して排気ガス9を流し且つ三元触媒14の脱離処理を施す必要が生じた時に排気ガス9の流れを通常流路21から再生流路20に切り換えるバタフライ弁22が流路切換手段として設けられており、このバタフライ弁22の回動操作を担うアクチュエータ23がエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置24により制御されるようになっている。
これら再生流路20、通常流路21、バタフライ弁22の詳細は図2に拡大して示す通りであり、前記バタフライ弁22は、二股状に分岐した分岐管25内に収容されていて、該分岐管25の二つの出口がフィルタケース12の最前部に夫々接続されている。
そして、フィルタケース12の最前部内には、前記分岐管25の一方の出口からの排気ガス9だけが導入されるよう流路を隔絶された状態で酸化触媒19が収容されていると共に、前記分岐管25の他方の出口からの排気ガス9を拡散させて三元触媒14へ導き得るよう散気管26が収容されている。
また、図1に示す前記ディーゼルエンジン1には、各気筒8毎に装備された図示しないインジェクタから成る燃料噴射装置27が搭載されており、該燃料噴射装置27における各インジェクタの電磁弁が、前記制御装置24により負荷や回転数に基づいて適切に噴射タイミングや噴射量(開弁時間)を適切に制御されるようにしてあるが、エンジン稼働中のアクセルオフ時には、前記三元触媒14で排気ガス9中のNOxとH2からNH3が生成される程度まで深く空気過剰率(λ)を下げ且つその低い空気過剰率でも無煙燃焼を保ち得る予混合圧縮着火が実行されるようにしてある。
ただし、エンジン稼働中のアクセルオフ時とは、走行中の減速時や停車中のアイドリング時等のように特にエンジン出力を要求されない場面であるため、単純に燃料噴射量を増やして空気過剰率を下げるだけでなく適宜に吸気バルブ28の開度を絞る空気絞り(ターボチャージャ2をバリアブルジオメトリーターボチャージャとしてタービン効率を下げることで吸入空気量を減らしても良い)も併用して空気過剰率を下げ、これにより不必要なエンジン出力が発生しないようにする。
また、この際に併用される予混合圧縮着火とは、通常であれば圧縮上死点近辺で行われるべきメイン噴射を圧縮上死点より早いタイミングで行い、気筒8内への燃料の先行投入により燃料の予混合化を促進してから着火燃焼させるようにする燃焼方式のことを指しており、従来にあっては、NOxの生成を抑制するための燃焼方式として知られているものであるが、ここでは空気過剰率を深く下げることで寧ろNOxを生成し易くし、このNOxを利用することで後述の如く三元触媒14上でNH3を生成して吸着し得るようにしている。
尚、図1中の符号の29は排気管11におけるタービン2bの出口付近に設けられた排気ブレーキ、30は排気ガス9を排気側から吸気側へ再循環するためのEGRライン、31はその再循環される排気ガス9の一部を冷却する水冷式のEGRクーラ、32はEGRバルブを夫々示している。
而して、エンジン稼働中のアクセルオフ時に、制御装置24により燃料噴射装置27と吸気バルブ28とが制御されて空気過剰率が深く下げられると、三元触媒14の還元作用が活発化してNOxがN2となり、このN2が排気ガス9中のH2と結びついてNH3が生成され、そのまま三元触媒14に吸着されて溜め込まれる。
即ち、空気過剰率を深く下げて予混合圧縮着火を行うと、単位空気量に対する燃料投入量の割合が増して2000K以上の燃焼温度となり、吸気中の水分(H2O)がH2、O2、OH、Hに熱分解し、本来安定なN2がこれらと反応してNOxが生成され易い環境となるが、三元触媒14の活発化した還元作用によりNOxの還元反応も進み、この還元反応時に余剰のH2と反応してNH3が生成されることになる。
この際、空気過剰率は約0.7付近まで深く下げることが好ましいが、ここまで空気過剰率を下げても予混合圧縮着火を行うことで燃焼性が著しく良化されるので、黒煙(多量の煤)を発生しない無煙燃焼を保つことが可能である。
即ち、この種の予混合圧縮着火によれば、通常の場合に圧縮上死点近辺で行われるべき燃料のメイン噴射が圧縮上死点より早いタイミングで行われ、気筒内への燃料の先行投入により燃料の予混合化が促進されてから着火燃焼することになるため、燃料が良好に分散混合して均等に薄まった状態で同時全域着火により燃焼が行われて燃焼性が著しく良化される。
ただし、エンジン稼働中のアクセルオフ時とは、走行中の減速時や停車中のアイドリング時等のように特にエンジン出力を要求されない場面であるため、単純に燃料噴射量を増やして空気過剰率を下げるだけでなく適宜に空気絞りも併用して空気過剰率を下げ、これにより不必要なエンジン出力が発生しないようにする。
尚、このようなアクセルオフ時における空気過剰率の調整や予混合圧縮着火の着火タイミングの調整には、EGRライン30による排気ガス9の再循環量の制御を併用するようにしても良い。
そして、アクセルオフの状態が解除されてアクセルが踏み込まれた通常の走行状態に移行し、空気過剰率が通常の約1.6以上の状態に戻されて三元触媒14の周囲が有酸素状態になると、三元触媒14に既に吸着されているNOxや新たに吸着されたNOxが、アクセルオフ時に溜められたNH3によりN2に還元浄化されることになる。
この際、ディーゼルエンジン1からの排気ガス9は、バタフライ弁22により選択された通常流路21を流れて酸化触媒19を迂回しつつ三元触媒14に直接導かれているので、排気ガス9の温度が約200〜300℃以上となった時には、三元触媒14上で排気ガス9中のSO2ガスが水と化合してサルフェートの状態で吸着されることになる。
ただし、三元触媒14の脱離処理を施す必要が生じた時には、バタフライ弁22により選択された再生流路20に排気ガス9が流れ、該排気ガス9が酸化触媒19を経由して三元触媒14へ流れることになるので、排気管11途中の燃料添加弁15により燃料添加を行うと、その添加燃料から生じたHCガスが酸化触媒19を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガス9が直後の三元触媒14に流入して該三元触媒14の触媒床温度が所定の脱離温度以上に上げられ、サルフェートが再びSO2ガスとして三元触媒14から脱離される。
この時、酸化触媒19では、通常時において排気ガス9の流れに晒されていないことからサルフェートが殆ど溜まっておらず、HCガスの酸化反応を促す機能を良好に発揮し得る状態にあるため、添加燃料から生じたHCガスを良好に酸化反応させて排気ガス9の昇温化を図ることが可能である。
しかも、酸化触媒19の触媒表面でHCガスが酸化処理されている状況下では、触媒上のあちこちが局所的に著しく高温となっているため、排気ガス9中のSO2ガスは硫酸化の行程を飛び越してSO2ガスの状態で酸化触媒19を通り抜け、新たなサルフェートが生成されて酸化触媒19上に溜まる虞れは殆どない。
ただし、本形態例に示す如く、排気管11の途中で燃料添加弁15により脱硫処理用のサルファフリー燃料を添加するようにすれば、燃料添加自体により酸化触媒19上でのサルフェート生成が惹起されてしまう懸念を払拭し、該酸化触媒19上にサルフェートが溜るのをより一層確実に防止することができる。
尚、三元触媒14の脱離処理を施す必要が生じたか否かの判定については、制御装置24により前回の脱硫処理からの経過時間をタイマで計測して規定時間以上が経過した時に三元触媒14に脱硫処理を施す必要が生じたものと判定したり、或いは、三元触媒14の前後でNOxセンサによりNOx濃度を実測して三元触媒14でのNOxの吸着能力が規定以下に低下した時に三元触媒14に脱硫処理を施す必要が生じたものと判定したりすれば良い。
また、本形態例においては、三元触媒14の直後にパティキュレートフィルタ13を配設しているので、排気ガス9中のパティキュレートが後段のパティキュレートフィルタ13で捕集されることによりNOxとパティキュレートの同時低減が可能となり、しかも、このパティキュレートフィルタ13の強制再生を前述の脱硫処理と同じ手法で行うことが可能となり、還元すれば、パティキュレートフィルタ13の強制再生時に同時に三元触媒14とパティキュレートフィルタ13自体の脱硫処理を施すことが可能となる。
即ち、燃料添加弁15により酸化触媒19の上流側で排気ガス9中に燃料添加を行うと、その添加燃料から生じたHCガスが酸化触媒19を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガス9が三元触媒14を暖めた後にパティキュレートフィルタ13に流入し、該パティキュレートフィルタ13の触媒床温度が所定の脱離温度以上に上げられてサルフェートがSO2ガスとして脱離されると共に、捕集済みパティキュレートが燃やし尽くされてパティキュレートフィルタ13の再生化が図られる。
尚、この際には、吸気バルブ28の開度を絞る空気絞りを併用することも可能であり、このようにすれば、吸気バルブ28により吸気4が絞り込まれ、ディーゼルエンジン1での燃焼による排気ガス9の発生量が投入熱量に対し減少することで排気温度の更なる上昇が図られる。
更に、排気ブレーキ29の開度を絞り込む排気絞りを併用することも可能であり、このようにすれば、アクセルオフ時に排気が絞り込まれ、これより上流側の排気ガス9が昇圧されることで排気温度の上昇が図られ、しかも、エンジンの排気抵抗が高まることにより気筒8内に比較的温度の低い吸気4が流入し難くなって比較的温度の高い排気ガス9の残留量が増加し、この比較的温度の高い排気ガス9を多く含む気筒8内の空気が次の圧縮行程で圧縮されて爆発行程を迎えることでも排気温度の更なる上昇が図られる。
従って、上記形態例によれば、NOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒14をディーゼルエンジン1に適用し、エンジン稼働中のアクセルオフ時にNOxからNH3を生成して三元触媒14に吸着させて溜め込み、このNH3を用いて排気ガス9中のNOxを還元浄化するようにした排気浄化装置に関し、高硫黄燃料を使用しても三元触媒14に対し適宜に脱硫処理を施してNOxを低減する機能を継続させることができる。
更に、特に本形態例においては、三元触媒14の直後にパティキュレートフィルタ13を配設しているので、排気ガス9中のパティキュレートを後段のパティキュレートフィルタ13で捕集することでNOxとパティキュレートの同時低減を図ることができ、しかも、このパティキュレートフィルタ13の強制再生時に同時に三元触媒14とパティキュレートフィルタ13自体の脱硫処理を施すことができる。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、燃料に含まれる硫黄分の程度によっては、ディーゼルエンジン側で圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミング(開始時期がクランク角90゜〜120゜の範囲)でポスト噴射を追加して燃料添加を行うようにしても良く、また、ポスト噴射と排気管途中への直接噴射の両方を適宜に併用することも可能であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ディーゼルエンジン
9 排気ガス
11 排気管
13 パティキュレートフィルタ
14 三元触媒
15 燃料添加弁(燃料添加手段)
19 酸化触媒
20 再生流路
21 通常流路
22 バタフライ弁(流路切換手段)
9 排気ガス
11 排気管
13 パティキュレートフィルタ
14 三元触媒
15 燃料添加弁(燃料添加手段)
19 酸化触媒
20 再生流路
21 通常流路
22 バタフライ弁(流路切換手段)
Claims (3)
- ディーゼルエンジンの排気管途中にNOxとNH3の吸着能を持たせた三元触媒を配設し、エンジン稼働中のアクセルオフ時に前記三元触媒で排気ガス中のNOxとH2からNH3が生成される程度まで深く空気過剰率を下げ且つその低い空気過剰率でも無煙燃焼を保ち得るよう予混合圧縮着火を前記ディーゼルエンジンに行わしめる排気浄化装置であって、前記三元触媒より上流側に酸化触媒を備えると共に、該酸化触媒より上流側で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段を備え、排気ガスを酸化触媒を経由させて三元触媒へ導く再生流路と、排気ガスを酸化触媒を迂回させて三元触媒へ直接導く通常流路とを設け、通常時は通常流路を選択して排気ガスを流し且つ三元触媒の脱離処理を施す必要が生じた時に排気ガスの流れを通常流路から再生流路に切り換える流路切換手段を設けたことを特徴とする排気浄化装置。
- 酸化触媒より上流の排気管に脱硫処理用のサルファフリー燃料を添加し得るように燃料添加手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- 三元触媒の直後にパティキュレートフィルタを配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008061978A JP2009216021A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | 排気浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008061978A JP2009216021A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | 排気浄化装置 |
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Family
ID=41188123
Family Applications (1)
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JP2008061978A Withdrawn JP2009216021A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | 排気浄化装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009216021A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011241746A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Hino Motors Ltd | 排気浄化装置 |
CN111219231A (zh) * | 2018-11-26 | 2020-06-02 | 天纳克汽车经营有限公司 | 具有用于低温scr的氧化部件旁通的排气后处理系统 |
-
2008
- 2008-03-12 JP JP2008061978A patent/JP2009216021A/ja not_active Withdrawn
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CN111219231A (zh) * | 2018-11-26 | 2020-06-02 | 天纳克汽车经营有限公司 | 具有用于低温scr的氧化部件旁通的排气后处理系统 |
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