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JP2009212189A - 容量性サセプタンスを有する微細炭素繊維含有抵抗皮膜を用いた電波吸収体 - Google Patents

容量性サセプタンスを有する微細炭素繊維含有抵抗皮膜を用いた電波吸収体 Download PDF

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JP2009212189A JP2008051738A JP2008051738A JP2009212189A JP 2009212189 A JP2009212189 A JP 2009212189A JP 2008051738 A JP2008051738 A JP 2008051738A JP 2008051738 A JP2008051738 A JP 2008051738A JP 2009212189 A JP2009212189 A JP 2009212189A
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高行 塚田
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Abstract

【課題】
容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体であって、従来の抵抗皮膜を用いた電波吸収体に比べて薄く、且つ容易に設計および製造することのできる電波吸収体を実現する。
【解決手段】
微細炭素繊維分散樹脂溶液を紙や樹脂板などの基材に塗布することで製造ができ、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を備えており、GHz帯領域の周波数を吸収する事ができる電波吸収体を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細炭素繊維を用いた容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いたGHz帯用電波吸収体、特にミリ波帯領域に有用な電波吸収体に関するものである。
近年、電子機器の高速処理化が加速的に進んでおり、LSIやマイクロプロセッサなどのICの動作周波数は急速に上昇しており、他の電子機器に影響を与える電波が放射されやすい環境にある。また一方では、高速大容量通信の普及に伴い、電子機器がこれら通信用電波又はその反射波の影響を受け、誤作動を起こしやすい環境になっている。
通信分野では、1.5GHz及び2.0GHzの電波を利用したマルチメディア移動通信、2.4GHz及び5.2〜5.8GHzの電波を利用した室内無線LAN通信、22GHz、26GHzまたは38GHzの電波を利用したFWA無線LAN通信、光ファイバを用いた高速通信網等が急速に普及又は普及が期待されている。
ITS(Inteligent Transport System)分野では、5.8GHzの電波を利用したETCシステム(Electric Toll Collection、自動料金収受システム)が導入され、今後は60GHz及び76GHzの電波を利用したAHS(走行支援道路システム)の本格導入が期待されている。
このように、様々な分野でGHz帯領域の電波の利用が進み、今後は特にミリ波帯領域の電波が活発に利用される環境が想定されるため、これらの電波に対してEMC(Electro−Magnetic Compatibility、電磁的両立性)、つまり個々の機器からは他に影響するような電波を放出しない(エミッション問題)、電子機器が外部電波に影響されずに正常に動作する(イミュニティ問題)ような電磁環境整備が強く求められている。
EMCに適した電磁環境を構築するためには、不要な電波を吸収し、反射波を極力低減する事が可能な材料(電波吸収体)の存在が必須であるため、電波吸収体の研究が盛んに行われ報告されている。
電波吸収体とは、入射した電波のエネルギーのほとんどを電波吸収体の内部で熱エネルギーに変換する材料の事をいう。電波吸収体の種類には、用いられる吸収材料により、磁性電波吸収体、誘電性電波吸収体、抵抗皮膜を用いた電波吸収体に大別される。
磁性電波吸収体に用いられる代表的な吸収材料には、フェライトがある。フェライトのように磁性を有する材料は、内部の電子がスピンしており、またこの電子は電荷を有しているため、小さなコイルに電流が流れている状態と同じである。コイルに電流が流れると、電磁石が存在する事に相当するため、吸収材料の中に多くの微小磁石が存在する事になる。このような状態の材料に、外部より交流磁界が加わると、外部に大きな別の電磁石を置いた状態と同じ状態になる。そのため、磁性材料の内部の微小磁石は、加えられた外部磁石の方向に向きを変える。この場合、低い周波数の外部磁界では、磁性材料内部の微小磁石の磁気モーメントも、加えられた磁界の方向に向きを変えるため、外部磁界の変化に抵抗することがないため、電気的な抵抗は生じない。しかし、次第に周波数を上げていくと、微小磁石の変化には時間的な遅れが生じ、外部磁石の方向と同じ方向に微小磁石の磁気モーメントの方向が変わらなくなる。これらが、等価的に電気抵抗として現れる事になり、磁性電波吸収体は電波を吸収する。これが磁性電波吸収体の電波吸収原理である。更に周波数を上げていくと、もはや微小磁石は外部磁界の方向に追従しなくなり、このような状態では、電気的な抵抗は現れなくなる。そのため磁性材料を吸収材料として用いた電波吸収体は、周波数特性が大きいため、適用できる周波数範囲に制限があるという欠点がある。
例えば、GHz帯領域の電波吸収体として磁性電波吸収体を利用した場合、ゴムや樹脂などに電気的絶縁性有機物とスピネル結晶構造の軟磁性金属材料または炭素材料などの損失材料とを複合化してシート状にしたものが検討されている。しかしながら、スピネル結晶構造の軟磁性金属酸化物材料の比透磁率は、スネークの限界則に従い、GHz帯では急速に減少してしまう。そのため、電波吸収体としての限界周波数は数GHzである。また軟磁性金属材料については、粒子の厚さを表皮深さ以下の扁平形状とすることによる渦電流の抑制効果及び形状磁性異方性の効果によって電波吸収特性を10GHz程度までは伸ばす事ができるが、それ以上の高周波GHz帯領域、特にミリ波帯領域には適用できない。またこれら磁性材料を用いた電波吸収体は、吸収材料として比重が大きい材料を使用しているため、軽量な電波吸収体を作製する事が困難であり、電子機器内に用いた場合、機器の軽量化という要求に応えられない。
GHz帯領域に対応する電波吸収体の試みとしては、グラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノコイル等のカーボン系材料を、ゴムや樹脂等の電気的絶縁性有機物に分散させた誘電性電波吸収体がある。
誘電性電波吸収体とは、無損失な誘電体に抵抗性材料が分散した誘電材料である。誘電性電波吸収体は、誘電材料を電気的な等価回路で表す事で、伝送線理論を用いて設計する事ができる。伝送線理論では、抵抗性材料が無損失な誘電体に分散した誘電材料を、抵抗性材料自体が有する抵抗と抵抗性材料間の静電容量とが複雑に結合した回路として考える。この材料に電界を加えると、低い周波数では電流が流れないため、抵抗による熱の発生はほとんどない。しかし、周波数が高くなると、周波数に反比例してコンデンサのインピーダンスが低くなるため、抵抗にも電流が流れるようになり、誘電材料内部において熱の発生が生じる。この現象が誘電性電波吸収体における電波吸収の原理であり、結果として電波エネルギーが熱エネルギーに変換されるため、電波吸収が可能となる。しかしながら、抵抗性材料としてグラファイト粉末、カーボンブラック、カーボンファイバー、コイル状炭素繊維(カーボンナノコイル)等のカーボン材料を用いた場合、吸収材料のアスペクト比が小さく、導電性が低いため、要求される誘電性を発現させるためには、多量の吸収材料と、ある程度の厚みが必要となるが、それでもGHz帯領域、特にミリ波帯領域における電波吸収性能としては十分とは言えない。
抵抗皮膜を用いた電波吸収体とは、金属板からλ/4(λはスペーサ内の波長)離れた位置に平面波の波動インピーダンスである376.7Ω(真空中、空気中では367.6Ω)の抵抗皮膜を配置した電波吸収体であり、λ/4型電波吸収体と呼ばれている(例えば、特許文献1参照)。
λ/4型電波吸収体に用いられる抵抗皮膜の表面抵抗率が376.7Ω(真空中、空気中では367.6Ω)であり、スペーサの厚みがλ/4に限定される理由を以下に示す。つまり、λ/4型電波吸収体とは、金属板の前面にd=λ/4の間隔でε・γのスペーサを介して抵抗皮膜を配置した電波吸収体であり、これを伝送線波理論で表すと、抵抗皮膜のわずか金属板側から金属板を見込んだ入力インピーダンスZ・L’は、Z・L’=Z0・tanh(j・(2πd/λ)・(ε・γμ・γ)1/2)で表せる。このことから、抵抗皮膜も考慮して吸収体前面から見込んだ入力インピーダンスZ・Lは、Z・L’と抵抗皮膜の面抵抗値Rの並列回路となるため、Z・L=Z・L’R/(Z・L’+R)となる。従って反射係数R・は、このZ・Lを用いてΓ・=(Z・L−Z0)/(Z・L+Z0)として計算できる。そのためΓ・=0、すなわちZ・L=Z0から導入されるd及びRについて解くことにより、スペーサの誘電率ε・γをパラメータとしてλ/4型電波吸収体が設計する事ができる。スペーサが空気の場合は、この解がR≒367.6Ω、d=λ/4となるためである。
抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、1940年代に実用化されており、当初の抵抗皮膜は、油煙(lampblack)を注入した紙が使用された。その後、導電性繊維とポリエステル糸で織った抵抗布及びカーボンファイバー抵抗体を使用した電波吸収体が開発される等、数多く実用化されている。近年では、透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンス素子などの表示素子の発展に伴い、透明性と導電性を併せ持つ透明導電膜が開発されたため、その技術が電波吸収体に応用され、透明な電波吸収体が実用化されている(例えば、特許文献2参照)。
透明な抵抗皮膜を用いたλ/4型電波吸収体に用いられる吸収材料として、最も高性能な吸収材料は酸化インジウム(以下、ITOと記す。)である。このλ/4型電波吸収体は、基材にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)を用い、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等によりPET製シート上にITO膜を作製する。
しかしながら、抵抗皮膜の電気的な特性は、誘導性または容量性サセプタンスを有しない抵抗皮膜である。そのため、抵抗皮膜の表面抵抗率は367.6Ω/□であり、スペーサの厚みはλ/4であるため、設計自由度がない。また吸収材料であるITOは、材料の枯渇による供給不安があり、製造法も真空蒸着法であるため、高価な電波吸収体となる。またミリ波帯領域における電波吸収性能としては十分ではない。
そのためGHz帯領域、特にミリ波帯領域に良好な吸収特性を有する電波吸収体を作製するための吸収材料として、比重が小さく、アスペクト比が大きく、高い導電性を示す微細炭素繊維の利用が考案され、この微細炭素繊維を吸収材料として用いた電波吸収体の検討が活発に行われている。
微細炭素繊維は、樹脂等に混合して均一に分散複合化する事が難しい材料であるが、分散状態を制御する事で、誘電性電波吸収体とした報告がなされている(例えば、特許文献3〜6参照)。
微細炭素繊維を吸収材料として用いた電波吸収体の例を示す。特許文献3は、直径1〜100nm、長さ50μm以下のカーボンナノチューブを1〜10重量部含有する樹脂複合体を電波吸収体としており、37dB(9.5GHz、厚み1mm)、27dB(2.7GHz、厚み0.8mm)、30dB(2.1GHz、厚み0.8mm)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。特許文献4は、3次元ネットワーク状の微細繊維構造体を含有した電波吸収体が開示され、その添加量により22.2dB(7.7GHz、厚み11.4mm)、23dB(5.1GHz、厚み3.5mm)、29.7dB(5GHz、厚み3.7mm)、23.7dB(6.4GHz、厚み3.5mm)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。特許文献5は、3次元ネットワーク状の微細炭素繊維構造体を含有した電波吸収体が開示され、その添加量により21dB(2GHz、厚み4.8mm)、24dB(8GHz、厚み4.8mm)、38dB(10GHz、厚み4.8mm)、36dB(15GHz、厚み4.8mm)、55dB(20GHz、厚み4.8mm)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。特許文献6は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類、VIII族金属を担時、もしくは内包したカーボンナノチューブまたは鉄内包カーボンナノチューブを20重量部含有したポリエステル等の樹脂複合体を電波吸収体としており、28dB(16GHz、厚み1mm)、34dB(10GHz、厚み1.5mm)、27dB(7GHz、厚み2mm)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。
特許文献3に記載の誘電性電波吸収体は、直径1〜100nm、長さ50μm以下のカーボンナノチューブを用いているが、吸収体の厚みも1mmであり、また限界周波数は10GHzである。また容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体ではない。
特許文献4及び5に記載の誘電性電波吸収体は、吸収特性の高い3次元ネットワーク状の微細炭素繊維構造体を用いており、少量添加で高い吸収特性を示している。しかしその限界周波数は20GHzである。また容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体ではない。
特許文献6に記載の電波吸収体に用いられる担持技術は極めて困難であり、脱離した担持物質とカーボンナノチューブがそれぞれ凝集し、電波吸収性能が低下する。特に金属類は微小であるがゆえに酸化されやすく、それに伴い電波吸収性能が低下する。これらの脱離、酸化はカーボンナノチューブに当該担持物質を内包させる事で解決できるが、その収率は極めて低いものである。
微細炭素繊維を用いた電波吸収体の報告としては、微細炭素繊維を含有した抵抗皮膜を用いた電波吸収体の報告もなされている(例えば、特許文献7参照)。
微細炭素繊維を含有した抵抗皮膜を用いた電波吸収体が記載されている特許文献7は、カーボンナノチューブ、樹脂及び溶剤を含有する電磁波吸収塗料組成物を、絶縁層(スペーサ)であるPET製シート、アラミドペーパー、アルミナ添加アクリル樹脂製シートまたはチタン酸バリウム添加アクリル樹脂性シートの片面または両面に塗布して作製したλ/4型電波吸収体であり、8dB(42GHz、抵抗皮膜の厚み40μm、スペーサの両面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類:PET製シート、スペーサの厚み0.075mm)、8.2dB(48GHz、抵抗皮膜の厚み40μm、スペーサの両面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類:アラミドペーパー、スペーサの厚み0.05mm)、27.5dB(10GHz、抵抗皮膜の厚み40μm、スペーサの片面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類:アルミナ添加アクリル樹脂製シート、スペーサの厚み0.5mm、反射層なし)、23dB(17GHz、抵抗皮膜の厚み40μm、スペーサの両面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類アルミナ添加アクリル樹脂製シート、スペーサの厚み0.5mm)、36dB(20GHz、抵抗皮膜の厚み15μm、スペーサの片面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類:チタン酸バリウム30容積%添加アクリル樹脂製シート、スペーサの厚み0.5mm、反射層銅箔)、21dB(42GHz、抵抗皮膜の厚み10μm、スペーサの両面に抵抗皮膜を形成、スペーサの種類:アルミナ添加アクリル樹脂製シート、スペーサの厚み0.5mm)の反射減衰量が得られたという報告がなされている。しかしながら、この電波吸収体は、一般的なスペーサであるPET製シートまたはアラミドペーパーを用いた場合は、高い電波吸収特性を示していない。スペーサにアルミナ及びチタン酸バリウム等無機成分が含有したアクリル樹脂性シートを用いた場合においては、抵抗皮膜を片面または両面に形成する事で電波吸収特性は得られているが、比重の大きい無機成分が含有するシートを使用しているため軽量な電波吸収体を得られない。また両面に抵抗皮膜を形成する場合においては、製造上困難を要する。さらにこの電波吸収体はλ/4型であり、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜ではないため、抵抗皮膜の表面抵抗率も376.7Ω/□でなければならず、電波吸収体の厚みについてもλ/4に限定される。
一般的に電波吸収体は、吸収体が有する磁性、誘電性、抵抗性のいずれかの特性を利用する事で電波吸収性能を発現する。しかしながら、吸収材料のいずれかの特性を利用するだけでは、昨今のニーズを満足する電波吸収体になり得ない事がある。そのため昨今では抵抗皮膜を用いた電波吸収体の改良検討が行われ、抵抗皮膜に誘電性(容量性又は誘導性)を付与した電波吸収体が開発され報告さている、(例えば、特許文献8、9、10参照)
つまり抵抗皮膜を用いた電波吸収体において、抵抗皮膜の面抵抗値の複素量(実部と虚部)を制御する事で、電波吸収体の厚みをλ/4より厚くまたは薄くすることができる。つまり面抵抗値の実部と虚部を正の値にする事で、誘導性を有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体とする事ができ、λ/4型電波吸収体より厚い電波吸収体とする事ができる。また面抵抗値の実部を正の値、虚部を負の値にする事で、容量性を有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体となり、λ/4型電波吸収体より薄い電波吸収体とする事ができる。
特許文献8では、外装材の内側にフェライトをパターン配置し、前記外装材と前記フェライトとの間に低周波領域で容量性を、また高周波領域で誘導性を示すインピーダンス調整部材を配置した電波吸収体(電波吸収壁)の報告がある。しかしながら吸収材料としてフェライトを使用しており、低周波領域では容量性を有し、高周波領域では誘導性を有することが記載されているが、比重の大きいフェライトを使用しているため、軽量化する事はできない。またTV電波に使用されているVHF帯(90〜222MHz)、UHF帯(470〜770MHz)の周波数帯で十分な電波吸収性能を有した電波吸収壁であるため、GHz帯領域の電波を吸収する電波吸収体ではない。
また特許文献9に記載の電波吸収体は、吸収材料として燐片状黒鉛と土状黒鉛を用いて容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体であり、周波数5.8GHzを抵抗成分のみを有する抵抗皮膜より45%薄い、厚み4.3mmで29dB(面抵抗値405Ω/□)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。特許文献8に記載の電波吸収体は、吸収材料として比重の小さい燐片状黒鉛と土状黒鉛を紙に塗着しているため、軽量化は可能であるが、添加比率の異なる二種類の黒鉛を混合して使用しているため、均一分散する事が難しく、製造上困難を要する。また報告されている最大吸収周波数は、5.8GHzであり、ミリ波領域の吸収特性は得られていない。これら最大吸収周波数は、吸収材料の特性に依存する所が大きく、燐片状黒鉛と土状黒鉛を吸収材料として用いた容量性サセプタンスを有する抵抗性電波吸収体では、高周波GHz帯領域、特にミリ波領域を吸収する事は難しい。
特許文献10に記載の電波吸収体は、吸収材料として比重の小さいフレーク状導電粉末を用いて容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体であり、25dB(7.8GHz、抵抗皮膜の厚み12μm、表面抵抗率275Ω/□)、28dB(9.4GHz、抵抗皮膜の厚み12μm、表面抵抗率275Ω/□)、12dB(11.4GHz、抵抗皮膜の厚み33μm、表面抵抗率60Ω/□)、13.3dB(14.8GHz、抵抗皮膜の厚み65μm、表面抵抗率380Ω/□)の反射減衰量が得られたとの報告がなされている。しかしながら、吸収材料として比重の小さいフレーク状導電粉末を用いているため、軽量化は可能であるが、良好な吸収特性を有する周波数は10GHz程度であり、それ以上の周波数領域では、電波吸収特性として満足する性能を有していない。そのため報告された容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、高周波GHz帯領域、特にミリ波領域の電波を吸収する事は難しい。
電波吸収体の最大吸収周波数は、吸収材料の特性に依存する所が大きく、グラファイト粉末、カーボンブラック、カーボンファイバー、コイル状炭素繊維(カーボンナノコイル)燐片状黒鉛と土状黒鉛等のカーボン材料を吸収材料として用いた容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体では、GHz帯領域、特にミリ波領域の電波を吸収する事は難しい。
以上のように、誘導性又は容量性サセプタンスを有した抵抗皮膜を用いた電波吸収体についは様々な検討が行われているが、微細炭素繊維を用いて容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体の報告はなく、また容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いて、GHz帯領域、高周波GHz帯領域、特にミリ波領域まで電波を吸収する事ができる電波吸収体について報告された例はない。
特開平11−54981号 特開平5−335832号 特開2003−158395号 特開2007−335680号 特開2007−115854号 特開2003−124011号 特開2006−114877号 特開2000−345637号 特開2005−12031号 特開2001−320191号
従って本発明は、上述したような従来技術における問題点を鑑み、吸収材料として比重の小さい微細炭素繊維を用い、容量性サセプタンスを有した抵抗皮膜を用いた電波吸収体を作製する事で、λ/4型電波吸収体より吸収体の厚みを薄くする事ができ、またGHz帯領域、特にミリ波領域において良好な吸収特性を有する電波吸収体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電波吸収塗料組成物を基材に塗布した容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体とすることで、λ/4型電波吸収体より吸収体の厚みを薄くする事ができ、またGHz帯領域、特にミリ波領域において良好な吸収特性を有する電波吸収体を見出したため、本発明の完成に至った。即ち、本発明は、以下の内容で構成されている。
微細炭素繊維と樹脂材料からなり、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体。
微細炭素繊維、樹脂材料及び溶剤を含有する電波吸収塗料組成物を塗布してなる電波吸収体。
前記抵抗皮膜中の微細炭素繊維含有率が、1〜15質量%の範囲である電波吸収体。
電波吸収塗料組成物を基材に塗布して得られた抵抗皮膜の表面抵抗率が950〜3000Ω/□である電波吸収体。
電波吸収塗料組成物を基材に塗布して得られた抵抗皮膜の膜厚が0.001〜0.2mmである電波吸収体。
微細炭素繊維、樹脂材料、溶剤及び分散剤を含有する電波吸収塗料組成物を塗布してなる電波吸収体。
前記分散剤が、水酸基を有する有機化合物または水酸基を有する有機化合物の混合物である電波吸収体。
前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの微細炭素繊維から構成される3次元ネットワーク状の微細炭素繊維構造体であって、前記微細炭素繊維構造体は、前記微細炭素繊維が複数延出する態様で、当該微細炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状物は前記微細炭素繊維の成長過程において成形されてなるものである電波吸収体。
前記微細炭素繊維は、ラマン分光分析法で測定されるID/IGが、0.2以下である電波吸収体。
前記電波吸収塗料組成物に用いられる樹脂材料が、熱可塑性樹脂である電波吸収体。
前記熱可塑性樹脂が、スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、酢酸ビニル樹脂、または環状ポリオレフィン樹脂から選択される1種類以上である電波吸収体。
前記電波吸収塗料組成物に用いられる樹脂材料が、熱硬化性樹脂である電波吸収体。
前記熱硬化性樹脂が熱硬化性ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂である電波吸収体。
前記電波吸収塗料組成物に用いられる溶剤が、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノン、トルエンまたはキシレンのいずれか1つ以上である電波吸収体。
前記電波吸収塗料組成物が塗布される基材が、紙、樹脂シートまたは樹脂板であること電波吸収体。
容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜が塗布された基材の裏面に反射層を設けてなる電波吸収体。
前記電波吸収塗料組成物を基材に塗布し、その裏面に設ける反射層が、アルミニウム箔、銅箔またはステンレス箔である電波吸収体。
本発明の容量性サセプタンスを有する微細炭素繊維含有抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、λ/4型電波吸収体より吸収体の厚みを薄くする事ができ、またGHz帯、特にミリ波帯領域の電波に対して高い吸収特性を示すため、コンピュータ、通信機器、電磁波利用機器、ETS、AHS、建築用途の電波吸収体として好適に用いることができる。
本発明の電波吸収体は、裏面に反射層を設けた基材の表面に、微細炭素繊維含有電波吸収塗料組成物を塗布して得られる、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜が形成された電波吸収体であって、吸収材料として微細炭素繊維を用いるため軽量であり、吸収体の厚みをλ/4型電波吸収体より薄くする事ができ、GHz帯領域、高周波GHz帯領域、特にミリ波領域の電波に対して高い吸収特性を示すことができる事を特徴とするものである。
以下、本発明を実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明の電波吸収体の吸収材料に使用する微細炭素繊維としては、単層、二層及び多層の微細炭素繊維であり、それぞれ目的に応じて用いる事が出来る。本発明においては、より好ましくは、多層の微細炭素繊維が用いられる。微細炭素繊維の製造方法に関しては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法及びHiPco法(High−pressure carbon monoxide process)等、従来公知のいずれの製造方法でもよい。
例えば、レーザー蒸着法により単層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。原料としてグラファイトパウダーと、ニッケル及びコバルト微粉末混合ロットを用意した。この混合ロットを665hPa(500Torr)のアルゴン雰囲気下、電気炉により1250℃に加熱し、そこに350mJ/PulseのNd:YAGレーザーの第二高調波パルスを照射し、炭素と金属微粒子を蒸発させることにより、単層の微細炭素繊維を作製することができる。
以上の作製方法は、あくまで典型例であり、金属の種類、ガスの種類、電気炉の温度、レーザーの波長等を変更してもよい。また、レーザー蒸着法以外の作製法、例えばHiPco法、気相成長法、アーク放電法、一酸化炭素の熱分解法、微細な空孔中に有機分子を挿入して熱分解するテンプレート法、フラーレン・金属共蒸着法等、他の手法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
例えば、定温アーク放電法により二層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基板は表面処理されたSi基板を用い、処理方法としては触媒金属及び触媒助剤金属を溶解した溶液中に、アルミナ粉末を30分間浸し、さらに3時間超音波処理により分散させて得られた溶液をSi基板に塗布し、空気中において120℃で維持間乾燥させた。微細炭素繊維製造装置の反応室に基板を設置し、反応ガスとして水素とメタンの混合ガスを用い、ガスの供給量は水素を500sccm、メタンを10sccmとし、反応室の圧力を70Torrとした。陰極部はTaよりなる棒状の放電部を用いた。次に陽極部と陰極部及び陽極部と基板との間に直流電圧を印加し、放電電流が2.5Aで一定になるように放電電圧を制御した。放電により陰極部の温度が2300℃になると正規グロー放電状態から異常グロー放電状態になり、放電電流が2.5A、放電電圧が700V、反応ガス温度が3000℃の状態を10分間行うことで、基板全体に単層及び2層の微細炭素繊維を作製することができる。
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、アーク放電法以外の作製法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
例えば、気相成長法により三次元構造を有した多層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物をCVD法で化学熱分解して繊維構造体(以下、中間体)を得、これをさらに高温熱処理することで多層の微細炭素繊維を作製することができる。
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素、エタノール等のアルコール類が使用されるが、炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることが好ましい。なお、少なくとも2つ以上の炭素化合物とは、必ずしも原料有機化合物として2種以上のものを使用するというものではなく、原料有機化合物としては1種のものを使用した場合であっても、繊維構造体の合成過程においては、例えば、トルエンやキシレンの水素脱アルキル化などのような反応を生じて、その後の熱分解反応系においては分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物となっているような態様を含むものである。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用い、触媒としては鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
中間体の合成は、通常行われている炭化水素などのCVD法を用い、原料となる炭化水素及び触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解する。これにより、外径が15〜100nmの繊維相互が、前記触媒の粒子を核として成長した粒状体によって結合した疎な三次元構造を有する微細炭素繊維構造体(中間体)が複数集まった数センチから数十センチの大きさの集合体を合成する。
原料となる炭化水素の熱分解反応は、主として触媒粒子ないしこれを核として成長した粒状体表面において生じ、分解によって生じた炭素の再結晶化が当該触媒粒子ないし粒状体より一定方向に進むことで、繊維状に成長する。しかしこの熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させる、例えば上記したように炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることで、一次元的方向にのみ炭素物質を成長させることなく、粒状体を中心として三次元的に炭素物質を成長させる。もちろん、このような三次元的な微細炭素繊維の成長は、熱分解速度と成長速度とのバランスにのみ依存するものではなく、触媒粒子の結晶面選択性、反応炉内における滞留時間、炉内温度分布等によっても影響を受けるが、概して、上記したような熱分解速度よりも成長速度の方が速いと、炭素物質は繊維状に成長し、一方、成長速度よりも熱分解速度の方が速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向に成長する。従って、熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させることで、上記したような炭素物質の成長を一定方向とすることなく、制御下に他方向として、三次元構造を形成することが出来るものである。なお、生成する中間体においては、繊維相互が粒状体により結合された前記したような三次元構造を容易に形成させる上では、触媒等の組成、反応炉内における滞留時間、反応温度及びガス温度等を最適化することが好ましい。
触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃の範囲の一定温度で加熱生成して得られた中間体は、炭素原子からなるパッチ状のシート片を貼り合わせたような構造を有し、ラマン分光分析をすると、Dバンドが非常に大きく、欠陥が多い。また、生成した中間体は、未反応原料、非繊維状炭素物、タール分及び触媒金属を含んでいる。
従って、このような中間体からこれら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の微細炭素繊維構造体を得るためには、適切な方法で2400〜3000℃の高温熱処理を行う。
すなわち、例えば、この中間体を800〜1200℃で加熱して未反応原料やタール分などの揮発分を除去した後、2400〜3000℃の高温でアニール処理することによって所期の構造体を調製し、同時に繊維に含まれる触媒金属を蒸発させて除去する。なお、この際、物質構造を保護するために不活性ガス雰囲気中に還元ガス又は微量の一酸化炭素ガスを添加してもよい。
前記中間体を2400〜3000℃の範囲の温度でアニール処理すると、炭素原子からなるパッチ状のシート片は、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成する。
また、このような高温熱処理前もしくは処理後において、微細炭素繊維構造体の円相当平均径を数センチに解砕処理する工程と、解砕処理された微細炭素繊維構造体の円相当平均径を50〜100μmに粉砕処理する工程とを経ることで、所望の円相当平均径を有する微細炭素繊維を作製する。
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、気相成長法以外の作製法によって作製された多層の微細炭素繊維を使用してもよい。
本発明の微細炭素繊維の添加量については、樹脂材料100質量%に対し1〜15質量%の範囲であり、好ましくは2〜13質量%であり、より好ましくは3〜12質量%である。このように微細炭素繊維が1質量%より少ない場合は、所望の導電性が得られない。また微細炭素繊維が15質量%以上である場合は、微細炭素繊維が嵩高いため、良好な樹脂膜が作製できなくなる。
本発明の熱可塑性樹脂として、特に限定されるものではないが、例えば、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アセトニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ASA樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、PC−ABSアロイ、PC−AESアロイ等のスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、環状ポリオレフィン共重合体、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロースおよびこれらを変性した樹脂等が挙げられる。またエチレン−プロピレン−ターポリマーゴム(EPT)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エチレン−α−オレフィンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等の各種エラストマー等も挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂およびこれらを変性した樹脂等が挙げられる。
本発明で使用する有機溶剤を以下に挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトール、ブチルカービトール、メトキシブタノール)及びエステルエーテル類(酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトール、酢酸メトキシブチル)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン)、脂肪族炭化水素類(ミネラルスピリット)、脂環族炭化水素(テレビン油)、混合炭化水素(HAWS、ソルベット100、ソルベット150)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホン)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル)、シリコーンオイル類(ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ブロモベンゼン)、フッ素化物類等が挙げられる。またこれらを2種以上混合してもよい。さらに溶剤の量は、塗料として使用するときの粘度が塗装できる適当な範囲になるように選定すればよい。
本発明の微細炭素繊維を分散させるための分散剤においては、下記表に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009212189
Figure 2009212189
本発明の微細炭素繊維用分散剤の平均重合度は、200〜8000の範囲であり、好ましくは300〜5000であり、特に好ましくは400〜3000である。このように微細炭素繊維用分散剤の平均重合度が200より少ない場合は、所望の性能が得られず、また微細炭素繊維用分散剤の平均重合度が8000以上の場合は、使用されている樹脂との相溶性が低下するため、特性を低下させる場合がある。
本発明の微細炭素繊維用分散剤の組成比(X:Y:Z)については、65〜90:5〜30:0〜10の範囲が採用でき、好ましくは70〜85:10〜25:0〜8であり、特に好ましくは75〜85:15〜20:1〜5である。このように微細炭素繊維用分散剤においてXの組成比が65より少ない場合は、微細炭素繊維用分散剤の分散解繊性能が得られず、また微細炭素繊維用分散剤においてXの組成比が90以上の場合は、使用されている樹脂との相溶性が低下するため、特性を低下させる場合がある。
本発明の微細炭素繊維用分散剤の添加量については、微細炭素繊維100質量%に対して0.0005〜500質量%の範囲であり、好ましくは0.015〜250質量%であり、特に好ましくは0.025〜100質量%である。このように微細炭素繊維用分散剤が0.0005質量%より少ない場合は、所望の性能が得られない。また微細炭素繊維用分散剤が500質量%以上である場合は、使用されている樹脂の特性を低下させる場合がある。
本発明に用いられる電波吸収塗料組成物には、その他の用途に応じて添加剤を加えてもよい。例えば、無機顔料、有機顔料、フィラー、ウィスカ、増粘剤、沈降防止剤、紫外線防止剤、湿潤剤、乳化剤、皮張り防止剤、重合防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分れ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、耐火・防止剤、防カビ・防藻剤、抗菌剤、殺虫剤、海中防汚剤、金属表面処理剤、脱さび剤、脱脂剤、皮膜化成剤、漂白剤、着色剤、ウッドシーラー、目止め剤、サンディングシーラー、シーラー、セメントフィラー又は樹脂入りセメントペースト等が挙げられる。
本発明で用いられる電波吸収塗料組成物を作製するための分散機においては、一般的な分散機が用いられる。例えば、遊星ミル、ボールミル、三本ロール、ニーダー、ヘンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリー混合機、ビーズミル(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライズ)TKラボディスパー、TKフィルミックス、TKパイプラインミクサー、TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、TKユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TKアジホモディスパー(以上、特殊機化工業(株))、ホモジナイザー・ポリトロン((株)セントラル科学貿易)、ホモジナイザー・ヒストロン((株)日音医理科機器製作所)、バイオミキサー((株)日本精機製作所)、ターボ型攪拌機((株)小平製作所)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株))、エバラマイルザー(荏原製作所(株))、超音波装置又は超音波洗浄機(アズワン(株))等が挙げられる。
本発明の電波吸収塗料組成物を基材に塗装する方法は、一般的な塗装方法を以下に挙げるが、特にこれらに限定するものではない。例えば、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、低圧霧化スプレー塗装、バーコーダー法による塗装、スピンコーターを用いた塗装等が挙げられる。塗膜の厚さにも特に制限はないが、抵抗皮膜が0.001〜0.2mmであることが好ましく、より好ましくは0.002〜0.1mmであり、特に好ましくは0.003〜0.05mmである。
本発明の電波吸収塗料組成物において、樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いた場合、上記の方法で基材に塗装して得られた微細炭素繊維含有抵抗皮膜は、常温で塗膜を乾燥させることもできる。しかし、塗膜を十分に乾燥させるためには、乾燥温度が10〜200℃に加熱することが好ましく、より好ましくは30〜150℃であり、特に好ましくは60〜120℃である。乾燥温度が10℃未満であると乾燥が十分に進まないおそれがあり、200℃を超えると、素材の変形、塗膜の黄変、膜物性低下等をまねくおそれがある。乾燥時間は、有機溶剤可溶性樹脂、溶剤および基材の種類等で考慮される。
本発明の電波吸収塗料組成物において、樹脂材料として熱硬化性樹脂を用いた場合、上記の方法で基材に塗装して得られた微細炭素繊維含有抵抗皮膜は、常温で塗膜を乾燥及び硬化させることもできる。しかし、塗膜を十分に乾燥及び硬化させるためには、乾燥温度が10〜400℃に加熱することが好ましく、より好ましくは30〜350℃であり、特に好ましくは60〜300℃である。乾燥温度が10℃未満であると乾燥が十分に進まないおそれがあり、400℃を超えると、素材の変形、塗膜の黄変、膜物性低下等をまねくおそれがある。乾燥及び硬化時間は、熱硬化性樹脂、溶剤および基材の種類等で考慮される。
本発明の電波吸収塗料組成物を塗布する基材については、特に限定されるものではないが、例えば、紙、ガラス、樹脂、不織布、金属等が挙げられ、形状についても、フィルム、シート、板、立体など様々な形状が挙げられる。
基材には用途に応じた特性を満足するように、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、ガラス繊維等の繊維補強剤、無機充填材等を1種又は2種以上含有することができる。
反射層には導電性の薄膜であれば、特に限定されず、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔等の金属箔、金属繊維又は金属めっきを施した繊維により、織られた導電性布又は導電性不織布、蒸着めっき、無電界めっき等のめっき、その他導電性塗料(金属系又は炭素系の塗料又はめっき)などや導電性シートなどが挙げられる。このように容量性を有する抵抗性皮膜が塗布された基材の裏面に金属箔等の反射層を設けることで、金属面に本電波吸収体を貼り付けるだけでなく、それ例外に貼り付けた場合においても、所望の電波吸収特性を発現する事ができる。
λ/4型電波吸収体は、基材に成形される抵抗皮膜の表面抵抗率は、367.6Ω/□で限定されているが、本報告の容量性を有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、950〜3000Ω/□の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜2500Ω/□であり、特に好ましくは1200〜2000Ω/□である。このように抵抗皮膜の表面抵抗率がλ/4型電波吸収体より高い表面抵抗率において良好な電波吸収特性が得られるため、抵抗皮膜内の吸収材料の添加量を低減する事が可能である。容量性を有する抵抗皮膜の表面抵抗率が950Ω/□より小さい場合、電波の反射減衰量が所望する値にならづらく、また3000Ω/□より大きい場合においても、電波の反射減衰量が所望する値になりづらい。つまり、電波吸収体としての性能を満足する電波反射量が20dBに到達しない事がある。
また基材に成形される抵抗皮膜の膜厚は、限りなく薄いほうが好ましいが、0.001〜0.2mmがよく、好ましくは0.002mm〜0.1mm、さらに好ましくは0.003〜0.05mmである。このように0.001mm以下では、所望する表面抵抗率を有する抵抗皮膜を得る事が難しく、0.2mm以上は電波吸収塗料組成物を用いた製造が難しい。
本発明の電磁波吸収体の吸収周波数を調整するために、前記電波吸収塗料組成物が塗布される基材の厚みを調節することが望ましい。低い周波数の電磁波を吸収させるためには、基材をより厚くするのが望ましく、高い周波数を吸収するには基材を薄くすればよい。
つまり、本発明の容量性サセプタンスを有する微細炭素繊維含有抵抗皮膜を用いた電波吸収体がGHz帯領域を吸収するためのスペーサの厚みは、λ/4型電波吸収体より薄くする事ができるため、例えば、1GHzの電波ではλ/4である75mmより薄くする事ができ、2.4GHzの電波ではλ/4である31.45mmより薄くする事ができ、10GHzの電波ではλ/4である7.5mmより薄くする事ができ、38GHzの電波ではλ/4である1.62mmより薄くする事ができ、60GHzではλ/4である1.25mmより薄くする事ができ、76GHzの電波ではλ/4である1.0mmより薄くする事ができ、94GHzの電波ではλ/4である0.8mmより薄くする事ができる。
本発明の抵抗皮膜の面抵抗値の複素量は、実部が正の値であり、虚部は負の値でなくてはならない。また、実部の値の絶対値は虚部の値の絶対値に比べ小さい値であることが望ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<電波吸収塗料組成物の調製法>
〔実施番号1〜12〕
アクリロニトリル−スチレン樹脂 [ダイセルポリマー(株)セビアンN] 53gを、2−ブタノン224g及びトルエン224gの混合溶媒に溶解させて10.8質量%樹脂溶液を501g調整した。この樹脂溶液に微細炭素繊維(ナノカーボンテクノロジーズ株式会社製、外径40〜90nm、長さ数十μm)を5.91g及び炭素繊維用分散剤として表1に示した化合物1を0.591g入れ、1時間攪拌して微細炭素繊維含有樹脂液を調製した。
調製した微細炭素繊維含有樹脂液をビーズミル粉砕機((株)シンマルエンタープライズ製、ビーズ径0.6mm)にて分散処理を行うことにより、微細炭素繊維が均一に分散、解繊した電波吸収塗料組成物を調製した。
<抵抗皮膜の作製法>
調製した電波吸収塗料組成物を、ポリプロピレン樹脂基材(160x160x3mm)上にバーコータ法にて塗布、室温にて60分放置乾燥する事で微細炭素繊維含有抵抗皮膜を作製した。
電波吸収塗料組成物の微細炭素繊維の濃度を低くするためには、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加える事で希釈を行う。希釈するためのアクリロニトリル−スチレン樹脂溶液は、アクリロニトリル−スチレン樹脂53g[ダイセルポリマー(株)セビアンN]を、2−ブタノン224g及びトルエン224gの混合溶媒に溶解させて10.8質量%樹脂溶液を501g調製した。
〔実施番号13〕
上記で調製した電波吸収塗料組成物中に、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加え、抵抗皮膜内の微細炭素繊維含有量を樹脂に対して10質量%にした電波吸収塗料組成物を用い、バーコータの種類を変更した以外は、実施例1に準じた。
〔実施番号14、20、21〕
上記で調製した電波吸収塗料組成物中に、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加え、抵抗皮膜内の微細炭素繊維含有量を樹脂に対して9.0質量%にした電波吸収塗料組成物を用い、バーコータの種類を変更した以外は、実施例1に準じた。
〔実施番号15、16〕
上記で調製した電波吸収塗料組成物中に、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加え、抵抗皮膜内の微細炭素繊維含有量を樹脂に対して10.5質量%にした電波吸収塗料組成物を用い、バーコータの種類を変更した以外は、実施例1に準じた。
〔実施番号17、22〕
上記で調製した電波吸収塗料組成物中に、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加え、抵抗皮膜内の微細炭素繊維含有量を樹脂に対して8.5質量%にした電波吸収塗料組成物を用い、バーコータの種類を変更した以外は、実施例1に準じた。
〔実施番号18、19〕
上記で調製した電波吸収塗料組成物中に、10.8質量%アクリロニトリル−スチレン樹脂溶液を加え、抵抗皮膜内の微細炭素繊維含有量を樹脂に対して8.0質量%にした電波吸収塗料組成物を用い、バーコータの種類を変更した以外は、実施例1に準じた。
<表面抵抗率の測定>
ポリプロピレン樹脂基板に作製した抵抗皮膜を、四端針式抵抗率計(三菱化学(株)製Loresta AP MCP−T400)を用いて塗膜表面9箇所の抵抗(Ω)を測定した。同抵抗計により表面抵抗率(Ω/□)に換算し、平均値を算出した。その結果は表2に示したとおりである。
<反射減衰量及び複素比誘電率の測定>
反射減衰量及び複素比誘電率の測定は、ベクトルネットワークアナライザ(E8364A)を用い、1対1のレンズアンテナ間を伝送路とみなし、さらには、誘電体レンズを用いる事により電波を収束させ、電波の透過係数及び反射係数を測定するレンズ法を用いて行った。反射減衰量の測定は、初めにVNAの初期設定を行い、TRL校正を行う事によりVNAの伝送特性を正規化した。次に測定に必要な時間のみ測定を行うように、タイムゲート処理も行った。反射減衰量の測定においては、金属板の反射係数を基準として、電波吸収体サンプルに金属板を裏打ちした状態の反射係数を導入する事により算出した。また複素比誘電率については振幅と位相情報よりアジデントテクノジー(株)製85071を用いて推定した。なお、測定周波数領域は、34〜54GHz帯領域における垂直入射時について測定を行い、その結果を表2及び図1〜7に示した。
〔比較例1〕
スペーサであるポリプロピレン樹脂(160x160x3mm)について、表面抵抗率、複素比誘電率及び電波吸収特性の測定を、上記の方法に準じて行った。スペーサのポリプロピレン樹脂の複素比誘電率ε・γはレンズ法による複素比誘電率測定により、2.29−j0であった。
Figure 2009212189
<抵抗皮膜における面抵抗値の複素量の算出>
抵抗皮膜の表面抵抗率、電波吸収特性結果を用いて、抵抗皮膜の任意の面抵抗値の複素量を以下に示す吸収量算出の理論式に代入し、面抵抗値の複素量を推定した。つまり、抵抗皮膜における面抵抗値の複素量R・s、スペーサの厚みd、吸収体前面より内部を見込んだインピーダンスZ・in2を用いた反射係数Γ・は下記式で表せる。
Γ・=(Z・in2−Z0)/(Z・in2+Z0)
Z・in2=(R・s・Z・in1)/(R・s+Z・in1)
Z・in1=Z・c・tanh(γ・d)
Z・c=Z0/(ε・γ)1/2
γ・=2π・(ε・γ)1/2/λ
Z0=376.7
このR・を用いて電波吸収量S[dB]は次式で求める事ができる。 S=−20log|Γ・| 抵抗皮膜の表面抵抗率、電波吸収特性結果を用いて、抵抗皮膜の任意の面抵抗値の複素量(実部、虚部)を推定した結果を表3に示し、図8に抵抗皮膜の面抵抗値の複素量の分布図を示す。また抵抗皮膜の面抵抗値の複素量と直流の面抵抗値との関係を図9に示す。実施例の微細炭素繊維を含有する抵抗皮膜が容量性サセプタンスを有すると仮定して、計算により算出した電波吸収特性については、実測値と同様の図1〜7に示した。
Figure 2009212189
実施例の抵抗皮膜を有する電波吸収体の電波吸収特性の実測値と、抵抗皮膜を有する電波吸収体の抵抗皮膜に容量性サセプタンスを有すると仮定して算出した電波吸収特性は、良好な一致を示した。そのため、実施例で得られる容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、上記式で計算を行う事で電波吸収体の設計が可能である事が示された。
<電波吸収体の設計>
面抵抗値の複素量と直流の面抵抗値との関係を図9に示したが、その結果、抵抗皮膜の面抵抗値が1590Ω/□の時、Γ・=(Z・in2−Z0)/(Z・in2+Z0)の式を用いて導出を行った無反射曲線に最も近いため、このときの面抵抗値の複素量を用いて、38GHzの電波を利用するFWA固定無線LANに対する電波吸収体の設計を行った。38GHzの電波を最大限吸収できるスペーサの膜厚を図10に示し、吸収ピークを図11に示す。図10により、スペーサの厚みは0.73mmにする事が算出され、λ/4型電波吸収体のスペーサの厚み(1.62mm)より、55%短縮する事が可能である。
実施例1〜5により、微細炭素繊維を吸収材料として用いた抵抗皮膜は容量性サセプタンスを有している事は明白である。また比重の小さい微細炭素繊維を用いているため、軽量な電波吸収体を作製する事ができる。
実施例1〜5により、本報告の微細炭素繊維を吸収材料として用い、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を基材に形成させた電波吸収体は、GHz帯領域、特にミリ波領域に電波吸収特性を示す事は明白であり、特に抵抗皮膜の表面抵抗率が950〜3000Ω/□の範囲であると、GHz帯領域、特にミリ波領域において、高い電波吸収特性を示す事ができる。
実施例6により、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いる事で、λ/4型電波吸収体より、吸収体の厚みを大きく短縮する事ができる。
本発明の微細炭素繊維を吸収材料とした、容量性を有する抵抗皮膜を用いた電波吸収体は、吸収材料として無機材料を使用した電波吸収体に比べ軽量であり、λ/4型電波吸収体より吸収体の厚みを薄くする事ができ、またGHz帯、特にミリ波帯領域の電波に対して良好な電波吸収特性を示すため、コンピュータ、通信機器、電磁波利用機器、ETS、AHS、建築用途の電波吸収体として利用する事ができる。
実施番号1における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号9における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号11における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号12における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号13における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号15における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号19における電波吸収特性の実測値と計算値である。 実施番号1〜22おける抵抗皮膜の面抵抗値の複素量の分布図である 実施番号4,5、6、12、14、20における抵抗皮膜の面抵抗値の複素量と直流の面抵抗値との相関図である。 38GHz用FWA固定無線LANの電波吸収体を設計した場合において、スペーサの膜厚と反射減衰量との相関図である。 38GHz用FWA固定無線LANの電波吸収体を設計した場合の電波吸収特性ピークである。

Claims (17)

  1. 微細炭素繊維と樹脂材料からなり、容量性サセプタンスを有する抵抗皮膜を用いたことを特徴とする電波吸収体。
  2. 微細炭素繊維、樹脂材料及び溶剤を含有する電波吸収塗料組成物を塗布してなることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 前記抵抗皮膜中の微細炭素繊維含有率が、1〜15質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜2に記載の電波吸収体。
  4. 電波吸収塗料組成物を基材に塗布して得られた抵抗皮膜の表面抵抗率が、950〜3000Ω/□であることを特徴とする請求項1〜3に記載の電波吸収体。
  5. 電波吸収塗料組成物を基材に塗布して得られた抵抗皮膜の膜厚が、0.001〜0.2mmであることを特徴とする請求項1〜4に記載の電波吸収体。
  6. 微細炭素繊維、樹脂材料、溶剤及び分散剤を含有する電波吸収塗料組成物を塗布してなることを特徴とする請求項1〜5に記載の電波吸収体。
  7. 前記分散剤が、水酸基を有する有機化合物または水酸基を有する有機化合物の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の電波吸収体。
  8. 前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの微細炭素繊維から構成される3次元ネットワーク状の微細炭素繊維構造体であって、前記微細炭素繊維構造体は、前記微細炭素繊維が複数延出する態様で、当該微細炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状物は前記微細炭素繊維の成長過程において成形されてなるものであることを特徴とする請求項1〜7に記載の電波吸収体。
  9. 前記微細炭素繊維は、ラマン分光分析法で測定されるI/Iが、0.2以下であることを特徴とする請求項1〜8に記載の電波吸収体。
  10. 前記電波吸収塗料組成物に用いられる樹脂材料が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜9に記載の電波吸収体。
  11. 前記熱可塑性樹脂が、スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、酢酸ビニル樹脂、または環状ポリオレフィン樹脂から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項10に記載の電波吸収体。
  12. 前記電波吸収塗料組成物に用いられる樹脂材料が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜9に記載の電波吸収体。
  13. 前記熱硬化性樹脂が熱硬化性ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項12に記載の電波吸収体。
  14. 前記電波吸収塗料組成物に用いられる溶剤が、メタノール、エタノール、2−プロパノール2−ブタノン、トルエンまたはキシレンのいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1〜13に記載の電波吸収体。
  15. 前記電波吸収塗料組成物が塗布される基材が、紙、樹脂シートまたは樹脂板であることを特徴とする請求項1〜14に記載の電波吸収体。
  16. 容量性サセプタンスを有する抵抗性皮膜が塗布された基材の裏面に反射層を設けてなることを特徴とする請求項1〜15に記載の電波吸収体。
  17. 前記電波吸収塗料組成物を基材に塗布し、その裏面に設ける反射層が、アルミニウム箔、銅箔またはステンレス箔であることを特徴とする請求項1〜16に記載の電波吸収体。
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