JP2009208609A - 自動車用エンジンアンダーカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化したエンジンアンダーカバーで車両床下を流れる空気流れを整流し、より空気抵抗を減少可能とする自動車用エンジンアンダーカバーを提供する。
【解決手段】車両前部に設けられたエンジンルーム3の下側に配設され、フロントバンパー5下面から該エンジンルーム3内に配置されたエンジン前方までの間を覆うエンジンアンダーカバー4において、エンジンアンダーカバー後端部分に、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム上方へ傾斜する傾斜部6を設けた。この傾斜部6で、車両床下の空気流れ14を加速させると共に上方向成分を持つ流れとして、エンジンルーム3から噴き出す車両下向きの流れ15に押し下げられることなく合流して、流速の低下が少ない流れ16のまま車両後方へ流れるようにする。
【選択図】図4
【解決手段】車両前部に設けられたエンジンルーム3の下側に配設され、フロントバンパー5下面から該エンジンルーム3内に配置されたエンジン前方までの間を覆うエンジンアンダーカバー4において、エンジンアンダーカバー後端部分に、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム上方へ傾斜する傾斜部6を設けた。この傾斜部6で、車両床下の空気流れ14を加速させると共に上方向成分を持つ流れとして、エンジンルーム3から噴き出す車両下向きの流れ15に押し下げられることなく合流して、流速の低下が少ない流れ16のまま車両後方へ流れるようにする。
【選択図】図4
Description
本発明は、自動車用エンジンアンダーカバーに関する。
自動車の床下空力特性向上を目的として、車両前部に隔成されたエンジンルームの下側にエンジンアンダーカバーを取り付け、このエンジンアンダーカバーに、エンジンルーム内の熱気を車両側方外側へ流出させるダクトを形成した技術が開示されている(例えば、特許文献1等に記載)。
前記ダクトは、エンジンアンダーカバーの後半部分であって車両中心線に対して略対称の位置にそれぞれ形成されている。また、このエンジンアンダーカバーには、前記ダクト間にカバー下側に沿う空気を縮流してカバー後方のトランスミッションに向けて空気流を流す絞り部が形成されている。この特許文献1に記載の技術では、車両床下の空気抵抗の低減と、トランスミッションやデフ等の冷却を可能としている。
特開平7−52836号公報
しかし、特許文献1の構造では、エンジンルーム下を覆うカバー面積が大きいため、エンジンルームからの熱気排出の断面積が小さくなり、登坂路走行時のように低速・高負荷走行のときには、熱気排出のためにエンジンルーム内を高圧に保つための強力な冷却ファンが必要となる。
そこで、本発明は、小型化したエンジンアンダーカバーで車両床下を流れる空気流れを整流し、より空気抵抗を減少可能とする自動車用エンジンアンダーカバーを提供することを目的とする。
本発明の自動車用エンジンアンダーカバーは、フロントバンパー下面からエンジンルーム内に配置されたエンジン前方までの間を覆うように配置される。そして、このエンジンアンダーカバーの後端部分には、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム上方へ傾斜する傾斜部を設ける。
本発明の自動車用エンジンアンダーカバーによれば、エンジンアンダーカバーの後端部分に、エンジンルーム内上方へ向けて傾斜する傾斜部を設けたので、カバー下側に沿う車両床下の空気流れを傾斜部に沿って上方へ偏向し、エンジンルーム内から床下へと流出する下向きの流れと合流して、その空気流を水平方向車両後方へ流すことができる。
この結果、本発明によれば、エンジンルーム下側を完全に閉塞しない小型のアンダーカバーで空気抵抗を低減することが可能となり、またエンジンアンダーカバーのコスト及び質量を増加させることなく空力特性向上を可能とした。
また、本発明によれば、エンジンルーム下側を完全に閉塞していないため、低速・高負荷走行時でもエンジンルームからの熱気が外へ抜け易く、冷却ファン等を追加する必要がなくなる。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーを取り付けた車両の底面図、図2は図1に示す車両のエンジンアンダーカバーが取り付けられた部位の要部拡大断面図、図3は図1に示す車両のエンジンアンダーカバーの斜視図、図4は図1に示す車両の床下空気流れを断面で見たときの空気流れ説明図、図5は図1に示す車両の床下空気流れを車両底面から見たときの空気流れ説明図、図6は従来構造のエンジンアンダーカバーを取り付けた車両の底面図、図7は図6に示す車両の床下空気流れを断面で見たときの空気流れ説明図、図8は図6に示す車両の床下空気流れを車両底面から見たときの空気流れ説明図である。なお、図1中、矢印Xは車両の車幅方向を示し、矢印Yは車両の前後方向を示す。
本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーは、図1及び図2に示すように、車両1の車幅方向Xにエンジン2を横置きに配置したいわゆる横置きエンジン車において、その車両前部に隔成されたエンジンルーム3の下側に配設されている。具体的には、エンジンアンダーカバー4は、車両前部に設けられたフロントバンパー5の下面5aからエンジンルーム3内に配置されたエンジン2前方までの間を覆うようしてエンジンルーム下側開放部を閉塞している。
前記エンジンアンダーカバー4は、図3に示すように、樹脂素材により成形されており、その大部分を平板状としている。また、このエンジンアンダーカバー4の後端部分には、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム上方へ傾斜する傾斜部6が一体的に設けられている。前記傾斜部6は、エンジン2の車両前方に車幅方向へ延在して設けられたクロスメンバ7の後端縁7aと対応する位置を傾斜始点6aとし、この傾斜始点6aからエンジン2へ向かって斜め上方に傾斜されている。
前記傾斜部6の傾斜角度θは、当該傾斜部6の延長線8がエンジン2と当たる点9が、当該エンジン2の下部に取り付けたオイルパン10のフランジ11より下の位置となるように設定される。また、この傾斜部6の後端縁6bからエンジンルーム2内のエンジン2、トランスミッション12、排気管であるエキゾースト13までの各距離L1、L2、L3を略均一としている。図1では、各距離L1、L2、L3を誇張して記載しているが、実際には殆ど同じ程度の距離とされている。
次に、本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーの作用について説明する。エンジンアンダーカバー4の後端部分に、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム3上方へ傾斜する傾斜部6を設けることで、図4及び図5に示すように、カバー下側に沿う車両床下の空気流れ14が傾斜部6に沿って上方へ偏向される。
この空気流れ14は、傾斜部6でその向きが偏向される際に加速されることで運動エネルギーが増加し、且つ上方向成分を持つ流れとなるため、エンジンルーム3から噴き出す車両下向きの流れ15に押し下げられることなく合流して、流速の低下が少ない流れ16のまま車両後方へ流れる。その結果、第5図に示すように、車両床下の空気流れ14は、車両側方外側へ広がり難くなって車両後方への流量が維持されるため、空気抵抗が低減される。
このとき、前記したエンジンアンダーカバー4の後端部分に設けた傾斜部6とエンジン2、トランスミッション12、エキゾースト13との各距離L1、L2、L3がほぼ均一なので、エンジンルーム3からの噴き出し流が車両幅方向に流量略一定となる。その結果、車両幅方向のどの位置においても同様の効果が得られるため、車両床下の空気流れ14が整流されてより空気抵抗減少の効果が上がる。
これに対して、図6及び図7に示すように、エンジンアンダーカバー4の後端縁4aが傾斜せずに平らである場合、フロント開口部17からラジエータ18を通過してエンジンルーム3内へ流入した空気流れ19が、エンジン2及びトランスミッション12にぶつかって車両下方向へ進路を曲げられ、エンジンルーム下の開口20から下向きの流れ15となって噴き出す。
このエンジンルーム3からの下向きの流れ15によって、エンジンアンダーカバー4の下側に沿う車両床下の空気流れ14が押し下げられ、乱れが大きく流速の遅い流れ21となる。その結果、図8に示すように、車両床下の空気流れ14が、遅い流れ21に遮られて後方へ行くほど車両側方外側に広がるため、車両後方への流量が減少してしまい空気抵抗の増加につながる。しかし、本実施形態のエンジンアンダーカバー4を使用すれば、車両床下の空気流れ14を整流して空気抵抗の減少効果を上げることができる。
このように、本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーによれば、エンジン前下端とその前方のクロスメンバ7との間のエンジンアンダーカバー後端部分に、車両後方へ向けて上方へ傾斜する傾斜部6を設けたので、カバー下側に沿う車両床下の空気流れ14を傾斜部6に沿って上方へ偏向し、エンジンルーム3内から流出する車両下向きの流れ15と合流させることにより、床下の空気流れを水平方向車両後方へ流すことができ、空気抵抗を低減することができる。
この結果、本実施形態では、エンジンルーム3の下側を完全に閉塞しない小型のアンダーカバーで空気抵抗を低減でき、大型カバーを使用した場合のようにコスト及び質量を増加させることなく空力性能を向上させることができる。また、本実施形態では、エンジンルーム3の下側を完全に閉塞していないため、低速・高負荷走行時でもエンジンルーム3からの熱気が抜け易く、冷却ファン等を追加する必要がなくなる。
また、本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーによれば、エンジンアンダーカバー4の傾斜部後端縁からエンジンルーム3内のエンジン2、トランスミッション12、エキゾースト13までの各距離L1、L2、L3を略均一としたので、車幅方向で略均一に床下の空気流れ14を車両後方へ流すことができる。
「その他の実施形態」
図9は本実施形態のエンジンアンダーカバーの他の例を示し、傾斜部を金属素材で形成したときのエンジンアンダーカバーの斜視図である。
図9は本実施形態のエンジンアンダーカバーの他の例を示し、傾斜部を金属素材で形成したときのエンジンアンダーカバーの斜視図である。
この実施形態では、エンジンアンダーカバー4に形成した傾斜部6を、樹脂素材からなる他の部位とは違う金属素材で形成してある。図9では、金属素材で形成した傾斜部6には斜線を引いて分かり易くしてある。
本実施形態の自動車用エンジンアンダーカバーによれば、エンジンアンダーカバー4の傾斜部6を、熱害を受け難い金属素材で形成することで、熱変形がない分、カバー後端縁6bとエンジン2、トランスミッション12、エキゾースト13との隙間をより小さくできる。これにより、エンジンルーム3内からの空気排出流が減少し、且つ傾斜部6の面積を大きくできるため、より大きな空気抵抗低減効果を得ることが可能となる。
1…車両
2…エンジン
3…エンジンルーム
4…エンジンアンダーカバー
5…フロントバンパー
6…傾斜部
7…クロスメンバ
12…トランスミッション
13…エキゾースト
14…車両床下の空気流れ
2…エンジン
3…エンジンルーム
4…エンジンアンダーカバー
5…フロントバンパー
6…傾斜部
7…クロスメンバ
12…トランスミッション
13…エキゾースト
14…車両床下の空気流れ
Claims (3)
- 車両前部に隔成されたエンジンルームの下側に配設され、フロントバンパー下面から該エンジンルーム内に配置されたエンジン前方までの間を覆うエンジンアンダーカバーにおいて、
前記エンジンアンダーカバー後端部分に、車幅方向全体に亘ってエンジンルーム上方へ傾斜する傾斜部を設けた
ことを特徴とする自動車用エンジンアンダーカバー。 - 請求項1に記載の自動車用エンジンアンダーカバーであって、
前記エンジンアンダーカバーの前記傾斜部後端縁から前記エンジンルーム内のエンジン、トランスミッション、エキゾーストまでの各距離を略均一とした
ことを特徴とする自動車用エンジンアンダーカバー。 - 請求項1または請求項2に記載の自動車用エンジンアンダーカバーであって、
前記エンジンアンダーカバーの前記傾斜部を金属素材で形成した
ことを特徴とする自動車用エンジンアンダーカバー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008053478A JP2009208609A (ja) | 2008-03-04 | 2008-03-04 | 自動車用エンジンアンダーカバー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008053478A JP2009208609A (ja) | 2008-03-04 | 2008-03-04 | 自動車用エンジンアンダーカバー |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009208609A true JP2009208609A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41182184
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008053478A Pending JP2009208609A (ja) | 2008-03-04 | 2008-03-04 | 自動車用エンジンアンダーカバー |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2009208609A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014058178A (ja) * | 2012-09-14 | 2014-04-03 | Kojima Press Industry Co Ltd | エンジンアンダーカバー |
JP2016078766A (ja) * | 2014-10-21 | 2016-05-16 | 小島プレス工業株式会社 | 自動車用導風部品並びにアンダーカバー及び導風ダクト |
JP2018052334A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | ダイハツ工業株式会社 | 自動車の前部構造 |
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2008
- 2008-03-04 JP JP2008053478A patent/JP2009208609A/ja active Pending
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