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JP2009205028A - シート状部材搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

シート状部材搬送装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無端状ベルトを介して形成されたニップにシート状部材を挾持して搬送するシート状部材搬送装置および画像形成装置において、シート状部材のニップへの突入タイミングを正確に予測する。
【解決手段】無端状ベルト1を張架する支持ローラ2と無端状ベルトを挟んで対向する対向ローラ6とを圧接させて形成されたニップにシート状部材7を挟持して搬送するシート状部材搬送装置において、ニップよりシート状部材搬送方向上流側の無端状ベルトの張架された所定位置に、シート状部材が接触することにより発生する無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位を検知する変位情報検知手段13を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、無端状ベルトを介して形成されたニップにシート状部材を挾持して搬送するシート状部材搬送装置、及び、これを採用する複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
近年、カラー画像形成装置において、感光体上のトナー像を中間転写ベルト上に一次転写し、この中間転写ベルト上の4色のトナー像を二次転写ニップで挾持して搬送されるシート状部材に二次転写する中間転写装置が多く採用されている。中間転写体装置を採用する画像形成装置においては、薄紙や厚紙、はがき、封筒などさまざまな種類のシート状部材が使用可能で汎用性が高いという利点を有する。
しかしながら、ある程度以上の厚さを有するシート状部材が二次転写ニップに突入する際には、それまで一定速度で駆動されていた中間転写ベルトの速度が短時間の間低下し、これに起因して一次転写部で画像に乱れが生じるという問題が発生していた。
また、カラー画像形成装置の小型化に伴い、二次転写部と定着部が近接されるようになり、シート状部材上で画像の転写と定着が同時に行われる装置もある。この装置においても、ある程度以上の厚さを有するシート状部材が定着ニップに突入する際に、それまで一定速度で駆動されていた定着ローラ、あるいは定着ベルトの速度が短時間の間低下し、二次転写部で画像に乱れが生じるという、上記と同様の問題が発生していた。
また、画像高品質化のために、トナー像をシート状部材へ転写する際、転写と定着とを同時に行う転写定着装置を有する画像形成装置がある。この場合も、ある程度以上の厚さを有するシート状部材が転写定着部に突入する際に、それまで一定速度で駆動されていた中間転写ベルトの速度が短時間の間低下し、一次転写部や二次転写部で画像に乱れが生じるという、上記と同様の問題が発生していた。
これらの問題は、シート状部材が二次転写ニップ、定着ニップまたは転写定着ニップに突入する前に、その突入タイミングを予測し、予測した突入タイミングに合わせて、中間転写ベルト等の駆動トルクを上げることで、上記速度低下を防止するというフィードフォワード制御によって回避することが可能である。具体的には、ニップの上流に用紙検知手段(センサ)を配置して、シート状部材の検知をおこない、その検知信号に基づきシート状部材がニップに突入する前に突入タイミングを予測して、中間転写体等の駆動制御を行っている(例えば、特許文献1)。
特開2004−54120号公報
上記用紙検知手段を用いてシート状部材の突入タイミングを予測する方法は、用紙検知センサにてシート状部材の先端検知を行い、この検知結果に基づきシート部材のニップへの突入タイミングを予測するものである。ここで、用紙検知手段に配置位置にバラツキがあると、正確に突入タイミングを予測することが困難である。しかしながら、現実的には、用紙検知手段を高精度に配置するよう取り付けることは難しい。このため、正確にフィードフォワード制御を行うことが難しく、結果的に画像品質の向上に更なる改良の余地があった。
また、上述の中間転写装置以外でも、無端状ベルトを介してシート状部材をニップで挾持して搬送するシート状部材搬送装置において、上記用紙検知手段を用いてニップへの突入タイミングを予測するタイミング予測方法では、同様の課題が生じる。具体的には、予測した突入タイミングに基づき、シート状部材の搬送速度制御を行ったり、シート状部部材のジャム検知を行ったりするものでは、用紙検知手段の取り付け誤差ばらつきにより突入タイミングを正確に予測することが難しく、それに基づく制御に更なる改良の余地がある。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、無端状ベルトを介して形成されたニップにシート状部材を挾持して搬送するシート状部材搬送装置および画像形成装置において、シート状部材のニップへの突入タイミングを正確に予測できるシート状部材搬送装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状ベルトを張架する複数の支持ローラと、該複数の支持ローラのうちの少なくとも一つを回動駆動させる駆動部と、該複数の支持ローラのうちの一つと該無端状ベルトを挟んで対向する対向ローラとを備え、該支持ローラと該対向ローラとを圧接させて形成されたニップにシート状部材を挟持して搬送するシート状部材搬送装置において、上記ニップより上記シート状部材搬送方向上流側の上記無端状ベルトの張架された所定位置に、該シート状部材が接触することにより発生する該無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位を検知する変位情報検知手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート状部材搬送装置において、複数の変位情報検知手段を備え、該複数の変位情報検知手段を上記ニップに対して略平行に配置することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のシート状部材搬送装置において、上記無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位に追従して変位する可動部材を有し、上記変位情報検知手段は該可動部材の変位を検知することにより該無端状ベルトの垂線方向の変位を検知することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかのシート状部材搬送装置において、上記変位情報検知手段により検知した検知結果から接触したシート状部材の有無を算出する演算部を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の何れかのシート状部材搬送装置において、上記変位情報検知手段により検知した検知結果から接触したシート状部材の厚さを算出する演算部を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の何れかのシート状部材搬送装置において、変位情報検知手段により検知した検知結果から上記シート状部材の搬送速度を算出する演算部を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2、3、4、5または6の何れかのシート状部材搬送装置において、上記複数の変位情報検知手段の中で最初に上記無端状ベルトの変位を検知した変位情報検知手段の検知結果から上記シート状部材の有無を検出することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2、3、4、5、6または7のシート状部材搬送装置において、上記複数の変位情報検知手段により検知した複数の検知結果から、上記シート状部材の搬送方向に対する傾き量を算出する演算部を有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成部と、該トナー像を転写されるシート部材を搬送するシート状部材搬送装置とを備えた画像形成装置において、上記シート状部材搬送装置として請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかのシート状部材搬送装置を採用し、上記変位情報検知手段の検知結果より上記シート部材が上記ニップに突入するタイミングを予測して、該タイミングに基づき該シート状部材搬送装置の駆動部によるベルト駆動条件を変更するフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御部を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の厚さに応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項9または10の画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の搬送速度に応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項9、10または11の何れかの画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は、搬送されるシート状部材の搬送方向に対する傾き量に応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項9、10、11または12の何れかの画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は、上記変位情報検知手段により所定の厚さ以上のシート状部材が検知された場合に上記フィードフォワード制御を行うことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項9、10、11、12または13の何れかの画像形成装置において、上記シート状部材搬送装置を中間転写装置または定着装置の少なくとも一方に適用したことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項9、10、11、12または13の何れかの画像形成装置において、上記シート状部材搬送装置を転写定着装置に適用したことを特徴とするものである。
本発明においては、搬送されてきたシート状部材が無端状ベルトの張架された部分に接触すると、接触した部分の周辺の無端状ベルト面がシート状部材に押されて内側に押し込まれる。本発明の変位情報検知手段により無端状ベルトの表面に対して垂線方向の変位を検知することにより、この無端状ベルト面が内側に押し込まれる動きを検知して、シート状部材が所定位置に接触したタイミングを検出できる。検出したシート状部材が所定位置に接触したタイミング基づき、シート状部材のニップへの突入タイミングを予測する。ここで、変位情報検知手段は無端ベルトが面状に押し込まれる動きを検知するものであるため、無端状ベルト面が押し込まれる範囲にあればシート状部材が無端状ベルトに接触したタイミングを検出でき、変位情報検知手段を高精度に配置する必要がない。よって、従来の用紙検知手段によりシート状部材の先端を検知して突入タイミングを予測するものに比べ、検知手段に取り付け誤差バラツキがあっても、シート状部材の突入タイミングを正確に予測できる。
以上、本発明によれば、無端状ベルトを介して形成されたニップにシート状部材を挾持して搬送するシート状部材搬送装置および画像形成装置において、シート状部材のニップ部への突入タイミングを正確に予測できるという優れた効果がある。
以下、本発明を、画像形成装置に採用されるのシート状部材搬送装置に適用した一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るシート状部材搬送装置の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係るシート状部材搬送装置の全体の概略構成図である。図1において、シート状部材搬送装置は、支持ローラ2、3、4、5によって張架された無端状ベルト1を備えている。支持ローラ2は、大径ギア8と小径ギア9からなる駆動伝達部によって駆動源10に連結されており、駆動源10は駆動制御部11により駆動制御される。この大径ギア8、小径ギア9、駆動源10、駆動制御部11が無端状ベルト1のベルト駆動部を構成しており、無端状ベルト1はベルト駆動部により支持ローラ2が回転駆動されることにより図中矢印方向に表面移動する。以下、支持ローラ2を駆動ローラ2という。また、支持ローラ5は、無端状ベルト1の張力を一定に保つように、バネなどの弾性部材(不図示)によって外側へ向かって付勢させるように支持されている。
図1では、4本のローラを略逆等脚台形状に配設させた構成を例示しているが、支持ローラ4を除いた3本の支持ローラで略三角形状に配設させても良い。また、支持ローラは二本以上であれば特に限定はなく、各支持ローラの配置も上記の略逆等脚台形状や略三角形状に限定されずどのような配置でも良い。
駆動源10は、駆動制御部11と電気的に接続されたモータであり、ブラシレスDCモータ、パルスモータ、超音波モータ、ダイレクトドライブモータなどが使用できる。また、駆動源10に超音波モータやダイレクトドライブモータを使用する場合は、モータの特性上、駆動伝達部を使用せず、直接、駆動ローラ2を駆動可能である。また、駆動源10にパルスモータや超音波モータを使用する場合には、フィードバック制御を行わずオープンループ制御のみでも駆動可能である。また、駆動伝達部は、上述のギア伝達機構の他に、ギアと歯付ベルト、プーリとVベルト、遊星ギアなどの他の伝達機構であっても良い。
また、支持ローラ3と同軸上にロータリーエンコーダ12を設置して、支持ローラ3の駆動情報から無端状ベルト1の駆動情報を間接的に得ている。ロータリーエンコーダ12は無端状ベルト1を張架するどのローラに設置しても良い。さらに、ロータリーエンコーダ12を使用しなくても、ブラシレスDCモータのFG信号などのように駆動源から出力される回転情報を取得して無端状ベルト1の駆動情報を得てもよい。
駆動制御部11は、後述するフィードバックコントローラ、フィードフォワードコントローラ、位相補償器などから構成され、ロータリーエンコーダ12からフィードバックされる無端状ベルト1の駆動情報を用いて駆動源10の制御を行う。
また、駆動ローラ2に対して、無端状ベルト1を挟んで対向する位置に対向ローラ6が圧接されており、駆動ローラ2と対向ローラ6との圧接で形成されるニップでシート状部材7を挟持して、図中下方から上方へと搬送する。対向ローラ6は、無端状ベルト1との接触による摩擦力で連れ回るか、あるいは図示しない駆動部によって独立に駆動される。なお、図1では、対向ローラ6が駆動ローラ2に圧接する構成を示しているが、対向ローラ6が圧接される支持ローラは、どの任意の支持ローラでも良い。
さらに、本実施形態のシート状部材搬送装置では、無端状ベルト1の表面に対して垂線方向の変位を検知する変位情報検知手段13を備えている。変位情報検知手段13は駆動ローラ2と対向ローラ6とのニップよりも、シート搬送方向上流側の無端状ベルト1の内側に設置する。
本実施形態のシート状部材搬送装置では、この変位情報検知手段13を用いて、シート状部材7がニップの上流側の張架された無端状ベルト1の所定位置に接触することにより発生する無端状ベルト1の表面に対して垂線方向の変位を検知する。
まず、シート状部材7が無端状ベルト1の所定位置に接触することにより無端状ベルト1の表面に対して垂線方向に変位を発生させるメカニズムについて説明する。なお、この変位は、ニップの上流側に隣接して形成される無端状ベルト1と対向ローラ6とが接触するプレニップに進入するよう接触する場合に顕著である。そこで、以下、本実施形態では、シート状部材7がプレニップに進入する位置において、無端状ベルト1が表面に対して垂線方向に変位するメカニズムを用いて説明する。
図2は、駆動ローラ2と対向ローラ6との圧接部近傍の拡大図である。図2において、駆動ローラ2と対向ローラ6とが無端状ベルト1を挟んで圧接している部分をニップ部A、ニップ部Aよりもシート搬送方向上流側に隣接して対向ローラ6と無端状ベルト1とが接している部分をプレニップ部Bと呼ぶ。
図3、4、5は、シート状部材7がニップ部Aで挾持されて搬送される前後の、無端状ベルト1の変位の様子を示す図である。図3は、シート状部材7が無端状ベルト1に接触する直前の状態、図4は、シート状部材7がプレニップ部Bに進入した後の状態、図5は、シート状部材7が完全にニップ部Aに挟み込まれた状態である。
図3に示すように、シート状部材7は、下方よりプレニップ部Bの入口(所定位置)に進入するよう搬送されてくる。シート状部材7の先端がプレニップ部B入口に接触し、シート状部材7の繰り出しによってプレニップ部Bに進入すると、図4に示すように、無端状ベルト1はシート状部材7により内側(図4中の左側)に押し込まれる。これにより、無端状ベルト1は、図3で示すシート状部材7が無端状ベルト1に接触する直前の状態(図4中では破線で示す)の状態から、無端状ベルト1の表面に対して垂線方向に変位する。この垂線方向への変位量は、搬送するシート状部材7の厚さによって変化するが、例えば、220Kg紙を搬送した場合には、およそ数百ミクロンの変位が生じることが数値計算により解析されている。
さらに、シート状部材7の繰り出しによって、プレニップ部Bと連続して形成されるニップ部Aに突入すると、図5に示すように、ニップ部Aにより挟持されながら上方へ搬送される。図5中の破線は、図3で示すシート状部材7が無端状ベルト1に接触する直前の状態を示しており、一点鎖線は、図4で示すシート状部材がプレニップ部Bに進入した時の状態を示している。図5に示すように、シート状部材7がニップ部Aに完全に挟み込まれると、対向ローラ6が押し下げられるため、無端状ベルト1は破線で示す元の位置よりも外側(図5中の右側)に変位している。これは、プレニップ部Bを形成するために、破線で示す元の位置の状態ですでに無端状ベルト1が対向ローラ6により内側に押し込まれているためである。シート状部材7がニップ部Aから完全に抜けると無端状ベルト1は、図3で示す元の位置に戻る。
このような無端状ベルト1の表面に対して垂線方向への変位量を、変位情報検知手段13により検知する。ことで、シート状部材7がプレニップ部Bに進入したタイミングを検出する。そして、検出したシート状部材7がプレニップ部Bに進入したタイミング基づき、シート状部材7がニップ部Aに突入する突入タイミングを予測する。ここで、変位情報検知手段13は、上述のように、無端状ベルト1が内側に押し込まれるように面状に変位するものを検知するものであり、変位情報検知手段13は無端状ベルト1が面状に変位する範囲にあれば高精度な配置位置は必要なく、シート状部材7がプレニップ部Bに進入したタイミングを正確に検知可能である。これは、従来の用紙検知センサによりシート状部材の先端を検知してニップ部Aへの突入タイミングを予測するものに比べ、検出手段の取り付け誤差バラツキがあっても、突入タイミングを正確に予測できる。
本実施形態のシート状部材搬送装置では、変位情報検知手段13として圧電センサを使用しているが、光学式センサを同様の位置に設置し計測を行っても良い。コスト、設置スペース、レイアウトなど装置の制約条件に合わせて適宜選択することが可能である。また、圧電センサは小型で薄いため、検出位置をよりニップ部Aに近づけることが可能である。光学式センサを使用する場合は、センサと無端状ベルト1との接触がないため、センサや無端状ベルト1のダメージの心配がなく、メンテナンスフリーという長所がある。
また、変位情報検知手段13は、変位情報検知手段13は無端状ベルト1の内側に設置するため、検出位置をよりニップ部Aに近づけることが可能である。このため、検出位置がニップ部Aから遠い場合に比べて、速度変動などによる誤差を排除でき、より正確に突入タイミングを良好に予測できる。
また、図1〜5のシート状部材搬送装置では、変位情報検知手段13により、無端状ベルト1の垂線方向への変位を直接検知しているが、無端状ベルト1の変位に対応して変位する可動部材を設置し、その可動部材の変位を変位情報検知手段13によって計測し、間接的に無端状ベルト1の変位量を検知しても良い。
図6は、間接的に無端状ベルト1の変位を検知するものの一例の概略構成図である。図6に示すように、無端状ベルト1の変位に対応して変位する可動部材14を配置する。可動部材14は支点15により支持され、一端が無端状ベルト1に接触し、他端がばねなどの弾性部材で固定して配置される。このような構成の可動部材14は、無端状ベルト1の変位に伴って変位するので、可動部材14の変位を計測することにより、無端状ベルト1の変位を検知することが可能である。図6では、一例として光学式変位センサを変位情報検知手段13として用いている。また、間接的な計測方法を用いる場合は、可動部材14の支点15の位置を変えることで、無端状ベルト1の変位量を増幅することが可能であるため、低分解能の安価な変位情報検知手段13を使用することも可能である。また、可動部材14の形状は、板状であっても棒状であっても良い。
図7は、シート状部材7が、プレニップ部Bに進入、ニップ部Aに突入するときの、上記無端状ベルトの変位量の時間変化を示すグラフである。変位量が0の場合が無端状ベルト1の通常位置(図3の状態)であり、変位量が正の値の場合は無端状ベルトが通常位置より内側に変位したことを示し、変位量が負の値の場合はベルトが通常位置より外側に変位したことを示している。シート状部材7がプレニップ部Bに進入すると無端状ベルト1の変位量が増加し始め、ある点でピークに達し、シート状部材7がニップ部に突入すると加圧ローラ6が押し下げられるため、変位量は急激に減少し、完全にニップ部Aに噛み込まれると変位量は負の値となり、無端状ベルト1は元の位置よりも外側に変位している。
図8は、シート状部材7の有無を検知する方法の概念図である。図8に示す方法では、シート状部材7の有無を判断する演算部では、設定された閾値に対して、無端状ベルト1の変位がその閾値を超えた場合に、シート状部材7がプレニップ部Bに進入したと判断している。
図9は、シート状部材7の有無を検知する他の方法の概念図である。図9に示す方法では、変位量のピークを検知した場合に、シート状部材がプレニップ部Bに進入したと判断すればよい。ピークの検出は、変位の傾きを計算し、傾きが0または、負の値になった時点を検出すればよい。
これら二つの方法のいずれかでシート状部材7の有無を検知することが可能である。
図10は、シート状部材7の厚さを検知する方法の概念図である。無端状ベルト1の変位量はシート状部材7の厚さによって異なる。よって、予め無端状ベルト1の変位量とシート状部材7の厚さの関係を求めておけば、検知された無端状ベルト1の変位量からシート状部材7の厚さを算出することが可能である。変位量から厚さを算出する演算部では、内部の記憶部に複数のシート状部材7の厚さに対応する無端状ベルト1の変位量を記憶しておき、これらの値と実際に検知された変位量とを比較し、シート状部材7の厚さを判断すればよい。
図11は、シート状部材7の搬送速度を検知する方法の概念図である。図11に示す方法では、無端状ベルト1が変位し始めてから、無端状ベルト1の変位がピークに達するまでの時間(Ta)が搬送速度に比例するため、予めその比例定数(Ka)を求めておけば、変位情報検知手段13によって得られるTaと、求めておいたKaを乗じて搬送速度を算出することが可能である。
図12は、シート状部材7の搬送速度を検知する他の方法の概念図である。図12に示す方法では、無端状ベルト1が変位し始めてから、ある変位量に達するまでの傾き(Kb)が搬送速度に比例するため、変位情報検知手段13によって得られる変位量からKbを算出することによって、シート状部材7の搬送速度を算出することが可能である。
これら二つの方法のいずれかでシート状部材7の搬送速度を算出することが可能である。
ただし、上記の搬送速度算出方法は、シート状部材7の厚さが一定の場合に使用可能である。シート状部材7の厚さと搬送速度の両方が変化する場合には、シート状部材7の厚さによって前記Ka,Kbが変化するため、予めシート状部材7の厚さとKa、Kbの関係を求め、記憶部に格納しておき、初めにシート状部材7の厚さを前記の方法で算出してから、シート状部材7の厚さとKa、Kbの関係を基に、シート状部材搬送速度を算出する必要がある。
ここで、ニップ部Aにシート状部材7が突入する場合、必ずしもニップ部Aに平行に突入するとは限らない。また、搬送するシート状部材7の幅もさまざまである。このよう場合、変位情報取得手段13が一つしかないと、変位情報取得手段13の設置位置によっては正確な変位情報が得られないことがある。そこで、変位情報検知手段13を複数設置することが好ましい。これにより、シート状部材7の搬送方向に対する傾き量(以後スキュー量と記す)を算出することや、幅の異なるシート状部材を使用する場合に対応可能である。
変位情報検知手段13は、ニップ部Aに対して略平行に設置し、それぞれの突入タイミングを検知することで、スキュー量を算出することができる。また、無端状ベルト1の幅方向の位置に関しては、搬送されるシート状部材7の左右両端部付近に設置することで、スキュー量の算出精度は高くなる。
図13は、シート状部材7のスキュー量を検知する方法の概念図である。シート状部材7が搬送方向に対して傾いて搬送されている(スキューしている)場合、複数の変位情報検知手段13において、無端状ベルト1の変位開始時間あるいは変位量がピークに達する時間に差が生じる。この時間差とシート状部材7の搬送速度からシート状部材のスキュー量を算出することが可能である。また、スキューの絶対量が必要ではなく、スキューの有無を検知したい場合は、複数の変位情報検知手段13において、無端状ベルト1の変位開始時間あるいは変位量がピークに達する時間の差の有無を調べればよい。
また、複数の変位情報取得手段13の内でシート状部材7の幅方向に対して最適な位置の変位情報取得手段13の情報を取得することにより、さまざまなサイズのシート状部材に対応することが可能である。
次に、上述のシート状部材の有無検知、厚さ検知、搬送速度検知、スキュー量検知手段を利用して、フィードフォワード制御を行うシート状部材搬送装置について説明する。
図14は、フィードフォワード制御の概念図である。フィードフォワード制御は、シート状部材7の突入によって生じる無端状ベルト1の速度変動に対して、その速度変動を打ち消すように、駆動源10を制御する。このとき、シート状部材7の突入タイミングとフィードフォワード制御のタイミングを一致させる必要がある。上述のように、シート状部材の突入タイミングを正確かつ確実に予測すれば、精度の良いフィードフォワード制御を繰り返し行うことが可能である。
図15に、駆動制御部11のブロック線図の一例を示す。駆動制御部11は、フィードバックコントローラ30、位相補償器31、フィードフォワードコントローラ32、タイミングコントローラ33、演算部34、記憶部35などから構成される。
フィードバックコントローラ30は、エンコーダ12からの速度情報と、記憶部35に格納されているフィードバック目標値との比較を行い、それらの偏差が小さくなるように駆動指令値を算出し、駆動源10の制御を行う。位相補償器31は、ゲイン余裕および位相余裕の補償を行う。
フィードフォワードコントローラ32は、記憶部35に格納されているフィードフォワード目標値を駆動指令値へと変換する。フィードフォワード目標値は、シート状部材7の厚さ、搬送速度、スキュー量によって異なるので、各条件に対応する目標値を予め記憶部35に格納しておく。演算部34では、変位情報検知手段13によって検知された変位量から、上述の図8、9、10、11、12、13で記した方法で、シート状部材7の有無、厚さ、搬送速度、スキュー量を算出し、算出された条件に合致するフィードフォワード目標値を記憶部35から読み出し、フィードフォワード制御部へと送信する。
タイミングコントローラ33は、所定の時間だけタイミングを遅延する遅延回路である。シート状部材7は、検知されてからある時間(Td)後にニップ部Aへ突入する。Tdは、シート状部材7の搬送速度によって変化するため、搬送速度に応じたTdを予め計測しておき、記憶部35に格納しておく必要がある。上記方法でシート状部材の搬送速度を算出し、算出された搬送速度に応じて記憶部35からTdを読み出し、タイミングコントローラ33において、遅延を行い、シート状部材7のニップ部Aへの突入タイミングとフィードフォワード制御のタイミングを一致させる。
最も単純なフィードフォワード制御は、シート状部材7の搬送速度が既知であり、ある厚さ以上のシート状部材7に対して、ある一つのフィードフォワード目標値を使用する方法である。無端状ベルト1の変位量に対してある閾値を設定しておき、その閾値とフィードフォワード目標値一つを記憶部に格納しておく。記憶していた閾値を超える変位が生じた場合に、記憶していたフィードフォワード目標値を出力すればよい。この場合、演算部の負荷が小さく、安価なCPUが使用可能であり、記憶部の容量も小さくて済むため、低コストで実現することが可能である。ただし、ある厚さ以上のシート状部材7に対して、一つのフィードフォワード目標値を使用するため、シート状部材7の厚さによって制御効果が異なる。搬送するシート状部材7の厚さの範囲が狭い場合にはこの方式で充分に制御効果を得ることが可能である。
また、搬送するシート状部材7の厚さの範囲が広い場合、上記一つのフィードフォワード目標値を使用する方法では対応しきれない場合がある。この場合、上述のシート状部材7の厚さ算出機能を利用することで解決できる。フィードフォワード制御を実行するシート状部材7の下限の厚さから、搬送可能なシート状部材7の上限の厚さまでを複数の範囲に分割し、その各範囲内の厚さのシート状部材7に対して一つのフィードフォワード目標値を設定する。例えば、フィードフォワード制御を実行する下限の厚さから、搬送可能な上限の厚さまでを五つの範囲に分割した場合、各範囲に対応する五つのフィードフォワード目標値を記憶部に格納しておく。この分割は細かくした方が良いが、細かければ多くのフィードフォワード目標値を格納しておく必要があり、大容量の記憶部が必要となる。よって、一つ範囲に対して一つのフィードフォワード目標値を準備すれば、その範囲内である程度のフィードフォワード制御の効果が得られる様に範囲の分割を行うのが良い。図10の方法でシート状部材7の厚さを算出し、その厚さが含まれる範囲に対応するフィードフォワード目標値を記憶部から呼び出しフィードフォワード制御を行えば、使用するシート状部材の全ての厚さに対応した最適なフィードフォワード制御を行うことが可能である。
次に、搬送するシート状部材の搬送速度が変化する場合のフィードフォワード制御について説明する。基本的には、シート状部材7の厚さに対応する方法と同様である。各搬送速度に対応するフィードフォワード目標値を記憶部に格納しておき、図11、12の方法で算出された搬送速度に応じて、対応するフィードフォワード目標値を読み出せばよい。ただし、搬送速度が変化する場合にはシート状部材7が突入するタイミングも変化するので、フィードフォワードタイミングも、各搬送速度に対応して記憶部に格納しておき、算出された搬送速度に応じてタイミングコントローラへ読み出す必要がある。
また、シート状部材7の厚さも同時に変化する場合は、無端状ベルト1の速度変化がシート状部材7の厚さと搬送速度の両方に依存するため、シート状部材7の厚さと搬送速度の両方に対してマトリックス状にフィードフォワード目標値を格納しておき、算出されるシート状部材7の厚さと搬送速度に応じて対応するフィードフォワード目標値を読み出せばよい。
次に、シート状部材のスキューに対応したフィードフォワード制御について説明する。基本的には、上記搬送速度に対応する方法と同様である。スキュー量に対応した制御を行う場合は、シート状部材7の厚さ、搬送速度、スキュー量に対応するためマトリックス状にフィードフォワード目標値を格納する必要がある。また、スキューの絶対量ではなく、スキューの有無のみに対応すればよい場合も多く、その場合は、記憶部の容量を低減することが可能である。
次に、本実施形態のシート状部材搬送装置を採用する画像形成装置について説明する。本発明は、無端状ベルトを構成要素の一つとするシート状部材装置すべてにおいて有効な技術であるが、本発明の効果が顕著に現れる装置として、シート状部材搬送装置を含む電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。画像形成装置中で、本発明のシート状部材搬送装置は中間転写装置や定着装置で用いられる。様々な構成の画像形成装置が存在するが、ここでは、代表的な方式として、中間転写方式を用いたタンデム型画像形成装置を用いて説明する。
図16は、上記シート状搬送装置を採用するタンデム型画像形成装置の全体構成図である。図16において、符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)をそれぞれ示す。その他の符号は詳細な説明中で直接引用する。図16に示した画像形成装置は、タンデム型中間転写(間接転写)方式の電子写真装置である。
複写装置本体100には、中央に、中間転写体として無端状の中間転写ベルト16を設ける。中間転写ベルト16は、3つの支持ローラ19a、19b、19cに掛け回して同図中時計回りに回転移動可能とする。以後、ベルトの回転移動を部分的に見るときは単に移動と呼ぶ。支持ローラ19aは、中間転写ベルト16を移動させるために回転駆動される駆動ローラである。また、支持ローラ19cの左方には、画像転写後に中間転写ベルト16上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17を設ける。また、支持ローラ19cは中間転写ベルト16の張力を一定に保つテンションローラの機能も兼ねており、中間転写ベルト16の内側から外側へと図示しないバネなどの弾性部材によって圧力が加えられている。
支持ローラ19cと支持ローラ19bの間に張り渡した中間転写ベルト16上には、その移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成部20を構成する。そのタンデム画像形成部20の上方には露光装置41を設ける。
画像形成手段18Y,M,C,Kと対向するの中間転写ベルト16の内側には、各画像形成手段18で形成されたトナー像をそれぞれ中間転写ベルト16上に転写する1次転写ローラ21を備える。
また、中間転写ベルト16を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、二次転写装置22を備える。二次転写装置22は、二次転写ローラ23を、中間転写ベルト16を介して支持ローラ19aに押し当てて配置され、中間転写ベルト16上の画像をシート状部材に転写すると同時にシート状部材を定着装置24へと搬送する。ここで、中間転写ベルト16、3つの支持ローラ19a、19b、19c、および、二次転写装置22を合わせて、中間転写装置と呼ぶ。二次転写装置22の横には、シート状部材上の転写画像を定着する定着装置24を設ける。二次転写装置22には、画像転写後のシート状部材をこの定着装置24へと搬送するシート状部材搬送機能も備えてなる。
定着装置24は、加熱ローラ26と定着ローラ27に張架される定着ベルト25と、定着ローラ27に対して定着ベルト25を介して圧接される加圧ローラ28から構成される。加熱ローラ26は定着ベルト25の張力を一定に保つテンションローラの機能も兼ねており、定着ベルトの内側から外側へと図示しないバネなどの弾性部材によって圧力が加えられている。定着ベルト25は、加熱ローラ26によって画像定着に必要な温度まで加熱される。シート状部材上の転写画像は、熱と圧力を与えられ、シート状部材に定着される。
また、二次転写装置22および定着装置24の下方に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置29を備える。
さて、この画像形成装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台60上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス62上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス62上へと移動する。他方コンタクトガラス62上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体63および第2走行体64を走行する。そして、第1走行体63で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体64に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
原稿読み取りに並行して、不図示の駆動モータで支持ローラ19aを回転駆動して他の2つの支持ローラ19b、19cを従動回転し、中間転写ベルト16を回転駆動させる。同時に、個々の画像形成手段18において感光体ドラム40を回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いて露光現像し、単色のトナー画像を形成する。そして、中間転写ベルト16の移動とともに、1次転写ローラ21によりそれらの単色のトナー画像を順次転写して中間転写ベルト16上に合成カラー画像を形成する。
一方、画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシート状部材を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシート状部材を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト16上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト16と二次転写装置22との間にシート状部材を送り込み、二次転写装置22で転写してシート状部材上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシート状部材は、定着装置24で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、搬送ローラ54で排紙トレイ方向へと搬送され、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置29に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写ベルト16は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト16上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シート状部材の紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
この画像形成装置を用いて、黒のモノクロコピーをとる事も良く行われる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト16を感光体ドラム40Y、40C、40Mから離れるようにする。これらの感光体ドラムは一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト16に接触して画像の形成と転写が行われる。
上記シート状部材搬送装置は、この画像形成装置の中間転写装置および定着装置のいずれにも適用することが可能である。図17は、シート状部材搬送装置を中間転写装置に適用した場合の模式図を示すものである。また、図18は、シート状部材搬送装置を定着装置に適用した場合の模式図である。図17、18は、それぞれ中間転写装置、定着装置の構成の一例であり、装置の構成は他のものであっても良い。
次に、本実施形態のシート状部材搬送装置を採用する画像形成装置の変形例について説明する。本発明のシート状部材搬送装置は、トナー像をシート状部材へ転写する際、転写と定着を同時に行う転写定着装置に適用することが可能である。図19は、転写定着装置を採用する画像形成装置の全体構成図である。図19の画像形成装置において、転写定着装置以外は、上記図16の画像形成装置と同様であるため説明を省略する。
図19の画像形成装置では、中間転写ベルト16は、3つの支持ローラ69a、69b、69cに掛け回して同図中時計回りに回転移動可能とする。中間転写ベルト16を挟んでタンデム画像形成部20と反対には、二次転写と定着を同時に行う転写定着装置66を備えている。転写定着装置66は、シート状部材を加熱する用紙加熱装置67と、中間転写ベルト16を介して支持ローラ69aに押し当てて配置される加圧ローラ68とを備えている。また、支持ローラ69aは、転写定着装置66での転写定着ローラとしての機能も兼ねており、以下、転写定着ローラ69aとよぶ。なお、用紙加熱装置67は、図19に示す板状以外にも、ローラ状などその形状は限定されない。また、加圧ローラ68についても、加圧パッドや加圧ベルトなど形状はローラのみに限定されない。
給紙カセット44から繰り出されたシート状部材は、給紙路46に搬入され、搬送ローラ47で搬送してレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト16上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、転写定着装置66に送り込まれる。転写定着装置66では、シート状部材は用紙加熱装置67によりトナーを溶融させるのに十分な温度まで表面を加熱される。加熱されたシート状部材は、加圧ローラ68と転写定着ローラ69aと中間転写ベルト16とによって形成される転写定着ニップ部に送り込まれる。転写定着ニップ部では、中間転写ベルト16上のトナー像はシート状部材の熱により溶融され、同時に加圧されることにより、シート状部材上へと転写定着される。このように転写同時定着を行い、シート状部材上にカラー画像を記録する。
上記シート状部材搬送装置を、この転写定着装置66に適用することが可能である。図20は、シート状部材搬送装置を転写定着装置に適用した場合の模式図を示すものである。図20は、転写定着装置66の構成の一例であり、装置の構成は他のものであっても良い。
以上、本実施形態によれば、シート状部材7の搬送方向に関してニップAより上流側の無端状ベルト7の張架された所定位置にシート状部材7が接触することにより発生する無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位を検知する変位情報検知手段13を備える。無端状ベルトの張架された部分に、搬送されてきたシート状部材7が接触すると、シート状部材7に押されて、接触した部分の周辺の無端状ベルト面が内側に押し込まれる。ここで、変位情報検知手段13により無端状ベルト1の表面に対して垂線方向の変位を検知することで、この無端状ベルト面が内側に押し込まれる動きを検知してシート状部材7が所定位置に接触したタイミングを検出できる。検出したシート状部材7が無端状ベルト1の所定位置に接触したタイミング基づき、シート状部材7のニップAへの突入タイミングを予測する。ここで、変位情報検知手段13は、無端ベルト1面が内側に押し込まれる動きの検知するものであり、無端状ベルト1面が内側に押し込まれる範囲にあれば高精度な配置位置は必要なく、シート状部材7が無端状ベルト1の所定位置に接触したタイミングを正確に検出可能である。よって、従来の用紙検知手段によりシート状部材の先端を検知して突入タイミングを予測するものに比べ、検知手段に取り付け誤差バラツキがあっても、突入タイミングを正確に予測することができる。
また、変位情報検知手段13を複数設置することにより、シート状部材7がニップ部Aに対して斜めに突入した場合や、幅の異なるシート状部材7を使用する場合にも、対応可能である。
また、無端状ベルト1の変位に対応して変位する可動部材14を設置し、その可動部材14の変位を変位情報検知手段13によって計測し、間接的に無端状ベルト1の変位情報を検知しても良い。可動部材14の設置方法によって、無端状ベルト1の変位量を増幅することが可能であるため、低感度、低分解能の安価な変位情報検知手段13を使用することが可能となり、コストダウンを実現可能である。
また、変位情報検知手段13により検知した検知結果から接触したシート状部材7の有無を算出する演算部を有する。シート状部材搬送装置のニップ部Aに、シート状部材7が突入する際、急激な負荷変動によって、無端状ベルトの駆動速度が瞬間的に低下するため、シート状部材の有無を事前に検出しておく必要がある。ここで、搬送するシート状部材の有無によって、無端状ベルトの変位量が変化するので、変位情報検知手段13により検知される変位量に応じて、シート状部材の有無を正確に検出することが可能である。
また、変位情報検知手段13により検知した検知結果からシート状部材7の厚さを算出する演算部を有する。シート状部材搬送装置のニップ部Aに、シート状部材7が突入する際、急激な負荷変動によって、無端状ベルトの駆動速度が瞬間的に低下するが、この駆動速度の低下量は搬送するシート状部材の厚さによって変化するため、シート状部材の厚さを事前に検出する必要がある。シート状部材7の厚さ検知手段を別途設置するにはコストが増加してしまう。ここで、搬送するシート状部材の厚さによって、無端状ベルトの変位量が変化するので、変位情報検知手段13により検知される変位量に応じて、シート状部材の厚さを検出することが可能である。よって、変位情報検知手段により得られる変位量からシート状部材の厚さを算出することにより、別途厚さ検知手段を設置することなく、シート状部材の有無の検出に加えて、シート状部材の厚さも検出することが可能であり、コストの増加を抑制できる。
また、変位情報検知手段13により検知した検知結果からシート状部材7の搬送速度を算出する演算部を有する。シート状部材搬送装置のニップ部Aに、シート状部材7が突入する際、急激な負荷変動によって、無端状ベルトの駆動速度が瞬間的に低下するが、この駆動速度の低下量、および、シート状部材7の突入タイミングは、シート状部材7の搬送速度によって異なるため、シート状部材の搬送速度を事前に検出しておく必要がある。シート状部材の搬送速度を検出する場合、設定されている搬送速度データを使用する方法もあるが、この方法では設定速度と実際の搬送速度に差がある場合があり、正確な速度情報が必要な場合は精度が不十分である。また、シート状部材7の搬送速度検知手段を別途設置するにはコストが増加してしまう。ここで、シート状部材の搬送速度によって、突入時に無端状ベルトが押し込まれ始めてから、最も押し込まれるまでの時間が変化する。よって、変位情報検知手段13によって検知される変位量の時間変化から、シート状部材7の搬送速度を算出することが可能である。よって、変位情報検知13により得られる変位量の時間変化からシート状部材の搬送速度を算出することにより、別途速度検知手段を設置することなく、シート状部材の有無や厚さの検出に加えて、シート状部材の搬送速度を検出することが可能であり、コストの増加を抑制することができる。
また、複数の変位情報検知手段13の中で最初に無端状ベルトの変位を検知した変位情報検知手段の検知結果により、シート状部材の有無を検出する。これにより、シート状部材が斜めに搬送されてきた場合においても、左右のうち先に圧接部に突入する側を検知して、シート状部材を検出してから、実際にシート状部材が圧接部に突入するまでの時間のばらつきを抑制することが可能である。
また、複数の変位情報検知手段13により検知した複数の検知結果から、シート状部材の搬送方向に対する傾き量を算出する演算部を有する。シート状部材7の搬送方向に対する傾き度合いによって、シート状部材7がニップ部Aに突入するときの無端状ベルト1の速度低下量が変化するため、シート状部材の傾き量を事前に検出する必要がある。ニップ部Aに対して略平行に設置された各変位情報検知手段13でシート状部材7が検知された時間差と、シート状部材7の搬送速度からシート状部材の搬送方向に対する傾き量を算出することが可能である。
また、上記シート状部材搬送装置を採用し、変位情報検知手段13の検知結果よりシート部材が上記ニップ部に突入するタイミングを予測し、タイミングに基づきシート状部材搬送装置の駆動部によるベルト駆動条件を変更するというフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御部を備える。これにより、算出された正確なシート状部材の突入タイミングに基づき、最適なフィードフォワード制御を実行することが可能である。
また、フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の厚さに応じてフィードフォワード制御を行うよう構成することにより、シート状部材の厚さに対応した最適なフィードフォワード制御を実行することが可能である。
また、フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の搬送速度に応じてフィードフォワード制御を行うよう構成することにより、シート状部材の搬送速度に対応した最適なフィードフォワード制御を実行することが可能である。
また、フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の傾き量に応じてフィードフォワード制御を行うよう構成することにより、シート状部材の傾き量に対応した最適なフィードフォワード制御を実行することが可能である。
また、フィードフォワード制御部は、変位情報検知手段13により所定の厚さ以上のシート状部材が検知された場合に、フィードフォワード制御を行う。ここで、全ての厚さのシート状部材に対応してフィードフォワード制御を行うには、各厚さに対してフードフォワード目標値を準備する必要があり、大きな記憶部の容量が必要になる。また、薄いシート状部材の場合は、無端状ベルトで生じる速度変動が小さいため、フィードフォワード制御を行わなくても良い場合がある。そこで、ある厚さ以上のシート状部材の場合にのみフィードフォワード制御を行うことで、記憶部の容量を節約し、コストダウンすることが可能である。
また、上記シート状部材搬送装置を中間転写装置または定着装置の少なくとも一方に適用する。これにより、低コストで、印刷媒体としてのシート状部材の有無、厚さ、搬送速度、搬送方向に対する傾き量などを検出することができ、これに応じて、最適なフィードフォワード制御等の制御を行うことができる。よって、厚い印刷媒体を使用する際にも、形成される画像の乱れを抑制し、高画質な画像形成を行うことが可能である。
また、上記シート状部材搬送装置を転写定着装置に適用する。これにより、低コストで、印刷媒体としてのシート状部材の有無、厚さ、搬送速度、搬送方向に対する傾き量などを検出することができ、これに応じて、最適なフィードフォワード制御等の制御を行うことができる。よって、厚い印刷媒体を使用する際にも、形成される画像の乱れを抑制し、高画質な画像形成を行うことが可能である。
本実施形態に係るシート状部材搬送装置の全体の概略構成図。 シート状部材搬送装置の駆動ローラと対向ローラとの圧接部近傍の拡大図。 シート状部材が無端状ベルトに接触する直前の状態の説明図。 シート状部材がプレニップ部Bに進入した後の状態の説明図。 シート状部材が完全にニップ部Aに挟み込まれた状態の説明図。 間接的に無端状ベルトの変位を計測するものの概略構成図。 無端状ベルトの変位量の時間変化を示すグラフ。 シート状部材の有無を検知する方法の概念図。 シート状部材の有無を検知する他の方法の概念図。 シート状部材の厚さを検知する方法の概念図。 シート状部材の搬送速度を検知する方法の概念図。 シート状部材の搬送速度を検知する他の方法の概念図。 シート状部材のスキュー量を検知する方法の概念図。 フィードフォワード制御の概念図。 駆動制御部のブロック線図。 本実施形態のシート状搬送装置を採用する画像形成装置の全体構成図。 シート状部材搬送装置を中間転写装置に適用した場合の模式図。 シート状部材搬送装置を定着装置に適用した場合の模式図。 本実施形態の変形例に係る画像形成装置の全体構成図。 シート状部材搬送装置を転写定着装置に適用した場合の模式図。
符号の説明
1 無端状ベルト
2 駆動ローラ(支持ローラ)
3、4、5 支持ローラ
6 対向ローラ
7 シート状部材
8 大径ギア
9 小径ギア
10 駆動源
11 駆動制御部
12 ロータリーエンコーダ
13 変位情報検知手段
14 可動部材
15 支点
16 中間転写ベルト
17 中間転写ベルトクリーニング装置
18 画像形成手段
19a、19b、19c 支持ローラ
20 タンデム画像形成部
21 一次転写ローラ
22 二次転写装置
23 二次転写ローラ
24 定着装置
25 定着ベルト
26 加熱ローラ
27 定着ローラ
28 加圧ローラ
30 フィードバックコントローラ
31 位相補償器
32 フィードフォワードコントローラ
33 タイミングコントローラ
34 演算部
35 記憶部
40 感光体ドラム
41 露光装置
42 給紙ローラ
44 給紙カセット
66 転写定着装置
67 用紙加熱装置
68 加圧ローラ
69a、69b、69c 支持ローラ

Claims (15)

  1. 無端状ベルトを張架する複数の支持ローラと、該複数の支持ローラのうちの少なくとも一つを回動駆動させる駆動部と、該複数の支持ローラのうちの一つと該無端状ベルトを挟んで対向する対向ローラとを備え、該支持ローラと該対向ローラとを圧接させて形成されたニップにシート状部材を挟持して搬送するシート状部材搬送装置において、
    上記ニップより上記シート状部材搬送方向上流側の上記無端状ベルトの張架された所定位置に、該シート状部材が接触することにより発生する該無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位を検知する変位情報検知手段を備えたことを特徴とするシート状部材搬送装置。
  2. 請求項1のシート状部材搬送装置において、複数の変位情報検知手段を備え、該複数の変位情報検知手段を上記ニップに対して略平行に配置することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  3. 請求項1または2のシート状部材搬送装置において、上記無端状ベルト表面に対して垂線方向の変位に追従して変位する可動部材を有し、上記変位情報検知手段は該可動部材の変位を検知することにより該無端状ベルトの垂線方向の変位を検知することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  4. 請求項1、2または3の何れかのシート状部材搬送装置において、上記変位情報検知手段により検知した上記無端状ベルトの検知結果から接触したシート状部材の有無を算出する演算部を有することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  5. 請求項1、2、3または4の何れかのシート状部材搬送装置において、上記変位情報検知手段により検知した検知結果から接触したシート状部材の厚さを算出する演算部を有することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の何れかのシート状部材搬送装置において、変位情報検知手段により検知した検知結果から上記シート状部材の搬送速度を算出する演算部を有することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  7. 請求項2、3、4、5または6の何れかのシート状部材搬送装置において、上記複数の変位情報検知手段の中で最初に上記無端状ベルトの変位を検知した変位情報検知手段の検知結果から上記シート状部材の有無を検出することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  8. 請求項2、3、4、5、6または7のシート状部材搬送装置において、上記複数の変位情報検知手段により検知した複数の検知結果から、上記シート状部材の搬送方向に対する傾き量を算出する演算部を有することを特徴とするシート状部材搬送装置。
  9. 像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成部と、該トナー像を転写されるシート部材を搬送するシート状部材搬送装置とを備えた画像形成装置において、
    上記シート状部材搬送装置として請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかのシート状部材搬送装置を採用し、上記変位情報検知手段の検知結果より上記シート部材が上記ニップに突入するタイミングを予測して、該タイミングに基づき該シート状部材搬送装置の駆動部によるベルト駆動条件を変更するフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9の画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の厚さに応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項9または10の画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は搬送されるシート状部材の搬送速度に応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項9、10または11の何れかの画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は、搬送されるシート状部材の搬送方向に対する傾き量に応じてフィードフォワード制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項9、10、11または12の何れかの画像形成装置において、上記フィードフォワード制御部は、上記変位情報検知手段により所定の厚さ以上のシート状部材が検知された場合に上記フィードフォワード制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項9、10、11、12または13の何れかの画像形成装置において、上記シート状部材搬送装置を中間転写装置または定着装置の少なくとも一方に適用したことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項9、10、11、12または13の何れかの画像形成装置において、上記シート状部材搬送装置を転写定着装置に適用したことを特徴とする画像形成装置。
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