JP2009299005A - 顔料組成物、水性顔料分散物、水性顔料分散物の製造方法、インクジェット記録用水系インク及び高分子化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料及び分散剤を含有する顔料組成物で、分散剤が(a)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と(b)イオン性基を有する繰り返し単位とを含む共重合体である顔料組成物。
(式中、R1:H、メチル基、L1は*−COO−、*−OCO−、*−CONH−、*−CONR3−(R3はH又は炭素数1〜6のアルキル基。)、又はフェニレン基。*は主鎖に連結する結合手。L2は単結合、下記の連結基群から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせてなる2価連結基。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価基。)
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7はH又は炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−
【選択図】なし
Description
しかしながら、大部分の顔料は水性ビヒクルに対して顔料分散性等の適性が著しく劣るため通常の分散方法では満足な品質は得られない。
また、顔料の粒径が下がると分散物の安定性が下がることが一般的に知られている。
そこで従来より各種の添加剤、例えば水性用顔料分散樹脂や界面活性剤の使用が検討されてきたが上記すべての適性を満足し、既存の高品質を有する油性塗料または油性インキに匹敵するような水性塗料または水性インキは得られていない。
本発明は、上記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は顔料が微細に分散され、経時安定性に優れた顔料組成物を提供することを目的とする。また、本発明は顔料が微細に分散され、経時安定性に優れた水性顔料分散物、その製造方法、及びそれを含むインクジェット記録用水系インクを提供することを目的とする。また、本発明は新規な高分子化合物を提供することを目的とする。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−
<3> 前記一般式(1)におけるArは、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、ナフタルイミドまたはカルバゾールから誘導される1価の基であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の顔料組成物。
<6> 前記(b)イオン性基を有する繰り返し単位がカルボキシル基を有することを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料組成物。
<9> 上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の顔料組成物に、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒を含む水性キャリア媒体を加え、水性顔料分散物を得ることを特徴とする水性顔料分散物の製造方法。
<10> 上記<7>に記載の水性顔料分散物を含むインクジェット記録用水系インク。
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−
本発明の顔料組成物は、顔料、及び分散剤を含有し、前記分散剤が(a)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(b)イオン性基を有する繰り返し単位と、を含む共重合体であることを特徴とする。
前記分散剤を用いることにより、顔料が微細に分散され、経時安定性に優れた顔料組成物を得ることができる。
本発明における顔料について詳細に説明する。
本発明における顔料としては、公知の顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性、耐光性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である顔料が好ましい。
上記顔料のうち、インク着色性、耐光性、耐候性、耐水性の観点から、特に、有機顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
前記顔料は、単独で用いても複数併用してもよい。
本発明の顔料組成物は、顔料を分散するため分散剤を用いる。
該分散剤としては、(a)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、(b)イオン性基を有する繰り返し単位と、を共重合単位として少なくとも含む共重合体である。
一般式(1)中、L1は*−COO−、*−OCO−、*−CONH−、*−CONR3−(R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。*は主鎖に連結する結合手を表す。)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。L1は−COO−、−CONH−、−CONCH3−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
前記連結基群から選ばれるL2が、2価の連結基を2種以上を組合せて用いる場合は、同一であっても、または、異なるものを用いてもよい。
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−
前記アルケニレン基は、炭素数2〜12が好ましく、2〜4がより好ましい。
前記アルキレン基、アルケニレン基は、可能であれば、それぞれ独立に、置換基(炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等)によって置換されていてもよい。
前記炭素数8以上の縮環型芳香環とは、少なくとも二個以上のベンゼン環が縮環した芳香環、及び/又は、少なくとも一種以上の芳香環と該芳香環に縮環した脂環式炭化水素で環が構成される、炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
Arはそれぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基等を挙げることができ、より好ましい置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基、シアノ基等を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有する共重合体は、共重合体を得た後に対応する官能基を高分子反応により導入してもよいが、相当する下記一般式(4)で表されるモノマーを重合することにより形成することが好ましい。
以下に、一般式(4)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
本発明における分散剤が含む共重合単位である(b)イオン性基を有する繰り返し単位について説明する。
(b)イオン性基を有する繰り返し単位は、前記イオン性基を有するモノマー(B)を共重合することにより形成することができる。
前記イオン性基を有するモノマー(B)としては、アニオン性基含有モノマー及びカチオン性基含有モノマーが挙げられる。
不飽和3級アミン含有ビニルモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
前記イオン性基を有するモノマー(B)は単独で、又は二種類以上を混合して用いても良い。
本発明における分散剤は、前記(a)一般式(1)で表される繰り返し単位と前記(b)イオン性基を有する繰り返し単位とを有するが、更に、(c)下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する共重合体であることが好ましい態様である。
Y2は酸素原子または−NR3−を表す。R3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。前記Y2は酸素原子、−NH−、または−NMe−であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
前記置換基としては、フェニル基、フェノキシ基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン基、シアノ基等を挙げることができる。
前記置換基の具体例としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン基、シアノ基が挙げられる。
前記総炭素数7〜10のフェニルアルキル基、総炭素数7〜10のフェノキシアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェノキシエチル基、4−シアノフェノキシエチル基などが挙げられ、ベンジル基、フェノキシエチル基がより好ましい。
前記一般式(5)で表されるモノマー(C)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−シアノフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、4−クロロブチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ω−ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、ω−メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、ω−エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)など
(2)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記含有量を上記範囲とすることにより、顔料への配向性が向上し、かつ分散剤の水に対する溶解を抑制し、顔料が分散剤で被覆されることで粒径が小さく経時安定に優れた顔料組成物を得やすくなる点で好ましい。
前記分子量を上記範囲とすることにより、分散剤としての立体反発効果が良好な傾向となり、また立体効果により顔料への吸着に時間がかからなくなる傾向の観点から好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定した値を採用する。
また、本発明で用いる分散剤の分子量分布(重量平均分子量値/数平均分子量値で表される)は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
前記分子量分布を上記範囲とすることにより、顔料の分散時間の短縮、及び分散物の経時安定性の観点から好ましい。ここで数平均分子量及び、重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用い換算して表した分子量である。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成する分散剤の分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常、0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた分散剤は再沈殿などの精製を行っても良い。
前記顔料組成物中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた顔料組成物を得やすい傾向となり好ましい。
本発明における前記分散剤以外の分散剤の含有量は、本発明における前記分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
前記分散剤以外の分散剤としては、従来公知の水溶性低分子分散剤や、水溶性高分子等を用いることができる。
前記顔料組成物は前記顔料及び前記分散剤を少なくとも含有するが、前記顔料を分散させる際に、更に溶剤を用いることができる。
前記溶剤としては水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶媒等挙げることができ、後述の水性顔料分散物に用いる場合は、中でも、有機溶剤、水と有機溶剤が好ましい。
上記有機溶剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびこれらの酢酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
これらの中でも、ケトン類、酢酸エステル類、アルコール類が好ましく、ケトン類がより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含有量を、10部以上とすることにより組成物の粘度上昇を抑え易くなり、また、1000部以下とすることにより貯蔵時のスペースが確保し易くなる点で好ましい。
前記顔料組成物は、塩基性物質(中和剤)、必要に応じて、界面活性剤等のその他の添加剤を添加することができる。
塩基性物質としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。塩基性物質は、分散剤を中和する目的で、前記顔料組成物がpH7〜11となるように添加するのが好ましく、pH9〜10となるように添加するのがより好ましい。
塩基性物質の含有量としては、分散剤のイオン性基に対して、50〜150モル%であることが好ましく、70〜120モル%であることがより好ましく80〜100モル%であることが特に好ましい。
本発明の顔料組成物は、例えば、前記顔料、前記分散剤、必要に応じて溶剤(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することにより得ることができる。
(1)分散剤を溶剤に添加して分散剤溶液を調製する(分散剤溶液調製工程)。
(2)前記分散剤溶液に塩基性物質の溶液を加える(中和工程)。
(3)別途調製した顔料水分散液を前記中和された溶液に加えて分散して顔料分散スラリーを得る(顔料分散スラリー工程)。
(4)前記顔料分散スラリーを微分散して、顔料分散液(顔料組成物)を得る(顔料分散液工程)。
また、上記(3)における前記顔料水分散液は、顔料を水に添加して分散機を用いて分散することにより調製することができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
本発明の水性顔料分散物は、前記本発明の顔料組成物と、水又は水性キャリア媒体を含むことを特徴とする。前記水性キャリア媒体は、水と少なくとも一種の有機溶媒とを有する。
水性顔料分散物は、前記構成とすることにより顔料の分散性及び安定性が良好となる。また、水性顔料組成物を用いて形成された膜は薄くて優れた遮光性能(高い光学濃度)を有することができる。
本発明の水性顔料組成物の構成成分等について説明する。
本発明の水性顔料分散物における水性キャリア媒体としては、水と少なくとも水溶性有機溶媒を含むものである。前記水溶性有機溶媒は単独で用いても複数併用してもよい。
前記水溶性有機溶媒は乾燥防止剤、浸透促進剤として含有することができる。
乾燥防止剤は、特に、水性顔料分散物を後述のインクジェット記録用水系インクとしてインクジェット方式による画像記録方法に適用する場合、インク噴射口におけるインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用しても良い。
これらの乾燥防止剤は、水性顔料分散物中に、5〜50質量%含有されることが好ましい。
これらの浸透促進剤は、水性顔料分散物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また、浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
尚、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
本発明におけるその他の添加剤としては、公知の顔料分散物、水系インクに用いることができる添加剤を用いることができる。
例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水性顔料分散物の調製時、或いは調製後に添加してもよい。
また、表面張力調整剤の添加量は、水性顔料分散物をそのまま用いる場合、インクジェット方式で良好に打滴するために、水性顔料分散物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
水性顔料分散物の表面張力は、例えば、Wilhelmy法を用いて測定することができる。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
なお、ここでの粘度の値は25℃での測定値とする。
前記分散物の粘度は、例えば、E型粘度計を用いて測定することができる。
本発明の水性顔料分散物の製造方法は、前記顔料組成物に、水と少なくとも一種の有機溶媒を含む水性キャリア媒体又は水を加えて得ることを特徴とする。
本発明の水性顔料分散物の製造方法は、特に制限はないが、次の工程(1)及び(2)により得ることが好ましい。
工程(1):顔料組成物(分散剤、顔料)、水または水性キャリア媒体(水及び有機溶媒を含む。)、必要により、中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記顔料組成物に、水または水性キャリア媒体を、必要に応じて、中和剤、界面活性剤等を前記有機溶媒に加えて混合し、分散機を用いて分散することで水系媒体−有機溶媒混合型の分散物を得る。
そして、工程(2)で有機溶媒を除去することにより水性顔料分散物を得ることができる。
本発明の水性顔料分散物の製造方法は、特に制限はないが、次の工程(1)及び(2)により得ることが好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、及び前記分散剤を溶解し得る有機溶媒、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒とを有する水性キャリア媒体、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記分散剤を有機溶媒に溶解させ、これらの混合物を得る。次に顔料、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒とを有する水性キャリア媒体、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記混合物に加えて混合、分散処理し、水中油型の水性顔料分散物を得る。中和する場合には、中和度には、特に限定がなく、通常、最終的に得られる水性顔料分散物の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記分散剤の望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
そして、工程(2)で有機溶媒を除去することにより水性顔料分散物を得ることができる。
前記水性顔料分散物の製造方法において用いる前記顔料組成物は、本発明の前記顔料組成物と同義であり、好ましい例も同様である。また、前記水性キャリア媒体は、前記水性顔料分散物の項において記載した媒体と同義であり、好ましい例も同様である。
前記顔料の分散粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定した値を採用する。
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、適宜「水系インク」又は「水性インク」という。)は、前記本発明の水性顔料分散物を含んで成ることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記本発明の水性顔料分散物をそのまま、或いは必要に応じて、更に、前述の乾燥防止剤やその他の添加剤を添加して、前記水性キャリア媒体で希釈して調製することができる。
前記水系インクに含まれる前記分散剤の量は、該水系インクの分散性、保存安定性、吐出性の観点から、顔料(着色剤)に対して、1〜150質量%の範囲とすることが好ましく、5〜100質量%の範囲とすることがより好ましい。
該水系インクの中和工程における塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類を用いることができる。必要に応じて、クエン酸、酒石酸等の有機酸、塩酸、リン酸等の鉱酸等を用いることができる。
本発明の高分子化合物は、下記一般式(3)で表されるモノマー(以下、「モノマーA1」ともいう。)と、(メタ)アクリル酸(以下、「モノマーB1」ともいう。)と、ベンジル(メタ)アクリレート(以下、「モノマーC1」ともいう。)と、の共重合体であることを特徴とする。
本発明の高分子化合物は、共重合成分として前記構成成分を少なくとも1種用いて重合することにより、顔料の分散性に優れた効果を発揮することができる。
下記一般式(3)で表されるモノマーについて説明する。
一般式(3)中、L3は下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
一般式(3)中、Arはナフタレン、ビフェニル、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、又はカルバゾールから誘導される1価の基を表し、Arはさらに置換基を有していても良い。置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基等を挙げることができ、より好ましい置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基、シアノ基等を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
炭素数1〜12のアルキレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−
前記炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基は直鎖型、分岐型、脂環式であってもよく、炭素数1〜18が好ましく、炭素数1〜12が特に好ましい。
前記ポリアルキレンオキシ鎖を有する(メタ)アクリレートにおけるアルキレン基は、炭素数2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。ポリオキシアルキレンオキシ鎖の重合度は1〜100が好ましく、1〜50がより好ましい。
前記高分子化合物における前記モノマーC1の含有量としては、前記高分子化合物全質量の20〜92質量%質量%が好ましく、35〜85質量%がより好ましく、35〜75質量%が特に好ましい。
前記高分子化合物における前記モノマーD1の含有量としては、前記高分子化合物全質量の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。D2の含有量としては、モノマーB1とD2の含有量の合計が20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
前記含有量を上記範囲とすることにより、顔料への配向性向上が向上し、かつ分散剤の水に対する溶解を抑制し、顔料が分散剤で被覆されることで粒径が小さく経時安定に優れた顔料組成物を得やすくなる点で好ましい。
本発明の高分子化合物の具体例については、以下に挙げるが本発明の高分子化合物はこれに限定されるものではない。
メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル130gおよびトリエチルアミン167mlを1000mlの酢酸エチルに加え、0℃で30分攪拌した。この溶液に、120gのメタンスルホニルクロリドをゆっくり滴下し、さらに、0℃で攪拌を3時間継続した。反応後、得られた溶液に500mlの純水を加えて攪拌した。分液ろうとを用いて酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮することで、メタクリル酸 2−メタンスルホニルオキシエチルを207g得た。
合成したメタクリル酸 2−メタンスルホニルオキシエチル48g、2−ナフトール30g、炭酸カリウム43gを200mlのN−メチルピロリドン(NMP)に加え、室温で1時間攪拌した。更に80℃で10時間攪拌した。反応後、析出した不溶物をろ過して除去した後、得られた溶液に酢酸エチル500ml、純水200mlを加えて攪拌した。酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮し、これをシリカクロマトグラフィーにて精製することにより48gのM−3を得た。
メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル65gおよびトリエチルアミン104ml、ジメチルアミノピリジン3gを500mlのテトラヒドロフラン(THF)に加え、室温で30分攪拌した。この溶液に、167gのトリフェニルメチルクロリドを添加し、さらに、室温で攪拌を10時間継続した。反応後、得られた溶液に酢酸エチル500ml、純水200mlを加えて攪拌した。酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮し、これをシリカクロマトグラフィーにて精製することにより115gのM−4を得た。
メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル30gおよびトリエチルアミン40mlを500mlのTHFに加え、0℃で30分攪拌した。この溶液に、50gのビフェニル−4−カルボニルクロリドを添加し、さらに、0℃で攪拌を3時間継続した。反応後、得られた溶液に酢酸エチル500ml、200mlの純水を加えて攪拌した。分液ろうとを用いて酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮し、これをシリカクロマトグラフィーにて精製することにより70gのM−5を得た。
2−ナフトール144g、エチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル250g、炭酸カリウム205gを1000mlのN−メチルピロリドン(NMP)に加え、室温で1時間攪拌した。更に110℃で10時間攪拌した。反応後、溶液が室温に戻るまで冷却し、得られた溶液に純水5000mlを加え、室温で1時間攪拌した。析出した固体をろ取し、減圧条件で乾燥した。上記の反応で得られた固体139g、およびトリエチルアミン125mlを500mlのTHFに加え、0℃で30分攪拌した。この溶液に、75gのメタクリル酸クロリドをゆっくり滴下し、さらに、0℃で攪拌を3時間継続した。反応後、得られた溶液に酢酸エチル500ml、および200mlの純水を加えて攪拌した。分液ろうとを用いて酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮し、これをシリカクロマトグラフィーにて精製することにより174gのM−8を得た。
N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド100g、およびトリエチルアミン93mlを1500mlのTHFに加え、0℃で30分攪拌した。この溶液に、60gのメタクリル酸クロリドをゆっくり滴下し、さらに、0℃で攪拌を3時間継続した。反応後、得られた溶液に酢酸エチル1000ml、及び200mlの純水を加えて攪拌した。分液ろうとを用いて酢酸エチル層を分液し、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮し、これをシリカクロマトグラフィーにて精製することにより113gのM−9を得た。
9(10H)−アクリドン9.76部、t−ブトキシカリウム5.61部をジメチルスルホキシド30部に溶解させ、45℃に加熱した。これにクロロメチルスチレン(セイミケミカル(株)製CMS−P、メタ体/パラ体=50/50(mol/mol)の混合物)15.26部を滴下し、50℃でさらに5時間加熱攪拌を行った。この反応液を蒸留水200部に攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、M−25/M−27混合物を11.9部得た。
1,8−ナフタルイミド355.0gをN−メチルピロリドン1500mLに溶解させ、25℃にてニトロベンゼン0.57gを添加し、ここへDBU(ジアザビシクロウンデセン)301.4gを滴下した。30分撹拌した後、クロロメチルスチレン(セイミケミカル(株)製CMS−P、メタ体/パラ体=50/50(mol/mol)の混合物)412.1gを滴下し、60℃でさらに4時間加熱攪拌を行った。この反応液へイソプロパノール2.7L、蒸留水0.9Lを加え、5℃に冷却しながら攪拌した。得られた析出物を濾別し、イソプロパノール1.2Lで洗浄することで、M−28/M−29混合物を544.0g得た。
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン60gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱した。表1に記載のモノマー混合物と、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.64gをメチルエチルケトン30gに溶解させて得られた溶液を、三口フラスコに3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン10gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.3gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し、4時間加熱攪拌して未反応モノマーをすべて反応させた。モノマーの消失は1H−NMRで確認した。得られた反応溶液を大過剰量のヘキサンを用いて2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥してB−6を59g得た。
得られたポリマーの組成は1H−NMRで確認し、重量平均分子量(Mw)はGPCより求めた。
合成例1において、反応に用いるモノマーを、表1に記載のものに変え、また分子量を調整する目的で開始剤(ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート)の量を調整した以外は、合成例1と同様にして反応を行い、それぞれ対応するポリマー(B−13、B−11、B−28、B−23、B−31、B−35)を得た。得られたポリマーの組成は1H−NMRで確認し、重量平均分子量(Mw)はGPCより求めた。
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン90.9gと表1に記載のモノマー混合物を加え窒素雰囲気下で75℃に加熱した。ここにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート2.0gをメチルエチルケトン8.0gに溶解させて得られた溶液を加え、75℃に維持した状態で2時間反応させた。ここに、メチルエチルケトン1.0gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.5gを溶解した溶液を加えさらに2時間反応させた。さらに、メチルエチルケトン1.0gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.5gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱攪拌することで未反応モノマーをすべて反応させた。モノマーの消失は1H−NMRで確認した。得られた反応溶液を大過剰量のヘキサンを用いて2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥してB−42を97g得た。
得られたポリマーの組成は1H−NMRで確認し、重量平均分子量(Mw)はGPCより求めた。
合成例8において、反応に用いるモノマーを、表1に記載のものに変え、また分子量を調整する目的で開始剤(ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート)の量を調整した以外は、合成例1と同様にして反応を行い、それぞれ対応するポリマー(B−43、B−46、B−47、B−49、B−53)を得た。得られたポリマーの組成は1H−NMRで確認し、重量平均分子量(Mw)はGPCより求めた。
フリッチュ遊星型ボールミル モデルP−7(フリッチュ社製)を使用し、下記の手順により顔料分散物を調製した。
合成例1によって得られたB−6 0.5gをMEK4.5gに溶かして分散剤のMEK溶液を調製した。ジルコニア製45ml容器に、PB15:3顔料粉末(大日精化製 フタロシアニンブルーA220)1.0g、調製したB−6のMEK溶液5.0g、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を0.6g(分散剤に含まれるカルボン酸の量に対して1当量)加え、さらに容器の内容物の質量の総和が15gとなるよう超純水を加え、0.1mmΦジルコニアビーズ(TORAY製トレセラムビーズ)40gを加えて、スパチュラで軽く混合した。
実施例1において、ポリマーB−6、着色剤A220、及び添加する1規定水酸化ナトリウム水溶液の量に代えて、それぞれ表2に記載のように変更した以外はすべて実施例1の顔料分散物(D−1)の調製と同様にして、本発明の顔料分散物(D−2)〜(D−26)を調製した。
上記で得られた顔料分散物(D−1)を用い、下記の組成より成る顔料分散物含有組成物を調製し、該組成物に遠心分離(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行い、インクジェット記録用水性インク(J−1)を得た。
顔料分散物(D−1) 40質量部
グリセリン 7質量部
ジエチレングリコール 9質量部
トリエタノールアミン 1質量部
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9質量部
イオン交換水 34質量部
東亜DKK(株)製pHメータ−WM−50EGにて、インク組成物のpHを測定したところ、pHは8.5であった。
同様にして顔料分散物(D−2)〜(D−26)よりそれぞれ対応するインクジェット記録用インク(J−2)〜(J−26)を調製した。
実施例1におけるB−6を、それぞれ特開2007−51199号公報における[0065]記載の合成例1の共重合体P−30、同公報[0071]記載の合成例8の共重合体S10−80、特許第2619255号公報10頁記載の(分散剤1)に変更した以外は、実施例1の顔料分散物(D−1)の調製と同様にして、顔料分散物(D−27)〜(D−29)をそれぞれ調製した。
実施例3において、前記顔料分散物(D−27)、(D−28)を用いた以外はすべて実施例3と同様にして、インクジェット記録用インク(J−27)、(J−28)を調製した。
(1)平均粒径の測定
ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により、得られた顔料分散物の体積平均粒径を測定した。結果を表2に示す。測定条件:分散物10μlに水10mlを加えて希釈して調製したサンプルを25℃で測定した。評価は以下の基準とする。
◎:平均粒径が100nm未満
○:平均粒径が100nm以上130nm未満
△:平均粒径が130nm以上200nm未満
×:平均粒径が200nm以上
得られた顔料分散物を密閉状態で60℃で、336時間放置した後、顔料粒子の凝集及び増粘について、平均粒径、粘度の測定を行い、下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:顔料粒子の凝集・増粘は全く認められなかった。
○:顔料粒子の凝集・増粘は認められなかった。
△:顔料粒子の凝集・増粘は僅かに認められたが実用上問題はなかった。
×:顔料粒子の凝集・増粘は認められ、実用上問題となった。
なお、平均粒径の測定は、上記(1)と同様に行った。また、粘度の測定は下記の手順により行った。
(2)粘度の測定
得られた顔料分散物の粘度は、TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、25℃で測定を行った。
1.印刷物印字評価
インクジェット記録装置として、市販のインクジェット記録プリンターPX−G930(商品名:セイコーエプソン(株)製)を用い、これにインクジェット記録用インク(J−1)〜(J−25)を充填し、印字した。
前記顔料分散物の平均粒径の測定と同じ手法と評価基準で、得られたインクジェット記録用インクの平均粒径を測定し、評価した。結果を表3に示す。
得られた顔料分散物を密閉状態で60℃で、336時間放置した後、顔料粒子の凝集及び増粘について、前記顔料分散物の測定と同じ手法により、粒子サイズの変化と粘度を観察して、下記の評価基準で評価した。結果を表3に示す。
◎:顔料粒子の凝集・増粘は全く認められなかった。
○:顔料粒子の凝集・増粘は僅かに認められた。
△:顔料粒子の凝集・増粘はすこし認められたが実用上問題はなかった。
×:顔料粒子の凝集・増粘は認められ、実用上問題となった。
尚、平均粒径は上記(1)に記載の方法で行い、粘度は上記(2)の記載の方法で行った。
連続して打滴して打滴の状態を目視観察することで、打滴安定性を評価した。結果を表2に示す。評価は以下の基準とする。結果を表3に示す。
◎… 吐出不良がない。
○… 吐出不良がほとんどなく、実用上問題ないレベルである。
△… 吐出不良がみられ、実用上問題となるレベルである。
×… 吐出不良が多い。
PR122:C.I.Pigment Red 122(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名:CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ)
PY74:C.I.Pigment Yellow 74(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
カーボンブラック:カーボンブラック(DEGUSSA製、商品名:NIPEX 160−IQ)
また、本発明の水性インクは平均粒径、経時安定性、打滴安定性のいずれにおいても良好な結果が得られたが、比較の水性インクはいずれの評価項目においても劣っていることが判る。
Claims (12)
- 顔料、及び分散剤を含有する顔料組成物であって、前記分散剤が(a)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と(b)イオン性基を有する繰り返し単位とを、含む共重合体であることを特徴とする顔料組成物。
(式中、R1は水素原子、メチル基を表し、L1は*−COO−、*−OCO−、*−CONH−、*−CONR3−(R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。*は主鎖に連結する結合手を表す。L2は単結合、または下記の連結基群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、または二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。)
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO2− - 前記一般式(1)におけるL1が、*−COO−、*−CONH−、または*−CONR3−(R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。*は主鎖に連結する結合手を表す。)であることを特徴とする請求項1に記載の顔料組成物。
- 前記一般式(1)におけるArが、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、ナフタルイミドまたはカルバゾールから誘導される1価の基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の顔料組成物。
- 前記(b)イオン性基を有する繰り返し単位がアニオン性基を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 前記(b)イオン性基を有する繰り返し単位がカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の顔料組成物と、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒とを有する水性キャリア媒体とを含む水性顔料分散物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の分散剤と、該分散剤を溶解し得る有機溶媒と、顔料と、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒とを有する水性キャリア媒体とを混合した後、前記分散剤を溶解し得る有機溶媒を除くことを特徴とする請求項7に記載の水性顔料分散物の製造方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の顔料組成物に、水又は水と少なくとも一種の有機溶媒を含む水性キャリア媒体を加え、水性顔料分散物を得ることを特徴とする水性顔料分散物の製造方法。
- 請求項7に記載の水性顔料分散物を含むインクジェット記録用水系インク。
- ベンジル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸と、下記一般式(3)で表されるモノマーと、の共重合体であることを特徴とする高分子化合物。
(一般式(3)中、R3は水素原子またはメチル基を表す。Y3は酸素原子または−NR4−を表す。R4は、水素原子またはメチル基を示す。L3は、下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。Arはナフタレン、ビフェニル、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、又はカルバゾールから誘導される1価の基を表す。)
(連結基群)
炭素数1〜12のアルキレン基、−CO−、−NR7−(R7は水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O− - ベンジル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸と、上記一般式(3)で表されるモノマーと、更に、炭素数1〜20の直鎖型、分岐型、脂環式のアルキル(メタ)アクリレート及び/又はポリアルキレンオキシ鎖を有する(メタ)アクリレートと、の共重合体であることを特徴とする請求項11に記載の高分子化合物。
Priority Applications (3)
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