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JP2009292684A - シリコン単結晶の製造方法およびこれに用いる製造装置 - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法およびこれに用いる製造装置 Download PDF

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JP2009292684A JP2008148258A JP2008148258A JP2009292684A JP 2009292684 A JP2009292684 A JP 2009292684A JP 2008148258 A JP2008148258 A JP 2008148258A JP 2008148258 A JP2008148258 A JP 2008148258A JP 2009292684 A JP2009292684 A JP 2009292684A
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Abstract

【課題】大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、安定した単結晶の引上げが可能で、良好な結晶品質を確保することができる製造方法および装置を提供する。
【解決手段】CZ法を用いて、結晶原料をヒータ4により溶融したのち加熱しつつ、石英ルツボ3に収容された融液2から引上げられる単結晶11を熱遮蔽体10で囲繞し、前記単結晶11を凝固させながらシリコン単結晶を製造する方法であって、前記単結晶11の直径をD(mm)とし、前記熱遮蔽体10の下端開口径をFd(mm)、前記石英ルツボ3の内径をCd(mm)、および前記ヒータ4の内径をHd(mm)とした場合に、下記(1)〜(3)式を満足する。1.1×D≦Fd≦1.9×D・・・(1)、1.9×D≦Cd≦3.5×D・・・(2)、2.3×D≦Hd≦4.2×D・・・(3)
【選択図】図2

Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)に用いられるシリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶の製造装置に関し、さらに詳しくは、引き上げられる単結晶の直径に拘わらず、大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、安定した単結晶の引上げが可能で、良好な結晶品質を確保することができるシリコン単結晶の製造方法およびこれに用いる製造装置に関するものである。
現在、半導体デバイス製造における主要な基板材料としてシリコン単結晶が用いられており、この製造方法としてCZ法が広く採用されている。CZ法によってシリコン単結晶を育成させる場合、多結晶のシリコン原料を石英ルツボ内に投入し、ヒータの加熱作用によりその中で溶融させる。シリコン原料を完全に溶融させた後、これを結晶原料として種結晶をシリコン融液に浸しシリコン単結晶を引上げていく。
CZ法により引き上げられるシリコン単結晶の引上げ速度や品質は、育成中の結晶温度に依存する。特に、単結晶の成長軸方向の温度勾配は、単結晶中のGrown−in欠陥の発生に影響を及ぼすことから、単結晶の全域に亘って均一であることが望ましい。一方、この成長軸方向の温度勾配は、単結晶が融液から受ける輻射熱に大きな影響を受けることから、これを制御するため、通常、CZ法による製造装置では、育成中の単結晶を囲繞するように熱遮蔽体が配置される。
例えば、特許文献1には、上下が開放されかつ下方に向うに従って直径が次第に小さくなる筒状の金属製遮蔽部材に、螺旋状の冷却水管からなる冷却手段を付設してシリコン単結晶を強制冷却することにより、シリコン単結晶の引上げ速度を大きくすることができる単結晶成長装置が示されている。
また、特許文献2号公報には、中間チャンバと加熱チャンバとの間にドーナツ型の水冷チャンバが設けられ、この水冷チャンバに熱伝導率及び熱輻射率の良好な第1スクリーンを単結晶の周囲に配置することにより、単結晶の冷却速度を大きくできるシリコン単結晶の製造装置が示されている。
したがって、特許文献1、2で提案の装置では、育成中の単結晶の温度勾配を全域に亘って均一に確保できるとともに、単結晶の歩留まりを低下させずに、単結晶の引上げ速度を大きくすることができる。
さらに引き上げられるシリコン単結晶の不純物として、結晶中にはボロン、リンなどのドーパントや、引上げ中に石英るつぼ壁より融液中に溶出、混入する酸素が含有される。これら結晶中に含有される不純物は、シリコン単結晶より切出されるウェーハの品質に大きく影響を及ぼすことから適切に制御されなければならない。特に、ウェーハの面内不純物分布を均一にするために、シリコン単結晶中の半径方向の不純物濃度分布を均一にすることが必要になる。
通常、石英ルツボに収容される融液は、ルツボ外周からヒータで加熱されるので、ルツボの側壁近傍では上昇し、その中心部では下降する自然対流が生じる。このため、不純物の濃度分布を均一にするには、これらの対流を有効に制御する必要がある。
このシリコン融液の対流を制御するために、石英ルツボと同軸に一対の励磁コイルを配置し、石英ルツボ内の融液に一対の励磁コイルから発生する横方向の静磁場を印加することが行われる(例えば、特許文献3参照)。横磁場を印加することによりシリコン融液の対流を制御し、不純物の濃度分布を均一にするとともに、シリコン単結晶とシリコン融液との固液界面の形状を制御し、その引上げを安定化させることができる。
特開昭63−256593号公報 特開平08−081294号公報 特開2006−69841号公報
最新シリコンデバイスと結晶技術、リアライズ理工センター発行、238〜256頁 「7.次世代大口径ウェーハ結晶成長・加工・エピタキシャル」、2005年12月
近年の半導体デバイスの高集積化、低コスト化および生産性の向上等に対応して、ウェーハも大口径化が要請されており、直径300mm以上で、例えば400mm〜450mmウェーハに対応できる、大口径のシリコン単結晶の製造技術の開発が急務になっている。大口径のシリコン単結晶を製造するのに必要な技術として、石英ルツボの大容量化やシリコン原料の充填量アップが大きな課題となる。
大口径のシリコン単結晶の製造技術に関連して、石英ルツボの大容量化を図るため、大型ルツボの製作が必須となる。育成する結晶と石英ルツボの径の比は、経験則より1:3程度であるが、経済性を考慮し、非特許文献1では、単結晶の直径と石英ルツボとの関係をこれまでの推移と今後採用されるであろう予想サイズについて報告している。
これによれば、直径300mmの単結晶に対しては32インチ(813mm)、直径400mmの単結晶に対しては36インチ(914mm)〜40(1016mm)、直径450mmの単結晶に対しては46インチ(1168mm)〜50(1270mm)の石英ルツボが用いられることが予測されている。
ところが、大口径のシリコン単結晶を製造するに際し、大型石英ルツボを導入すると、それにともない製造装置を構成する熱遮蔽体、ヒータ、励磁コイルなどの各部材が大型になり、且つ重量が増大することになる。
さらに、引き上げられる単結晶の直径を300mm以上と大口径になると、単結晶の固液界面に発生する熱応力が大きくなるとともに、結晶成長に及ぼす外乱要因も増加する。このため、育成中の温度勾配が確保するのが難しく、単結晶の有転位化が発生し易くなり、安定した単結晶の引上げが行えなくなることが予測される。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、引き上げられる単結晶の直径に拘わらず、大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、安定した単結晶の引上げが可能で、良好な結晶品質を確保することができるシリコン単結晶の製造方法およびこれに用いる製造装置を提供することを目的としている。
単結晶の製造装置を構成するヒータ、励磁コイルなどの寸法は、石英ルツボに応じて設計される。このため、引上げられる単結晶の大口径化にともない、従来の経験則に基づいて育成する結晶と石英ルツボの径の比から、製造装置を構成する各部材を設計すると、結晶面内における品質バラツキが大きくなったり、引上げが不安定になり、引上げ効率が著しく低下する。
また、製造装置の内部が、装置を構成する部材の表面から発生した重金属粉やカーボン粉等の汚染物質によって汚染されていると、育成されたシリコン単結晶の表面もこの汚染物質によって汚染される。汚染されたシリコン単結晶から得られたウェーハは、再結合ライフタイム(以下、「ライフタイム」という)の低下を引き起こすなど、品質上の問題がある。シリコン単結晶への汚染物質による影響は、熱遮蔽体が一因になっている。
本発明者は、引き上げられる単結晶の直径に拘わらず、安定した単結晶の引上げが可能になり、良好な結晶品質を確保することができるように、種々の検討を加えた結果、単結晶の直径寸法に対し、熱遮蔽体の直径、石英ルツボの内径、およびヒータの内径等の各部材の寸法範囲を設定するのが有効であることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、下記(1)〜(3)のシリコン単結晶の製造方法およびこれに用いる製造装置を要旨としている。
(1)CZ法を用いて、結晶原料をヒータにより溶融したのち加熱しつつ、石英ルツボに収容された融液から引上げられる単結晶を熱遮蔽体で囲繞し、前記単結晶を凝固させながらシリコン単結晶を製造する方法であって、前記単結晶の直径をD(mm)とし、前記熱遮蔽体の下端開口径をFd(mm)、前記石英ルツボの内径をCd(mm)、および前記ヒータの内径をHd(mm)とした場合に、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
1.1×D ≦ Fd ≦ 1.9×D ・・・ (1)
1.9×D ≦ Cd ≦ 3.5×D ・・・ (2)
2.3×D ≦ Hd ≦ 4.2×D ・・・ (3)
(2)CZ法に適用され、結晶原料から融液を形成し高温に保持するヒータと、形成された融液を収容する石英ルツボと、石英ルツボに収容された融液から引上げられる単結晶を囲繞する熱遮蔽体とを具備してシリコン単結晶を製造する装置であって、引き上げられる単結晶の直径D(mm)に対し、前記熱遮蔽体の下端開口径Fd(mm)、前記石英ルツボの内径Cd(mm)、および前記ヒータの内径Hd(mm)が、それぞれ上記(1)〜(3)式の関係で構成されていることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置である。
(3)上記(1)および(2)において、さらに、前記石英ルツボに収容された融液に対して水平方向に磁場を印加する場合には、同軸に配置された励磁コイルのボア径をMdとし、下記(4)式を満足するのが望ましい。また、引き上げられるシリコン単結晶の直径が300mm以上の大口径である場合に適用するのが最適である。
4.4×D ≦ Md ≦ 7.0×D ・・・ (4)
本発明のシリコン単結晶の製造方法および製造装置によれば、引き上げられる単結晶の直径に拘わらず、大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、熱効率や引上げ速度が確保でき安定した単結晶の引上げが可能であると同時に、ライフタイムや面内バラツキが良好な結晶品質を確保することができる。
本発明の内容を、シリコン単結晶の製造装置に適用した実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明のシリコン単結晶の製造装置を示す正面断面図である。シリコン単結晶の製造装置は、チャンバ1と、このチャンバ1内に設けられてシリコン単結晶の原料となる融液2を収容する石英ルツボ3と、融液2を加熱するヒータ4と、保温材5と、ルツボ駆動手段6が設けられている。さらに、チャンバ1の外側に磁場印加手段として励磁コイル7を設け、チャンバ1に水平磁場を印加することができる。
石英ルツボ3は、上方が開放された略円筒形の胴部と、この胴部の下方を閉塞する底部とからなり、その外面は黒鉛サセプタ(ルツボ支持体)8により支持されている。石英ルツボ3の下面は黒鉛サセプタ8を介して支軸9の上端に固定され、この支軸9の下部はルツボ駆動手段6に接続される。
石英ルツボ3の外側周囲に黒鉛サセプタ8を介してヒータ4が設けられている。ヒータ4は、例えば石英ルツボ3を取り巻くように同軸で円筒形に形成され、石英ルツボ3を加熱する。また、ヒータ4とチャンバ1との間にはヒータ4を取り囲む筒状の保温材5が設けられている。
石英ルツボ3の上方には、同軸円状に逆円錐台形状の熱遮蔽体10が配設されており、熱遮蔽体10の下端部は融液2表面の上方近傍に配置されている。図1に示す製造装置を用いてシリコン単結晶11を引き上げる場合に、ヒータ4で加熱された石英ルツボ3が放射する放射熱が熱遮蔽体10により遮断され、単結晶11の成長軸方向に所定の温度勾配が形成される。
励磁コイル7は、製造装置の外郭を形成するチャンバ1を取り囲むように、リング状のケースにマグネットコイルを立体状に組み込まれた水平磁場マグネットからなる。このような励磁コイル7は、ヒータ4、保温材5、チャンバ1を介して石英ルツボ3に収容された融液2に横磁場を与えることができる。
ルツボ駆動手段6は、石英ルツボ3を回転させる回転用モータ(図示せず)と、石英ルツボ3を昇降させる昇降用モータ(図示せず)とを有し、これらのモータにより石英ルツボ3が所定方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能に構成される。特に、昇降用モータは、種結晶12の引上げとともに低下するシリコン融液2の液面を所定位置に維持するため、減少するシリコン融液2の液面位置に応じて石英ルツボ3を上昇させるように構成されている。
チャンバ1の上方にはチャンバ1より小径の円筒状のケーシング13が設けられる。このケーシング13の上端部には水平状態で旋回可能に引上げヘッド14が設けられ、引上げヘッド14からはワイヤケーブル15が石英ルツボ3の回転中心と同軸に張設される。ワイヤケーブル15の下端には融液2に浸してシリコン単結晶11を引上げるための種結晶12が取付けられる。
本発明の製造方法は、前記図1に示すシリコン単結晶の製造装置に適用され、引き上げられる単結晶の直径寸法に対し、熱遮蔽体10の下端開口径、石英ルツボ3の内径、およびヒータ4の内径、さらに磁場印加する場合に、励磁コイル7のボア径の寸法範囲を設定することを特徴とする。
図2は、本発明で規定する単結晶の直径寸法に対する各部材の寸法範囲を説明する図である。同図において、引き上げられる単結晶11の直径をD(mm)、熱遮蔽体10の下端開口径をFd(mm)、石英ルツボ3の内径をCd(mm)、ヒータ4の内径をHd(mm)、さらに、励磁コイル7のボア径をMdで示している。
本発明の製造方法では、熱遮蔽体の下端開口径Fdは1.1×D〜1.9×Dの範囲にする必要がある(1.1×D ≦ Fd ≦ 1.9×D)。前述の通り、シリコン単結晶が熱遮蔽体から重金属等の汚染物質によって汚染されていると、得られたウェーハはライフタイムの低下を引き起こすことになる。このため、Fdが1.1×D未満であると、シリコン単結晶が熱遮蔽体から汚染されるおそれが強く、ライフタイムの低下が予測される。
一方、熱遮蔽体は、シリコン単結晶を引き上げる場合に、ヒータで加熱された石英ルツボからの放射熱を遮蔽し、成長軸方向の温度勾配を確保し引上げ速度を向上させることができるが、Fdが1.9×Dを超えるようになると、熱遮蔽体による放射熱の遮蔽効果を発揮できなくなる。
本発明の製造方法では、石英ルツボの内径Cdを1.9×D〜3.5×Dにする必要がある(1.9×D ≦ Cd ≦ 3.5×D)。Cdが1.9×D未満になると、固液界面での面内温度勾配分布の関係上、結晶成長中に石英ルツボ内壁から再結晶化し易くなり、結晶成長出ができなくなる。
一方、Cdが3.5×Dを超えるようになると、大型石英ルツボの製造にともなって、製造コストが急増すると同時に、重量が増大することから作業性や取り扱い性が大幅に低下することになる。
石英ルツボの内径Cdが引き上げられる単結晶の直径Dに対し小さくなると、面内分布が揺らぎやすくなり、惹いてはデバイス工程においてデバイス特性および収率に影響を及ぼすおそれがある。これらを回避するために、石英ルツボの内径Cdの下限を3.0×Dを超えて管理するのが望ましい。
本発明の製造方法では、ヒータの内径Hdを2.3×D〜4.2×Dの範囲内で設計する必要がある(2.3×D ≦ Hd ≦ 4.2×D)。Hdが2.3×D未満になると、ヒータパワーの変動が大きくなり、結晶界面における熱応力の変化や熱的な外乱が激しくなることから、シリコン単結晶を安定して引き上げることが難しくなる。
一方、Hdが4.2×Dを超えるようになると、相対的に石英ルツボ内の融液とヒータとの間隔が増加することから、融液温度の昇温・降温の制御にタイムラグが生じ易くなる。このため、単結晶の引上げ作業における効率化が阻害される。
本発明の製造方法では、必要に応じて、石英ルツボに収容された融液に対して水平方向に磁場を印加することができる。この場合には、励磁コイルのボア径Mdを4.4×D〜7.0×Dの範囲で制御するのが望ましい(4.4×D ≦ Md ≦ 7.0×D)。
Mdの下限を4.4×Dとするのは、製造装置のチャンバを取り囲むように配置されることによる設計上の限界値であり、Mdの上限を7.0とするのは、これを超えて大型になると、著しく製造コストが上昇することによる。通常、横磁場を印加する場合には、磁場強度を0.1T〜0.7Tにするのが望ましい。
本発明の効果を確認するため、前記図1に示す製造装置を用い、直径が300mmのシリコン単結晶の引上げを実施例1、2に分けて実施した。実施例のうち発明例では、36インチ(914mm)〜40インチ(1016mm)の石英ルツボを使用することとし、これに相当するホットゾーンを構成した。しかし、実施例と対比する比較例の特性を確認するため、使用する石英ルツボの寸法範囲をさらに変動させた。
さらに、300mm直径の単結晶は、実操業時には外径削り代を考慮し301mm乃至315mmで引上げを行っており、基準となる単結晶の直径Dは実操業時における引上げ直径とした。
(実施例1)
熱遮蔽体の下端開口径が単結晶の品質や引上げ状況に及ぼす影響を確認するため、36インチ(914mm)の石英ルツボを用い直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。このときの熱遮蔽体の下端開口径Fdと単結晶の直径Dとの比(Fd/D)を1.05〜2.2の範囲で変化させ、このときの引上げ状況を観察するともに、マイクロ波PCD法によりライフタイム測定を行った。このときの評価結果を表1に示す。
Figure 2009292684
表1から明らかなように、比較例1では重金属やカーボン汚染が発生し、ライフタイムの劣化が著しかった。また、有転位化しやすく単結晶化が困難であった。一方、結晶が変形して引上げが困難となった。一方、発明例1、2では結晶の変形等がなく良好な引上げ状況であり、採取したサンプルのライフタイムも良好であった。
(実施例2)
石英ルツボの内径およびヒータの内径が単結晶の品質や引上げ状況に及ぼす影響を確認するため、熱遮蔽体の下端開口径Fdと単結晶の直径Dとの比(Fd/D)を1.7として直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。このときの石英ルツボの内径Cdと単結晶の直径Dとの比(Cd/D)を1.8〜3.8の範囲で変化させると同時に、ヒータの内径Hdと単結晶の直径Dとの比(Hd/D)を2.2〜4.5の範囲で変化させた。
さらに、必要に応じて融液に対し横磁場を印加したが、このときの磁場強度は0.5Tとした。その後、引上げ条件毎に引上げ状況を観察するともに、酸素濃度およびドーパント濃度の面内分布を測定した。このときの評価結果を表2に示す。
Figure 2009292684
比較例3では、結晶成長中に石英ルツボ内壁から再結晶化しやすく、安定した結晶成長が困難であった。また、比較例4では、ヒータパワーの変動が大きくなり、結晶界面における熱応力や外乱が激しくなり安定して引き上げることできなかった。
一方、比較例5では、石英ルツボが大型化し(例えば、45インチ〜46インチ)、重量の増大にともなって作業性や取り扱い性が著しく低下した。さらに、比較例6では、引上げ過程での融液温度の昇温・降温の制御が難しく、融液の温度変動が大きくなり、引上げ作業における効率化が阻害された。
上述の比較例に対し、発明例3〜7は、いずれも安定した引上げが可能であり、採取したサンプルの酸素濃度や抵抗率の面内分布も良好であった。特に、発明例5、7では融液に対し横磁場を印加したが、一層、安定した引上げ状況であった。
本発明のシリコン単結晶の製造方法および製造装置によれば、引き上げられる単結晶の直径に拘わらず、大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、熱効率や引上げ速度が確保でき安定した単結晶の引上げが可能であると同時に、ライフタイムや面内バラツキが良好な結晶品質を確保することができる。
これにより、大口径のシリコン単結晶を引き上げる場合であっても、高い製造効率が確保でき、同時に得られるシリコン単結晶の品質を安定させることができることから、直径が300mm以上のシリコン単結晶の引上げに際し好適に利用することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造装置を示す正面断面図である。 本発明で規定する単結晶の直径寸法に対する各部材の寸法範囲を説明する図である。
符号の説明
1:チャンバ、 2:融液
3:石英ルツボ、 4:ヒータ
5:保温材、 6:ルツボ駆動手段
7:励磁コイル、 8:黒鉛サセプタ
9:支軸、 10:熱遮蔽体
11:シリコン単結晶、 12:種結晶
13:ケーシング、 14:引上げヘッド
15:ワイヤケーブル

Claims (6)

  1. チョクラルスキー法を用いて、結晶原料をヒータにより溶融したのち加熱しつつ、石英ルツボに収容された融液から引上げられる単結晶を熱遮蔽体で囲繞し、前記単結晶を凝固させながらシリコン単結晶を製造する方法であって、
    前記単結晶の直径をD(mm)とし、前記熱遮蔽体の下端開口径をFd(mm)、前記石英ルツボの内径をCd(mm)、および前記ヒータの内径をHd(mm)とした場合に、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
    1.1×D ≦ Fd ≦ 1.9×D ・・・ (1)
    1.9×D ≦ Cd ≦ 3.5×D ・・・ (2)
    2.3×D ≦ Hd ≦ 4.2×D ・・・ (3)
  2. さらに、前記石英ルツボに収容された融液に対して水平方向に磁場を印加する場合に、同軸に配置された励磁コイルのボア径をMdとし、下記(4)式を満足することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
    4.4×D ≦ Md ≦ 7.0×D ・・・ (4)
  3. 引き上げられるシリコン単結晶の直径が300mm以上の大口径であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. チョクラルスキー法に適用され、結晶原料から融液を形成し高温に保持するヒータと、形成された融液を収容する石英ルツボと、石英ルツボに収容された融液から引上げられる単結晶を囲繞する熱遮蔽体とを具備してシリコン単結晶を製造する装置であって、
    引き上げられる単結晶の直径D(mm)に対し、前記熱遮蔽体の下端開口径Fd(mm)、前記石英ルツボの内径Cd(mm)、および前記ヒータの内径Hd(mm)が、それぞれ下記(1)〜(3)式の関係で構成されていることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置。
    1.1×D ≦ Fd ≦ 1.9×D ・・・ (1)
    1.9×D ≦ Cd ≦ 3.5×D ・・・ (2)
    2.3×D ≦ Hd ≦ 4.2×D ・・・ (3)
  5. さらに、前記石英ルツボに収容された融液に対して水平方向に磁場を印加する励磁コイルが同軸に配置され、引き上げられる単結晶の直径D(mm)に対し、励磁コイルのボア径Mdが下記(4)式の関係で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造装置。
    4.4×D ≦ Md ≦ 7.0×D ・・・ (4)
  6. 直径が300mm以上の大口径のシリコン単結晶が引上げ対象であること特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造装置。
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