JP2009274028A - 海水処理装置及びその処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、該塩素処理手段を介在させて前記海水を処理水タンクへ収容する処理水ラインとを備え、海水を清浄な処理水に転換する海水処理装置において、前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなる構成とした。
【選択図】図1
Description
なお、ここでは塩素殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、塩素ガスが用いられ、いずれも海水中で次亜塩素酸または次亜塩素酸イオンの形態で有効塩素として存在する。
04は前記機械的処理装置を経た海水に電解(電気分解)処理を施す海水電解装置で、該海水を電気分解して、該海水中から次亜塩素酸ソーダ(以下次亜塩素酸という)を生成するものである。該海水電解装置04で生成された次亜塩素酸は前記処理ライン06に注入されるようになっている。05はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
また、リアルタイムで塩素を添加する海水処理システムは、電力ピーク時(荷物の積み込み作業のとき)に電解塩素を発生させる電力を必要とするので、発電機容量を大きくする必要が出てくる。
さらに、海水程度の塩素濃度から生成される次亜塩素酸濃度には上限があるため、薬品ほどの高濃度の次亜塩素酸溶液を得ることが難しく、海水即ちバラスト水への必要添加量を確保するため、大きな容量の貯留槽が必要である。
前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなることを特徴とする。
これにより、処理水タンクへ収容された海水中に微生物が残存した場合でも無害化処理を行なうことができる。
これにより、未処理海水からより塩化物イオン濃度が高い海水を得ることができる。例えば、逆浸透(RO:Revers Osmosis)装置は逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させるものである。なお、上述した濃縮手段は、未処理海水中の塩化物イオン濃度を高めるために設けているので、逆浸透装置、電気透析装置、多段蒸発装置の何れかを単独若しくは複数組み合わせて使用してもよい。
さらに、濃縮手段として前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加手段を組合せて用いてもよい。
なお、物理的処理手段は、海水中の微生物を除去又は損傷を与える機能を有するものであればよく、海水をフィルターに通して微生物を除去するフィルターろ過装置等の機械的処理装置や遠心分離機が好適である。
また、前記した海水処理方法において、前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入することを特徴とする。
さらに、前記塩素処理の前工程若しくは後工程の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理工程を設けたことを特徴とする。
これにより、前記した装置発明と同様の効果を得ることができる。
さらに、電力使用のタイミングをフレキシブルに対応することが可能であり、また海水即ちバラスト水の排水時に用いる中和剤の量を低減することができる。
なお、かかる実施例において、微生物とは、主に動物プランクトン及びそのシスト、植物プランクトン及びそのシスト、細菌類、菌類、ウィルスなど、毒を発生するものや病原性のあるもの又は生態系を乱すものである。
また前記海水処理とは、主に海洋汚染を起こしたり人間及び魚介類に被害をもたらしたり生態系を破壊するこれら微生物を除去又は殺滅又は殺菌することである。
図1に示す第1実施形態において、1は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、2は海水をバラスト水注入ライン6に搬送するポンプ、5はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
かかる第1実施形態において、未処理海水は前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ2によりバラスト水注入ライン6を搬送される。
13は前記濃縮液貯留槽12を経た海水(濃縮液)に電気分解処理を施す電解装置で、該海水を電気分解して、該海水中から次亜塩素酸を生成するものである。
図5における試験では、対象液として蒸留水1LにNaCl200g(塩化物イオン濃度121000mg/L)を溶解させた食塩水を用いた。電解処理槽内に対象液を注入した後、陽極Pt、陰極Tiを設置し、電極間に電流12Aを印加して試験を開始し、電気分解によって発生する塩素濃度の経時変化と電流効率の関係について調べた。供給された電子が全て塩素生成に使用されたとした場合の塩素濃度を理論値とし、実際に発生した塩素濃度を実測値とした。また発生した塩素濃度の実測値[mg/L]と前記理論値より、電流効率[%]を求めた。
このように、電流効率を考慮すると塩化物イオン濃度に対して発生可能な塩素濃度があり、塩化物イオン濃度を200000mg/Lまで濃縮できれば、塩素濃度は65000ppmまで濃縮できることがわかる。
次に、図2に示す第2実施形態について説明する。なお、図1と同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
図2において、1は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、2はバラスト水注入ライン6に搬送するポンプ、5はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
かかる第2実施例において、未処理海水は前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ2によりバラスト水注入ライン6を搬送される。
このようにして得られた塩化物イオン濃度が高められた海水は、濃縮液貯留槽12で一時貯留された後、電解装置13で電解処理される。これにより、効率良く高濃度の次亜塩素酸を含む溶液を得ることができる。
なお、前記塩化物イオン添加手段17では、塩化物イオンを遊離する塩化物が用いられており、特にNaClが好適に用いられる。
以上のことから、実施例2でも実施例1と同様に、高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させ、それを用いて未処理海水中の微生物を除去、殺滅又は殺菌し、清浄な海水即ちバラスト水を得る。
次に、図3に示す第3実施形態について説明する。第3実施形態において、未処理海水中に含まれる塩化物イオン濃度を高めて濃縮する濃縮手段として、第1実施形態における濃縮装置11と、前記第2実施形態で用いた塩化物イオン添加手段17との組合せを用いている。
未処理海水は、濃縮装置11で塩化物イオン濃度が予め高められ濃縮される。図3では、この濃縮装置11の前段あるいは後段に塩化物イオン添加手段17を備えた構成を示している。すなわち、塩化物イオンは、図3の実線で示す投入ライン19を介して前記濃縮装置11の下流側に投入するか、あるいは図3の破線で示す投入ライン20を介して前記濃縮装置11の上流側に投入する。
なお、濃縮される塩化物イオン濃度は、未処理の海水中にもともと含まれる塩化物イオン濃度よりも高ければ良い。
その他の構成は前記第1実施形態同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
次に、図4に示す第4実施形態について説明する。第4実施形態では、図1で示す前記第1実施形態に加えて、機械的処理装置3を設置している。その他の構成は前記第1実施形態同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
前記機械的処理装置3は、フィルターろ過装置が好適であるが、かかるフィルターろ過装置に限られることなく、海水中の微生物を除去又は損傷を与える機能を有するものであればよい。これは甲殻を有するような比較的大きな微生物を含む広範囲の微生物に有効で、よって海水即ちバラスト水の処理機能が向上する。
なお、前記機械的処理装置3は、濃縮装置11と濃縮液貯留槽12と電解装置13及びタンク14とで構成される塩素処理手段の前段でも後段でも好適に用いられる。すなわち、タンク14に一時貯留されている高濃度の次亜塩素酸を含む溶液は、図4の実線で示す投入ライン15を介して機械的処理装置3の下流側へ投入してもいいし、図4の破線で示す投入ライン21を介して機械的処理装置3の上流側へ投入してもいい。
このようにして、実施例4でも実施例1と同様に、未処理海水中の微生物を除去、殺滅又は殺菌し、清浄な海水即ちバラスト水を得る。
なお、図示しないが、機械的処理装置3は、第2実施形態でも第3実施形態でも設置することが可能である。
2 ポンプ
3 機械的処理装置
5 バラスト水タンク
6 バラスト水注入ライン
11 濃縮装置
12 濃縮液貯留槽
13 電解装置
14 タンク
17 塩化物イオン添加手段
Claims (12)
- 未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、該塩素処理手段を介在させて前記海水を処理水タンクへ収容する処理水ラインとを備え、海水を清浄な処理水に転換する海水処理装置において、
前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなることを特徴とする海水処理装置。 - 請求項1記載の海水処理装置において、
前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入するラインを備えていることを特徴とする海水処理装置。 - 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、逆浸透装置、電気透析装置、多段蒸発装置の少なくとも一つを用いて構成された濃縮装置からなることを特徴とする請求項1若しくは2記載の海水処理装置。
- 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、前記未処理の海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加手段であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の海水処理装置。
- 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加手段の組合せであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の海水処理装置。
- 前記塩素処理手段の前段若しくは後段の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の海水処理装置。
- 未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理を施し、前記海水を処理水タンクへ収容する海水処理方法において、
前記塩素処理は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理を施した海水を電気分解して次亜塩素酸を生成させ、該次亜塩素酸を含む海水を貯留槽で一時貯留した後、該次亜塩素酸を含む海水を前記処理水タンク上流の処理水ラインに添加することにより行われることを特徴とする海水処理方法。 - 請求項7記載の海水処理方法において、
前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入することを特徴とする海水処理方法。 - 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、逆浸透法、電気透析法、多段蒸発法の少なくとも一つを用いて処理される濃縮装置からなることを特徴とする請求項7若しくは8記載の海水処理方法。
- 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、前記海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加処理であることを特徴とする請求項7若しくは8記載の海水処理方法。
- 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加処理の組合せであることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の海水処理方法。
- 前記塩素処理の前工程若しくは後工程の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理工程を設けたことを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の海水処理方法。
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