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JP2009274028A - 海水処理装置及びその処理方法 - Google Patents

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JP2009274028A JP2008128940A JP2008128940A JP2009274028A JP 2009274028 A JP2009274028 A JP 2009274028A JP 2008128940 A JP2008128940 A JP 2008128940A JP 2008128940 A JP2008128940 A JP 2008128940A JP 2009274028 A JP2009274028 A JP 2009274028A
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Masamichi Asano
昌道 浅野
Taku Ike
卓 池
Koichi Okada
弘一 岡田
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Abstract

【課題】高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させるとともに、その次亜塩素酸を含む海水の貯留槽の小型化を達成させた海水処理装置及びその処理方法を提供する。
【解決手段】未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、該塩素処理手段を介在させて前記海水を処理水タンクへ収容する処理水ラインとを備え、海水を清浄な処理水に転換する海水処理装置において、前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなる構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水処理装置及びその処理方法に係り、好ましくは主として、バラスト水タンクに収容される海水に次亜塩素酸を発生させた海水を添加して清浄なバラスト水を得る海水処理装置の発明に関する。
タンカー等の船舶において、オイルを搭載しない状態での航行時に、バラスト水タンクに収容する海水即ちバラスト水は、海洋汚染や公害の発生を回避するため、未処理の海水中の微生物を除去して清浄な処理海水にするための無害化処理が施こされている。
かかる海水の無害化処理方法として、特許文献1(特開2007−152264号公報)の技術が提供されている。特許文献1は、塩素含有物質を生成し液体中に注入して微生物を殺滅又は殺菌する生存微生物の処理技術であり、詳しくは、船舶のバラストタンクに注水する海水またはバラストタンクから排出する海水に塩素殺菌剤を供給する塩素殺菌剤供給工程と、塩素殺菌剤が供給された海水を所定時間滞留させる滞留工程と、所定時間滞留された海水に塩素還元剤を供給する塩素還元剤供給工程と、を備えている。
なお、ここでは塩素殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、塩素ガスが用いられ、いずれも海水中で次亜塩素酸または次亜塩素酸イオンの形態で有効塩素として存在する。
しかし、特許文献1に開示された技術は、次亜塩素酸ナトリウム等の薬品を毎回補充する必要性や薬品そのものの取扱いが発生するという作業上の危険性がある。さらに、貯留された次亜塩素酸ナトリウム溶液は、時間の経過とともに自己分解が進行し、有効塩素濃度の低下を招くとともに、溶液性状がアルカリ性のため同等濃度の溶液であっても中性領域と比較し酸化力が低下する。
このようなことから、図6に示すような塩素含有物質を生成して液体を無害化処理する技術が従来より知られている。図6において、01は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、02は海水を処理ライン06に搬送するポンプである。
04は前記機械的処理装置を経た海水に電解(電気分解)処理を施す海水電解装置で、該海水を電気分解して、該海水中から次亜塩素酸ソーダ(以下次亜塩素酸という)を生成するものである。該海水電解装置04で生成された次亜塩素酸は前記処理ライン06に注入されるようになっている。05はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
図6において、未処理海水は前記スクリーン01でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ02により処理ライン06を搬送される。その後海水は、その全部または一部が抽出ライン08を介して前記海水電解装置04に送り込まれる。該海水電解装置04では、該海水を電解処理して、次亜塩素酸を生成する。この次亜塩素酸は、注入ライン010を介して、前記処理ライン06に注入する。該次亜塩素酸の注入により、海水中の残存微生物が殺滅又は殺菌される。
また、塩素含有物質を供給する技術として、特許文献2(特表2007−515289号公報)が提案されている。かかる特許文献2は、電気分解を利用して船舶内のバラスト水を処理する発明であり、バラストタンクに海水を取水する段階と、前記バラストタンクの海水を電気分解用の電極が設けられた電解槽に循環ポンプを稼動して流入させる段階と、前記電解槽において電気分解によって海水中に含まれた塩化ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムに変換させる段階と、前記次亜塩素酸ナトリウムが含まれた海水をバラストタンクに循環ポンプを通して排出する段階とを含み、塩素を含む海水等を用いた電気分解によって塩素含有物質の供給を可能にしている。
特開2007−152264号公報 特表2007−515289号公報
しかし、特許文献2の技術にあっては、次亜塩素酸が中性領域で生成されるため、高効率での殺滅又は殺菌が期待されるが、塩素濃度が低い場合には次亜塩素酸の生成効率が低くなり過剰な電力が必要となり、電極消耗を加速するという問題点を有している。
また、リアルタイムで塩素を添加する海水処理システムは、電力ピーク時(荷物の積み込み作業のとき)に電解塩素を発生させる電力を必要とするので、発電機容量を大きくする必要が出てくる。
さらに、海水程度の塩素濃度から生成される次亜塩素酸濃度には上限があるため、薬品ほどの高濃度の次亜塩素酸溶液を得ることが難しく、海水即ちバラスト水への必要添加量を確保するため、大きな容量の貯留槽が必要である。
従って、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させるとともに、その次亜塩素酸を含む海水の貯留槽の小型化を達成させた海水処理装置及びその処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、かかる目的を達成するため、未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、該塩素処理手段を介在させて前記海水を処理水タンクへ収容する処理水ラインとを備え、海水を清浄な処理水に転換する海水処理装置において、
前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなることを特徴とする。
かかる発明によれば、海水中の塩化物イオン濃度を予め濃縮した後に電気分解しているので、高効率でかつ高濃度の次亜塩素酸を含む海水を得ることができ、電解電流効率が向上する。また、高濃度の次亜塩素酸が生成されるため、バラスト水への必要添加量をより従来よりも少ない量で確保することができ、次亜塩素酸を含む海水の貯留槽の小型化を達成する。
また、上記した海水処理装置において、前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入するラインを備えていることを特徴とする。
これにより、処理水タンクへ収容された海水中に微生物が残存した場合でも無害化処理を行なうことができる。
また、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、逆浸透装置、電気透析装置、多段蒸発装置の少なくとも一つを用いて構成された濃縮装置からなることを特徴とする。
これにより、未処理海水からより塩化物イオン濃度が高い海水を得ることができる。例えば、逆浸透(RO:Revers Osmosis)装置は逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させるものである。なお、上述した濃縮手段は、未処理海水中の塩化物イオン濃度を高めるために設けているので、逆浸透装置、電気透析装置、多段蒸発装置の何れかを単独若しくは複数組み合わせて使用してもよい。
また、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、前記未処理の海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加手段であることを特徴とする。これにより、上述した濃縮手段で用いる濃縮装置と同様に、塩化物イオン濃度が高い海水を得ることができる。
さらに、濃縮手段として前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加手段を組合せて用いてもよい。
さらに、好ましくは、前記塩素処理手段の前段若しくは後段の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理手段を設ける。このように、海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、甲殻を有するような比較的大きな微生物を含む広範囲の微生物を除去する物理的処理手段とを組合せることにより、海水中の微生物をより確実に除去することができる。また、塩素処理手段における次亜塩素酸の注入量は、微生物を殺滅又は殺菌するのに必要な量だけで済むので次亜塩素酸の注入量を低減することでき、装置を小型化できる。
なお、物理的処理手段は、海水中の微生物を除去又は損傷を与える機能を有するものであればよく、海水をフィルターに通して微生物を除去するフィルターろ過装置等の機械的処理装置や遠心分離機が好適である。
また、かかる処理方法の発明として、未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理を施し、前記海水を処理水タンクへ収容する海水処理方法において、前記塩素処理は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理を施した海水を電気分解して次亜塩素酸を生成させ、該次亜塩素酸を含む海水を貯留槽で一時貯留した後、該次亜塩素酸を含む海水を前記処理水タンク上流の処理水ラインに添加することにより行われることを特徴とする。
また、前記した海水処理方法において、前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入することを特徴とする。
かかる方法発明によれば、装置発明と同様に、高効率でかつ高濃度の次亜塩素酸を含む溶液を得ることができ、エネルギー効率の向上を達成する。また、取水時・排水時以外の航海中などに次亜塩素酸を生成し、有効塩素濃度を維持することが可能となるため、電力使用のタイミングをフレキシブルに対応可能となる。また、前記電解処理にて生成した次亜塩素酸は中性領域の溶液となるため、アルカリ性となる薬品添加と比較し酸化力が強く、少ない添加量で同等の効果が得られるため、排水時の中和剤(還元剤)の使用量の低減も図れる。
また、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、逆浸透法、電気透析法、多段蒸発法の少なくとも一つを用いて処理される濃縮装置からなることを特徴とする。さらに、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、前記海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加処理であることを特徴とする。さらにまた、濃縮処理として、前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加処理の組合せによる処理を施す。
さらに、前記塩素処理の前工程若しくは後工程の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理工程を設けたことを特徴とする。
これにより、前記した装置発明と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、海水中の塩素イオン濃度を予め濃縮した後に電解処理をしているので、高効率でかつ高濃度の次亜塩素酸を含む溶液を得ることができ、エネルギー効率の向上を達成する。また、前記したように生成した次亜塩素酸を含む海水の貯留槽の小型化を達成することができる。
さらに、電力使用のタイミングをフレキシブルに対応することが可能であり、また海水即ちバラスト水の排水時に用いる中和剤の量を低減することができる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の第1実施形態に係る海水処理方法を示すブロック図、図2は本発明の第2実施形態に係る海水処理方法を示すブロック図、図3は本発明の第3実施形態に係る海水処理方法を示すブロック図、図4は本発明の第4実施形態に係る海水処理方法を示すブロック図、図5は電気分解試験による塩素濃度の経時変化と電流効率の関係を示す図、図6は従来のバラスト水処理方法を示すブロック図である。
なお、かかる実施例において、微生物とは、主に動物プランクトン及びそのシスト、植物プランクトン及びそのシスト、細菌類、菌類、ウィルスなど、毒を発生するものや病原性のあるもの又は生態系を乱すものである。
また前記海水処理とは、主に海洋汚染を起こしたり人間及び魚介類に被害をもたらしたり生態系を破壊するこれら微生物を除去又は殺滅又は殺菌することである。
(第1実施形態)
図1に示す第1実施形態において、1は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、2は海水をバラスト水注入ライン6に搬送するポンプ、5はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
かかる第1実施形態において、未処理海水は前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ2によりバラスト水注入ライン6を搬送される。
また、図1は上記した構成のほかに、未処理海水を濃縮する濃縮装置11と、濃縮装置11で濃縮された濃縮液を一時貯留する濃縮液貯留槽12と、濃縮液を電解装置13へ供給し電解装置13からの処理液を循環させながら液体を貯留するタンク14とで構成されている。
13は前記濃縮液貯留槽12を経た海水(濃縮液)に電気分解処理を施す電解装置で、該海水を電気分解して、該海水中から次亜塩素酸を生成するものである。
濃縮装置11では、未処理海水中に含まれる塩化物イオン濃度が予め高められ濃縮される。濃縮される塩化物イオン濃度は、未処理の海水中にもともと含まれる塩化物イオン濃度よりも高ければ良い。
ここで、塩素濃度と電流効率の関係について、図5を用いて説明する。
図5における試験では、対象液として蒸留水1LにNaCl200g(塩化物イオン濃度121000mg/L)を溶解させた食塩水を用いた。電解処理槽内に対象液を注入した後、陽極Pt、陰極Tiを設置し、電極間に電流12Aを印加して試験を開始し、電気分解によって発生する塩素濃度の経時変化と電流効率の関係について調べた。供給された電子が全て塩素生成に使用されたとした場合の塩素濃度を理論値とし、実際に発生した塩素濃度を実測値とした。また発生した塩素濃度の実測値[mg/L]と前記理論値より、電流効率[%]を求めた。
図5に示すように、塩素濃度は時間が経つとともに上昇するが、一定時間経過するとピークを迎える。すなわち、塩素濃度も次第に理論値と比べて減少し、電流効率が減少する。図5によれば、6.4hまでは塩素濃度が上昇し65000mg/Lとなり電流効率も良いが、7.3hになるとピークを超え電流効率76.5%となり電流効率が悪くなる。
このように、電流効率を考慮すると塩化物イオン濃度に対して発生可能な塩素濃度があり、塩化物イオン濃度を200000mg/Lまで濃縮できれば、塩素濃度は65000ppmまで濃縮できることがわかる。
電解装置13で電解処理して生成された次亜塩素酸は中性領域の溶液となるため、アルカリ性となる薬品添加と比較し酸化力が強く、少ない添加量で同等の効果が得られるため、排水時の中和剤(還元剤)の使用量の低減も図れる。中性領域では次亜塩素酸(HClO)、アルカリ領域では次亜塩素酸イオン(ClO)の形態となる。次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンと比較し、酸化力が強く、より高い殺滅又は殺菌の効果が期待できる。
電解装置13により生成された高濃度の次亜塩素酸を含む海水はタンク14に一時貯留され、図1の実線で示す投入ライン15を介して、前記バラスト水注入ライン6に注入するか、あるいは図1の破線で示す投入ライン16を介して、バラスト水タンク5へ注入する。高濃度の次亜塩素酸の添加により、海水中の残存微生物が殺滅又は殺菌される。
なお、濃縮装置11としては、逆浸透法(RO:Revers Osmosis)、電気透析法(ED:Electrodialyzer)、多段フラッシュ法(MSF:Multi Stage Flash Distillation)等を利用した装置を用いている。濃縮装置11では、塩化物イオンが高濃度の濃縮水を得ることができる同時に淡水を得ることができる。
以上のように、高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させ、それを用いて未処理海水中の微生物を除去、殺滅又は殺菌し、清浄な海水即ちバラスト水を得る。また、電力使用量が大きくなる海水即ちバラスト水の取水時・排水時以外の航海中などに前記高濃度の次亜塩素酸を生成しているので、有効演奏濃度を維持することが可能となる。さらに、海水即ちバラスト水の取水時・排水時のように電力使用量を制限されることなく、電力使用のタイミングをフレキシブルに対応することができる。
(第2実施形態)
次に、図2に示す第2実施形態について説明する。なお、図1と同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
図2において、1は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、2はバラスト水注入ライン6に搬送するポンプ、5はかかる処理が施された処理海水を収容するバラスト水タンクである。
かかる第2実施例において、未処理海水は前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ2によりバラスト水注入ライン6を搬送される。
また、図2は上記した構成のほかに、未処理海水を濃縮液貯留槽12へ供給する処理ライン18と、処理ライン18に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加手段17と、濃縮液を一時貯留する濃縮液貯留槽12と、濃縮液を電気分解して次亜塩素酸を生成する電解装置13と、濃縮液を電解装置13へ供給し電解装置13からの処理液を循環させながら液体を貯留するタンク14とで構成されている。
塩化物イオン添加手段17により、未処理海水に塩化物イオンが添加され、未処理海水中に含まれる塩化物イオン濃度が予め高められる。このときの塩化物イオン濃度は、実施例1と同様に、未処理の海水中にもともと含まれる塩化物イオン濃度よりも高ければ良い。
このようにして得られた塩化物イオン濃度が高められた海水は、濃縮液貯留槽12で一時貯留された後、電解装置13で電解処理される。これにより、効率良く高濃度の次亜塩素酸を含む溶液を得ることができる。
高濃度の次亜塩素酸を含む溶液はタンク14に一時貯留され、図2の実線で示す投入ライン15を介して、前記バラスト水注入ライン6に投入するか、あるいは図1の破線で示す投入ライン16を介して、バラスト水タンク5へ投入する。高濃度の次亜塩素酸の投入により、海水中の残存微生物が殺滅又は殺菌される。
なお、前記塩化物イオン添加手段17では、塩化物イオンを遊離する塩化物が用いられており、特にNaClが好適に用いられる。
以上のことから、実施例2でも実施例1と同様に、高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させ、それを用いて未処理海水中の微生物を除去、殺滅又は殺菌し、清浄な海水即ちバラスト水を得る。
(第3実施形態)
次に、図3に示す第3実施形態について説明する。第3実施形態において、未処理海水中に含まれる塩化物イオン濃度を高めて濃縮する濃縮手段として、第1実施形態における濃縮装置11と、前記第2実施形態で用いた塩化物イオン添加手段17との組合せを用いている。
未処理海水は、濃縮装置11で塩化物イオン濃度が予め高められ濃縮される。図3では、この濃縮装置11の前段あるいは後段に塩化物イオン添加手段17を備えた構成を示している。すなわち、塩化物イオンは、図3の実線で示す投入ライン19を介して前記濃縮装置11の下流側に投入するか、あるいは図3の破線で示す投入ライン20を介して前記濃縮装置11の上流側に投入する。
これにより、例えば、濃縮装置11において濃縮が不十分であった場合でも、塩化物イオン添加手段17でそれを補うことができる。また、濃縮装置11と塩化物イオン添加手段17を組合せた構成とすることにより、濃縮される塩化物イオン濃度をさらに高めることも期待できる。
なお、濃縮される塩化物イオン濃度は、未処理の海水中にもともと含まれる塩化物イオン濃度よりも高ければ良い。
その他の構成は前記第1実施形態同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
(第4実施形態)
次に、図4に示す第4実施形態について説明する。第4実施形態では、図1で示す前記第1実施形態に加えて、機械的処理装置3を設置している。その他の構成は前記第1実施形態同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示し、詳細な説明については省略する。
前記機械的処理装置3は、フィルターろ過装置が好適であるが、かかるフィルターろ過装置に限られることなく、海水中の微生物を除去又は損傷を与える機能を有するものであればよい。これは甲殻を有するような比較的大きな微生物を含む広範囲の微生物に有効で、よって海水即ちバラスト水の処理機能が向上する。
かかる第4実施例において、未処理海水は前記スクリーン1でごみ等の異物が捕獲され除去された後、前記ポンプ2によりバラスト水注入ライン6を搬送されて機械的処理装置3に導入される。該機械的処理装置3では該海水中の微生物が除去される。
なお、前記機械的処理装置3は、濃縮装置11と濃縮液貯留槽12と電解装置13及びタンク14とで構成される塩素処理手段の前段でも後段でも好適に用いられる。すなわち、タンク14に一時貯留されている高濃度の次亜塩素酸を含む溶液は、図4の実線で示す投入ライン15を介して機械的処理装置3の下流側へ投入してもいいし、図4の破線で示す投入ライン21を介して機械的処理装置3の上流側へ投入してもいい。
このようにして、実施例4でも実施例1と同様に、未処理海水中の微生物を除去、殺滅又は殺菌し、清浄な海水即ちバラスト水を得る。
なお、図示しないが、機械的処理装置3は、第2実施形態でも第3実施形態でも設置することが可能である。
また、図示しないが、上述した各実施形態において、従来より用いられている、活性炭による処理(活性炭によるトリハロメタン処理によって発ガン性物質を除去)や、金属触媒による処理(塩素処理を施した後に残留するHClOを金属触媒で還元して無害化する)も好適に用いられる。
本発明によれば、高効率で且つ高濃度の次亜塩素酸を発生させるとともに、その次亜塩素酸を含む溶液の貯留槽の小型化を達成させた海水処理装置及びその処理方法を提供できる。
第1実施例に係る海水処理方法を示すブロック図である。 第2実施例に係る海水処理方法を示すブロック図である。 第3実施例に係る海水処理方法を示すブロック図である。 第4実施例に係る海水処理方法を示すブロック図である。 電気分解試験による塩素濃度の経時変化と電流効率の関係を示す図である。 従来のバラスト水処理方法を示すブロック図である。
符号の説明
1 スクリーン
2 ポンプ
3 機械的処理装置
5 バラスト水タンク
6 バラスト水注入ライン
11 濃縮装置
12 濃縮液貯留槽
13 電解装置
14 タンク
17 塩化物イオン添加手段

Claims (12)

  1. 未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理手段と、該塩素処理手段を介在させて前記海水を処理水タンクへ収容する処理水ラインとを備え、海水を清浄な処理水に転換する海水処理装置において、
    前記塩素処理手段は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段と、該塩化物イオン濃度を高めた海水を電気分解して次亜塩素酸を発生させる電解装置と、該次亜塩素酸を含む海水を貯留する貯留槽と、該貯留槽より次亜塩素酸を含む海水を前記処理水ラインに注入するラインからなることを特徴とする海水処理装置。
  2. 請求項1記載の海水処理装置において、
    前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入するラインを備えていることを特徴とする海水処理装置。
  3. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、逆浸透装置、電気透析装置、多段蒸発装置の少なくとも一つを用いて構成された濃縮装置からなることを特徴とする請求項1若しくは2記載の海水処理装置。
  4. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、前記未処理の海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加手段であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の海水処理装置。
  5. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高める濃縮手段は、前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加手段の組合せであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の海水処理装置。
  6. 前記塩素処理手段の前段若しくは後段の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の海水処理装置。
  7. 未処理の海水中の微生物を殺滅又は殺菌する塩素処理を施し、前記海水を処理水タンクへ収容する海水処理方法において、
    前記塩素処理は、前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理を施した海水を電気分解して次亜塩素酸を生成させ、該次亜塩素酸を含む海水を貯留槽で一時貯留した後、該次亜塩素酸を含む海水を前記処理水タンク上流の処理水ラインに添加することにより行われることを特徴とする海水処理方法。
  8. 請求項7記載の海水処理方法において、
    前記次亜塩素酸を含む海水を、前記貯留槽から処理水タンクへ直接投入することを特徴とする海水処理方法。
  9. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、逆浸透法、電気透析法、多段蒸発法の少なくとも一つを用いて処理される濃縮装置からなることを特徴とする請求項7若しくは8記載の海水処理方法。
  10. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、前記海水に塩化物イオンを添加する塩化物イオン添加処理であることを特徴とする請求項7若しくは8記載の海水処理方法。
  11. 前記未処理の海水中に含まれる塩化物イオンの濃度を高めて濃縮する濃縮処理は、前記濃縮装置と前記塩化物イオン添加処理の組合せであることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の海水処理方法。
  12. 前記塩素処理の前工程若しくは後工程の何れかに、前記未処理の海水中の微生物を除去する物理的処理工程を設けたことを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の海水処理方法。
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