JP2009270989A - 温度センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感温部103と該感温部から延びる一対の素子電極線104とを有する感温素子102と、素子電極線に接合部110を介して接続されるシース芯線108と該シース芯線を絶縁材の間に内包するシース外管107とを有するシース部材106と、有底筒状をなし、先端となる底部側に少なくとも感温素子及び接合部を収容し、素子電極線及びシース芯線の延びる方向に延びる金属製の内筒112と、ガス導入孔122a〜122cを有する有底筒状をなして該内筒を覆い、内筒の軸方向Lに垂直な方向から見たとき、接合部より先端側で内筒と離間している外筒120とを備えた温度センサ100xである。
【選択図】図2
Description
このような温度センサの一般的な構造を図7に示す。図7(a)に示すように、温度センサ500は、サーミスタ素子502とシース部材506とを溶接して金属チューブ512に収容し、さらに金属チューブ512内の隙間にアルミナ等のセメント514が充填されることにより構成されている。
サーミスタ素子502はサーミスタ焼結体503と素子電極線504とからなるが、素子電極線504が高価なPt−Rh線等であるため、安価なシース部材506と接続することでコストダウンを図っている。ここで、シース部材506はシース管507内にSUS等からなるシース芯線508を絶縁保持してなり、素子電極線504とシース芯線508とをレーザスポット溶接することで、両者が接合部510を介して接合される。
そして、温度センサが高温域から低温域へ急冷された際、外周側の金属チューブ512から冷却が始まるが、ステンレス等の金属チューブ512の方が内部のセメント(アルミナ等)514より熱膨張係数が高い。このため、図7(b)に示すように、金属チューブ512が冷却により収縮し始めると、セメント514の収縮がそれに追随できず、金属チューブ512の先端部(サーミスタ素子502側)が近傍のセメント514とサーミスタ素子502とを後側(矢印A側)に押圧する。このようにしてサーミスタ素子502が後側(シース部材側)へ押されると、素子電極線504とシース芯線508との接合部510に、矢印Bに示す剪断応力が加わる。そして、冷熱サイクルを繰返す度にこの剪断応力が接合部510に負荷されるので、接合部510の強度が低下し、断線するおそれがある。
従って、本発明は、感温素子の素子電極線とシース芯線との接合部にかかる応力を緩和することができる温度センサの提供を目的とする。
このような構成とすると、内筒が外筒で遮蔽されるため、温度センサが高温域から低温域へ急冷された際、外周側の外筒から冷却が始まり外筒は収縮するものの、外筒で遮蔽されている内筒には急激な温度変化が伝わり難く、さらに、外筒が接合部より先端側で内筒と離間しているため、急激な温度変化による外筒の収縮に内筒が追随することがなく、内筒の収縮量が少なくなる。特に、接合部を外筒が遮蔽しているので、温度変化による内筒の収縮に起因して接合部に生ずる剪断応力等の応力を緩和する事ができる。
さらに、外筒には所定位置にガス導入孔が開口しているため内筒が被測定ガスに曝され、先端に内蔵された感温部の応答性を損なわず、被測定ガスの温度を精度よく測定することができる。
さらに、接合部を外筒が遮蔽していることで、接合部近傍にかかる温度変化を緩和させることができるので、接合部に生ずる熱応力をも小さくでき、温度センサの信頼性が一層高まる。
このような構成とすると、接合部より後端側で外筒を固定できるため、急激な温度変化による外筒の収縮に内筒が追随することを有効に防止できる。
このような構成とすると、接合部を完全に外筒が遮蔽するので、接合部の温度変化や応力をさらに緩和することができる。
このような構成とすると、感温部と少なくとも部分的に重なるガス導入孔が存在するため、この部分から被測定ガスが感温部近傍の内筒に直接接触し、感温部の応答性がさらに向上する。
このような構成とすると、内筒からの温度が感温素子に迅速に伝わるので、感温素子の応答性がさらに向上する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る温度センサ100xの一部を破断した断面構造を示す。温度センサ100xは、排気管の側壁200の開口部に挿通して取付けられ、自動車の排気ガスの温度を検出する。そして、排気ガスの温度が0℃前後の低温域から1000℃前後の高温域まで急激に変化するのに伴って、温度センサ100xも上記温度範囲内で上昇−冷却する冷熱サイクルを受ける。
なお、本発明の温度センサ100xにおいて、内筒112の底部側を「先端」とし、内筒112の開放端側を「後端」とする。
サーミスタ焼結体103は六角柱状をなし、柱軸方向を内筒112の軸方向と垂直にして内筒112内に配置される。サーミスタ焼結体103としては、(Sr,Y)(Al,Mn,Fe)O3をベース組成としたペロブスカイト型酸化物を用いることができるが、これに限定されない。又、感温部としては上記サーミスタの他、Pt等の抵抗体を用いることもできる。
シース部材106は、サーミスタ素子102の一対の素子電極線104にそれぞれ接続されるシース芯線108と、シース芯線108を収容するシース外管107とを有し、シース芯線108とシース外管107内面との間にSiO2からなる絶縁材が充填されている。
通常、素子電極線504は高価なPt−Rh線等であるため、SUS等からなる安価なシース芯線508と接続することでコストダウンが図られている。
フランジ部材140は、内筒112の後端部に圧入され、第2段部146と内筒112とを全周レーザ溶接して両者が固定されている。
又、第1段部144の外周に継手160が圧入され、全周レーザ溶接によって両者が固定されている。継手160は、フランジ部材140より後端側で内筒112を覆うとともに、内筒112のシース部材106から引き出されたシース芯線108とリード線173との接続部分を収容して保持する。
そして、ネジ部152が排気管の所定のネジ穴と螺合することにより、温度センサ100xが排気管の側壁200に取付けられる。
又、排気管の側壁200の開口径は外筒120の外径よりわずかに大きく、側壁200の開口内に外筒120を収容できるようになっている。
そして、各リード線173は、継手160の後端内側に嵌合された弾性シール部材174のリード線挿通孔を通って外部に引き出され、図示しないコネクタを介して外部回路と接続されている。
図2において、内筒112の底部(先端側)の内部空間にサーミスタ素子102が配置され、サーミスタ焼結体103の後端103rから内筒112の軸方向Lに沿って素子電極線104が延びている。又、シース部材106のシース外管107は内筒112と同心にして内筒112に収容され、シース部材106のシース外管107の先端から引き出されたシース芯線108と素子電極線104の先端同士が重ね合わされている。
そして、素子電極線104とシース芯線108との重ね合わせ部とをレーザスポット溶接することで接合部110が形成され、両者が接合部110を介して接合される。このようにしてサーミスタ素子102とシース部材106とが接続されて内筒112に収容され、空隙に絶縁材114が充填されることで、サーミスタ素子102とシース部材106とが内筒112に保持されるようになっている。絶縁材114は、例えばアルミナを主体としシリカを骨材とする未固化状態のセメントを上記空隙に充填し固化して形成することができる。
このとき、外筒120は位置Jより先端側で内筒112と離間している。
さらに、外筒120には所定位置にガス導入孔122が開口しているため、内筒112が排気ガスに曝され、内筒112に内蔵されたサーミスタ焼結体(感温部)103の応答性を損なわず、排気ガスの温度を精度よく測定することができる。
さらに、接合部110を外筒120が遮蔽していることで、接合部110近傍にかかる温度変化を緩和させることができるので、接合部110に生ずる熱応力をも小さくでき、温度センサの信頼性が一層高まる。
又、外筒120の後端は、少なくとも接合部110から延びるシース芯線108(シース外管107の先端から剥き出されたシース芯線108)の後端(位置S)まで延びている必要がある。
又、この実施形態では、内筒112の軸方向Lに垂直な方向から見たとき、ガス導入孔122bが位置F〜位置Rの間にある。このような構成とすると、サーミスタ焼結体(感温部)103と少なくとも部分的に重なるガス導入孔が存在するため、この部分から被測定ガス(排気ガス)が感温部103近傍の内筒112に直接接触し、感温部103の応答性がさらに向上する。
内筒112へサーミスタ焼結体103を保持する構造としては、上記した絶縁材の充填の他、サーミスタ焼結体103周りにホルダを配置し、このホルダ内に絶縁材を充填してサーミスタ焼結体103を保持する保持構造、サーミスタ焼結体103を内筒112の先端内壁や側壁へ当接(接着等)させた保持構造等が挙げられ、本発明においてはこれらの保持構造を採用してもよい。
そして、図4に示すように、ガイド部145aに外筒120yを嵌挿して両者を溶接すると、溶接部wで外筒120yがガイド部145aに固定される(図4(a))。このようにした温度センサ100yを(排気管の)側壁200に取付ければよい。
又、溶接を用いずに外筒を固定する方法として、図4(b)に示すように、外筒120yの後端を座面145に沿うように拡径して鍔部120zを設ける方法が挙げられる。この場合、ガイド部145aに外筒120yを嵌挿した後、温度センサ100yを(排気管の)側壁200に挿入すると、鍔部120zが座面145と側壁200に挟まれて保持される。
温度センサ100zにおいては、内筒1120がサーミスタ素子102から位置Sまでの領域を覆った後、位置S近傍でシース外管107の先端に全周レーザ溶接され、この溶接位置より後端側には内筒1120が存在せずにシース外管107が露出している。そして、外筒120は加締られて(加締部120b)、シース外管107に固定されている。なお、シース部材106の後端側は、フランジ部材140の中心孔に挿入されて当該フランジ部材140に保持される。
比較例1として、外筒120を設けずに内筒を露出させたこと以外は実施例とまったく同様にして温度センサを製造した。
比較例2として、外筒120を設けたが、外筒120にガス導入孔を開口しなかったこと以外は実施例とまったく同様にして温度センサを製造した。
得られた結果を図6に示す。図6から明らかなように、外筒にガス導入孔を開口することにより、外筒を設けない場合に近い温度応答性が得られ、ガス導入孔によって内筒が充分に被測定ガスに曝されることが判明した。
102 感温素子
103 感温部
104 素子電極線
106 シース部材
107 シース外管
108 シース芯線
110 接合部
112、1120 内筒
114 絶縁材
120、120y 外筒
120b、145、145a 固定部
122a〜122c ガス導入孔
J 内筒の軸方向に垂直な方向から見たときの接合部の位置
F 内筒の軸方向に垂直な方向から見たときの感温部の先端の位置
R 内筒の軸方向に垂直な方向から見たときの感温部の後端の位置
L 内筒の軸方向
Claims (5)
- 感温部と該感温部から延びる一対の素子電極線とを有する感温素子と、
前記素子電極線に接合部を介して接続されるシース芯線と該シース芯線を絶縁材の間に内包するシース外管とを有するシース部材と、
有底筒状をなし、先端となる底部側に少なくとも前記感温素子及び前記接合部を収容し、前記素子電極線及び前記シース芯線の延びる方向に延びる金属製の内筒と、
ガス導入孔を有する有底筒状をなして該内筒を覆い、前記内筒の軸方向に垂直な方向から見たとき、前記接合部より先端側で前記内筒と離間している外筒と
を備えた温度センサ。 - 前記内筒の軸方向に垂直な方向から見たとき、前記接合部より後端側に、前記内筒又は前記シース外管と前記外筒とを固定する固定部を備えた請求項1に記載の温度センサ。
- 前記内筒の軸方向に垂直な方向から見たとき、前記ガス導入孔の全てが前記接合部より先端側に位置する請求項1又は2に記載の温度センサ。
- 前記内筒の軸方向に垂直な方向から見たとき、前記ガス導入孔の少なくとも一部が前記感温部と重なるように位置する請求項1〜3のいずれかに記載の温度センサ。
- 前記感温素子と前記内筒の内面との間に絶縁材が充填されている請求項1〜4のいずれかに記載の温度センサ。
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