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JP2009269964A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

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JP2009269964A
JP2009269964A JP2008120036A JP2008120036A JP2009269964A JP 2009269964 A JP2009269964 A JP 2009269964A JP 2008120036 A JP2008120036 A JP 2008120036A JP 2008120036 A JP2008120036 A JP 2008120036A JP 2009269964 A JP2009269964 A JP 2009269964A
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ink composition
alkanediol
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soluble
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JP2008120036A
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Shuichi Koganehira
修 一 小金平
Hironori Sato
藤 広 法 佐
Masafumi Kamibayashi
林 将 史 上
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】アート紙等の印刷本紙を用いた場合に、低解像度であっても白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現でき、かつ、目付の小さい薄い印刷本紙でも、カールの発生を抑制できるインク組成物を提供する。
【解決手段】着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなる、インクジェット記録用インク組成物をインクジェット記録方法に用いる。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの吸水性の低い記録媒体においても、印刷斑のない高品質な記録物を得ることができ、かつ、薄手の記録媒体を用いた場合であってもカールが発生しにくいインクジェット記録用インク組成物に関する。
背景技術
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで銀塩写真やオフセット印刷によってのみ実現されてきた高精細印刷の分野にまでインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、銀塩写真やオフセット印刷の分野で用いられてきた印画紙やアート紙等に匹敵する高光沢性の記録媒体、いわゆる専用紙をインクジェット記録に使用して、銀塩写真並の光沢感を有する画像を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。また、普通紙を用いた場合であっても、銀塩写真並の画質を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。
ところで、近年、デジタルデータからの画像形成技術が普及したことに伴い、特に印刷分野では、デスクトップパブリッシング(DTP)が普及しつつある。DTPにより印刷を行う場合であっても、実際の印刷物との光沢感や色感を確認するために、事前に色校正用プルーフを作製することが行われている。このプルーフの出力に、インクジェット記録方式を適用することが行われており、DTPにおいては印刷物の色再現、安定性再現が求められることから、記録媒体として、通常、インクジェット記録用の専用紙が使用されている。
インクジェット記録用の専用紙は、印刷本紙に実際に印刷した出力物と光沢感や色感が同じになるように作製されている。このように、印刷本紙の種類に応じて専用紙の材質が適宜調整されているが、多種多様の印刷本紙に全て対応した専用紙を作製するのは製造コストの上昇を招く。そこで、色校正用途においては、専用紙よりも印刷本紙にインクジェット記録を行いたいとの要望がある。また専用紙を用いずに、直接印刷本紙にインクジェット記録を行ったものを最終校正見本とできれば、校正にかかるコストを大幅に低減できると考えられる。また、印刷分野で広く使用されている、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂に無機フィラー等を混合してフィルム化した合成紙は、リサイクル性に優れ、環境に優しい材料として近年注目されている。
印刷本紙は、その表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙であるが、塗工層のインク吸収能力が乏しいという特徴を有する。そのため、インクジェット記録に一般的に用いられている水性の顔料インクを使用すると、記録媒体(印刷本紙)へのインクの浸透性が低く、画像に滲みや凝集むらが生じる場合がある。
上記の問題に対し、例えば、特開2005−194500号公報(特許文献1)には、界面活性剤としてポリシロキサン化合物を用い、溶解助剤として1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオールを添加することにより、滲みが改善され、かつ専用紙に対する光沢性にも優れる顔料系インクが開示されている。また、特開2003−213179号公報(特許文献2)、特開2003−253167号公報(特許文献3)、特開2006−249429号公報(特許文献4)には、グリセリンや1,3−ブタンジオール等のジオールやペンタントリオール等のトリオールアルコール溶剤をインク中に添加することにより、インクの記録媒体への浸透性を制御し、高品質な画像が得られることが提案されている。
特開2005−194500号公報 特開2003−213179号公報 特開2003−253167号公報 特開2006−249429号公報
発明の概要
本発明者らは、今般、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカンジオールと水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含むアルコール溶剤を用いることにより、印刷本紙のような低吸液性の記録媒体に低解像度で印刷した場合であっても、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、印刷本紙のような低吸液性の記録媒体に低解像度で印刷した場合であっても、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現できるインク組成物を提供することである。
そして、本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、
アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなる、ものである。
本発明によれば、印刷本紙のような低吸液性の記録媒体に低解像度で印刷した場合であっても、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現できるインク組成物を提供することである。
発明の具体的説明
本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなるものである。以下、各成分について説明する。
<定義>
本明細書において、アルカンジオール、ジアルキレングリコール、およびアルカントリオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、水溶性とは、20℃での、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0g以上であることを意味し、難水溶性とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。
<アルコール溶剤>
本発明によるインクジェット記録用インク組成物に用いられるアルコール溶剤は、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの少なくとも四種類の有機溶剤を含む。これら四種類のアルコール溶剤を必須成分として含むことにより、印刷本紙、とりわけインク吸収能力の比較的高い、アート紙、POD用途紙(例えば、リコー株式会社製のリコービジネスコートグロス100等)、レーザープリンタ専用紙(例えば、セイコーエプソン株式会社製、LPCCTA4等)において、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現でき、吐出安定性にも優れたインク組成物を実現できる。なお、本明細書中、凝集とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色(インクの色数のことではない)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、白筋とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色で印刷した際)に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、記録ヘッドの駆動方向に、記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が筋上に残る現象を意味する。また、ザラツキ感または埋まり不良とは、上記と同様に面として印刷した際に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、かつ記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が残存し、記録媒体の表面がざらざらとした粒状感がある現象を意味する。
また、本発明においては、上記のような記録媒体において、目付が73.3〜104.7g/mの薄い印刷本紙等を用いた場合であっても、印字面が内側に反り返る、いわゆるカールの発生を抑制できる。
上記のように、難水溶性のアルカンジオールと水溶性の1,2−アルカンジオールとに加え、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを必須成分として添加することにより、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
印刷本紙に記録する場合に発生するインクの凝集は、インクドットの表面張力が高く、印刷本紙表面とインク滴との接触角が高いために、印刷本紙がインクを弾いてしまうことが原因であると考えられる。低解像度記録した場合に白筋や埋まり不良が発生するような場合であっても、印刷本紙表面に付着したインクの表面張力を低減させると、インクの凝集は抑制される。
また、低解像度記録における白筋や埋まり不良は、印刷本紙表面に付着したインクドットが隣接するインクドットと接触して、互いに濡れ広がり、相互に未乾燥のインクが流動することが原因であると考えられる。この相互のインク流動は、隣接するインクドット同士の付着時間差や付着時の液滴の大きさなどによって、インクドットの乾燥時間が異なることによるものと考えられる。したがって、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現するためには、表面張力が低く、かつ流動性の低いインクを、印刷本紙に付着させることが好ましいと考えられる。
ところが、インクの流動性を低減させるために浸透性湿潤剤を用いないと、印刷本紙表面に付着したインクドットの乾燥が速まり、また、インクの吸収も速まるため、付着したインクドット同士が濡れ広がる時間が失われ、その結果、低解像度記録において白筋や埋まり不良が発生するものと考えられる。
本発明において使用する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールは、グリセリンのような粘調性を示す物質である。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールはグリセリンよりも低い表面張力を示す浸透性湿潤剤である。例えば、10%水溶液とした場合の3−メチル-1,3,5−ペンタントリオールの表面張力は47.5mN/mであり、また、10%水溶液とした場合の3−メチル−1,3−ブタンジオールの表面張力は52.6mN/mである。
このような性質を有する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールを、上記した難水溶性のアルカンジオールおよび水溶性の1,2−アルカンジオールと組み合わせて使用することにより、吐出安定性も改善される。吐出安定性は、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールのアルキル鎖長が短いほど、良好である。
また、難水溶性のアルカンジオールと水溶性の1,2−アルカンジオールとに加え、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよびアルカントリオールおよび水溶性のアルカントリオールを必須成分として添加することにより、薄手の印刷本紙等に印刷した場合のカールの発生が抑制できる理由は、定かではないが以下のように考えられる。
水溶性の1,2−アルカンジオールは、極性溶媒であり、樹脂の成膜助剤である。この効果を阻害することにより、樹脂の成膜収縮を防止していると考えられる。この効果を阻害するには、弱極性溶媒であることが好ましい。無極性溶媒では、樹脂との親和性が弱すぎて、阻害効果が得られないと考えられる。弱極性溶媒としては、同じ炭素に+I効果のアルキル基と−I効果の水酸基を同時に有することが好ましいと考えられる。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールが、水溶性の1,2−アルカンジオールの成膜収縮を阻害し、この条件において、水溶性のアルカントリオールの乾燥遅延効果により、カールの発生が抑制されると考えられる。
本発明においては、難水溶性のアルカンジオールとしては、炭素数7以上のアルカンジオールが好ましく、より好ましくは炭素数7〜10のアルカンジオールであり、例えば、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4,4−ジメチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,2−オクタンジオールはより好ましい。
また、水溶性1,2−アルカンジオールとしては、炭素数6以下のアルカンジオールが好ましく、例えば、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、15%水溶液とした場合の表面張力が28mN/m以下の水溶性アルカンジオールがより好ましく、1,2−ヘキサンジオール(表面張力:26.7mN/m)、4−メチル1,2−ペンタンジオール(表面張力:25.4mN/m)、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール(表面張力:26.1mN/m)が特に好ましい。印刷中の臭気の観点からは、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。
また、本発明において使用する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールは、3−メチル−1,3−ブタンジオールが挙げられる。
さらに、本発明において、水溶性のアルカントリオールとしては、例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールが挙げられる。
また、難水溶性のアルカンジオールの溶解助剤として、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとを組み合わせて用いることができる。
上記した四種類のアルコール溶剤において、難水溶性のアルカンジオールと水溶性1,2−アルカンジオールとの含有量比は、6:1〜1:3であることが好ましく、より好ましくは6:1〜1:1である。この範囲とすることにより、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させることができ、ひいては吐出安定性が向上する。一方、水溶性1,2−アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度の低減と凝集斑低減の両立が困難になる。また、水溶性1,2−アルカンジオールの割合が上記範囲よりも少なくなると、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させることが困難となり、経過時の粘度変化を抑制したり保存安定性を維持したりすることが困難となる。
また、難水溶性のアルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量との含有量比は、1:1〜1:18であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:6である。この範囲とすることにより、インクの初期粘度を低下させることができ、かつ良好な目詰まり回復性を実現できる。一方、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
また、水溶性1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量との含有量比は、1:1〜1:36であることが好ましく、1:1〜1:18であることがより好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感をより抑制することができる。一方、水溶性1,2−アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
さらに、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの含有量比は、3:1〜1:3であることが好ましく、2:1〜1:2であることがより好ましい。この範囲とすることにより、よりカールの発生を抑制することができる。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、初期粘度が、より低くなるので、インクの飛行速度が速められるため、着滴精度が向上し、より好ましい。また、難水溶性の1.2−アルカンジオールを安定溶解できる観点から、より好ましい。一方、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも少なくなると、水溶性の1,2−アルカンジオールの成膜収縮を阻害する効果が乏しくなるので、カールの発生の抑制効果が得られ難くなる。
また、水溶性1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールとの含有量比は、1:1〜1:12であることが好ましく、1:1〜1:6であることがより好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感をより抑制することができる。一方、水溶性1,2−アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
さらに、本発明において、難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性の1,2−アルカンジオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、6重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において凝集班を生じることなく、また吐出安定性にも優れる。
また、本発明において、難水溶性のアルカンジオールと、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、21重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において凝集班を生じることなく、また吐出安定性やカール抑制が良好となる。
難水溶性のアルカンジオールは、インク組成物全体に対し、1〜3重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5重量%である。1重量%よりも少ないと、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において、印刷斑が生じる場合がある。一方、3重量%を超えると、インク中に完全に溶解しない場合がある。
水溶性1,2−アルカンジオールは0.5〜6重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0重量%である。0.5重量%よりも少ないと、難水溶性のアルカンジオールをインク中に溶解させることができない場合がある。一方、6重量%を超えると、インクの初期粘度が高くなる場合があり好ましくない。
水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの含有量の和は、インク組成物全体に対し、3〜18重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは4〜8重量%である。3重量%よりも少ないと、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感を生じる場合がある。一方、18重量%を超えると、印刷直後の印刷物の乾燥性が劣ることがある。
水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールは、インク組成物全体に対し、2〜12重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは3〜6重量%である。
水溶性のアルカントリオールは、インク組成物全体に対し、2〜12重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは3〜6重量%である。
<着色材>
本発明によるインクジェット記録用インク組成物に用いられる着色材としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、耐光性や耐水性の観点から顔料を好適に使用できる。
顔料としては、無機顔料および有機顔料を使用することができ、それぞれ単独または複数種混合して用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄の他に、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。
顔料の具体例は、得ようとするインク組成物の種類(色)に応じて適宜挙げられる。例えば、イエローインク組成物用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110,128、および147からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。また、マゼンタインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122,202,209、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。また、シアンインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3および/または15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが好ましい。
また、ブラックインク組成物用の顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられるが、本発明においては、カーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックとして、具体的には、#2650、#2600、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#966、#960、#950、#900、#850、MCF-88、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#33、#32、#30、(以上、三菱化学(株)製)、SpecialBlaek4A、550、Printex95、90、85、80、75、45、40(以上、デグッサ社製)、Regal660、RmogulL、monarch1400、1300、1100、800、900(以上、キャボット社製)、Raven7000、5750、5250、3500、3500、2500ULTRA、2000、1500、1255、1200、1190ULTRA、1170、1100ULTRA、Raven5000UIII(以上、コロンビアン社製)等が挙げられる。
顔料の濃度は、インク組成物を調製した際に適宜な顔料濃度(含有量)に調整すればよいため特に制限はないが、本発明においては、顔料の固形分濃度を6重量%以上とすることが好ましく、12重量%以上とすることがより好ましい。記録媒体上にインク液滴が付着すると、記録媒体の表面でインクが濡れ広がるが、顔料固形濃度を6重量%以上と高くすることにより、濡れ広がりが留まった後のインクの流動性が早期に失われるため、印刷本紙等の記録媒体に低解像度で印刷した場合に、より滲みを抑制することができる。すなわち、上記した特定の四種のアルコール溶剤を組み合わせて使用することにより、インク吸収性の低い記録媒体上でもインクが濡れ広がり、併せて、インクの固形分濃度を高くすることにより、記録媒体上でのインクの流動性を下げて、滲みを抑制することができると考えられる。特に、記録媒体中のインク付着量が少ない部分と多い部分との境界において、滲み抑制効果が顕著である。
前記顔料は、後記する分散剤との混練処理がされた顔料であることが画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から好ましい。
<分散剤>
本発明によるインク組成物は、着色材を分散させるための分散剤として、スチレン−アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなることが好ましい。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。
前記疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸またはアクリル酸のエステルと、を反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン−アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩であってもよい。
これら共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜50重量部であり、一層好ましくは20〜40重量部である。
また、本発明においては、顔料分散剤として、ウレタン樹脂を用いることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる。ウレタン樹脂とは、ジイソシアネート化合物と、ジオール化合物とを反応して得られる重合体を含む樹脂であるが、本発明においては、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基とを有する樹脂であることが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらの変性物が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエステル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
前記ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましい。
また、本発明においては、顔料分散剤として、フルオレン系樹脂を使用することもできる。
前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の重量比(前者/後者)は、1/2〜2/1が好ましいが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、1/1.5〜1.5/1であることが一層好ましい。
前記顔料の固形分と、顔料以外の固形分との重量比(前者/後者)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、100/20〜100/80であることが好ましい。
前記共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜50重量部であり、一層好ましくは20〜40重量部である。
前記ウレタン樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは10〜40重量部であり、一層好ましくは10〜35重量部である。
前記フルオレン系樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜100重量部であり、一層好ましくは20〜80重量部である。
前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の合計量は、前記顔料100重量部に対して、90重量部以下(さらに好ましくは70重量部以下)となるように用いられることが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに光沢性に一層優れたカラー画像を形成できる点で好ましい。
前記共重合樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは50〜320であり、一層好ましくは100〜250である。
前記ウレタン樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは10〜300であり、一層好ましくは20〜100である。なお、酸価は、樹脂1gを中和させるのに必要なKOHのmg量である。
前記共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは2,000〜3万であり、より好ましくは2,000〜2万である。
前記ウレタン樹脂の架橋前の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは100〜20万であり、より好ましくは1000〜5万である。Mwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記共重合樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは30℃以上であり、一層好ましくは50〜130℃である。
前記ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは−50〜200℃であり、一層好ましくは−50〜100℃である。
前記共重合樹脂は、顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合と、があり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下(さらに好ましくは0.1μm以下)であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(MicrotracInc.社)を使用して測定することができる。
また、前記フルオレン樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば何ら制限されるものではなく、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
シクロヘキサン、5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチル(CAS No.4098−71−9)
エタノール、2,2‘−[9H−フルオレン−9−イリデンビス(4,1−フェニレンオキシ)]ビス(CAS No.117344−32−8)
プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチル(CAS No.4767−03−7)
エタンアミン、N,N−ジエチル−(CAS No.121−44−8)
また、分散剤として、界面活性剤を用いてもよい。このような界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記界面活性剤はインク組成物に添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは言うまでもない。
<界面活性剤>
本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、必須成分として界面活性剤を含む。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリード)を防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。
本発明において用いられる界面活性剤としては、オルガノポリシロキサン系界面活性剤を好適に使用でき、記録画像を形成する際に、記録媒体表面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。オルガノポリシロキサン系界面活性剤を用いた場合、上記したような三種類のアルコール溶剤を含有するため、界面活性剤のインク中への溶解性が向上し、不溶物等の発生を抑制できるため、吐出安定性がより優れるインク組成物を実現できる。
上記のような界面活性剤は市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501、オルフィンPD−502、オルフィンPD−570(いずれも、日信化学工業株式会社製)等を用いることができる。
また、オルガノポリシロキサン系界面活性剤として、下記式(I):
Figure 2009269964
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜11の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
上記式(I)の化合物においては、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがより好ましい。このような化合物を使用することによって、より一層インクの凝集むらが改善できる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、または、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが6〜12の整数、であり、mが0であり、nが1である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
上記界面活性剤は、本発明によるインク組成物中に、好ましくは0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.05〜0.50重量%含有される。また、Rがメチル基である上記界面活性剤と、Rが水素原子である上記界面活性剤を併用した方が、小さなフォント文字が潰れないので、より好ましい。特に、Rがメチル基である上記界面活性剤を使用する場合は、RがHである上記界面活性剤を用いた場合よりも、含有量を多くすることが、インクの凝集斑の観点から、好ましい。
さらに、Rがメチル基である上記界面活性剤に対して、RがHである上記界面活性剤の含有量を多くするほど、より好ましい。このようにすることで、キャストコート紙のような、インクを弾き易く、浸透速度が遅い、印刷本紙においても、インクの凝集斑と滲みを改善することができる。
本発明によるインク組成物には、その他の界面活性剤、具体的には、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等をさらに添加しても良い。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、104,82,465,485あるいはTG(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
<水、その他の成分>
本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、上記した特定のアルコール溶剤および界面活性剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本発明によるインク組成物は、上記成分に加えて、浸透剤を含んでなることが好ましい。
浸透剤としては、グリコールエーテル類を好適に使用できる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類のなかでも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。
より好ましくは、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルである。
上記浸透剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20重量%程度である。
また、本発明によるインク組成物は、上記成分に加えて、記録媒体溶解剤を含んでなることが好ましい。
記録媒体溶解剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20重量%程度である。
また、本発明によるインクジェット記録用インク組成物においては、湿潤剤を実質的に含まないことが好ましい。湿潤剤は、インクジェットノズル等において、インクが乾燥して固化するのを防ぐ機能を有するものであるため、インク吸収性能が特に低い合成紙にインクを滴下すると、インクが乾燥せず、高速印刷の際に問題となる場合がある。また、湿潤剤が含まれるインクを用いた場合、吸収されないインクが記録媒体表面に存在している状態で、次のインクが記録媒体上に付着するため、凝集斑が発生する場合がある。
そのため、本発明においては、このようなインク吸収性能が特に低い記録媒体を用いる場合に、湿潤剤を実質的に含まない方が好ましい。なお、インクジェットノズルにおいてインクが乾燥固化してしまった場合であっても、湿潤剤を含む溶液を適用することにより、固化したインクを再溶解させることができる。
特に、本発明においては、25℃における蒸気圧が2mPa以下である湿潤剤を、実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、これら湿潤剤の添加量が、インク組成物に対して1重量%未満であることを意味する。
25℃における蒸気圧が2mPa以下である湿潤剤の含有量が、インクに対して1重量%未満となることにより、印刷本紙等のインク吸収性の低い記録媒体だけでなく、インク吸収能のまったくない金属やプラスチックに対しても、インクジェット記録方式により印刷することが可能となる。なお、上記した浸透溶剤の一部は、湿潤剤としても作用することは、当業者にとって明らかであるが、本明細書においては、上記した浸透溶剤は、湿潤剤には含まれないものとする。また、本明細書においては、上記したアルコール溶剤は、湿潤剤に含まれないものとする。
本明細書において湿潤剤とは、通常のインクジェット記録用インクに用いられている湿潤剤を意味し、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール等の炭素数3〜5の水溶性アルカンジオール類や、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン等である。記録媒体が、インク吸収性の低い印刷本紙等の場合には、適宜、これら湿潤剤を添加できる。
本発明によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等を挙げることができる。
さらに、pH調整剤、他の溶解助剤、または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
また、本発明によるインク組成物は、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含んでいてもよく、その例としては、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のTinuvin 328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor 252 153、Irganox 1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物等を挙げることができる。
本発明によるインク組成物は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。好ましくは、まず顔料と高分子分散剤と水とを適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製し、次いで、別途調製した樹脂(樹脂エマルジョン)、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調製剤、防腐剤、防かび剤等を加えて十分溶解させてインク溶液を調製する。十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒径および異物を除去するためにろ過を行って目的のインク組成物を得ることができる。
インクジェット記録方法
本発明によるインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本発明による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えば、LPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
<インク組成物の調製>
下記表1〜5の組成に従い、各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表中のスチレン−アクリル酸系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。ウレタン系樹脂は、分子量6000、酸価50の共重合体である。また、フルオレン系樹脂は、CAS No.117344−32−8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50重量%含有する、分子量3300の樹脂である。さらに、用いた界面活性剤は、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
Figure 2009269964
Figure 2009269964
Figure 2009269964
Figure 2009269964
Figure 2009269964
実施例17〜32および比較例5〜8
また、上記の実施例1〜16のインクセットおよび比較例1〜4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット17〜32および比較例のインクセット5〜8を調製した。
実施例17〜32および比較例5〜8において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物からなる界面活性剤である。
実施例33〜48および比較例9〜12
また、上記の実施例1〜16のインクセットおよび比較例1〜4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット33〜48および比較例のインクセット9〜12を調製した。
実施例33〜48および比較例9〜12において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
実施例49〜64および比較例13〜16
また、上記の実施例1〜16のインクセットおよび比較例1〜4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット49〜64および比較例のインクセット13〜16を調製した。
実施例49〜64および比較例13〜16において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物からなる界面活性剤である。
<評価>
インクの初期粘度の評価
上記のようにして得られた各インクについて、インク粘度の評価を行った。振動型粘度計(MV100型番、ヤマイチエレクトロニクス社製)を用い、インク調製後1時間経過後のインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。なお、測定温度は20℃とした。
S:粘度が4mPa・s以下である。
AA:粘度が4mPa・sを超え、5mPa・s以下である。
A:粘度が5mPa・sを超え、6mPa・s以下である。
B:粘度が6mPa・sを超え、7mPa・s以下である。
C:粘度が7mPa・sを超え、8mPa・s以下である。
D:粘度が8mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
インクの経過粘度の評価
上記にようにして調製したインクを、70℃の環境下で3日間放置した後、上記と同様にしてインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。
A:初期粘度との差が0.5mPa・s以下である。
B:初期粘度との差が0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下である。
C:初期粘度との差が1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下である。
D:初期粘度との差が2.0mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
インク凝集斑および埋まり性の評価
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PX−G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、約128g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)に、720×720dpiのベタ画像を記録した。記録は、常温、常湿度環境下において実施した。インク付着量は概ね3.6mg/inch平米であった。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:凝集斑および埋まり不良による白筋がない。
B:凝集斑はないが、埋まり不良による白筋がある。
C:凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
D:インクの流動が激しく、判定不能である。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
カールの評価
記録媒体として、104.7g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして印刷を行った。得られた印刷物の印刷面を上にして、平らな机の上に、25℃で40%RHの環境下おいて24時間自然放置乾燥させた。その後、机と、反り上がった印刷物の四隅との距離を測定し、平均化した。
AA:高さが5mm未満
A :高さが5mm以上、10mm未満
B :高さが10mm以上、20mm未満
C :高さが20mm以上
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
初期定着性の評価
上記OKT+の印刷物を、3分後に指で擦った。
A :色材の剥れがない
B :色材の剥れがある
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
難水溶性アルカンジオールの溶解性評価
難水溶性アルカンジオールとして1,2−オクタンジオールを用い、1,2−オクタンジオールの含有量が10重量%の水溶液を作製した。この水溶液は、1,2−オクタンジオールが完全に溶解せず、白濁した状態であった。
調製した上記の水溶液の10gに、1,2−ヘキサンジオール(以下、HEDと略す)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(以下、3MBUDと略す。)、1,3−ブタンジオール(以下、1,3−BUDと略す。)、1,2,6−ヘキサントリオール(以下、HETと略す。)、および3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール(以下、3MPETと略す。)の5種類のアルコール溶剤をそれぞれ添加し、水溶液が透明になるまで添加した。
また、上記の水溶液に代えて、難水溶性アルカンジオールとして1,2−オクタンジオールを10重量%、および水溶性1,2−アルカンジオールとして1,2−ヘキサンジオール10重量%を含む水溶液を調製し、上記と同様にして、水溶液が透明になるまで、各アルコール溶剤を添加した。
水溶液が透明になる、すなわち、難水溶性アルカンジオールが完全に溶解する各アルコール溶剤の添加量(g)は、図1に示される通りであった。
図1からも明らかなように、1,2−オクタンジオールと1,2−ヘキサンジオールとを含む2成分系アルコール水溶液において、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールである3MBUDは、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有さないアルカンジオールである1,3−BUDよりも、1,2−オクタンジオールを溶解させる能力が高いことが分かる。またはHEDのみを添加する場合と比較して、1,2−オクタンジオールを溶解させる能力が高いことが分かる。
一方、図1からも明らかなように、1,2−オクタンジオールを含む水溶液において、水溶性のアルカントリオールである、HETおよび3MPETは、HEDのみを添加する場合と比較して、1,2−オクタンジオールを溶解させる能力が低いことが分かる。よって、1,2−オクタンジオールを含むインク組成物においては、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールである3MBUDや、水溶性1,2−アルカンジオールである1,2−ヘキサンジオールを同時に含むことが好ましいことがわかる。
目詰まり回復性の評価
上記のインクカートリッジおよびインクジェットプリンターを用い、インク交換ボタンを押してからコンセントを抜いた。このように、ヘッドキャップが外れた状態にしてから、プリンタを40℃15%RHの環境に1日間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価した。
A:クリーニング操作を3回繰り返して目詰まりが回復する。
B:クリーニング操作を6回繰り返して目詰まりが回復する。
C:クリーニング操作を12回繰り返して目詰まりが回復する。
D:クリーニング操作を12回繰り返しても目詰まりが回復しない。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
Figure 2009269964
また、実施例17〜32および比較例5〜8についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜16および比較例1〜4と同一の評価結果であった。
さらに、実施例33〜48および比較例9〜12についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜16および比較例1〜4と同一の評価結果であった。
また、実施例49〜64および比較例13〜16についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜16および比較例1〜4と同一の評価結果であった。
また、実施例1〜64および比較例1〜16において、1,2,6−ヘキサントリオールに代えて、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールにした以外は全く同じようにして実施例65〜128を作成した。上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜64および比較例1〜16と、カールの評価結果以外は同一の評価結果であった。カールの評価結果は、一段階向上した。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカントリオールの方が、カールの抑制効果が高いことがわかる。
1,2−オクタンジオール水溶液に各アルコール溶剤を添加した場合の1,2−オクタンジオールの溶解性を示したグラフである。

Claims (30)

  1. 着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、
    アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなる、インクジェット記録用インク組成物。
  2. 前記難水溶性のアルカンジオールが、炭素数7以上のアルカンジオールである、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. 前記水溶性の1,2−アルカンジオールが、炭素数6以下のアルカンジオールである、請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性の1,2−アルカンジオールとの含有量比が、6:1〜1:3である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  5. 前記水溶性のアルカンジオールと、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび前記水溶性のアルカントリオールの合計量との含有量比が、1:1〜1:18である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  6. 前記水溶性のアルカンジオールと、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールとの含有量比が、1:1〜1:12である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  7. 前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとの含有量比が、3:1〜1:3である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  8. 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性の1,2−アルカンジオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、6重量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  9. 前記難水溶性のアルカンジオールと、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、21重量%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  10. 前記難水溶性のアルカンジオールが、インク組成物に対し、1〜3重量%含まれてなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  11. 前記水溶性の1,2−アルカンジオールが、インク組成物に対し、0.5〜3重量%含まれてなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  12. 前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとの合計量が、インク組成物に対し、3〜18重量%含まれてなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  13. 前記難水溶性のアルカンジオールが1,2−オクタンジオールである、請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  14. 前記水溶性の1,2−アルカンジオールが、1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、および3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオールからなる群より選択される一種または二種以上である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  15. 前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールが、3−メチル−1,3−ブタンジオールである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  16. 前記水溶性のアルカントリオールが、1,2,6-ヘキサントリオールまたは3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールである、請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  17. 前記界面活性剤が、インク組成物に対し、0.01〜1.0重量%含まれてなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  18. 前記界面活性剤が、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤である、請求項17に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  19. 前記ポリオルガノシロキサンが、下記式:
    Figure 2009269964
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜11の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
    で表される一種または二種以上の化合物を含んでなる、請求項18に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  20. 前記ポリオルガノシロキサンが、下記式:
    Figure 2009269964
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜13の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
    で表される一種または二種以上の化合物を含んでなる、請求項18に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  21. 前記ポリオルガノシロキサンが、下記式:
    Figure 2009269964
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜13の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜8の整数を表す。)
    で表される一種または二種以上の化合物を含んでなる、請求項18に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  22. 前記ポリオルガノシロキサンが、下記式:
    Figure 2009269964
    (式中、Rはメチル基を表し、aは6〜18の整数を表し、mは0であり、nは1である。)
    で表される一種または二種以上の化合物を含んでなる、請求項18に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  23. 前記着色材が、顔料およびその顔料をインク中に分散させることが可能な分散剤を含んでなる、請求項1〜22のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  24. 前記分散剤が、スチレン−アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなる、請求項23に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  25. 前記分散剤の少なくとも一種が、インク組成物に対し、20〜50重量%含まれてなる、請求項23または24に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  26. 前記着色材が顔料であり、顔料の固形分濃度が、6重量%以上である、請求項1〜25のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  27. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、請求項1〜26のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物を用いる、インクジェット記録方法。
  28. 前記記録媒体が、合成樹脂を主原料とする合成紙または印刷本紙である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記印刷本紙の目付が、73.3〜104.7g/mである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記印刷本紙の目付が、104.7〜209.3g/mである、請求項28に記載の方法。
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