JP2009267029A - 窒化物半導体素子および窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 窒化物半導体素子において、n-型GaNドリフト層6と、p型GaNチャネル層3と、n+型GaNソース層4とを備え、これらの層に跨るトレンチ7を有する窒化物半導体積層構造部1を形成する。トレンチ7に臨む窒化物半導体積層構造部1の内側壁8および内底壁9にゲート絶縁膜11を形成し、ゲート絶縁膜11上には、ゲート絶縁膜11を挟んで少なくともn-型GaNドリフト層6およびp型GaNチャネル層3に対向するゲート電極12を形成する。そして、n-型GaNドリフト層6の内底壁9に、ゲート絶縁膜11を挟んでゲート電極12に対向する、p型GaN層10を形成する。
【選択図】図1
Description
しかし、シリコン半導体の理論限界から、シリコンデバイスの高耐圧化、低抵抗化および高速化は限界に達しつつあり、市場の要求に応えることが困難になりつつある。
そこで、高耐圧、高温動作、大電流密度、高速スイッチングおよび低オン抵抗といった特徴を有する、窒化物半導体素子の開発が検討されている。
しかし、低抵抗化されたドリフト層では、たとえば、トランジスタのオフ時に、ゲート電極とドレイン電極とで挟まれるゲート絶縁膜およびドリフト層に対して印加される高い動作電圧(たとえば、600V程度)を、ドリフト層で十分に降下させることができない。そのため、ゲート絶縁膜に対して絶縁耐力を超える電圧が印加され、ゲート絶縁膜が絶縁破壊するおそれがある。そのため、ドリフト層は、ゲート絶縁膜の特性(絶縁耐力など)に合わせた厚さや不純物濃度で設計されており、III族窒化物半導体の特性を最大限に引き出すように設計されていない。
トランジスタのオン抵抗は、主にドリフト層の抵抗値で決まっている。ドリフト層の抵抗値は、ドリフト層の厚さを抑制するとともにn型不純物濃度を増加させるように設計することで、小さくすることができる。しかし、そうすると、たとえば、トランジスタのオフ時など、ゲート電極とドレイン電極とで挟まれるゲート絶縁膜およびドリフト層に最大電圧が印加される場合に、ドリフト層で十分な電圧降下をさせることができず、ゲート絶縁膜が絶縁破壊してしまう。なお、最大電圧とは、たとえば、素子の動作電圧であり、具体的には、素子の動作時における、ソース電極の電位(基準電位)に対するドレイン電極の電位の大きさのことである。
また、前記第4層に含まれるp型不純物は、請求項3に記載されているように、Mgであることが好ましい。p型不純物がMgであれば、第4層のアクセプタ濃度に関して、高いアクセプタ濃度を実現することができる。
第1層、第2層および第3層からなるnpn構造において、チャネルは、第1層および第2層の積層方向に平行な内側壁に形成される。そのため、たとえば、第4層を形成するためのアクセプタ原子(第4層に含まれるp型不純物のことである。)を、異方性を有する方法でトレンチに導入すれば、チャネルが形成される内側壁とアクセプタ原子との接触を抑制することができる。その結果、トランジスタ特性の劣化(たとえば、高抵抗化など)を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構造を説明するための概略断面図である。
この窒化物半導体素子は、窒化物半導体積層構造部1を備えている。
窒化物半導体積層構造部1は、III族窒化物半導体からなり、n型層2(第1層)と、n型層2に積層されたp型GaNチャネル層3(第2層)と、p型GaNチャネル層3に積層されたn+型GaNソース層4(第3層)とを備えている。
n+型GaNドレイン層5は、n-型GaNドリフト層6よりもn型不純物濃度(ドナー濃度)が高く、そのn型不純物濃度が、たとえば、3×1018cm-3である。一方、n-型GaNドリフト層6のn型不純物濃度は、たとえば、1×1017cm-3である。n+型GaNドレイン層5の厚さは、たとえば、300μmとされ、n-型GaNドリフト層6の厚さは、たとえば、3μmとされる。
n+型GaNソース層4は、そのn型不純物濃度が、たとえば、3×1018cm-3である。n+型GaNソース層4の厚さは、たとえば、0.5μmとされる。
窒化物半導体積層構造部1は、図1の紙面に垂直な方向に延びる長手方向に帯状に形成されている。窒化物半導体積層構造部1は、図1では表わされていないが、幅方向に一定の間隔を空けて複数形成されている。窒化物半導体積層構造部1において、長手方向に直交する積層界面に沿う横方向(以下、この方向を「幅方向」ということがある。)中間付近には、n+型GaNソース層4からp型GaNチャネル層3を貫通して、n-型GaNドリフト層6における窒化物半導体積層構造部1の積層方向(以下、この方向を「積層方向」ということがある。)途中部に至る深さのトレンチ7が形成されている。
p型GaN層10は、その不純物濃度が、たとえば、4×1019cm-3である。ここでは、このp型不純物によるアクセプタ濃度は5×1017cm-3であるとしている。
ゲート絶縁膜11は、たとえば、酸化物もしくは窒化物、またはこれらの組み合わせを用いて構成することができる。より具体的には、酸化シリコン(SiO2)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化シリコン(SiN)もしくは窒化アルミニウム(AlN)、またはこれらの組み合わせを用いて構成することができる。ゲート絶縁膜11を上記した酸化物もしくは窒化物、またはこれらの組み合わせを用いて構成することにより、窒化物半導体素子の耐圧を向上することができるとともに、表面リーク電流を低減することができる。
ゲート電極12は、窒化物半導体積層構造部1の積層界面(以下、「積層界面」ということがある。)に平行な上面13が、n+型GaNソース層4の上面14と面一になるように形成されている。また、ゲート電極12は、たとえば、Niと、このNiに積層されたAuとからなるNi/Au合金、Pd/Au合金、Pd/Ti/Au合金およびPd/Pt/Au合金、Pt、Al、ポリシリコンなどの導電性材料を用いて形成することができる。
絶縁膜17は、ゲート電極12が他の電極にショートしないように、層間絶縁膜として形成されている。また、絶縁膜17は、たとえば、ゲート絶縁膜11と同様の絶縁性材料を用いて形成することができる。
絶縁膜17およびゲート絶縁膜11には、n+型GaNソース層4の上面14に達するコンタクトホール18が形成されている。そして、コンタクトホール18および絶縁膜17上には、ソース電極16が形成されている。
ソース電極16とドレイン電極19との間には、ドレイン電極19側が正となる動作電圧(たとえば、600V)が与えられる。これにより、n-型GaNドリフト層6とp型GaNチャネル層3との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられる。その結果、n+型GaNソース層4とn型層2との間、すなわち、ソース電極16とドレイン電極19との間(ソース−ドレイン間)は、遮断状態(逆バイアス状態)となる。
図1の窒化物半導体素子の製造に際しては、まず、たとえば、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)により、窒化物半導体積層構造部1の各層が結晶成長させられる。
続いて、ドライエッチングに用いたマスク29を残したまま、アクセプタ原子(たとえば、Mg)が、たとえば、蒸着法により、トレンチ7の内底壁9に堆積される。これにより、図2Cに示すように、内底壁9上にアクセプタ原子からなる堆積体30が形成される。なお、必要に応じて、Mgの蒸発を防ぐ別の金属(例えばMoやPt)を堆積体30上に形成してもよいし、内側壁8に形成された不要なMgを除去する目的で、硝酸などによるウェットエッチングを行なってもよい。
絶縁膜17が形成された後には、公知のフォトリソグラフィ技術により、コンタクトホール18を形成すべき部分と対向する開口を有するフォトマスクが施され、ゲート絶縁膜11および絶縁膜17がドライエッチングにされる。これにより、余分なゲート絶縁膜11および絶縁膜17が除去されて、図2Fに示すように、n+型GaNソース層4の上面14を露出させるコンタクトホール18が形成される。
その後は、ソース電極16の場合と同様の方法により、n+型GaNドレイン層5の裏面に、ドレイン電極19が形成される(ドレイン電極形成工程)。
複数の窒化物半導体積層構造部1は、それぞれ単位セルを形成している。ソース電極16およびドレイン電極19は、すべてのセルに対して共通の電極となっている。
以上のように、この実施形態の窒化物半導体素子によれば、トレンチ7の底部において、n-型GaNドリフト層6の内側壁8および内底壁9には、断面略楕円状のp型GaN層10が形成されている。そして、このp型GaN層10の不純物濃度は、たとえば、4×1019cm-3以下であり、アクセプタ濃度が、たとえば、5×1017cm-3である。
また、p型GaN層10は、窒化物半導体素子の製造工程において、窒化物半導体積層構造部1の1対の内側壁8が積層方向に対して平行(つまり、窒化物半導体積層構造部1の積層界面に対して垂直)になるようにトレンチ7が形成され、トレンチ7内に露出する内底壁9に堆積された堆積体30中のアクセプタ原子が熱拡散されることによって形成される。
この窒化物半導体素子のように、トレンチ7に望む1対の内側壁8が積層方向に対して平行であれば、内側壁8とアクセプタ原子との接触を抑制することができる。そのため、チャネルが形成される内側壁8へのアクセプタ原子の拡散を抑制することができる。その結果、トランジスタ特性の劣化(たとえば、高抵抗化など)を抑制することができる。
図3において、窒化物半導体積層構造部1は、n型層2(第1層)と、n型層2上に設けられたp型不純物を含むGaNからなるp型層23(第2層)とを備えている。
p型GaNチャネル領域26における内側壁8のトレンチ7に臨む付近の領域が、ゲート電極12に対向したチャネル領域15である。
すなわち、p型GaNチャネル層3の形成後、公知のフォトリソグラフィ技術により、n+型GaNソース領域25の形成すべき領域に開口を有するマスクを形成し、このマスクから露出するp型GaNチャネル領域26に向けてn型不純物(たとえば、Si)のイオンを注入すればよい。イオンを注入するときの加速エネルギーは、たとえば、60keVであり、この加速エネルギーによって注入されるイオンのドーズ量は、たとえば、1×1020cm-2である。その後、たとえば、アニール温度:1000℃、アニール時間:30分間のアニール条件で焼き鈍し処理を行なうことにより、注入されたn型不純物を、GaN結晶構造の各サイトに配位させてn+型GaNソース領域25を形成することができる。
たとえば、前述の実施形態では、III族窒化物半導体として、GaNを用いた例を示したが、AlGaNなどの他のIII族窒化物半導体を用いて窒化物半導体素子を構成してもよい。この場合に、単一種類のIII族窒化物半導体を用いる必要はなく、たとえば、GaN層とAlGaN層とを組み合わせて窒化物半導体積層構造部1を形成してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2 n型層
3 p型GaNチャネル層
4 n+型GaNソース層
5 n+型GaNドレイン層
6 n-型GaNドリフト層
7 トレンチ
8 内側壁
9 内底壁
10 p型GaN層
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
16 ソース電極
19 ドレイン電極
23 p型層
25 n+型GaNソース領域
26 p型GaNチャネル領域
Claims (6)
- n型のIII族窒化物半導体からなる第1層、この第1層上に設けられ、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層、およびこの第2層上に設けられ、n型のIII族窒化物半導体からなる第3層を備え、前記第1、第2および第3層に跨るトレンチが形成された窒化物半導体構造部と、
前記トレンチに臨む前記窒化物半導体構造部の内壁に、前記第1、第2および第3層に跨るように形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで、少なくとも前記第1および第2層に対向するように形成されたゲート電極と、
前記第3層に電気的に接続されるように形成されたソース電極と、
前記第1層に電気的に接続されるように形成されたドレイン電極とを含み、
前記第1層において前記ゲート絶縁膜を挟んで前記ゲート電極に対向する部分には、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第4層が形成されている、窒化物半導体素子。 - 前記第4層が、p型不純物の熱拡散によって形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第4層に含まれるp型不純物が、Mgである、請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記トレンチは、前記窒化物半導体構造部の内壁における前記第1、第2および第3層に跨る内側壁が、前記第1層および前記第2層の積層方向に対して平行になるように形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
- n型のIII族窒化物半導体からなる第1層を形成する第1層形成工程と、
前記第1層上に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第2層を形成する第2層形成工程と、
前記第2層上に、n型のIII族窒化物半導体からなる第3層を形成する第3層形成工程と、
前記第1、第2および第3層を備える窒化物半導体構造部に、前記第3層から前記第2層を貫通し、前記第1層に達するトレンチを形成するトレンチ形成工程と、
前記トレンチ形成工程により露出する前記第1層に、p型不純物を含むIII族窒化物半導体からなる第4層を形成する第4層形成工程と、
前記トレンチに臨む前記窒化物半導体構造部の内壁に、前記第2、第3および第4層に跨るようにゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで、少なくとも前記第2および第4層に対向するようにゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記第3層に電気的に接続するようにソース電極を形成するソース電極形成工程と、
前記第1層に電気的に接続するようにドレイン電極を形成するドレイン電極形成工程と
を含む、窒化物半導体素子の製造方法。 - 前記第4層形成工程は、前記トレンチ形成工程により露出する前記第1層に、アクセプタ原子を堆積させる堆積工程と、堆積したアクセプタ原子をp型不純物として前記第1層に熱拡散させる熱拡散工程とを含む、請求項5に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
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