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JP2009262513A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び鋳型 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び鋳型 Download PDF

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JP2009262513A
JP2009262513A JP2008118465A JP2008118465A JP2009262513A JP 2009262513 A JP2009262513 A JP 2009262513A JP 2008118465 A JP2008118465 A JP 2008118465A JP 2008118465 A JP2008118465 A JP 2008118465A JP 2009262513 A JP2009262513 A JP 2009262513A
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Takaaki Morita
陽明 森田
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Konica Minolta Opto Inc
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Abstract

【課題】微細な凸部が形成された光学フィルムを容易に形成でき、さらに、形成された凸部に欠陥が発生することを充分に抑制できる光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】フィルム基材の少なくとも一方の表面に液状の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、表面に微細な凹凸パターン形状を有する鋳型を前記樹脂組成物に圧接する圧接工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物に圧接した状態で前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物の硬化物から剥離する剥離工程とを備え、前記鋳型20は、離型剤を吐出するための吐出口23が形成されており、前記硬化工程が、前記吐出口23から吐出された離型剤を前記鋳型20と前記樹脂組成物との間に介在させた状態で前記樹脂組成物を硬化させることを特徴とする光学フィルムの製造方法を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、無反射構造体、回折格子、レンチキュラーシート及びプリズムシート等に利用できる光学フィルムの製造方法、前記製造方法によって得られる光学フィルム、及び前記光学フィルムを製造するための鋳型に関する。
光学フィルムは、種々の機能を発揮させるために、表面に複数の機能層を積層することがある。例えば、光の反射を低減させるために、光の波長に合わせた反射防止層を積層させること等が挙げられる。このような反射防止層は、広い波長範囲の光に対応させるためには、多層にする必要があり、製造に多くの時間を要するとともに、製造コストが増加していた。
そこで、光学フィルムの表面に微細な凸部を形成させることによって、光の反射を低減させる等の種々の機能を発揮させることが検討されている。一般的に、光の反射は、屈折率の急激な変化に起因して発生する。従って、微細な凸部を光学フィルム表面に形成させることにより、巨視的には、光学フィルムの厚み方向に屈折率が徐々に変化することになる。特に、凸部の断面形状が三角形状や円弧状である場合には、光学フィルムの厚み方向に屈折率がより滑らかに変化することになる。このような構造の光学フィルムは、光の反射を大きく低減でき、いわゆる無反射構造体と呼ばれる。また、表面に形成する凸部の形状や大きさ等によっては、例えば、回折格子、レンチキュラーシート及びプリズムシート等としても利用できる。
このような表面に微細な凸部が形成された光学フィルムの製造方法としては、例えば、下記特許文献1に記載されている。下記特許文献1には、ロール凹版(鋳型)の凹部に紫外線硬化樹脂を充填させるとともに前記鋳型にフィルム基材を接触させ、前記フィルム基材が前記鋳型に接触している間に紫外線を照射して前記樹脂を硬化させて前記フィルム基材と密着させた後、前記樹脂の硬化物が密着したフィルム基材を前記鋳型から剥離する方法が記載されている。
特開平5−15836号公報
特許文献1によれば、前記鋳型の凹部に対応する凸部をフィルム基材上に形成できることが開示されている。そして、この方法によれば、エッチング法や盛り上げ印刷法等より忠実で鮮明に凸部を形成できることが開示されている。しかしながら、樹脂の硬化物が密着したフィルム基材を前記鋳型から剥離する際、前記鋳型の凹部に樹脂の硬化物が残存する、いわゆる剥離残りが発生するおそれがあった。このような剥離残りが発生すると、凹部に残存した硬化物が後に形成させる凸部に異物として混入されたり、凸部が所定の形状に形成されない、いわゆる形状崩れが発生することがあった。従って、欠陥の発生の少ない微細な凸部をフィルム基材上に形成させるために、鋳型と樹脂の硬化物との離型性を向上させることが必要であった。そこで、離型性を向上させるために、凸部を形成させるために用いる樹脂や樹脂組成物の組成等を改良することが検討されているが、充分な離型性を発揮させることは困難であった。また、鋳型の表面に離型剤を塗布しても、鋳型に形成されている凹凸が微細である場合、離型剤が凹部の底面まで充分に到達せず、充分な離型性を発揮させることは困難であった。
本発明の目的は、微細な凸部が形成された光学フィルムを容易に形成でき、さらに、形成された凸部に欠陥が発生することを充分に抑制できる光学フィルムの製造方法を提供することである。また、このような光学フィルムの製造方法によって得られた光学フィルム、及び前記製造方法に用いるための鋳型を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光学フィルムの製造方法は、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムの製造方法であって、フィルム基材の少なくとも一方の表面に液状の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、表面に微細な凹凸パターン形状を有する鋳型を前記樹脂組成物に圧接する圧接工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物に圧接した状態で前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物の硬化物から剥離する剥離工程とを備え、前記鋳型は、離型剤を吐出するための吐出口が形成されており、前記硬化工程が、前記吐出口から吐出された離型剤を前記鋳型と前記樹脂組成物との間に介在させた状態で前記樹脂組成物を硬化させることを特徴とするものである。
上記の構成によれば、前記樹脂組成物の硬化時に、前記吐出口から吐出された離型剤が前記鋳型と前記樹脂組成物との間に介在されるので、前記鋳型と前記樹脂組成物の硬化物との離型性が向上する。さらに、前記鋳型と前記樹脂組成物との間に介在される離型剤によって、前記鋳型の有する微細な凹凸パターン形状を前記樹脂組成物に転写しやすく、微細な凹凸パターン形状に対応する凸部を忠実で鮮明に形成できる。すなわち、離型剤によって転写性も向上する。
従って、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを容易に形成でき、さらに、形成された凸部に欠陥が発生することを充分に抑制できる。
また、前記製造方法において、前記吐出口の最小幅が、0.01μm以上であって、前記凹凸パターン形状の高さの1/10以下であることが好ましい。このような構成によれば、離型剤が充分に吐出されるので、離型性が充分に向上される。そして、吐出口の形状が前記樹脂組成物に転写されることによって発生する吐出口に由来する欠陥が凸部に発生することを抑制できる。
また、前記離型剤としては、前記樹脂組成物と実質的に相溶しないことが好ましい。このような離型剤であれば、前記樹脂組成物が硬化する前に、前記樹脂組成物に離型剤が混入することを防止でき、離型剤が樹脂組成物に混入することによる凸部に欠陥が発生することを抑制できる。
また、前記離型剤としては、フッ素系樹脂溶液であることが、離型性の点から好ましい。そして、このような離型剤であれば、前記のように、離型剤が樹脂組成物に混入することによる凸部に欠陥が発生することも抑制できる。
また、前記樹脂組成物としては、活性線硬化性樹脂を含有し、前記硬化工程が、前記フィルム基材の、前記樹脂組成物の塗布されている面の裏面から、前記樹脂組成物に向けて活性線を照射することによって、前記樹脂組成物を硬化させることが好ましい。このような構成によれば、硬化工程を容易に行うことができ、上記のような光学フィルムを容易に製造することができる。また、前記活性線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂であることが作業性の点から好ましい。
また、前記鋳型が、ローラ状であって、前記圧接工程が、前記フィルム基材を前記鋳型に巻き付け、前記フィルム基材の走行に追従して前記鋳型が回転することが好ましい。このような構成によれば、上記のような光学フィルムを連続して製造できる。
また、前記吐出口が、前記凹凸パターン形状の凹部に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、他の場所に吐出口を形成させるより、凸部が発揮する機能を阻害する欠陥の発生を抑制できる。さらに、他の場所に吐出口を形成させるより、吐出口を形成しやすい。
本発明の他の一態様に係る光学フィルムは、前記光学フィルムの製造方法によって得られることを特徴とするものである。このような構成によれば、欠陥の発生が少ない微細な凸部が表面に形成された光学フィルムが得られる。
本発明の他の一態様に係る鋳型は、フィルム基材の少なくとも一表面に塗布した液状の樹脂組成物に圧接したまま、前記樹脂組成物を硬化させ、前記樹脂組成物の硬化物から剥離することによって、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを製造するための鋳型であって、表面に微細な凹凸パターン形状を有し、前記樹脂組成物を硬化させる際に、前記樹脂組成物との間に離型剤を介在するように吐出可能な吐出口が形成されていることを特徴とするものである。このような構成の鋳型を用いれば、欠陥の発生が少ない微細な凸部が表面に形成された光学フィルムを容易に製造することができる。
本発明によれば、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを容易に形成でき、さらに、形成された凸部に欠陥が発生することを充分に抑制できる。
以下、本発明の光学フィルムの製造方法に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、フィルム基材の少なくとも一方の表面に液状の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、表面に微細な凹凸パターン形状を有する鋳型を前記樹脂組成物に圧接する圧接工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物に圧接した状態で前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、前記鋳型を前記樹脂組成物の硬化物から剥離する剥離工程とを備え、例えば、図1に示すような光学フィルムの製造装置によって行われる。なお、光学フィルムの製造装置としては、図1に示すものに限定されず、他の構成のものであってもよい。
図1は、光学フィルムの製造装置10の基本的な構成を示す概略図である。光学フィルムの製造装置10は、巻出装置11と塗布装置12と乾燥装置13と鋳型ローラ20とバックアップローラ17,18と第1硬化装置14と第2硬化装置15と巻取装置16とを備える。
前記巻出装置10は、フィルム基材19を前記塗布装置12等に供給する。前記巻出装置10は、例えば、フィルム基材を繰出可能に巻回された巻出ローラを備え、前記巻出ローラを回転させることによって、フィルム基材19を前記塗布装置12等に供給する装置である。
前記塗布装置12は、前記巻出装置10から供給されたフィルム基材19の表面上に液状の樹脂組成物を塗布する。前記塗布装置12は、一般的な塗布装置を限定なく使用でき、例えば、エクストルージョン法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラコート法、ロッドコート法、グラビアコート法、インクジェット法等を採用した塗布装置が挙げられる。また、フィルム基材19上に複数の層を塗布形成する場合には、マルチマニホールドを有するエクストルージョンダイのように一台の塗布装置で多層同時塗布してもよく、また、1層を塗布する塗布装置を複数並べて逐次塗布するようにしてもよい。なお、本実施形態では、この塗布装置12による液状の樹脂組成物を塗布する工程が、塗布工程に相当する。
前記塗布装置12によって塗布される液状の樹脂組成物の厚みは、フィルム基材19上に形成させる凸部の形状や大きさ等によって異なるが、例えば、凸部の高さに対して、150〜1000%であることが好ましく、200〜800%であることがより好ましい。この厚みが薄すぎると、液状の樹脂組成物不足による凸部の形状欠陥が発生する傾向がある。また、厚すぎると、後述するように、前記鋳型ローラ20を圧接させる際、前記フィルム基材19と前記鋳型ローラ20との間から流出する液状の樹脂組成物の量が多くなり、作業効率が低下する傾向がある。
前記乾燥装置13は、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物を乾燥させる。そうすることによって、前記鋳型ローラ20や第1硬化装置14等によって凸部を形成させる際に、液状の樹脂組成物の流動性を好適なものにすることができる。すなわち、前記塗布装置12で塗布する液状の樹脂組成物は、均一な液層を形成させるために、流動性が高いほうが好ましいが、前記鋳型ローラ20や第1硬化装置14等によって凸部を形成させる際には、ある程度、流動性が低下しているほうが好ましい。
前記乾燥装置13は、例えば、熱風による対流乾燥方式、赤外線等の輻射熱による輻射乾燥方式等を採用した乾燥装置等が挙げられる。前記乾燥装置13による乾燥条件は、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物の組成や厚み等によって異なるが、熱風による対流乾燥方式を採用した場合、液状の樹脂組成物の溶媒の揮発性を高める点から、熱風の温度は、前記溶媒の沸点より、5〜50℃低いことが好ましく、風速は、0.001〜0.5m/秒であることが好ましい。また、前記乾燥装置13内のフィルム基材19の搬送方式としては、ローラ搬送等の接触搬送方式、エア等で浮上させながら搬送する非接触方式のいずれであってもよい。
前記鋳型ローラ20は、液状の樹脂組成物が塗布されたフィルム基材19が巻き付けられ、フィルム基材19の走行に追従して回転するローラである。また、前記鋳型ローラ20の詳細な形状等については、後述するが、前記鋳型ローラ20は、図2〜5に示すような微細な凹凸パターン形状を表面に有するローラであって、前記鋳型ローラ20は、前記液状の樹脂組成物を硬化させる際に、前記樹脂組成物との間に離型剤を介在するように吐出可能な吐出口が形成されている。また、このような鋳型ローラ20にフィルム基材19が巻き付けられることによって、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物に前記鋳型ローラ20が圧接される。そして、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物が前記鋳型ローラ20の微細な凹凸パターン形状に対応する形状に変形する。すなわち、液状の樹脂組成物が前記鋳型ローラ20の微細な凹凸パターン形状の凹部に対応する凸状に変形する。なお、本実施形態では、このような鋳型ローラ20を液状の樹脂組成物に圧接する工程が、圧接工程に相当する。
また、前記鋳型ローラ20のフィルム基材19を介して対向する位置には、バックアップローラ17,18を備えることが好ましい。また、フィルム基材19の巻き付けが開始される位置にバックアップローラ17を配置し、フィルム基材19の巻き付けが終了される位置にバックアップローラ18を配置することが好ましい。そうすることによって、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物に前記鋳型ローラ20が好適に圧接され、液状の樹脂組成物が所望の形状に変形されやすくなる。前記バックアップローラ17,18は、弾性部材で形成されたもの、または弾性部材で表面が被覆されたものであることが好ましい。そして、前記弾性部材は、ヤング率が1〜5000N/mmであることが好ましい。前記バックアップローラ17,18は、前記弾性部材として、例えば、シリコーンゴム等のゴムやプラスチック等が挙げられる。このようなバックアップローラ17,18を備えることによって、フィルム基材19に塗布された液状の樹脂組成物や硬化後の樹脂組成物を押圧する圧力が分散し、上述のように、液状の樹脂組成物が所望の形状に変形されやすくなるだけでなく、硬化後の樹脂組成物の割れ等の発生を抑制できる。また、弾性部材が硬すぎると、前記のような圧力の分散があまりなく、硬化後の樹脂組成物に割れ等の発生しやすい傾向があり、軟らかすぎると、液状の樹脂組成物が前記鋳型ローラ20の微細な凹凸パターン形状に対応する形状に変形せず、所望の形状の凸部が得られにくい傾向がある。
前記第1硬化装置14は、前記鋳型ローラ20を前記フィルム基材19上に塗布された液状の樹脂組成物に圧接した状態で硬化させる。そうすることによって、液状の樹脂組成物が所望の形状に変形されたまま硬化されるので、前記フィルム基材19上に、微細な凸部を形成することができる。なお、ここでは、樹脂組成物の硬化は、完全に進んでいなくてもよく、液状の樹脂組成物が完全に硬化すると鋳型ローラ20から剥離しにくくなる点や割れ等を発生しやすくなる点から、形成された凸部の形状を保持できればよい。
前記第1硬化装置14は、本実施形態で使用する液状の樹脂組成物が、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の活性線硬化性樹脂を含むものであるか、熱硬化性樹脂を含むものであるかによって異なる。例えば、液状の樹脂組成物が活性線硬化性樹脂を含むものである場合、活性線照射装置であり、液状の樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含むものである場合、熱処理装置であるが、取り扱いが簡便であり、処理速度が速い点から、活性線照射装置が好ましい。
前記活性線照射装置は、液状の樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の種類によって、例えば、紫外線照射装置や電子線照射装置等が挙げられる。この場合、図1に示すように、前記フィルム基材19の、液状の樹脂組成物の塗布されている面の裏面から、前記樹脂組成物に向けて活性線を照射するように、前記活性線照射装置を配置することが好ましい。そうすることによって、鋳型ローラ20を樹脂組成物に圧接した状態のままで、活性線はフィルム基材19を透過して、樹脂組成物に照射されて硬化することができるので、好ましい。
また、前記活性線照射装置としては、取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で、樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂を含むものを用い、紫外線照射装置を用いることが好ましい。前記紫外線照射装置の紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば、限定なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。
紫外線の照射条件としては、形成された凸部の形状を保持し、かつ、鋳型ローラ20から剥離性等を確保する点から以下の条件が好ましい。照射時間は、0.5秒間〜5分間が好ましく、3秒間〜2分間がより好ましい。照射光量は、20〜10000mJ/cmであることが好ましく、50〜5000mJ/cmであることがより好ましく、50〜2000mJ/cmであることがさらに好ましい。また、照射量は、0.01〜100J/cmであることが好ましい。
また、前記活性線照射装置として電子線照射装置を用いる場合、その電子線源としては、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用いて、100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものが挙げられる。電子線の照射により、電子線硬化性樹脂は架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する。
そして、光学フィルムの製造装置10は、前記鋳型ローラ20の吐出口から離型剤を吐出させる。この吐出された離型剤が前記鋳型ローラ20と前記樹脂組成物との間に介在された状態で、前記第1硬化装置14によって、前記樹脂組成物を硬化させる。そうすることによって、鋳型ローラ20と樹脂組成物の硬化物との離型性を向上させ、さらに、樹脂組成物の硬化物への鋳型ローラ20の微細な凹凸パターン形状の転写性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、このような第1硬化装置14によって液状の樹脂組成物を硬化させる工程が、硬化工程に相当する。そして、硬化後、樹脂組成物の硬化物が形成されたフィルム基材19がさらに走行することによって、前記樹脂組成物の硬化物が鋳型ローラ20から剥離する。この工程が、本実施形態では、剥離工程に相当する。
また、前記鋳型ローラ20から剥離された樹脂組成物の硬化物をさらに硬化させる第2硬化装置15を備えていることが好ましい。そうすることによって、樹脂組成物の硬化物が完全に硬化されていない場合に、完全に硬化させることができ、凸部の形状欠陥の発生を抑制できる。前記第2硬化装置15としては、前記第1硬化装置14と同様のものを用いることができる。
前記巻取装置16は、上述のようにして得られた表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを巻き取る。前記巻取装置16は、例えば、回転可能な巻取ローラを備え、前記巻取ローラを回転させることによって、光学フィルムを巻き取る装置である。
以上より、光学フィルムの製造装置10は、前記巻出装置11によって供給されたフィルム基材19の表面に、前記塗布装置12で液状の樹脂組成物を塗布する。そして、前記鋳型ローラ20を前記樹脂組成物に圧接したまま、第1硬化装置14によって、前記樹脂組成物を硬化させた後、前記鋳型ローラ20を前記樹脂組成物の硬化物から剥離させ、前記樹脂組成物の硬化物を前記第2硬化装置15によってさらに硬化させる。そうすることによって、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムが得られ、前記巻取装置16で巻き取ることによって、巻回された光学フィルムが得られる。
また、光学フィルムの製造速度は、使用する樹脂組成物の組成、形成させる凸部の形状や大きさ等によって異なるが、生産性の点から、0.3〜50m/分であることが好ましく、0.5〜30m/分であることがより好ましい。
次に、本実施形態で用いられる前記鋳型ローラ20について説明する。
前記鋳型ローラ20は、図2〜5に示す形状のローラである。図2は、鋳型ローラ20の、フィルム基材19が接触する面を示す側面図である。図3は、図2の切断面線III−IIIから見た鋳型ローラ20の断面図である。図4は、図2の切断面線IV−IVから見た鋳型ローラ20の断面図である。図5は、図2の切断面線V−Vから見た鋳型ローラ20の断面図である。なお、フィルム基材19の走行方向は、図3の紙面に対して垂直方向である。
前記鋳型ローラ20は、ローラ本体21と離型剤供給管22とを備える。前記ローラ本体21は、図2〜5に示すような微細な凹凸パターン形状を表面に有し、離型剤を塗布するための吐出口23が形成されている。そして、前記離型剤供給管22は、離型剤を流通させることができ、前記離型剤供給管22に離型剤を流通させることによって、図3及び図4に示すように、離型剤が前記ローラ本体21の吐出口23から吐出されるように構成されている。すなわち、前記離型剤供給管22には、ローラ本体21の吐出口23と連結する穴が形成されている。
また、前記ローラ本体21は、図2〜5に示すような微細な凹凸パターン形状を表面に有している。前記凹凸パターン形状は、製造する光学フィルムによっても異なる。例えば、光学フィルム表面に形成される凸部が、その断面形状が円弧状や三角形状等の形状となるような形状や、レンチキュラーレンズ状、プリズム状等が挙げられる。図2は、凹凸パターン形状の断面形状が三角形状である例を示している。この例では、凸部の稜線25と凹部の谷線24とが直線状であり、前記稜線25と前記谷線24とが略平行になるように、前記凸部と前記凹部とが交互に複数形成されている。なお、前記稜線25と前記谷線24とは、フィルム基材19の走行方向と略平行である。
また、前記吐出口23は、凹部、図2に示すように凹凸パターン形状の断面形状が三角形状である場合には凹部の谷線24上に形成されていることが好ましい。そうすることによって、他の場所に吐出口を形成させるより、凸部が発揮する機能を阻害する欠陥の発生を抑制できる。さらに、他の場所に吐出口を形成させるより、吐出口を形成しやすい。また、前記吐出口23の形状は、特に限定なく、例えば、図2に示すように、長辺が凹部の谷線24に平行に形成される矩形状等が挙げられる。
前記吐出口の最小幅Aの好適範囲としては、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。さらに、前記吐出口の最小幅Aの好適範囲としては、前記凹凸パターン形状の高さBの1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることがさらに好ましい。前記吐出口の幅が狭さすぎると、離型剤が充分に吐出されず、離型剤の効果を充分に発揮できない傾向がある。また、広すぎると、吐出口の形状が凸部に転写されてしまうおそれがある。
また、前記吐出口の最小幅A、前記凹凸パターン形状の高さB及びピッチCは、製造する光学フィルムの目的によって異なる。例えば、無反射構造体の場合、前記高さB及び前記ピッチCがnmオーダーであり、30〜500nmであることが好ましく、また、前記最小幅Aは、10〜20nmであることが好ましい。回折格子の場合、前記高さB及び前記ピッチCが数μmオーダーであり、0.5〜10μmであることが好ましく、また、前記最小幅Aは、10〜200nmであることが好ましい。レンチキュラーシートやプリズムシートの場合、前記高さB及び前記ピッチCが、0.5〜60μmであることが好ましく、また、前記最小幅Aは、10nm〜2μmであることが好ましい。
ここで、ローラ本体21の表面の形状や大きさ等は、原子間力顕微鏡(AFM)、光学干渉式表面粗さ測定機や触針式表面粗さ測定機等によって測定できる。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機を用いる場合には、約4000μmの範囲(55μm×75μm)について凹凸を測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして2次元的に表示することによって測定する。また、触針式表面粗さ測定機を用いる場合には、ダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して微細凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として測定する。
前記鋳型ローラ20の直径は、フィルム基材19との接触面積を充分に確保し、樹脂組成物の硬化性及び離型性を充分に発揮させる点から、5〜200cmであることが好ましく、10〜100cmであることがより好ましく、50〜100cmであることがさらに好ましい。また、フィルム基材19上に塗布された樹脂組成物に加える圧力が一定になるように、前記鋳型ローラ20の偏芯は小さい方が好ましく、例えば、50μm以内であることが好ましい。
前記ローラ本体21や前記離型剤供給管22の材質は、特に限定なく、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム合金、チタン合金等の金属、セラミック、硬質ゴム、強化プラスチック、石英、及びこれらを組み合わせた素材等が挙げられる。この中でも、金属であることが、強度を確保し、かつ加工がしやすい点から好ましい。
前記鋳型ローラは、例えば、以下のように製造することができる。
まず、離型剤供給管と、前記離型剤供給管を被覆するローラ本体とを備えるローラの表面を、フォトリソグラフィー法、機械加工、放電加工、レーザ加工等によって、上述のような微細な凹凸パターン形状を形成させる。そして、前記凹凸パターン形状の凹部の谷線上に、吐出口を機械加工等によって、形成させる。そうすることによって、上記のような鋳型ローラ20が得られる。
上記のような光学フィルムの製造装置10によって、製造された光学フィルムは、例えば、図6に示すような光学フィルム60が得られる。図6は、本実施形態に係る光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルム60の断面構造を示す概略図である。
また、本実施形態で用いる鋳型ローラとしては、例えば、上記鋳型ローラ20の代わりに、図7に示すような鋳型ローラ30を用いてもよい。鋳型ローラ30は、図7に示すように、吐出口33が、円形状であること以外、鋳型ローラ20と同様である。吐出口23が矩形状である鋳型ローラ20の方が、吐出口23の長辺を長くすることによって、離型剤を吐出しやすくなる。吐出口33が円形状である鋳型ローラ30の方が、形成しやすい。また、本実施形態で用いる鋳型ローラとしては、凸部の稜線や凹部の谷線がフィルム基材19の走行方向に略平行である鋳型ローラ20や鋳型ローラ30の代わりに、図8に示すような、凸部の稜線や凹部の谷線がフィルム基材19の走行方向に略垂直である鋳型ローラ40や鋳型ローラ50を用いることもできる。
また、本実施形態では、鋳型として、ローラ状の鋳型である鋳型ローラを用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、板状、フィルム状、ベルト状の鋳型を用いてもよい。なお、ローラ状の鋳型であることが、連続製造が可能な点で好ましい。
また、本実施形態では、連続製造方式であったが、本発明はこれに限定されず、フィルム基材として単葉状のフィルム基材を用いて、一枚ずつ製造するバッチ方式であってもよい。
以下、本実施形態で使用するフィルム基材、樹脂組成物及び離型剤について詳述する。
[フィルム基材]
前記フィルム基材19は、一般的に光学フィルムの基材として用いられるものであれば、特に限定なく使用でき、樹脂フィルムやガラス等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースエステルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等が挙げられる。また、前記樹脂フィルムとしては、可塑剤、及び微粒子等が含有されるものであってもよい。また、樹脂組成物の光硬化を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤が含有されているものであってもよい。
前記フィルム基材19の厚みは、光学フィルムの薄型化を達成するため薄いほうが好ましいが、製造中の破断等を防止するため、20μm以上であることが好ましい。また、前記フィルム基材19の幅、物性、及び形状等は、特に限定なく、製造する光学フィルムの目的に合わせて、適宜選択できる。
[樹脂組成物]
前記樹脂組成物は、製造する光学フィルムの目的や形成させる凸部の大きさや形状等によっても異なるが、活性線硬化性樹脂を含むものと熱硬化性樹脂を含むものが挙げられる。この中でも、上述のように活性線硬化性樹脂を含むものが、作業性の点で好ましい。
(活性線硬化性樹脂)
前記活性線硬化性樹脂は、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。これらの中でも、上述のように紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。
前記紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、及び紫外線硬化型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記電子線硬化性樹脂としては、例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー等が挙げられる。また、ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
また、前記熱硬化性樹脂は、熱処理により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、及び熱硬化性イミド樹脂等が挙げられる。
(光反応開始剤、光増感剤)
前記樹脂組成物は、活性線硬化性樹脂を含む場合、樹脂組成物に光反応開始剤や光増感剤を含有することが好ましい。そうすることによって、重合開始が早まり、作業性の点で好ましい。前記光反応開始剤及び光増感剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン及びこれらの誘導体等が挙げられる。塗布して乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた樹脂組成物に含まれる光反応開始剤及び光増感剤の含有量は、樹脂組成物の1〜10質量%であることが好ましく、2.5〜6質量%であることがより好ましい。
(溶媒)
前記樹脂組成物は、塗布工程で塗布されるときには、溶媒が含まれているほうが、均一に塗布できる点から好ましい。前記溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類等が挙げられる。
また、樹脂組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%〜95質量%であることが好ましく、塗布方法等により適当な濃度が選ばれる。固形分濃度が高すぎると、塗布しにくくなるので、低いほうが塗布しやすいが、乾燥装置等による乾燥時間が長くなってしまうおそれがある。
(樹脂組成物の調製方法)
次に樹脂組成物を調製する方法について説明する。紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を溶媒に溶解させる方法としては、特に限定なく、一般的な方法を用いることができる。そして、硬化性樹脂が溶解された樹脂溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。前記濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度が0.8μm以下の濾過材が好ましく、0.1〜0.8μmの濾過材がより好ましい。濾過材の材質は、特に制限はなく、通常の濾過材を使用することができる。例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾過材や、ステンレススティール等の金属製の濾過材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過は、特に限定なく、通常の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。前記温度としては、45〜120℃であることが好ましい。前記濾圧は、小さい方が好ましく、例えば、1.6MPa以下であることが好ましい。
(離型剤)
前記離型剤は、前記樹脂組成物と実質的に相溶しないものであり、例えば、フッ素系樹脂溶液及びシリコーン系オイル等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂溶液が好ましい。このような離型剤を用いることによって、離型性を向上させ、さらに、樹脂組成物に離型剤が混入することによる凸部の形状欠陥等の発生を抑制できる。
前記フッ素系樹脂溶液のフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。この中でも、離型性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましく用いられる。また、前記フッ素系樹脂溶液の溶媒としては、上記フッ素系樹脂を溶解させる溶媒であればよく、例えば、ペンタフルオロベンゼン、アセトン等のケトン化合物、酢酸エチル等のエステル化合物等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、溶解性の点から、ペンタフルオロベンゼンが好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例]
図1に示すような光学フィルムの製造装置を用いて、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを製造した。
フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる厚み100μmのPETフィルム(PET基材)を用意した。
そして、以下のように樹脂組成物を調製した。まず、下記各成分を攪拌し、全て溶解して溶液が得られた後、その溶液を孔径0.4μmのポリプロピレン製のフィルタ(濾材)で濾過した。そうすることによって、樹脂組成物が得られた。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 60質量部
ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、商品名U−4HA) 50質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 20質量部
イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 12質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学社製 KF−351) 0.8質量部
ポリオキシアルキルエーテル(花王社製 エマルゲン1108) 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
上記樹脂組成物をPETフィルム上にマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で10分間乾燥した。その後、吐出口の幅A100nm、高さB25μm、ピッチC50μm、凸部と凹部とにわたる斜面と斜面とがなす角αが90℃である鋳型ローラにPETフィルムを巻き付け、鋳型ローラの吐出口から離型剤を吐出させながら、樹脂組成物が塗布されていない面側から樹脂組成物に向かって、紫外線ランプを用いて紫外線を照射した。その際、その際の紫外線ランプの照度が200mW/cmで、照射量が0.4J/cmであった。そうすることによって、表面に凸部が形成されたドライ膜厚30μmの層が形成された光学フィルム(プリズムシート)が得られた。なお、離型剤としては、ポリテトラフルオロエチレン10質量部をペンタフルオロベンゼン90質量部に溶解させたフッ素系樹脂溶液を用いた。
[比較例]
鋳型ローラとして、吐出口が形成されていないものを用いたこと以外、実施例と同様にして、光学フィルム(プリズムシート)を得た。
得られたプリズムシートを下記のような評価を行った。その結果を表1に示す。
[形状安定性(転写性)]
得られたプリズムシートの凸部と凹部とにわたる斜面と斜面とがなす角β(頂角)をAFMを用いて測定した。頂角が87〜93°(90°±3°以内)であれば、「○」と評価し、頂角が87°より小さく93°を超える(90°±3°より大きい)場合は、「×」と評価した。
[離型性]
24時間連続して、プリズムシートを製造して、剥離残りが全く発生しなければ、「○」と評価し、剥離残りが1回発生したら、「△」と評価し、剥離残りが2回以上発生したら、「×」と評価した。なお、剥離残りの発生は、鋳型にレーザ光を当てて反射光を観測することによって確認した。
Figure 2009262513
表1からわかるように、フィルム基材塗布した液状の樹脂組成物を鋳型ローラで圧接したまま、硬化させる際に、離型剤を鋳型ローラから吐出する実施例では、形状安定性及び離型性がともに優れ、形状欠陥のほとんど発生していない微細な凸部が形成された。これに対して、離型剤を吐出しない比較例では、形状安定性及び離型性が悪く、表面に形成された凸部に形状欠陥が発生した。
光学フィルムの製造装置10の基本的な構成を示す概略図である。 鋳型ローラ20の、フィルム基材19が接触する面を示す側面図である。 図3は、図2の切断面線III−IIIから見た鋳型ローラ20の断面図である。 図2の切断面線IV−IVから見た鋳型ローラ20の断面図である。 図2の切断面線V−Vから見た鋳型ローラ20の断面図である。 本実施形態に係る光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルム60の断面構造を示す概略図である。 鋳型ローラ30の側面を示す側面図である。 鋳型ローラ40,50の側面を示す側面図である。
符号の説明
10 光学フィルムの製造装置 11 巻出装置
12 塗布装置 13 乾燥装置
14 第1硬化装置 15 第2硬化装置
16 巻取装置 17,18 バックアップローラ
19,61 フィルム基材 20,30,40,50 鋳型ローラ
21 ローラ本体 22 離型剤供給管
23,33 吐出口 24 谷線
25 稜線 60 光学フィルム
62 凸部

Claims (10)

  1. 表面に微細な凸部が形成された光学フィルムの製造方法であって、
    フィルム基材の少なくとも一方の表面に液状の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    表面に微細な凹凸パターン形状を有する鋳型を前記樹脂組成物に圧接する圧接工程と、
    前記鋳型を前記樹脂組成物に圧接した状態で前記樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、
    前記鋳型を前記樹脂組成物の硬化物から剥離する剥離工程とを備え、
    前記鋳型は、離型剤を吐出するための吐出口が形成されており、
    前記硬化工程が、前記吐出口から吐出された離型剤を前記鋳型と前記樹脂組成物との間に介在させた状態で前記樹脂組成物を硬化させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記吐出口の最小幅が、0.01μm以上であって、
    前記凹凸パターン形状の高さの1/10以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記離型剤が、前記樹脂組成物と実質的に相溶しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記離型剤が、フッ素系樹脂溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記樹脂組成物が、活性線硬化性樹脂を含有し、
    前記硬化工程が、前記フィルム基材の、前記樹脂組成物の塗布されている面の裏面から、前記樹脂組成物に向けて活性線を照射することによって、前記樹脂組成物を硬化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記活性線硬化性樹脂が、紫外線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記鋳型が、ローラ状であって、
    前記圧接工程が、前記フィルム基材を前記鋳型に巻き付け、前記フィルム基材の走行に追従して前記鋳型が回転することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記吐出口が、前記凹凸パターン形状の凹部に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法によって得られることを特徴とする光学フィルム。
  10. フィルム基材の少なくとも一表面に塗布した液状の樹脂組成物に圧接したまま、前記樹脂組成物を硬化させ、前記樹脂組成物の硬化物から剥離することによって、表面に微細な凸部が形成された光学フィルムを製造するための鋳型であって、
    表面に微細な凹凸パターン形状を有し、
    前記樹脂組成物を硬化させる際に、前記樹脂組成物との間に離型剤を介在するように吐出可能な吐出口が形成されていることを特徴とする鋳型。
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