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JP2009261244A - 電動パワーステアリング装置用モータ - Google Patents

電動パワーステアリング装置用モータ Download PDF

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JP2009261244A
JP2009261244A JP2009182256A JP2009182256A JP2009261244A JP 2009261244 A JP2009261244 A JP 2009261244A JP 2009182256 A JP2009182256 A JP 2009182256A JP 2009182256 A JP2009182256 A JP 2009182256A JP 2009261244 A JP2009261244 A JP 2009261244A
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Toshinori Tanaka
俊則 田中
Ryuichi Ikeda
竜一 池田
Kyohei Yamamoto
京平 山本
Moichi Sakabe
茂一 阪部
Akihiro Daikoku
晃裕 大穀
Akihiko Imashiro
昭彦 今城
Yoshio Yoshikuwa
義雄 吉桑
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

【課題】作動音を低減することができるとともに、トルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上した電動パワーステアリング装置用モータを得る。
【解決手段】この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータは、ヨークと、ヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、ヨーク内に回転自在に設けられたシャフト4と、シャフト4に固定され、コア9の外周面に軸線方向に延びて形成された22個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュア20と、シャフト4の端部に固定され、フック34を有する複数個のセグメント16から構成された整流子6と、整流子6の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備え、車両の車室内にあるコラムに取付けられる。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータに関するものである。
従来、特許文献1には電動式パワーステアリング装置が記載されており、このものと類似した構成の電動パワーステアリング装置用モータ(以下、電動モータと略称する。)が図15に示されている。図15に示された電動モータ100は、円筒状のヨーク1と、このヨーク1内に対向して固定され周方向に2個配置された永久磁石2と、ヨーク1内に軸受3により回転自在に設けられたシャフト4と、このシャフト4に固定されたアマチュア5と、シャフト4の端部に固定され複数個の銅製のセグメント16から構成された整流子6と、この整流子6の表面にスプリング7の弾性力により当接したブラシ8とを備えている。
アマチュア5は、軸線方向に延びた複数のスロット11を有するコア9と、スロット11に導線が重巻方式で巻回されて構成された巻線10とを備えている。
2極、重巻方式の上記電動モータ100では、セグメント16に当接するブラシ8を介して外部から電流を巻線10に供給することにより、アマチュア5は電磁作用により、シャフト4とともに回転する。
上記電動モータ100は、車の重量の比較的軽い小排気量の車に主に用いられていたため、電動モータ100のアシストトルクは小さく、従って、電動モータ100の作動音は極めて小さく、車室内でも殆ど気にならない程度の大きさであった。
ところで、低燃費、排ガス低減等の社会動向により、車の重量が大きい、中、大排気量車にも、省燃費、軽量化のために、油圧式によるパワーステアリング装置の代わりに、直流モータによるパワーステアリング装置が採用され始めている。この場合、トルクの大きな電動モータが必要となるが、2極、重巻方式のままで設計すると、大きな体格のモータになってしまうので、小型化、高トルクにするためには、4極化等の多極化が必要となる。
図16及び図17は2極、スロット数14の直流モータ(以下、2極モータと略称する。)と、多極機の例として4極、スロット数21の直流モータ(以下、4極モータと略称する。)とを比較した図である。この図は、2極モータ及び4極モータにおいてアマチュアが偏心位置で作動した時にアマチュアに作用する磁気吸引力の差異を本願発明者が磁界解析により求めたものである。図中、・印が固定子中心、即ち本来の回転中心を示しており、×印が偏心時の回転中心を示している。そして、この図から分かるように、4極モータは2極モータと比較して、振動、騒音が発生し易いことが分かる。
つまり、本来のアマチュアの中心位置を起点として偏心方向角度0度から360度までの各方向にそれぞれ同一量偏心(偏心量0.1mm)させたときアマチュアに作用する力を調べたときに、2極モータでは偏心方向へは最大0.45N程度の磁気吸引力が作用するのに対して、4極モータでは偏心方向へは最大2.7N程度(2極モータの6倍)の磁気吸引力が作用する。2極モータでは偏心による磁気吸引力の方向性が顕著に見られ、極間方向(偏心方向角度90度、270度)に偏心した場合には、極中心方向(偏心方向角度0度、180度)に偏心した場合と比較して、偏心方向に対する力を比較したときに約2倍(0.45/0.21)の磁気吸引力が作用する。一方、4極モータでは顕著な方向性が見られない。つまり、偏心方向角度0度から360度までの全角度において偏心方向に対する力は2.7N程度であり、このことは、「2極モータでは偏心に対して安定の方向が存在するが、4極モータでは安定な方向が存在しない。」ということを意味しており、この差異が振動、騒音の差異に関係していると考えられる。
このように、小型化、高トルクにするためには、4極化等の多極化が必要となるが、振動、騒音の問題が残る。
特開平8−258730号公報
ところで、小型化、高トルク化に対処するため多極化した場合の巻線方式として重巻の他、波巻方式のアマチュアが考えられる。重巻では、一般に極数と同数のブラシが設けられるが、波巻では2つのブラシを設けるのが一般的である。
図18および図19は多極化の一例として4極、スロット数21のアマチュアに作用する磁気吸引力を示す図であり、図18は重巻、4ブラシ方式、図19は波巻、2ブラシ方式の場合を示している。
両図を比較したときに、アマチュアがコアの1スロット分回転するときにアマチュアに作用する磁気吸引力は、波巻のアマチュアの場合には矢印イに示すように常に一定の半径外側方向であるのに対して、重巻、スロット数21のアマチュアの場合には矢印ロに示すように周方向に変動しており、重巻、スロット数21のアマチュアでは回転振動が生じ易く、それだけ作動音が生じやすいという問題点があった。
また、多極、奇数スロット、重巻方式の場合、ヨーク磁気回路のアンバランス、アマチュアの偏心、ブラシを流れる電流の不均一、工作誤差等の影響により、アマチュアの巻線の回路間に誘起する起電力に差が生じ、アマチュア内にはブラシを通じて流れる循環電流が生じ、その結果ブラシ整流作用の悪化、ブラシから発生する整流火花の増加に伴う、ブラシ及び整流子の高温化、寿命低下、トルクリップルの増加、並びにこれらの複合作用により、作動音が大きくなるといった問題点もあった。
一方、多極、奇数スロット、波巻方式の場合には、トルクリップルが大きくなるほか、並列回路数が減るため巻線が太くなり、工作性が悪化する等の問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、作動音を低減することができるとともに、トルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上した電動パワーステアリング装置用モータを得ることを目的とするものである。
この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータは、操舵トルク信号を用いて制御され、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、ヨークと、このヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された22個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備え、前記車両の車室内にあるコラムに取付けられるものである。
アマチュアに対する半径方向の磁気吸引力のトータルはゼロであり、作動音の要因となる回転振動は生じず、作動音を低減することができ、またトルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上する。
また、ブラシと極数とを4個の同数としたので、ブラシの電流密度が低くなり、所謂「据切り、端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動パワーステアリング装置用モータの利便性が向上する。
また、フックを有する整流子であるために、導線の機械巻線を容易に行うことができる。
この発明のパワーステアリング装置用モータの内部の断面図である。 図1の要部拡大図である。 図3(a)は図1の均圧本体の展開正面図、図3(b)は図3(a)の側面図である。 図4(a)は図1の均圧本体のベースの正面図、図4(b)は図4(a)の側面図である。 図1の均圧本体のターミナルの正面図である。 図1の均圧本体の絶縁板の正面図である。 この発明の電動パワーステアリング装置用モータであって、4極、重巻、4ブラシ、22スロットの場合のアマチュアに作用する磁気吸引力を説明するための図である。 ターミナルの他の例を示す正面図である。 アマチュアの他の例を示す側断面図である。 図9の要部拡大図である。 ターミナルの個数と聴感評価点との関係を示す図である。 各モータにおけるモータ出力クラスとモータ作動音との関係を示す図である。 電動パワーステアリング装置用モータがピニオンに取付られたときの様子を示す斜視図である。 制御ゲインと、トルク変動及び半径方向の磁気吸引力との関係を示す図である。 従来の電動パワーステアリング装置用モータの断面図である。 2極モータ、及び4極モータの磁気吸引力を説明するための図である。 2極モータ、及び4極モータの磁気吸引力を説明するための図である。 4極、重巻、スロット数21、4ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力、及びトルクリップルを説明するための図である。 4極、波巻、スロット数21,2ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力、及びトルクリップルを説明するための図である。 制御ユニットのブロック図である。 4極、重巻、スロット数24、4ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力、及びトルクリップルを説明するための図である。 4極、重巻、スロット数20、4ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力を説明するための図である。 4極、重巻、スロット数26、4ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力を説明するための図である。 4極、重巻、スロット数28、4ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力を説明するための図である。 4極、重巻、スロット数20,21,22,24,26,28、4ブラシ方式の各電動パワーステアリング装置用モータのトルクリップル、及び電磁吸引力の関係を示す図である。 6極、重巻、スロット数25、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数24、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数22、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数26、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数21、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数27、6ブラシ方式の電動パワーステアリング装置用モータの電磁吸引力及びトルクリップルを説明するための図である。 6極、重巻、スロット数21,22,24,25,26,27、6ブラシ方式の各電動パワーステアリング装置用モータのトルクリップル、及び電磁吸引力の関係を示す図である。
実施の形態1.
以下、この発明の電動パワーステアリング装置用モータ(以下、電動モータと略称する。)の例を説明するが、従来と同一または相当部材、部位は同一符号を付して説明する。
図1はこの発明の電動モータの内部構造の側断面図、図2は図1の要部拡大図である。この電動モータは、円筒状のヨーク1と、このヨーク1内に周方向に間隔をおいて4個固定されたフェライトで構成された永久磁石2と、ヨーク1内に軸受3により回転自在に設けられたシャフト4と、このシャフト4に固定されたアマチュア20と、シャフト4の端部に固定され複数個のセグメント16から構成された整流子6と、この整流子6の表面にスプリング7の弾性力により当接しているとともに等分間隔で4個配設されたブラシ8と、アマチュア20と整流子6との間にシャフト4に固定された均圧本体22とを備えている。なお、図中において、ヨーク1、永久磁石2、軸受3、スプリング7及びブラシ8は示されていない。
アマチュア20は、軸線方向に延びた24個のスロット11を有するコア9と、スロット11に導線19が重巻方式で巻回されて構成された巻線21とを備えている。
図3(a)は均圧本体22の展開正面図、図3(b)は図3(a)の均圧本体22の側面図であり、均圧本体22は、ベース23上に、均圧部材である銅板等で構成されたターミナル24及び絶縁板25が交互に12個積層されて構成されている。
図4(a)、図4(b)はベース23の正面図、及び側面図であり、円環状のベース本体27には、12本のピン26が円周方向に沿って等分間隔で立設されている。
図5は均圧部材であるターミナル24の正面図であり、円環状のターミナル本体28には24箇所に円周方向に沿って等分間隔で孔29が形成されている。また、ターミナル本体28には互いに対向し、かつ外側方向に延びた均圧線部30a、30bが設けられている。
図6は絶縁板25の正面図であり、この絶縁板25では、円環状の絶縁板本体31の24箇所に円周方向に沿って等分間隔で孔32が形成されている。
上記電動モータでは、ベース23上にターミナル24及び絶縁板25を交互に各々12個ずつ積み重ねて均圧本体22を組立てる。このときターミナル24を各々15度毎回転させ、ターミナル24の孔29にベース23のピン26を貫通させて、ベース23にターミナル24を固定する。また、絶縁板25の孔32にベース23のピン26を貫通させて、ベース23に絶縁板25を固定する。その後、ピン26の先端部をかしめることで、一体化された均圧本体22が出来上がる。
その後、均圧本体22、整流子6の順序でシャフト4に嵌着する。シャフト4には回転方向の位置決めのために軸線方向に延びた突起部14が形成されており、この突起部14にフェノール樹脂で構成された、ベース23及び整流子本体15が弾性変形して係止している。
次に、均圧線部30a,30bをフック34に沿うように折り曲げ、コア9に導線19を機械巻線で重巻方式により巻回して巻線21を形成して、アマチュア20を形成した後、均圧線部30a,30bとフック34とを同時にヒュージング等により、電気的に24箇所接合する。
上記構成の電動モータでは、磁極数が4極、スロット11の数が24個、重巻、4ブラシ方式である。図21はこの電動モータにおけるアマチュア20に作用する磁気吸引力、及びトルクリップルを本願発明者が磁界解析で求めた図である。先に図18に示した、4極、重巻、4ブラシで、スロット数21のアマチュアでは、アマチュアに作用する磁気吸引力が、周方向に変動しており、アマチュアに回転振動が生じ易く、それだけ作動音が生じ易かったのに対して、スロット数24の重巻のアマチュアの場合には、アマチュアに作用する磁気吸引力はゼロであり、回転振動によって生じる作動音が生じないことが分かる。
図7は、この発明の電動パワーステアリング装置用モータの一例を示すものであって、4極、重巻で、スロット数が偶数の22個の場合におけるアマチュアに作用する磁気吸引力、及びトルクリップルを本願発明者が磁界解析で求めた図である。
この図から分かるようにスロット数22個の重巻のアマチュアの場合にも、アマチュアに作用する磁気吸引力はゼロであり、回転振動によって生じる作動音が生じないことが分かる。
また、先の図19に示した波巻のアマチュアの場合には、トルク波形の高低差の値のトルク値に占める割合を示すトルクリップル(p−p)が1.37%であるのに対して、スロット数22個で重巻のアマチュアの場合にはトルクリップル(p−p)が0.876%と波巻の場合と比較して小さい。このため、図20に示すように、制御ユニット13からのモータ駆動信号により、PWM(pulse width modulation)駆動される電動モータ18のトルクリップルが低減され、ハンドル12を握るドライバーの操舵感が波巻の電動モータと比較して向上する。
なお、上記構成の均圧本体22では、円環状のターミナル本体28を用いたが、材料である銅の使用量を節減するために、図8に示すように、ターミナル52のターミナル本体50を円弧状にしてもよい。
また、図9及び図10に示すように、均圧本体60のターミナル24及び絶縁板25を各6個ずつベース23に交互に積層し、フック34に一つおきにターミナル24を電気的に接続してもよいし、二つおきにターミナル24を用いて電気的に接続してもよい。
回路間で生じる誘導起電力の差によりブラシに流れる循環電流を防止するには、均圧部材であるターミナルの数量が多いほど効果的であるが、前述したように均圧本体の工作性、コストの点を加味して数量を減らしてもよい。
ターミナルの個数をK、コアのスロット数をNs、ブラシのセグメントの跨ぎ数の最大値をnとしたときに、Ns/(n×2)≦K≦Nsを満たすターミナルの個数であれば、作動音は小さいことが分かった。つまり、図11はNs=22、n=3のときの評価図であり、評価点が10点満点で6点以上が合格であり、上式はこの評価点基準を満たす式である。
また、上記構成の電動モータでは、量産可能にして製造コスト低減のために、巻線21の導線19としてエナメル被覆の丸線を用いて、機械巻線ができるようになっているが、この機械巻線でも完全に整列して巻回することができず、巻線の各回路間の抵抗、インダクタンスのばらつきが大きくなるおそれがある。しかしながら、均圧本体22を備えたことにより、各回路間で生じる誘導起電力の差によりブラシに流れる循環電流は防止されるので、巻線各回路間の抵抗、インダクタンスのばらつきにより生じる不都合は生じない。
また、上記構成の電動モータは、操舵性との相関性が大きいトルクリップルの低減のため、フェライトで構成された永久磁石2を用いている。界磁を巻線方式としたときには、一般的には、磁束密度が永久磁石よりも高くなり、磁極と対向する位置にコアのスロットがある場合と、ティースがある場合とでは、アマチュアの回転方向の位置変化による空隙磁束密度変化が大きく、トルクリップルが大きくなる。通常、フェライトの界磁永久磁石の場合の空隙平均磁束密度は約3〜4000ガウスに対して、巻線方式の場合には約2倍の7〜8000ガウスであり、巻線方式とした場合、トルクリップルが大きくなり、またコアのティース部での磁気吸引力の変動が大きく、電磁音も大きい。また、フェライトの界磁永久磁石を用いた場合、電動モータの小型化、組付け作業性の向上及びコスト低減が可能となる。
このように、電動モータではフェライトの界磁永久磁石を用いることが有効であるが、この場合、界磁の磁束密度が低いため、アマチュアの導線の巻数を多くしてトルク特性を確保するようになっている。このため、界磁磁石が電機子反作用の影響を大きく受け、界磁磁極の磁束分布の磁気的中心点が、アマチュアの回転方向と反対方向に大きくずれる。通常のモータではブラシ位置を幾何学的磁極中心位置からアマチュアの回転方向と反対の回転方向にシフトさせてこの磁気的中心点のずれを補償し、良好な磁束分布を確保している。しかしながら、この電動モータでは左右の両方向に回転するため、上記のようにブラシ位置をアマチュアの回転方向と反対方向にシフトさせてこの磁気的中心点のずれを補償して良好な磁束分布を確保することができない。
従って、この電動モータでは、この磁束分布の悪化を補償するために、アマチュア20に均圧本体22を設けることで、巻線の各回路の誘起電圧のバランス性の向上と相俟って良好な磁束分布を確保でき、下記のような格別の効果を得ることができる。
(1) 電動モータの作動音が図12に示すように低減するため、電動モータをハンドルコラムに取り付けても、ドライバーに不快な操舵時の作動音を感じさせない。そして、電動モータを車室内にあるコラムに取り付けることが可能となるため、従来では、例えば図13に示すようにエンジン室のラック40に電動モータ100を取り付けていたが、その場合よりも、熱及び水に対する耐環境性が格別に有利になるため、それだけ電動モータを安価に製造できる。
(2) 重ね巻4ブラシ方式であるため、トルクリップルの低減が図られ、電動モータが制御ユニット13からのモータ駆動信号により、PWM駆動されても、電動モータの駆動時の振動がハンドル12には殆ど伝達されず、ドライバーの操舵感は悪化されない。
また、電動モータのトルクリップルが低減するため、制御ユニット13のPWM駆動方式の設計自由度が高くなり、応答性、微小電流での制御性の向上を図り、操舵感を更に向上させることができる。
また、保舵音(ハンドル12をある位置に固定した状態でブラシ8とセグメント16との接触状態の微小な変化によるアマチュア20に流れる電流の変化によるトルク変化で電動モータが振動を起こして生じる音をいう。電動モータが駆動していない状態で系のバックラッシュ分の微小変位間で発生する振動音をいう。)を低減することができる。従来の波巻2ブラシ方式では、トルクリップルが大きいため、保舵音が発生し易かったが、この保舵音の発生を制御ユニット13で抑えようとして、制御ゲインを大きくすると、図14に示すように、保舵音の程度を示すトルク変動は小さくなるが、作動音(半径方向磁気吸引力)が大きくなり、保舵音と作動音との両方を抑えることができなかった。一方、重ね巻、4ブラシ方式を用いた電動モータでは、保舵音と作動音との両方の発生を抑制することができる。
(3) 重ね巻、4ブラシ方式であるため、ブラシ8の電流密度を低くすることができ、電動モータの許容通電時間を長くすることができる。電動モータでは、車庫入れとか、車をUターンするときにハンドル12を最大角度迄切る、所謂「据切り・端当て状態」で使われる頻度が高いが、この時は電動モータのアマチュアは殆ど回転せずに、トルクのみ発生しており、電動モータの拘束状態で使用されることになる。この時、温度上昇の一番厳しいブラシ8の電流密度を下げることができるので、「据切り・端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動モータの利便性が向上する。
また、ブラシ8の寿命が長くなり、電動モータの信頼性、耐久性が向上する。
(4) 重ね巻、4ブラシ方式であるため、波巻と比較して、同一性能の条件下では巻線21の導線の断面積を略1/2にすることができ、導線が変形し易くなり、巻線性が向上し、また導線の線径が小さくなるため、コア9のスロット11内での隙間が少なくなるため、スペースファクタを大きくとることができ、電動モータの小型化が可能となる。従って、操舵性で重要な要因であるアマチュア20の慣性モーメント、ロストルクを下げることができる。
(5) 巻線の各回路間の誘導起電力のバランスが良くなることにより、トルクリップルの一層の低減が図られ、ハンドル12に伝達されるトルクリップルが少なく、ドライバーの操舵感を一層向上させることができる。
(6) 良好な整流作用を得ることができるため、ブラシ8の寿命が長くなる、ブラシ8の温度上昇を抑えることができる、ブラシ8の整流音(火花音)を小さくすることができるといった効果に加えて、火花の発生が少ないため、ラジオノイズ等に有利である。特に、ハンドルコラムに取り付けてラジオの電源回路等と接近して使用せざるを得ないときでも、ラジオノイズ等に与える影響が少ない。
また、火花発生が少ないため、ブラシ8を整流子6に押圧するスプリング7の荷重を少なくすることができるので、ブラシ押圧によるロストルクを少なくすることができ、またブラシ8の押圧による摩擦熱の発生を少なくすることができる。従って、重巻、4ブラシ方式であっても、波巻、2ブラシ方式と比較して同等のロストルクにすることが可能になる。
なお、上記の実施の形態では、4極24スロット及び22スロットで重巻の電動パワーステアリング装置用モータについて説明したが、スロット数はこれに限定されるものではなく、アマチュアに対して半径方向に磁気吸引力を生じない偶数のスロット数であれば騒音低減効果がある。
加えて、極数の倍数でない数とすれば、トルクリップルも低減することができる。
図22ないし図24には、重巻であって、4極20スロット、4極26スロット、4極28スロットの場合における、アマチュアに作用する磁気吸引力とトルクが示されており、いずれの例においても半径方向の磁気吸引力は作用していないことがわかる。これらの結果をまとめたものが図25であり、スロット数を偶数あるいは極対数の倍数に選定した場合には半径方向に磁気吸引力を生じず、かつ極数の倍数でなければ、トルクリップルも低減できることがわかる。
また、極数に関しても4極に限定されるものではなく、6極、8極といった4極以上でもよい。図26ないし図31には、重巻であって、6極25スロット、6極24スロット、6極22スロット、6極26スロット、6極21スロット、6極27スロットの例が示されている。
図26においては、スロット数が偶数でも極対数の倍数でもないので、半径方向の磁気吸引力が作用することがわかる。また、図27においては、スロット数が極数の倍数であるので、トルクリッフルが大きくなっている。図28及び図29はスロット数が偶数かつ極数の倍数でない場合、図30及び図31はスロット数が極対数の倍数、かつ極数の倍数でない場合であり、いずれにおいても半径方向磁気吸引力は作用せず、かつトルクリップルは小さく抑えられている。これらの結果をまとめたものが図32であり、4極の場合と同様に、偶数あるいは極対数の倍数であれば半径方向に磁気吸引力を生じず、かつ極数の倍数でなければ、トルクリップルも低減できることがわかる。8極以上の場合も同様である。スロット数が極対数の倍数である場合には、前述の均圧部材を設けることができるので、循環電流を防止し、整流作用を向上することができる。
以上説明したように、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、ヨークと、このヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された22個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備えたので、アマチュアに対する半径方向の磁気吸引力のトータルはゼロであり、作動音の要因となる回転振動は生じず、作動音を低減することができ、またトルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上する。
また、ブラシと極数とを4個の同数としたので、ブラシの電流密度が低くなり、所謂「据切り、端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動パワーステアリング装置用モータの利便性が向上する。
また、整流子はフックを有しており、導線の機械巻線を容易に行うことができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、ヨークと、このヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された26個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、この整流子の表面に当接し、界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備えたので、アマチュアに対する半径方向の磁気吸引力のトータルはゼロであり、作動音の要因となる回転振動は生じず、作動音を低減することができ、またトルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上する。
また、ブラシと極数とを4個の同数としたので、ブラシの電流密度が低くなり、所謂「据切り、端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動パワーステアリング装置用モータの利便性が向上する。
さらに、整流子はフックを有しているので、導線の機械巻線を容易に行うことができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、ヨークと、このヨークの内壁面に固定された6極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された21個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された6個のブラシとを備えたので、アマチュアに対する半径方向の磁気吸引力のトータルはゼロであり、作動音の要因となる回転振動は生じず、作動音を低減することができ、またトルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上する。
また、ブラシと極数とを6個の同数としたので、ブラシの電流密度が低くなり、所謂「据切り、端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動パワーステアリング装置用モータの利便性が向上する。
また、整流子はフックを有しており、導線の機械巻線を容易に行うことができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、ヨークと、このヨークの内壁面に固定された6極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された27個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された6個のブラシとを備えたので、アマチュアに対する半径方向の磁気吸引力のトータルはゼロであり、作動音の要因となる回転振動は生じず、作動音を低減することができ、またトルクリップルも低減され、ハンドルを握るドライバーの操舵感が向上する。
また、ブラシと極数とを6個の同数としたので、ブラシの電流密度が低くなり、所謂「据切り、端当て状態」での使用可能時間が長くなり、電動パワーステアリング装置用モータの利便性が向上する。
また、整流子はフックを有しており、導線の機械巻線を容易に行うことができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、フックに電気的に接合されて、アマチュア回路内に回路間に生じる誘起起電力の差によりブラシに流れる循環電流を防止する均圧部材を備えてので、アマチュア回路間で生じる誘導起電力の差によりブラシに流れる循環電流を防止することができ、その結果ブラシ整流作用を向上させることができ、またブラシから発生する整流火花を抑制することができる。また、作動音、トルクリップルのそれぞれの大きさを低減することができる。さらに、均圧部材とフックとを同時にヒュージング等により電気的に接合することができるため、製造が容易で製造コストを低減することができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、PWM(pulse width modulation)駆動により巻線の通電電流が制御されているので、所望の電圧を電力ロスを少なくして印加することができ、制御ユニットを小型化することができる。
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置用モータによれば、導線はエナメル被覆の丸線であるので、コアに導線を巻回する工程を機械化することがより簡単になり、アマチュアの量産化が可能となり、製造コストが低減される。
4 シャフト、6 整流子、9 コア、11 スロット、16 セグメント、19 導線、20 アマチュア、21 巻線、22 均圧本体、24 ターミナル、34 フック。

Claims (7)

  1. 操舵トルク信号を用いて制御され、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、
    ヨークと、
    このヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、
    このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、
    このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された22個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、
    前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、
    この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備え、
    前記車両の車室内にあるコラムに取付けられることを特徴とする電動パワーステアリング装置用モータ。
  2. 操舵トルク信号を用いて制御され、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、
    ヨークと、
    このヨークの内壁面に固定された4極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、 このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、
    このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された26個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、
    前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、
    この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された4個のブラシとを備え、
    前記車両の車室内にあるコラムに取付けられることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置用モータ。
  3. 操舵トルク信号を用いて制御され、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、
    ヨークと、
    このヨークの内壁面に固定された6極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、 このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、
    このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された21個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、
    前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、
    この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された6個のブラシとを備え、
    前記車両の車室内にあるコラムに取付けられることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置用モータ。
  4. 操舵トルク信号を用いて制御され、車両のハンドルの操作力をアシストする電動パワーステアリング装置用モータにおいて、
    ヨークと、
    このヨークの内壁面に固定された6極のフェライトの永久磁石で構成された界磁部と、
    このヨーク内に回転自在に設けられたシャフトと、
    このシャフトに固定され、コアの外周面に軸線方向に延びて形成された27個のスロットに導線が機械巻線で重巻方式により巻回されて構成された巻線を有するアマチュアと、
    前記シャフトの端部に固定され、フックを有する複数個のセグメントから構成された整流子と、
    この整流子の表面に当接し、前記界磁部の磁束分布の磁気的中心点に配設された6個のブラシとを備え、
    前記車両の車室内にあるコラムに取付けられることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置用モータ。
  5. アマチュア回路内に回路間に生じる誘起起電力の差により前記ブラシに流れる循環電流を防止する均圧部材を備えた請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
  6. PWM(pulse width modulation)駆動により前記巻線の通電電流が制御されている請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
  7. 前記導線はエナメル被覆の丸線である請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
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