JP2009248127A - 鋳片連続鋳造用の連続打撃装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋳片1を打撃するための打撃部材22と、打撃部材を鋳片に向けて付勢する圧縮バネ30と、打撃部材を鋳片から離れる方向に移動させて圧縮バネを圧縮し、次いで自由に運動させるカム機構32と、打撃部材、圧縮バネ、及びカム機構を支持する本体14とを備える。打撃時にカム機構32が打撃部材22から離れて自由加速させ、これにより圧縮バネ30の圧縮エネルギーを打撃部材22の運動エネルギーに変換して、その打撃部材22が鋳片1に衝突することで所定の打撃エネルギーを鋳片に与える。
【選択図】図3
Description
このうち、中心偏析は、鋳片の最終凝固部にC、S、P、Mnなどの偏析しやすい溶質成分(以下、偏析成分ともいう。)が濃化して現れる内部欠陥で、V偏析は、鋳片の最終凝固部の近傍に、これらの偏析成分がV字状に濃化して現れる内部欠陥である。
すなわち、凝固の進行につれて、凝固組織である柱状晶の樹間に偏析成分が濃化する。この偏析成分が濃化した溶鋼が、凝固時の鋳片の収縮、またはバルジングと呼ばれる鋳片のふくれなどにより、柱状晶の樹間から流出する。流出した濃化溶鋼は、最終凝固部の凝固完了点に向かって流動し、そのまま凝固して偏析成分の濃化帯が形成される。このようにして形成した偏析成分の濃化帯が偏析である。
そのため、この方法は、横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面の少なくとも1ヶ所を、連続して打撃することにより鋳片に振動を付与しつつ鋳造する方法であって、E>=0.0065×W により表される関係を満足する打撃エネルギーを鋳片に与えるものである。ここで、Eは鋳片に与える1回の打撃当たりの打撃エネルギー(J)を、Wは鋳片の長辺幅(mm)をそれぞれ表す。
そのため、この方法は、矩形状の横断面を有する鋳片1を鋳造する際に、鋳片厚み中心部の中心固相率fsが少なくとも0.1〜0.9の範囲を、鋳片1の厚み方向に1m当たりの圧下率が1%以内となるようにして連続して軽圧下するとともに、該中心固相率fsが0.1〜0.9の範囲内の少なくとも1箇所において、鋳片1の相対する両側の短辺面を、鋳片幅方向に連続して打撃する連続鋳造方法である。打撃振動周波数が4〜12Hz、振動エネルギーが30〜150Jで打撃するものである。
上述した打撃振動装置は、高温(例えば約1200℃)の鋳片51からの輻射熱、スケール、水等に曝されながら、高頻度(4〜12Hz)で大きな衝撃(30〜150J)を受けるため耐久性が低い問題点があった。
すなわち、打撃装置54としてエアーシリンダを用い、電磁弁の電気制御により打撃を行った場合、上述した苛酷な環境下では、電磁弁、エアーシリンダ、ケーブル等の破損が頻発し、数日以上の連続使用は到底できなかった。
また、打撃位置決め装置55として図7のように間隔Lを設定する場合、連続鋳造中の鋳片51に金型53が引きずられ、横方向(鋳片51の移動方向)に大きな力を受けるため、打撃装置54及び打撃位置決め装置55が損傷を受けやすい問題点があった。
さらに、本発明の第3の目的は、鋳片がなく、空振りの打撃を繰り返しても、長期間の連続使用が可能な高い耐久性を有する鋳片連続鋳造用の連続打撃装置を提供することにある。
さらに、本発明の第4の目的は、連続鋳造中の鋳片に対して、横方向に大きな力を受けることなく正確に位置決めし、所定の打撃エネルギーで打撃することができる鋳片連続鋳造用の連続打撃装置を提供することにある。
該打撃部材を鋳片に向けて付勢する圧縮バネと、
打撃部材を鋳片から離れる方向に移動させて前記圧縮バネを圧縮し、次いで自由に運動させるカム機構と、
前記打撃部材、圧縮バネ、及びカム機構を支持する本体とを備え、
打撃時にカム機構が打撃部材から離れて自由加速させ、これにより圧縮バネの圧縮エネルギーを打撃部材の運動エネルギーに変換して、その打撃部材が鋳片に衝突することで所定の打撃エネルギーを鋳片に与える、ことを特徴とする鋳片連続鋳造用の連続打撃装置が提供される。
該金型に一端が固定され、打撃面と接触する打撃位置と打撃面から所定距離離れた蓄積位置との間で往復動可能な往復動部材とからなり、
前記圧縮バネは、前記往復動部材と本体との間に挟持され、前記蓄積位置で所定の圧縮エネルギーを保有し、前記打撃位置で前記運動エネルギーを放出するようになっており、
前記カム機構は、前記本体に回転可能に支持され、前記往復動部材を前記蓄積位置まで所定の周期で移動し、次いで往復動部材を打撃位置まで自由運動させる回転カムと、該回転カムを回転駆動する回転駆動装置とからなる。
前記本体を鋳片に対して所定の位置に位置決めする位置決め機構とを備える。
すなわち、本発明の連続打撃装置は、鋼の連続鋳造による鋳片の相対する両側の短辺面を、鋳片幅方向に連続して打撃することができ、かつ高温(例えば約1200℃)の鋳片からの輻射熱、スケール、水等に曝されながら、高頻度(4〜12Hz)で大きな衝撃(30〜150J)を受けても、長期間の連続使用が可能な高い耐久性を有する。
回転駆動装置による回転カムの回転速度により所定の打撃振動周波数(例えば4〜12Hz)を設定でき、圧縮バネの所定の圧縮エネルギーを所定の打撃エネルギー(例えば30〜150J)に設定することができる。
この図において、本発明の連続打撃装置10は、鋳片1の相対する両側の短辺面1aを同時又は交互に打撃するように、両側に合計2台設置されている。また、12は金型、14は本体、16は移動装置である。
なお、実際の連続鋳造において、鋳片1は円弧状に延び、その移動方向は垂直から斜め下向きに45〜54度の角度となるのが好ましいが、本発明はこの傾斜に限定されず、鋳片1を水平又は垂直に移動させてもよい。
また、連続打撃装置10が設置される位置における鋳片1は、未凝固部を含む鋳片であり、表面は凝固してスケールが付着しているが、表面温度は高温(例えば約1200℃)であり、内部はまだ凝固中又は半溶融状態にある。なお、本発明はかかる状態の鋳片1に限定されず、その他の状態であってもよい。
移動装置16は、この例では、空圧又は液圧の直動シリンダ17、揺動軸18、リンク19a,19b,19cからなり、直動シリンダ17の伸縮により、本体14を鋳片1に対して前後進させるようになっている。
なお、移動装置16の構成は、この例に限定されない。
この図において、20は位置決め機構であり、この例において、本体14に回転可能に取付けられ、鋳片1の打撃面1aと所定の位置で接触しながら自由回転する複数(図で3つ)のガイドローラ20aからなる。
この構成により、移動装置16により本体14を鋳片1に対して前進させて複数のガイドローラ20aを鋳片1の打撃面1aと接触させることにより、連続鋳造中の鋳片1に対して、ガイドローラ20aが接触しながら自由回転するので、横方向に大きな力を受けることなく本体14を鋳片1に対して所定の位置に位置決めすることができる。
この図において、本発明の連続打撃装置10は、打撃部材22、圧縮バネ30、カム機構32を備える。これらの打撃部材、圧縮バネ、及びカム機構は本体14に支持されている。
また、図4に示すように打撃部材22が金型12と往復動部材23から構成され、往復部材23が1箇所の摺動部24、カムフォロア台25、カムフォロア26、1箇所の連結部27からなる場合も同様の作用である。以降、2箇所の摺動部および2箇所の連結部により構成される場合について、説明する。
この「所定距離」は、回転カム33による圧縮バネ30の圧縮距離に相当する。
運動エネルギーE2は、蓄積位置(図3Aの位置)と打撃位置(図3Bの位置)における圧縮バネ30の圧縮エネルギーの差である。運動エネルギーE2<=圧縮エネルギーE1の関係があり、シム等で圧縮バネ30の打撃位置(図3Bの位置)における圧縮量を増大させることにより、運動エネルギーE2を増加することができる。
回転カム33は、往復動部材23のカムフォロア26と接触しながら回転し、往復動部材23(この例ではカムフォロア台25)を蓄積位置(図3Aの位置)まで所定の周期で移動し、次いでカムフォロア26から離れて、往復動部材23を打撃位置(図3Bの位置)まで自由運動させるようになっている。
この例において、回転カム33のカム曲線は、回転角度と変位が比例するアルキメデス曲線である。なお、本発明はアルキメデス曲線に限定されず、往復動部材23を蓄積位置(図3Aの位置)まで所定の周期で移動して圧縮バネ30を圧縮し、次いでカムフォロア26から離れて、往復動部材23を打撃位置(図3Bの位置)まで自由運動させることができる限りで、その他の曲線であってもよい。
また、この回転駆動装置は、移動装置16により本体14を鋳片1に対して前後進させた場合でも、回転カム33に回転動力を伝達できるように、その中間に、周知の自在継手(例えば、シュミットカップリング、ユニバーサルカップリング等)を設けるのがよい。
次いで打撃時にカム機構32(回転カム33)が打撃部材22(カムフォロア26)から離れてこれを自由加速させ、これにより圧縮バネ30の圧縮エネルギーE1を打撃部材22(金型12)の運動エネルギーE2に変換して、その打撃部材22が鋳片1に衝突することで所定の打撃エネルギー(=運動エネルギーE2)を鋳片1に与える(図3B)。
すなわち、本発明の連続打撃装置10は、鋼の連続鋳造による鋳片1の相対する両側の短辺面1aを、鋳片幅方向に連続して打撃することができ、かつ高温(例えば約1200℃)の鋳片1からの輻射熱、スケール、水等に曝されながら、高頻度(4〜12Hz)で大きな衝撃(30〜150J)を受けても、長期間の連続使用が可能な高い耐久性を有する。
図5(A)(B)において、横軸θは、回転カム33の回転角度であり、0〜2πの値を一回転毎に繰り返す。また、縦軸yは、カムフォロア26の変位である。
y=a×(θ−α)−y3・・・式(1)
ここで、aは直線ABの傾き(=(y1+y3)/2π)、αはy=0における回転カム33の回転角度である。
次に、回転カム33の回転角度θが0を超えるとカムフォロア26はバネ力により加速されて曲線a−b−cの軌跡を描く。このうち、曲線a−bはバネが圧縮状態から撓み0まで延びる加速期間、曲線b−cはバネが初期位置を超えて延びる減速期間である。
ダンパー装置35は、曲線b−cにおいてのみ作動し、曲線b−c−dがカム曲線33aと衝突しないように減衰力を設定する。
この構成により、回転カム33がカムフォロア26に再接触する際(図のf点)の衝突速度を低減でき、回転カム33とカムフォロア26の耐久性を高めることができる。
すなわち、蓄積位置(図3Aの位置)は、点Bに対応し、圧縮バネ30は初期位置からy1の距離圧縮され、所定の圧縮エネルギーE1を保有している。
次に、回転カム33の回転角度θが0を超えるとカムフォロア26はバネ力により加速されて曲線a−bの軌跡を描く。曲線a−bはバネが圧縮状態から撓み0まで延びる加速期間である。
この構成により、回転カム33がカムフォロア26に再接触する際(図のk点)の衝突速度を低減でき、回転カム33とカムフォロア26の耐久性を高めることができる。
すなわち、打撃装置としてエアーシリンダを用い、電磁弁の電気制御により打撃を行った従来方式での設備耐久性(重故障によるメンテナンス実施)をベースとして本発明の耐久性を比較した結果を図6に示す。
連続鋳造用セグメントは、ロール磨耗ならびに故障(軸受損傷、水漏れ等)がなければ、6ヶ月から1年程度オンラインで使用し続けるのが一般的である。設備耐久性評価は、連続打撃装置が重故障トラブルによりセグメント寿命以外に、メンテンスのために、設備休止・オフラインメンテナンスが生じたことを意味する。従来方式に対し、約12倍の長時間連続打撃を可能とした。
10 連続打撃装置、12 金型、
14 本体、14a,14b 支持板、
15 支持台、16 移動装置、17 直動シリンダ、
18 揺動軸、19a,19b,19c リンク、
20 位置決め機構、20a ガイドローラ、
21a,21b 軸受、22 打撃部材、
23 往復動部材、24 摺動部、25 カムフォロア台、
26 カムフォロア、26a 軌跡、
27 連結部、
30 圧縮バネ(コイルバネ)、
32 カム機構、33 回転カム、
33a カム曲線、35 ダンパー装置
Claims (8)
- 鋳片を打撃するための打撃部材と、
該打撃部材を鋳片に向けて付勢する圧縮バネと、
打撃部材を鋳片から離れる方向に移動させて前記圧縮バネを圧縮し、次いで自由に運動させるカム機構と、
前記打撃部材、圧縮バネ、及びカム機構を支持する本体とを備え、
打撃時にカム機構が打撃部材から離れて自由加速させ、これにより圧縮バネの圧縮エネルギーを打撃部材の運動エネルギーに変換して、その打撃部材が鋳片に衝突することで所定の打撃エネルギーを鋳片に与える、ことを特徴とする鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。 - 前記打撃部材は、鋳片の打撃面を打撃する金型と、
該金型に一端が固定され、打撃面と接触する打撃位置と打撃面から所定距離離れた蓄積位置との間で往復動可能な往復動部材とからなり、
前記圧縮バネは、前記往復動部材と本体との間に挟持され、前記蓄積位置で所定の圧縮エネルギーを保有し、前記打撃位置で前記運動エネルギーを放出するようになっており、
前記カム機構は、前記本体に回転可能に支持され、前記往復動部材を前記蓄積位置まで所定の周期で移動し、次いで往復動部材を打撃位置まで自由運動させる回転カムと、該回転カムを回転駆動する回転駆動装置とからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。 - 前記回転カムのカム曲線は、回転角度と変位が比例するアルキメデス曲線である、ことを特徴とする請求項2に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。
- 前記往復動部材は、回転カムと接触しながら自由回転するカムフォロアを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。
- 圧縮バネの圧縮位置で、回転カムとカムフォロアが再接触するように、前記圧縮バネの固有周期が設定されている、ことを特徴とする請求項4に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。
- 前記往復動部材が打撃位置を通過して鋳片側に移動するとき、その移動速度を減衰させるダンパー装置を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。
- 前記本体を鋳片に対して前後進させる移動装置と、
前記本体を鋳片に対して所定の位置に位置決めする位置決め機構とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。 - 前記位置決め機構は、前記本体に回転可能に取付けられ、鋳片の打撃面と所定の位置で接触しながら自由回転する複数のガイドローラからなる、ことを特徴とする請求項7に記載の鋳片連続鋳造用の連続打撃装置。
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