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JP2009247334A - 細胞培養担体 - Google Patents

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JP2009247334A
JP2009247334A JP2008103472A JP2008103472A JP2009247334A JP 2009247334 A JP2009247334 A JP 2009247334A JP 2008103472 A JP2008103472 A JP 2008103472A JP 2008103472 A JP2008103472 A JP 2008103472A JP 2009247334 A JP2009247334 A JP 2009247334A
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cells
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cell
culture carrier
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玲士 西尾
Takao Aoki
孝夫 青木
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Toray Industries Inc
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
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Abstract

【課題】
接着系細胞の大量培養時には接着表面積を確保するために粒子状のビーズや中空糸などが実用化されているが、これらの方法は細胞の播種効率が悪かったり、細胞の播種に特殊な行程が必要であったりと、簡便さに欠け、産業上の接着系細胞の利用に困難が伴った。
【解決手段】
球体、楕円体、多面体、柱状体または錐体の外部形状を有する、最長径および最長径に垂直な方向の最大長が50〜2000μmの微小中空体の外部を切断した立体であって、中空部分に接着系細胞が接着可能な内壁を有し、外部形状表面に5〜40%の外空間と中空部分をつなぐ開口部を有する、細胞培養担体、及び当該細胞培養担体を用いた接着系細胞の培養方法。
【選択図】図2

Description

本発明は細胞培養担体および本発明の細胞培養担体を用いて細胞を培養する方法に関するものである。
近年、生体からの細胞単離技術、細胞培養技術、細胞保存技術の進歩とともに、細胞を様々な用途に利用する検討が進められている。最も広範に産業利用されている技術は細胞を用いて細胞生育生産物の製造を行うバイオ生産である。例を挙げるとインターフェロンの生産や、モノクローナル抗体の生産、各種ウイルスベクターの生産などがあり、これに限らず様々な産業応用がなされている。また、この他にも医薬の開発や生命活動の研究において高価な実験動物に代わりハイスループットで薬物をスクリーニングする方法として細胞を用いたアッセイが行われている。また、細胞そのものを医療に用いる細胞医療の試みも進められている。
このように多くの分野で細胞の産業応用が進められているが、これらの試みの多くは浮遊状態で細胞の生存を維持できる非接着系細胞により行われている。これに属さない接着系細胞は細胞の生存を維持するために足場に接着する必要があり、細胞の生存維持、高密度状態での培養・細胞の取り扱いの点において非接着系細胞よりも利便性に劣る。例えば、バイオ生産においては可能な限り高密度で細胞を培養することが望ましく、この点で浮遊・懸濁状態での培養が可能な非接着系細胞が好まれる。
近年、ゲノム解析、プロテオーム解析の研究の進展とともに哺乳類細胞や昆虫細胞など多細胞生物の体内より有用な細胞生育生産物が多数発見されているが、これらの細胞生育生産物を製造するためには多細胞生物由来の接着系細胞を必要とする場合もあり、これらの細胞生育生産物の生産には非接着系細胞で用いられている攪拌培養法を直接用いることは出来ない。
接着系細胞を浮遊状態で生存維持し培養することが出来れば接着系細胞を非接着系細胞と同様に扱うことが可能になるが、このようなことを実現させるために細胞培養担体が考案されている(特許文献1)。
このような細胞培養担体としては、これまでに様々な材質から構成される担体が考案されている。担体上に接着系細胞を接着させ、粒子表面で増殖し、この粒子ごと培養することで、培養槽中の細胞の接着可能な表面積を拡大させ、細胞培養密度を向上させる事ができる。
最初に考案された細胞培養担体は単純な球形の担体であったが、このような担体の表面は凸面の接着面を持ち、そこに接着する細胞は広く伸展した形態をとらざるを得ない。このような状態は細胞に正常で無い状態を作り出し細胞の増殖速度、生存率、細胞生育生産物の産生量を低下させることが知られている。またこのような凸面表面への細胞の初期接着効率は悪く、細胞播種後、細胞を粒子全体に成長させるまでに時間がかかる。
また、生体内より摘出した哺乳類正常細胞の多くは、細胞の接着、生存、増殖にサイトカインなどの自己産生型可溶性物質を必要とするものも多く、初期に用いられていた細胞培養担体のように細胞播種時に細胞の密度が著しく低くなり、自己産生されたサイトカインが分散してしまう培養方法では細胞の播種、効率的な増殖、培養に困難が伴った。
さらに担体表面に細胞を接着させるこれらの細胞培養担体は、懸濁培養する際に、担体と培養槽、または担体同士との接触により細胞が物理的ダメージを受けてしまうことが避けらず、攪拌速度や、培養密度が制限される問題があった。
細胞培養担体はさらに改良が進められており、細胞の高密度培養を目指してポリウレタンなどを用いた発泡素材により形成された多孔質の細胞培養担体(特許文献2)、セルロース繊維や炭素繊維等(特許文献3)の細胞の入り込む隙間を多数持った小片からなる細胞培養担体などが考案されている。
これらの担体では接着させた細胞の一部が担体の内部の孔に入り込むため、球状の細胞培養担体と比較し、鈍角の接着面による細胞への悪影響や、担体同士や、担体と培養槽との接触による細胞への物理的ダメージを抑えることができる。
しかし、この種類の担体は細胞が進入可能な担体内部へと続く孔を厳密に制御することが困難であり、広い内部壁面を持つ担体であっても、その内部壁面へと通じる孔は無秩序に形成されたものであり、培養時には存在する内部壁面のほんの一部のみが利用される。また、細胞導入経路は無秩序に形成された孔を通じて行うことが必要であり、よく行われる方法としては細胞分散液と担体を混合し、懸濁時に一部が孔に導入される方法が行われる。これらの効率を向上させるために間欠攪拌法やフィコール法(非特許文献1)が知られるが、これらの方法も満足できる導入効率を持つものでは無く、担体の持つ内部壁面すべてに効率的に細胞を導入できる方法では無かった。
このような細胞導入の困難な細胞培養担体への細胞導入を効率的に行うことを目指し担体内部への溶液の浸透と除去を繰り返し行う方法(特許文献4)や陰圧にしたチャンバーを利用し強制的に細胞を担体内部に導入する方法(特許文献5)などいくつかの方法が考案されているが、導入のための装置が必要であったり、導入のために細胞へのある程度のダメージが予想されるなど、いずれの方法も培養初期段階での作業工程を増加させるものであった。
また、接着系細胞を高密度に培養する方法としては、中空糸を用いた培養がある。束にした中空糸の内部、または外部に細胞を充填し、培養液を循環させることで高密度に集積培養された細胞による細胞生育生産物の生産を行うことができる(特許文献6)。この仕組みを利用し中空糸の中に大量の肝細胞を培養し、患者血液を循環させる「中空糸型人工肝臓」の実現を目指す試みもある。
これらの中空糸を使用した細胞培養方法は高い培養密度を実現可能な方法ではあるが、長い中空糸へ細胞充填は、送液と共に細胞を送りこむことが必要で高度に制御された装置と方法が必要であった。また中空糸内に培養された細胞を培養するためには強制的に細胞培養液を循環させる必要があり、この制約のため、バイオ生産プラント、人工臓器モジュールは、周辺の補助装置も含め、複雑で大規模なものに成らざるを得ない点が問題となっている。
特開平4−360682 特開平4−281784 特開2004−135668 特開2006−25635 特開2006−812468 特開2003−180334 大石道夫 監修 「動物細胞培養技術と物質生産」2002年シーエムシー出版
上記した従来の細胞培養担体には次のような課題がある。すなわち、従来の担体では、担体表面の接着面が凸面であるため、細胞の初期接着が悪く、また、細胞が不自然に伸展した形状をとるため細胞の状況に悪影響がある。さらに自己産生サイトカインが分散しやすい環境であるため、正常に近い細胞の担体への接着に困難が伴う。
また、従来の細胞培養担体では担体の表面に細胞が接着しているため、担体同士、または担体と培養槽が接触した場合の物理的ダメージが避けられない。これらの問題を解決することを目指して発泡素材や繊維素材よりなる改良された細胞培養担体もあるものの、内部の空隙が発泡や繊維状物質を使用して形成された無秩序な構造であるため、空間の利用効率が悪く、また、細胞を高効率で均一に導入することが困難である問題がある。
また、中空糸を用いた接着系細胞の培養方法では高密度の培養が可能であるが、中空糸内への接着系細胞の均一な導入のためには特別の工夫が必要であり、また培養時には強制的な培養液の循環が必要であるため細胞培養部分以外に、送液設備が別に必要となる。
本発明では上記した課題を解決するため、本発明で示す新規細胞培養担体を考案した。
すなわち、本発明は以下のような構成を有する。
(1)球体、楕円体、多面体、柱状体または錐体の外部形状を有する、最長径および最長径に垂直な方向の最大長が50〜2000μmの微小中空体の外部を切断した立体であって、中空部分に接着系細胞が接着可能な内壁を有し、外部形状表面に5〜40%の外空間と中空部分をつなぐ開口部を有する、細胞培養担体。
(2)中空部分がひと続きである(1)に記載の細胞培養担体。
(3)1つまたは2つの開口部を有する(1)または(2)に記載の細胞培養担体。
(4)外部形状が柱状体である(1)〜(3)に記載の細胞培養担体。
(5)中空糸を切断することにより製造される請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養担体。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の細胞培養担体を用いて接着系細胞を培養する細胞培養方法。
(7)細胞培養担体を培地中に平面に並べることを特徴とする(6)に記載の細胞培養方法。
(8)前記中空糸を束ねて切断することで細胞培養担体を培地上に平面に並べることを特徴とする(7)に記載の細胞培養方法。
本発明の細胞培養担体は既存の外周部に細胞を保持する細胞培養担体と比較し、初期の接着効率、細胞の生存率、増殖率、タンパク生産能などにおいて、正常な細胞の状態に近い効果が得られる。
本発明の細胞培養担体は、球体、楕円体、多面体、柱状体または錐体の外部形状を有する最長径が50μm〜2000μmの微小中空体の外部を切断した立体であり、中空部分に接着系細胞が接着可能な内壁を有し、外部形状表面の5〜40%の部分に外空間と中空部分をつなぐ開口部を有する定められた形状であれば良い。
ここで「形状」とは担体の構成素材が存在する部分の形を示す。「外部形状」とは担体の「内空間」の立体形状を示す。内空間とは任意の空間地点(A)において、(A)を通過する任意の3次元内の直線のうち、担体に(A)の両端で交わるものが存在する場合、その地点を担体の「内空間」であると定義する。また、「内空間」で無い部分を「外空間」と称す。
本発明の細胞培養担体の切断前の外部形状としては、球体、楕円体、多面体、柱状体または錐体であるが、前記外部形状であって、外部応力によって形状が柔軟に変化した形状についても前記外部形状に含まれる。ここでいう「柱状体」は円柱、楕円柱または多角柱の形状、「錘体」は円錐、楕円錘または多角錘の形状であると定義する。
また「内空間」のうち担体では無い部分を「中空部分」と称する。中空部分においては培養液、または細胞が担体外部より進入しうるが再び外空間へと移行する際の自由度が制限されうる空間である。
本発明の細胞培養担体では、この内空間に中空部分が存在し、担体の形は複雑であるが、外部形状に言及する場合、これらの中空部分により除外される部分については考えない。すなわち、担体部分と中空部分をあわせた内部空間を「外部形状」と称す。
「微小中空体」とは内空間内に担体の構成素材の存在しない部分を有する微小な立体形状を示し、「微小」とはここでは2000μm以下の大きさであることを示す。構成素材の存在しない中空部分は1つであっても複数であっても良い。
中空部分が複数であるとは、担体内部にお互いに細胞の行き来出来ず連続でない複数の中空空間があることを意味する。連続部分が存在する場合でも連続部分を通じて細胞が行き来出来ない場合は複数の中空空間が存在するとみなす。
「開口部」とは中空部分と外空間の境界面の境界のうち、細胞が通過可能な部位を指す。
担体内部の空隙率に関する制限はその他の条件を満たす限り無いが、本発明の細胞培養担体を使用する効果である高密度での細胞培養を実現するためには、その空隙率は高い方が好ましく、好ましくは50%以上、最も好ましくは80%以上である。
ここでの「空隙率」とは「内空間」の中で「中空部分」の占める割合を示す。例えば、細胞培養担体の構成素材の占める体積が10であり、中空部分の体積が90、内空間の体積が100である場合、空隙率は90%であると算出される。
「内壁」とは中空部分に存在する担体構成素材の表面を示す。
「接着系細胞」とは、細胞の隣接部位に接着面が存在する場合、その接着面に接着する細胞を指す。主に多細胞生物の生体内に見られ、例を挙げると肝細胞、皮膚角質細胞、毛母細胞、口腔上皮細胞、食道上皮細胞、胃粘膜上皮細胞、小腸吸収上皮細胞、大腸吸収上皮細胞、胆管上皮細胞、すい臓インスリン分泌細胞、すい臓グルカゴン分泌細胞、骨細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、筋肉衛星細胞、神経細胞、ホルモン分泌細胞、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、骨髄などの初代培養細胞や、ES細胞、iPS細胞または成体幹細胞より分化誘導により作成した接着系細胞が挙げられ、これらに限らないが、壁面との接着形態により細胞活動が大きく影響を受ける細胞に本発明の細胞培養担体を適用することが好適であり、上記した中では肝細胞、口腔上皮細胞、食道上皮細胞、胃粘膜上皮細胞、小腸吸収上皮細胞、大腸吸収上皮細胞、胆管上皮細胞、すい臓インスリン分泌細胞、すい臓グルカゴン分泌細胞、ホルモン分泌細胞の初代培養細胞、ES細胞、iPS細胞または成体幹細胞より分化させた接着系細胞が好適である。また自然界に存在する細胞にセレクションをかけ作り出した株化細胞、生体内由来の正常細胞や株化細胞に遺伝子導入、遺伝子欠損を生じさせ人工的に作り出した細胞も自然界に存在する細胞と同様に好適に使用できる。株化接着系細胞の例を挙げると、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、イヌ腎臓上皮細胞由来のMDCK細胞、マウス胎児皮膚由来のNIH3T3細胞、ラット副腎髄質由来のPC12細胞、ショウジョウバエ由来のS2細胞、蛾由来のSf9細胞、アフリカミドリザル腎臓由来のVero細胞、ヒト子宮ガン由来のHeLa細胞、ヒト結腸ガン由来のCaco−2細胞、ヒト肝ガン由来のHuh7細胞やHepG2細胞がある。
本発明の細胞培養担体は垂直な方向の最大長が50μm〜2000μmであるが、このサイズは接着系細胞を効率よく本発明の細胞培養担体に導入し、かつ、空間を効率的に使用するために適した大きさである。すなわち50μm以下のサイズであっては、個々の担体への細胞導入数が限られ培養時の空間の利用効率が低下する。また、培養時に培地との分離が困難となり効率が低下する。また2000μm以上のサイズを持つものは均一な細胞の導入に困難が伴い、内部の形状にもよるが空間の利用効率が低下する。好ましくはサイズが50μm〜1000μmの小片であり、もっとも好ましくは100μm〜500μmである。
本発明の細胞培養担体は開口部が5〜40%であるが、この性状は担体の中空部分と外空間との培養液の循環を部分的に抑制し、自己産生サイトカイン濃度を向上させること、また、担体への細胞導入時に必要な構成である。細胞培養担体の開口部が5%未満である場合、開口部が小さすぎるため細胞播種時の導入効率が低下し、また、細胞培養担体の開口部が40%を上回る場合も、細胞播種時の効率が低下し、また自己産生サイトカインの濃度上昇も期待できないため、好ましくない。
本発明の細胞培養担体の外部形状は様々な形状が考えられるが、球形の外部形状を有する微小中空体を考えた場合、球形中空体上部に球状の開口部が存在する場合、球の半径の半分の半径を有する開口部が存在すると、開口部の表面積の割合はおよそ6.6%となり、これより遙かに小さい開口部を持つ細胞培養担体は細胞導入時の効率が著しく低下してしまう場合がある。また球状の中空体を中央部にて平面で切り取った半球の細胞培養担体を考えた場合、担体の厚みを考えなければ、開口部はおよそ33%となり、この形状よりも開口部が広い場合は形状によっては細胞の播種時の効率は高く保てるものの、細胞培養時の自己産生サイトカインの局所濃度を上昇する効果が得られにくい場合がある。したがって、本発明の細胞培養担体では開口部が外部形状面積に対し5〜40%であることが必要であるが、細胞培養担体の形状を考慮した場合、好ましくは5〜35%、より好ましくは10〜30%である。
本発明の細胞培養担体の構成する構成素材に関しては、本発明の細胞培養担体の形状に成型可能なあらゆる素材が使用可能であり、素材の調整方法、平均分子量等制限はないが、好ましくは金属または高分子物質を利用することができる。ここで高分子とはゴム、多糖類、タンパク質、水溶性合成高分子、有機溶媒可溶性高分子が挙げられ、具体例を挙げるとセルロース、アラビアガム、トラガガントガム、カラギーナン、アガー、グアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ガラクタン、マンナン、プルラン、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、エラスチン、フィブロイン、キトサン、キチン、ヒアルロン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸エステル、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリウレタン、メタクリル酸アクリル、フッ素系高分子、ポリアミド、ポリピペラジンアミド、ポリウレア、架橋ポリエーテル、ポリアクリロニトリルなどがある。好ましくはポリスルホン、メタクリル酸アクリルであり、より好ましくは本発明の実施例で使用されているポリスルホンである。
さらに本発明の細胞培養担体は単一の構成素材から構成されても良いし、細胞接着面だけ別の構成素材より構成されるなど複数の素材から構成されていても良い。例えば接着系細胞の接着性を向上させるために担体全体の表面または担体内部の表面のみを細胞接着性を向上させる別の構成素材でコーティングすることは好ましい。コーティング素材としては特に制限されるものでは無いが、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチンによるコーティング、正電荷、負電荷の官能基の導入、各種の細胞接着因子、例えば、RGDペプチド(Arg−Gly−Asp)による修飾などは好ましい。
また本発明の細胞培養担体は、それぞれに開口部を持つ複数の内空隙が存在しても良いが、内空間において中空部分がひと続きである場合、すなわち中空部分が1つのみ存在する場合に細胞の導入効率、内部空間の効率的な利用が実現できるため高い性能を発揮することができるため、好ましい。ただし本発明の細胞培養担体のような微細な担体を多数個生産する過程では、製造時に生ずる個体差により一部の担体がひと続きでは無い内空間を有する場合もあり、このような場合も細胞培養担体の平均の中空部分の個数が1.5以下である場合はすべての細胞培養担体がひと続きの中空部分を持つ場合と同様の効果が得られるため好ましく、より好ましくは平均の中空部分の個数が1.1以下である。
また本発明の細胞培養担体は、中空部分と外空間をつなぐ開口部が1つまたは2つであることが好ましい。開口部の個数は細胞培養担体の中空部分を通過する細胞、および細胞培養液の移動に関わっており、開口部が一つまたは2つである場合は細胞導入時の効率を高くするために有効であり、また担体内部の自己産生サイトカインの濃度を高く保つことができる。また開口部が2つの場合であっても細胞導入時に片側の開口部を閉鎖した状態を作り、高い効率で細胞を導入することが可能である。ただし多数個製造した担体のうち、製造時のばらつきにより一部が2以上の開口部を有する場合もその全体の平均数が2.5以下である場合は同様の機能が得られるため好ましく、より好ましくは平均が2.2以下である場合である。なお、中空部分と外空間をつなぐ部分のうち、構成物が存在しないが、細胞が透過できるほどの大きさの無い微細な孔構造の存在は制限されるものではない。細胞の種類や培養方法によっては、これらの細胞が透過出来ない孔は培養液の流通を促進するため望ましいことがある。
また本発明の細胞培養担体は、形状が柱状体であることが好ましい。本発明の細胞培養担体に効率的に細胞を播種するためには後述するように密集した状態で開口部を揃えた状態をとらせることが好ましい使用方法であるが、柱状体はこの用途において適した形状であり、より好ましくは図2に示す柱状体の外形を有する細胞培養担体である。ただし端部には微細な例外部分が存在することは本体部分が柱状体であるかぎり許容される。柱状体の直径としては100〜1000μmであることが好ましく、200〜500μmであることがより好ましい。
本発明の細胞培養担体の製造方法としては、鋳型を用いた製造や、リソグラフィーによる製造、類似構造を持った自然界天然構造物の加工、前駆構造物の切断による製造が挙げられる。中でも、本発明の細胞培養担体の好ましい態様である、前記柱状体の形状を有する細胞培養担体は、中空糸を切断することによって好ましく製造される。例えば、長さ100000μmの形状を有する中空糸を切断した場合、長さ50μmの本発明の細胞培養担体を2000個製造することができる。製造効率を考えた場合、中空糸の長さは長い方が好ましく、好ましくは最終的に得られる細胞培養担体の最長径に垂直な方向の最大長の100倍以上の長さの中空糸を切断して生産することであり、より好ましくは1000倍以上の長さの中空糸を切断して生産する方法である。
また中空糸から細胞培養担体を作製する段階で、中空糸を束ねた状態で切断することも好適な製造方法の1つである、開口部の方向を揃えた細胞培養担体が密集した集合体を効率的に生産することができる。中空糸を束ねて切断することにより作製した後は、そのまま細胞培養担体として用いることもできるし、表面修飾、片方の開口部を閉じるなどの処理を行い細胞培養担体として用いることもできる。
また本発明は前記細胞培養担体を用いて接着系細胞を培養する細胞培養方法に関する。ここでいう細胞培養とは、酸素、栄養素等を含む培養液等を介して担体内部に保持した接着系細胞の生存を維持することを示す。また、培養の形態としては、細胞培養に一般的に用いられる培養槽を使用することができ、具体的にはペトリ皿、プラスチックプレート、プラスチックチューブ、ガラスチューブ、中空糸繊維、スパイラルフィルム、カラム、マルチウェルプレート、マルチシートプレート、細胞生育生産物生産のために用いられる攪拌培養用の培養チャンバー、各種細胞アッセイ機材の細胞保持部分などが挙げられるがこれらに限らず、細胞の生存に適した環境であれば良い。また、細胞培養に使用する培地についても、細胞の生存に適した培地であれば特に制限されない。
本発明の細胞培養方法においては、前記細胞培養担体の形状的特徴を活かすことで、前記細胞培養担体を培地中に平面に並べることができる。ここでいう「培地中に平面に並べる」とは、細胞培養担体の大部分が重ならずに整列していることであり、例えば、円筒状の培養槽の外壁に整列した状態も含まれる。柱状体の細胞培養担体を密集した状態で開口部の方向を揃えた状態にして細胞を播種した場合、接着系細胞を播種する過程で高い効率をもって細胞を細胞培養担体に接着させることが可能であり本発明の細胞培養担体を効率的に利用することができるため好ましい。細胞培養担体を、開口部を揃えて密集した状態で集合させる方法としては、開口部を揃え密集した状態の集合として製造する方法や、作製した細胞培養担体を後から集合させる方法が考えられるが、好ましくは密集した集合として作製する方法である。
本発明の細胞培養担体に細胞を導入する方法に関しては特に限定されず、細胞培養担体の開口部に細胞懸濁液を滴下して重力により導入する方法、細胞培養担体に細胞懸濁液を加えて遠心力を用いて導入する方法が挙げられるが、細胞培養担体を培地中に平面に並べた場合、開口部を固定面と反対方向の一方向に向けて整列させておくことで、上部より細胞懸濁液を滴下することで、重力により細胞が効率よく細胞培養担体に導入されうる。
本発明の細胞培養方法の好ましい態様である、細胞培養担体を培地中に平面に並べる方法に関しては特に限定されず、培養槽平面に一時的に固定する方法、磁気や重力、遠心力等などを用いて培養槽に固定せずに整列させる方法が挙げられるが、好ましくは培養槽平面に一時的に固定する方法である。
なお本発明の細胞培養方法においては、細胞培養のために本発明の細胞培養担体に接着させた接着系細胞を凍結保存する場合も細胞培養の一部である。凍結の方法は問わないが、好ましくは−80℃以下での凍結であり、より好ましくは−150℃以下での凍結である。
以下に本発明の詳細を説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 細胞培養担体の作成
<方法>
外径400μm、内径300μmのポリスルホン中空糸(東レ、“トレビーノ”用)を隙間の空かないように束ねた後、凍結切片封入剤(ティッシュテックOCTコンパウンド(サクラファインテック社))に浸沈させ、十分にコンパウンドが浸透するまで数時間静置した。束ねた状態を保ったまま−150℃にて凍結し、十分に凍結させた凍結ブロックを凍結切片作成機(OTF5000(ブライト社英国))にて−20℃で、カーボンブレード(ミクロトーム用替え刃C35(フェザー社))をもちいて20μmの厚さに切断した。切断した中空糸集合体は、水溶性接着剤(シリル化ウレタン樹脂接着剤(“ボンドニューハイテック”(コニシ)))を薄く塗布したスライドガラス(シランコーティングスライドS3003(Dako))上に固定し、乾燥させた。
スライドガラス上で十分に乾燥させた細胞培養担体は純水に数時間浸して切断時に使用した凍結切片封入剤を除去した。その後、細胞培養担体は固定したスライドガラスと共にオートクレーブにて120℃、20分間処理を行い滅菌し、使用まで室温で保存した。
<結果>
作成した細胞培養担体の電子顕微鏡写真(日立S4800)を図3Aに、実体顕微鏡により撮影した写真を図3Bに示す。この細胞培養担体は外径が400μm、内径が300μm、高さがおよそ300μmであり開口部の比率はおよそ29%である。細胞培養担体は開口部を上下に向けた状態で密な状態でスライドガラス上に固定されており(図3C)、切断やオートクレーブ処理による乱れは生じなかった。また、スライドガラス上に水溶性接着剤により固定した細胞培養担体は数時間、細胞培養培地に浸した状態を経た後は、弱い水流などにより容易にスライドガラス上から遊離し、分散状態になった(図3D)
実施例2 細胞培養担体へのCaco―2細胞の播種
10cm細胞培養プレート(ファルコン社)上にて培養培地(DMEM/10%FBS(ギブコ社))にて培養したCaco−2細胞(ヒト結腸由来株化細胞細胞)を細胞剥離溶液(0.25%トリプシン/EDTA(シグマ社))処理しプレートから遊離させた。培養培地にて2回洗浄し残存する細胞剥離溶液を除去した。1000万個のヒト結腸ガン由来Caco−2細胞を10mlの培養培地に懸濁した。
細胞培養担体を密に整列させたスライドガラスは10cm細胞培養プレート(ファルコン社)中央に配置し、0.3%細胞培養用I型コラーゲン溶液(“セルゲン”(高研))を滴下し、常温で2時間静置し、細胞培養担体表面をコラーゲンでコートした。添加したコラーゲン溶液を除去し、滅菌したリン酸緩衝液で細胞培養担体を洗浄した。細胞培養担体の上部より少量ずつCaco−2細胞分散液を滴下した。添加後、30分間静置しCaco−2細胞が底に沈み、細胞培養担体の中に導入されるのを待ち、細胞培養担体を固定したスライドガラスを50mlチューブ(コーニング社)に移し、培養培地を満たした状態で、スライドガラスが垂直になる状態を保って培養インキュベーター(NAPCO CO26000)の中で37℃、CO濃度5%を保ち24時間培養した。
24時間後、50mlチューブのふたを開け、穏やかに溶液を懸濁することでスライドガラスより細胞培養担体を遊離させた。細胞培養担体を除去したスライドガラスは取り除き、50mlチューブ内を3000回転/分、5分間遠心し細胞培養担体を沈殿させ、培養液を取り除く作業を3回行った。
<結果>
Caco−2細胞を接着させた細胞培養担体の凍結切片を作成した図4Bに、細胞を接着させた細胞培養担体の走査型電子顕微鏡にて観察した像を図4Aに示す。
細胞培養担体の上部よりCaco−2細胞懸濁液を滴下することにより、一部の細胞が細胞培養担体の内部に導入された。その後、細胞培養担体の内壁に接着させるために細胞培養担体を固定したスライドガラスを垂直に保ち、培養することで、内部に導入されたCaco−2細胞が細胞培養担体内部に生着することが確認された。
実施例3 細胞培養担体を用いた接着系細胞の懸濁培養
<方法>
Caco−2細胞を内壁に接着させた細胞培養担体とCaco−2細胞単独の攪拌浮遊培養時の細胞生存率の推移を比較評価した。
実施例2で調製した細胞培養担体と、実施例1と同様の方法で10cm細胞培養プレートで培養し、細胞剥離溶液にて回収したCaco−2細胞を、それぞれ180G、5分間の遠心を3回行い、細胞を洗浄した後、それぞれの細胞を6つのチューブにわけ、培養インキュベーターの中に設置した転倒混和型ローテーターにより30回転/分の速度で懸濁培養を行った。そして培養開始後0、1、3、6、24、48時間後の細胞を回収し180G5分間の遠心で細胞および細胞培養担体を沈殿させた後、培養液を除去し−30℃で凍結保存した。すべてのサンプルがそろった48時間後、サンプルを解凍し細胞生存率測定キット(セルカウンティングキット(WST−8)(同仁化学))とプレート吸光度計(マルチスキャンJX(サーモラボラトリー社))を用いて細胞の生存量を測定した。
<結果>
それぞれの細胞生存率の変化を図5に示す。細胞培養担体を用いないCaco−2細胞の生存率はアッセイ開始直後より急激に減少し24時間後には20%以下となった。これに対し、細胞培養担体に接着させたCaco−2細胞の生存率は培養開始後にある程度の減少が見られるが、その後、上昇傾向にあり、細胞培養担体内での生存が維持され細胞増殖が起きていた。
本発明の細胞培養担体の要件を満たす形状の例。AとBの2種類の例を示す。上図の三次元概念図において斜線部分は内壁面を示す。下図は上図の断面概念図、細胞 本発明の細胞培養担体の要件を満たす形状の例、A、B、C、D、E、Fの6種類を示す。図の三次元概念図において斜線部は内壁面を示す。 実施例1により作成した細胞培養担体の走査型電子顕微鏡写真(A)、実体顕微鏡写真(B)、スライドガラス上に整列させた細胞培養担体(C)、水溶液に分散させた細胞培養担体(D)である。 実施例2によりCaco−2細胞を接着させた細胞培養担体の走査型電子顕微鏡写真(A)、凍結切片の可視光観察像(B)である。 実施例3による本発明の細胞培養担体と、細胞単独の攪拌培養時のCaco−2細胞生存率の変化結果である。

Claims (8)

  1. 球体、楕円体、多面体、柱状体または錐体の外部形状を有する、最長径および最長径に垂直な方向の最大長が50〜2000μmの微小中空体の外部を切断した立体であって、中空部分に接着系細胞が接着可能な内壁を有し、外部形状表面に5〜40%の外空間と中空部分をつなぐ開口部を有する、細胞培養担体。
  2. 中空部分がひと続きである請求項1に記載の細胞培養担体。
  3. 1つまたは2つの開口部を有する請求項1または2に記載の細胞培養担体。
  4. 外部形状が柱状体である請求項1〜3のいずれかに記載の細胞培養担体。
  5. 中空糸を切断することにより製造される請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養担体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養担体を用いて接着系細胞を培養する細胞培養方法。
  7. 細胞培養担体を培地中に平面に並べることを特徴とする請求項6に記載の細胞培養方法。
  8. 前記中空糸を束ねて切断することで細胞培養担体を培地上に平面に並べることを特徴とする請求項7に記載の細胞培養方法。
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