JP2009243516A - レンジ切換え装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各部品の配置を工夫することによってコンパクト化を可能としたレンジ切換え装置を提供する。
【解決手段】レンジ切換え装置1は、運転者によって選択されたシフトレンジに基づいて制御されるモータ4、該モータ4の回転運動を直線運動に変換する変換機構5、及び該変換機構5によって変換された直線運動を揺動運動に変換するアーム部材6などを備えている。モータ4は、アーム部材6の基端部6Aと変換機構5との間に配置され、変換機構5の軸方向とモータ4の軸方向とが並列に並べて配置されている。これにより、レンジ切換え装置1は、軸方向長さを短縮することができて、コンパクト化することができる。
【選択図】図2
【解決手段】レンジ切換え装置1は、運転者によって選択されたシフトレンジに基づいて制御されるモータ4、該モータ4の回転運動を直線運動に変換する変換機構5、及び該変換機構5によって変換された直線運動を揺動運動に変換するアーム部材6などを備えている。モータ4は、アーム部材6の基端部6Aと変換機構5との間に配置され、変換機構5の軸方向とモータ4の軸方向とが並列に並べて配置されている。これにより、レンジ切換え装置1は、軸方向長さを短縮することができて、コンパクト化することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、運転者が例えばシフトレバーによって選択したシフトレンジ(例えば、P,R,N,D)を電気信号を介して設定するいわゆるシフトバイワイヤシステムを備えたレンジ切換え装置に関する。
例えば、自動変速機を備えた車輌のシフトレンジは、一般に、運転者がシフトレバーを操作することでマニュアルバルブを移動させて油路を切換えることによって設定される。この際、運転者によって選択されたシフトレンジを、機械的なワイヤやロッドを介するのではなく、電気信号を介して設定するレンジ切換え装置の方式が、シフトバイワイヤ(SBW)システムとして知られている。
このシフトバイワイヤシステムを用いたレンジ切換え装置では、シフトレバーの操作に基づいた電気信号を介して電気モータを駆動し、この電気モータの回転力を、ねじ機構からなる伝達機構によって直線運動に変換し、この直線運動をレバー部材を介してマニュアルシャフトの回転運動に変換するように構成されたものが提案されている(特許文献1参照)。そして、該マニュアルシャフトの回転運動は、ディテント機構等を介してマニュアルバルブに伝達され、該マニュアルバルブを作動させてシフトレンジを切換える。
しかしながら、上記特許文献1に示すレンジ切換え装置は、ねじ機構のねじ軸と電気モータの回転軸とが同軸上に配置されており、軸方向長さが大型化してしまう。このため、レンジ切換え装置が大型化し、配置位置が限定されてしまうなどの問題があり、該レンジ切換え装置のコンパクト化が望まれていた。
そこで本発明は、各部品の配置を工夫することによりコンパクト化を可能としたレンジ切換え装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る本発明は(例えば、図1ないし図3参照)、複数のシフトレンジ(P,R,N,D)のうちから選択された所定のシフトレンジに、電気信号(S1)に基づいてレンジ切換え部材(21)を切換えることにより達成するレンジ切換え装置(1)において、
前記シフトレンジを選択し得るレンジ選択手段(2)と、
前記レンジ選択手段(2)からの信号に基づいて制御されるモータ(4)と、
前記モータ(4)の回転駆動力を直線運動の駆動力に変換する変換機構(5)と、
前記変換機構(5)によって変換された前記直線運動の駆動力を揺動運動の駆動力に変換するアーム部材(6)と、を備え、
前記変換機構(5)と前記アーム部材(6)の前記揺動運動の揺動中心となる基端部(6A)との間に前記モータ(4)を配置した、
ことを特徴とするレンジ切換え装置(1)にある。
前記シフトレンジを選択し得るレンジ選択手段(2)と、
前記レンジ選択手段(2)からの信号に基づいて制御されるモータ(4)と、
前記モータ(4)の回転駆動力を直線運動の駆動力に変換する変換機構(5)と、
前記変換機構(5)によって変換された前記直線運動の駆動力を揺動運動の駆動力に変換するアーム部材(6)と、を備え、
前記変換機構(5)と前記アーム部材(6)の前記揺動運動の揺動中心となる基端部(6A)との間に前記モータ(4)を配置した、
ことを特徴とするレンジ切換え装置(1)にある。
請求項2に係る本発明は(例えば、図2及び図3参照)、前記変換機構(5)は、前記モータ(4)の回転に基づいて回転する滑りねじ部材(5a)と、前記滑りねじ部材(5a)に直接螺合されると共に前記アーム部材(6)の先端部(6B)に連結されたナット部材(5b)と、を有し、
前記ナット部材(5b)が前記滑りねじ部材(5a)の回転によって直線運動を行うことにより、前記アーム部材(6)を揺動させて前記レンジ切換え部材(21)を切換えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のレンジ切換え装置(1)にある。
前記ナット部材(5b)が前記滑りねじ部材(5a)の回転によって直線運動を行うことにより、前記アーム部材(6)を揺動させて前記レンジ切換え部材(21)を切換えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のレンジ切換え装置(1)にある。
請求項3に係る本発明は(例えば、図2参照)、前記アーム部材(6)の前記基端部(6A)に接続され、前記アーム部材(6)の揺動角度に基づく前記シフトレンジの位置を検出するレンジ位置検出センサ(11)を備え、
前記レンジ位置検出センサ(11)は、信号を出力するための第1の端子(11a)を有し、
前記モータ(4)は、配線用の第2の端子(4c)を有し、
前記第1及び第2の端子(11a,4c)を近接配置してなる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のレンジ切換え装置(1)にある。
前記レンジ位置検出センサ(11)は、信号を出力するための第1の端子(11a)を有し、
前記モータ(4)は、配線用の第2の端子(4c)を有し、
前記第1及び第2の端子(11a,4c)を近接配置してなる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のレンジ切換え装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、モータをアーム部材の基端部と変換機構との間に配置し、該変換機構の軸方向とモータの軸方向とを並列に並べて配置したので、これら軸方向長さを短縮することができ、レンジ切換え装置をコンパクト化することができる。
また、例えばアーム部材の基端部と変換機構とを隣接配置する場合に比して、該アーム部材の長さをモータの径方向寸法だけ長く形成しているので、該基端部の揺動角度に対して変換機構の直線運動の移動量を多くとることができ、該基端部の揺動角度を精度良く制御することができる。さらに、アーム部材が長くされた分、てこの原理により変換機構へ入力するトルクを低減することができ、モータを小型化することができる。
また、変換機構の直線運動を行う部材と軸部材との間のスラスト荷重を低減することができ、該軸部材を支持するベアリング及び該ベアリングを支持するブラケットをコンパクト化することができる。
請求項2に係る本発明によると、変換機構は、滑りねじ部材と該滑りねじ部材に直接螺合されると共にアーム部材の先端部に連結されたナット部材によって構成されているので、例えば変換機構をボールねじ機構とし、直線運動を行う部材が、ねじ部材に対して径方向両側面から挟み込んで支持する二股部を有することでカタギを防止する構成とする場合に比して、直線運動を行うナット部材とアーム部材とが1箇所において連結した構成とすることができ、変換機構とアーム部材の基端部との間にモータを配置することが容易にできる。
請求項3に係る本発明によると、第1の端子及び第2の端子を近接配置したので、レンジ位置検出センサとモータとの配線を簡素化することができる。
図1に、本発明に係るレンジ切換え装置の一例として、本実施の形態に係るレンジ切換え装置1を示す。同図は、レンジ切換え装置1、ディテント機構7、パーキング機構8、及びバルブボディ9の構成を模式的に示す図である。
レンジ切換え装置1は、図1に示すように、例えば車輌に搭載される自動変速機(例えば多段自動変速機や無段変速機(CVT))に取り付けられるように構成されており、該レンジ切換え装置1には、運転者によってシフトレンジが選択されるシフトレバー(レンジ選択手段)2からのシフト信号(電気信号)S1に基づいて制御信号S2を発生させる制御手段3と、該制御手段3からの制御信号S2に基づいて制御されるモータ4と、該モータ4の回転運動を直線運動に変換する変換機構(駆動機構)5と、該変換機構5によって変換された直線運動を揺動運動に変換するアーム部材(回転係合部材、駆動機構)6と、該アーム部材6によって回動駆動されるマニュアルシャフト(レンジ切換え軸)18の回動角度を検出することで後述のマニュアルバルブ20のスプール21の位置を検出するレンジ位置検出センサ(検出部)11と、を備えている。これらモータ4、変換機構5、アーム部材6、レンジ位置検出センサ11は、同一のケース(ケース部材)10内に収納されている。
一方、自動変速機には、大まかに、不図示の変速機構を油圧制御するための油圧制御装置(バルブボディ)9と、パーキング機構8と、ディテント機構7が備えられており、該ディテント機構7と、該ディテント機構7に連結されたマニュアルシャフト18とが不図示の自動変速機のケースの外部に取り付けられて配設されている。また、上記スプール21は、自動変速機のバルブボディ9内に配置されており、上記パーキング機構8は、不図示の自動変速機のケース内に収納されている。
シフトレバー2には、自動変速機のP(パーキング)レンジ,R(リバース)レンジ,N(ニュートラル)レンジ,D(ドライブ)レンジの各シフトレンジ(不図示)が表示されている。シフトレバー2は、運転者によって直接、操作されて上述のシフトレンジのうちから1つのレンジが選択される。そして、選択されたレンジに対応するシフト信号S1が発生される。なお、レンジ選択手段としては、運転者の意思を反映することができるもの、すなわち運転者によって選択されたシフトレンジに対応するシフト信号S1を発生させることができるものであれば、シフトレバー2以外のものであってもよい。例えば、シフトボタン、シフトスイッチ、音声入力装置等を使用することができる。
制御手段3は、上述のシフトレバー2で発生されたシフト信号S1に基づいて制御信号S2を発生させ、この制御信号S2によって後述のモータ4の回転を制御するものである。さらに、この制御手段3には、後述のスプール21の位置を検出するレンジ位置検出センサ11(後述)からの検出信号が入力される。制御手段3は、この検出信号に基づいて、モータ4の回転方向や回転開始・停止のタイミングを制御するようになっている。このように制御手段3は、シフトレバー2からのシフト信号S1に基づいてモータ4によりスプール21の動作を制御してシフトレンジを切換える制御手段、いわゆるシフトバイワイヤシステム(SBW)をコントロールするためのコントロールユニットである。また、制御手段3は、図1において、ケース10の外部に配置されているように示しているが、該ケース10の内部に配置するようにしても良い。
一方、ディテント機構7は、ディテントレバー26と、ディテントスプリング27と、ローラ28とを有している。該ディテントレバー26は、板状の部材であり、マニュアルシャフト18が軸受部30に嵌合されている。該ディテントレバー26は、該マニュアルシャフト18を介して自動変速機(不図示)のケースによって揺動自在に支持されている。ディテントレバー26の一端部(図1中の下方側の端部)には、長孔状の長孔31が穿設されていて、この長孔31には、上記スプール21に連結された連結軸24の先端のフック25が係合されている。
該スプール21は、バルブボディ9内に配置されたマニュアルバルブ20内のスプールであり、例えば図中左方側から順にランド21a,21b,21cを有している。該スプール21は、軸方向(矢印A1−A2方向)に移動自在に支持されており、軸方向に移動することにより、バルブボディ9内の油路を切換えて、所定のシフトレンジを設定するものである。すなわち、Pレンジに対応するP位置,Rレンジに対応するR位置,Nレンジに対応するN位置,Dレンジに対応するD位置に移動できるようになっている。
また、ディテントレバー26の先端部(図1中の上方側の端部)には同図中の左から順に4個の切換え領域として左から順にレンジ溝a,c,e,gが設けられている。そしてこれらレンジ溝a,c,e,gの各間には、凸部b,d,fが形成されている。上記レンジ溝a,c,e,gは、この順に、前述のスプール21のP位置,R位置,N位置,D位置に大まかに対応している。ここで、「大まかに」とは、上記レンジ溝a,c,e,gが、幅を持った領域(切換え領域)であるという意味である。ディテントスプリング27は、略々長板状の部材によって形成されており、基端部32が、図1に示すように、バルブボディ9に固定されるとともに先端には二股部33が形成されている。この二股部33の間に、ローラ28が回動自在に支持されている。ディテントスプリング27全体は板ばねとして作用し、その先端に回動自在に配置されているローラ28をディテントレバー26の各レンジ溝a,c,e,gの傾斜面に押圧して、ディテントレバー26を精度よく位置決め保持するようになっている。
上述のように、本実施の形態においては、ディテントレバー26の揺動動作とスプール21の矢印A1−A2方向の移動動作が連動していること、すなわちマニュアルシャフト18の回動位置とスプール21の位置とが1対1に対応していることに基づき、スプール21の位置を直接制御するのではなく、マニュアルシャフト18の回動角度を精度よく制御することで、スプール21を精度よく制御するものである。
パーキング機構8は、図1に示すように、基端側がL字形に屈曲されて上述のディテントレバー26に係合されたパーキングロッド34と、このパーキングロッド34の先端側に遊嵌されて移動可能な円錐状のウエッジ35と、パーキングロッド34に固定された鍔部36とウエッジ35とに連結されたばね37と、パーキングロッド34の先端側の下方に配置されたサポート38と、このサポート38との間にウエッジ35が挿脱される、揺動自在なパーキングポール40とを備えている。パーキングポール40は、基端側の軸41を中心にほぼ上下方向に揺動自在に配置されており、上側には自動変速機の出力軸(不図示)に固定されたパーキングギヤ42に対して係脱可能な爪43が突設されている。
ついで、シフトレンジの切換え動作についてPレンジからRレンジへの切換えを一例として簡単に説明する。Pレンジにおいては、ディテント機構7のローラ28は、図1中のレンジ溝a内に配置されている。運転者によってシフトレバー2が、PレンジからRレンジに切換えられると、これに対応したシフト信号S1が制御手段3に入力される。すると、制御手段3によって詳しくは後述するレンジ切換え装置1のモータ4が回転され、マニュアルシャフト18を介して、ディテントレバー26が図1中反時計回り方向に回転し、スプール21が矢印A1方向に移動すると共にローラ28がレンジ溝a内から凸部bを越えてレンジ溝c内に入る。制御手段3は、後述のレンジ位置検出センサ11の検出角度がPレンジからRレンジへの切換えに対応する値になったときに、モータ4の回転を停止する。モータ4が停止されたことにより、ディテントレバー26は、ディテントスプリング27の弾性力に基づくローラ28の付勢力により回転される。この回転によってローラ28は、レンジ溝c内に精度よく位置決め保持される。これにより、P位置にあったスプール21は、精度よくR位置に配置され、PレンジからRレンジへの切換えを達成する。なお、他のシフトレンジ間の切換え動作についても上述と略々同様であるので、その説明は省略する。
次に、図2及び図3を参照して、本発明に係るレンジ切換え装置1の構成について説明する。ケース10は、自動変速機に対して固定されるケース本体10aと、このケース本体10aを上方から覆うカバー10b(図3参照)とを備えている。この図2は、カバー10bを取り外した状態を示す。また、図3(a)は、図2のA−A線の断面を示し、図3(b)は、図2のB−B線の断面を示す。
モータ4は、図2に示すように、円筒形状の本体4aと、該本体4aの一端側(図2中右方側)に突出するように配置された出力軸4bと、該本体4aの他端側(図2中左方側)に配置され、電源の供給及び上記制御手段3からの制御信号S2を入力するためのモータ端子部(第2の端子)4cとによって構成されている。また、該モータ4は、例えば永久磁石を有する直流モータが使用され、その回転方向、回転時間、回転タイミングは、上記の制御手段3によって制御されるようになっている。
上記モータ4の出力軸4bには、図2及び図3(b)に示すように、伝動ギヤ12aが一体に回転するように固定されており、該伝動ギヤ12aは、伝動ギヤ12bと噛合している。該伝動ギヤ12bは、ケース10に対して固定された伝動軸13に回転自在となるように嵌合されていると共に、上記伝動ギヤ12aよりも大きな外径を有しており、さらに、該伝動ギヤ12bよりも小さな外径の伝動ギヤ12cが一体的に固定されている。そして、該伝動ギヤ12cは、該伝動ギヤ12cよりも大きな外径の伝動ギヤ12dと噛合しており、該伝動ギヤ12dは、後述する変換機構5のねじ軸(ねじ部材)5aと一体回転するように該ねじ軸5aに固定されている。これにより、モータ4の出力軸4bの回転駆動力は、これら伝動ギヤ12a,12b,12c,12dからなる伝動ギヤ群12によって減速されて上記ねじ軸5aに伝達される。
変換機構5は、本実施の形態では滑りねじを採用している。この変換機構5としての滑りねじは、図2に示すように、モータ4によって回転駆動されるねじ軸5aと、該ねじ軸5aに対して軸方向移動可能に係合されたナット部材5bとを有している。該ねじ軸5aは、ケース10に対してブラケットによって固定されたベアリング5dを介してケース10に対して回転自在に支持されている。
上記ナット部材5bは、図3に示すように、略々直方体状に形成されていて、背面側(図3中の右方側)には、軸方向に沿ってガイドレール5eが形成されている。このガイドレール5eは、ケース本体10aの内側に固定配置され、ねじ軸5aに平行に敷設されたガイド溝14に遊嵌されており、該ナット部材5bはねじ軸5aの回転に伴って回転不能に軸方向へ案内される。また、ナット部材5bの手前側(図3中の左方側)には、突起部5cが形成されており、この突起部5cには、後述のアーム部材6が係合されている。このように本実施の形態においては、変換機構5は、回転運動を直線運動に変換できるように構成されている。なお、例えば、ねじ軸5aのねじ溝の角度を大きくするほど、ナット部材5bの直線運動をねじ軸5aの回転運動に変換することが容易になる。
アーム部材6は、図2に示すように、基端部6Aと先端部6Bとを有している。該先端部6Bには、長孔状の孔部6bが形成されており、上記ナット部材5bの突起部5cが係合している。上記基端部6Aには、貫通孔6aが形成されており、図3(a)に示すように、貫通孔6aには、連結部材15の一端部が嵌合している。該連結部材15は、ケース10に対して揺動自在となるように配置されており、一端部においてアーム部材6の貫通孔6aに対して回転不能に嵌合している。つまり連結部材15は、アーム部材6の揺動中心軸となっている。また、連結部材15の他端部には、穴部15aが設けられており、該穴部15aの内周面には、マニュアルシャフト18を相対回転不能に係合するためのスプライン15bが形成されている。これにより、アーム部材6は、上記ナット部材5bがねじ軸5aの軸方向に移動するのに伴って、先端部6B側が貫通孔6a、つまり連結部材15を基準にして揺動動作し、この揺動動作が連結部材15を介してマニュアルシャフト18を回転させることになる。なお、図1においては、説明の便宜上、レンジ切換え装置1を、アーム部材6が配置されている側から見たように示しているが、実際はマニュアルシャフト18の一端部が、レンジ切換え装置1のモータ4側から連結されるようになっている。また、本実施の形態においては、連結部材15とマニュアルシャフト18とが、スプライン係合するように説明したが、例えば図1に示すように、マニュアルシャフト18の一端部を断面が矩形となるように形成し、これに一致するように連結部材15の角柱状の穴部を形成して、連結部材15とマニュアルシャフト18とが相対回転不能となるように構成しても良い。
レンジ位置検出センサ11は、図2及び図3(a)に示すように、アーム部材6の基端部6A側において、該アーム部材6の揺動動作の中心軸となる上記連結部材15が貫通された状態で配置されている。本実施の形態に係るレンジ位置検出センサ11は、ポテンショメータからなり、アーム部材6の揺動角度、つまり上記マニュアルシャフト18の回転角度に対応した電圧を出力するように構成されている。また、レンジ位置検出センサ11は、マニュアルシャフト18の回転角度に対応した電圧を出力するための配線用のセンサ端子部(第1の端子)11aを有しており、つまり該センサ端子部11aから上記制御手段3にマニュアルシャフト18の角度が信号出力される。この角度信号は、制御手段3において、モータ4の駆動回転量のためのフィードバック制御に用いられ、つまりレンジ位置検出センサ11によるマニュアルシャフト18の角度検出結果によってモータ4の駆動・停止が制御される。
センサ端子部11aは、図2中における略々左方側に向けて、つまり上記モータ4のモータ端子部4cと略々同方向に向けて配置されている。これにより、センサ端子部11aとモータ端子部4cとは、近接した位置に配置され、かつ略々同方向に向けて配置されており、これらに接続する配線、つまり制御手段3とを接続する配線を簡素化することができる。なお、本実施の形態においては、レンジ位置検出センサ11をポテンショメータであるように説明したが、これに限らず、マニュアルシャフト18の回転角度に対応した電気的な信号を出力し得るものであればどのようなセンサを用いても良い。
ところで、本実施の形態のようなレンジ切換え装置の変換機構にボールねじを採用することが考えられる。この際、ボールねじは、モータによって回転駆動されるボールねじ軸と、ボールねじ軸に対して軸方向移動可能に係合されたボールナットと、これらボールねじ軸とボールナット間に介装された多数のボールとを有して構成されており、アーム部材は、先端に二股部を形成し、この二股部によってボールねじ軸及びボールナットを挟み込むようにボールナットに連結しなくてはならない。つまり、例えばボールナットとアーム部材とを1箇所において連結させた場合、ボールナットは、ボールねじ軸に対してカタギを生じ、ボールが円滑に循環しなくなり、該ボールナットの動きが悪くなるという問題があった。しかし、本実施の形態においては、滑りねじを採用しており、ナット部材5bとアーム部材6との連結を1箇所によるものにすることができる。これにより、アーム部材6は、先端側に二股部を形成する場合に比して、ねじ軸5aの軸心に対して離れた位置に配置することができ、該アーム部材6の基端部6A側とねじ軸5aとの間にモータ4を配置することができる。また、先端側に二股部を形成しないので、ねじ軸5aとモータ4とを近づけて配置することができて、レンジ切換え装置1をコンパクト化することができる。
以上のように本発明に係るレンジ切換え装置1は、モータ4をアーム部材6の基端部6Aと変換機構5との間に配置し、該変換機構5の軸方向とモータ6の軸方向とを並列に並べて配置したので、これら軸方向長さを短縮することができ、レンジ切換え装置1をコンパクト化することができる。
また、例えばアーム部材6の基端部6Aと変換機構5とを隣接配置する場合に比して、該アーム部材6の長さをモータ4の径方向寸法だけ長く形成しているので、該基端部6Aの揺動角度に対して変換機構5の直線運動の移動量を多くとることができ、該基端部6Aの揺動角度を精度良く制御することができる。さらに、アーム部材6が長くされた分、てこの原理により変換機構5へ入力するトルクを低減することができ、モータ4の小型化を図ることができる。
また、変換機構5の直線運動を行うナット部材5bとねじ軸5aとの間のスラスト荷重を低減することができ、該ねじ軸5aを支持するベアリング5d及び該ベアリング5dを支持するブラケットをコンパクト化することができる。
さらに、変換機構5は、滑りねじ部材と該滑りねじ部材に直接螺合されると共にアーム部材6の先端部6Bに連結されたナット部材5bによって構成されているので、例えば変換機構5をボールねじ機構とし、直線運動を行う部材が、ねじ部材に対して径方向両側面から挟み込んで支持する二股部を有することでカタギを防止する構成とする場合に比して、直線運動を行うナット部材5bとアーム部材6とが1箇所において連結した構成とすることができ、変換機構5とアーム部材6の基端部6Aとの間にモータ4を配置することができる。
また、センサ端子部11a及びモータ端子部4cを近接配置したので、レンジ位置検出センサ11とモータ4との配線を簡素化することができる。
なお、以上説明した本実施の形態においては、レンジ切換え装置1を自動変速機に取り付ける場合について説明したが、これに限らず、例えばハイブリッド車輌のように油圧レンジは切換えず、パーキング機構の切換え装置として用いるものであってもよいことは、勿論である。
1 レンジ切換え装置
2 レンジ選択手段(シフトレバー)
4 モータ
4c 第2の端子(モータ端子部)
5 変換機構
5a ねじ部材(ねじ軸)
5b ナット部材
6 アーム部材
6A 基端部
6B 先端部
11 レンジ位置検出センサ
11a 第1の端子(センサ端子部)
21 レンジ切換え部材(スプール)
P,R,N,D シフトレンジ
S1 電気信号(シフト信号)
2 レンジ選択手段(シフトレバー)
4 モータ
4c 第2の端子(モータ端子部)
5 変換機構
5a ねじ部材(ねじ軸)
5b ナット部材
6 アーム部材
6A 基端部
6B 先端部
11 レンジ位置検出センサ
11a 第1の端子(センサ端子部)
21 レンジ切換え部材(スプール)
P,R,N,D シフトレンジ
S1 電気信号(シフト信号)
Claims (3)
- 複数のシフトレンジのうちから選択された所定のシフトレンジに、電気信号に基づいてレンジ切換え部材を切換えることにより達成するレンジ切換え装置において、
前記シフトレンジを選択し得るレンジ選択手段と、
前記レンジ選択手段からの信号に基づいて制御されるモータと、
前記モータの回転駆動力を直線運動の駆動力に変換する変換機構と、
前記変換機構によって変換された前記直線運動の駆動力を揺動運動の駆動力に変換するアーム部材と、を備え、
前記変換機構と前記アーム部材の前記揺動運動の揺動中心となる基端部との間に前記モータを配置した、
ことを特徴とするレンジ切換え装置。 - 前記変換機構は、前記モータの回転に基づいて回転する滑りねじ部材と、前記滑りねじ部材に直接螺合されると共に前記アーム部材の先端部に連結されたナット部材と、を有し、
前記ナット部材が前記滑りねじ部材の回転によって直線運動を行うことにより、前記アーム部材を揺動させて前記レンジ切換え部材を切換えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のレンジ切換え装置。 - 前記アーム部材の前記基端部に接続され、前記アーム部材の揺動角度に基づく前記シフトレンジの位置を検出するレンジ位置検出センサを備え、
前記レンジ位置検出センサは、信号を出力するための第1の端子を有し、
前記モータは、配線用の第2の端子を有し、
前記第1及び第2の端子を近接配置してなる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のレンジ切換え装置。
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