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JP2009241001A - マイクロミキサ - Google Patents

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Norihisa Senoo
典久 妹尾
Shinzaburo Umeda
眞三郎 梅田
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Abstract

【課題】単純な装置構成でありながらも、混合効率を有利に高めることができるマイクロミキサを提供する。
【解決手段】マイクロミキサ1は、流体が供給される供給口2と、かかる供給口2から供給された流体の流れを分断する向きに配置され、流体を通す複数の孔5を有する複数の分流板4とを具える。また、分流板4同士は離間しており、分流板4のうち、対向する分流板4の、一方の分流板4における孔5の軸線Aは、他方の分流板4における孔5の軸線Aと離間した位置にある。
【選択図】図3

Description

この発明は、複数種類の微量流体の混合・撹拌を可能にする新規なマイクロミキサに関する。
化合物の生産や製造においては、化学反応試料の供給、混合、反応活性化のための熱供給、熱除去、触媒反応の効率化等、化学反応の反応制御を向上させることに日々努力が重ねられている。反応制御の向上によって、生産安全性、反応生成物の収率、反応生成物の純度、有用な高活性中間生成物の単離の向上が可能になる。
従来、化学反応には大きな反応槽が用いられることが一般的である。近年は、微細な粒子を生成する装置として、マイクロミキサ等に代表される複数の溶液供給管に繋がったマイクロ流路内で、複数の流体を混合する装置の研究が行われている。これらの装置を用いた化学反応の効率化、新規化合物の創製等を目的とする研究が注目されている。このマイクロミキサは、サブマイクロメータからミリメータまでのオーダーの内径を有する狭い流路内で、複数の流体の拡散、混合で化学反応を起こすものである。
マイクロミキサの構造に関する従来技術としては、例えば特許文献1に記載されているように、Y字状に微小流路を形成した基板を用いたマイクロミキサや、特許文献2に記載されているように、T字状に微小流路を形成した基板を用いたマイクロミキサが知られている。
特開2006−205080号公報 特開2006−7063号公報
これらY字状やT字状の微小流路を形成したマイクロミキサ内では、流れは層流状態である。よって、2つの供給口から供給された溶液は、微小流路では2層の流れとなり、これら2層の撹拌・混合は拡散に支配されるため、完全混合を短時間で行うことは難しく、ある程度の時間が必要であるという問題がある。
また、混合時間の短縮を目的として、2液の界面の面積を大きくするための手段としては、例えば2層の流れを平面上で多数に分割して、多数の層流を形成し、混合・撹拌効率を向上させる方法が挙げられる。しかしながら、かかる方法は、流れを多数に分割するため、精密加工技術を用いて複雑なマルチ流路の形成が必要であり、これは、加工コストの高騰を招くため好ましくない。また、マルチ流路を用いた場合であっても、やはり平面的に形成された微小流路であるので、流体は依然として層流であり、撹拌・混合は拡散で支配されるため、混合効率に関して改良の余地があった。加えて、マルチ流路を平面上に形成するには、ある程度、大きな基板面積が必要となり、これは、マイクロミキサ全体を小型化する用途には使用できないという問題もあった。
さらに、他のマイクロミキサの従来技術としては、多孔フィルターを用いたミキサー、多層ミキサー、流体のらせん流れを利用したカオス混合によって混合を行うミキサー、流路壁に衝突させることで発生する擬似乱流を利用するミキサー、超音波、電場、磁場、微小な撹拌子を利用したマイクロミキサ(例えば特許文献3)等の多種多様なマイクロミキサが報告されているが、これらのマイクロミキサはいずれも、流路パターンや装置構成が複雑であるため、高価となり、大量生産には適さないという問題がある。
特開2006−320877号公報
この発明は、上述した問題点を鑑みなされたものであり、単純な装置構成でありながらも混合効率を有利に高めることができるマイクロミキサを提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明に従うマイクロミキサは、流体が供給される供給口と、供給口から供給された流体の流れを分断する向きに配置され、流体を通す複数の孔を有する複数の分流板とを具え、分流板同士は離間しており、分流板のうち、対向する分流板の、一方の分流板における孔の軸線は、他方の分流板における孔の軸線と離間した位置にあることを特徴とする。なお、ここでいう「流体」とは液体または気体として扱える物体のことであり、「流体の流れ」とは、マイクロミキサ内に供給された流体が、その供給口から、排出口まで流れる方向をいうものとする。
また、各分流板において、孔は等間隔に離間してなることが好ましい。
更に、対向する分流板において、一方の分流板の孔の軸線に対し、15〜40°の範囲にて傾斜した位置に、他方の分流板の孔を設けてなることが好ましい。
更にまた、分流板の孔の口径は、0.05〜3.00mmの範囲にあることが好ましい。
加えて、上述したこの発明のマイクロミキサを複数連結してなることが好ましい。
この発明によれば、単純な装置構成でありながらも、混合効率を格段に高めることができるマイクロミキサを提供することが可能である。
以下、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的なマイクロミキサの側方断面図である。図2(a)は、図1に示すマイクロミキサの分流板の斜視図であり、図2(b)は、かかる分流板の上面図であり、図2(c)は、かかる分流板の孔を流体が通る際の流体の挙動を示す概念図である。図3は、この発明に従うマイクロミキサの分流板を示す部分拡大図である。図4は、この発明に従うマイクロミキサに流体を通した際の分流板間を流れる流体の挙動を示す概念図である。図5は、この発明に従うその他のマイクロミキサの側方断面図である。図6(a)は、図5に示すマイクロミキサの分流板の斜視図であり、図6(b)は、かかる分流板のうち、対向する2つの分流板の上面図である。図7は、この発明に従うその他のマイクロミキサの側方断面図である。
この発明に従うマイクロミキサ1は、図1に示すように、異種の流体を供給する2つの供給口2、及びマイクロミキサ1内にて混合された流体を排出する排出口3を有する。また、各供給口2から供給される流体の流れを分断する向きに2枚の分流板4が離間した配置にて取り付けられている。分流板4には、流体の混合を促進するための孔5が設けられており、流体が最初に通る側すなわち上流側の分流板4には図示例で4個の孔5が設けられており、流体が次いで通る側すなわち下流側の分流板4に図示例で5個の孔5が設けられている。また、図2(a)及び(b)に示すように、上流側の分流板4の孔5(図中にて実線で示す)の軸線Aと、下流側の分流板4の孔5(図中にて点線で示す)の軸線Aとは離間した位置にあり、相互に重なり合わない。
かかる構成を採用し、分流板4に孔5を設けると、流路が孔5にて狭くなることから、流体が孔5を通る際に、流体が集束されて流体圧が大きくなる。そうすると、孔5を通る流体が加速し、具体的にはベルヌーイの定理により、孔5の軸線を通る流体よりもその周囲を通る流体が加速するので、かかる流体が孔5から噴出したときに、孔5の下流側にて孔5の軸線Aに沿って流れる流体の速度よりも、孔5の軸線Aから傾斜した方向に流れる流体の速度の方が大きくなるので、孔5の下流側では、図2(c)に示すような流体の挙動(図中にて矢印Xで示す)となり、乱流が発生することとなる。
その結果、孔5を介して乱流を発生させずに流体同士を混合させる場合に比べ、流体の混合が促進し、流体の混合効率を向上させることが可能となる。また、上記したように、孔5の下流側では、孔5の軸線Aに沿って流れる流体の速度よりも、孔5の軸線Aから傾斜した方向に流れる流体の速度の方が大きくなるので、その速度差に対応させて、上流側の分流板4の孔5の軸線Aと、下流側の分流板4の孔5の軸線Aとをずらすことで、孔5から噴出され、乱流により混合された状態の流体が下流側の分流板4の孔5へと円滑に流れることとなり、流体の混合が促進し、流体の混合効率を向上させることが可能となる。
また、図3に示すように、対向する分流板4において、上流側の分流板4の孔5の軸線Aに対し、15〜40°の範囲にて傾斜した位置に、下流側の分流板4の孔5を設けてなることが好ましい。発明者は、孔5を通して流体を流したときに、孔5の下流側にて発生する乱流が、図4に示すよう渦構造を含む流体の挙動Xとなり、孔5から流れる流体の速度が、上流側の分流板4の孔5の軸線Aに対し、15〜40°の範囲にて特に大きくなることを見出した。そのことから、それに対応させて、上流側の分流板4の孔5の軸線Aに対し、15〜40°の範囲にて傾斜した位置に、下流側の分流板4の孔5を設けることで、渦構造を伴う乱流により混合された流体が円滑に流れ、流体の混合が促進され、流体の混合効率が更に向上する可能性がある。また、上流側の分流板4に設けられた孔5のうち、隣接する孔5から夫々流れる流体は、下流側の分流板4の孔5であって、かかる両孔5に対して上記角度範囲にある1個の孔5にて合流させることができるので、流体の混合が促進され、流体の混合効率が更に向上する可能性がある。
なお、混合に供される流体の種類や所望される混合効率に応じて、マイクロミキサ1に取り付けられる分流板4の枚数を増やしたり、夫々の孔5の数を増減させることができ、例えば、図5〜6に示すマイクロミキサ1のように、孔5の数が12個と13個の分流板4を交互に8枚並べた構成とすることができる。また、混合に供される流体の組み合わせとしては、例えば、水素と二酸化炭素などの気体の組み合わせや、水酸化ナトリウム水溶液と塩酸などの液体の組み合わせや、澱粉水溶液とアミラーゼなどの酵素反応(分解反応)を誘導する液体の組み合わせなどが挙げられる。
更に、各分流板4において、孔5は等間隔に離間してなることが好ましい。なぜなら、各分流板4において、孔5を等間隔に離間させることで、孔5の下流側にて孔5毎に発生する乱流が全体に類似した形状となることからから、各孔5を通る流体が全体に同じような流体の挙動となり、流体が各孔5の下流側にて同程度混合されるので、流体を全体として均質に混合するからである。
更にまた、分流板4の孔5の口径W1は、0.05〜3.00mmの範囲にあることが好ましい。分流板4の孔5の口径W1が0.05mm未満の場合には、口径W1が小さくなり過ぎることから、流体の種類や密度によっては、単位時間当たりに孔5を通る流量が充分に確保されない。そのことから、孔5の下流側に流体が充分に流れずに、乱流を充分に発生させることができないので、流体の混合が有効に促進されずに、流体の混合効率が向上しない可能性がある。また、分流板4に、口径W1が0.05mm未満の孔5を設けることが、加工そのものが相当に難しく、製造コストが高くなり、大量生産にそぐわない。一方、分流板4の孔5の口径W1が3.00mmを超える場合には、口径W1が大きくなり過ぎることから、流体が孔5を通過する際に、流体が充分に集束、加速されず、乱流が充分に発生しないので、流体の混合が有効に促進されずに、流体の混合効率が向上しない可能性がある。
加えて、上述したこの発明のマイクロミキサ1を複数連結してなることが好ましい。なぜなら、この発明のマイクロミキサ1を複数連結して、流体の混合を複数回繰り返すことで、より混合された流体とすることが可能となるからである。あるいは、マイクロミキサ1ごとに異なる流体を混合させた後に、それら混合された流体同士をマイクロミキサ1を用いて更に混合させることが可能となるからである。
なお、上述したところはこの発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を交互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、図示例の分流板4の孔5を上面から見た形状は円形となっているが、孔5の形状はこれに限定されず、楕円形や矩形などの任意の形状とすることができる。また、図示例のマイクロミキサ1は2つの供給口2を有するが、供給口2の数は任意に設定することができ、例えば、図7に示すように、供給口2を3個とすることで、3種の流体を同時に混合させることが可能である。更に、図示例では、流体が分流板4に到達する前に、流路が徐々に狭くなるような形状のネック部6を有するが、かかるネック部6を設けるかどうかは任意の選択事項である。なお、ネック部6を設けると、流体が流れる方向に沿って流体が徐々に集束・加速し、その通過後に乱流を発生するので、分流板4に到達する前に、流体がある程度混合された状態となるので、流体の混合が促進され、流体の混合効率が更に向上することとなる。
次に、本発明に従うマイクロミキサ(実施例マイクロミキサ)、及び比較のため従来技術のマイクロミキサ(従来例マイクロミキサ)を夫々試作し、それらの性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例マイクロミキサ1は、図5に示すように、流体を供給する2個の供給口2及び1個の排出口3を有し、12個又は13個の孔5が設けられた分流板4が交互に8枚取り付けられている。孔5の口径は全て0.3mmであり、対向する分流板4において、孔5の配置は、上流側の分流板4の孔5の軸線Aに対し18°傾斜した位置に下流側の分流板4の孔5があるような配置となっている。また、排出口3からの混合流体が、紫外可視分光光度計に直接流入するように構成した。
従来技術マイクロミキサ201は、図8に示すように、第1管状部材202と第2管状部材203とを対向させて設け、第1管状部材202内を通る第1流体7と、第2管状部材203内を通る第2流体8とを対流で衝突させて混合流体とした後、この混合流体9は、第3管状部材206を通って排出される構成の有する。第1管状部材202及び第2管状部材203のサイズはともに、長さ35mm、外径1.6mm及び内径0.48mmとし、第3管状部材206のサイズは、長さ50mm、外径1.6mm及び内径0.48mmとした。また、実施例マイクロミキサと同様に、排出口からの混合流体は、紫外可視分光光度計に直接流入するように構成した。
これらマイクミキサを用いて、2種類の流体の混合特性を評価した。混合させた2種類の流体は、KI:KIO:HBO:2%の硫酸水溶液(流体A)、並びに1.60%KI水溶液、0.41%KIO水溶液、3.34%HBO水溶液及び0.80%NaOH水溶液を、体積比で、1:1:1:1の割合で混合した4種混合水溶液(流体B)である。これら流体を、実施例マイクロミキサ及び従来例マイクロミキサの夫々の供給口から0.50〜8.75mL/minの流量にて供給した。そして、流体Aと流体Bの混合特性を、Villermaux/Dushman反応を利用して評価した。すなわち、2種の流体を混合するとき、混合特性が良い場合には速い反応が優先的に進み、逆に混合特性が悪い場合には遅い反応も進む現象を利用して、遅い反応により生成される物質の濃度を測定することで混合特性を評価することができる。具体的には、上記流体Aと流体Bとを混合すると、酸−アルカリ中和反応あるいは混合特性が悪い場合の反応であるI生成反応が起こり、このI生成反応が起こった場合、生成したIは一部I となるが、このI は353nmの波長で吸収ピークを持つため、その吸光度を測定することで混合特性を評価した。なお、353nmの波長での吸収ピークが小さいほど、混合特性が優れていることを示している。その評価結果を、グラフにまとめ、図9に示す。
図9の結果から明らかなように、実施例マイクロミキサは、従来例マイクロミキサに比べ、いずれの流速においても、353nmの波長での吸収ピークが小さく、混合特性に優れていた。
以上のことから明らかなように、この発明により、単純な装置構成でありながらも、混合効率を格段に高めることができるマイクロミキサを提供することが可能となった。
この発明に従う代表的なマイクロミキサの側方断面図である。 (a)は、図1に示すマイクロミキサの分流板の斜視図であり、(b)は、かかる分流板の上面図であり、(c)は、かかる分流板の孔を流体が通る際の流体の挙動を示す概念図である。 この発明に従うマイクロミキサの部分拡大図である。 この発明に従うマイクロミキサに流体を通した際の流体の挙動を示す概念図である。 この発明に従うその他のマイクロミキサの側方断面図である。 (a)は、図5に示すマイクロミキサの分流板の斜視図であり、(b)は、かかる分流板のうち、対向する2つの分流板の上面図である。 この発明に従うその他のマイクロミキサの側方断面図である。 従来例マイクロミキサを説明する概念図である。 実施例マイクロミキサと従来例マイクロミキサについて混合流体の流速に対する353nmの波長での吸光度を測定した評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 マイクロミキサ
2 供給口
3 排出口
4 分流板
5 孔
6 ネック部
A 分流板の孔の軸線
X 流体の挙動
W1 分流板の孔の口径
W2 分流板の厚さ

Claims (5)

  1. 流体が供給される供給口と、該供給口から供給された流体の流れを分断する向きに配置され、流体を通す複数の孔を有する複数の分流板とを具え、該分流板同士は離間しており、該分流板のうち、対向する分流板の、一方の分流板における孔の軸線は、他方の分流板における孔の軸線と離間した位置にあることを特徴とするマイクロミキサ。
  2. 前記各分流板において、孔は等間隔に離間してなる、請求項1に記載のマイクロミキサ。
  3. 前記対向する分流板において、一方の分流板の孔の軸線に対し、15〜40°の範囲にて傾斜した位置に、他方の分流板の孔を設けてなる、請求項1又は2に記載のマイクロミキサ。
  4. 前記孔の口径は、0.05〜3.00mmの範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロミキサ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロミキサを複数連結してなるマイクロミキサ。
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