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JP2009138887A - 締結具固定構造および締結具固定方法 - Google Patents

締結具固定構造および締結具固定方法 Download PDF

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JP2009138887A JP2007318039A JP2007318039A JP2009138887A JP 2009138887 A JP2009138887 A JP 2009138887A JP 2007318039 A JP2007318039 A JP 2007318039A JP 2007318039 A JP2007318039 A JP 2007318039A JP 2009138887 A JP2009138887 A JP 2009138887A
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Abstract

【課題】閉断面構造体に締結具を低コストで固定することができる締結具固定構造および締結具固定方法を提供すること。
【解決手段】締結具固定構造は、閉断面1aを有する長尺の閉断面構造体1の壁面1bに、開口1cを穿設して、閉断面構造体1の表面側に設けた締結具2と閉断面1a内に設けた被締結部6とを締結する。ベース部材4は、被締結部6を備え開口1cより大きく形成して、閉断面1a内に配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、車体等における閉断面を有する閉断面構造体の外側に設けた締結具を閉断面構造体内に設置した被締結部に締結する締結具固定構造および締結具固定方法に関する。
従来、アルミニウム製の構造部材に、鉄製のボルトまたはナットからなる締結具を固定する手段としては、例えば、特許文献1に開示された締結具固定構造が知られている。その締結具固定構造は、アルミニウム製の構造部材(アルミプレート)に、アルミニウム製材と鉄製材とを圧延で重合したアルミ・鉄クラット材からなるベースプレートのアルミ側表面にアルミニウム製部材を抵抗溶接すると共に、そのベースプレートの鉄側表面に鉄製締結具を抵抗溶接している。この締結具固定構造では、アルミ・鉄クラット材を使用することによって、アルミニウム製の構造部材に対しても鉄製の締結具を溶接することを可能にしている。
しかしながら、特許文献1に記載されたような締結具固定構造では、構造部材が閉断面を有する閉断面構造体である場合、筒状部材の閉断面内にベースプレートや締結具等の部品を挿入して溶接しようとしても、溶接トーチを閉断面内に挿入することができず、溶接することができないという問題点があった。
なお、閉断面の大きさが、溶接トーチを挿入して溶接作業が可能な巨大な閉断面構造体であれば、閉断面内における溶接が可能であるが、この場合は、閉断面内の限られたスペースで溶接を行っているので、溶接作業が行い難いという問題点がある。
このため、閉断面構造体内にベースプレートや締結具や締結具附属等の部品(以下、単に「部品」という)を溶接手段で固定する場合は、部品を閉断面構造体の外周面に溶接することに限られていた。
そこで、自動車においては、一般に、閉断面を有する閉断面構造体に部品を設置する場合、次の3つの方法が行われている。
(1) 閉断面構造体の壁面に、閉断面に内設する部品を搬入することが可能な大きさの孔を穿設し、その孔から閉断面内に前記部品を入れて閉断面の内壁に取り付ける方法。
(2) 断面コ字状のアウタ部材およびインナ部材の2つの部材で閉断面を有する閉断面構造体を形成する方法であって、その2つの部材を結合する前に閉断面の内壁を形成する箇所に予め部品を取り付けておく方法。
(3) 閉断面構造体の閉断面内に部品を設置することを廃止して、構造部材の外周面に部品を固定する方法。
特許第3039219号公報
しかしながら、前記閉断面構造体に孔を穿設する従来の前記方法(1)では、閉断面構造体の壁面に、閉断面内に設置する部品を搬入するための孔を穿設した場合、その孔が部品より大きいので、孔より大きな別部材によって孔を閉塞しなければならず、部品点数および作業工数が増加してコストアップになるという問題点があった。
前記閉断面構造体を2つの部材で形成する従来の方法(2)では、閉断面構造体が2つの部材に分割されているので、閉断面構造体の内壁に部品を取り付ける作業が行い易くなるものの、その部品を閉断面構造体内に取り付けた後に、2つの部材を合わせて閉断面構造体を形成するときに、部品が邪魔になって作業が行い難くなると共に、溶接して接合する箇所が多いので過大な工数がかかるという問題点があった。
前記構造部材の外周面に部品を固定する従来の方法(3)では、部品を構造部材に容易に固定できるが、セットした部品に別部品(例えば、プレート等)を溶接等で組み付ける場合、溶接に対して不利な剥離方向に外力が負荷される可能性があるときに、溶接代を延長して大きく取らなければならないので、別部品の大型化によって重量が重くなるという問題点があった。
このように、前記(1)〜(3)のいずれの場合であっても、従来では、部品点数および組付工数の増加や、部品の大型化によって、材料費等がコストアップになるという問題点があった。
そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく発明されたものであり、閉断面構造体に締結具を低コストで固定することができる締結具固定構造および締結具固定方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の締結具固定構造は、閉断面を有する長尺の閉断面構造体の壁面に開口を穿設して、前記閉断面の外側に設けた前記締結具と前記閉断面内に設けた被締結部とを締結させる締結具固定構造であって、前記被締結部を備え前記開口より大きなベース部材を、前記閉断面内に配置したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、閉断面を有する長尺の閉断面構造体に締結具を締結する場合は、閉断面内のベース部材に備えた被締結部に締結することにより、締結具を被締結部に固定する。閉断面構造体の壁面に設けた開口は、締結具を挿通することができる大きさであればよく、また、ベース部材は、その開口を閉塞できる大きさに形成した閉断面内に配置する。このため、閉断面構造体の閉断面内に取り付けるベース部材等の部品は、開口を閉断面の内側から重ねるようにして閉塞できる大きさであればよい。
したがって、閉断面構造体内に被締結部を設けるために設置するベース部材等の部品を、溶接代を設けるなどして必要以上に大きくする必要がないので、閉断面構造体内に設けるそれらの部品を小型化して、重量を最小限に抑制することができる。これにより、閉断面構造体に締結具を低コストで固定することができるようになる。
請求項2に記載の締結具固定構造は、請求項1に記載の締結具固定構造であって、前記閉断面構造体は、車両に搭載される筒状のフレーム部材からなると共に、その一端に開口端部を有し、前記ベース部材は、前記開口端部から前記閉断面内に挿入されて、前記開口を閉塞する位置に配置され、前記締結具は、シートベルトを車体に固定するためのシートベルトアンカを介在して前記被締結部に螺合させたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ベース部材は、車両において、フレーム部材の開口端部から閉断面内に挿入して開口を閉塞するように配置する。シートベルトアンカは、締結具が、フレーム材に内設された被締結部に螺合することで、フレーム材に固定する。このため、シートベルトアンカは、フレーム材の壁面の外側に、締結具以外の特別な部材を設けることなく、その壁面に固定することができるので、フレーム材の外側をシンプルな構造にすることができる。
請求項3に記載の締結具固定構造は、請求項1または請求項2に記載の締結具固定構造であって、前記閉断面構造体および前記ベース部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のものからなり、前記締結具および前記被締結部は、鉄製のものからなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の閉断面構造体と、この閉断面構造体内に設けたアルミニウム製またはアルミニウム合金製のベース部材とを固定することができる。鉄製(鋼製)の締結具を、閉断面構造体の外側からシートベルトアンカ等の部材と、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の閉断面構造体およびベース部材とを介在して、閉断面構造体内の鉄製(鋼製)の被締結部に締結することができる。
請求項4に記載の締結具固定構造は、請求項3に記載の締結具固定構造であって、前記被締結部は、ブラケットを介在して前記ベース部材に固定され、前記ブラケットは、前記被締結部に設けた被締結用ベースが係合される係合部を有するアルミニウム製またはアルミニウム合金製のものからなると共に、前記ベース部材に溶接させたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、被締結部をベース部材に固定するためのアルミニウム製またはアルミニウム合金製のブラケットは、被締結部の被締結用ベースを係合部に係合してベース部材に溶接することによって固定する。
請求項5に記載の締結具固定方法は、閉断面を有し、一端に開口端部を有する長尺の閉断面構造体の壁面に開口を穿設して、前記閉断面の外側に設けた前記締結具と前記閉断面内に設けた被締結部とを締結させる締結具固定方法であって、前記開口より大きなベース部材を、前記開口端部から前記閉断面内に挿入して前記閉断面内にリベットで固定した後、当該ベース部材を前記閉断面内に前記閉断面構造体の外側から溶接し、前記締結具と前記被締結部とを締結することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、閉断面構造体の開口より大きなベース部材を、開口端部から閉断面内に挿入して、閉断面内にリベットで固定(仮止め)した後、閉断面構造体と、この閉断面構造体内のベース部材と、を閉断面構造体の外側から片側溶接する。このようにすることによって、閉断面構造体とこの閉断面構造体内のベース部材とを容易に溶接して、両者を互いに固定することができる。この場合は、ベース部材に、被締結部等を有する部品を取り付けることによって、閉断面構造体の外側の締結具を閉断面構造体に内設した被締結部に固定することができる。
請求項6に記載の締結具固定方法は、請求項5に記載の締結具固定方法であって、前記閉断面構造体は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製からなり、前記閉断面内に設けたアルミニウム製またはアルミニウム合金製の前記ベース部材を当該閉断面構造体の外側からポップリベットで固定し、さらに、片側溶接することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、ベース部材を開口端部から閉断面内に挿入して、閉断面内にポップリベットで固定(仮止め)した後、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の閉断面構造体と、この閉断面構造体内のアルミニウム製またはアルミニウム合金製のベース部材と、を閉断面構造体の外側から片側溶接する。このようにすることによって、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の閉断面構造体と、この閉断面構造体内のアルミニウム製またはアルミニウム合金製のベース部材と、を容易に溶接して、両者を互いに固定することができる。この場合は、ベース部材に、鉄製(鋼製)の被締結部等を有する部品を取り付けることによって、閉断面構造体の外側の鉄製の締結具を閉断面構造体に内設した被締結部に固定することが可能である。
本発明に係る締結具固定構造および締結具固定方法によれば、閉断面構造体に締結具を低コストで固定することができる締結具固定構造および締結具固定方法を提供することができる。
次に、図1〜図6を参照して本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法の一例を説明する。
本発明に係る締結具固定構造および締結具固定方法は、閉断面を有する閉断面構造体内に、ベース部材等を介在して被締結部を設けて、閉断面構造体外の締結具を閉断面構造体内の被締結部に固定するものである。以下、本発明の実施形態の一例として、車両に搭載するシートベルトを車体に固定するためのシートベルトアンカを締結具(ボルト)で、閉断面構造体(サイドシル)内の被締結部(ナット)に固定する場合を例に挙げて説明する。
なお、車両の進行方向を「前」、後退方向を「後」、車幅方向を「左」、「右」として説明する。まず、締結具(ボルト)を説明する前に、この締結具(ボルト)が固定される車両、車体、および閉断面構造体(サイドシル)について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、(a)はサイドシルの斜視図、(b)はシートベルトアンカの設置状態を示す要部拡大図である。
≪車両の構成≫
車両(図示せず)は、車体の左右側方に、前後方向に延設した図1(a)に示す閉断面構造体1からなるサイドシル11をそれぞれ備えている。車両は、閉断面構造体1を有する自動車であればよく、車両の型式等は特に限定されない。以下、乗用車の車体右側下方に搭載したサイドシル11を例に挙げて実施形態を説明する。
なお、車両には、サイドシル11以外に、閉断面構造体1としてのフレーム部材等を各所に備えており、そのフレーム部材等に各種部品が締結具(ボルト2)と被締結部(ナット6(図3参照))とで固定されている。
≪閉断面構造体およびサイドシルの構成≫
図1(a)に示すように、閉断面構造体1は、少なくとも閉断面1aを有する長尺の金属製部材からなる。
サイドシル11は、車両軽量化のためにアルミニウム材またはアルミニウム合金材等の軽金属(以下、単に「アルミ」という)によって形成されたフレーム部材であり、押し出し成形したアルミ押し出し成形品からなる。サイドシル11は、車体の一部を構成する部材であり、車両の車体フロア部において、不図示のフロントピラーやセンタピラーなどと連結して一体に形成されている。サイドシル11は、略四角形の閉断面1aを有し、両端部に開口端部1d,1dを有する長尺の筒状部材からなり、当該サイドシル11の内側および外側に、適宜に補強部材12が設置されている。
図1(b)に示すように、サイドシル11の壁面1bには、ボルト2、シートベルトアンカ3、およびポップリベット7,7が設置されている。サイドシル11の閉断面1a内には、ベース部材4と、ブラケット5と、ナット6とが設置されている(図2および図3参照)。
図2は、本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、シートベルトアンカの取り付け状態を示す拡大分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、サイドシルに内設した部材の取り付け状態を示す拡大分解斜視図である。
図2および図3に示すように、サイドシル11の略中央部の車内側(表面側)の壁面1bには、シートベルトアンカ3の座部3cを略面一に配置した開口1cと、一対のポップリベット7をそれぞれ挿入するためのリベット挿通孔1e,1eと、が穿設されている。開口1cは、前記座部3cがこの開口1cを閉塞したベース部4の表面に密着するように、座部3cより大きい縦長の長方形の形状に形成されている。リベット挿通孔1e,1eは、例えば、開口1cの前後に適宜な間隔を介して穿設された一対の孔からなる。
≪ボルトの構成≫
図2および図3に示すように、ボルト2(締結具)は、シートベルトアンカ3をサイドシル11の開口1cに配置したベース部材4に固定するための部材であり、例えば、汎用の六角ボルトからなる。ボルト2は、シートベルトアンカ3を介在して、ベース部材4のボルト挿通孔4a、ブラケット5のボルト挿通孔5aを挿通してナット6のねじ孔6aに螺合することで、シートベルトアンカ3をサイドシル11に固定されている。ボルト2およびナット6は、鉄製(鋼製)または鉄合金製のものからなる。
≪シートベルトアンカの構成≫
シートベルトアンカ3は、シートベルト8(図6参照)の一端を車体に固定するための金具であり、全体が正面視してヘの字状に折曲された金属製厚板部材からなる。シートベルトアンカ3は、ボルト2が挿通されるボルト挿通孔3aと、中央部にボルト挿通孔3aが穿設されたベース部材4の表面側に密着する座部3cと、シートベルト8の端部を挿通させるためのベルト挿通孔3bと、このベルト挿通孔3bが穿設されたベルト連結部3dと、を有する。
≪ベース部材の構成≫
図2および図3に示すように、ベース部材4は、サイドシル11の開口1cを閉断面1aの内側から閉塞するための部材であり、開口1cより大きな平板状部材からなる。ベース部材4は、例えば、略六角形のアルミの厚板部材からなる。ベース部材4には、ボルト挿通孔4aと、リベット挿通孔4b,4bと、位置決め凸部4c,4cと、が穿設されている。ベース部材4は、サイドシル11の前後両端に形成した開口端部1d(図1(a)参照)から治具(図示せず)によって閉断面1a内に挿入されて、開口1cを閉塞する位置に位置決めして配置される。
図2に示すように、ベース部材4は、サイドシル11に対して、ポップリベット7,7と、溶接部A,Bをミグ溶接あるいはミグスポット溶接等で溶接することによって固定されている。ベース部材4をサイドシル11に固定する溶接部Aは、例えば、開口1cの前側の縁部の一箇所に交差して前後方向に向けて溶着するように設けられている。溶接部Bは、開口1cにおいて、溶接部Aに点対称な位置である開口1cの後側の縁部に交差して前後方向に向けて設けられている。
図3に示すように、ボルト挿通孔4aは、ボルト2を挿通するための孔であり、ベース部材4の中央部に、ボルト挿通孔3aに合致するように設けられている。
リベット挿通孔4b,4bは、一対のポップリベット7がそれぞれ挿通される孔であり、リベット挿通孔1e,1eに合致するように設けられている。
位置決め凸部4c,4cは、ブラケット5の位置決め部5d,5dに係合することによって、ブラケット5をベース部材4の所定位置に設置するための部位である。位置決め凸部4c,4cは、ボルト挿通孔4aとリベット挿通孔4bとの間に、前記位置決め部5d,5dに合致するように設けられている。この位置決め凸部4c,4cは、例えば、この位置決め凸部4c,4cがあるベース部材4の反対側にポンチ等を打つことによって、ブラケット側に膨らんだ形状に形成されている。なお、この位置決め凸部4c,4cは、ベース部材4に固定または着脱自在な棒状の部材やピン等であっても構わない。
≪ブラケットの構成≫
図3に示すように、ブラケット5は、鉄製のナット6をアルミ製のベース部材4に固定させるための部材であり、車両前後方向から見てコ字状に折曲形成したアルミ製の厚板部材からなる。ブラケット5は、ボルト挿通孔5aと、突出片5b,5bと、係合部5cと、位置決め部5d,5dと、を有している。
ボルト挿通孔5aは、ボルト2のねじ部2aを挿通するための孔であり、ブラケット5の中央部に穿設されている。
突出片5b,5bは、ブラケット本体5eの上下端部からそれぞれナット6(被締結部)側に突設されて、被締結用ベース6bを上下両側から支持して被締結用ベース6bが上下動するのを阻止するように形成されている。突出片5b,5bは、ブラケット本体5eと一体に形成して折曲形成したものでも、溶接してブラケット本体5eに接合したものであってもどちらでも構わない。
係合部5c,5cは、被締結用ベース6bの上下両端部に設けた突起6c,6cを挿入するための孔であり、突出片5b,5bの基端部中央にそれぞれ穿設されている。
位置決め部5d,5dは、位置決め凸部4c,4cが係合する部位であり、ブラケット本体5eの前後端部の中央に切欠形成した半円状のものからなる。位置決め部5d,5dは、ブラケット5をベース部材4の所定位置に設置するための位置決め部材としての役目と、ボルト2を回動してボルト締めするときに、ナット6およびブラケット5が回動するのを阻止する回転防止部の役目と、を果たす。なお、この位置決め部5d,5dは、位置決め凸部4c,4cが係合するものであればよく、円形のものであっても構わない。
ブラケット本体5eは、ベース部材4の閉断面内側に固定されて、前後方向に長く形成された平板状の略長方形の形状をしている。突出片5b,5b間に被締結用ベース6bを挿入して、その係合部5c,5cに突起6c,6cを係合させたときに、ブラケット本体5eが、ナット6と一体に形成された被締結用ベース6bに密着するように設置されている。
図3に示すように、前記ブラケット5は、位置決め部5d,5dを位置決め凸部4c,4cに係合してブラケット5をベース部材4に位置決めした状態で、ボルト2をボルト挿通孔5aに挿通してナット6のねじ孔6aに螺合することと、ブラケット5の一端側の溶接部C(図2参照)をベース部材4に溶接することと、によりベース部材4に固定されている。
ちなみに、溶接部C(図2参照)は、ブラケット5とベース部材4とをミグ溶接、ミグスポット溶接等で溶接する箇所であり、例えば、ブラケット5の前側端部とこの前側端部に連続する前側上端部とに設けられる。
図4は、本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、(a)は閉断面構造体のリベット挿通孔にリベットを挿通したときの状態を示す要部拡大断面図、(b)はリベットの座屈部をかしめたときの状態を示す要部拡大断面図である。
≪ポップリベットの構成≫
図4(a)、(b)に示すように、ポップリベット7(リベット)は、ベース部材4をサイドシル11の閉断面1a内に固定するための締結部材である。ポップリベット7は、リベット本体であるスリーブ7aをサイドシル11の表面側から取り付けることが可能な周知の片側工法に使用されるリベットからなる。ポップリベット7は、スリーブ7aと、このスリープ7a内に進退自在に挿入されたピン7bと、から主に構成されている。
スリーブ7aは、リベット挿通孔1e,4eに挿通される筒状の部材からなり、表面側の端部に形成されてサイドシル11の壁面1bに当接するフランジ部7eと、閉断面側の内端に形成されてピン7bの頭部7cに押されて座屈変形する座屈部7dと、を有している。
ピン7bは、閉断面側の先端に頭部7cを有する棒状の部材によって形成されている。
ポップリベット7のスリーブ7aおよびピン7bは、例えば、アルミ製の材料によって形成されている。
前記ポップリベット7は、サイドシル11の表面側からリベット挿通孔1eおよびベース部材4をリベット挿通孔4bに挿入した後、ピストル状のリベッター(図示せず)によってピン7bを表面側へ引っ張ることで、このピン7bの先端に形成した頭部7cがスリーブ7aに食い込んでスリーブ7aの端部に形成された座屈部7dを外側に拡開させてかしめ固定することが可能になっている。また、ピン7bの余分な箇所(2点鎖線で示す箇所)は、最終的に破段する。
図5は、図1(b)のX−X拡大断面図であり、ボルトをナットに装着する前の状態を示す。図6は、図5のY−Y拡大断面図であり、ボルトをナットに装着した後の状態を示す。
≪ナットの構成≫
図5および図6に示すように、ナット6(被締結部)は、ボルト2(締結具)のねじ部2aがねじ孔6aに螺合することで、このナット6とボルト2との間に介在された部材を固定させるための固定部である。ナット6は、ねじ孔6aを有する鉄製の筒部6dと、上下方向に突出した突起6c,6cを有する鉄製の被締結用ベース6bと、を溶接手段等で一体に固定するか、または、筒部6dと被締結用ベース6bと鉄製材料で一体形成すことによって形成されている。
ねじ孔6aは、ねじ部2aが螺合する雌ねじ部である。筒部6dは、中央部にねじ孔6aを形成する部材であり、汎用ナットでも構わない。被締結用ベース6bは、座金の機能を果たす四角形の厚板部材からなり、突出片5b,5b間に係合するように上下方向の長さが形成されている。この被締結用ベース6bは、筒部6dに一体形成するか、または、溶接等によって筒部6dを一体に固定されている。突起6c,6cは、被締結用ベース6bの上下に突出形成されて、係合部5c,5cに挿入される部位である。
前記ナット6は、突起6c,6cを係合部5c,5cに係合し、ボルト2のねじ部2aをねじ孔6aに螺合させてボルト締めすることと、被締結用ベース6bの後端部の溶接部D(図2参照)をブラケット5に溶接することと、によってブラケット5に固定されて、サイドシル11の閉断面1aの内側において、動かないように配置されている。
溶接部D(図2参照)は、ナット6の被締結用ベース6bとベース部材4とをミグ溶接、ミグスポット溶接等で溶接する箇所であり、例えば、被締結用ベース6bの後側端部とこの後側端部に連続する後側上端部である。
≪作用≫
次に、図1〜図6を参照して、本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法の作用を説明する。
この場合、まず、図3に示すナット6の突起6c,6cをブラケット5の係合部5c,5cに係合する。図2に示すように、被締結用ベース6bの端部とブラケット5とを溶接部Dを溶接することによって接合する。
次に、図3に示すように、ブラケット5の位置決め部5d,5dをベース部材4の位置決め凸部4cに係合することによって、ブラケット5をベース部材4に位置決めした状態で、図2に示すように、ブラケット5の端部とベース部材4とを溶接部Cを溶接することで接合する。これにより、ナット6とブラケット5とベース部材4とを一体化する。
このようにして一体になったナット6とブラケット5とベース部材4を治具(図示せず)で保持して、図1(a)に示すサイドシル11の開口端部1dから閉断面1a内に挿入して所定位置に位置決めする。次に、図4(a)に示すように、ポップリベット7をサイドシル11の表面側からリベット挿通孔1e,4eに挿通して、フランジ部7eがサイドシル11の表面に当接する位置まで押し込む。図4(b)に示すように、そのポップリベット7のピン7bをサイドシル11の表面側から引っ張ると、頭部7cが先端の座屈部7dを座屈変形して、サイドシル11とベース部材4とを仮固定する。
このようにポップリベット7を使用して閉断面1a内のベース部材4をサイドシル11に固定することにより、サイドシル11の外側でリベットの取り付け作業ができるようになり、作業性がよい。
その状態で、図2に示すように、サイドシル11とベース部材4とを、溶接部A,Bを溶接することによって固定する。サイドシル11と、閉断面1a内のベース部材4とを溶接する際には、ポップリベット7によってベース部材4が閉断面1aの内壁に固定されているので、ベース部材4を支えることが不要なため、閉断面構造体1内に溶接トーチを挿入せずに、サイドシル11の外側で溶接作業ができる。溶接する際には、サイドシル11の外側に邪魔になる部材がなく、溶接トーチを自由に動かすことが可能となるので、溶接作業を容易に行うことができ、作業性がよい。
次に、図4(a)、(b)に示すように、ボルト2のねじ部2aを、ボルト挿通孔3a,4a,5aを介してねじ孔6aに螺合することによって、シートベルトアンカ3をベース部材4に固定する。
このようにすることによって、閉断面1aを有するアルミ製の筒状のサイドシル11(閉断面構造体1)の壁面1bに、開口1cより大きなベース部材4を内設して、閉断面1a内にそのベース部材4をポップリベット7で固定(仮止め)した後、さらに、閉断面構造体1の外側からベース部材4を壁面1bに片側溶接して本固定することで、シートベルトアンカ3をしっかりと車体に固定できる。
ベース部材4に固定したシートベルトアンカ3は、図6に示すように、矢印E方向(表面側方向)に引っ張る引張力を受けたとしても、ベース部材4の外周縁部が閉断面1aの内壁を押圧するだけで、溶接部A〜Dに大きな負担がかからないので、ベース部材4およびサイドシル11が有する母材の強度で対応することができる。
このため、溶接部A〜Dを大きくして溶接代を多く取ることが不用で、ベース部材4やブラケット5を必要以上に大きくする必要がないため、それらの部材を小型化してコストおよび重量を最小限に抑制することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
例えば、前記閉断面構造体1、サイドシル11、ベース部材4、およびブラケット5は、アルミ製の場合を説明したが、ボルト2およびナット6の鉄製のものとは異種の材料であればよく、例えば、マグネシルム合金やチタン合金等の軽合金であっても構わない。
なお、閉断面構造体1は、自動車のサイドシル11を例に挙げて説明したが、閉断面1aを有するものであればよく、自動車のフロントピラーやセンタピラーやリヤピラー等のサイドシル11以外のフレーム部材や、自動車以外に使用される部材にも適用できる。
サイドシル11は、閉断面1aを有する部材であればよく、インナ部材とアウタ部材等の複数の部材を接合したものでも、1つの部材からなるものでも、どちらであっても構わない。また、閉断面1aの形状は、サイドシル11の周囲に設置した部材にそれぞれに応じた断面形状に形成すればよい。
ボルト2(締結具)で閉断面構造体1に固定する部材として、シートベルトアンカ3を例に挙げて説明したが、ボルト2またはナット6で閉断面構造体1の壁面1bに固定するものであれば特に限定されず、その他のものであっても構わない。
また、ボルト2とナット6とは、互いに反対に配置しても構わない。その場合、ボルト2の頭部をブラケット5の突出片5b,5b間に係合し、ねじ部2aをブラケット5のボルト挿通孔5a,4a,3aに挿通してシートベルトアンカ3の表面側から突出し、ナット6のねじ孔6aに螺合して締結すればよい。
また、ブラケット5は、なくても構わない。つまり、鉄製(鋼製)のナット6がアルミ製のベース部材4に固定してあればよく、直接、ナット6をベース部材4に固定してもよい。
ナット6は、汎用の座付ナットの座金部分をブラケット5に係止するようにしたものであっても構わない。
本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、(a)はサイドシルの斜視図、(b)はシートベルトアンカの設置状態を示す要部拡大図である。 本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、シートベルトアンカの取り付け状態を示す拡大分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、サイドシルに内設した部材の取り付け状態を示す拡大分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る締結具固定構造および締結具固定方法を示す図であり、(a)は閉断面構造体のリベット挿通孔にリベットを挿通したときの状態を示す要部拡大断面図、(b)はリベットの座屈部をかしめたときの状態を示す要部拡大断面図である。 図1(b)のX−X拡大断面図であり、ボルトをナットに装着する前の状態を示す。 図5のY−Y拡大断面図であり、ボルトをナットに装着した後の状態を示す。
符号の説明
1 閉断面構造体
1a 閉断面
1b 壁面
1c 開口
1d 開口端部
2 ボルト(締結具)
3 シートベルトアンカ
4 ベース部材
5 ブラケット
6 ナット(被締結部)
6b 被締結用ベース
7 ポップリベット(リベット)
8 シートベルト
11 サイドシル

Claims (6)

  1. 閉断面を有する長尺の閉断面構造体の壁面に開口を穿設して、前記閉断面の外側に設けた前記締結具と前記閉断面内に設けた被締結部とを締結させる締結具固定構造であって、
    前記被締結部を備え前記開口より大きなベース部材を、前記閉断面内に配置したことを特徴とする締結具固定構造。
  2. 前記閉断面構造体は、車両に搭載される筒状のフレーム部材からなると共に、その一端に開口端部を有し、
    前記ベース部材は、前記開口端部から前記閉断面内に挿入されて、前記開口を閉塞する位置に配置され、
    前記締結具は、シートベルトを車体に固定するためのシートベルトアンカを介在して前記被締結部に螺合させたことを特徴とする請求項1に記載の締結具固定構造。
  3. 前記閉断面構造体および前記ベース部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のものからなり、
    前記締結具および前記被締結部は、鉄製のものからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の締結具固定構造。
  4. 前記被締結部は、ブラケットを介在して前記ベース部材に固定され、
    前記ブラケットは、前記被締結部に設けた被締結用ベースが係合される係合部を有するアルミニウム製またはアルミニウム合金製のものからなると共に、前記ベース部材に溶接させたことを特徴とする請求項3に記載の締結具固定構造。
  5. 閉断面を有し、一端に開口端部を有する長尺の閉断面構造体の壁面に開口を穿設して、前記閉断面の外側に設けた前記締結具と前記閉断面内に設けた被締結部とを締結させる締結具固定方法であって、
    前記開口より大きなベース部材を、前記開口端部から前記閉断面内に挿入して前記閉断面内にリベットで固定した後、当該ベース部材を前記閉断面内に前記閉断面構造体の外側から溶接し、前記締結具と前記被締結部とを締結することを特徴とする締結具固定方法。
  6. 前記閉断面構造体は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製からなり、前記閉断面内に設けたアルミニウム製またはアルミニウム合金製の前記ベース部材を当該閉断面構造体の外側からポップリベットで固定し、さらに、片側溶接することを特徴とする請求項5に記載の締結具固定方法。
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