JP2009133396A - プーリ構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム弾性体を使用することなく、回転体に生じた回転変動を速やかに減衰させることが可能なプーリ構造体を提供することである。
【解決手段】プーリ構造体1は、ベルト106が巻き掛けられるプーリ2と、プーリ2に対して相対回転可能なハブ3と、プーリ2に設けられた4つの第1磁石17と、ハブ3に4つの第1磁石17と対向するように設けられた第2磁石18とを備えている。これによれば、ハブ3に回転変動が発生したときに、第1磁石17と第2磁石18との間に働く磁力によって、プーリ2とハブ3の間に、両者の回転速度差を解消するようにトルクが作用する。
【選択図】図2
【解決手段】プーリ構造体1は、ベルト106が巻き掛けられるプーリ2と、プーリ2に対して相対回転可能なハブ3と、プーリ2に設けられた4つの第1磁石17と、ハブ3に4つの第1磁石17と対向するように設けられた第2磁石18とを備えている。これによれば、ハブ3に回転変動が発生したときに、第1磁石17と第2磁石18との間に働く磁力によって、プーリ2とハブ3の間に、両者の回転速度差を解消するようにトルクが作用する。
【選択図】図2
Description
本発明は、相対回転可能な2つの回転体を有するプーリ構造体に関する。
従来から、相対回転可能に連結された2つの回転体を有するプーリ構造体として、2つの回転体の一方に回転変動が生じたときに、その回転変動を減衰させるための構成を備えたものが知られている。
例えば、特許文献1に記載のプーリ構造体は、ベルトが巻回されるプーリ(第1回転体)と、プーリの内側において、このプーリに対して相対回転可能に設けられ、且つ、エンジンの出力軸に連結されるハブ(第2回転体)と、プーリとハブとを連結するゴム弾性体(ゴムカップリング)とを有する。そして、エンジンのトルク変動に応じてハブに回転変動が生じたときには、ハブとプーリの間のゴム弾性体が弾性変形することによって、その回転変動を吸収するように構成されている。
また、特許文献2に記載のプーリ構造体は、クランクシャフトに組み付けられたダンパ本体(第1回転体)と、ダンパ本体内側に設けられたダンパマス(第2回転体)とを有する。ダンパマスには、周方向に配置された複数の永久磁石が固定され、一方、ダンパ本体には、ダンパマスの複数の永久磁石と対向する銅板が固定されている。そして、クランクシャフトに生じた捩り振動に起因して、ダンパ本体とダンパマスの間に回転速度差が発生すると、永久磁石と銅板の間の速度差によって銅板に渦電流が発生する。このとき、銅板に発生した渦電流によって2つの回転体(ダンパ本体とダンパマス)の間に両者間の速度差を小さくするような力が作用し、ダンパ本体の回転変動が抑制される。
しかし、特許文献1のプーリ構造体のように、2つの回転体がゴム弾性体で連結されている場合には、ゴム弾性体の経年劣化や疲労破壊に起因する故障が発生する。また、一方の回転体に過大な回転変動が生じたときには、ゴム弾性体にその弾性変形の範囲を超える過大な力が作用し、ゴム弾性体が破損してしまう虞もある。さらに、ゴム弾性体の弾性変形時の発音が問題になる場合もある。
一方、特許文献2のプーリ構造体のように、永久磁石と銅板との間の速度差に起因して銅板に生じる渦電流によって、2つの回転体に両者の速度差を小さくするような抑制力を作用させる構成では、ゴム弾性体を用いる必要がないことから、上述したような問題は生じない。しかし、渦電流により2つの回転体に作用させることのできる抑制力はかなり小さいものであり、一方の回転体に生じる回転変動が大きい場合には、その回転変動を速やかに減衰させることは困難である。
本発明の目的は、ゴム弾性体を使用することなく、回転体に生じた回転変動を速やかに減衰させることが可能なプーリ構造体を提供することである。
第1の発明のプーリ構造体は、第1回転体と、前記第1回転体に対して相対回転可能な第2回転体と、前記第1回転体に設けられた第1磁石と、前記第2回転体に前記第1磁石と対向可能に設けられた第2磁石とを有することを特徴とするものである。
本発明の構成によれば、第1回転体に設けられた第1磁石と第2回転体に設けられた第2磁石との間の磁束によって、第1回転体と第2回転体が相対回転可能な状態で連結されている。そして、一方の回転体に回転変動が発生して2つの回転体に回転速度差(位相のずれ、位相差)が生じたときには、第1磁石と第2磁石との間に働く磁力によって、第1回転体と第2回転体の間に、回転速度差を解消するようにトルクが作用する。これにより、一方の回転体に生じた回転変動が減衰される。
また、第1回転体と第2回転体に、回転速度差が小さくなるように作用する、第1磁石と第2磁石の間の磁力は、従来の渦電流によって回転体に作用する抑制力に比べると、はるかに強力である。そのため、一方の回転体に大きな回転変動が生じた場合でも、その回転変動を速やかに減衰させることが可能となる。また、回転変動を減衰するためにゴム弾性体を使用しないことから、ゴム弾性体の経年劣化や疲労破壊、あるいは、ゴム弾性体の弾性変形時の発音といった問題が生じない。
第2の発明のプーリ構造体は、前記第1の発明において、前記第1回転体に複数の前記第1磁石が周方向に並べて設けられるとともに、前記第2回転体に複数の前記第2磁石が周方向に並べて設けられ、
前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石は、前記周方向に隣接する磁石間で磁極が反対となるように配置されていることを特徴とするものである。
前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石は、前記周方向に隣接する磁石間で磁極が反対となるように配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、複数の第1磁石と複数の第2磁石が、それぞれ、周方向に磁極が反対となる(相対向する面において周方向に関してS極とN極が交互に現れる)ように配置されている。そのため、磁極が互いに異なる第1磁石と第2磁石が対向するときには、第1磁石と第2磁石の間には引き合う力が作用することから、2つの回転体は一体的に回転可能となる。
この状態から、一方の回転体に回転変動が発生して2つの回転体に回転速度差が生じたときには、対向し合う磁石が周方向にずれるため、同磁極の第1磁石と第2磁石が一瞬対向することになる。しかし、同時に、同磁極の第1磁石と第2磁石との間には反発し合う力が働くことから、第1回転体と第2回転体は、回転速度差(位相差)を解消する方向に相対回転しようとする。さらに、回転速度差が小さくなる方向に2つの回転体が相対回転し始めると、各々の第1磁石及び第2磁石には、反発し合う同極の磁石に周方向に関して隣接する、異極の磁石との間で引き合う力がさらに作用する。その結果、第1回転体と第2回転体に、両者の回転速度差を解消する方向に大きなトルクが発生することになり、回転変動が速やかに減衰される。
第3の発明のプーリ構造体は、前記第2の発明において、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石の一方が、それらの他方よりも径方向内側に配置され、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石が、前記径方向において対向していることを特徴とするものである。
この構成によれば、回転体の回転軸に沿う、第1磁石と第2磁石の内周面又は外周面が、磁力が作用する面となるため、それらの面積が大きいほど、伝達できるトルクが大きく、また、回転変動の減衰機能に優れる。逆に言えば、第1磁石と第2磁石の回転軸方向に直交する面の面積は、プーリ構造体の機能にはさほど影響しない。つまり、第1磁石と第2磁石の径方向寸法を小さくして、回転軸方向に直交する面を小さくすることが可能となるから、本発明は、径の小さいプーリ構造体に特に好適である。
第4の発明のプーリ構造体は、前記第2の発明において、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石が、前記第1回転体及び前記第2回転体の回転軸方向において対向していることを特徴とするものである。
この構成によれば、第1磁石と第2磁石の、回転軸方向に直交する面が、磁力が作用する面となるため、この回転軸に直交する面の面積が大きいほど、伝達できるトルクが大きく、また、回転変動の減衰機能に優れる。逆に言えば、第1磁石と第2磁石の内周面及び外周面の面積は、プーリ構造体の機能にはさほど影響しない。つまり、第1磁石と第2磁石の厚みを小さくすることが可能となるから、プーリ構造体の回転軸方向の寸法を小さくする場合に好適である。
第5の発明のプーリ構造体は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石は、永久磁石からなることを特徴とするものである。本発明によれば、第1回転体と第2回転体とを半永久的に磁束によって連結することができ、経年劣化が生じるゴム弾性体のように、長期間の使用によって回転変動の減衰機能が低下したり、減衰不能に陥ったりすることがない。
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、自動車用エンジンの出力軸のトルクによって補機を駆動する、補機駆動システムに用いられるプーリ構造体に本発明を適用した一例である。
図1は本実施形態の補機駆動システムの概略構成図である。図1に示すように、補機駆動システム100は、エンジンの出力軸101(レシプロエンジンのクランクシャフトや、ロータリーエンジンのエキセントリックシャフト等)に連結されたプーリ構造体1と、ウォーターポンプやオルタネータ等の各種補機にそれぞれ連結された従動軸102,103と、これら従動軸102,103にそれぞれ取り付けられた従動プーリ104,105と、プーリ構造体1のプーリ2と従動プーリ104,105にわたって架け渡された伝動ベルト106とを有する。尚、本実施形態では、伝動ベルト106として、ベルト長手方向に沿って互いに平行に延びる複数のVリブ106aを有するVリブドベルトが用いられている(図2参照)。
出力軸101のトルクによってプーリ構造体1のプーリ2が回転駆動されると、そのプーリ2の回転により伝動ベルト106が駆動される。すると、この伝動ベルト106の走行に伴って、従動プーリ104,105がそれぞれ回転駆動されることにより、ウォーターポンプやオルタネータ等の補機がそれぞれ駆動される。
次に、プーリ構造体1について詳細に説明する。図2は本実施形態のプーリ構造体1の回転軸Cを含む面に関する断面図である。図2に示すように、プーリ構造体1は、伝動ベルト106が巻回される円筒形状のプーリ2(第1回転体)と、エンジンの出力軸101に連結されるとともにプーリ2の内側に設けられたハブ3(第2回転体)を備えている。また、プーリ2とハブ3は軸受5を介して相対回転可能に連結されている。尚、図2における左側をプーリ構造体1の先端側、図2における右側をプーリ構造体1の基端側と定義して以下説明する。
プーリ2は、円筒部10と、この円筒部10の周方向外側に位置する環状のベルト巻回部11と、円筒部10とベルト巻回部11を一体的に連結する円板状の連結部12とを有する。ベルト巻回部11の外周部には、その周方向に沿って延びる複数のV溝11aが形成されている。そして、ベルト106は、その腹面側に形成された複数のVリブ106aが、複数のV溝11aにそれぞれ係合した状態で、プーリ2(ベルト巻回部11)の外周に巻回される。
ハブ3は、中心軸部14とこの中心軸部14の外周を覆うように配置された筒状のカバー部15とを有し、これら中心軸部14とカバー部15は一体形成されている。中心軸部14には、軸装着孔15aとボルト装着孔15bが形成されており、軸装着孔15aとボルト装着孔15bはそれらの先端において互いに連通している。そして、中心軸部14の軸装着孔15aに出力軸101の先端部が挿入された状態で、この出力軸101の先端部が、ボルト装着孔15bに装着されたボルト(図示省略)により固定されることで、出力軸101とハブ3とが相対回転不能に連結される。
また、ハブ3の中心軸部14は、軸受5を介してプーリ2の円筒部10に内嵌されている。つまり、プーリ2とハブ3とが軸受5を介して相対回転可能に構成されている。尚、軸受5の材料としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、真鍮、メッキ処理が施された真鍮、青銅、メッキ処理が施された青銅などを使用できる。あるいは、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、高分子量ポリエチレンなどの合成樹脂材料を使用することもできる。
プーリ2の円筒部10とハブ3のカバー部15の間には、環状の磁石収容室16が形成されており、この磁石収容室16内に、円筒部10の外周面に固定された4つの第1磁石17と、カバー部15の内周面に固定された4つの第2磁石18が収容されている。
図3は、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18の斜視図、図4は、図3に示す第1磁石17及び第2磁石18を回転軸方向から見た図である。4つの第1磁石17は、プーリ2の円筒部10の外周面において周方向に並べて設けられ、4つの第2磁石は、ハブ3のカバー部15の内周面において周方向に並べて設けられている。また、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18は、それぞれ永久磁石で構成されている。
図4,図5に示すように、各第1磁石17は中心角90度の扇形形状を有し、4つの第1磁石17は周方向に並べて配置されることで、環状磁石体20を構成している。また、各第2磁石18は、第1磁石17よりも一回り大きい中心角90度の扇形形状を有し、4つの第2磁石18は周方向に並べて配置されることで、第1磁石17よりも大径の環状磁石体21を構成している。また、4つの第2磁石18からなる環状磁石体21は、4つの第1磁石17からなる環状磁石体20の外側に配置されており、第1磁石17と第2磁石18とが、回転軸Cと直交する径方向に関して対向している。
さらに、4つの第1磁石17は、周方向に隣接する磁石間で、第2磁石18と対向する外周面の磁極(S極又はN極)が反対となるように配置されている。また、4つの第2磁石18も、周方向に隣接する磁石間で、第1磁石17と対向する内周面の磁極が反対となるように配置されている。つまり、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18は、それらの外側面及び内側面において、周方向に関してS極とN極が交互に現れるように配置されている。
次に、本実施形態のプーリ構造体1の作用について説明する。
図4に示すように、径方向に関して対向する第1磁石17と第2磁石18の磁極が異なっている状態では、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18が互いに引き合うため、第1磁石17が固定されたプーリ2と第2磁石18が固定されたハブ3は一体的に回転する。
図4に示すように、径方向に関して対向する第1磁石17と第2磁石18の磁極が異なっている状態では、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18が互いに引き合うため、第1磁石17が固定されたプーリ2と第2磁石18が固定されたハブ3は一体的に回転する。
このように、プーリ2とハブ3が一体回転している状態から、エンジンの爆発行程において発生する大きなトルクが出力軸101に伝達されて、ハブ3に大きな回転変動が生じると、プーリ2とハブ3の間には回転速度差(位相差)が生じる。
このとき、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18の周方向相対位置がずれることから、第1磁石17から見ると、先ほど対向していた第2磁石18から周方向に1つずれた第2磁石18と対向することになり、その結果、同磁極の第1磁石17と第2磁石18が一瞬対向することになる。しかし、同時に、第1磁石17と第2磁石18の間に反発し合う力が働くことから、プーリ2とハブ3の間に回転速度差が小さくなるようにトルクが発生する。これにより、ハブ3に生じた回転変動が、プーリ2に伝達される際に減衰される。
さらに、同磁極の第1磁石17と第2磁石18との間に生じる反発力によって、回転速度差が小さくなる方向にプーリ2とハブ3が相対回転し始めると、各々の第1磁石17及び第2磁石18には、反発し合う同極の磁石に対して相対回転方向に隣接した、異極の磁石との間で引き合う力が作用する。従って、プーリ2とハブ3の間の回転速度差がより短時間で解消されることになり、回転変動が速やかに減衰される。
また、本実施形態では、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18は、それぞれ永久磁石で構成されている。そのため、プーリ2とハブ3とが、永久磁石から半永久的に発せられる磁束によって連結されることになり、長期間の使用によって経年劣化や疲労破壊等が生じるゴム弾性体のように、回転変動を減衰させる機能が低下したり、減衰不能に陥ったりすることがない。
ところで、第1磁石17と第2磁石18の、相対向する面の面積が大きいほど、両磁石の間の磁束が増えて磁力(引き合う力、あるいは、反発し合う力)が強くなる。つまり、プーリ2とハブ3の間で伝達できるトルクが大きくなり、また、回転変動の減衰機能に優れる。
本実施形態のプーリ構造体1においては、4つの第1磁石17からなる環状磁石体20が、4つの第2磁石18からなる環状磁石体21よりも径方向内側に配置されており、4つの第1磁石17と4つの第2磁石18が、径方向において対向している。つまり、相対向する第1磁石17の外周面と第2磁石18の内周面が、それぞれ磁力が作用する面となる。従って、プーリ2とハブ3の間で大きなトルクを伝達可能とするとともに、回転変動を速やかに減衰させるためには、第1磁石17の外周面と第2磁石18の内周面の面積はできるだけ大きいことが好ましい。
逆に言えば、第1磁石17と第2磁石18の回転軸Cに直交する面(即ち、図2における左右両端面)の面積は、プーリ構造体1の機能にはさほど影響しない。従って、第1磁石17と第2磁石18の径方向寸法を小さくして、両磁石の回転軸Cに直交する面の面積を小さくすることが可能であり、本実施形態の構成は、比較的小径のプーリ構造体1の径に特に適している。
以上説明した本実施形態のプーリ構造体1によれば、次のような効果が得られる。
ハブ3に発生した回転変動によりプーリ2とハブ3との間に回転速度差(位相差)が生じたときに、第1磁石17と第2磁石18の間に磁力が生じることにより、プーリ2とハブ3の間に、回転速度差を小さくするようにトルクが発生する。従って、ハブ3の回転変動が、プーリ2に伝達される際に速やかに減衰される。
ハブ3に発生した回転変動によりプーリ2とハブ3との間に回転速度差(位相差)が生じたときに、第1磁石17と第2磁石18の間に磁力が生じることにより、プーリ2とハブ3の間に、回転速度差を小さくするようにトルクが発生する。従って、ハブ3の回転変動が、プーリ2に伝達される際に速やかに減衰される。
また、プーリ2とハブ3との間に回転速度差を小さくするように作用する、第1磁石17と第2磁石18の間の磁力は、従来知られている渦電流による回転変動抑制力に比べると、はるかに強力である。そのため、ハブ3に生じた回転変動を速やかに減衰させることが可能となる。また、回転変動を減衰するためにゴム弾性体を使用しないことから、ゴム弾性体の経年劣化や疲労破壊、あるいは、ゴム弾性体の弾性変形時における発音といった問題が生じない。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]第1磁石と第2磁石の形状や配置については、プーリ構造体のサイズやハブ3とプーリ2の間で伝達するトルクの大きさ、あるいは、ハブ3に生じる回転変動の程度などの、種々の条件に応じて適宜変更することが可能である(変更形態1)。
例えば、図5(a)〜図5(d)に示すように、第1磁石17(17A〜17D)と第2磁石18(18A〜18D)の配置数の変更や、あるいは、第1磁石17と第2磁石18の形状の変更(この例では、扇形の中心角を変更)が可能である。
さらに、複数の第1磁石17及び複数の第2磁石18が、周方向に連なって配置されている必要も特になく、図6(a)〜図6(f)に示すように、隣接する第1磁石17(17E〜17J)同士又は第2磁石18(18E〜18J)同士が周方向に間隔を空けて配置されてもよい。
尚、上述した変更形態の中で、図6(f)の形態においては、他の形態とは異なり、第1磁石17Jは常に何れかの第2磁石18Jと対向する訳ではなく、第1磁石17Jと第2磁石18Jは相対向しない状態を取り得るようになっている。しかし、基本的な作用・効果は、前記実施形態や図5、図6に示す他の変更形態と同様の作用・効果と同様である。
即ち、図6(f)において、例えば、3つの第1磁石17Jの外周側磁極と3つの第2磁石18Jの内周側磁極が全て同じにされていると、プーリ2とハブ3の間に回転速度差が生じた場合に、第1磁石17Jと第2磁石18Jとが対向して両磁石17J,18Jの間に反発力が生じ、プーリ2とハブ3の間に回転速度差が小さくなる方向にトルクが作用する。
また、上で述べた図6(f)の例からも分かるように、複数の第1磁石17と複数の第2磁石18は、必ずしも、周方向に隣接する磁石間で磁極が逆になっている必要はなく、周方向に隣接する磁石の磁極が同じであっても、プーリ2とハブ3の間に、回転速度差が小さくなるようなトルクを発生させることは可能である。
また、複数の第1磁石17と複数の第2磁石18の配置関係が逆、即ち、ハブ3に固定された複数の第2磁石18が、プーリ2に固定された複数の第1磁石17よりも径方向内側に配置されていてもよい。
2]図7、図8に示すプーリ構造体31のように、プーリ2に設けられた複数(例えば4つ)の第1磁石37と、ハブ3に設けられた複数(例えば4つ)の第2磁石38とが、プーリ2及びハブ3の回転軸方向(図7の左右方向)に関して対向してもよい(変更形態2)。
図8に示すように、4つの第1磁石37は、周方向に隣接する磁石間で、第2磁石38との対向面(図7、図8の左面)における磁極が逆になるように配置されている。4つの第2磁石38も、周方向に隣接する磁石間で、第1磁石37との対向面(図7、図8の右面)における磁極が逆になるように配置されている。
このように、プーリ構造体31は、第1磁石37と第2磁石38が対向する方向に関して、前記実施形態のプーリ構造体1(図2)とは異なるものの、その作用・効果はほぼ同じである。
即ち、回転軸方向に関して相対向する第1磁石37と第2磁石38の磁極が異なる状態では、4つの第1磁石37と4つの第2磁石38が互いに引き合うため、プーリ2とハブ3は一体的に回転する。
この状態から、ハブ3に回転変動が生じて、プーリ2とハブ3の間に回転速度差(位相差)が生じると、相対向する第1磁石37と第2磁石38が周方向にずれて、同磁極の第1磁石37と第2磁石38が対向することになる。従って、第1磁石37と第2磁石38との間に生じる反発力によって、プーリ2とハブ3の間に両者の回転速度差が小さくなるようにトルクが発生する。これにより、ハブ3に生じた回転変動が、プーリ2に伝達される際に速やかに減衰される。
尚、このプーリ構造体31においては、回転軸Cに直交する面(図7における第1磁石37の左面と第2磁石38の右面)が、磁力が作用する面となるため、この回転軸Cに直交する面の面積が大きいほど、伝達できるトルクが大きく、また、回転変動の減衰機能に優れる。逆に言えば、第1磁石37と第2磁石38の、回転軸Cに沿った内外周面の面積は、プーリ構造体31の機能にはさほど影響しない。つまり、第1磁石37と第2磁石38の厚みを薄くすることが可能であることから、この変更形態は、プーリ構造体31の回転軸方向の寸法を小さくしたい場合に好適である。
3]図9、図10に示すプーリ構造体41のように、第1磁石47(47a,47b)と第2磁石48(48a,48b)が、径方向に交互に配置されてもよい(変更形態3)。あるいは、図11、図12に示すプーリ構造体51のように、第1磁石57(57a,57b)と第2磁石58(58a,58b)が、回転軸Cの方向に交互に配置されてもよい(変更形態4)。これらの構成によれば、第1磁石と第2磁石の相対向する面の面積を一層大きくすることができる。
4]前記実施形態では、第1磁石と第2磁石は共に永久磁石で構成されていたが、第1磁石と第2磁石の一方、又は、両方が、電磁石で構成されてもよい。
以上、本発明の実施形態として、エンジンの補機駆動システムのプーリ構造体に本発明を適用した一例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。例えば、建築建材、家具、機械装置などの分野において、窓、ドア、蓋等の開閉部材の開閉角度に応じてトルクを変化させるために使用されるプーリ構造体など、様々な用途に使用されるプーリ構造体にも適用することが可能である。
1 プーリ構造体
2 プーリ
3 ハブ
17 第1磁石
18 第2磁石
31 プーリ構造体
37 第1磁石
38 第2磁石
41 プーリ構造体
47 第1磁石
48 第2磁石
51 プーリ構造体
57 第1磁石
58 第2磁石
2 プーリ
3 ハブ
17 第1磁石
18 第2磁石
31 プーリ構造体
37 第1磁石
38 第2磁石
41 プーリ構造体
47 第1磁石
48 第2磁石
51 プーリ構造体
57 第1磁石
58 第2磁石
Claims (5)
- 第1回転体と、
前記第1回転体に対して相対回転可能な第2回転体と、
前記第1回転体に設けられた第1磁石と、
前記第2回転体に前記第1磁石と対向可能に設けられた第2磁石と、
を有することを特徴とするプーリ構造体。 - 前記第1回転体に複数の前記第1磁石が周方向に並べて設けられるとともに、前記第2回転体に複数の前記第2磁石が周方向に並べて設けられ、
前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石は、前記周方向に隣接する磁石間で磁極が反対となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプーリ構造体。 - 前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石の一方が、それらの他方よりも径方向内側に配置され、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石が、前記径方向において対向していることを特徴とする請求項2に記載のプーリ構造体。
- 前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石が、前記第1回転体及び前記第2回転体の回転軸方向において対向していることを特徴とする請求項2に記載のプーリ構造体。
- 前記第1磁石と前記第2磁石は、永久磁石からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプーリ構造体。
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- 2007-11-30 JP JP2007309780A patent/JP2009133396A/ja active Pending
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CN103148199B (zh) * | 2013-02-27 | 2015-12-09 | 浙江吉利汽车研究院有限公司杭州分公司 | 一种磁力减振皮带轮 |
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