JP2009127004A - 変性ポリプロピレン系樹脂およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂(A)と、極性基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂成分と、(メタ)アクリル酸の金属塩(C)と、有機過酸化物(D)とを溶融混合することを特徴としている。
【選択図】なし
Description
きない。さらに変性ポリプロピレン樹脂中に未グラフトの無水マレイン酸が残存するため、他の素材との接着性に悪影響を及ぼす可能性がある。
ポリプロピレン系樹脂(A)99〜30重量%と、極性基を有する熱可塑性樹脂(B)1〜70重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、
(メタ)アクリル酸の金属塩(C)0.1〜20重量部と、有機過酸化物(D)0.01〜10重量部とを溶融混合することが好ましい。
本発明の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法では、ポリプロピレン系樹脂(A)と、極性基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂成分と、(メタ)アクリル酸の金属塩(C)と、有機過酸化物(D)とを溶融混合する工程を有する。
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンと他のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。プロピレン以外の他のモノマーとの共重合成分量は90wt%未満であればよいが、85wt%以下であるプロピレン系樹脂が望ましい。
ク共重合体が挙げられる。また、これらの重合体または共重合体の複数種をブレンドしてもかまわない。前述のα-オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−
プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。
本発明で使用する極性基を有する熱可塑性樹脂(B)は、水酸基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、カルボン酸基の無水物、カルボン基のアイオノマー、エステル基、エポキシ基、アクリロニトリル基等の極性基を有するものであり、好ましくは、水酸基、カルボン酸基、カルボン酸基のアイオノマー、エステル基を有するものである。本発明では、これらの極性基を含有する熱可塑性樹脂であれば特に制限なく使用できる。
合体、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、およびポリ乳酸樹脂が挙げられ、より好ましくは(エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー化合物、エチレン−ビニルアルコール共重合体である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸の金属塩(C)とは、(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタクリル酸)のカルボン酸部を金属で中和したものである。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明で使用する有機過酸化物(D)としては、公知の有機過酸化物を制限なく使用できるが、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドおよびパーオキシジカーボネート構造を有する有機過酸化物からなる群から選ばれた少なくとも1種の物質であることが好ましい。
オキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ(3−メチル−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート,ジ−2−エトキシエチルパーオキシジーカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチル シクロヘキシル)パーオキシジ
カーボネート、ジミリスチルパーオキシカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類などを挙げることができる。
本発明の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法では、上述した各成分を用いて変性ポリプロピレン系樹脂を製造する。製造にあたっては、ポリプロピレン系樹脂(A)と極性基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂成分と、(メタ)アクリル酸の金属塩(C)と有機過酸化物(D)とを溶融混合する。
量は、樹脂成分100重量部に対して、成分(C)使用量が0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、成分(D)使用量が0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲であるのが望ましい。
本発明の変性ポリプロピレン系樹脂は、上述した製造方法により好適に製造することができる。上述のようにして得られた本発明の変性ポリプロピレン系樹脂は、原料であるポリプロピレン系樹脂(A)の分子量が大きく低減されることなく、金属架橋を介して極性基を有する熱可塑性樹脂(B)とグラフト共重合されたものとなるため、ポリプロピレン樹脂が本来有する溶融張力などの機械的物性、耐熱性などを保持し、かつ極性基を有する熱可塑性樹脂の特性を有して極性基を有する。
、ABS樹脂などの極性樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、タルク、モスハイジ、ガラスファイバー、カーボンブラックなどの充填材等と混合し、改質材として使用してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238の方法で、230℃、2160g荷重の条件で測定した。
Tダイ成形機(東洋精機製、ダイリップ幅:150mm、押出機:φ20mm)を使用して、押出機設定温度:210℃、ダイ設定温度:210℃、チルロール温度:30℃、
引取速度:3m/minの条件で厚み50μmのフィルムを成形した。作成したフィルム外観は、以下の評価基準にて判定した。
良好;ブツが目視ではわからず、フィルムにザラツキ感がない
不良;ブツが目視にてわかり、かつフィルムにザラツキ感がある
製膜できず;フィルム切れ等発生して、フィルムのサンプリングができない
(3)酸素、二酸化炭素ガス透過係数
フィルム外観の評価(2)において作製したフィルムを用いて、JIS K7126A:差圧法に準拠し、23℃、湿度0%の条件で測定した。
230℃の温度に保ち、キャピラリーレオメーターに取り付けられたダイス(直径2.095mm)から組成物を押出し、プリーを介して引取る。引取る際、経時的に引取り速度を増加させ、押出ストランドが切断したときの伸び及び張力を測定した。
厚さ2.7mmの試験片を用い、東洋精機製、学振摩耗試験機を用いて、45R、SUS製の摩耗子(20×20×30mm)の先端を綿帆布10号で覆い、これを23℃、治具荷重1kg下、往復回数10回、往復速度33回/min、ストローク50mmで試料
を摩耗させ、その前後のグロス変化率を下記式により求めて耐傷付き性能を評価した。グロス変化率が少なければ、耐傷付き性が良好な材料であることを示す。
グロス変化率(%)=100×(摩耗前のグロス−摩耗後のグロス)/(摩耗前のグロス)
[実施例1]
(A)成分としてポリプロピレン系樹脂(A−1)(商品名:B241P、(株)プライムポリマー製、MFR=1g/10min、エチレン4重量%を含有するプロピレン−エチレンランダムコポリマー)を75重量部、(B)成分としてエチレン−ビニアルコール樹脂(B−1)((株)クラレ製、商標エバールH171B)25重量部に、(C)成分としてメタクリル酸亜鉛(C−1)(浅田化学(株)製、商標R−20S)2.5重量部、(D)成分としてパーエステル構造を有するt−ブチルパーオキシベンゾエート(D−1)(日本油脂(株)製、商標パーブチルZ)0.5重量部をヘンシェルミキサーで均一に混合した後、同方向二軸混練機(テクノベル(株)製、商標:KZW31−30HG)にて210℃で加熱混練し、変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表1に示す。
(A−1)使用量を60重量部に、(B−1)使用量を40重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表1に示す。
(A)成分としてポリプロピレン樹脂(A−2)(商品名:J105P、(株)プライムポリマー製、MFR=12g/10min、ポリプロピレンポリマー)60重量部を用い、(B−1)使用量を40重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表1に示す。
実施例3で得た変性ポリプロピレン系樹脂67.5重量部と、実施例1で用いたポリプロピレン樹脂(A−1)32.5重量部とを、タンブラーミミサーで混合した後、同方向二軸混練機にて210℃で加熱混練した。得られた樹脂組成物についての各性状を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A−3)(商品名:F122G、(株)プライムポリマー製、MFR=1g/10min、ポリプロピレンホモポリマー)をそのまま使用した。これについての各性状を表1および表2に示す。
実施例1において、(C)成分および(D)成分を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表1に示す。
実施例1において、(D)成分を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表1に示す。
(A)成分としてポリプロピレン系樹脂(A−4)(商品名:R110MP、(株)プライムポリマー製、MFR=2g/10min、プロピレンとエチレンの共重合量が80wt%であるプロピレン系熱可塑性エラストマー樹脂)を90重量部、(B)成分としてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂(B−2)(三井デュポンポリケミカル(株)製、商標ハイミラン1554)を10重量部、(C)成分として実施例1で用いたメタクリル酸亜鉛(C−1)1重量部、および、(D)成分として実施例1で用いた(D−1)1.65重量部をヘンシェルミキサーで均一に混合した後、同方向二軸混練機(テクノベル(株)製、商標:KZW31−30HG)にて230℃で加熱混練し、変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表2に示す。
(A−4)使用量を75重量部に、(B−2)使用量を25重量部に、(C−1)使用量を2.5重量部に、かつ、(D−1)使用量を0.5重量部にそれぞれ変更したこと以外は、実施例5と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表2に示す。
実施例5で用いたポリプロピレン系樹脂(A−4)(商品名:R110MP、(株)プライムポリマー製、MFR=2g/10min、プロピレン系熱可塑性エラストマー樹脂)をそのまま使用した。これについての各性状を表2に示す。
実施例5において、(C)成分および(D)成分を使用しなかったこと以外は、実施例5と同様にして変性ポリプロピレン系樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン系樹脂についての各性状を表2に示す。
Claims (6)
- ポリプロピレン系樹脂(A)と、極性基を有する熱可塑性樹脂(B)とからなる樹脂成分と、(メタ)アクリル酸の金属塩(C)と、有機過酸化物(D)とを溶融混合することを特徴とする変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂(A)99〜30重量%と、極性基を有する熱可塑性樹脂(B)1〜70重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、
(メタ)アクリル酸の金属塩(C)0.1〜20重量部と、有機過酸化物(D)0.01〜10重量部とを溶融混合することを特徴とする請求項1に記載の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法。 - 極性基を有する熱可塑性樹脂(B)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー化合物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、およびポリ乳酸樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
- (メタ)アクリル酸の金属塩(C)が、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、および(メタ)アクリル酸亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
- 有機過酸化物(D)が、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドおよびパーオキシジカーボネート構造を有する有機過酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変性ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする変性ポリプロピレン系樹脂。
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